JP2017086073A - アガラーゼ、前記を含む組成物、及びそれらの適用 - Google Patents

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Abstract

【課題】β-アガラーゼ、前記を含む組成物、及びそれらの適用の提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列を含むβ-アガラーゼ。特定の遺伝子配列によってコードされるβ-アガラーゼ。アガロースを加水分解するための組成物であって、0.1〜10U/mLのβ-アガラーゼ;及び、1〜2mMの塩を含み、前記U/mL及びmMは前記組成物の総体積を基準にする、組成物であって、さらに前記組成物の総体積を基準にして50〜200mMの緩衝剤を含み、ここで前記緩衝剤がクエン酸緩衝剤(pH5〜6)又はリン酸緩衝剤(pH6〜7)である組成物。前記β-アガラーゼと接触させて生成物を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、アガラーゼ、特に原核細胞発現系により生成されるアガラーゼに関する。
寒天は、紅藻類(例えばゲリジウム属の種(Gelidium spp.)、グラシラリア属の種(Gracilaria spp.)、ポルフィラ属の種(Porphyra spp.)など)の細胞壁から抽出される親水性多糖類であり、その主要成分はアガロース及びアガロペクチンである。アガロースは、α-1,3及びβ-1,4グリコシド結合を有する中性多糖類であり、ゲルを形成することができ、少なくとも100kDaの分子量を有する。アガロペクチンはゲルを形成することができず、せいぜい20kDaの分子量を有する。アガロペクチンはアガロースと同様な組成を有するが、その3,6-アンヒドロ-α-L-ガラクトースのいくつかのヒドロキシル基はメトキシ、スルフォキシ又はピルビン酸基で置き換えられる。
寒天を加水分解できるヒドロラーゼはアガラーゼと呼ばれ、その加水分解部位にしたがってα-アガラーゼ(EC 3.2.1.158)及びβ-アガラーゼ(EC 3.2.1.81)として分類される。α-アガラーゼは、α-1,3グリコシド結合でアガロース及びアガロペクチンを加水分解し、結果としてその還元末端に3,6-アンヒドロ-α-L-ガラクトース基を有するアガロ-オリゴ糖を生じる。β-アガラーゼは、β-1,4グリコシド結合でアガロース及びアガロペクチンを加水分解し、その還元末端にD-ガラクトース基を有するネオアガロ-オリゴ糖を生じる。
アガラーゼには多くの用途が存在する。好適例として、アガラーゼはアガロースゲルからDNAを回収するために分子生物学研究で用いることができる。アガラーゼは軟骨細胞を支持する寒天基質として軟骨組織の操作で用いられ、それによって軟骨細胞の精製を容易にし、コラーゲン含有量を増加させ、軟骨組織の培養を改善することができる。アガラーゼはアガロ-オリゴ糖及びネオアガロ-オリゴ糖の調製に用いることができる。アガラーゼはDNAの形質転換及び細胞融合のために藻類のプロトプラストの調製に用いることができる。アガラーゼは藻類の多糖類の加水分解に用いられ、その加水分解生成物に基づいて藻類の多糖類の構造を推測することができる。アガラーゼは海洋動物飼育の飼料として利用される藻類単細胞の調製に用いることができる。
さらにまた、これまでの研究は、寒天又は藻類多糖類の粗抽出物の加水分解によって得られるオリゴ糖は、いくつかの生理学的及び生物学的活性(例えば抗酸化、免疫調節、抗菌、チロシナーゼ抑制、保湿、プレバイオテックとしての利用、血清総コレステロール低下など)を提示することを証明した。これらのオリゴ糖は、化粧品、健康食品、及び製薬工業で広く利用される、新世代の高価値機能性オリゴ糖でもありうる。アガラーゼ生成能力を有することが立証されたいくつかの微生物が存在するが、それにもかかわらず、それら既知の微生物によるアガラーゼの生成は、工業的大量生産にとって不利益な多数の困難及び欠陥(例えば不十分な生産、不安定な生産、使用細菌に対する安全性の懸念、高い生産コストなど)に遭遇している。
前記を考慮して、当分野の研究者らは、酸加水分解法を用いて寒天又は藻類多糖類の粗抽出物を加水分解して必要なオリゴ糖を得ること考えた。しかしながら、通常的な酸加水分解法ではアガロ-オリゴ糖混合物を得ることはできるが、均一な重合度を有する生成物を得ることはできない。酸加水分解法と比較して、酵素加水分解はいくつかの能力を有し、それによって酸加水分解法よりも理想的である。前記能力には以下が含まれる:所望の重合化を有するオリゴ糖を得るために特定タイプのグリコシド結合を切断する酵素選択性、分解条件の管理の容易さ、酵素反応で要求される温度は酸加水分解法の温度よりも低くしたがってエネルギー消費が少ないこと、酸加水分解法と比較して操作が容易であること(酸塩基の中和及び脱塩のようなプロセスが要求されない)、化学薬剤が不要であり、したがって操作はより安全であり環境汚染の可能性が低いこと、並びにアガロ-オリゴ糖及びネオアガロ-オリゴ糖を入手できること。
要約すれば、寒天又は藻類多糖類の粗抽出物から得られるオリゴ糖の工業的利用を促進するために、当該分野でより多くの選択肢を提供する新規なアガラーゼが希求されている。さらにまた、商業化の促進のために前述のオリゴ糖製造コストを低下させることができるようにより低コストで操作できる、アガラーゼの製造方法が希求されている。
前記を考慮して、本発明の目的の1つは、新規なアガラーゼを提供し、それによって工業界により多くの選択肢を提供することである。
本発明の別の目的は、アガラーゼを用いてネオアガロ-オリゴ糖を製造する方法を提供することであり、前記はアガラーゼの外因性大量生産のために原核細胞発現系を採用し、寒天、アガロース又は藻類多糖類の粗抽出物の加水分解で当該生成アガラーゼを利用し、ネオアガロ-オリゴ糖の製造コストを減少させる。
前述の目的を達成するために、本発明は配列番号:01の配列を含むβ-アガラーゼを提供する。好ましくは、β-アガラーゼは配列番号:02の配列によってコードされる。
本発明はまた、配列番号:02の配列を含む、β-アガラーゼをコードする遺伝子を提供する。
本発明はまたアガロースを加水分解する組成物を提供し、前記は、請求項1又は2のβ-アガラーゼの0.1から10U/mL、及び1から2mMの塩を含み、ここで前記U/mL及びmMは前記組成物の総体積を基準にする。
好ましくは、組成物はさらに前記組成物の総体積を基準にして50から200mMの緩衝剤を含み、ここで前記緩衝剤はクエン酸緩衝剤(pH5から6)又はリン酸緩衝剤(pH6から7)である。
好ましくは、前記塩はCuSO4、KCl、FeSO4、BaCl2、NaCl、SrCl2、CoCl2、MgSO4、MnCl2、CaCl2、AlCl3又はそれらの組み合わせである。
好ましくは、前記β-アガラーゼは、遺伝子発現系により配列番号:02のヌクレオチド配列を外因的に発現することによって製造される。より好ましくは、前記遺伝子発現系は大腸菌(E. coli)遺伝子発現系である。
好ましくは、前記β-アガラーゼは、遺伝子発現系に含まれる発現ベクターの外因性発現によって製造され、ここで前記発現ベクターは配列番号:02のヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、前記発現ベクターは、配列番号:05のヌクレオチド配列を有する。好ましく前記外因性発現は15から32℃で実施される。
本発明はまたアガロースの加水分解のための方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(A)アガロースを含むサンプルを提供する工程;(B)前記サンプルを前記β-アガラーゼと接触させて生成物を得る工程。
好ましくは、前記生成物は、前記生成物の総重量を基準にして95wt%のネオアガロテトラオースを含む。
好ましくは、前記生成物はネオアガロビオース及び/又はネオアガロヘキソースを実質的に欠く。
好ましくは、前記工程(B)は40から45℃で実施される。
好ましくは、前記工程(B)はpH5から7で実施される。
好ましくは、前記工程(B)は1から24時間実施される。
好ましくは、前記サンプルは、アガロース、低融点アガロース、寒天、藻類多糖類の粗抽出物、又は前記の組み合わせである。
好ましくは、前記β-アガラーゼは、遺伝子発現系により配列番号:02のヌクレオチド配列を外因的に発現することによって製造される。
好ましくは、前記遺伝子発現系は大腸菌遺伝子発現系である。好ましくは、前記β-アガラーゼは、遺伝子発現系に含まれる発現ベクターの外因性発現によって製造され、ここで前記発現ベクターは配列番号:02のヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、前記発現ベクターは、配列番号:05のヌクレオチド配列を有する。好ましく前記外因性発現は15から32℃で実施される。
本発明はさらにβ-アガラーゼ発現ベクターを提供し、前記は、配列番号:02の配列を含むヌクレオチド及び調節エレメントを含む。
好ましくは、前記調節エレメントはプロモーター及びリボソーム結合部位を含む。
好ましくは、前記発現ベクターは配列番号:05の配列を含む。
要約すれば、本発明は新規なアガラーゼを提供し、前記を用いることによってアガロースを加水分解する方法を教示する。本発明のアガラーゼを用いることによって、アガロースの加水分解生成物がネオアガロビオース及びネオアガロヘキソースを実質的に欠くことは注目に値する。したがって、本発明のアガラーゼを用いることによって高純度のネオアガロテトラオースを容易に得ることができ、それによってネオアガロテトラオースの製造コストを有利に削減することができる。さらにまた、本発明は外因的にアガラーゼを発現する方法を提供する。前記方法は、大腸菌の遺伝子発現系を用いて本発明のアガラーゼを発現させることができ、それによってアガラーゼの製造コストを顕著に削減し、さらにその製造の安定性を改善する(前記はともに商業化に有利である)。
タンパク質の電気泳動画像である。本画像は実験2の結果を示し、ここでは大腸菌発現系における本発明のアガラーゼの発現で多様な温度が用いられた。(A)37℃;(B)30℃;(C)25℃;(D)20℃;(E)16℃、ここで各グループの第一のラインは4時間発現後の結果を表し、第二のラインは24時間発現後の結果を表す。 実験3で実施された酵素活性に対する測定の結果を示し、本発明のアガラーゼによって加水分解できる基質を示している。 実験3で実施された薄層クロマトグラフィーの結果を示し、本発明のアガラーゼによる低融点アガロースの加水分解生成物を示している。 実験3で実施されたDNA回収アッセイの結果を示し、DNA回収における本発明のアガラーゼの有効性を示している。
先行する段落で説明したように、アガラーゼの製造で微生物を使用することは知られているが、そのような従来の製造方法はいくつかの欠点を有する。他方で、原核細胞発現系が所望のタンパク質の発現で用いられているが、あらゆる種類のタンパク質が原核細胞発現系で大量に製造できることを意味しているわけではない。原核細胞発現系による所望のタンパク質の製造に影響しうる多数の要件が存在し、それら要件には以下が含まれる:遺伝子コドンの分布、mRNAの安定性、所望のタンパク質の安定性、どんな種類の発現系が用いられるか、及び選択した発現系における製造の条件。所望のタンパク質が本質的に外因性製造に適切でない場合、当該タンパク質を原核細胞発現系によって製造することはほとんど不可能であろう。さらにまた、発現系のあらゆる製造条件が、所望のタンパク質を商業的規模で製造するという重要な点で発現系の能力に決定的な影響を与え、それによって製造コストを決定するであろう。
パエニバシルス・アガレキセデンス(Paenibacillus agarexedens)は1972年に初めて牧草地の土壌から単離された。そのアガラーゼ遺伝子を記載した文献は本発明の前には全くなかった。本発明は当該細菌の遺伝子フラグメントを単離し、そこから新規なアガラーゼを入手した(前記アガラーゼは当該産業にまた別のアガラーゼを提供しうる)。
特に、本発明の特徴の1つはβ-アガラーゼを提供し、前記アガラーゼは配列番号:01の配列を含む。前記配列番号:01は本発明のアガラーゼのアミノ酸配列を示す。アミノ酸とコドンの対応する関係にしたがえば、当業者は前記配列番号:01をコードするヌクレオチド配列を推論することができよう。好ましい実施態様では、前記β-アガラーゼは配列番号:02の配列から翻訳される。
本発明の別の特徴は、アガロースを加水分解する組成物を提供する。アガロースの加水分解生成物(例えばネオアガロテトラオース)を得るために、前記組成物を用いることができる。前記組成物は、前記β-アガラーゼの0.1から10U/mL及び2mMの塩を含み、ここで前記U/mL及び前記mMはそれぞれ前記組成物の総体積を基準にする。
好ましい実施態様では、前記塩は、CuSO4、KCl、FeSO4、BaCl2、NaCl、SrCl2、CoCl2、MgSO4、MnCl2、CaCl2、AlCl3又はそれらの組み合わせを含む。当業者は、前記塩は解離により金属イオン及び非金属イオンとして存在しうるか、又は解離状態及び非解離状態で存在しうることを理解できよう。
好ましい実施態様では、前記組成物はさらに、前記組成物の総体積を基準にして50から200mMの緩衝剤を含むことができる。前記緩衝剤は、選択した緩衝剤が前記β-アガラーゼの構造、機能又は他の特性に影響を与えない限り選択できる。例えば、前記緩衝剤はクエン酸緩衝剤(pH5から6)又はリン酸緩衝剤(pH6から7)でありうる。
本発明の別の特徴は、アガロースを加水分解する方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:(A)アガロースを含むサンプルを提供する工程;(B)前記サンプルを前記β-アガラーゼと接触させて生成物を得る工程。前記サンプルは、アガロース、低融点アガロース、寒天、藻類多糖類の粗抽出物、又は前記の組み合わせでありうる。
好ましい実施態様では、前記方法によって得られる前記生成物は、前記生成物の総重量を基準にして少なくとも95重量パーセントのネオアガロテトラオースを含む。別の好ましい実施態様では、前記生成物は、ネオアガロビオース及びネオアガロヘキソースを実質的に欠く。ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオース、及びネオアガロヘキソースは、それぞれその工業的利用性を有し、したがって本発明のアガロース加水分解方法を用いることによって、高純度のネオアガロテトラオースを含む生成物が容易に入手されうる。換言すれば、追加の精製手順が不要であり、生成物を直接当該産業に用いることができ、したがっていくらかの製造コスト及び時間を節約することができる。
好ましい実施態様では、前記工程(B)の前記接触は40から45℃の温度で実施される。好ましい実施態様では、前記工程(B)の前記接触は5から7のpHで実施される。好ましい実施態様では、前記工程(B)の前記接触は1から24時間実施される。
好ましい実施態様では、前記β-アガラーゼは、遺伝子発現系で配列番号:02のヌクレオチド配列を外因的に発現させることによって得られる。前記“外因的に発現する”、“外因性発現”又は同様なものは、前記β-アガラーゼが、前記β-アガラーゼを天然に含む微生物ではない微生物で発現されることを指す。好例を示せば、β-アガラーゼは天然ではP.アガレキセデンスに存在する。したがって、大腸菌発現系での前記β-アガラーゼの発現は、本発明が“外因性発現”と定義したものである。
好ましい実施態様では、前記β-アガラーゼは、発現ベクターを含む大腸菌発現系と接触される外因性発現によって得られる。また別には、前記発現ベクターは配列番号:02のヌクレオチド配列を含む。また別の実施態様では、前記発現ベクターは配列番号:05のヌクレオチド配列を含む。
先行する段落で述べたように、発現系のあらゆる製造条件が所望の製品の製造に影響を与え、それによって製造コストに影響を与えるであろう。発現系での所望のタンパク質の大量生産の有効性は、決定的に重要な製造条件を用いることによって達成できる。本発明の好ましい実施態様では、大腸菌発現系で本発明のβ-アガラーゼを外因的に発現するために有利な温度、15から32℃は、本発明の研究における広範囲の試験及び実験を通して立証された。前述の温度範囲で得られたβ-アガラーゼはより良好な可溶性を示し、したがって産業的に要求される大量生産のために有利である。
本発明の別の特徴はβ-アガラーゼ発現ベクターを提供し、前記は配列番号:02の配列を含むヌクレオチド及び調節エレメントを含む。前記調節エレメントは、遺伝子発現系で遺伝子の転写及び翻訳プロセスのスイッチを入れるために必要なエレメントに該当する。前記調節エレメントは少なくともプロモーター及びリボソーム結合部位を含むであろう。好ましくは、前記調節エレメントはさらに加えてオペレーター、エンハンサー配列、又は前記の組み合わせを含むことができる。
好ましい実施態様では、前記発現ベクターは配列番号:05のヌクレオチド配列を含む。
実験1:本発明のアガラーゼのクローニング及び本発明の発現ベクターの作製
本実験では、P.アガレキセデンスのゲノムから1つのオープンリーディングフレームが選択された(前記は、883アミノ酸を有する配列番号:01のアミノ酸配列を有し、2652ヌクレオチドを有する配列番号:02のヌクレオチド配列を有する)。タンパク質のBLAST分析にしたがって、本発明の研究者らは、当該オープンリーディングフレームはアガロースを加水分解できるタンパク質(すなわちアガラーゼ)をコードする可能性があると推定した。本発明の前には、当該オープンリーディングフレーム及びその潜在的生理学的活性を開示又は示唆した研究は皆無であった。そのうえ、当該オープンリーディングフレームは、本発明の出願時点の遺伝子配列で公知のアガラーゼと有意な類似性を共有しなかった。続いて、本発明は、当該推定アガラーゼを原核細胞遺伝子発現系で大量にかつ安定的に発現させるために、遺伝子操作により発現ベクターに当該オープンリーディングフレームを定着させた。
株及び培地
P.アガレキセデンスBCRC17346を本発明の研究主題として食品工業研究開発院(Food Industry Research and Development Institute)から購入した。大腸菌(ECOS 9-5, Yeastern, Taiwan)をDNAクローニングの宿主細胞として用いた。
P.アガレキセデンスは0.1%の尿素を含む栄養ブロス培養液(BD Difco, USA)で培養し、さらに固形培養プレートの調製のために1.5%(w/v)の寒天(BD Difco, USA)もまた添加できる。大腸菌はLurai-Bertani(LB)培地(BD Difco, USA)で培養し、抗生物質又は1.5%の寒天もまた必要ならば添加できる。
ゲノムDNAの抽出
BCRC17346の単一コロニーを採取し、0.1%尿素を含む栄養ブロス培養液に接種し、続いて180rpmにて24時間30℃で培養した。DNA精製キット(Tissue & Cell Genomic DNA Purification kit;GMbiolab, Taiwan)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。まず初めに、4mLのブロスをチューブに入れ、遠心分離した(5,870xg、5分)。続いて、上清を廃棄し、ペレットを収集した。200μLの溶液A(10mMトリス-HCl(pH8.0)、10mM EDTA、50 mM NaCl、20%(w/v)シュクロース、10mg/mLリゾチーム)を加えてペレットを再懸濁させた。溶液Aをペレットと37℃で1時間反応させて細菌の細胞壁を消化した。その後で、20μLのプロテイナーゼK(10mg/mL)及び200μLの抽出試薬を添加し、56℃で3時間反応させた。5分毎にチューブを上下逆さまにして穏やかに振盪し、細菌と試薬混合物を良く混合させた。その後で、200μLの結合溶液を70℃で10分間の反応のために添加した。続いて、200μLの無水アルコールを添加し、チューブ中で混合し、続いて全ての内容物をスピンカラムに移した。スピンカラムを遠心分離のためにクレクションチューブに入れた。2分間の遠心分離(17,970xg)の後で、溶離液を廃棄し、300μLの結合溶液をスピンカラムに添加し、このススピンカラム(コレクションチューブに入れる)をさらに2分間遠心分離(17,970xg)した。その後で、700μLの洗浄溶液をスピンカラムに加えた。2分間の遠心分離(17,970xg)の後で、溶離液をまた廃棄した。最後にスピンカラムをさらに5分間遠心分離(17,970xg)して残留エタノールを除去した。続いてスピンカラムを清浄で無菌的なチューブに入れ、二回蒸留した水を加えてゲノムDNAを溶出させた。
本発明のアガラーゼ遺伝子のクローニング
得られたP.アガレキセデンスのゲノムDNAを鋳型として用いて、ポリメラーゼ連鎖反応によって本発明のアガラーゼ遺伝子を増幅させた。PCRは以下のプライマーセットを用いて実施した。
50μLのPCR混合物は以下を含んでいた:1xGDP-HiFi PCR緩衝液B、200μMのdNTP(dATP、dTTP、dGTP及びdCTP)、1μMの増幅プライマー、100ngのP.アガレキセデンスのゲノムDNA、及び1UのGDP-HiFi DNAポリメラーゼ。PCR反応条件は以下のとおりであった:98℃で5分の1サイクル;94℃で30秒、55℃で30秒、68℃で90秒の35サイクル;及び68℃で5分の1サイクル。
PCR反応後にゲル電気泳動を実施して、予想サイズのDNAフラグメントが得られたか否かを検証した。続いて、PCR-MTMクリーンアップシステムキット(GeneMark, Taiwan)を用いその製品マニュアルの指示にしたがいPCR生成物を回収した。その後、CloneJET PCRクローニングキットを用いその製品マニュアルの指示にしたがい、アガラーゼ遺伝子のクローニングを実施した。前記連結混合物で大腸菌ECOSTM9-5を形質転換した。形質転換のプロトコルは当該製品マニュアルによるか、又は当業界で公知の標準的プロトコルにしたがって修正した。
形質転換細菌をアンピシリン(100μg/mL)含有LB固形培地に接種した。増殖コロニーを採取し、形質転換成功株の選別のためにコロニーPCRを実施した。PCR反応条件は以下のとおりであった:95℃で5分の1サイクル;95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で3分の25サイクル;及び72℃で7分の1サイクル。コロニーPCRによって所望のDNAを有することを検証した後、当該形質転換株の組換えプラスミドをDNAシーケンシングのために抽出した(Tri-I Biotech, Inc.)。本発明のアガラーゼ遺伝子を有するプラスミドをpJET-AGAB-4と称した。
本発明の発現ベクターの作製
プラスミドpJET-AGAB-4をKpnI及びXhoIで切断した。得られた本発明のアガラーゼ遺伝子フラグメントを、同じ制限酵素で切断したプラスミドpET29aにT4 DNAリガーゼを用いて連結した。連結生成物(本発明のアガラーゼ遺伝子フラグメントに連結されたpET29a)で大腸菌ECOS9-5を形質転換した。コロニーPCRを実施して形質転換株を選別し、続いてDNAゲル電気泳動を実施して、所望サイズのDNAフラグメントが存在するか否かを検証した。所望の挿入DNAを有することを検証した後、形質転換株の組換えプラスミドをDNAシーケンシングのために抽出した。本発明のアガラーゼ遺伝子の正確な配列を有するプラスミドをpET-AGAB-4と称した。前記が本発明の配列番号:05の発現ベクターである。
実験2:本発明のアガラーゼを発現する原核細胞発現系の作製
本発明の前には、本発明のアガラーゼの発現を成功させた研究は皆無であった。本実験では、本発明のアガラーゼを大量かつ安定的な生産のために大腸菌発現系での発現を試みた。
株及び培地
大腸菌BL21(DE3)を本実験の遺伝子発現のための宿主として用いた。Lurai-Bertani(LB)培地(BD Difco, USA)を大腸菌の培養に用い、抗生物質又1.5%の寒天を必要ならば添加できる。
本発明のアガラーゼの種々の温度での発現
本発明の発現ベクターpET-AGAB-4で大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。単一コロニーを採取し、最終濃度30μg/mLのカナマイシンを含む5mLのLB培地に接種した。細胞を180rpmにて37℃で一晩培養した。続いて、最終濃度30μg/mLのカナマイシンを含む10mLの新しいLB培地に前記ブロスの100μLを添加し、OD600値が約0.4から0.6に達するまで180rpmにて37℃で培養した。その後、0.1mMのイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、組換えタンパク質の発現を種々の温度(37℃、30℃、25℃、20℃又は16℃)で誘発した。誘発後4及び24時間後にそれぞれ2mLのブロスを収集した。前記ブロスを遠心分離し(20,630xg、5分、4℃)、ペレットを収集した。ペレットに含まれるタンパク質をそれらの可溶性に基づいて分離した。タンパク質電気泳動を実施して組換えアガラーゼの可溶性を試験した。
図1によれば、本発明のアガラーゼが16から37℃の範囲内で大腸菌発現系によってうまく発現できることが認められた。下記の表1はさらに、種々の温度で発現された本発明のアガラーゼの可溶性を示す。前記は、本発明のアガラーゼは16から37℃の範囲内で発現されうるとしても、アガラーゼが37℃で発現されたときには可溶性アガラーゼの収量は低いことを示した。比較すれば、より大量の可溶性アガラーゼは、30℃、25℃、20℃又は16℃で比較的短期間に得ることができる。その後の可溶性アガラーゼの精製プロセスは、不溶性アガラーゼの精製プロセスよりはるかに容易である。したがって、可溶性アガラーゼの入手は産業的製造規模のために特に有利であろう。
表1:種々の誘発温度における可溶性アガラーゼの生成
実験3:本発明のアガラーゼの特性の分析
本発明のアガラーゼを実験2で作製した発現系によって発現し、続いてその特性の分析のために精製した。
本発明のアガラーゼの発現及び精製
実験2の大腸菌株(BL21/DE3, pET-AGAB-4)の単一コロニーを採取し、カナマイシン含有(最終濃度30μg/mL)LB培地の12mLに接種した。培養を180rpmにて一晩37℃で維持した。その後、10mLの前記ブロスを1Lの新しいカナマイシン含有(最終濃度30μg/mL)LB培地に移し、そのOD600値が約0.4から0.6に達するまで180rpmにて37℃で培養した。続いて、0.1mMのIPTGを20℃で添加し、組換えタンパク質の発現を誘発した。24時間誘発した後、ペレットを遠心分離(10,000xg、10分、4℃)によって収集し、10mLの溶解緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、500mM NaCl(pH7.4))に再懸濁した。超音波装置によってペレットを破壊し、更なる遠心分離を実施して上清を収集した。最後に、上清を0.22μmのフィルターでろ過した。
組換えタンパク質のC-末端のHisタグはニッケル又はコバルトイオンと配位共有結合を形成できるという事実を利用して、固定金属イオンアフィニティクロマトグラフィーをタンパク質精製に用いた。組換えアガラーゼの精製は、タンパク質の液体クロマトグラフィー系、AKTAプライムプラス(GE Healthcare, Sweden)(5mLのHiTrapTM Niエクセルカラム(GE Healthcare, Sweden)搭載)を用いて実施した。まず初めに、カラムを25mLの溶解緩衝液で平衡化し、続いて上記で得た上清をHiTrapTM Niエクセルカラムに導入した。その後、100mLの洗浄緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、500mM NaCl、30mMイミダゾール(pH7.4))を適用して非特異的結合タンパク質を洗い流した。続いて、150mLの溶出緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、500mM NaCl、250mMイミダゾール(pH7.4))を適用して、樹脂に結合しているアガラーゼを溶出させた。本理論は、高濃度のイミダゾールを用いることによって組換えタンパク質の樹脂上の結合部位と競合させ、樹脂から組換えアガラーゼを溶出させることである。精製タンパク質溶液を遠心管(Amicon ultra-15 ultracel-30K, Merck Millipore, USA)に移し、2,600xgでの遠心分離後に適切な体積に4℃で保存した。
本発明のアガラーゼの基質の分析
本実験は、本発明のアガラーゼが加水分解できる基質を試験することを意図した。850μLの0.24%(w/v)アガロース、低融点アガロース、寒天及びアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、可溶性デンプン、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を、それぞれ100μLの0.5Mリン酸緩衝液(pH6)と混合し、その中の内容物が溶解するまで加熱した。続いて、溶液を55℃に10分放置した。その後、50μLのアガラーゼ溶液(適切に希釈)を基質溶液に添加し、55℃で10分間反応させた。その後で、直ちに1.0mLのDNS溶液(1% 3,5-ジニトロサリチル酸、30% 酒石酸カリウムナトリウム4水和物、1.6% NaOH)を添加し、混合物を100℃で5分間加熱した。反応溶液の冷却後、1mLの脱イオン水を加えて混合した。続いて混合物を96ウェルプレート(100μL/ウェル)に移し、各ウェルの540nm吸収をELISAリーダーで検出した。多様な濃度のD-ガラクトース溶液のDNS着色反応によって還元糖の標準曲線を作成した。D-ガラクトース標準曲線と各ウェルの吸収を比較することによって、各ウェルの還元糖の量を算出した。1活性単位(U)は1分間に1μmoleのガラクトースを生成するために必要な酵素量と定義される。
実験結果を図2に示した。本発明のアガラーゼは、アガロース、低融点アガロース及び寒天、特にアガロースを加水分解できる。それにもかかわらず、本発明のアガラーゼは、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、可溶性デンプン、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを加水分解できない。
本発明のアガラーゼによるアガロース加水分解生成物の分析
本実験では薄層クロマトグラフィーを用いて、本発明のアガラーゼによるアガロースの加水分解生成物を分析した。850μLの0.24%(w/v)低融点アガロース溶液及び100μLの0.5Mリン酸緩衝液(pH6)を一混合物となるように混ぜ、その中の内容物が完全に溶解するまで加熱した。続いて、この混合物を40℃に10分間放置し、続いて50μLのアガラーゼ溶液(2U/mL)を添加した。反応物を40℃で24時間維持した。その後、混合物を遠心分離し(15,000rpm、4℃、10分)、0.22μmのフィルターでろ過してその中の細菌を除去した。続いて、溶液を-20℃で保存した。その後で、8μLのアガラーゼ加水分解生成物、2μLのネオアガロビオース溶液(10μg/mL)、2μLのネオアガロテトラオース溶液(10μg/mL)及び2μLのネオアガロヘキソース溶液(10μg/mL)をシリカゲル60TLCフィルム(Merck Millipore, USA)に点状添加した。シート上に点状添加したサンプルが乾燥した後で、当該フィルムを展開タンクに含まれる展開緩衝液(50%の1-ブタノール、25%の酢酸、25%の脱イオン水)中に斜めに挿入した。展開後、TLCフィルムを取り出して乾燥させ、続いて0.1Mのフタル酸アニリン溶液(Sigma-Aldrich, US)をフィルム上に噴霧した。乾燥後、フィルムを加熱して発色させ、試験サンプル及び標準サンプルのRf値(保持系数値)を計算した。アガラーゼの加水分解生成物はRf値から同定された。
結果を図3に示した。独立した6実験によれば、本発明のアガラーゼによる低融点アガロースの加水分解生成物は実質的にネオアガロテトラオースであり、ネオアガロビオース及びネオアガロヘキソースを実質的に欠いていた。これらの結果は、本発明のアガラーゼを高純度のネオアガロテトラオースを製造するために用いることができ、前記はネオアガロテトラオースの工業的利用に特に有用であることを示した。
ゲルからのDNA回収における本発明のアガラーゼの利用
2.5μgのpUC19プラスミド及びの1%の低融点アガロース200μL(TAE緩衝液0.5xで処方)を混合し、4℃に置いて凝固させた。該DNAアガロースゲルを70℃に10分置いてアガロースを融解させた。続いて、当該サンプルを40℃に10分置いた。1Uのアガラーゼを添加し、40℃で1時間反応させた。その後で、混合物を遠心分離し(20,630xg、5分、4℃)、上清を収集した。続いて、グリコーゲン及び10Mの酢酸アンモニウムを添加した(前記の最終作業濃度はそれぞれ1μg/μL及び2.5Mである)。その後で、上清の体積の0.6倍のイソプロピルアルコールを添加し、混合物を-20℃に30分置いた。続いて、当該混合物を遠心分離し(20,630xg、15分、4℃)、上清を廃棄した。その後、1mLの70%エタノールを添加し前記沈殿物を再懸濁した。続いて、前記懸濁物を遠心分離し(4℃、20,630xg、10分)、再び上清を廃棄した。沈殿DNAを室温に置いて乾燥させ、その後で適切な量の無菌的な10mMトリス-HCl緩衝液を添加してDNAを溶解させた。回収DNAサンプル及び最初のDNAサンプル(すなわちpUC19プラスミド)のために0.7%アガロースゲルの電気泳動を実施し、DNAの回収率を計算した。
結果を図4に示した。核酸サンプルの回収で本発明のアガラーゼを用いる回収率は95%を超え、本発明のアガラーゼはゲル内のDNA回収に適切であることを示した。
本発明のアガラーゼの活性に対する金属イオンの影響
20mMの金属塩溶液50μL、0.27%(w/v)のアガロース750μL、及び0.5Mのリン酸緩衝液(pH6)100μLを混合し、その中の内容物が完全に溶解するまで加熱した。続いて、混合物を55℃に10分置いた。その後で、50μLの適切に希釈したアガラーゼ溶液を前記混合物に添加し、55℃で10分間反応させた。続いて上記段落で述べたように、DNS発色反応及び酵素活性を実施した。本発明のアガラーゼの加水分解活性における種々の金属イオンの影響を、各実験グループの相対活性を比較することによって判定した。結果を以下の表2に示した。CuSO4、KCl、FeSO4、BaCl2、NaCl、SrCl2、CoCl2、MgSO4、MnCl2、CaCl2、AlCl3などは、本発明のアガラーゼの活性を顕著に改善できることが示された。
表2:塩とアガラーゼの活性

Claims (16)

  1. 配列番号:01の配列を含むβ-アガラーゼ。
  2. 配列番号:02の配列によってコードされる、請求項1に記載のβ-アガラーゼ。
  3. 配列番号:02の配列を含む、β-アガラーゼをコードする遺伝子。
  4. アガロースを加水分解するための組成物であって、
    0.1から10U/mLの請求項1又は2に記載のβ-アガラーゼ;及び、
    1から2mMの塩;
    を含み、前記U/mL及びmMは前記組成物の総体積を基準にする、組成物。
  5. さらに前記組成物の総体積を基準にして50から200mMの緩衝剤を含み、ここで前記緩衝剤がクエン酸緩衝剤(pH5から6)又はリン酸緩衝剤(pH6から7)である、請求項4に記載の組成物。
  6. 塩が、CuSO4、KCl、FeSO4、BaCl2、NaCl、SrCl2、CoCl2、MgSO4、MnCl2、CaCl2、AlCl3又はそれらの組み合わせである、請求項4に記載の組成物。
  7. 以下の工程を含む、アガロースを加水分解する方法:
    (A)アガロースを含むサンプルを提供する工程;
    (B)前記サンプルを請求項1又は2に記載の前記β-アガラーゼと接触させて生成物を得る工程。
  8. 生成物が、前記生成物の総重量を基準にして95wt%のネオアガロテトラオースを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 生成物がネオアガロビオース及び/又はネオアガロヘキソースを実質的に欠く、請求項7に記載の方法。
  10. 工程(B)が40から45℃で1から24時間実施される、請求項7に記載の方法。
  11. 工程(B)がpH5から7で1から24時間実施される、請求項7に記載の方法。
  12. β-アガラーゼが、大腸菌(E. coli)遺伝子発現系により配列番号:02のヌクレオチド配列を外因的に発現させることによって製造される、請求項7に記載の方法。
  13. β-アガラーゼが、遺伝子発現系に含まれる発現ベクターの外因性発現によって製造され、ここで前記発現ベクターが配列番号:05のヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 外因性発現が15から32℃で実施される、請求項13に記載の方法。
  15. 以下を含む、β-アガラーゼ発現ベクター:
    配列番号:02の配列を含むヌクレオチド配列;及び
    プロモーター及びリボソーム結合部位を含む調節エレメント。
  16. 配列番号:05の配列を含む、請求項15に記載の発現ベクター。
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