JP2017077208A - インキュベータ - Google Patents

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川崎 康司
Yasushi Kawasaki
康司 川崎
角田 大輔
Daisuke Tsunoda
大輔 角田
純 益留
Jun Masutome
純 益留
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Abstract

【課題】培養室の内部の温度・湿度を均一に維持することができ、筐体の内部に結露が生じることのないインキュベータを提供する。また、被培養物の入ったシャーレの内部を短時間で所定の温度に昇温できるインキュベータを提供する。更に、内部の空気圧を外部環境よりも高くして無菌環境を維持すると共に、加湿容器から蒸発する水により内部の無菌環境に悪影響を及ぼすことのないインキュベータを提供する。
【解決手段】断熱扉と断熱壁からなる筐体と、その内部に区画された培養室と、培養室内と筐体内の空気を循環させる循環手段と、筐体内の空気を加温する加温手段と、筐体内の空気を加湿する加湿手段とを有する。循環手段は、筐体内の空気を培養室に供給する循環ファンと、空気を濾過するフィルタと、空気を整流する整流部材とを備える。これにより、培養室に供給される空気は、その内部を略水平に流れる一方向流を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インキュベータに関するものであり、特に培養に適した温度・湿度を適正に制御し、且つ、培養室の内部の無菌環境を高度に維持できるインキュベータに関するものである。
近年の再生医療分野の発展に伴い、インキュベータを使用して細胞を培養することが広く行われている。細胞の培養には、それぞれの細胞に適した培養環境を整備する必要があり、インキュベータ内部の温度条件、湿度条件、或いは必要によりCOガス濃度、Nガス濃度などを調整することが行われている。
インキュベータ内部の温度条件を調整するには、一般にインキュベータの室内、扉、棚板などの壁部に温水ヒータ或いは電気ヒータなどを内蔵して、壁面からの輻射熱による室内温度調整が行われている。また、インキュベータ内部の湿度条件を調整するには、一般にインキュベータの内部に加湿皿を設けて水を貯留し、この貯留水の自然蒸発によって室内湿度調整が行われている。一方、インキュベータ内部のCOガス濃度やNガス濃度を調整するには、一般にCOガス濃度センサやNガス濃度センサ、及び、COガスボンベやNガスボンベからの供給経路を備えてCOガス濃度やNガス濃度の調整が行われている。また、これらに加え室内ファンによる空気の撹拌を併用して均一化を図る場合もある。
しかし、壁面からの輻射熱や空気の撹拌による室内温度調整と室内湿度調整では室内の温度・湿度が不均一になりやすい。特に、インキュベータの内部は湿度が高いので、温度・湿度が不均一な場合には部分的な結露が生じやすいという問題があった。また、輻射熱と室内空気の撹拌だけでは培養液の入ったシャーレの内部を所定の温度に昇温するのに長い時間がかかるという問題があった。
一方、これまでのインキュベータでは、GMP(Good Manufacturing Practice)に即したグレードA(厚生労働省・無菌医薬品製造指針)を保証することができなかった。また、内部をグレードAに滅菌しても、これを維持するために空気圧を外部環境よりも高く維持することができなかった。更に、インキュベータの内部の貯留水の蒸発に伴い外部から水を供給するが、その場合に外部から供給された水により内部の無菌環境に悪影響を及ぼすという問題があった。
そこで、下記特許文献1のインキュベータにおいては、室内ヒータ、扉ヒータ、ステージヒータのオンオフによる一般的な温度調整を行い、内部の湿度が上昇し結露が生じやすくなった場合に加湿皿の露出される水面の面積を微調整して湿度調整の精度を向上することが提案されている。また、下記特許文献2のインキュベータにおいては、インキュベータの外部から加湿皿への給水経路上にフィルタを設けることが提案されている。
特開2008−005759号公報 特開2011−160672号公報
ところで、上記特許文献1のインキュベータにおいては、結露の発生は軽減できるが室内の温度・湿度が不均一になりやすいという問題があった。また、依然として被培養物の入ったシャーレの内部を所定の温度に昇温するのに長い時間がかかるという問題があった。また、上記特許文献2のインキュベータにおいては、加湿皿に貯留された水の無菌化は確保できるが、この場合にも室内の温度・湿度が不均一になりやすいという問題があった。また、依然として被培養物の入ったシャーレの内部を所定の温度に昇温するのに長い時間がかかるという問題があった。
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、培養室の内部の温度・湿度を均一に維持することができ、筐体の内部に結露が生じることのないインキュベータを提供することを目的とする。また、本発明は、被培養物の入ったシャーレの内部を短時間で所定の温度に昇温できるインキュベータを提供することを目的とする。更に、本発明は、内部の空気圧を外部環境よりも高くして無菌環境を維持すると共に、加湿容器から蒸発する水により内部の無菌環境に悪影響を及ぼすことのないインキュベータを提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、ヒータ加熱された空気を培養室の内部に一方向流(いわゆる層流)として供給することにより、従来の輻射熱及び撹拌による温度制御に比べ均一性と昇温の短時間化ができることを見出した。また、本発明者らは、鋭意研究の結果、加湿容器の表面をバクテリアバリア性の透湿性シートで被覆することにより、外部から供給される水による培養室の内部の無菌環境への悪影響を防止できることを見出して本発明の完成に至った。
即ち、本発明に係るインキュベータ(100)は、請求項1の記載によれば、
断熱扉(10a)と断熱壁(10b〜10f)からなる筐体(10)と、
前記筐体の内部に区画された培養室(20)と、
前記培養室の内部に前記筐体の内部の空気を循環させる循環手段(30)と、
前記筐体の内部の空気を加温するためのヒータ(41a、41b)を具備した加温手段(40)と、
前記筐体の内部の空気を加湿するための水を貯留する加湿容器(51)を具備した加湿手段(50)とを有し、
前記循環手段は、前記筐体の内部の空気を前記培養室に供給する循環ファン(31)と、当該循環ファンから供給される空気を濾過するフィルタ(32)と、当該フィルタを通過した空気を整流する整流部材(33)とを備え、
前記循環ファン、フィルタ及び整流部材を介して前記培養室に供給される空気は、当該培養室の内部を略水平に流れる一方向流(AF1)の空気を形成することを特徴とする。
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載のインキュベータであって、
給気手段(12)及び排気手段(13)を有して、前記筐体の内部の空気圧を外部環境よりも高く維持できることを特徴とする。
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1又は2に記載のインキュベータであって、
前記整流部材は、1枚又は2枚以上の多孔性シート(33b)を具備し、前記フィルタの前記培養室側の面に平行に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項3に記載のインキュベータであって、
前記多孔性シートは、表裏を連通する無数の細孔を有するスクリーン紗(33b)であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項3に記載のインキュベータであって、
前記整流部材は、前記多孔性シートの前記培養室側の面に、表裏を連通する複数の細溝を並行に設けたスリット板(33c)を具備していることを特徴とする。
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項5に記載のインキュベータであって、
前記多孔性シートは、表裏を連通する無数の細孔を有するスクリーン紗(33b)であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項1〜6のいずれか1つに記載のインキュベータであって、
前記加湿手段は、前記加湿容器内の貯留水の量を検知する貯留水センサ(52)と、前記加湿容器内の貯留水が不足した場合に前記筐体の外部から水を供給する給水手段(53)とを具備していることを特徴とする。
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項7に記載のインキュベータであって、
前記加湿容器は、その内部の貯留水の水面(W)を前記培養室の外部であって、且つ、前記筐体の内部に露出する開口面を有し、
前記開口面の上方に当該開口面に沿って、前記培養室の内部を流れる一方向流とは別の他の気流(AF2)が一方向に流れることを特徴とする。
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項8に記載のインキュベータであって、
前記加湿容器は、その開口面にバクテリアバリア性を有する透湿性シート(51b)が固着されていることを特徴とする。
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項9に記載のインキュベータであって、
前記加湿容器は、前記透湿性シートの上部に前記他の気流の流れる方向を前記透湿性シートの表面に誘導する1枚又は2枚以上のバッフル板(51c)を具備していることを特徴とする。
また、本発明は、請求項11の記載によれば、請求項9又は10に記載のインキュベータであって、
前記透湿性シートは、フラッシュスパン製造工程にて積層された高密度ポリエチレン極細繊維からなる不織布であることを特徴とする。
上記請求項1の構成によれば、本発明に係るインキュベータは、筐体と培養室と循環手段と加温手段と加湿手段とを有している。筐体は、断熱扉と断熱壁からなる。培養室は、筐体の内部に区画されている。循環手段は、培養室の内部に筐体の内部の空気を循環させる。加温手段は、ヒータを具備して筐体の内部の空気を加温する。加湿手段は、水を貯留する加湿容器を具備して筐体の内部の空気を加湿する。また、循環手段は、循環ファンとフィルタと整流部材とを備えている。循環ファンは、筐体の内部の空気を培養室に供給する。フィルタは、循環ファンから供給される空気を濾過する。整流部材は、フィルタを通過した空気を整流する。このようにして、循環ファン、フィルタ及び整流部材を介して培養室に供給される空気は、当該培養室の内部を略水平に流れる一方向流(いわゆる層流)の空気を形成する。
これらのことから、筐体の内部の空気は、循環ファンの稼働により筐体の内部とその内部に区画された培養室の内部を循環する。この循環の際に、筐体の内部の空気は加温手段が具備するヒータによって所定温度に加熱され、また、加湿容器内に貯留された水で加湿される。この加熱され加湿された空気が、循環ファンの稼働によりフィルタ及び整流部材を介して培養室の内部を略水平に一方向流として流れる。このことにより、培養室に載置された培養物を充填したシャーレに設定温度・設定湿度の空気が常時供給される。よって、上記請求項1の構成によれば、培養室の内部の温度・湿度を均一に維持することができ、筐体の内部に結露が生じることがない。また、培養室の内部には温度・湿度が均一な空気が一方向流として流れているので、輻射熱や空気の撹拌による昇温と異なり被培養物の入ったシャーレの内部を短時間で所定の温度に昇温することができる。
また、上記請求項2の構成によれば、本発明に係るインキュベータは、給気手段及び排気手段を有している。給気手段は、外部環境の空気を筐体の内部に供給する。一方、排気手段は、筐体の内部の空気を外部環境に排気する。これらの給気手段及び排気手段の作用により、筐体の内部の空気圧を外部環境よりも高く維持することができる。このことにより、筐体の内部が外部環境から汚染されることがなく無菌・無塵環境を高度に維持することができる。
また、上記請求項3の構成によれば、本発明に係るインキュベータの整流部材は、1枚又は2枚以上の多孔性シートを具備している。この整流部材は、フィルタの培養室側の面に平行に設けられている。このことにより、培養室の内部を流れる空気は、より均質な一方向流として流れることとなる。よって、上記請求項3の構成によれば、上記請求項1又は2と同様の効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記請求項4の構成によれば、本発明に係るインキュベータは、整流部材の多孔性シートとして、表裏を連通する無数の細孔を有するスクリーン紗を採用する。このことにより、培養室の内部を流れる空気は、より均質な一方向流として流れることとなる。よって、上記請求項4の構成によれば、上記請求項3と同様の効果をより一層、具体的に発揮することができる。
また、上記請求項5の構成によれば、本発明に係るインキュベータの整流部材は、多孔性シートに加えスリット板を具備している。このスリット板には、表裏を連通する複数の細溝が並行に設けられている。また、このスリット板は、多孔性シートの培養室側の面に設けられている。このことにより、培養室の内部を流れる空気は、より均質な一方向流として流れることとなる。よって、上記請求項5の構成によれば、上記請求項3と同様の効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記請求項6の構成によれば、本発明に係るインキュベータは、整流部材の多孔性シートとして、表裏を連通する無数の細孔を有するスクリーン紗を採用する。このことにより、培養室の内部を流れる空気は、より均質な一方向流として流れることとなる。よって、上記請求項6の構成によれば、上記請求項5と同様の効果をより一層、具体的に発揮することができる。
また、上記請求項7の構成によれば、加湿手段は、加湿容器内の貯留水の量を検知する貯留水センサと、貯留水が不足した場合に筐体の外部から水を供給する給水手段とを具備している。このことにより、加湿容器に貯留される水の量を一定に維持することができ、筐体の内部を均一に加湿することができる。よって、上記請求項7の構成によれば、上記請求項1〜6と同様の効果をより一層発揮することができる。
また、上記請求項8の構成によれば、加湿容器は、その内部の貯留水の水面を露出する開口面を有している。この開口面は、培養室の外部であって、且つ、筐体の内部に露出する。更に、この開口面の上方には、当該開口面に沿って、培養室の内部を流れる一方向流とは別の他の気流が一方向に流れている。このことにより、加湿容器から蒸発する水の量がより安定する。よって、上記請求項8の構成によれば、上記請求項7と同様の効果をより一層発揮することができる。
また、上記請求項9の構成によれば、加湿容器は、その開口面にバクテリアバリア性を有する透湿性シートが固着されている。このことにより、加湿容器から蒸発する水により筐体の内部及び培養室の内部がバクテリア等により汚染されることがない。よって、上記請求項9の構成によれば、上記請求項8と同様の効果を発揮すると共に、加湿容器から蒸発する水により内部の無菌環境に悪影響を及ぼすことがない。
また、上記請求項10の構成によれば、加湿容器は、透湿性シートの上部に1枚又は2枚以上のバッフル板(51c)を具備している。このバッフル板は、他の気流の流れる方向を透湿性シートの表面に誘導する。このことにより、他の気流の空気が透湿性シートを介して加湿容器の内部に流入し、加湿容器の内部に貯留された水の蒸発を促進すると共に、水蒸気を伴って筐体内に戻り筐体内の加湿を促進することができる。
また、上記請求項11の構成によれば、加湿容器は、透湿性シートとしてフラッシュスパン製造工程にて積層された高密度ポリエチレン極細繊維からなる不織布を採用する。このことにより、加湿容器から蒸発する水の無菌性が確実なものとなる。よって、上記請求項11の構成によれば、上記請求項9又は10と同様の効果をより具体的に発揮することができる。
このように、本発明においては、培養室の内部の温度・湿度を均一に維持することができ、筐体の内部に結露が生じることのないインキュベータを提供することができる。また、本発明においては、被培養物の入ったシャーレの内部を短時間で所定の温度に昇温できるインキュベータを提供することができる。更に、本発明においては、内部の空気圧を外部環境よりも高くして無菌環境を維持すると共に、加湿容器から蒸発する水により内部の無菌環境に悪影響を及ぼすことのないインキュベータを提供することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明に係るインキュベータの一実施形態の内部を側面から見た断面図である。 図1に示すインキュベータの内部を上面から見た断面図である。 図1に示すインキュベータの内部を正面から見た断面図である。 図1に示すインキュベータにおいて、整流部材の他の構成を示す部分断面図である。 図1に示すインキュベータが有する加湿容器を示す斜視図である。 図4の加湿容器から水が蒸発する様子を示す概念図である。 図4の加湿容器の他の構成を示す概念図である。
以下、本発明に係るインキュベータの一実施形態を図面に従って説明する。図1は、本発明に係るインキュベータの一実施形態の内部を側面から見た断面図である。また、図2は、このインキュベータの内部を上面から見た断面図であり、図3は、内部を正面から見た断面図である。図1〜3において、インキュベータ100は、外壁を形成する筐体10、その内部に区画された培養室20、空気を循環する循環手段30、空気を加熱する加温手段40、及び、空気を加湿する加湿手段50から構成されている。
筐体10は、その外壁と内壁をステンレス製金属板で覆われ、外壁と内壁の間には断熱材が充填されて断熱壁となっている。また、筐体10の正面壁部は、開閉可能な断熱扉10aとなっているが、閉鎖時には外部環境とは気密的に遮蔽され内部の無菌環境を維持することができる。また、筐体10の上面壁部10bには、筐体10の内部の熱を放熱する2つのヒートシンク11a、11bが設置されている。
筐体10の上面壁部10b及び底面壁部10cには、筐体10の内部の空気圧を調整するための給気手段12及び排気手段13が設けられている。筐体10の上面壁部10bに設けられた給気手段12は、給気管12aとその管路に設けられた電磁弁12b、ディスクフィルタ12c及び給気ファン12dとからなり、必要により筐体10の外部の空気を筐体10の内部に供給する。
一方、筐体10の底面壁部10cに設けられた排気手段13は、排気管13aとその管路に設けられた電磁弁13b及びディスクフィルタ13cとからなり、必要により筐体10の内部の空気を筐体10の外部に排気する。なお、本実施形態においては、給気手段12及び排気手段13を通じて、筐体10の内部を除染する際の除染ガスの給排気及びエアレーションを行うことができる。なお、筐体10の底面壁部10cには、加湿手段50の給水手段が設けられているが、これについては後述する。
筐体10の背面壁部10dには、筐体10の内部に細胞の培養に必要なCOガスを供給するためのCOガス供給手段14が設けられている。COガス供給手段14は、供給管14aとその管路に設けられた電磁弁14b及びCOガスボンベ(図示せず)とからなり、必要により筐体10の内部にCOガスを供給する。また、筐体10の右側面壁部10eには、筐体10の内部の温度、湿度、COガス濃度を検知する温度センサ15a、湿度センサ15b及びCOガス濃度センサ15cが設けられている。これらのセンサの作用については後述する。
培養室20は、筐体10の内部空間の一部を区画して構成されており、筐体10の内部空間のうち培養室20以外の部分は、上部空間16、下部空間17及び正面空間18及び背面空間19を構成する(図1参照)。具体的には、培養室20は、筐体10の右側面壁部10eと左側面壁部10fの間に設けられた上部隔壁21と下部隔壁22により、筐体10の内部空間の上下方向中央部に区画されている(図3参照)。
このことにより、筐体10の内部空間のうち培養室20の上部側(上部隔壁21と上面壁部10bとの間)が上部空間16を構成する。また、筐体10の内部空間のうち培養室20の下部側(下部隔壁22と底面壁部10cとの間)が下部空間17を構成する。また、筐体10の内部空間のうち培養室20の正面側(上下部隔壁21、22の正面側端部21a、22aと断熱扉10aとの間)が正面空間18を構成する。また、筐体10の内部空間のうち培養室20の背面側(上下部隔壁21、22の背面側端部21b、22bと背面壁部10dとの間)が背面空間19を構成する。
このような内部空間の構成において、培養室20と筐体10の上部空間16とは、上部隔壁21によって隔てられている。また、培養室20と筐体10の下部空間17とは、下部隔壁22によって隔てられている。また、培養室20と筐体10の正面空間18とは、隔壁がなく解放されている。一方、培養室20と筐体10の背面空間19とは、循環手段30(後述する)によって隔てられている。なお、これらの空間を流れる空気の流れについては後述する。
また、培養室20の内部空間には、水平に設置された3枚の棚板23、24、25によって上下3段の空間に隔てられている(図1及び図3参照)。これらの棚板23、24、25の上面には、それぞれ、細胞を培養する培養液を充填したシャーレSが各段に9個ずつ載置されている。
循環手段30は、上述のように、培養室20と筐体10の背面空間19とを隔てるように、培養室20の背面側に設けられている(図1及び図2参照)。この循環手段30は、筐体10と培養室20との間で空気を循環するものであって、循環ファン31とHEPAフィルタ32と整流部材33とを備えている。
循環ファン31は、筐体10の背面空間19のHEPAフィルタ32の後方(背面空間19側)にHEPAフィルタ32と平行に設けられ、この循環ファン31の作用により筐体10の背面空間19の空気がHEPAフィルタ32を介して培養室20の内部に水平方向に流れるように構成されている。なお、循環ファン31の種類については特に限定するものではなく、均一な風力を有するものであればよい。
HEPAフィルタ32は、循環ファン31の前方(培養室20側)にあって、培養室20の背面部と筐体10の背面空間19とを隔てるようにフィルタ面を略垂直方向に向けて設けられ、このHEPAフィルタ32を通過した空気が培養室20の内部に水平方向に流れるように構成されている。本実施形態においては、HEPAフィルタ32は、筐体10の内部の空気を更に清浄にするだけでなく、培養室20の内部に流れる空気を均一化する。なお、このHEPAフィルタ30に代えてULPAフィルタなどを採用するようにしてもよい。
整流板33は、多孔性シートからなり培養室20の背面部にあるHEPAフィルタ32の前方(培養室20側)にHEPAフィルタ32と平行に全面に亘って設けられている。このことにより、HEPAフィルタ32から培養室20の内部に供給される空気は、整流板33の整流作用により培養室20の内部空間を水平方向に流れる一方向流(いわゆる層流)の空気を形成する。なお、本実施形態においては、この整流板33は、ステンレス製金属からなる矩形状の枠体33aと、この枠体の左右両面を覆うように枠体に貼付された2枚のスクリーン紗33bから構成されている。
2枚のスクリーン紗33bは、一般に合成繊維長繊維からなる織物であって、この織物の経糸と緯糸の間隙によって表裏を連通する無数の細孔が形成されている。このことにより、整流板33を通過する空気は、これらの無数の細孔によってその流れを整えられ、培養室20の内部空間を水平方向に向かう安定した一方向流の空気を形成する。
このスクリーン紗33bを形成する合成繊維長繊維は、線径が30〜200μmであることが好ましく、目開きが30〜200μmであることが好ましい。また、スクリーン紗33bの素材は、どのようなものであってもよいが、本実施形態においては、ポリエチレン紗を使用した。
ここで、本実施形態とは異なる整流板33の他の構成について説明する。図4は、図1に示すインキュベータにおいて、整流板33の他の構成を示す部分断面図である。図4において、整流板33は、図1と同様に培養室20の背面部にあるHEPAフィルタ32の前方(培養室20側)にHEPAフィルタ32と平行に全面に亘って設けられている。なお、この整流板33は、ステンレス製金属からなる矩形状の枠体33aと、この枠体の一方の面(HEPAフィルタ32側の面)を覆う1枚のスクリーン紗33bと、枠体の他方の面(培養室20側の面)を覆う1枚のスリット板33cとから構成されている。
スリット板33cには、表裏を連通する複数の細溝が並行に設けられている。図4において、HEPAフィルタ32から培養室20の内部に供給される空気は、整流板33の整流作用により培養室20の内部空間を水平方向に流れる一方向流(いわゆる層流)の空気を形成する。具体的には、HEPAフィルタ32を通過した空気は、まず、スクリーン紗33bを介して整流される。この整流された空気は、更にスリット板33cを介して整流され、各スリットから培養室20の内部空間に一方向流として流出する。
加温手段40は、2本のヒータ41a、41b、上述の温度センサ15a、及び、制御装置(図示せず)により構成されている。2本のヒータ41a、41bは、温度センサ15aによる検知信号により制御装置内のマイクロコンピュータ(図示せず)による制御で設定温度を維持するように作動する。
2本のヒータ41a、41bは、筐体10の背面空間19に設けられている。ヒータ41aは、筐体10の背面空間19の上方で上部空間16と交差する部分に設けられている。一方、ヒータ41bは、筐体10の背面空間19の下方で下部空間17と交差する部分に設けられている。これらのヒータ41a、41bは、筐体10の内部の空気を加熱するものであって、その種類は特に限定するものではない。本実施形態においては、電気ヒータを採用し、中でもロッド状のシーズヒータを採用した。
加湿手段50は、加湿容器51、ロードセル52、給水手段53、上述の湿度センサ15b、及び、制御装置(図示せず)により構成されている。加湿容器51は、筐体10の下部空間17に設けられ、筐体10の底面壁部10cに載置されたロードセル52の上面に載置されている(図1及び図3参照)。ロードセル52は、加湿容器51及びその内部の貯留水の重量を検知する。湿度センサ15bは、筐体10の内部の湿度を検知してモニター(図示せず)に表示する。
給水手段53は、給水源(図示せず)から筐体10の底面壁部10cを介して加湿容器51に至る給水管53aとその管路に設けられた電磁弁53bとからなる。この給水手段53は、加湿容器51内の貯留水が不足したことを検知したロードセル52による検知信号により、制御装置内のマイクロコンピュータ(図示せず)による制御で電磁弁53bを作動する。このことにより、加湿容器51内の貯留水の量を一定に維持することができ、筐体10や培養室20の内部空間を均一に加湿することができる。
図5は、本実施形態に係るインキュベータ100が有する加湿容器を示す斜視図である。図5において、加湿容器51は、加湿容器本体51aと上面シール51bとから構成されている。加湿容器本体51aは、ステンレス製金属板から成形された上面に開口面を有する直方体のトレイからなり、この開口面を覆うように上面枠部51cに上面シール51bが固着されている。本実施形態においては、この上面シール51bとしてデユポン社のタイベック(登録商標)を採用する。このタイベックは、フラッシュスパン製造工程にて積層された高密度ポリエチレン極細繊維(平均直径4ミクロン)からなる不織布であって、透湿防水性に加えバクテリアバリア性を有している。
このことにより、加湿容器51内の貯留水がその水面Wから蒸発する場合に、水蒸気はタイベックが有する微細孔を通して容易に通過することができる。一方、仮に外部から供給された加湿容器51内の水がバクテリア等の微生物によって汚染された場合であっても、微生物はタイベックの微細孔を通過することができず、筐体10や培養室20の内部空間に当該微生物が侵入することがない。よって、筐体10や培養室20の無菌環境に悪影響を及ぼすことが防止できる。
なお、本実施形態においては、上述のように、筐体10の内部にCOガスを供給するCOガス供給手段14を有している。このCOガス供給手段14は、細胞培養の条件として必要な場合にインキュベータに組込むようにすればよい。このCOガス供給手段14は、筐体10の内部のCOガスの濃度が設定値より低下したことを検知したCOガス濃度センサ15cによる検知信号により、制御装置(図示せず)内のマイクロコンピュータ(図示せず)による制御で電磁弁14bを作動する。このことにより、培養室20の内部のCOガス濃度を一定に維持することができ、細胞の培養が順調に進行する。
ここで、上述のように構成した本実施形態に係るインキュベータ100において、作動中における空気の流れ、及び、インキュベータ100の作用を説明する。図1において、筐体10の内部及びその内部に区画された培養室20の内部は、無菌・無塵状態に維持されている。また、給気手段12及び排気手段13を作動させて筐体10の内部の空気圧を外部環境よりも高く維持している。このことにより、筐体10の内部は、GMPに即したグレードAを維持している。
また、培養室20の内部の温度は、37℃±0.5℃に維持されている。培養室20の内部の湿度は、培養液の蒸発による浸透圧の変化をさけるために95%RH以上に維持されている。そのために、加湿容器51内の貯留水の量を一定に維持している。また、培養室20の内部のCOガス濃度は、培養に最適な条件を確保するために必要な濃度に維持されている。
この状態において、循環ファン31が作動すると、筐体10の背面空間19の空気が循環ファン31から放出される。この循環ファン31から放出された空気は、HEPAフィルタ32の前室空間32aで圧力が均一化されHEPAフィルタ32に供給される(図1参照)。次に、HEPAフィルタ32を通過した空気は、整流板33を介して培養室20の内部空間を水平方向(図1の左から右)に向かう一方向流AF1(層流)の空気を形成する。なお、整流板33を介して流れる一方向流AF1の空気の温度、湿度及びCOガス濃度は、正確に設定条件に維持されている。これら各条件の調節については後述する。
ここで、上述のように、筐体10の内部は無菌・無塵状態に維持されている。しかし、更にHEPAフィルタ32によって空気を正常化することにより、培養室20の内部の無菌・無塵状態をより完全に確保することができる。例えば、何らかの事故により筐体10の内部に微生物などの異物が混入した場合であっても、HEPAフィルタ32の作用により培養室20の内部の無菌・無塵状態は確保される。
図1に筐体10の内部及び培養室20の内部を流れる空気の流れを矢印にて記述する。図1において、整流板33を介して放出された空気は、2枚の上下隔壁21、22、及び、3枚の棚板23、24、25によって区画された3つの室をそれぞれ水平方向(図1の左から右)に流れる。この空気の温度、湿度及び流速は一定に維持されている。また、区画された3つの室には、それぞれ、棚板の上に培養液を充填したシャーレSが載置されている(本実施形態においては、各棚板に9個ずつ)。従って、各シャーレSの表面には一定の温度、湿度及びCOガス濃度に調整された一方向流AF1の空気が一定の流速で流れている。更に、培養室20の内部においては、一方向流AF1の空気の温度、湿度及びCOガス濃度を上述の温度センサ15a、湿度センサ15b、及び、COガス濃度センサ15cにより検知する。
ここで、シャーレSは一般にガラス製であり、その熱還流率(K値)は小さくはない。しかし、従来のインキュベータで行われる輻射或いは撹拌による加熱では、シャーレSの内部の培養液の温度を培養条件に昇温するのに非常に長い時間を要していた。これに対して、本実施形態においては、一定温度の一方向流AF1の空気が常時供給されており、シャーレSへの熱量の供給が多くなる。従って、本実施形態においては、シャーレSの見かけの熱還流率(K値)が更に大きくなり、シャーレSの内部の培養液の温度を短時間で培養条件に昇温することができる。よって、本実施形態においては、被培養物の入ったシャーレの内部を短時間で所定の温度に昇温できるインキュベータを提供することができる。
次に、培養室20の内部を流れた一方向流AF1の空気は、筐体10の正面空間18において、その流れる方向を変化させる。図1において、一方向流AF1の空気は、筐体10の断熱扉10aによって進路を変更し、筐体10の正面空間18から上部空間16及び下部空間17の2方向に分かれて流れる。この場合には、層流状態から通常の流れに変化しているものと思われる。
次に、筐体10の上部空間16に流入した空気は、培養室20の上部隔壁21と筐体10の上面壁部10bとの間を培養室20の内部とは逆向きの水平方向(図1の右から左)に流れる。これらの空気は、培養室20の内部を流れる一方向流AF1の空気とは別の一方向に流れる他の気流AF2(必ずしも層流ではない)を形成する。この状態において、培養室20の内部の温度が設定温度より高い場合(上述の温度センサ15aによる検知)には、上面壁部10bに設けられた2つのヒートシンク11a、11bから外部に放熱する。
一方、筐体10の下部空間17に流入した空気は、培養室20の下部隔壁22と筐体10の底面壁部10cとの間を培養室20の内部とは逆向きの水平方向(図1の右から左)に流れる。これらの空気は、培養室20の内部を流れる一方向流AF1の空気とは別の一方向に流れる他の気流AF2(必ずしも層流ではない)を形成する。この状態において、他の気流AF2が加湿手段50の加湿容器51の上面を流れる。
図6は、加湿容器51から水が蒸発する様子を示す概念図である。図6において、加湿容器本体51a内の貯留水は、自然蒸発して水蒸気となり加湿容器51の上面シール51bを透過して放出される。本実施形態においては、他の気流AF2の流れが水蒸気の放出を促し、水蒸気の流れVFが他の気流AF2の流れに沿って筐体10の内部に放出される。このことにより、筐体10の内部及び培養室20の内部の湿度が、95%RH以上に維持される。
ここで、本実施形態とは異なる加湿容器51の他の構成について説明する。図7は、加湿容器51の他の構成を示す概念図である。図7において、加湿容器51は、上面シール51bの上部に4枚のバッフル板51cを具備している。これらのバッフル板51cは、上面シール51bの上部において傾斜して平行に配設されている。各バッフル板51cは、その上部を他の気流AF2の上流方向に、その下部を他の気流AF2の下流方向に向けて傾斜している。
このことにより、加湿容器51の上部を流れる他の気流AF2の一部は、傾斜したバッフル板51cの作用により、上面シール51bの表面に誘導される分岐気流AF3となる。次に、上面シール51bの表面に誘導された分岐気流AF3の空気は、上面シール51bを透過して加湿容器51の内部に流入する。この流入した空気は、加湿容器本体51a内の貯留水の蒸発を促進し、蒸発した水蒸気を伴い再度上面シール51bを透過して他の気流AF2に合流する。このことにより、筐体10や培養室20の内部空間を均一に加湿することができる。
また、上述のように、加湿容器本体51aの開口面にはバクテリアバリア性の上面シール51bが固着されている。従って、仮に貯留水の中に微生物などが混入した場合でも、この上面シール51bを透過することができず、筐体10の内部及び培養室20の内部の無菌・無塵環境に影響を及ぼすことがない。本実施形態においては、上述のHEPAフィルタ32に加え、この上面シール51bにおいても無菌・無塵環境が維持され、二重三重の安全策が講じられている。よって、本実施形態においては、加湿容器から蒸発する水により内部の無菌環境に悪影響を及ぼすことのないインキュベータを提供することができる。
なお、加湿容器51内の貯留水が減少した場合には、上述のように、貯留水が不足したことを検知したロードセル52による検知信号により制御装置内のマイクロコンピュータによる制御で一定の貯水量を維持するように電磁弁53bが作動する。このことにより、加湿容器51内の貯留水の量を一定に維持することができ、筐体10や培養室20の内部空間を均一に加湿することができる。
次に、筐体10の上部空間16及び下部空間17を他の気流AF2となって流れた空気は、筐体10の背面空間19において、再度その流れる方向を変化させ合流する。図1において、筐体10の上部空間16を流れた他の気流AF2の空気は、筐体10の背面壁部10dによって進路を変更し、筐体10の上部空間16から背面空間19に向けて流れる。この状態において、培養室20の内部の温度が設定温度より低い場合(上述の温度センサ15aによる検知)には、筐体10の背面空間19の上方で上部空間16と交差する部分に設けられたヒータ41aで空気を加熱する。具体的には、上述のように、ヒータ41aは、温度センサ15aによる検知信号により制御装置内のマイクロコンピュータによる制御で設定温度を維持するように作動する。
一方、筐体10の下部空間17を流れた他の気流AF2の空気は、筐体10の背面壁部10dによって進路を変更し、筐体10の下部空間17から背面空間19に向けて流れる。この状態において、培養室20の内部の温度が設定温度より低い場合(上述の温度センサ15aによる検知)には、筐体10の背面空間19の下方で下部空間17と交差する部分に設けられたヒータ41bで空気を加熱する。具体的には、上述のように、ヒータ41bは、温度センサ15aによる検知信号により制御装置内のマイクロコンピュータによる制御で設定温度を維持するように作動する。
また、培養室20の内部のCOガス濃度が設定値より低い場合(上述のCOガス濃度センサ15cによる検知)には、筐体10の背面壁部10dに設けられたCOガス供給手段14によりCOガスを筐体10の内部に供給する。具体的には、上述のように、COガス供給手段14は、COガス濃度センサ15cによる検知信号により制御装置内のマイクロコンピュータによる制御で電磁弁14bを作動し、培養室20の内部のCOガス濃度を維持する。
このようにして、筐体10の背面空間19においては、空気の温度、湿度及びCOガス濃度が調整される。この調整され合流した空気は、上述のように、循環ファン31の作動により、HEPAフィルタ32及び整流板33を介して培養室20の内部に供給され、培養室20の内部空間を水平方向(図示左から右)に向かう一方向流AF1(層流)の空気を形成する。
このように、本実施形態においては、筐体10の内部及び培養室20の内部の全ての空間に、一方向流AF1或いは他の気流AF2の空気が常に一定の流速で流れており滞留することがない。よって、本実施形態においては、培養室の内部の温度・湿度を均一に維持することができ、筐体の内部に結露が生じることのないインキュベータを提供することができる。
これまで説明したように、本発明においては、培養室の内部の温度・湿度を均一に維持することができ、筐体の内部に結露が生じることのないインキュベータを提供することができる。また、本発明においては、被培養物の入ったシャーレの内部を短時間で所定の温度に昇温できるインキュベータを提供することができる。更に、本発明においては、内部の空気圧を外部環境よりも高くして無菌環境を維持すると共に、加湿容器から蒸発する水により内部の無菌環境に悪影響を及ぼすことのないインキュベータを提供することができる。
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限らず、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態においては、給気手段、排気手段、COガス供給手段、及び、給水手段の位置をそれぞれ所定の位置に特定するものであるが、これに限るものではなく、筐体内の他の位置に設けるようにしてもよい。
(2)上記実施形態においては、温度センサ、湿度センサ、及び、COガス濃度センサの位置を培養室の中段に設けるものであるが、これに限るものではなく、培養室の他の位置或いは筐体内の他の位置に設けるようにしてもよい。
(3)上記実施形態においては、空気を加熱するヒータを筐体の背面空間に上下2本設けるものであるが、これに限るものではなく、1本或いは3本以上としてもよく、或いは、筐体内の他の位置に設けるようにしてもよい。
(4)上記実施形態においては、培養室の棚段を3段設けるものであるが、これに限るものではなく、2段以下或いは4段以上設けるようにしてもよい。
(5)上記実施形態においては、COガス供給手段を設けて培養室の内部のCOガス濃度を調整するものであるが、これに限るものではなく、培養条件によってはCOガス供給手段を設けなくてもよい。
(6)上記実施形態においては、COガス供給手段を設けて培養室の内部のCOガス濃度を調整するものであるが、これに限るものではなく、培養条件によってはCOガス供給手段に加えて、或いは、COガス供給手段に代えてNガス供給手段を設けて培養室の内部のNガス濃度を調整するものであってもよい。
(7)上記実施形態においては、整流板の多孔性シートとして2枚のスクリーン紗を使用するが、これに限るものではなく、スクリーン紗を1枚としてもよく、或いは、スクリーン紗に代えて連通孔を有する多孔性セラミック板などを使用するようにしてもよい。
(8)上記実施形態においては、加湿手段の貯留水センサとしてロードセルを使用し、加湿容器及び貯留水の重量を検知するものであるが、これに限るものではなく、加湿容器中の水面の位置を検知する水面センサを使用するようにしてもよい。
(9)上記実施形態においては、加湿容器の上面シールとしてフラッシュスパン製造工程にて積層された高密度ポリエチレン極細繊維からなる不織布(タイベック)を使用するものであるが、これに限るものではなく、透湿性とバクテリアバリア性を有する他の素材、例えば、微細孔を有する多孔性セラミック板などを使用するようにしてもよい。
100…インキュベータ、
10…筐体、10a…断熱扉、10b〜10f…壁部、11a、11b…ヒートシンク、
12…給気手段、13…排気手段、14…COガス供給手段、
15a…温度センサ、15b…湿度センサ、15c…COガス濃度センサ、
16…上部空間、17…下部空間、18…正面空間、19…背面空間、
20…培養室、21…上部隔壁、22…下部隔壁、23、24、25…棚板、
30…循環手段、31…循環ファン、32…HEPAフィルタ、33…整流部材、
33a…枠体、33b…スクリーン紗、33c…スリット板、
40…加温手段、41a、41b…ヒータ、
50…加湿手段、51…加湿容器、51a…加湿容器本体、51b…上面シール、
51c…バッフル板、52…ロードセル、53…給水手段、
12a、13a、14a、53a…配管、12b,13b、14b、53b…電磁弁、
12c,13c…ディスクフィルタ、12d…給気ファン、
AF1…一方向流、AF2…他の気流、AF3…分岐気流、VF…水蒸気の流れ、
S…シャーレ、W…水面。

Claims (11)

  1. 断熱扉と断熱壁からなる筐体と、
    前記筐体の内部に区画された培養室と、
    前記培養室の内部に前記筐体の内部の空気を循環させる循環手段と、
    前記筐体の内部の空気を加温するためのヒータを具備した加温手段と、
    前記筐体の内部の空気を加湿するための水を貯留する加湿容器を具備した加湿手段とを有し、
    前記循環手段は、前記筐体の内部の空気を前記培養室に供給する循環ファンと、当該循環ファンから供給される空気を濾過するフィルタと、当該フィルタを通過した空気を整流する整流部材とを備え、
    前記循環ファン、フィルタ及び整流部材を介して前記培養室に供給される空気は、当該培養室の内部を略水平に流れる一方向流の空気を形成することを特徴とするインキュベータ。
  2. 給気手段及び排気手段を有して、前記筐体の内部の空気圧を外部環境よりも高く維持できることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ。
  3. 前記整流部材は、1枚又は2枚以上の多孔性シートを具備し、前記フィルタの前記培養室側の面に平行に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインキュベータ。
  4. 前記多孔性シートは、表裏を連通する無数の細孔を有するスクリーン紗であることを特徴とする請求項3に記載のインキュベータ。
  5. 前記整流部材は、前記多孔性シートの前記培養室側の面に、表裏を連通する複数の細溝を並行に設けたスリット板を具備していることを特徴とする請求項3に記載のインキュベータ。
  6. 前記多孔性シートは、表裏を連通する無数の細孔を有するスクリーン紗であることを特徴とする請求項5に記載のインキュベータ。
  7. 前記加湿手段は、前記加湿容器内の貯留水の量を検知する貯留水センサと、前記加湿容器内の貯留水が不足した場合に前記筐体の外部から水を供給する給水手段とを具備していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のインキュベータ。
  8. 前記加湿容器は、その内部の貯留水の水面を前記培養室の外部であって、且つ、前記筐体の内部に露出する開口面を有し、
    前記開口面の上方に当該開口面に沿って、前記培養室の内部を流れる一方向流とは別の他の気流が一方向に流れることを特徴とする請求項7に記載のインキュベータ。
  9. 前記加湿容器は、前記開口面にバクテリアバリア性を有する透湿性シートが固着されていることを特徴とする請求項8に記載のインキュベータ。
  10. 前記加湿容器は、前記透湿性シートの上部に前記他の気流の流れる方向を前記透湿性シートの表面に誘導する1枚又は2枚以上のバッフル板を具備していることを特徴とする請求項9に記載のインキュベータ。
  11. 前記透湿性シートは、フラッシュスパン製造工程にて積層された高密度ポリエチレン極細繊維からなる不織布であることを特徴とする請求項9又は10に記載のインキュベータ。
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