JP2017066540A - 炭素繊維及び炭素繊維シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、炭素繊維の原料となる有機繊維を含有する炭素繊維シートの製造方法において、不融化工程を省略しても炭素収率の低下を抑制できる炭素繊維及び炭素繊維シートの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】下記の(a)〜(c)の工程を含むことを特徴とする不融化工程を含まない炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。(a)炭素繊維または炭素繊維シートの原料となる非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を有機溶剤に溶解した混合液を調製する工程、(b)上記混合液を紡糸し、繊維または繊維シートを得る工程、(c)上記繊維糸または繊維シートを不活性ガス雰囲気中、500℃〜2600℃の温度にて加熱処理する工程【選択図】 図1

Description

本発明は、触媒に有機スルホン酸を用いた炭素繊維及び炭素繊維シートの製造方法に関する。
炭素繊維は軽量で、強度、導電性、耐熱性、耐薬品性に優れており、スポーツ・レジャー用品から宇宙航空や産業分野用途に至るまで幅広く利用されている。炭素繊維からなる炭素材料がそのまま利用される場合にも、又はそれらの炭素材料に各種樹脂が加工された複合材料として利用される場合にも、炭素材料はシート状で用いられることが多い。
炭素繊維の原料となる有機繊維としては、PAN(ポリアクリロニトリル)系の他、ピッチ系、レーヨンが挙げられるが、得られる炭素繊維の優れた特長から主にPAN系繊維が用いられている。有機繊維から炭素繊維を製造する場合、原料繊維をそのまま炭化すると繊維の溶融により元の繊維の形態が保たれない、熱分解により繊維のほとんどが消失してしまう、あるいは炭素繊維が得られても炭化収率が極めて低くなるといった問題がある。そこで、有機繊維を炭素繊維の原料とする場合には、繊維の溶融や収率低下を抑制する目的で、加熱処理の前に不融化(又は耐炎化ともいう)処理が行われる。
炭素繊維からなるシートの製造方法として、予め不融化(耐炎化)処理した炭素繊維の原料となるポリアクリロニトリル、レーヨン、フェノール系のいずれかの繊維を主成分とする織布又は不織布を、温度が150〜350℃である熱ロールを通過させた後に、800〜3000℃で加熱処理する方法が提案されている(特許文献1)。又、ポリアクリロニトリル繊維とパルプとを主成分とする原料から抄紙して得られたシートに、フェノール樹脂と炭素質粉末とを含有する含浸液を含浸・乾燥し、次いでこの含浸シートの中のフェノール樹脂を硬化した後、空気中で不融化処理(150〜350℃、数十分〜百時間)を施し、次いで不活性ガス雰囲気中、800〜1200℃で加熱処理する方法が提案されている(特許文献2)。炭素繊維からなるシートをいかなる方法で製造する場合にも、炭素繊維の原料となる有機繊維を不融化する工程が必要となる。
特開2004−111341 特開平06−60884
しかしながら、この不融化処理は、炭素繊維シートの製造工程を煩雑にし、エネルギー消費量が大きい為製造コストを増大させる一因にもなっている。
そこで、本発明は、炭素繊維の原料となる有機繊維を含有する炭素繊維シートの製造方法において、不融化工程を省略しても炭素収率の低下を抑制できる炭素繊維及び炭素繊維シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[10]の発明を提供する。
[1] 下記の(a)〜(c)の工程を含むことを特徴とする不融化工程を含まない炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
(a)炭素繊維または炭素繊維シートの原料となる非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を有機溶剤に溶解した混合液を調製する工程
(b)上記混合液を紡糸し、繊維または繊維シートを得る工程
(c)上記繊維または繊維シートを不活性ガス雰囲気中、500℃〜2600℃の温度にて加熱処理する工程
[2] 更に下記の(d)の工程を含むことを特徴とする[1]に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
(d)前記(c)工程で得られた繊維または繊維シートを不活性ガス雰囲気中、2200℃〜3200℃での再加熱処理する工程
[3] 前記炭素繊維または炭素繊維の原料となる非水溶性高分子化合物が、不活性ガス雰囲気中、加熱温度800℃で処理した場合の残炭率が5重量%以上であることを特徴とする[1]〜[2]のいずれかに記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
[4] 前記非水溶性高分子化合物が、ポリアクリロニトリル、エポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ポリイミド、メラミン樹脂であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
[5] 前記有機スルホン酸が、メタンスルホン酸であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
[6] 前記非水溶性高分子化合物に対する有機スルホン酸の比率が0.1wt%〜10.0wt%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
[7] 前記混合液を、エレクトロスピニング法を用いて繊維化する事を特徴とする、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法で製造された炭素繊維を用いることを特徴とする織物。
[9] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法で製造された炭素繊維または炭素繊維シートを用いることを特徴とする複合材料。
[10] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法で製造された炭素繊維または炭素繊維シートを用いることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層。
本発明によれば、炭素繊維の原料となる有機繊維を含有する炭素繊維シートの製造方法において、不融化工程を省略しても炭素収率の低下を抑制できる炭素繊維及び炭素繊維シートの製造方法を提供することができる。
本発明の実施例1の炭素繊維シート表面の電子顕微鏡画像である。 本発明の実施例2の炭素繊維シート表面の電子顕微鏡画像である。 本発明の比較例1の炭素繊維シート表面の電子顕微鏡画像である。
本発明の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法は、非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を含有する溶液を原料として得られる繊維または繊維シートを、不活性ガス雰囲気中、500℃〜2600℃の温度にて加熱処理することを特徴とする。特に、200℃程度の条件下で繊維または繊維シートを不融化する工程を行わないことが本発明の大きな特徴である。なお、得られた炭素繊維を、2200℃〜3200℃での再加熱処理することも可能である。
(炭素繊維の原料となる非水溶性高分子)
本発明における非水溶性高分子化合物は、有機溶剤に可溶かつ水に不溶であり、公知の紡糸方法で繊維化が可能な材料であれば特に限定されず用いる事ができる。例えばポリアクリロニトリル、エポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ポリイミド、メラミン樹脂、セルロースアセテート、レーヨン、ポリメタクリル酸メチル、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリアセタール、等が挙げられ、これら化合物の共重合体でも良い。またこれらを単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
上記の非水溶性高分子化合物の中でも、加熱処理によって炭素繊維を容易に得る事が出来るポリアクリロニトリル、エポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ポリイミド、メラミン樹脂が好ましく、特にポリアクリロニトリルが好適である。
また繊維形成を阻害しない範囲で前記非水溶性高分子化合物を溶解した溶液中に有機・無機材料を混合しても良く、その形態については粒状、繊維状などの固形材料や溶液中で混和する材料などを適宜使用することが出来る。例えば無機化合物を分散した溶液を原料として繊維化する事で、加熱処理後の炭素繊維中に無機化合物を担持させ消臭や抗菌などの機能性を付与する事が可能であり、また溶液中に界面活性剤や導電助剤を添加する事で紡糸工程における繊維形成性を向上させることができる。
(溶媒)
本発明においては前述の非水溶性高分子および有機スルホン酸を有機溶媒に溶解した混合液を作製する。有機溶剤としては前述の非水溶性高分子を溶解できるものであれば特に限定されず、使用する非水溶性高分子に合わせて適宜選択できる。具体的にはエタノール、メタノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコール、エチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ノルマル−ブチル、酢酸ノルマル−プロピル、酢酸メチル、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、アセトニトリル、トルエン、ノルマルヘキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロ酢酸、メチルエチルケトン、アセトン、ブチルアセテート、シクロヘキサン、などが挙げられ、これらを単独で使用しても良く、2種以上混合して用いても良い。
なお、均一な炭素繊維または炭素繊維シートを得るためには、非水溶性高分子、溶剤、有機スルホン酸が均一に混合されることが重要であり、非水溶性高分子、溶剤、有機スルホン酸に着目してそれぞれを選択することが好ましい。後述する有機スルホン酸と混和可能溶剤の溶解パラメーター(SP値)が9.0〜27.0の範囲にある。例えば非水溶性高分子としてポリアクリロニトリルを選択する場合には、有機溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド(SP値=24.8)やN,N−ジメチルアセトアミド(SP値=22.1)などを使用する事で、ポリアクリロニトリルおよび有機スルホン酸が完全に溶解した炭素繊維の原料となる非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を有機溶剤に溶解した混合液(以下、「紡糸溶液」ということがある)を得ることが出来る。
(有機スルホン酸)
本発明において使用する有機スルホン酸としては、炭素骨格にスルホ基(1つであっても複数であってもよい)が結合した有機化合物であればいずれであってもよく、脂肪族系、芳香族系の種々のスルホ基を有する化合物が利用可能であるが、取扱いの観点から低分子であることが好ましい。
有機スルホン酸の具体例として、例えばR−SO3H(式中、Rは炭素原子数1〜20の直鎖/分岐鎖アルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、または、炭素原子数6〜20のアリ−ル基を表し、アルキル基、シクロアルキル基、アリ−ル基はそれぞれアルキル基、水酸基、ハロゲン基で置換されていても良い。)で表される化合物が挙げられる。例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、ビニルスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファ―スルホン酸などが挙げられる。 このうちメタンスルホン酸を選択することが好ましい。また、有機系スルホン酸は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明において、有機スルホン酸を混合することで、不融化処理が不要となる理由は明らかではないが、非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を混合した溶液から紡糸した繊維構造体を加熱処理することにより、水酸基を有する化合物に対しては脱水触媒として作用し、分子内及び分子間における水酸基等の脱水反応を促進し、化合物の耐熱性向上及び脱水反応以外の熱分解反応の抑制に寄与し、その結果炭化収率が向上すると考えられる。PAN系高分子化合物には水酸基がほとんど存在しないか、存在したとしても少ないので、有機スルホン酸による収率向上が主として脱水触媒としての作用に基づくものであるとは考え難い。したがって、PAN系高分子化合物に対しては、有機スルホン酸は脱水反応以外の反応にも関わっていると推測されるが、その詳細については明らかでない。しかしながら水酸基の有無に関わらず、通常の熱分解に伴う炭化水素系のガスの発生が殆ど無く、水溶性高分子化合物中の炭素成分が失われる事を抑制するので最終的に残存する炭素物質の量の低下を防止できる効果が期待できる。
本発明の炭素繊維シートの製造方法において、前記有機系スルホン酸の添加量は非水溶性高分子化合物100重量部に対して0.1wt%〜10.0wt%であることが好ましく、0.1wt%〜5.0wt%がより好ましい。
(繊維および繊維シートの製造:紡糸工程)
本発明における繊維とは1本のフィラメントからなる単糸および複数本の単糸を撚って得られる撚糸を含む。また撚糸の内には短繊維をより合わせて成るスパン糸および、長繊維を撚り合わせて成るフィラメント糸を含む。本発明における繊維を製造する方法は特に限定されず、溶液を原料とする公知の紡糸方法を適宜選択する事ができ、具体的には紡糸金口より溶液を噴出させ熱風にて溶媒を除去する乾式紡糸法および紡糸金口より凝固液中に溶液を導き繊維化する湿式紡糸法を用いる事ができる。得られた繊維にカッティング等の処理を施し任意の長さに切断して用いてもよい。
本発明における繊維シートとは多数の繊維を薄く広い板状に加工したものを言い、織物や編み物、不織布を含む。不織布の製造方法は特に限定されないが、適当な長さに切断された前述の繊維を原料とし乾式法または湿式法などを用いて繊維シートを得る方法や、エレクトロスピニング法などを用いて溶液から直接繊維シートを得る方法が例示できる。さらに不織布を得た後に繊維同士を結合させる目的でレジンボンド、サーマルボンド、スパンレース、ニードルパンチ等による処理を加えてもよい。
特に、サブミクロンオーダーの繊維径を有するエレクトロスピニング法においては、繊維シートを構成する繊維の直径が極端に細いため、熱処理による繊維の断裂や焼失が起こりやすいが、本発明を適用する事で繊維を構成する炭素の残存量を多く保つことができ、結果として熱処理前後で繊維およびシートの形状が保持された炭素繊維シートを製造する事ができる。
エレクトロスピニング法は、周知の手段によって行うことができ、具体的には、紡糸溶液を充填したノズルと基板(コレクターともいう)の間に電圧を印加した状態で、ノズルから紡糸溶液を吐出させて、基板上に繊維を回収する。
ノズルから紡糸溶液を吐出させる基板としては金属板などの電極コレクターをそのまま用いてもよいが、ノズルとコレクターとの間に紙等の非導電性の材料を置いて基板とすることもできる。このような基板としては、特に限定は無く、その形状にも特に限定は無いが、柔軟性を持つシート状であることが好ましい。柔軟性を持つことにより、基板とこの基板上に形成された繊維構造体から成る繊維複合体で、対象を被覆した場合に、この繊維複合体が対象の凹凸に沿って対象に密着することが可能になる。本発明においては、このような基板として、紙、不織布、プラスチックフィルムなどが好適に用いられる。
エレクトロスピニング法を行う条件は、特に限定されず、紡糸溶液の種類や得られるナノファイバーの用途等に応じて適宜調整すればよい。本発明の方法における一般的な条件としては、例えば、印加電圧は5〜30kV、吐出速度は0.01〜1.00mL/分、ノズルと基板の間の垂直距離は100〜200mmとすることができ、ノズルは15〜25Gの径のものを使用することができる。紡糸環境は、特段厳密に制御を行わなくてもよいが、相対湿度10〜50%、温度を10〜25℃とすることが好ましい。
この方法により、直径5nm〜50μmの繊維を得ることができる。また、紡糸条件の設定・調整により、平均長が200〜300nmのナノ繊維を得ることができる。
(炭化処理)
本発明においては、非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を有機溶剤に溶解した混合液から紡糸した繊維または繊維シートを加熱処理(炭素化)する。炭素化は不活性ガス雰囲気中で行う。不活性ガスとしてはアルゴン、窒素等が例示される。
本発明において、非水溶性高分子化合物と有機系スルホン酸の混合水溶液から紡糸した繊維またはシートを不活性ガス雰囲気中、500℃〜2600℃の温度にて加熱処理することが好ましいく、より好ましくは500℃〜1000℃である。この加熱処理条件とすることにより、繊維形態が維持された炭素繊維織物を得ることができる。加熱処理温度が500℃未満であると炭素繊維の炭素含有量が80%以下で炭素化が不十分であり、一方2600℃を超えても炭化状態はもはや殆ど変化しない。また、炭素化処理は連続的に行われても、バッチ状態で行われても良い。
また、非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を有機溶剤に溶解した混合液から紡糸した繊維または繊維シートを不活性ガス雰囲気中、500℃〜2600℃の温度にて加熱処理後に、さらに不活性ガス雰囲気中、2200℃〜3200℃で再加熱処理(グラファイト化工程)することが可能である。再加熱処理温度が2200℃未満であるとグラファイト化(結晶化)の進行が殆ど起こらず、一方3200℃を超えても、もはやグラファイト化の程度は殆ど変わらなくなる。
以下に具体的な炭化方法を記載する。
まず、前記の紡糸行程を経て形成された繊維または繊維シートをその形態を維持した状態で電気炉を用いて窒素又はアルゴン雰囲気下、500℃〜2600℃で加熱処理する。この際、熱処理時間は熱処理温度にもよるが、好ましくは0.5〜1時間である。また、室温から所定熱処理温度までの昇温時間は3〜8℃/分が好ましい。加熱処理工程において管状炉や電気炉等の不活性ガス雰囲気にした高温炉を使用できるが、この場合、不活性ガスの排気管に活性炭素のような吸着材を充填し、スルホン酸から発生する少量の硫黄系のガスの脱硫処理を行うことが好ましい。
再加熱処理工程(グラファイト化工程)として、好ましくは上記工程で熱処理した繊維または繊維シートを、一旦室温まで戻した後、不活性ガス雰囲気中、2200℃〜3200℃の温度で再加熱処理する。これにより、最初の形態が維持された状態でグラファイト化した炭素繊維または炭素繊維からなるシートを得ることができる。本発明において、再加熱処理の際に、繊維の軸方向に張力を加えてに延伸させることによりグラファイト結晶を効率よく配向させることができるため、炭素繊維の強度が向上する。
次に本発明を実施例及び比較例より更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
[実施例1]
(紡糸工程)
容量200mlのガラス製ビーカーにN,N−ジメチルホルムアミド92gを採取し、非水溶性高分子として市販のポリアクリロニトリル(PAN)(アルドリッチ製、試薬)8gを加え、スターラーを用いて常温で24時間撹拌する事でPANを完全に溶解した溶液100gを作製した。該溶液に市販のメタンスルホン酸(和光純薬製)0.08gを加え、スターラーを用いて常温で1時間撹拌する事で紡糸用溶液を作製した。
該紡糸用溶液を、先端に18Gノンベベルシリンジ針を装着した10mlシリンジを用いて5ml採取し、エレクトロスピニング装置(カトーテック製、NEUナノファイバーエレクトロスピニングユニット)を用いて、ノズル―コレクター距離10cm、印加電圧10kV、溶液送り速度15μl/min、ドラム回転速度10rpm条件にて、2時間紡糸することで、繊維シートを作製した。紡糸時における装置内の温度は25℃、湿度は40%RHであった。
(残炭率の測定)
上記の紡糸工程で得られた繊維シートを上記エレクトロスピニング装置のドラムから剥離し、該繊維シート5mgを白金製パンに採取し、熱分析装置(理学電機製、ThermoPlus2 TG−8120)の熱天秤に乗せ、窒素ガス雰囲気下で、20℃/minで800℃まで昇温させる事で加熱処理を行い、加熱処理後の重量を測定した。重量測定後にさらに連続で1300℃まで昇温させ加熱処理を行った後にも重量を測定した。加熱処理前後の重量から以下の式を用いて残炭率を計算した。
残炭率(%) = (加熱処理後の重量(g))/(加熱処理前の重量(g))
結果、加熱処理後の残炭率は800℃で39.4重量%、1300℃で29.4重量%であった。
(炭化工程)
さらに、上記の紡糸工程で得られた繊維シートを縦11cm横9cmにカットした後、該繊維シートの上下を縦11cm横9cm厚さ0.1cmの炭素製プレート2枚を用いて挟み、卓上真空ガス置換炉(デンケン・ハイデンタル製、KDF−75)に入れ、炉内の圧力を500Pa以下まで減圧した後、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下で800℃まで5℃/minで昇温した。800℃で1時間保持した後、炉内で24時間自然冷却させ炭素繊維シートを得た。該炭素繊維シートを炉内から取り出し、電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製 Miniscope TM−1000)で観察したところ、熱処理前の繊維形状を維持しており繊維の断裂は確認されなかった。電子顕微鏡画像を図1に示す。
[実施例2]
メタンスルホン酸の添加量を0.16gとした以外は、実施例1と同様の方法にて繊維シートを作製し、残炭率を測定した。加熱処理後の残炭率は800℃で44.8重量%、1300℃で33.1重量%であった。
さらに実施例1と同様の方法にて炭化工程を経て作製した炭素繊維シートを電子顕微鏡で観察したところ、熱処理前の繊維形状を維持しており、繊維の断裂は確認されなかった。電子顕微鏡画像を図2に示す。
[比較例1]
メタンスルホン酸を加えない以外は、実施例1と同様の方法にて繊維シートを作製し、残炭率を測定した。加熱処理後の残炭率は800℃で36.0重量%、1300℃で24.9重量%であり、実施例と比較して炭素収率が大幅に低下した。
さらに紡糸工程で得られた繊維シートについて、実施例1と同様の方法にて炭化工程を経て作製した炭素繊維シートを電子顕微鏡で観察したところ、熱処理前と比較して繊維が断裂し熱処理前の形状が完全には保持されていない様子が確認された。電子顕微鏡画像を図3に示す。

Claims (10)

  1. 下記の(a)〜(c)の工程を含むことを特徴とする不融化工程を含まない炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
    (a)炭素繊維または炭素繊維シートの原料となる非水溶性高分子化合物と有機スルホン酸を有機溶剤に溶解した混合液を調製する工程
    (b)上記混合液を紡糸し、繊維または繊維シートを得る工程
    (c)上記繊維または繊維シートを不活性ガス雰囲気中、500℃〜2600℃の温度にて加熱処理する工程
  2. 更に下記の(d)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
    (d)前記(c)工程で得られた繊維または繊維シートを不活性ガス雰囲気中、2200℃〜3200℃での再加熱処理する工程
  3. 前記炭素繊維または炭素繊維の原料となる非水溶性高分子化合物が、不活性ガス雰囲気中、加熱温度800℃で処理した場合の残炭率が5重量%以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
  4. 前記非水溶性高分子化合物が、ポリアクリロニトリル、エポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ポリイミド、メラミン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
  5. 前記有機スルホン酸が、メタンスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
  6. 前記非水溶性高分子化合物に対する有機スルホン酸の比率が0.1wt%〜10.0wt%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
  7. 前記混合液を、エレクトロスピニング法を用いて繊維化する事を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭素繊維または炭素繊維シートの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で製造された炭素繊維を用いることを特徴とする織物。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で製造された炭素繊維または炭素繊維シートを用いることを特徴とする複合材料。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で製造された炭素繊維または炭素繊維シートを用いることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層。
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