JP2017066474A - 熱間鍛造部品及び熱間鍛造部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
CI=10x・・・式(2)
PI=500×10−y・・・式(3)
ただし、x=0.1×[Al]−[Si]−[Mn]−5.8×[V]+2.2
y=0.6×[Si]+1.7×[Mn]+46×[P]+66×[S]+22×[V]+1.2×[Al]−1.9
ここで、[Si]、[Mn]、[Al]、[V]、[P]、[S]には前記素材のSi、Mn、Al、V、P、Sの各含有量が質量%で代入される。冷却速度指数CI及びパーライト冷却速度指数PIの単位は℃/秒である。
本発明者らは、適正に組織制御されたパーライトを有する鋼材は、摺動によって大きく加工硬化し、表面硬化処理された材料と同等以上のナノ硬さを示すことを見いだした。
上述のとおり、適量のナノ結晶化層は、摺動面のナノ硬さの向上に寄与する。一方、ナノ結晶化層が厚くなりすぎると、ナノ結晶化層内で割れや剥離が生じやすくなり、かえってナノ硬さが低下する。
熱伝導率の向上には、Si含有量の低減が有効であることが従来から知られている。本発明者らは、他の元素の影響を明らかにするため、中高炭素鋼をベースとして合金元素の添加量を変化させて、その熱伝導率を測定した。結果を図2に示す。図2に示すとおり、C、Siに加えて、Mnも熱伝導率に大きく影響を与える元素であり、Mn含有量の低減によって熱伝導率を向上できることがわかった。したがって、熱伝導率を向上させるためには、Si及びMnの含有量を低くすることが好ましい。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。
パーライトの強度を高くするためには、熱間鍛造後の冷却速度を大きくすればよい。一方、熱間鍛造後の冷却速度が大きすぎると、化学組成によってはマルテンサイト変態又はベイナイト変態が先行し、パーライト分率の高い組織が得られない。したがって、高強度でかつパーライト分率の高い組織を得るためには、適切な化学組成を選択するとともに、化学組成に応じた冷却条件を選択する必要がある。
CI=10x・・・式(2)
PI=500×10−y・・・式(3)
ただし、x=0.1×[Al]−[Si]−[Mn]−5.8×[V]+2.2
y=0.6×[Si]+1.7×[Mn]+46×[P]+66×[S]+22×[V]+1.2×[Al]−1.9
ここで、[Si]、[Mn]、[Al]、[V]、[P]、[S]にはSi、Mn、Al、V、P、Sの各含有量が質量%で代入される。冷却速度指数CI及びパーライト冷却速度指数PIの単位は℃/秒である。
本実施形態による熱間鍛造部品を構成する鋼材は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
炭素(C)は、パーライト組織を得るために必要な元素である。C含有量が0.35%未満では、パーライト分率の高い組織が得られない。一方、C含有量が0.6%を超えると、鋼の被削性が低下する。したがって、C含有量は0.35〜0.6%である。C含有量の下限は、好ましくは0.4%であり、さらに好ましくは0.5%である。C含有量の上限は、好ましくは0.58%である。
シリコン(Si)は、パーライト組織を得るために必要な元素である。Siはまた、パーライト内のフェライトに固溶してパーライトを強化する。Si含有量が0.1%未満では、パーライト分率の高い組織が得られない。一方、Siはセメンタイトの固溶を抑制し、パーライトの加工硬化性を低下させる。Siはまた、鋼の熱伝導率を低下させる。そのため、Si含有量が1.2%以上になると、十分な耐焼付き性が得られない。したがって、Si含有量は0.1%以上1.2%未満である。Si含有量の下限は、好ましくは0.2%である。Si含有量の上限は、好ましくは1.0%であり、さらに好ましくは0.9%である。
マンガン(Mn)は、パーライト組織を得るために必要な元素である。Mn含有量が0.1%未満では、パーライト分率の高い組織が得られない。一方、Mnはセメンタイトの固溶を抑制し、パーライトの加工硬化性を低下させる。Mnはまた、鋼の熱伝導率を低下させる。そのため、Mn含有量が1.2%以上になると、十分な耐焼付き性が得られない。したがって、Mn含有量は0.1%以上1.2%未満である。Mn含有量の下限は、好ましくは0.2%である。Mn含有量の上限は、好ましくは1.1%であり、さらに好ましくは1.0%である。
リン(P)は、パーライト内のフェライトに固溶してパーライトを強化する。Pはまた、パーライトの加工硬化性を向上させる。P含有量が0.02%以下では、これらの効果が得られない。一方、P含有量が0.05%を超えると、過剰なPが粒界に偏析して、鋼の疲労強度が低下する。したがって、P含有量は0.02%を超え0.05%以下である。P含有量の下限は、好ましくは0.022%である。P含有量の上限は、好ましくは0.045%であり、さらに好ましくは0.04%である。
硫黄(S)は、不純物として鋼中に含有される。また、Sは、積極的に含有させると、硫化物系介在物を形成し、鋼の被削性を向上させる。一方、S含有量が0.06%を超えると、熱間加工性が低下する。したがって、S含有量は0.06%以下である。被削性の向上効果を得るためには、S含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。S含有量の上限は、好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.04%である。
アルミニウム(Al)は、鋼を脱酸する。Alはさらに、ナノ結晶化層の過度の発達を抑制する。Al含有量が0.05%以下では、これらの効果が十分に得られない。一方、Al含有量が0.8%を超えると、オーステナイトとフェライトとの熱力学的相安定性が変化することにより、パーライトのラメラ間隔が大きくなり、パーライトの強度が低下する。したがって、Al含有量は0.05%を超え0.8%以下である。Al含有量の下限は、好ましくは0.055%である。Al含有量の上限は、好ましくは0.7%であり、さらに好ましくは0.6%である。
窒素(N)は、鋼の強度を高める。N含有量が0.001%未満では、この効果が十分に得られない。一方、N含有量が0.02%を超えると、鋼の靱性が低下する。したがって、N含有量は0.001〜0.02%である。N含有量の下限は、好ましくは0.0015%であり、さらに好ましくは0.002%である。N含有量の上限は、好ましくは0.015%である。
本実施形態による熱間鍛造部品を構成する鋼材の化学組成は、Feの一部に代えて、バナジウム(V)を含有してもよい。Vは、鋼の強度を高める。Vはさらに、ナノ結晶化層の過度の発達を抑制する。一方、V含有量が0.2%を超えると、鋼の被削性が低下する。したがって、V含有量は0〜0.2%である。V含有量が0.05%以上であれば、上記の効果が顕著に得られる。V含有量の下限は、さらに好ましくは0.08%である。V含有量の上限は、好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.12%である。
本実施形態による熱間鍛造部品を構成する鋼材の化学組成は、下記の式(1)を満たす。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。
本実施形態による熱間鍛造部品を構成する鋼材は、面積率で90%以上のパーライトを含む組織を有する。パーライトは、摺動によって大きく加工硬化する。鋼材にマルテンサイトやベイナイト等の硬質な組織が含まれていると、パーライトの塑性変形が阻害され、加工硬化性が低下する。また、初析フェライトが多いと、強度が不足する。パーライトの面積率は、好ましくは95%以上である。
lav=0.5×(L/n)・・・(A)
以下、本実施形態による熱間鍛造部品の製造方法の一例を説明する。本実施形態による熱間鍛造部品の製造方法は、これに限定されない。
CI=10x・・・式(2)
PI=500×10−y・・・式(3)
ただし、x=0.1×[Al]−[Si]−[Mn]−5.8×[V]+2.2
y=0.6×[Si]+1.7×[Mn]+46×[P]+66×[S]+22×[V]+1.2×[Al]−1.9
ここで、[Al]、[Si]、[Mn]、[V]、[P]、[S]には素材のAl、Si、Mn、V、P、Sの各含有量が質量%で代入される。冷却速度指数CIの単位は℃/秒である。
長時間摺動後のナノ硬さを評価するため、以下に説明するように、各供試材に対して摩耗試験を実施し、摩耗試験後のナノ硬さを測定した。
Claims (3)
- 化学組成が、質量%で、
C :0.35〜0.6%、
Si:0.1%以上1.2%未満、
Mn:0.1%以上1.2%未満、
P :0.02%を超え0.05%以下、
S :0.06%以下、
Al:0.05%を超え0.8%以下、
N :0.001〜0.02%、
V :0〜0.2%、
残部:Fe及び不純物であり、
前記化学組成が、下記の式(1)を満たし、
面積率で90%以上のパーライトを含む組織を有し、
前記パーライトの平均ラメラ間隔が35nmを超え100nm以下である、鋼材からなる熱間鍛造部品。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。 - 請求項1に記載の熱間鍛造部品であって、
前記化学組成が、質量%で、
V :0.05〜0.2%、
を含有する熱間鍛造部品。 - 化学組成が、質量%で、C:0.35〜0.6%、Si:0.1%以上1.2%未満、Mn:0.1%以上1.2%未満、P:0.02%を超え0.05%以下、S:0.06%以下、Al:0.05%を超え0.8%以下、N:0.001〜0.02%、V:0〜0.2%、残部:Fe及び不純物である素材を準備する工程と、
前記素材を1000〜1250℃に加熱する工程と、
前記加熱された素材を熱間鍛造する工程と、
前記熱間鍛造された素材を冷却する工程とを備え、
前記化学組成が、下記の式(1)を満たし、
前記冷却する工程において、900℃から400℃までの平均冷却速度を、下記の式(2)で定義される冷却速度指数CI以下にし、かつ、下記の式(3)で定義されるパーライト冷却速度指数PIよりも大きくする、熱間鍛造部品の製造方法。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
CI=10x・・・式(2)
PI=500×10−y・・・式(3)
ただし、x=0.1×[Al]−[Si]−[Mn]−5.8×[V]+2.2
y=0.6×[Si]+1.7×[Mn]+46×[P]+66×[S]+22×[V]+1.2×[Al]−1.9
ここで、[Si]、[Mn]、[Al]、[V]、[P]、[S]には前記素材のSi、Mn、Al、V、P、Sの各含有量が質量%で代入される。冷却速度指数CI及びパーライト冷却速度指数PIの単位は℃/秒である。
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JPH11315348A (ja) * | 1998-04-30 | 1999-11-16 | Kobe Steel Ltd | 耐遅れ破壊性に優れた高強度線材およびその製造方法並びに高強度ボルト |
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WO2014178099A1 (ja) * | 2013-04-30 | 2014-11-06 | 新日鐵住金株式会社 | 非調質鋼材 |
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2015
- 2015-09-30 JP JP2015192584A patent/JP6690173B2/ja active Active
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