JP2017066427A - 成膜装置 - Google Patents

成膜装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017066427A
JP2017066427A JP2015189421A JP2015189421A JP2017066427A JP 2017066427 A JP2017066427 A JP 2017066427A JP 2015189421 A JP2015189421 A JP 2015189421A JP 2015189421 A JP2015189421 A JP 2015189421A JP 2017066427 A JP2017066427 A JP 2017066427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
unit
film
film forming
color
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015189421A
Other languages
English (en)
Inventor
正信 岩島
Masanobu Iwashima
正信 岩島
正剛 松葉
Masatake Matsuba
正剛 松葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Screen Holdings Co Ltd
Original Assignee
Screen Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Screen Holdings Co Ltd filed Critical Screen Holdings Co Ltd
Priority to JP2015189421A priority Critical patent/JP2017066427A/ja
Publication of JP2017066427A publication Critical patent/JP2017066427A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】操作者の負担を増大させず目標とする膜色の成膜処理を実行可能な技術を提供する。
【解決手段】成膜装置は、成膜処理が実行されて処理チャンバーから搬出された基材の膜の色を測定する測色部と、測色部からの測定結果を基に測色された基材よりも後続の基材についての処理条件を補正する補正部と、を備える。このように、成膜装置が測色部および補正部を備える態様では、操作者の負担を増大させずに目標とする膜色の成膜処理を実行可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、搬送される基材の表面に膜を成膜する成膜装置に関する。
基材の表面に膜を成膜する際の成膜条件を調整することにより、得られる膜の色を調整する技術が知られている。この種の技術として、例えば、特許文献1および特許文献2には、乾式めっき法で赤味を帯びた金合金被膜を得る技術が開示されている。
再表2008−108818号公報 特開2003−82452号公報
この種の技術では、まず、理論的な計算や試行錯誤により、目標とする色の膜を成膜するための成膜処理条件が求められる。その後、この成膜処理条件で、連続して搬送される複数の基材に順次に成膜処理を実行することにより、複数の基材について効率よく目標とする色の成膜を行うことができる。
しかしながら、連続搬送される複数の基材に対して順次に成膜処理を行う場合、成膜開始から数枚の基材については目標とする色の膜が得られるが、成膜開始からある程度の時間が経過した以降の各基材については目標とする色とは異なる色の膜しか得られなくなることがある。
このような現象は、連続して成膜処理を行う過程で処理チャンバー内の環境が変化することによって生じる。この環境変化としては、処理チャンバー内の各部(例えば、処理チャンバー内のガス比率を検出するセンサ)に意図せず膜付けが行われること等が挙げられる。
また、装置の操作者が得られた膜の色を測色計などで測定することにより、上記環境変化を把握することができるが、このような手法は操作者の手間を増大させることになり膜付きの基材を量産する場合には向かない。
そこで、本発明は、操作者の負担を増大させず目標とする膜色の成膜処理を実行可能な技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる成膜装置は、搬送される基材の表面に膜を成膜する成膜装置であって、その内部に処理空間を有する処理チャンバーと、前記処理チャンバー内を通過して前記基材を保持しつつ搬送する搬送部と、前記処理空間にガスを供給するガス供給部と、前記処理チャンバー内の気体を排出する排気部と、前記搬送部に保持された前記基材の前記表面に成膜処理を実行する成膜処理部と、前記成膜処理が実行されて前記処理チャンバーから搬出された前記基材の前記膜の色を測定する測色部と、前記測色部からの測定結果を基に、測色された基材よりも後続の基材についての成膜処理条件を補正する補正部と、を備える。
本発明の第2の態様にかかる成膜装置は、本発明の第1の態様にかかる成膜装置であって、前記測色部を移動させる移動部、をさらに備え、前記搬送部による前記基材の搬送と前記移動部による前記測色部の移動とが同期されて前記基材と前記測色部とが相対的に静止された状態で、前記測色部が前記膜の色を測定することを特徴とする。
本発明の第3の態様にかかる成膜装置は、本発明の第2の態様にかかる成膜装置であって、前記測色部は測定対象箇所にその一部を接触させて測定する接触型の測定器であり、前記移動部によって前記測色部が前記膜に近づけられ前記測色部の前記一部が前記膜に押し当てられた際に、その接触状態を保ちつつ前記測色部を押し当て方向の反対方向に逃がす逃げ機構、をさらに備えることを特徴とする。
本発明の第4の態様にかかる成膜装置は、本発明の第1の態様ないし第3の態様のいずれかにかかる成膜装置であって、前記測色部は、前記基材の表面に平行な面内で前記基材の搬送方向と直交する幅方向に沿って複数の箇所で前記膜の色を測定可能であることを特徴とする。
本発明の第5の態様にかかる成膜装置は、本発明の第4の態様にかかる成膜装置であって、前記ガス供給部は、前記幅方向に沿って設けられ前記処理空間の内部に開口した複数のガス供給口を有し、前記補正部は、前記測色部による前記幅方向での測定結果を基に、前記複数のガス供給口からの各ガス供給量を補正することを特徴とする。
本発明の第6の態様にかかる成膜装置は、本発明の第4の態様または第5の態様にかかる成膜装置であって、前記成膜処理部は、前記処理空間の内部で前記幅方向に沿って設けられた複数のプラズマ生成部を有し、前記補正部は、前記測色部による前記幅方向での測定結果を基に、前記複数のプラズマ生成部に対する各電力供給量を補正することを特徴とする。
本発明の第1の態様ないし第6の態様にかかる成膜装置は、成膜処理が実行されて処理チャンバーから搬出された基材の膜の色を測定する測色部と、測色部からの測定結果を基に測色された基材よりも後続の基材についての処理条件を補正する補正部と、を備える。このように、成膜装置が測色部および補正部を備える態様では、操作者の負担を増大させずに目標とする膜色の成膜処理を実行可能である。
スパッタリング装置の概略構成を模式的に示す断面模式図である。 スパッター処理部およびその周辺を示す断面模式図である。 誘導結合アンテナの例を示す側面図である。 スパッター処理部およびその周辺を示す斜視図である。 測色ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。 測定処理におけるタイミングチャートである。 測定処理における基材と測色ユニットとの動作を説明する模式的な側面図である。 測定処理における基材と測色ユニットとの動作を説明する模式的な側面図である。 測定処理における基材と測色ユニットとの動作を説明する模式的な側面図である。 測定処理における基材と測色ユニットとの動作を説明する模式的な側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、重複説明が省略される。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、図面においては、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、図面には、方向を説明するためにXYZ直交座標軸がふされる場合がある。座標軸における+Z方向は鉛直上方向であり、XY平面は水平面である。
<1 実施形態>
<1.1 スパッタリング装置1の構成>
図1は、スパッタリング装置1の概略構成を模式的に示す断面模式図である。図2は、スパッター処理部50およびその周辺を示す断面模式図である。図3は、誘導結合アンテナ151の例を示す側面図である。図4は、スパッター処理部50およびその周辺を示す斜視図である。図5は、測色ユニット200の構成を模式的に示す斜視図である。
スパッタリング装置1は、搬送される基材91の上面に窒化チタン膜をスパッター成膜する装置である。基材91は、例えば、SUS板などにより構成される。また、基材91に対して成膜処理が行われて得られる積層体は、例えば、インテリアまたはエクステリアにおける装飾材料として用いられる。
スパッタリング装置1は、前室99と、処理室100(処理チャンバー)と、後室101と、基材91を搬送する搬送部30と、スパッタリング装置1の各部を統括制御する制御部190とを備える。前室99、処理室100、および、後室101は、直方体形状の外形を呈する中空部材であり、その底板および天板が水平姿勢となるように基材91の搬送方向(X方向)に沿って連結されている。また、X軸およびY軸の各々は、前室99、処理室100、および、後室101の側壁と平行な軸である。
処理室100には、搬送される基材91の上面にスパッターにより成膜処理を実行するスパッター処理部50が設けられる。また、処理室100には、さらに、スパッター処理部50の周囲を取り囲むように配置された筒状の遮蔽部材であるチムニー60が設けられる。チムニー60は、スパッター処理部50にて発生するプラズマの範囲やターゲットからスパッタされたスパッタ粒子の飛散範囲を制限するシールドとしての機能と、チムニー内部の雰囲気を外部と遮断する雰囲気遮断機能と、を有する。以下では、処理室100の内部空間のうち、チムニー60の内側でありスパッター処理が実行される空間を処理空間Vと呼ぶ。
処理室100内には、水平な搬送経路面Lがチムニー60の下方に規定されている。搬送経路面Lの延在方向はX軸方向であり、基材91はX軸方向に沿って搬送される。
また、スパッタリング装置1は、処理室100内を搬送される基材91を加熱する板状の加熱部40を備える。加熱部40は、例えば、搬送経路面Lの下側に配置されたシースヒータによって構成される。
処理室100の−X側(搬送方向の上流側)には前室99が連結されており、前室99と処理室100との間には基材91を前室99から処理室100へと搬送するためのゲート160が設けられる。また、前室99の−X側(搬送方向の上流側)には基材91を前室99の外部から前室99へと搬送するためのゲート159が設けられる。
他方、処理室100の+X側(搬送方向の下流側)には後室101が連結されており、処理室100と後室101との間には基材91を処理室100から後室101へと搬送するためのゲート161が設けられる。また、後室101の+X側(搬送方向の下流側)には基材91を後室101からから後室101の外部へと搬送するためのゲート162が設けられる。各ゲート159〜162は、開閉の切替可能に構成される。
前室99、処理室100、後室101には、それぞれ各室内の気体を排気する排気部169、170、171が接続されている。各排気部169、170、171は、例えば、それぞれ図示省略の真空ポンプと、排気配管と、排気バルブと備える。排気配管は、一端が真空ポンプに接続され、他端が各室の内部空間に連通接続される。また、排気バルブは、排気配管の経路途中に設けられる。排気バルブは、具体的には、排気配管を流れるガスの流量を自動調整できるバルブである。この構成において、真空ポンプが作動された状態で、排気バルブが開放されると、各室内の気体が排気され、各室内が真空状態とされる。制御部190が排気部169、170、171による排気を制御することで、前室99、処理室100、後室101内の圧力が特定の値に調整される。
搬送部30は、Y方向において搬送経路面Lを挟んで対向配置された搬送ローラ31の複数の対と、これらを同期させて回転駆動する駆動部(図示省略)とを含んで構成される。搬送ローラ31は、搬送経路面Lの延在方向であるX方向に沿って複数対設けられる。なお、図1では、14対の搬送ローラ31の図示手前側(−Y側)に位置する14個のローラが描かれている。
キャリア90は板状のトレーなどによって構成され、基材91はキャリア90の略水平な上面に着脱可能に保持される。なお、キャリア90における基材91の保持態様は、真空吸着方式により基材91を保持する態様やチャックピン等で機構的に基材91を把持する態様など種々の態様を採用しうる。
各搬送ローラ31が、基材91が配設されたキャリア90±Y側の端縁付近に下方から当接する。そして、駆動部(図示省略)によって各搬送ローラ31が同期回転されることによって、キャリア90およびキャリア90に保持される基材91が搬送経路面Lに沿って搬送される。本実施形態では、各搬送ローラ31が時計回りおよび反時計回りの双方に回転可能であり、キャリア90およびキャリア90に保持される基材91が双方向(±X方向)に搬送される態様について説明する。搬送経路面Lは、スパッター処理部50(成膜処理部)に対向した被成膜箇所Pを含む。このため、搬送部30によって搬送される基材91の上面のうち被成膜箇所Pに配される箇所に成膜処理が行われる。
また、後室101よりも+X側には、成膜処理が実行されて処理室100から搬出された基材91の膜の色を測定する測色ユニット200が設けられる。
測色ユニット200は、YZ面に沿って設けられた第1板状部材201と、第1板状部材201の+X側に設けられY方向に間隔をあけてZ方向に沿う2つのリニアレール202と、YZ面に沿って設けられ2つのリニアレール202に沿って上下に移動可能な第2板状部材203と、第2板状部材203の+X側に設けられY方向に間隔をあけてZ方向に沿う2つのリニアレール204と、2つのリニアレール204に沿って上下に移動可能な連結部205と、Y方向に間隔をあけて連結部205に固定保持される3つの測色部206と、を備える。なお、図1および後述する図7〜図10では、3つの測色部206のうち図示手前側(−Y側)の測色部206のみが描かれている。
各測色部206は、例えば、光源(図示省略)と、光源から出射された出射光を測色部の外部へと通過させる窓部207と、出射光が窓部207の外側で反射して窓部207の内側に進行する反射光を分光して検出する分光検出部(図示省略)と、を有する。より具体的には、各測色部206は、測定対象箇所にその窓部207を接触させて測定する接触型の測定器である。
本実施形態では搬送される基材91の上面に成膜処理が行われるため、各測色部206はその下端が同じ高さとなるように各窓部207を下向きにして搬送経路面Lよりも上方に配される。
スパッタリング装置1では、さらに、測色ユニット200をZ方向およびX方向に沿って移動させる移動部209が設けられる。移動部209は、図示しないZ方向駆動機構(例えば、モータ、ボールネジ等を含む機構)によって、第2板状部材203を2つのリニアレール202に沿って昇降させる。これにより、測色ユニット200がZ方向に沿って昇降される。また、移動部209は、図示しないX方向駆動機構(例えば、モータ、ボールネジ等を含む機構)によって、測色ユニット200をX方向に沿って移動させる。測色ユニット200の移動態様については、後述する<1.2 処理例>において詳述する。
制御部190は、測色部206とシリアル通信で接続されており、測色部206からの測定結果をリアルタイムで収集することが可能である。制御部190は、この測定結果を基に測色された基材91よりも後続の基材91についての成膜処理条件を補正する補正部としての機能を有する。
スパッタリング装置1は、処理空間Vに不活性ガスであるアルゴンガスなどのスパッターガスを供給するスパッターガス供給部510と、処理空間Vに窒素ガスなどの反応性ガスを供給する反応性ガス供給部520とを備える。したがって、スパッターガス供給部510および反応性ガス供給部520の双方がガスを供給した場合には、まず処理空間V内にスパッターガスと反応性ガスとの混合雰囲気が形成され、時間経過とともに処理室100の内部空間全体にもこの混合雰囲気が形成される。
スパッターガス供給部510は、具体的には、例えば、スパッターガスの供給源であるスパッターガス供給源511と、配管512とを備える。配管512は、一端がスパッターガス供給源511と接続され、他端が処理空間Vと連通する各ノズル514に接続される。また、配管512の経路途中には、バルブ513が設けられる。バルブ513は、制御部190の制御下で処理空間Vに供給されるスパッターガスの量を調整する。バルブ513は、配管を流れるガスの流量を自動調整できるバルブであることが好ましく、具体的には、例えば、マスフローコントローラ等を含んで構成することが好ましい。
各ノズル514は、回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151の±X側に設けられ、処理室100の天板を貫通して下側に向けて開口している。このため、スパッターガス供給源511から供給されたスパッターガスは、各ノズル514から処理空間Vに導入される。
反応性ガス供給部520は、具体的には、例えば、反応性ガスの供給源である反応性ガス供給源521と、配管522とを備える。配管522は、一端が反応性ガス供給源521と接続され、他端が複数(図4の例では、6つ)に分岐して処理空間Vに設けられた複数のノズル12(図4の例では、+X側と−X側とにそれぞれ3つずつ計6つのノズル12)に接続される。配管522の経路途中には、バルブ523が設けられる。バルブ523は、制御部190の制御下で処理空間Vに供給される反応性ガスの量を調整する。
各ノズル12は、処理空間Vのうち下方の領域においてY方向に延在するように設けられている。配管522の各他端は、各ノズル12のX方向両端面のうち外側の各端面と接続されている。各ノズル12には、当該各端面に開口して配管522の他端と接続されるとともにノズル内部で複数に分岐する各流路が形成されている。各流路の先端はノズル12のX方向両端面のうち内側の各端面に達して開口し、この各端面には複数の吐出口11が形成される。
+X側の各ノズル12の上方には、光ファイバーのプローブ13が設けられる。また、プローブ13に入射するプラズマ発光の分光強度を測定可能な分光器14が設けられている。分光器14は制御部190と電気的に接続されており、分光器14の測定値は制御部190に供給される。制御部190は、分光器14の出力に基づいて、プラズマエミッションモニター(PEM)法によりバルブ523を制御することで、反応性ガス供給部520から処理室100内に供給される反応性ガスの導入量を制御する。バルブ523は、配管を流れるガスの流量を自動調整できるバルブであることが好ましく、例えば、マスフローコントローラ等を含んで構成することが好ましい。
また、スパッタリング装置1は、前室99に不活性ガスである窒素ガスを供給する窒素ガス供給部530と、後室101に不活性ガスである窒素ガスを供給する窒素ガス供給部540とを備える。
窒素ガス供給部530は、具体的には、例えば、窒素ガスの供給源である窒素ガス供給源531と、配管532とを備える。配管532は、一端が窒素ガス供給源531と接続され、他端が前室99内の空間と連通する各ノズルに接続される。また、配管532の経路途中には、バルブ533が設けられる。バルブ533は、制御部190の制御下で前室99内の空間に供給される窒素ガスの量を調整する。バルブ533は、配管を流れるガスの流量を自動調整できるバルブであることが好ましく、具体的には、例えば、マスフローコントローラ等を含んで構成してもよい。各ノズルは、前室99の天板を貫通して下側に向けて開口している。このため、窒素ガス供給源531から供給された窒素ガスは、各ノズルから前室99内の空間に導入される。窒素ガス供給部540も、窒素ガス供給部530と同様の構成であり、窒素ガス供給源541と、配管542と、バルブ543と、後室101の天板を貫通して下側に向けて開口する各ノズルと、を備える。なお、前室99および後室101にガスを供給する態様としては、本実施形態のように窒素ガスを供給する態様の他に、ドライエアーを供給する態様であっても構わない。
スパッター処理部50は、2つの回転カソード5、6と、2つの回転カソード5、6をそれぞれの中心軸線回りに回転させる2つの回転部19と、2つの回転カソード5、6の内部にそれぞれ収容される2つの磁石ユニット21、22と、2つの回転カソード5、6にそれぞれスパッター電力を供給するスパッター用電源163と、を備える。
回転カソード5、6は、処理空間VにおいてX方向に一定距離を隔てて対向配置されて、カソード対として構成される。このように回転カソード5、6が並設されることにより、基材91上の被成膜箇所Pにラジカルがより集中し、スパッター処理により得られる膜の膜質が向上しうる。
スパッター処理部50は、回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151と、整合回路154と、整合回路154を介して各誘導結合アンテナ151に高周波電力を供給する高周波電源153とをさらに備える。
ここで、1列の誘導結合アンテナ151(プラズマ生成部)とは、Y方向に沿って間隔をあけて設けられた5つの誘導結合アンテナ151のことを意味する。
このため、高周波電源153が各誘導結合アンテナ151に高周波電力(例えば、周波数13.56MHzの電力)を供給することにより、チムニー60の内部に設けられた各誘導結合アンテナ151が処理空間V内に誘導結合プラズマを生成する。
各誘導結合アンテナ151は、石英硝子などからなる誘電体の保護部材152によって覆われて、処理室100の天板を貫通して処理室100の内部空間に突出して設けられる。
各誘導結合アンテナ151は、例えば、図3に示されるように、金属製のパイプ状導体をU字形に曲げたものであり、「U」の字の状態で処理室100の天板を貫通して処理室100の内部空間に突設されている。誘導結合アンテナ151は、内部に冷却水を循環させるなどして、適宜、冷却されている。
各誘導結合アンテナ151の一端は、整合回路154を介して、高周波電源153に電気的に接続されている。また、各誘導結合アンテナ151の他端は接地されている。この構成において、高周波電源153から誘導結合アンテナ151に高周波電力が供給されると、誘導結合アンテナ151の周囲に高周波誘導磁界が生じ、処理室100の内部空間に誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)が発生する。この誘導結合プラズマは、電子の空間密度が3×1010個/cm以上の高密度プラズマである。
また、本実施形態のようにU字形状の誘導結合アンテナ151は、巻数が一周未満の誘導結合アンテナに相当し、巻数が一周以上の誘導結合アンテナよりもインダクタンスが低い。このため、誘導結合アンテナ151の両端に発生する高周波電圧が低減され、生成するプラズマへの静電結合に伴うプラズマ電位の高周波揺動が抑制される。このため、対地電位へのプラズマ電位揺動に伴う過剰な電子損失が低減され、プラズマ電位が特に低く抑えられる。これにより、基材91上へのダメージを低減することが可能となる。
磁石ユニット21(22)は、回転カソード5(6)の外周面のうち自身の近傍で磁界(静磁場)を形成する。回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151は、処理空間Vのうち磁石ユニット21、22によって磁界が形成されている部分を含む空間に誘導結合プラズマを発生する。
回転カソード5(6)は、水平面内において搬送方向に垂直なY方向に延設された筒状のベース部材8と、ベース部材8の外周を被覆する筒状のターゲット16とを備えて構成されている。ベース部材8は導電体であり、ターゲット16の材料としては窒化チタン成膜用のチタン(Ti)を含む材料が用いられる。なお、回転カソード5(6)がベース部材8を含まず、円筒状のターゲット16によって構成されてもよい。ターゲット16の形成は、例えば、ターゲット材料の粉末を圧縮成型して筒状に形成し、その後、ベース部材8を挿入する手法などによって行われる。
本明細書では、並設される回転カソード5、6およびそれぞれの内部に配される磁石ユニット21、22を一体的に表現する場合には、マグネトロンカソード対と呼ぶ。
各ベース部材8の中心軸線2(3)方向の両端部は、中央部に円状の開口が設けられた蓋部によってそれぞれ塞がれている。回転カソード5(6)の中心軸線2(3)方向の長さは、例えば、1,400mmに設定され、直径は、例えば、150mmに設定される。
スパッター処理部50は、2対のシール軸受9、10と、2つの円筒状の支持棒7とをさらに備えている。シール軸受9、10の各対は、回転カソード5(6)の長手方向(Y方向)において回転カソード5(6)を挟んで設けられている。シール軸受9、10は、それぞれ、処理室100の天板の下面から立設された台部と、台部の下部に設けられた略円筒状の円筒部とを備えている。
各支持棒7の一端はシール軸受9の円筒部に軸受けされ、他端はシール軸受10の円筒部に軸受けされている。各支持棒7は、ベース部材8の一端の蓋部の開口から回転カソード5(6)内に挿入されて、回転カソード5(6)を中心軸線2(3)に沿って貫通し、ベース部材8の他端の蓋部の開口から回転カソード5(6)外に出されている。
磁石ユニット21(22)は、透磁鋼などの磁性材料により形成されたヨーク25(支持板)と、ヨーク25上に設けられた複数の磁石(後述する中央磁石23a、周辺磁石23b)とを備えて構成されている。
ヨーク25は、平板状の部材であり、回転カソード5(6)の内周面に対向して回転カソード5の長手方向(Y方向)に延在している。回転カソード5、6の内周面に対向するヨーク25の表面上には、ヨーク25の長手方向に延在する中央磁石23aが、ヨーク25の長手方向に沿った中心線上に配置されている。ヨーク25の表面の外縁部には、中央磁石23aの周囲を囲む環状(無端状)の周辺磁石23bが、さらに設けられている。中央磁石23a、周辺磁石23bは、例えば、永久磁石によって構成される。
中央磁石23aと周辺磁石23bとのそれぞれのターゲット16側の極性は、互いに異なっている。また、2つの磁石ユニット21、22におけるそれぞれの極性は相補的に構成される。例えば、磁石ユニット21ではターゲット16側における中央磁石23aの極性がN極とされ周辺磁石23bの極性がS極とされる一方で、磁石ユニット22ではターゲット16側における中央磁石23aの極性がS極とされ周辺磁石23bの極性がN極とされる。
ヨーク25の裏面には、固定部材27の一端が接合されている。固定部材27の他端は、支持棒7に接合されている。これにより、磁石ユニット21、22は支持棒7に連結される。本実施形態では、マグネトロンカソード対を構成する磁石ユニット21、22が、互いに向き合う位置から被成膜箇所Pに近づく−Z方向に所定角度だけ回転された状態で固定されている。このため、回転カソード5、6の間でかつ被成膜箇所P側の空間には、磁石ユニット21、22間によって相対的に強い静磁場が形成される。
各シール軸受9の台部には、モータと、モータの回転を伝達するギア(それぞれ図示省略)を備えた回転部19が設けられている。また、回転カソード5、6のベース部材8の+Y側の蓋部の開口部の周囲には、各回転部19のギアと噛み合うギア(図示省略)が設けられている。
各回転部19は、モータの回転によって中心軸線2(3)を中心に回転カソード5(6)を回転させる。より詳細には、回転部19は、回転カソード5、6のそれぞれの外周面のうち互いに対向している部分が下側から上側に向けてそれぞれ移動するように、中心軸線2、3回りで互いに逆方向に回転カソード5、6を回転させる。回転速度は例えば10〜20回転/分に設定され、スパッター処理の期間中は上記した回転速度および回転方向で定速回転される。また、回転カソード5、6は、シール軸受10および支持棒7を介して内部に冷却水を循環させるなどして、適宜、冷却されている。
スパッター用電源163に接続される電線は、2つに分岐して回転カソード5、6の各シール軸受10内に導かれている。各電線の先端には、回転カソード5、6のベース部材8の−Y側の蓋部に接触するブラシが設けられている。スパッター用電源163は、このブラシを介してベース部材8に、スパッター電力を供給する。本実施形態では、スパッター用電源163が回転カソード5、6に負電位の直流電力を供給する。この他にも、例えば、スパッター用電源163が回転カソード5、6に相互に逆位相の交流スパッター電力を供給する態様であっても構わないし、スパッター用電源163が回転カソード5、6に負電位と正電位とからなるパルス状の電力を供給する態様であっても構わない。
各ベース部材8(ひいては、各ターゲット16)にスパッター電力が供給されると、処理空間Vの各ターゲット16の表面にスパッターガスのプラズマが生成される。このプラズマは、磁石ユニット21、22が形成する静磁場によって、回転カソード5、6間でかつ被成膜箇所P側の空間に高密度に閉じ込められる。本明細書では、このように磁界閉じ込め効果によって高密度化されたプラズマをマグネトロンプラズマと呼ぶ。本実施形態のようにマグネトロンカソード対がマグネトロンプラズマを生成する態様では、1つのマグネトロンカソードがマグネトロンプラズマを生成する場合よりもプラズマが高密度化される。このため、本実施形態の態様は成膜レート向上の観点から望ましい。
上述の通り、回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151は、処理空間Vのうち磁石ユニット21、22によって磁界が形成されている部分を含む空間に誘導結合プラズマを発生する。その結果、マグネトロンカソード対により発生するマグネトロンプラズマと誘導結合アンテナ151によって発生する誘導結合プラズマとが互いに重なり合い、混合プラズマが形成される。誘導結合アンテナ151が発生させた高密度の誘導結合プラズマも、磁石ユニット21、22が回転カソード5、6の外周面の近傍に形成する磁界によるマグネトロンプラズマとともに、ターゲット16のスパッターに寄与する。
このように誘導結合プラズマをスパッターに寄与させる場合、誘導結合プラズマの寄与がない場合に比べて、回転カソード5、6に供給するスパッター電力の大きさが同一でもスパッター電圧を低くすることができる(インピーダンスを低くすることができる)。これにより、ターゲット16から飛翔する反跳アルゴンや負イオンが基材91の被成膜面に与えるダメージが低下しつつ、高成膜レートで成膜処理が実行される。
スパッター処理では、処理室100の処理空間Vにスパッターガスとしてアルゴンガスを、反応性ガスとして窒素ガスを導入して、上記混合プラズマの雰囲気において回転カソード5、6の外周を被覆するチタンのターゲット16をスパッターし、当該ターゲット16に対向する基材91上に窒化チタン膜を成膜する。
スパッタリング装置1が備える各構成要素は、制御部190と電気的に接続されており、当該各構成要素は制御部190により制御される。制御部190は、具体的には、例えば、各種演算処理を行うCPU、プログラム等を記憶するROM、演算処理の作業領域となるRAM、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク、LAN等を介したデータ通信機能を有するデータ通信部等がバスラインなどにより互いに接続された、一般的なコンピュータにより構成される。また、制御部190は、各種表示を行うディスプレイ、キーボードおよびマウスなどで構成される入力部191と接続されている。入力部191は、例えば、装置の操作者が成膜処理の処理条件等を指定して入力する際に用いられる。
<1.2 処理例>
まず、装置の操作者が入力部191から所定の処理条件(例えば、各ガスの供給量、スパッター電圧値、高周波電力値、チャンバー内の圧力値など)や得られる膜についての目標とする色情報を入力する。
そして、入力部191から入力された処理条件に基づき、制御部190の制御下で、スパッター処理が実行される。
まず、窒素ガス供給部530により前室99の空間内に窒素ガス雰囲気が形成される。また、スパッターガス供給部510および反応性ガス供給部520により、処理空間V内に指定されたガス比率における混合雰囲気が形成される。また、窒素ガス供給部540により後室101の空間内に窒素ガス雰囲気が形成される。
高周波電源153により回転カソード5、6間に配される各誘導結合アンテナ151に高周波電力が供給される。これにより、処理空間Vに誘導結合プラズマが生成される。また、処理空間Vに誘導結合プラズマが生成されると、処理室100内でプラズマ処理を行うのに適したプロセス圧に到達するまで、排気部170が処理室100内の気体を排気する。処理室100内の圧力がプロセス圧に達すると、スパッター用電源163により回転カソード5、6にスパッター電力が供給される。これにより、処理空間VのY方向中央位置にマグネトロンプラズマが生成される。その結果、処理空間VのY方向中央位置に(具体的には、回転カソード5、6間でかつ被成膜箇所P側の空間に)おいて、マグネトロンプラズマと誘導結合プラズマとの混合プラズマが形成される。
搬送機構30が、基材91を+X方向に搬送し、ゲート159から前室99内に基材91を搬入する。そして、排気部169が前室99内の気体を排気して、前室99内の圧力が処理室100内の圧力と略同一とされる。
搬送機構30が、基材91を+X方向に搬送してゲート160から処理室100内に基材91を搬入した後、搬送経路面Lに沿って基材91を往復搬送する。より具体的には、搬送機構30は、基材91が被成膜箇所Pを複数回通過するように、基材91を搬送経路面Lに沿って±X方向に移動させる。また、加熱部40が搬送される基材91を加熱する。その結果、搬送される基材91の上面には、回転カソード5、6のターゲット16からスパッターされた窒化チタン粒子が結晶化して堆積し、窒化チタン膜が成膜される。
その後、所定の処理時間が経過すると、スパッター処理が終了する。具体的には、スパッター用電源163による回転カソード5、6へのスパッター電圧の印加が停止される。スパッターガス供給源511によるスパッターガスの供給が停止される。また、反応性ガス供給源521による反応性ガスの供給が停止される。また、高周波電源153による各誘導結合アンテナ151への高周波電力の供給が停止される。
このとき、排気部171が後室101内の気体を排気して、後室101内の圧力が処理室100内の圧力と略同一とされる。搬送機構30が、基材91を+X方向に搬送し、ゲート161から後室101内に成膜処理済みの基材91を搬入する。そして、排気部171による排気が停止され、窒素ガス供給部540による窒素が供給されて、後室101内の圧力が大気圧と略同一とされる。
その後、搬送機構30が、基材91を+X方向に搬送し、ゲート162から後室101の外部に基材91を搬出する。
これにより、1枚の基材91に対するスパッター処理が終了し、該1枚の基材91に対しては次に膜色の測定処理が実行される。
図6は、測定処理におけるタイミングチャートである。図6中において、横軸は経過時間を示す。また、縦軸は、各測色部206による測定機能がONかOFFか、各測色部206の各窓部207と基材91の上面とが接触状態か非接触状態か、各測色部206のX方向移動速度がいくらか、を示す。なお、図6中において、速度V1とは基材91の+X方向搬送速度と同一の速度であり、速度V2とは−X方向の所定の速度である。
また、図7〜図10は、測定処理における基材91と測色ユニット200との動作を説明する模式的な側面図である。
成膜後の基材91は、ゲート162から後室101の外部に搬出された後も、一定の速度V1で+X方向に搬送されている。そして、成膜処理では、まず時刻t0〜t1において、移動部209が測色ユニット200を+X方向に向けて加速させつつ移動させる(図7)。
測色ユニット200の+X方向への移動速度が速度V1に達すると、この速度V1が維持された状態で、時刻t1〜t2において、移動部209が第2板状部材203を所定距離だけ下向きに移動させる(図8)。これにより、各測色部206の各窓部207が基材91の上面に接触する。
ここで、第2板状部材203に設けられた2つのリニアレール204と2つのリニアレール204に沿って自在に上下に移動可能な連結部205とが、移動部209によって各測色部206が基材91上の膜に近づけられ窓部207が膜に押し当てられた際に、その接触状態を保ちつつ測色部206を押し当て方向の反対方向(上方向)に逃がす逃げ機構として機能する。したがって、各窓部207と基材91との衝突力が和らげられ、基材91の上面に形成された膜が損傷することが有効に抑制される。
そして、搬送部30による基材91の+X方向の搬送と移動部209による各測色部206の+X方向の移動とが同期されて基材91と測色部206とが相対的に静止された期間(時刻t2〜t5)のうち一定期間(時刻t3〜t4)に、各測色部206が基材91上の膜の色を測定する(図9)。時刻t3〜t4の測定期間は、例えば、1秒程度である。これにより、基材91に成膜された膜の色が、Y方向に間隔をあけた3箇所について測定される。
この測定結果は、制御部190に送信され、後続の基材91についての処理条件を補正する際に利用される。具体的には、測定で得られた膜の色情報(例えば、L表色系における各値)が目標とする色情報(例えば、L表色系における各値)と一致する場合には、スパッター処理における現状の処理条件が維持される。また、測定で得られた膜の色情報が目標とする色情報と異なる場合には、スパッター処理における現状の処理条件に所定の補正処理が施される。
ここで、n枚目(nは自然数)の基材91について測定処理が終了した際に、n+1枚目の基材91が未だスパッター処理を施されていないタイミングであれば、n+1枚目以降の基材91に対するスパッター処理で該補正処理が反映される。他方、n枚目(nは自然数)の基材91について測定処理が終了した際に、n+1枚目の基材91が既にスパッター処理を施されているタイミングであれば、n+2枚目以降の基材91に対するスパッター処理で該補正処理が反映される。
測定が終了すると、測色ユニット200の移動速度が速度V1に維持された状態で、時刻t5〜t6において、移動部209が第2板状部材203を所定距離だけ上向きに移動させる(図10)。これにより、各測色部206の各窓部207が基材91の上面と離間する。
各窓部207と基材91の上面とが離間した後、成膜処理および測定処理を実行された基材91は引き続き+X方向に移動してスパッタリング装置1の外部へと搬出される。また、各窓部207と基材91の上面とが離間した後、測色ユニット200は、時刻t6〜t9において、+X方向への移動速度を減速させて−X方向に移動され、測定処理の初期位置に戻る。これにより、後続の基材91についても測定処理を実行可能となる。
<1.3 効果>
本実施形態では、スパッタリング装置1が処理室100から搬出された基材91の膜の色を測定する測色部206を備え、その測色結果を基に測色された基材91よりも後続の基材91についての処理条件が定められる。このように、スパッタリング装置1が測色部206を備える態様では、装置の操作者が手動により測色計で膜の色を測定する他の態様に比べ、測色の手間が低減される。
また、本実施形態では、測色部206により得られた測定結果がシリアル通信によりリアルタイムで制御部190に送信され、制御部190がこの測定結果を基にスパッター処理の成膜処理条件を補正する。このように、測色結果の通信や成膜処理条件の補正が自動化される態様では、測色の結果を簡易迅速に成膜処理条件に反映させることができる。
また、上述したように、本実施形態では、n枚目の基材91を測定対象とすると、n+1枚目の基材91またはn+2枚目の基材91に対する成膜処理の際に、n枚目の基材91の測定結果を用いることが可能となる。このように、成膜処理を終えた各基材91の測定するため、各基材91について成膜処理を実行する度に成膜処理条件を補正することができる。したがって、本実施形態の態様では、複数枚の基材91(例えば、10枚の基材91)について処理をする度に成膜処理条件を補正する他の態様と異なり、成膜で得られる膜の色が目標とする色から逸脱するおそれがない。
一般に、成膜後の色むらは搬送方向(X方向)よりもむしろ幅方向(Y方向)において生じやすく、幅方向について成膜処理条件が高精度に調整されることが望ましい。本実施形態では、3つの測色部206がY方向に沿って複数の箇所(具体的には3箇所)で膜の色を測定可能である。さらに、反応性ガス供給部520が、Y方向に沿って設けられ処理空間Vの内部に開口した複数の吐出口11(ガス供給口)を有する。さらに、複数の誘導結合アンテナ151(具体的には、5個の誘導結合アンテナ151)が処理空間Vの内部でY方向に沿って設けられる。このように、基材91の搬送方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)に沿う複数の区間で膜色の測定および成膜処理条件の調整を実行可能な態様では、測定結果に基づいて高精度に成膜処理条件の補正を行うことができる。
<2 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
また、上記実施形態では、成膜装置としてスパッタリング装置1を用いる態様について説明したが、これに限られるものではない。他の成膜装置(例えば、蒸着装置など)においても、本発明を適用可能である。
上記実施形態では、基材91の搬送と各測色部206の移動とが同期されて基材91と各測色部206とが相対的に静止された状態で各測色部206が膜の色を測定する態様について説明したが、これに限られるものではない。例えば、基材91の搬送が一定期間停止されて、この停止期間中に各測色部206と基材91の上面とが接触状態とされて、各測色部206が基材91の膜色を測定する態様でも構わない。測定期間としては例えば1秒間を要するため、基材91の搬送停止期間はこの測定期間以上の期間(例えば、2秒間)となるよう設定される。このため、上記実施形態のように、基材91の停止期間を要さず連続搬送状態で膜色の測定を行う態様では、スループット向上の観点から望ましい。
上記実施形態では、測色ユニット200がY方向に間隔をあけて3つの測色部206を有する態様について説明したが、これに限られるものではない。測色部206の個数は1つや2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。なお、測色部206が1つの場合であっても、移動部209が測色部206をY方向に沿って移動可能な構成であれば、Y方向において複数箇所の測定結果を得ることができる。
また、上記実施形態では、色情報がL表色系における色情報である場合について説明したが、これに限られるものではない。XYZ表色系などL表色系以外の表色系における色情報が用いられても構わない。
また、上記実施形態では、測定結果が測色部206から直接的に制御部190に送信され、制御部190において成膜処理条件の補正が行われる態様について説明したが、これに限られるものではない。例えば、測定結果がまずパーソナルコンピュータに送信され、該パーソナルコンピュータで成膜処理条件の補正が行われた後、その補正結果が該パーソナルコンピュータから制御部190に送信される態様であっても構わない。
また、搬送部30が基材91を搬送する方向についても、上記実施形態のように水平方向の場合の他に、例えば垂直方向であっても構わない。
また、上記実施形態では、各誘導結合アンテナ151が処理室100の天板を貫通して処理室100の内部空間に突出して設けられる態様について説明したが、これに限られるものではない。各誘導結合アンテナ151が処理室100の側壁や底板などを貫通して処理室100の内部空間に突出して設けられてもよい。また、各誘導結合アンテナ151が、処理室100の内壁(天板、側壁、或いは、底板)に埋め込まれて処理室100の内部空間に突出しない態様で設けられてもよい。
また、上記実施形態では、2つの回転カソード5、6を並設する場合について説明しているが、回転カソードは1つでもよい。また、回転カソードを用いるのではなく、平板型のカソードを用いてもよい。
また、上記実施形態では、1列を構成する誘導結合アンテナ151の個数が5個の場合について説明しているが、該個数は回転カソード5(6)の長さに応じて適宜変更すればよい。また、複数列の誘導結合アンテナ151が設けられてもよい。その他にも、各部の位置、個数、長さなどの設計事項は適宜に変更可能である。
また、上記実施形態では、搬送される基材91の表面のうち上面に成膜処理が行われる態様について説明したが、これに限られるものでない。例えば、搬送される基材91の表面のうち他の一面(側面、或いは、下面など)に成膜処理が行われてもよいし、搬送される基材91の表面のうち複数の面(例えば、上面および下面)に同時に成膜処理が行われてもよい。このように複数の面に同時に成膜処理が行われる態様においても、該複数の面のうち少なくとも1面について測色部206が膜色を測定することで、後続の基材についての成膜処理条件を適宜補正することができる。
以上、実施形態およびその変形例に係る成膜装置について説明したが、これらは本発明に好ましい実施形態の例であって、本発明の実施の範囲を限定するものではない。本発明は、その発明の範囲内において、各実施形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施形態において任意の構成要素の増減が可能である。
1 スパッタリング装置
5,6 回転カソード
7 支持棒
8 ベース部材
16 ターゲット
19 回転部
21,22 磁石ユニット
30 搬送機構
31 搬送ローラ
50 スパッター処理部
60 チムニー
90 キャリア
91 基材
99 前室
100 処理室
101 後室
151 誘導結合アンテナ
153 高周波電源
163 スパッター用電源
190 制御部
191 入力部
200 測色ユニット
201 第1板状部材
202,204 リニアレール
203 第2板状部材
205 連結部
206 測色部
207 窓部
209 移動部
510 スパッターガス供給部
520 反応性ガス供給部
530,540 窒素ガス供給部
時刻 t0〜t9
V 処理空間
V1,V2 速度

Claims (6)

  1. 搬送される基材の表面に膜を成膜する成膜装置であって、
    その内部に処理空間を有する処理チャンバーと、
    前記処理チャンバー内を通過して前記基材を保持しつつ搬送する搬送部と、
    前記処理空間にガスを供給するガス供給部と、
    前記処理チャンバー内の気体を排出する排気部と、
    前記搬送部に保持された前記基材の前記表面に成膜処理を実行する成膜処理部と、
    前記成膜処理が実行されて前記処理チャンバーから搬出された前記基材の前記膜の色を測定する測色部と、
    前記測色部からの測定結果を基に、測色された基材よりも後続の基材についての成膜処理条件を補正する補正部と、
    を備える成膜装置。
  2. 請求項1に記載の成膜装置であって、
    前記測色部を移動させる移動部、
    をさらに備え、
    前記搬送部による前記基材の搬送と前記移動部による前記測色部の移動とが同期されて前記基材と前記測色部とが相対的に静止された状態で、前記測色部が前記膜の色を測定することを特徴とする成膜装置。
  3. 請求項2に記載の成膜装置であって、
    前記測色部は測定対象箇所にその一部を接触させて測定する接触型の測定器であり、
    前記移動部によって前記測色部が前記膜に近づけられ前記測色部の前記一部が前記膜に押し当てられた際に、その接触状態を保ちつつ前記測色部を押し当て方向の反対方向に逃がす逃げ機構、
    をさらに備えることを特徴とする成膜装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の成膜装置であって、
    前記測色部は、前記基材の表面に平行な面内で前記基材の搬送方向と直交する幅方向に沿って複数の箇所で前記膜の色を測定可能であることを特徴とする成膜装置。
  5. 請求項4に記載の成膜装置であって、
    前記ガス供給部は、前記幅方向に沿って設けられ前記処理空間の内部に開口した複数のガス供給口を有し、
    前記補正部は、前記測色部による前記幅方向での測定結果を基に、前記複数のガス供給口からの各ガス供給量を補正することを特徴とする成膜装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の成膜装置であって、
    前記成膜処理部は、前記処理空間の内部で前記幅方向に沿って設けられた複数のプラズマ生成部を有し、
    前記補正部は、前記測色部による前記幅方向での測定結果を基に、前記複数のプラズマ生成部に対する各電力供給量を補正することを特徴とする成膜装置。
JP2015189421A 2015-09-28 2015-09-28 成膜装置 Pending JP2017066427A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015189421A JP2017066427A (ja) 2015-09-28 2015-09-28 成膜装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015189421A JP2017066427A (ja) 2015-09-28 2015-09-28 成膜装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017066427A true JP2017066427A (ja) 2017-04-06

Family

ID=58491865

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015189421A Pending JP2017066427A (ja) 2015-09-28 2015-09-28 成膜装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017066427A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018166783A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 株式会社三洋物産 遊技機
KR20190078468A (ko) 2017-12-26 2019-07-04 캐논 톡키 가부시키가이샤 스퍼터 성막 장치 및 스퍼터 성막 방법
KR20190079471A (ko) 2017-12-27 2019-07-05 캐논 톡키 가부시키가이샤 스퍼터 성막 장치 및 스퍼터 성막 방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018166783A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 株式会社三洋物産 遊技機
KR20190078468A (ko) 2017-12-26 2019-07-04 캐논 톡키 가부시키가이샤 스퍼터 성막 장치 및 스퍼터 성막 방법
KR20190079471A (ko) 2017-12-27 2019-07-05 캐논 톡키 가부시키가이샤 스퍼터 성막 장치 및 스퍼터 성막 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2015193863A (ja) スパッタリング装置
JP2016183402A (ja) スパッタリング装置およびスパッタリング方法
JP2017066427A (ja) 成膜装置
JP6373740B2 (ja) スパッタリング装置
US20150228461A1 (en) Plasma treatment apparatus and method
JP6309353B2 (ja) スパッタリング装置およびスパッタリング方法
JP6942015B2 (ja) 成膜装置および成膜方法
JP6600519B2 (ja) 成膜装置およびデータ作成方法
KR101719423B1 (ko) 플라즈마 처리 장치 및 플라즈마 처리 방법
JP5969856B2 (ja) スパッタリング装置
CN108690966B (zh) 等离子体处理装置
JP6600214B2 (ja) 成膜装置
JP2017053005A (ja) 除去方法および除去装置
CN110998781A (zh) 具有分段空心阴极的线性等离子体源
TWI419193B (zh) 離子束處理電介質表面的方法及實施該方法的裝置
KR20160115717A (ko) 스퍼터링 장치 및 스퍼터링 방법
JP6431303B2 (ja) エッチング装置およびエッチング方法
JP2019044216A (ja) 成膜装置および成膜方法
JP2021143353A (ja) スパッタリング装置およびスパッタリング方法
TW201104744A (en) Semiconductor manufacturing device
CN112553581A (zh) 成膜装置及成膜方法
CN109957752A (zh) 基板处理装置及其控制方法、成膜装置、电子零件的制造方法
TWI696719B (zh) 成膜裝置及成膜方法
KR20210004741A (ko) 플라즈마 토치 및 이를 구비하는 반도체 제조 설비의 부품 처리 시스템
JP2014101556A (ja) プラズマ処理装置の電極構造