JP2017053005A - 除去方法および除去装置 - Google Patents

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【課題】チャンバー内の全体で効果的に吸着ガスまたは吸着物の除去作業を実行可能な除去方法および除去装置を提供する。【解決手段】基材に処理を実行する処理期間の前または後に、チャンバーの内壁を貫通して設けられた複数のLIA(Low Inductance Antenna)に高周波電力を供給して、チャンバーの内部空間の全体にプラズマを生成する。このプラズマの作用により吸着ガスまたは吸着物を吸着箇所から脱離させて気化し、排気によりチャンバーの外部へと排出する。【選択図】図1

Description

本発明は、チャンバー内の吸着ガスまたは吸着物を除去する除去方法および除去装置に関する。
処理対象である基材を収容可能なチャンバー内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物を除去する技術が知られている。例えば、特許文献1には、チャンバー内を加熱することで吸着ガスまたは吸着物を除去する技術が開示されている。
特開2010−84211号公報 特開2012−26020号公報 特開2005−163183号公報
しかしながら、プラズマ作用を用いず加熱のみによって吸着ガスまたは吸着物の除去作業を行う場合、除去作業に長時間を要する、十分に吸着ガスまたは吸着物を除去できない、などの問題があった。
そこで、引用文献2には、平行平板型のプラズマ装置によって2つの平板間にプラズマを生じさせ該プラズマの作用によって効率的に除去作業を実行する技術が開示されている。
しかしながら、この技術のようにチャンバーの内部空間のうち処理空間にのみプラズマを生成して除去作業を行う場合、チャンバーの内部空間のうち処理空間を除いた部分(非処理空間)においては吸着ガスまたは吸着物が残留する。これにより、チャンバー内に基材を搬入した際に基材が汚染されるリスクが高まり、チャンバー内の排気時における真空引きの速度および精度が低下し、チャンバーが処理チャンバーである場合にはその後の基材処理における精度も低下する、等の問題が生じていた。
そこで、引用文献3には、チャンバーの外部で生じさせたプラズマをチャンバー内の広範囲に作用させるリモートプラズマ技術が開示されている。
しかしながら、この技術のようにチャンバーの外部で生じさせたプラズマをチャンバー内の除去作業に用いる場合、プラズマ源から吸着箇所までの距離が大きいことに起因してプラズマ作用が弱まり、効果的に除去作業を実行することができないという問題(除去作業に長時間を要する、十分に吸着ガスまたは吸着物を除去できない、などの問題)が生じていた。
そこで、本発明は、チャンバー内の全体で効果的に吸着ガスまたは吸着物の除去作業を実行可能な除去方法および除去装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる除去方法は、処理対象である基材を収容可能なチャンバー内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物を除去する除去方法であって、前記基材に処理を実行する処理期間の前または後に行われる工程として、前記チャンバー内の気体を排気する排気工程と、前記チャンバー内にガスを供給するガス供給工程と、前記チャンバーの内壁を貫通して設けられた複数のLIA(Low Inductance Antenna)に高周波電力を供給して、前記チャンバーの内部空間の全体にプラズマを生成するプラズマ生成工程と、を備え、前記プラズマ生成工程で前記プラズマの作用により前記吸着ガスまたは前記吸着物を吸着箇所から脱離させて気化し、前記排気工程で前記チャンバーの外部へと排出することを特徴とする。
本発明の第2の態様にかかる除去方法は、本発明の第1の態様にかかる除去方法であって、前記複数のLIAは、前記チャンバーの内壁を貫通して前記内部空間に突出して設けられることを特徴とする。
本発明の第3の態様にかかる除去方法は、本発明の第1の態様または第2の態様にかかる除去方法であって、前記基材が前記チャンバー内に収容された状態で前記各工程が実行されることにより、前記基材に吸着する吸着ガスまたは吸着物も、前記プラズマ生成工程で前記プラズマの作用により吸着箇所から脱離させて気化し、前記排気工程で前記チャンバーの外部へと排出することを特徴とする。
本発明の第4の態様にかかる除去方法は、本発明の第1の態様または第2の態様にかかる除去方法であって、前記基材が前記チャンバー内に収容されていない状態で前記各工程が実行されることを特徴とする。
本発明の第5の態様にかかる除去方法は、本発明の第1の態様ないし第4の態様のいずれかにかかる除去方法であって、前記チャンバーは、前記処理が実行される際に前記基材が収容される処理チャンバーであることを特徴とする。
本発明の第6の態様にかかる除去方法は、本発明の第5の態様にかかる除去方法であって、前記プラズマ生成工程で用いられる前記複数のLIAの少なくとも一部が前記処理の際にも用いられることを特徴とする。
本発明の第7の態様にかかる除去方法は、本発明の第1の態様ないし第4の態様のいずれかにかかる除去方法であって、前記チャンバーは、非処理チャンバーであることを特徴とする。
本発明の第8の態様にかかる除去方法は、本発明の第1の態様ないし第7の態様のいずれかにかかる除去方法であって、前記ガス供給工程で用いられるガス供給部の少なくとも一部が前記処理の際にも用いられることを特徴とする。
本発明の第9の態様にかかる除去装置は、処理対象である基材を収容可能なチャンバー内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物を除去する除去装置であって、チャンバーと、前記チャンバー内で基材を保持する基材保持部と、前記チャンバー内の気体を排気する排気部と、前記チャンバー内にガスを供給するガス供給部と、前記チャンバーの内壁を貫通して設けられた複数のLIA(Low Inductance Antenna)に高周波電力を供給して、前記チャンバーの内部空間の全体にプラズマを生成するプラズマ生成部と、を備え、前記基材に処理を実行する処理期間の前または後に、前記プラズマ生成部が生成する前記プラズマの作用により前記吸着ガスまたは前記吸着物を吸着箇所から脱離させて気化し、前記排気部の排気によって前記チャンバーの外部へと排出することを特徴とする。
本発明では、チャンバーの内壁を貫通して設けられた複数のLIA(Low Inductance Antenna)に高周波電力を供給して、内部空間の全体にプラズマを生成する。このプラズマの作用により吸着ガスまたは吸着物を吸着箇所から脱離させて気化し、排気によりチャンバーの外部へと排出する。
このため、本発明の態様では、プラズマ作用を用いず加熱のみによって除去作業を行う他の態様(例えば、特許文献1)に比べ、プラズマ作用によって効率的に除去作業を実行できる。また、本発明の態様では、チャンバーの内部空間のうち処理空間にのみプラズマを生成して除去作業を行う他の態様(例えば、特許文献2)とは異なり、チャンバーの内部空間の全体について吸着ガスまたは吸着物の除去を行える。これにより、基材が汚染されるリスクの低下、排気時における真空引きの速度および精度の向上、その後の基材処理における精度の向上、等の効果が得られる。また、本発明の態様では、チャンバーの外部で生じさせたプラズマをチャンバー内に作用させるリモートプラズマ技術を用いる他の態様(例えば、特許文献3)に比べて、プラズマ作用を弱めることなくチャンバー内に付与して効果的に除去作業を実行することができる。
スパッタリング装置の構成例を示す断面模式図である。 スパッター処理部の周辺を示す断面模式図である。 誘導結合アンテナを示す側面図である。 スパッター処理部の周辺を示す斜視図である。 除去作業およびスパッター処理におけるタイミングチャートの一例を示す。 スパッタリング装置において除去作業後にスパッター処理を実行した場合に得られるZnO膜のXRDチャートである。 スパッタリング装置において除去作業を実行せずにスパッター処理を実行した場合に得られるZnO膜のXRDチャートである。 変形例において、スパッター処理部の周辺を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、重複説明が省略される。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、図面においては、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、図面には、方向を説明するためにXYZ直交座標軸がふされる場合がある。座標軸における+Z方向は鉛直上方向であり、XY平面は水平面である。
<1 実施形態>
<1.1 スパッタリング装置1の全体構成>
図1は、スパッタリング装置1の概略構成を模式的に示す断面模式図である。図2は、スパッター処理部50およびその周辺を示す断面模式図である。図3は、誘導結合アンテナ151の例を示す側面図である。また、図4は、スパッター処理部50およびその周辺を示す斜視図である。
スパッタリング装置1は、搬送される基材91の主面にZnO膜をスパッター成膜する装置である。基材91は、例えば、ガラス基板などにより構成される。
スパッタリング装置1は、チャンバー100(処理チャンバー)と、基材91を搬送する搬送機構30と、搬送される基材91にスパッター処理を実行するスパッター処理部50と、チャンバー100内で誘導結合プラズマを生成するプラズマ生成部80と、スパッタリング装置1の各部を統括制御する制御部190とを備える。チャンバー100は、直方体形状の外形を呈する中空部材である。チャンバー100は、その底板の上面が水平姿勢となるように配置されている。また、X軸およびY軸の各々は、チャンバー100の側壁と平行な軸である。
スパッタリング装置1は、さらに、スパッター処理部50の周囲を取り囲むように配置された筒状の遮蔽部材であるチムニー60を備える。チムニー60は、スパッター処理部50にて発生するプラズマの範囲やターゲットからスパッタされたスパッタ粒子の飛散範囲を制限するシールドとしての機能と、チムニー内部の雰囲気を外部と遮断する雰囲気遮断機能と、を有する。以下では、チャンバー100の内部空間のうち、チムニー60の内側でありスパッター処理が実行される空間を処理空間V1と呼び、チムニー60に仕切られた外側の空間を非処理空間V2と呼ぶ。
チャンバー100内には、水平な搬送経路面Lがチムニー60の上方に規定されている。搬送経路面Lの延在方向はX軸方向であり、基材91はX軸方向に沿って搬送される。
また、スパッタリング装置1は、チャンバー100内を搬送される基材91を加熱する板状の加熱部40を備える。加熱部40は、例えば、搬送経路面Lの上側に配置されたシースヒータによって構成される。
チャンバー100のうち搬送経路面Lの−X側の端部には、基材91をチャンバー100内に搬入するためのゲート160が設けられる。他方、チャンバー100のうち搬送経路面Lの+X側の端部には、基材91をチャンバー100外に搬出するためのゲート161が設けられている。また、チャンバー100のX方向両端部には、ロードロックチャンバーや、アンロードロックチャンバーなどの他のチャンバーの開口部が気密を保った形態で接続可能に構成されている。各ゲート160、161は、開閉の切替可能に構成される。
また、チャンバー100には、チャンバー100内の気体を排気する排気部170が接続されている。排気部170は、例えば、それぞれ図示省略の真空ポンプと、排気配管と、排気バルブと備える。排気配管は、一端が真空ポンプに接続され、他端がチャンバー100の内部空間に連通接続される。また、排気バルブは、排気配管の経路途中に設けられる。排気バルブは、具体的には、排気配管を流れるガスの流量を自動調整できるバルブである。この構成において、真空ポンプが作動された状態で、排気バルブが開放されると、チャンバー100内の気体が排気され、チャンバー100内が真空状態とされる。制御部190が排気部170による排気を制御することで、チャンバー100内の圧力が特定の値に調整される。チャンバー100内の圧力調整に関しては、後ほど図5を参照しつつ詳細に説明する。
搬送機構30は、チャンバー100の内部において、Y方向において搬送経路面Lを挟んで対向配置された搬送ローラ31の複数の対と、これらを同期させて回転駆動する駆動部(図示省略)とを含んで構成される。搬送ローラ31は、搬送経路面Lの延在方向であるX方向に沿って複数対設けられる。なお、図1では、4対の搬送ローラ31の図示手前側(−Y側)に位置する4つのローラが描かれている。
基材91は、キャリア90の下面に設けられた図示省略の爪状部材などによってキャリア90の下に着脱可能に保持されている。キャリア90は、板状のトレーなどによって構成されている。なお、キャリア90における基材91の保持態様は、本実施形態の態様の他にも種々の態様を採用しうる。例えば、上下方向に貫通する中空部を有する板状トレーの該中空部に基材91を嵌めこむことによって、基材91の下面を成膜可能な状態で該基材91を保持する態様であっても構わない。
基材91が配設されたキャリア90がゲート160を介してチャンバー100内に導入されると、各搬送ローラ31が該キャリア90の端縁(±Y側の端縁)付近に下方から当接する。そして、駆動部(図示省略)によって各搬送ローラ31が同期回転されることによって、キャリア90およびキャリア90に保持される基材91が搬送経路面Lに沿って搬送される。本実施形態では、各搬送ローラ31が時計回りおよび反時計回りの双方に回転可能であり、キャリア90およびキャリア90に保持される基材91が双方向(±X方向)に搬送される態様について説明する。搬送経路面Lは、スパッター処理部50に対向した被成膜箇所Pを含む。このため、搬送機構30によって搬送される基材91の主面のうち被成膜箇所Pに配される箇所に成膜処理が行われる。
スパッタリング装置1は、処理空間V1に不活性ガスであるアルゴンガスなどのスパッターガスを供給するスパッターガス供給部510と、処理空間V1に酸素ガスなどの反応性ガスを供給する反応性ガス供給部520とを備える。したがって、スパッターガス供給部510および反応性ガス供給部520の双方がガスを供給した場合には、まず処理空間V1内にスパッターガスと反応性ガスとの混合雰囲気が形成され、時間経過とともに非処理空間V2内にもこの混合雰囲気が形成される。
スパッターガス供給部510は、具体的には、例えば、スパッターガスの供給源であるスパッターガス供給源511と、配管512とを備える。配管512は、一端がスパッターガス供給源511と接続され、他端が処理空間V1と連通する各ノズル514に接続される。また、配管512の経路途中には、バルブ513が設けられる。バルブ513は、制御部190の制御下で処理空間V1に供給されるスパッターガスの量を調整する。バルブ513は、配管を流れるガスの流量を自動調整できるバルブであることが好ましく、具体的には、例えば、マスフローコントローラ等を含んで構成することが好ましい。
各ノズル514は、回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151の±X側に設けられ、チャンバー100の底板を貫通して上側に向けて開口している。このため、スパッターガス供給源511から供給されたスパッターガスは、各ノズル514から処理空間V1に導入される。
反応性ガス供給部520は、具体的には、例えば、反応性ガスの供給源である反応性ガス供給源521と、配管522とを備える。配管522は、一端が反応性ガス供給源521と接続され、他端が複数(図4の例では、6つ)に分岐して処理空間V1に設けられた複数のノズル12(図4の例では、+X側と−X側とにそれぞれ3つずつ計6つのノズル12)に接続される。配管522の経路途中には、バルブ523が設けられる。バルブ523は、制御部190の制御下で処理空間V1に供給される反応性ガスの量を調整する。
各ノズル12は、処理空間V1のうち+Z側の領域においてY方向に延在するように設けられている。配管522の各他端は、各ノズル12のX方向両端面のうち外側の各端面と接続されている。各ノズル12には、当該各端面に開口して配管522の他端と接続されるとともにノズル内部で複数に分岐する各流路が形成されている。各流路の先端はノズル12のX方向両端面のうち内側の各端面に達して開口し、この各端面には複数の吐出口11が形成される。
−X側の各ノズル12の下方には、光ファイバーのプローブ13が設けられる。また、プローブ13に入射するプラズマ発光の分光強度を測定可能な分光器14が設けられている。分光器14は制御部190と電気的に接続されており、分光器14の測定値は制御部190に供給される。制御部190は、分光器14の出力に基づいて、プラズマエミッションモニター(PEM)法によりバルブ523を制御することで、反応性ガス供給部520からチャンバー100内に供給される反応性ガスの導入量を制御する。バルブ523は、配管を流れるガスの流量を自動調整できるバルブであることが好ましく、例えば、マスフローコントローラ等を含んで構成することが好ましい。
スパッタリング装置1が備える各構成要素は、スパッタリング装置1が備える制御部190と電気的に接続されており、当該各構成要素は制御部190により制御される。制御部190は、具体的には、例えば、各種演算処理を行うCPU、プログラム等を記憶するROM、演算処理の作業領域となるRAM、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク、LAN等を介したデータ通信機能を有するデータ通信部等がバスラインなどにより互いに接続された、一般的なFAコンピュータにより構成される。また、制御部190は、各種表示を行うディスプレイ、キーボードおよびマウスなどで構成される入力部等と接続されている。
<1.2 スパッター処理部50およびプラズマ生成部80>
スパッタリング装置1では、制御部190の制御下で主としてプラズマ生成部80を機能させることにより、チャンバー100内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物の除去作業を実行可能である。
スパッタリング装置1では、制御部190の制御下で主としてスパッター処理部50を機能させることにより、基材91に対するスパッタリング処理を実行可能である。
以下、プラズマ生成部80およびスパッター処理部50について詳細に説明する。
<1.2.1 プラズマ生成部80>
プラズマ生成部80は、複数の誘導結合アンテナ151(LIA)と、整合回路154と、整合回路154を介して各誘導結合アンテナ151に高周波電力を供給する高周波電源153と、を備える。
本実施形態では、チャンバー100内においてX方向に沿って間隔をあけた5列の誘導結合アンテナ151が設けられる。ここで、1列の誘導結合アンテナ151とは、Y方向に沿って間隔をあけて設けられた5つの誘導結合アンテナ151のことを意味する。
より具体的には、チムニー60よりも−X側に1列の誘導結合アンテナ151が設けられる。また、チムニー60内でかつ回転カソード5よりも−X側に1列の誘導結合アンテナ151が設けられる。また、チムニー60内でかつ回転カソード5、6間に1列の誘導結合アンテナ151が設けられる。また、チムニー60内でかつ回転カソード6よりも+X側に1列の誘導結合アンテナ151が設けられる。また、チムニー60よりも+X側に1列の誘導結合アンテナ151が設けられる。
このため、高周波電源153が各誘導結合アンテナ151に高周波電力(例えば、周波数13.56MHzの電力)を供給することにより、チムニー60の内部に設けられた3列の誘導結合アンテナ151は処理空間V1内に誘導結合プラズマを生成し、チムニー60の外部に設けられた2列の誘導結合アンテナ151は非処理空間V2内に誘導結合プラズマを生成する。このように、プラズマ生成部80は、チャンバー100の内部空間の全体に誘導結合プラズマを生成する。
各誘導結合アンテナ151は、石英硝子などからなる誘電体の保護部材152によって覆われて、チャンバー100の内壁(本実施形態では、底板)を貫通してチャンバー100の内部空間に突出して設けられる。
各誘導結合アンテナ151は、例えば、図3に示されるように、金属製のパイプ状導体をU字形に曲げたものであり、「U」の字を上下逆向きにした状態でチャンバー100の底板を貫通してチャンバー100の内部空間に突設されている。誘導結合アンテナ151は、内部に冷却水を循環させるなどして、適宜、冷却されている。
各誘導結合アンテナ151の一端は、整合回路154を介して、高周波電源153に電気的に接続されている。また、各誘導結合アンテナ151の他端は接地されている。この構成において、高周波電源153から誘導結合アンテナ151に高周波電力が供給されると、誘導結合アンテナ151の周囲に高周波誘導磁界が生じ、チャンバー100の内部空間に誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)が発生する。この誘導結合プラズマは、電子の空間密度が3×1010個/cm以上の高密度プラズマである。
また、本実施形態のようにU字形状の誘導結合アンテナ151は、巻数が一周未満の誘導結合アンテナに相当し、巻数が一周以上の誘導結合アンテナよりもインダクタンスが低い。このため、誘導結合アンテナ151の両端に発生する高周波電圧が低減され、生成するプラズマへの静電結合に伴うプラズマ電位の高周波揺動が抑制される。このため、対地電位へのプラズマ電位揺動に伴う過剰な電子損失が低減され、プラズマ電位が特に低く抑えられる。これにより、基材91上へのダメージを低減することが可能となる。
除去作業では、まず、チャンバー100内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物が、プラズマ生成部80が生成するプラズマの作用により、吸着箇所から脱離させて気化される。その後、排気部170が、プラズマ作用で気化された気体を排気してチャンバー100の外部へと排出する。
<1.2.2 スパッター処理部50>
スパッター処理部50は、2つの回転カソード5、6と、2つの回転カソード5、6をそれぞれの中心軸線回りに回転させる2つの回転部19と、2つの回転カソード5、6の内部にそれぞれ収容される2つの磁石ユニット21、22と、2つの回転カソード5、6にそれぞれスパッター電力を供給するスパッター用電源163と、を備える。
回転カソード5、6は、処理空間V1においてX方向に一定距離を隔てて対向配置されて、カソード対として構成される。このように回転カソード5、6が並設されることにより、基材91上の被成膜箇所Pにラジカルがより集中し、スパッター処理により得られる膜の膜質が向上しうる。
また、スパッター処理部50は、回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151と、整合回路154と、整合回路154を介して各誘導結合アンテナ151に高周波電力を供給する高周波電源153とをさらに備える。すなわち、これらの各要素は、プラズマ生成部80とスパッター処理部50とで兼用される。
磁石ユニット21(22)は、回転カソード5(6)の外周面のうち自身の近傍で磁界(静磁場)を形成する。回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151は、処理空間V1のうち磁石ユニット21、22によって磁界が形成されている部分を含む空間に誘導結合プラズマを発生する。
回転カソード5(6)は、水平面内において搬送方向に垂直なY方向に延設された筒状のベース部材8と、ベース部材8の外周を被覆する筒状のターゲット16とを備えて構成されている。ベース部材8は導電体であり、ターゲット16の材料としてはZnO成膜用の亜鉛(Zn)および酸素(O)を含む材料が用いられる。なお、回転カソード5(6)がベース部材8を含まず、円筒状のターゲット16によって構成されてもよい。ターゲット16の形成は、例えば、ターゲット材料の粉末を圧縮成型して筒状に形成し、その後、ベース部材8を挿入する手法などによって行われる。
本明細書では、並設される回転カソード5、6およびそれぞれの内部に配される磁石ユニット21、22を一体的に表現する場合には、マグネトロンカソード対と呼ぶ。
各ベース部材8の中心軸線2(3)方向の両端部は、中央部に円状の開口が設けられた蓋部によってそれぞれ塞がれている。回転カソード5(6)の中心軸線2(3)方向の長さは、例えば、1,400mmに設定され、直径は、例えば、150mmに設定される。
スパッター処理部50は、2対のシール軸受9、10と、2つの円筒状の支持棒7とをさらに備えている。シール軸受9、10の各対は、回転カソード5(6)の長手方向(Y方向)において回転カソード5(6)を挟んで設けられている。シール軸受9、10は、それぞれ、チャンバー100の底板の上面から立設された台部と、台部の上部に設けられた略円筒状の円筒部とを備えている。
各支持棒7の一端はシール軸受9の円筒部に軸受けされ、他端はシール軸受10の円筒部に軸受けされている。各支持棒7は、ベース部材8の一端の蓋部の開口から回転カソード5(6)内に挿入されて、回転カソード5(6)を中心軸線2(3)に沿って貫通し、ベース部材8の他端の蓋部の開口から回転カソード5(6)外に出されている。
磁石ユニット21(22)は、透磁鋼などの磁性材料により形成されたヨーク25(支持板)と、ヨーク25上に設けられた複数の磁石(後述する中央磁石23a、周辺磁石23b)とを備えて構成されている。
ヨーク25は、平板状の部材であり、回転カソード5(6)の内周面に対向して回転カソード5の長手方向(Y方向)に延在している。回転カソード5、6の内周面に対向するヨーク25の表面上には、ヨーク25の長手方向に延在する中央磁石23aが、ヨーク25の長手方向に沿った中心線上に配置されている。ヨーク25の表面の外縁部には、中央磁石23aの周囲を囲む環状(無端状)の周辺磁石23bが、さらに設けられている。中央磁石23a、周辺磁石23bは、例えば、永久磁石によって構成される。
中央磁石23aと周辺磁石23bとのそれぞれのターゲット16側の極性は、互いに異なっている。また、2つの磁石ユニット21、22におけるそれぞれの極性は相補的に構成される。例えば、磁石ユニット21ではターゲット16側における中央磁石23aの極性がN極とされ周辺磁石23bの極性がS極とされる一方で、磁石ユニット22ではターゲット16側における中央磁石23aの極性がS極とされ周辺磁石23bの極性がN極とされる。
ヨーク25の裏面には、固定部材27の一端が接合されている。固定部材27の他端は、支持棒7に接合されている。これにより、磁石ユニット21、22は支持棒7に連結される。本実施形態では、マグネトロンカソード対を構成する磁石ユニット21、22が、互いに向き合う位置から被成膜箇所Pに近づく+Z方向に所定角度だけ回転された状態で固定されている。このため、回転カソード5、6の間でかつ被成膜箇所P側の空間には、磁石ユニット21、22間によって相対的に強い静磁場が形成される。
各シール軸受9の台部には、モータと、モータの回転を伝達するギア(それぞれ図示省略)を備えた回転部19が設けられている。また、回転カソード5、6のベース部材8の+Y側の蓋部の開口部の周囲には、各回転部19のギアと噛み合うギア(図示省略)が設けられている。
各回転部19は、モータの回転によって中心軸線2(3)を中心に回転カソード5(6)を回転させる。より詳細には、回転部19は、回転カソード5、6のそれぞれの外周面のうち互いに対向している部分が下側から上側に向けてそれぞれ移動するように、中心軸線2、3回りで互いに逆方向に回転カソード5、6を回転させる。回転速度は例えば10〜20回転/分に設定され、スパッター処理の期間中は上記した回転速度および回転方向で定速回転される。また、回転カソード5、6は、シール軸受10および支持棒7を介して内部に冷却水を循環させるなどして、適宜、冷却されている。
スパッター用電源163に接続される電線は、2つに分岐して回転カソード5、6の各シール軸受10内に導かれている。各電線の先端には、回転カソード5、6のベース部材8の−Y側の蓋部に接触するブラシが設けられている。スパッター用電源163は、このブラシを介してベース部材8に、スパッター電力を供給する。本実施形態では、スパッター用電源163が回転カソード5、6に負電位の直流電力を供給する。この他にも、例えば、スパッター用電源163が回転カソード5、6に相互に逆位相の交流スパッター電力を供給する態様であっても構わないし、スパッター用電源163が回転カソード5、6に負電位と正電位とからなるパルス状の電力を供給する態様であっても構わない。
各ベース部材8(ひいては、各ターゲット16)にスパッター電力が供給されると、処理空間V1の各ターゲット16の表面にスパッターガスのプラズマが生成される。このプラズマは、磁石ユニット21、22が形成する静磁場によって、回転カソード5、6間でかつ被成膜箇所P側の空間に高密度に閉じ込められる。本明細書では、このように磁界閉じ込め効果によって高密度化されたプラズマをマグネトロンプラズマと呼ぶ。本実施形態のようにマグネトロンカソード対がマグネトロンプラズマを生成する態様では、1つのマグネトロンカソードがマグネトロンプラズマを生成する場合よりもプラズマが高密度化される。このため、本実施形態の態様は成膜レート向上の観点から望ましい。
上述の通り、回転カソード5、6間に設けられた1列の誘導結合アンテナ151は、処理空間V1のうち磁石ユニット21、22によって磁界が形成されている部分を含む空間に誘導結合プラズマを発生する。その結果、マグネトロンカソード対により発生するマグネトロンプラズマと誘導結合アンテナ151によって発生する誘導結合プラズマとが互いに重なり合い、混合プラズマが形成される。誘導結合アンテナ151が発生させた高密度の誘導結合プラズマも、磁石ユニット21、22が回転カソード5、6の外周面の近傍に形成する磁界によるマグネトロンプラズマとともに、ターゲット16のスパッターに寄与する。
このように誘導結合プラズマをスパッターに寄与させる場合、誘導結合プラズマの寄与がない場合に比べて、回転カソード5、6に供給するスパッター電力の大きさが同一でもスパッター電圧を低くすることができる(インピーダンスを低くすることができる)。これにより、ターゲット16から飛翔する反跳アルゴンや負イオンが基材91の被成膜面に与えるダメージが低下しつつ、高成膜レートで成膜処理が実行される。
スパッター処理では、チャンバー100の処理空間V1にスパッターガスと反応性ガスとを導入して、上記混合プラズマの雰囲気において回転カソード5、6の外周を被覆するZnOのターゲット16をスパッターし、当該ターゲット16に対向する基材91上にZnO膜を成膜する。
<1.3 除去作業およびスパッター処理の一例>
図5は、除去作業およびスパッター処理におけるタイミングチャートの一例を示す。
除去作業は、チャンバー100内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物を除去する作業であり、基材91にスパッター処理を実行する処理期間の前または後に行われる。
以下では、図5を参照しつつ、スパッター処理の処理期間(時刻t7〜t10)の直前に除去作業の作業期間(時刻t1〜t5)が設定される態様について説明する。また、以下では、チャンバー100内に基材91が収容された状態で除去作業が実行される態様について説明する。
時刻t0〜t1において、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。具体的には、チャンバー100内の圧力がベース真空圧(例えば、2.0×10−4[Pa])に到達するまで、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。
チャンバー100内の圧力がベース真空圧に達すると、時刻t1においてスパッターガス供給源511によりスパッターガスの供給が開始される(ガス供給工程)。また、チャンバー100内の圧力が誘導結合アンテナ151に高周波電力を印加する(各誘導結合アンテナ151をOFF状態からON状態に切り替える)のに適した所定の圧力(例えば、3.0[Pa])に到達するまで、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。
チャンバー100内の圧力が上記所定の圧力に達すると、時刻t2において高周波電源153により各誘導結合アンテナ151(5列の誘導結合アンテナ151)に高周波電力が供給される。これにより、チャンバー100の内部空間の全体に誘導結合プラズマが生成される(プラズマ生成工程)。
チャンバー100の内部空間の全体に誘導結合プラズマが生成されると、時刻t3においてチャンバー100内でプラズマ処理を行うのに適したプロセス圧(例えば、0.5[Pa])に到達するまで、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。
その後も一定期間プラズマ生成工程が実行され、誘導結合プラズマの作用によりチャンバー100内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは前記吸着物(例えば、水蒸気や水)が吸着箇所から脱離し、気化する。この期間が終えると、時刻t4において高周波電源153による各誘導結合アンテナ151への高周波電力の供給が停止される。すなわち、各誘導結合アンテナ151がON状態からOFF状態に切り替えられる。
その後、時刻t5において、スパッターガス供給源511によるスパッターガスの供給が停止される。また、チャンバー100内の圧力がベース真空圧に到達するまで、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。
このように、プラズマ作用によって吸着ガスまたは吸着物を気化し、この気化された気体を継続的に実行される排気工程によりチャンバー100の外部へと排出することで、チャンバー100内の各部(チャンバー100の構成要素およびチャンバー100内に配される基材91など)に対する吸着ガスまたは吸着物の除去作業が完了する。
次に、スパッター処理が実行される。具体的には、チャンバー100内の圧力がベース真空圧に達すると、時刻t6においてスパッターガス供給源511によりスパッターガスの供給が開始される。また、反応性ガス供給源521により反応性ガスの供給が開始される。これにより、処理空間V1には、スパッターガスと反応性ガスとの混合雰囲気が形成される。また、チャンバー100内の圧力が誘導結合アンテナ151に高周波電力を印加するのに適した所定の圧力(例えば、3.0[Pa])に到達するまで、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。
チャンバー100内の圧力が上記所定の圧力に達すると、時刻t7において高周波電源153により回転カソード5、6間に配される1列の誘導結合アンテナ151に高周波電力が供給される。これにより、処理空間V1のY方向中央位置に誘導結合プラズマが生成される。また、処理空間V1のY方向中央位置に誘導結合プラズマが生成されると、チャンバー100内でプラズマ処理を行うのに適したプロセス圧(例えば、0.5[Pa])に到達するまで、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。
チャンバー100内の圧力がプロセス圧に達すると、時刻t8においてスパッター用電源163により回転カソード5、6にスパッター電力が供給される。これにより、処理空間V1のY方向中央位置にマグネトロンプラズマが生成される。その結果、処理空間V1のY方向中央位置に(具体的には、回転カソード5、6間でかつ被成膜箇所P側の空間に)おいて、マグネトロンプラズマと誘導結合プラズマとの混合プラズマが形成される。
時刻t9においてスパッター用電源163による回転カソード5、6へのスパッター電力の供給が停止される。すなわち、回転カソード5、6がON状態からOFF状態に切り替えられる。
また、時刻t8〜t9の期間中において、搬送機構30が搬送経路面Lに沿って基材91を搬送する。より具体的には、搬送機構30は、基材91が被成膜箇所Pを複数回通過するように、基材91を搬送経路面Lに沿って±X方向に移動させる。また、加熱部40が搬送される基材91を加熱する。加熱部40は、例えば、基材91を300℃に加熱する。基材91の加熱温度が200℃以上であれば、基材91に対してZnO膜が低抵抗率で結晶化成膜される。その結果、搬送される基材91の−Z側の主面には、回転カソード5、6のターゲット16からスパッターされたZnO粒子が結晶化して堆積し、ZnO膜が成膜される。
その後、時刻t10においてスパッターガス供給源511によるスパッターガスの供給が停止される。また、反応性ガス供給源521による反応性ガスの供給が停止される。また、高周波電源153による1列の誘導結合アンテナ151への高周波電力の供給が停止される。すなわち、誘導結合アンテナ151がON状態からOFF状態に切り替えられる。また、チャンバー100内の圧力がベース真空圧に到達するまで、排気部170がチャンバー100内の気体を排気する。
<1.4 効果>
本実施形態では、プラズマ生成部80がチャンバー100の内部空間の全体(すなわち、処理空間V1および非処理空間V2)に誘導結合プラズマを生成する。このため、本実施形態の態様では、プラズマ作用を用いず加熱のみによって除去作業を行う他の態様(例えば、特許文献1)に比べ、プラズマ作用によって効率的に除去作業を実行できる。また、本実施形態の態様では、処理空間V1にのみプラズマを生成して除去作業を行う他の態様(例えば、特許文献2)とは異なり、チャンバー100の内部空間の全体について吸着ガスまたは吸着物の除去を行える。これにより、基材91が汚染されるリスクの低下、排気部170による真空引きの速度および精度の向上、その後のスパッター処理において成膜される膜質の向上、等の効果が得られる。
図6は、スパッタリング装置1において除去作業後にスパッター処理を実行した場合に得られるZnO膜のXRDチャートである。図7は、スパッタリング装置1において除去作業を実行せずにスパッター処理を実行した場合に得られるZnO膜のXRDチャートである。なお、図6および図7において、横軸はZnO膜表面から見たX線の入射角度2θを示し、縦軸は該X線の反射光の強度を示す。また、図6および図7では、ZnO膜の002面および004面にピークが表れている。
XRDチャートのピーク高は成膜されたZnO膜の結晶化率を表しており、ピークが高いことは結晶化率が高いことを意味する。したがって、図6および図7から分かるように、除去作業を行うことにより、スパッター処理により得られる膜の結晶化率が高くなる。すなわち、除去作業を行うことにより、スパッター処理により得られる膜の膜質が向上する。これは、除去作業でチャンバー100内の不純物が前もって除去されており、スパッター処理中に成膜される膜に不純物が混入し難いことによるものである、と考えられる。
また、本実施形態では、チャンバー100の内壁を貫通してチャンバー100の内部空間に突出して設けられた複数のLIA(5列の誘導結合アンテナ151)を用いて、除去作業が実行される。このため、本実施形態の態様では、チャンバー100の外部で生じさせたプラズマをチャンバー100内に作用させるリモートプラズマ技術を用いる他の態様(例えば、特許文献3)に比べて、プラズマ作用を弱めることなくチャンバー100内に付与して効果的に除去作業を実行することができる。
また、本実施形態では、プラズマ生成工程で用いられる複数のLIA(5列の誘導結合アンテナ151)の少なくとも一部(回転カソード5、6間の1列の誘導結合アンテナ151)が、除去作業およびスパッター処理で兼用されている。このため、装置の大型化を抑制することができ、望ましい。
また、本実施形態では、ガス供給工程で用いられるガス供給部(スパッターガス供給部510および反応性ガス供給部520)の少なくとも一部(スパッターガス供給部510)が除去作業およびスパッター処理で兼用されている。このため、装置の大型化を抑制することができ、望ましい。
また、本実施形態のように、基材91がチャンバー100内に収容された状態で各工程が実行されることにより、基材91に吸着する吸着ガスまたは吸着物も除去される。したがって、一度の除去作業でスパッタリング装置1および基材91の両方から不純物(吸着ガスまたは吸着物)を除去することができ、望ましい。
また、本実施形態では、除去作業が実行されるチャンバーが、スパッター処理が実行される際に基材91が収容される処理チャンバーである。このため、本実施形態の態様では、除去作業が実行されるチャンバーが非処理チャンバーである他の態様に比べて、除去作業によって効果的に処理精度を向上させる(本実施形態では、膜質を向上させる)ことができ、望ましい。
<2 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
図8は、変形例に係るスパッタリング装置1Aのスパッター処理部およびその周辺を示す断面模式図である。スパッタリング装置1Aでは、各誘導結合アンテナ151Aが、石英硝子などからなる誘電体の保護部材152Aによって覆われて、チャンバー100の内壁を貫通して設けられる(チャンバー100の内壁に埋め込まれる)。また、保護部材152Aの上面とチャンバー100の底板の上面とは面一に構成される。このような構成となっているため、各誘導結合アンテナ151Aに高周波電力が供給されると、チャンバー100の内部空間の全体にプラズマが生成される。その結果、本変形例では上記実施形態の態様と同様の効果が得られる。すなわち、本変形例の態様では、チャンバー100の外部で生じさせたプラズマをチャンバー100内に作用させるリモートプラズマ技術を用いる他の態様(例えば、特許文献3)に比べて、プラズマ作用を弱めることなくチャンバー100内に付与して効果的に除去作業を実行することができる。
上記実施形態では、除去作業とスパッター処理とが連続して実行される態様について説明したが、除去作業とスパッター処理とが非連続に実行されてもよい。また、上記実施形態では、除去作業が処理期間の前に実行される態様について説明したが、除去作業が処理期間の後に実行されても構わない。
また、上記実施形態では、基材91がチャンバー100内に収容された状態で除去作業が実行される態様について説明したが、基材91がチャンバー100内に収容されていない状態で除去作業が実行されても構わない。この場合、除去作業によって基材91がダメージを受けることなどを考慮しなくてすむので、チャンバー100内の各部に対して実行される除去作業の各処理条件(圧力、温度、ガスの種類、電力値など)が緩和される。
また、上記実施形態では、処理チャンバー(チャンバー100)で除去作業が実行される態様について説明したが、非処理チャンバー(例えば、上記実施形態におけるロードロックチャンバーやアンロードロックチャンバー)で除去作業が実行されても構わない。除去作業により、吸着ガスまたは吸着物を除去できるという効果は、基材91を処理するか否かを問わず、種々のチャンバーで有効である。
また、上記実施形態では、吸着ガスまたは吸着物として水蒸気または水を想定し、スパッターガス(アルゴンガス)を用いて除去作業を実行する態様について説明したが、これに限られるものではない。想定される種々の吸着ガスまたは吸着物(例えば、処理液が気化したものまたは処理液)を吸着箇所から脱離させるのに有効なガスを適宜用いることができる。
また、上記実施形態では、スパッタリング装置1が除去装置としての機能を有する態様について説明したが、これに限られるものではない。他の基材処理装置(例えば、エッチング処理装置やCVD装置など)が除去装置としての機能を有する態様でもよい。
また、上記実施形態では、基材保持部として基材91を保持しつつ搬送する搬送機構30が用いられる態様について説明したが、基材91を静止状態で保持する基材保持部が用いられても構わない。また、搬送機構30が基材91を搬送する方向についても、上記実施形態のように水平方向の場合の他に、例えば垂直方向であっても構わない。
また、上記実施形態では、各誘導結合アンテナ151がチャンバー100の底板を貫通してチャンバー100の内部空間に突出して設けられる態様について説明したが、これに限られるものではない。各誘導結合アンテナ151がチャンバー100の側壁や天板などを貫通してチャンバー100の内部空間に突出して設けられてもよい。
また、上記実施形態では、1列を構成する誘導結合アンテナ151の個数が5個の場合について説明しているが、該個数は回転カソード5(6)の長さに応じて適宜変更すればよい。その他にも、各部の位置、個数、長さなどの設計事項は適宜に変更可能である。
以上、実施形態およびその変形例に係る除去方法および除去装置について説明したが、これらは本発明に好ましい実施形態の例であって、本発明の実施の範囲を限定するものではない。本発明は、その発明の範囲内において、各実施形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施形態において任意の構成要素の増減が可能である。
1,1A スパッタリング装置
5,6 回転カソード
7 支持棒
8 ベース部材
16 ターゲット
19 回転部
21,22 磁石ユニット
30 搬送機構
31 搬送ローラ
50 スパッター処理部
80 プラズマ生成部
100 チャンバー
151,151A 誘導結合アンテナ
153 高周波電源
163 スパッター用電源
60 チムニー
90 キャリア
91 基材
510 スパッターガス供給部
520 反応性ガス供給部
V1 処理空間
V2 非処理空間

Claims (9)

  1. 処理対象である基材を収容可能なチャンバー内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物を除去する除去方法であって、
    前記基材に処理を実行する処理期間の前または後に行われる工程として、
    前記チャンバー内の気体を排気する排気工程と、
    前記チャンバー内にガスを供給するガス供給工程と、
    前記チャンバーの内壁を貫通して設けられた複数のLIA(Low Inductance Antenna)に高周波電力を供給して、前記チャンバーの内部空間の全体にプラズマを生成するプラズマ生成工程と、
    を備え、
    前記プラズマ生成工程で前記プラズマの作用により前記吸着ガスまたは前記吸着物を吸着箇所から脱離させて気化し、前記排気工程で前記チャンバーの外部へと排出することを特徴とする除去方法。
  2. 請求項1に記載の除去方法であって、
    前記複数のLIAは、前記チャンバーの内壁を貫通して前記内部空間に突出して設けられることを特徴とする除去方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の除去方法であって、
    前記基材が前記チャンバー内に収容された状態で前記各工程が実行されることにより、
    前記基材に吸着する吸着ガスまたは吸着物も、前記プラズマ生成工程で前記プラズマの作用により吸着箇所から脱離させて気化し、前記排気工程で前記チャンバーの外部へと排出することを特徴とする除去方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の除去方法であって、
    前記基材が前記チャンバー内に収容されていない状態で前記各工程が実行されることを特徴とする除去方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の除去方法であって、
    前記チャンバーは、前記処理が実行される際に前記基材が収容される処理チャンバーであることを特徴とする除去方法。
  6. 請求項5に記載の除去方法であって、
    前記プラズマ生成工程で用いられる前記複数のLIAの少なくとも一部が前記処理の際にも用いられることを特徴とする除去方法。
  7. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の除去方法であって、
    前記チャンバーは、非処理チャンバーであることを特徴とする除去方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の除去方法であって、
    前記ガス供給工程で用いられるガス供給部の少なくとも一部が前記処理の際にも用いられることを特徴とする除去方法。
  9. 処理対象である基材を収容可能なチャンバー内の少なくとも一部に吸着する吸着ガスまたは吸着物を除去する除去装置であって、
    チャンバーと、
    前記チャンバー内で基材を保持する基材保持部と、
    前記チャンバー内の気体を排気する排気部と、
    前記チャンバー内にガスを供給するガス供給部と、
    前記チャンバーの内壁を貫通して設けられた複数のLIA(Low Inductance Antenna)に高周波電力を供給して、前記チャンバーの内部空間の全体にプラズマを生成するプラズマ生成部と、
    を備え、
    前記基材に処理を実行する処理期間の前または後に、前記プラズマ生成部が生成する前記プラズマの作用により前記吸着ガスまたは前記吸着物を吸着箇所から脱離させて気化し、前記排気部の排気によって前記チャンバーの外部へと排出することを特徴とする除去装置。
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