JP2017064604A - 電気集じんフィルタユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力を抑制しつつ、捕集効率を向上させることが可能な電気集じんフィルタユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】電気集じんフィルタユニット1は、トゲ状の放電トゲ9を有し、電圧が印加される放電電極5と、通気性を持つ板状部材であり、放電トゲ9に対向して設置される集じん電極6とを備える電極部3と、電極部3の下流側に設けられ、比色法捕集効率60%以上である中性能フィルタを有するフィルタ部4とを備え、集じん電極6の板状部材の板面は、集じん電極6に向かって流れるガス流れに対し平行又は傾斜して配置され、放電トゲ9は、集じん電極6に対向して、ガス流れに沿って奥行き方向に複数設けられ、かつ、ガス流れに対して垂直方向に複数設けられる。
【選択図】図5
【解決手段】電気集じんフィルタユニット1は、トゲ状の放電トゲ9を有し、電圧が印加される放電電極5と、通気性を持つ板状部材であり、放電トゲ9に対向して設置される集じん電極6とを備える電極部3と、電極部3の下流側に設けられ、比色法捕集効率60%以上である中性能フィルタを有するフィルタ部4とを備え、集じん電極6の板状部材の板面は、集じん電極6に向かって流れるガス流れに対し平行又は傾斜して配置され、放電トゲ9は、集じん電極6に対向して、ガス流れに沿って奥行き方向に複数設けられ、かつ、ガス流れに対して垂直方向に複数設けられる。
【選択図】図5
Description
本発明は、電気集じんフィルタユニットに関するものである。
外気取り入れ部に設置される空気調和装置(以下「外調機」という。)において、外気に含まれる粒子状物質、例えば10μm以下程度の粗じんを除去する場合、プレフィルタや中性能フィルタ等を設置することが知られている。
また、最近では外気に含まれる更に微小な粒子状物質、例えば、2.5μm以下程度の微小粒子状物質(PM2.5)を除去するニーズがあり、その場合、HEPAフィルタ等の高性能フィルタや、帯電部と集じん部を有する二段式電気集じん装置を設置することが知られている。
また、最近では外気に含まれる更に微小な粒子状物質、例えば、2.5μm以下程度の微小粒子状物質(PM2.5)を除去するニーズがあり、その場合、HEPAフィルタ等の高性能フィルタや、帯電部と集じん部を有する二段式電気集じん装置を設置することが知られている。
通常、一般的な外調機には、除じん用にプレフィルタと中性能フィルタを順に配置しているが、中性能フィルタの場合、PM2.5の除去率は非常に低い(一般には個数効率で20%以下である。)。クリーンルーム等において、更に清浄度の高い空気が要求される場合、高いPM2.5の除去率が要求される。その場合、中性能フィルタに加えてHEPAフィルタが適用される。HEPAフィルタを用いるフィルタユニットは、プレフィルタ、中性能フィルタ及びHEPAフィルタが順に配置されて構成される。これにより、PM2.5の除去率は、例えば99.9%以上となり、高い除去結果を得ることができる。
また、除じん用として上記の中性能フィルタの代わりに電気集じん装置を用いる場合がある。その場合、電気集じん装置の前後に薄型プレフィルタと薄型アフタフィルタが配置され、PM2.5の除去率は、例えば70%程度である。
下記の特許文献1では、適用先が空気調和装置ではないが、内燃機関(例えばディーゼル機関)の排気中に含まれる粒子状物質(PM)を浄化するための排気浄化装置に関する発明が開示されている。この排気浄化装置は、PMを帯電させる帯電用電極と、帯電されたPMを集じんする接地極と、集じんされたPMを捕集するディーゼルパティキュレートフィルタを備えている。
上述したHEPAフィルタは、PM2.5に対して高い除去性能を発揮し、電気設備が不要であるが、複数のフィルタを重ね合わせるため、圧力損失が高く、ファン動力が大きくなるという問題がある。また、一般的なHEPAフィルタは、例えば1.5m/s程度と使用面風速が遅いため、空気調和装置の一般的な流速である2.5m/sの条件で使用する場合、HEPAフィルタの面積を広げるか、高価な多風量型のHEPAフィルタを用いなければならない。さらに、HEPAフィルタは、外気に水分が混入すると、閉塞傾向が早まり、寿命が低下する。またさらに、HEPAフィルタは再利用ができず、使用終了後、産業廃棄物として処分する必要がある。また、HEPAフィルタは一般的な中性能フィルタやプレフィルタに比べ高価である。
一方、電気集じん装置は前後に、薄型プレフィルタ、薄型アフタフィルタといった粗じん用フィルタのみが設置されるため、電気集じん装置本体の圧力損失が非常に低いことから、上述した圧力損失がフィルタユニットに比べて低く、また、経時的にほとんど圧力損失が増加しない。しかし、電気集じん装置は、設備コストが高く、また、高濃度に発生すると、健康に被害を及ぼすオゾンが発生するという問題がある。さらに、電気集じん装置は、捕集性能を向上させようとすると、粒子への帯電量を増やす必要がある。そのため、コロナ放電を多量に発生させなければならず、消費電力が増大する。一方、消費電力が増大すると、オゾンの発生量が大きくなるという問題がある。さらに、外調機に適用された場合、半年に1回の割合で洗浄して装置の再生を行わなければならない。フィルタは1年から2年に1回の割合で交換することから、電気集じん装置の洗浄の頻度は、フィルタの交換頻度に比べて高い。
図18に示すように、一般的に空気調和装置で用いられる電気集じん装置50は、帯電部集じん電極51及びワイヤ状の帯電部放電線53を有する帯電部と、集じん部集じん電極52及び平板状の集じん部放電極54を有する集じん部からなる二段式平行平板式であり、帯電部と集じん部の両方に電源が必要である。
また、上記の特許文献1における排気浄化装置などの排ガス浄化で用いられるディーゼルパティキュレートフィルタ(ハニカム形状)は、セラミックスフィルタであり、非常に細かい径の孔が形成されたろ過材料で、空気流れ方向の長さも長い。そのため、使用により捕集された粒子がセラミックスフィルタ表面上に蓄積して、差圧が上昇する。なお、セラミックスフィルタの再生は、表面上に捕集された未燃カーボンを燃焼して除去することによって行われる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電気集じん部の消費電力を抑制しつつ、電気集じんフィルタユニットの粒子状物質(微小粒子状物質(PM2.5)を含む。)の捕集効率を向上させることが可能な電気集じんフィルタユニットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の電気集じんフィルタユニットは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る電気集じんフィルタユニットは、トゲ状の放電トゲを有し、電圧が印加される放電電極と、通気性を持つ板状部材であり、前記放電トゲに対向して設置される集じん電極とを備える電極部と、前記電極部の下流側に設けられ、比色法捕集効率60%以上である中性能フィルタを有するフィルタ部とを備え、前記集じん電極の前記板状部材の板面は、前記集じん電極に向かって流れるガス流れに対し平行又は傾斜して配置され、前記放電トゲは、前記集じん電極に対向して、ガス流れに沿って奥行き方向に複数設けられ、かつ、ガス流れに対して垂直方向に複数設けられる。
すなわち、本発明に係る電気集じんフィルタユニットは、トゲ状の放電トゲを有し、電圧が印加される放電電極と、通気性を持つ板状部材であり、前記放電トゲに対向して設置される集じん電極とを備える電極部と、前記電極部の下流側に設けられ、比色法捕集効率60%以上である中性能フィルタを有するフィルタ部とを備え、前記集じん電極の前記板状部材の板面は、前記集じん電極に向かって流れるガス流れに対し平行又は傾斜して配置され、前記放電トゲは、前記集じん電極に対向して、ガス流れに沿って奥行き方向に複数設けられ、かつ、ガス流れに対して垂直方向に複数設けられる。
この構成によれば、電極部において、集じん電極が、奥行き方向に広がりガスの通過面積が広がることで、集じん電極を通過するガス流速が抑制され、捕集効率が向上する。また、放電電極の放電トゲが奥行き方向及び垂直方向(高さ方向)にわたって複数配置されているので、放電領域が集じん電極に広く形成される。
さらに、電極部では、集じん電極を通過した粒子状物質が、帯電することから、一部凝集肥大化して、下流の中性能フィルタで効率的に除去することが可能となる。したがって、本発明に係る電気集じんシステムは、相乗的な効果を発揮し、電気集じん装置と中性能フィルタそれぞれの捕集効率から推測される捕集効率よりも高い捕集効率となる。
上記発明において、一般的な汎用電源から単位ガス量当たりの前記電極部に印加する消費電力が決定され、決定された前記消費電力から前記放電トゲの先端及び前記集じん電極間の距離に基づいて、前記放電トゲ及び前記集じん電極の配置位置が決定される。
この構成によれば、決定された放電トゲや集じん電極の配置とすることで、運転時に一般的な汎用電源から決定される消費電力に抑制できる。
この構成によれば、決定された放電トゲや集じん電極の配置とすることで、運転時に一般的な汎用電源から決定される消費電力に抑制できる。
上記発明において、運転時のオゾン発生量が所定値以内であることが望ましい。
この構成によれば、オゾン発生量が抑制された運転とすることができる。
この構成によれば、オゾン発生量が抑制された運転とすることができる。
上記発明において、前記放電トゲの先端と、前記集じん電極の前記板状部材との間の距離をdとし、隣り合う二つの前記放電トゲ間の距離をLとしたとき、0.5d≦L≦2.0dの関係が成立する。
本発明によれば、電気集じん部の消費電力を抑制することでオゾンの発生量を抑制しつつ、電気集じんフィルタユニットの粒子状物質(微小粒子状物質(PM2.5)を含む。)の捕集効率を向上させて、PM2.5のような微小粒子状物質を一般の電気集じん機以上に除去することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1は、図1に示すように、例えば、空気調和装置(AHU:エアハンドリングユニット)2の空気取入口に設置される。なお、空気調和装置2には、電気集じんフィルタユニット1の下流側に、冷却コイル・加湿機12及び送風ファン13が設置される。以下では、空気調和装置2に適用される場合について説明するが、本発明に係る電気集じんフィルタユニット1は、火力発電プラントや焼却炉等の産業用燃焼設備の下流側の煙道内に設けられる排ガス処理設備に設置されてもよい。
本実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1は、図1に示すように、例えば、空気調和装置(AHU:エアハンドリングユニット)2の空気取入口に設置される。なお、空気調和装置2には、電気集じんフィルタユニット1の下流側に、冷却コイル・加湿機12及び送風ファン13が設置される。以下では、空気調和装置2に適用される場合について説明するが、本発明に係る電気集じんフィルタユニット1は、火力発電プラントや焼却炉等の産業用燃焼設備の下流側の煙道内に設けられる排ガス処理設備に設置されてもよい。
電気集じんフィルタユニット1は、電極部3と、フィルタ部4からなる。
電極部3は、図1から図4に示すように、粒子状物質を除去するため、粒子状物質を帯電させる放電電極5と、放電電極5に対向して配置される集じん電極6などを備える。放電電極5及び集じん電極6、フィルタ部4は、ケーシング7内に設置される。なお、図1から図4に示した電極部3は、概略的に示したものであり、放電電極5及び集じん電極6のサイズや設置数は、図示の例に限定されない。
電極部3は、図1から図4に示すように、粒子状物質を除去するため、粒子状物質を帯電させる放電電極5と、放電電極5に対向して配置される集じん電極6などを備える。放電電極5及び集じん電極6、フィルタ部4は、ケーシング7内に設置される。なお、図1から図4に示した電極部3は、概略的に示したものであり、放電電極5及び集じん電極6のサイズや設置数は、図示の例に限定されない。
フィルタ部4は、比色法で60%以上(JIS B 9908形式2:約2μm)の粒子捕集効率を有する中性能フィルタからなる。
放電電極5は、隣り合う集じん電極6の中間位置に設けられる。図2に示す斜視図では、放電電極5が省略されている。放電電極5は、図3及び図4に示すように、取付材8と放電トゲ9を有する。放電トゲ9は、取付材8に設置され、取付材8から集じん電極6に向かう方向、又は、集じん電極6と平行方向に突起して設置される。
放電電極5の取付材8は、一方向に長い棒状又は板状部材であり、取付材8の長さ方向が電気集じんフィルタユニット1の高さ方向に沿って設置される。放電電極5の放電トゲ9は、放電電極5の両側に設けられる集じん電極6それぞれに向かって突起する。したがって、放電電極5は、放電電極5の取付材8に対して一方向に突起した放電トゲ9と、その放電トゲ9と180°反対側に突起した放電トゲ9を有する。
取付材8の軸線方向が電極部3の入口部のガス流れに対して垂直である。ここで、本実施形態に係る電極部3のガス流れは、例えば重力方向に対し垂直方向である。なお、本発明は、この例に限定されず、ガス流れが重力方向に対し平行や傾斜した電極部3にも適用でき、ガス流れ方向には影響されない。
集じん電極6は、金網等によって形成された板状部材であり、放電電極5に対向して設置される。集じん電極6の板状部材は、板面において通気性があり、かつ、導電性を有する。集じん電極6の板状部材の板面は、電気集じんフィルタユニット1の入口側のガス流に対し、ほぼ平行に配置される。
集じん電極6は、例えば、金属製の織金物(平織、綾織、平畳織等)や、パンチングメタル等の金属製多孔板などであり、多数の孔が形成された板状部材である。
集じん電極6は、例えば、金属製の織金物(平織、綾織、平畳織等)や、パンチングメタル等の金属製多孔板などであり、多数の孔が形成された板状部材である。
放電電極5は、隣り合う2枚の集じん電極6間で奥行き方向にわたって複数本が設置される。また、各放電電極5の取付材8には、長さ方向にわたって複数個の放電トゲ9が設置される。放電電極5の放電トゲ9は、集じん電極6の板状部材においてコロナ放電の影響範囲が適切に分布するように、集じん電極6に対向して設置される。例えば、放電トゲ9は、集じん電極6の幅方向及び高さ方向に均等に配置される。これにより、コロナ放電の放電領域が、集じん電極6の全面にわたって形成される。その結果、集じん電極6を通過する空気に含まれる粒子状物質を、集じん電極6の全面で捕集することが可能になる。また、放電電極5が奥行き方向に並んで配置されていることから、手前側の放電領域で捕えられなかった粒子状物質を、奥側の放電領域で荷電し捕集することができる。
各放電電極5は、電気的に接続されており、一つの電源部から同一の電圧が印加される。
各放電電極5は、電気的に接続されており、一つの電源部から同一の電圧が印加される。
放電電極5と集じん電極6は互いに離隔され、電気的に絶縁されている。放電電極5は、高圧電源(図示せず。)と接続される。放電電極5に高電圧が印加されることによって、放電電極5でコロナ放電が生じる。コロナ放電によって、空気中に含まれる粒子状物質が帯電され、帯電された粒子状物質は、集じん電極6にクーロン力で引き寄せられ、集じん電極6上に捕集される。
集じん電極6は、長方形の板状部材であり、長辺が高さ方向に沿って設置され、短辺が奥行き方向に沿って設置される。
隣り合う2枚の集じん電極6は、平行に配置され、互いに対向している。隣り合う2枚の集じん電極6の下流側の辺は、遮蔽板10の対向する2辺にそれぞれ接続される。これにより、隣り合う2枚の集じん電極6と1枚の遮蔽板10によって、横断面が「コ」の字形状となる。その結果、図5に示すように、2枚の集じん電極6間に流入した空気は、奥行き方向の全てにわたって集じん電極6を通過する。
隣り合う2枚の集じん電極6は、平行に配置され、互いに対向している。隣り合う2枚の集じん電極6の下流側の辺は、遮蔽板10の対向する2辺にそれぞれ接続される。これにより、隣り合う2枚の集じん電極6と1枚の遮蔽板10によって、横断面が「コ」の字形状となる。その結果、図5に示すように、2枚の集じん電極6間に流入した空気は、奥行き方向の全てにわたって集じん電極6を通過する。
上述の隣り合う2枚の集じん電極6を1セットとしたとき、隣り合うセット間の集じん電極6の上流側の辺は、遮蔽板11の対向する2辺に接続される。そして、複数セットの2枚の集じん電極6が、電極部3の幅方向にわたって設けられる。これにより、電気集じんフィルタユニット1の正面に向かって流れる空気は、集じん電極6の各セットに分かれて、集じん電極6間に空気が流入する。
また、図5に示すように、空気の流れ方向が、電気集じんフィルタユニット1の入口部と集じん電極6の通過時とで変化し、さらに、集じん電極6の通過時と集じん電極6の出口部とで再度変化する。これにより、集じん電極6を通過する空気流れの面流速が低下するため、集じん電極6における粒子状物質に対する荷電率や粒子状物質の捕集効率を向上させることができる。
電気集じんフィルタユニット1には、集じん電極6に付着した粒子状物質を剥離する槌打装置(図示せず。)が設けられてもよい。槌打装置はハンマを有しており、ハンマが集じん電極6を槌打することで、表面に付着した粒子状物質を振動によって剥離除去する。
なお、粒子状物質の集じん電極6の板状部材からの除去方法は、槌打装置を用いた槌打に限定されない。例えば、板状部材に捕集された粒子状物質に対しガスを吹き付ける方法、又は、ソニック・ホーンを用いて音波を照射する方法によって、粒子状物質を板状部材から除去してもよい。また、湿式電気集じん機で行われている洗浄液による洗浄によって、板状部材から粒子状物質を除去してもよい。
なお、粒子状物質の集じん電極6の板状部材からの除去方法は、槌打装置を用いた槌打に限定されない。例えば、板状部材に捕集された粒子状物質に対しガスを吹き付ける方法、又は、ソニック・ホーンを用いて音波を照射する方法によって、粒子状物質を板状部材から除去してもよい。また、湿式電気集じん機で行われている洗浄液による洗浄によって、板状部材から粒子状物質を除去してもよい。
以上、本実施形態によれば、電極部3とフィルタ部4が組み合わされた構成となっており、放電電極5で帯電することから、一部集じん電極6に捕集される。また、一部の粒子状物質が、集じん電極6上で静電気力や物理的付着力によって凝集肥大化する。そして、集じん電極6を通過した粒子状物質は、下流の中性能フィルタで捕集される。このとき、集じん電極6を通過した粒子状物質は、凝集肥大化して中性能フィルタで捕集除去される。また、集じん電極6上に一度捕集された粒子状物質が、集じん電極6上に蓄積・凝集し下流に再飛散して中性能フィルタからなるフィルタ部4で捕集除去される。
したがって、本実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1は、相乗的な効果を発揮し、電極部3と中性能フィルタからなるフィルタ部4それぞれの捕集効率から推測される捕集効率よりも高い捕集効率となる。本実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1の捕集効率は、例えば80%である。
本実施形態では、集じん電極6において空気が通過する構成とされていることから、放電電極5によって生じるイオン風と、集じん電極6を通過するガス流れの方向が同一となる。これにより、集じん電極6での粒子状物質の捕集効率の向上を図ることができる。
標準的な空気調和装置に対して本実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1を適用する場合、空気調和装置の平均流速は2.5m/secであることから、610mm×610mmの正面面積に空気を通過させると、電気集じんフィルタユニット1の空気処理量は、0.93m3/secとなる。
一般的な汎用電源の一例である10kV、3mAの電源で、0.93m3/secの空気量を処理するには、消費電力を32W/m3/sec以下とする必要がある。610mm×610mmの正面面積の範囲内で、10kV以下の電圧で32W/m3/secの電力を投入するための電極構成を検討した。
電極構成で決定する寸法は、図6及び図7に示すように、放電電極5と集じん電極6との間の電極間隔(L)、隣り合う放電トゲの間のトゲピッチ(D)である。
以下、電極間隔(L)の決定方法について説明する。
まず、投入電力を決定し、単位ガス量当たりの投入電力を算出する。投入電力は、例えば10kV、3mAの場合、30Wである。
算出された投入電力を、単位ガス量で割り、単位ガス当たりの投入電力を決定する。上述の例では、単位ガス量当たりの投入電力は、32W/m3/secと決定された。
まず、投入電力を決定し、単位ガス量当たりの投入電力を算出する。投入電力は、例えば10kV、3mAの場合、30Wである。
算出された投入電力を、単位ガス量で割り、単位ガス当たりの投入電力を決定する。上述の例では、単位ガス量当たりの投入電力は、32W/m3/secと決定された。
図8に示す単位ガス量当たりの投入電力(消費電力)と電極間隔(L)との関係を用いて、上記で決定された単位ガス量当たりの投入電力から電極間隔(L)を決定する。なお、図8に示した単位ガス量当たりの投入電力と電極間隔(L)との関係は、印加電圧が10kVの場合である。また、電極間隔(L)は、集じん電極6の面積によって異なることから、集じん電極6の幅(電極部3の奥行寸法)に応じて、単位ガス量当たりの投入電力と電極間隔(L)との関係が変化する。図8では、集じん電極6の幅(電極部3の奥行寸法)が300mmの場合と、100mmの場合の両方を示している。
なお、印加電圧が10kV以外の場合、図9を用いることで、上記で算出された電極間隔(L)は、補正されて算出される。
トゲピッチ(D)の決定方法について説明する。
トゲピッチ(D)は、電極間隔に対して広すぎると、電流密度の希薄な領域が広がることになって電流が抑制され、電極間隔に対して狭すぎると、放電電極5の放電領域同士が干渉して電流が抑制される。したがって、トゲピッチ(D)は、電極間隔との関係で最適な範囲が存在する。
トゲピッチ(D)は、電極間隔に対して広すぎると、電流密度の希薄な領域が広がることになって電流が抑制され、電極間隔に対して狭すぎると、放電電極5の放電領域同士が干渉して電流が抑制される。したがって、トゲピッチ(D)は、電極間隔との関係で最適な範囲が存在する。
トゲピッチ(D)と電極間隔(L)の比と、平均電流密度比(最大を1とする)の関係を解析結果によって求めると、図10のとおりとなる。図10を参照すると、電極間隔に対してトゲピッチが0.5倍から2.0倍の範囲となるように選定することで、平均電流密度の最大値に対して約80%以上の電流密度を確保することができる。
トゲピッチ(D)と電極間隔(L)の比と、平均電流密度比(最大を1とする)の関係が得られれば、高い電流密度が得られる範囲を選定でき、上記で算出された電極間隔(L)からトゲピッチ(D)が決定される。
上記によれば、目標消費電力(投入電力)に基づいて、トゲピッチ(D)と電極間隔(L)が決定されており、電気集じんフィルタユニット1は、捕集効率を高く設定しながら、コロナ開始電圧を低下させ消費電力を抑制できる。
上記によれば、目標消費電力(投入電力)に基づいて、トゲピッチ(D)と電極間隔(L)が決定されており、電気集じんフィルタユニット1は、捕集効率を高く設定しながら、コロナ開始電圧を低下させ消費電力を抑制できる。
なお、上述した実施形態では、隣り合う2枚の集じん電極6は、平行に配置され、隣り合う2枚の集じん電極6と1枚の遮蔽板10によって、横断面がコの字形状となる場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、図11に示すように、隣り合う2枚の集じん電極6が、下流側において、遮蔽板10を介さずに直接互いに接続されてもよい。これにより、隣り合う2枚の集じん電極6によって、横断面が「く」の字形状、すなわち山型形状となる。この場合も、2枚の集じん電極6間に流入した空気は、奥行き方向の全てにわたって集じん電極6を通過する。
電気集じんフィルタユニット1の正面視形状は、従来のフィルタユニットのモジュールサイズと同一であり、例えば610mm×610mmである。電極部3の奥行き方向の長さは、300mmであり、フィルタ部4の奥行き方向の長さは、65mmである。電極部3とフィルタ部4の間隔は、30mmであって、集じんシステムの奥行き方向の合計長さは、395mmである。これにより、従来のフィルタユニットと比べて、奥行き方向の長さが極端に長くなりすぎず、コンパクトなサイズとされている。
上述した実施形態において、トゲピッチ(D)と電極間隔(L)が決定された後、オゾン発生量が許容値、すなわち所定値以内であることが確認されていることが望ましい。これにより、本実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1において、オゾン発生量が抑制された運転とすることができる。
上述した本実施形態に係る電気集じんフィルタユニット1は、電極部3とフィルタ部4が一体型である場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。電極部3とフィルタ部4は、別体であってもよい。この場合でも、電極部3の正面面積が、フィルタ部4の正面面積と一致していれば、従来のフィルタと同様の設置が容易になる。
[実施例]
電気集じんフィルタユニット1のうちフィルタ部4がなく電極部3のみとした場合の極性変化による諸特性(圧力損失、オゾン発生量、捕集効率)を確認した。差圧計、パーティクルカウンタ、オゾン濃度計が、電極部3の前後それぞれについて測定可能に接続される。測定結果は、10kV、3mA、33W/m3/secとしたときの値で評価した。面風速は、2.5m/sである。
電気集じんフィルタユニット1のうちフィルタ部4がなく電極部3のみとした場合の極性変化による諸特性(圧力損失、オゾン発生量、捕集効率)を確認した。差圧計、パーティクルカウンタ、オゾン濃度計が、電極部3の前後それぞれについて測定可能に接続される。測定結果は、10kV、3mA、33W/m3/secとしたときの値で評価した。面風速は、2.5m/sである。
電極部3のみの構成では、圧力損失は、110Paである。捕集効率は、図13に示す結果が得られ、放電電極5の極性が正極性であるとき28%、負極性であるとき33%である。また、オゾン発生量は、図14に示す結果が得られ、放電電極5の極性が正極性であるときはばらつきが大きく0.08〜0.10ppm、負極性であるとき0.04ppmである。
以上より、電極部3のみの構成では、捕集効率は低く、約30%前後であることが分かった。また、捕集効率は、放電電極5の極性が負極性の場合のほうが高いが、オゾン発生量も負極性のほうが多いことが分かった。
電極部3とフィルタ部4からなる集じんシステムの極性変化による諸特性(圧力損失、オゾン発生量、捕集効率)を確認した。差圧計21、パーティクルカウンタ22、オゾン濃度計23が、図12に示すように、電気集じんフィルタユニット1の前後それぞれについて測定可能に接続される。測定結果は、10kV、3mA、33W/m3/secとしたときの値で評価した。面風速は、2.5m/sである。
電極部3とフィルタ部4からなる構成では、圧力損失は、最大180Paである。捕集効率は、放電電極5の極性が正極性であるとき、図15に示す結果が得られ、最大83%であり、負極性であるとき、図16に示す結果が得られ、最大78%である。また、オゾン発生量は、図17に示す結果が得られ、放電電極5の極性が正極性であるとき0.03ppm〜0.10ppm、負極性であるとき0.04ppmである。
以上より、電極部3とフィルタ部4からなる構成では、捕集効率は、約80%前後であることが分かった。また、捕集効率は、放電電極5の極性が正極性の場合のほうが高い。オゾン発生量は、正極性と負極性のいずれの場合も、単位ガス量当たりの投入電力に比例する。
なお、正極性の場合、オゾン発生量は、日毎に高くなったり、低くなったりする傾向があり、大気条件(ガス中水分)によってばらつきが高くなることも確認された。
なお、正極性の場合、オゾン発生量は、日毎に高くなったり、低くなったりする傾向があり、大気条件(ガス中水分)によってばらつきが高くなることも確認された。
以上、本実施形態によれば、空気調和装置で通常適用される二段式の平行平板式電気集じん装置よりも、消費電力を抑制しつつ、捕集効率を向上させることができる。
1 :電気集じんフィルタユニット
2 :空気調和装置
3 :電極部
4 :フィルタ部
5 :放電電極
6 :集じん電極
7 :ケーシング
8 :取付材
9 :放電トゲ
10 :遮蔽板
11 :遮蔽板
12 :冷却コイル・加湿機
13 :送風ファン
21 :差圧計
22 :パーティクルカウンタ
23 :オゾン濃度計
50 :電気集じん装置
51 :帯電部集じん電極
52 :集じん部集じん電極
53 :帯電部放電線
54 :集じん部放電極
2 :空気調和装置
3 :電極部
4 :フィルタ部
5 :放電電極
6 :集じん電極
7 :ケーシング
8 :取付材
9 :放電トゲ
10 :遮蔽板
11 :遮蔽板
12 :冷却コイル・加湿機
13 :送風ファン
21 :差圧計
22 :パーティクルカウンタ
23 :オゾン濃度計
50 :電気集じん装置
51 :帯電部集じん電極
52 :集じん部集じん電極
53 :帯電部放電線
54 :集じん部放電極
Claims (4)
- トゲ状の放電トゲを有し、電圧が印加される放電電極と、通気性を持つ板状部材であり、前記放電トゲに対向して設置される集じん電極とを備える電極部と、
前記電極部の下流側に設けられ、比色法捕集効率60%以上である中性能フィルタを有するフィルタ部と、
を備え、
前記集じん電極の前記板状部材の板面は、前記集じん電極に向かって流れるガス流れに対し平行又は傾斜して配置され、
前記放電トゲは、前記集じん電極に対向して、ガス流れに沿って奥行き方向に複数設けられ、かつ、ガス流れに対して垂直方向に複数設けられる電気集じんフィルタユニット。 - 一般的な汎用電源から単位ガス量当たりの前記電極部に印加する消費電力が決定され、決定された前記消費電力から前記放電トゲの先端及び前記集じん電極間の距離に基づいて、前記放電トゲ及び前記集じん電極の配置位置が決定される請求項1に記載の電気集じんフィルタユニット。
- 運転時のオゾン発生量が所定値以内である請求項2に記載の電気集じんフィルタユニット。
- 前記放電トゲの先端と、前記集じん電極の前記板状部材との間の距離をdとし、隣り合う二つの前記放電トゲ間の距離をLとしたとき、
0.5d≦L≦2.0d
の関係が成立する請求項1から3のいずれか1項に記載の電気集じんフィルタユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015191252A JP2017064604A (ja) | 2015-09-29 | 2015-09-29 | 電気集じんフィルタユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015191252A JP2017064604A (ja) | 2015-09-29 | 2015-09-29 | 電気集じんフィルタユニット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017064604A true JP2017064604A (ja) | 2017-04-06 |
Family
ID=58490891
Family Applications (1)
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JP2015191252A Pending JP2017064604A (ja) | 2015-09-29 | 2015-09-29 | 電気集じんフィルタユニット |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2017064604A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019118885A (ja) * | 2018-01-05 | 2019-07-22 | 三菱日立パワーシステムズ環境ソリューション株式会社 | 集じん装置 |
-
2015
- 2015-09-29 JP JP2015191252A patent/JP2017064604A/ja active Pending
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JP2019118885A (ja) * | 2018-01-05 | 2019-07-22 | 三菱日立パワーシステムズ環境ソリューション株式会社 | 集じん装置 |
JP7077021B2 (ja) | 2018-01-05 | 2022-05-30 | 三菱重工パワー環境ソリューション株式会社 | 集じん装置 |
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