JP2017061661A - 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する明細書に記載の式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種と、第一の分散剤とを水中に分散して水性顔料分散液Aを得る工程a、式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種と、第二の分散剤とを水中に分散して水性顔料分散液Bを得る工程b、及び、水性顔料分散液Aと水性顔料分散液Bとを混合し水性顔料分散液を得る工程c、を含むことを特徴とする水性顔料分散液の製造方法、上記製造方法により得られる水性顔料分散液、上記水性顔料分散液を用いた着色組成物、インク組成物及びインクジェット記録方法。
【選択図】なし
Description
各種着色組成物において、顔料を着色剤として用いる場合、固体である顔料の分散性、分散安定性を確保することが重要である。
公害防止や労働衛生の面から、塗料、印刷インクのような着色剤を使用する業界では水系化指向が強い。また、情報の記録に用いられるボールペン、サインペン等の文具やインクジェットに代表されるプリンターやプロッター等の記録液は、毒性や衛生の面から水系化が進んでいる。
更に、近年、顔料のような水に不溶性の固体を分散させた水分散物は、インクジェット記録用インク組成物などとして多く利用されている。
また、従来の顔料分散液としては、特許文献1及び2に記載のものが知られている。
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する下記式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種と、第一の分散剤とを水中に分散して水性顔料分散液Aを得る工程a、
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する下記式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種と、第二の分散剤とを水中に分散して水性顔料分散液Bを得る工程b、及び、
水性顔料分散液Aと水性顔料分散液Bとを混合し水性顔料分散液を得る工程c、を含むことを特徴とする水性顔料分散液の製造方法。
第一の分散剤及び第二の分散剤の少なくとも一方が、高分子分散剤である、[1]に記載の水性顔料分散液の製造方法。
[3]
第一の分散剤が、アミン価が5mgKOH/g以上であり、かつ、アミン価が酸価よりも大きく、
第二の分散剤が、長鎖脂肪酸塩、又は、酸価が5mgKOH/g以上であり、かつ、酸価がアミン価以上である、
[1]又は[2]に記載の水性顔料分散液の製造方法。
[4]
工程cの後に、更に、水性顔料分散液の電気伝導度を100μS/cm以下にする工程を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
[5]
得られる水性顔料分散液において、式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種の含有量100質量部に対して、第一の分散剤及び第二の分散剤の総含有量が、10〜90質量部である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
[6]
式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種が、ソルトミリングしていないものである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液。
[8]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液を原料として用いた着色組成物。
[9]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液を原料として用いたインク組成物。
[10]
インクジェット記録用インク組成物である、[9]に記載のインク組成物。
[11]
[10]に記載のインクジェット記録用インク組成物を記録媒体上にインクジェット方式により吐出する工程を含む、インクジェット記録方法。
[12]
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する下記式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種と、
第一の分散剤と、
第二の分散剤と、
水と、を含有することを特徴とする
水性顔料分散液。
第一の分散剤及び第二の分散剤の少なくとも一方が、高分子分散剤である、[12]に記載の水性顔料分散液。
[14]
第一の分散剤が、アミン価が5mgKOH/g以上であり、かつ、アミン価が酸価よりも大きく、
第二の分散剤が、長鎖脂肪酸塩、又は、酸価が5mgKOH/g以上であり、かつ、酸価がアミン価以上である、
[12]又は[13]に記載の水性顔料分散液。
[15]
式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種の含有量100質量部に対して、第一の分散剤及び第二の分散剤の総含有量が、10〜90質量部である、[12]〜[14]のいずれか1項に記載の水性顔料分散液。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。また、「主鎖末端の少なくとも1つに塩基性官能基を有するポリマー」等を単に「成分A」等ともいう。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書中、式で表される化合物における基の表記に関して、置換あるいは無置換を記していない場合、上記基が更に置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、無置換の基のみならず置換基を有する基も包含する。例えば、式の説明において、「Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、無置換アリール基又は置換アリール基を表す」ことを意味する。また、本明細書中、(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリルとをともに含む概念を表し、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等についても同様である。
また、本明細書におけるポリマーには、コポリマーを含むものとする。
本発明の水性顔料分散液(以下、単に「顔料分散液」、「式(1)で表されるアゾ顔料」ともいう。)は、少なくともCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種(以下、単に「式(1)で表されるアゾ顔料」ともいう。)と、第一の分散剤と、第二の分散剤と、水と、を含有することを特徴とする。
本発明の水性顔料分散液は、本発明の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液であることが好ましい。
以下、本発明における少なくともCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する式(1)で表されるアゾ顔料について、詳細に説明する。
なお、式(1)で表されるアゾ顔料は、その塩、水和物又は溶媒和物であってもよい。
式(1)で表される顔料において、結晶中に水分子を含む水和物、あるいは、溶媒(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類や、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン等の非プロトン性溶媒など)を含む溶媒和物であってもよい。
式(1)で表されるアゾ顔料は、公知の方法で合成することができる。
得られる生成物は、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供することができる。
すなわち、例えば、反応系から遊離したものを精製せずに、又は、再結晶、造塩等にて精製する操作を単独又は組み合わせて行い、供することができる。
また、反応終了後、水又は氷にあけ、遊離したもの又は有機溶媒/水溶液にて抽出したものを、精製せずに又は再結晶、晶析、造塩等にて精製する操作を単独に又は組み合わせて行った後、供することもできる。なお、水又は氷にあける際に、反応溶媒を予め留去してもよく、また、留去せずに水又は氷にあけてもよい。更に、水又は氷にあけた後、中和してもよく、また、中和しなくてもよい。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、このような後処理、特にソルベントソルトミリングやソルトミリングを行わないことが好ましい。本発明の水性顔料分散液の製造方法であれば、このような後処理を行わなくても、保存安定性及び画像堅牢性に十分優れた水性顔料分散剤が得られるため、コストや工程の簡便性の面で優れる。
また、本発明の水性顔料分散液における式(1)で表されるアゾ顔料は、ソルトミリングしていないものであることが好ましい。
ソルベントソルトミリングとしては、例えば、粗アゾ顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行うことが挙げられる。上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。
上記無機塩の使用量は、粗アゾ顔料に対して3〜20質量倍とするのが好ましく、5〜15質量倍とするのがより好ましい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好適に使用でき、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。
上記水溶性有機溶剤の使用量は、粗アゾ顔料に対して0.1〜5質量倍が好ましい。混練温度は、20℃〜130℃が好ましく、40℃〜110℃が特に好ましい。
混練機としては、例えば、ニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
上記製造方法によって得られるアゾ顔料の一次粒子を、透過型顕微鏡で観察した際の長軸方向の長さは、平均値として、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.01μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.02μm以上0.5μm以下であることが更に好ましく、0.02μm以上0.2μm以下が特に好ましく、0.02μm以上0.15μm以下が最も好ましい。上記範囲であると、光やオゾンに対して高い堅牢性をより示し、分散性に優れ、水系顔料分散液の保存安定性及び画像堅牢性により優れる。
本発明の水性顔料分散液は、第一の分散剤、及び、第二の分散剤を含有する。
本発明における第一の分散剤と第二の分散剤とは、異なる分散剤であること以外は、特に制限はないが、第一の分散剤は、アミン価が10mgKOH/g以上である分散剤であることが好ましく、アミン価が10mgKOH/g以上かつアミン価>酸価である分散剤であることがより好ましく、また、第二の分散剤は、長鎖脂肪酸塩、又は、酸価が5mgKOH/g以上である分散剤であることが好ましく、長鎖脂肪酸塩、又は、酸価が5mgKOH/g以上かつ酸価≧アミン価である分散剤であることがより好ましい。
群A:EFKA 4510、EFKA 4560、EFKA 4580、EFKA 4585、EFKA 4800、EFKA 5071、EFKA 6220、DISPERBYK−183、DISPERBYK−184、及びDISPERBYK−2700
群B:DISPERBYK−181、DISPERBYK−180、DISPERBYK−187、DISPERBYK−190、DISPERBYK−194、DISPERBYK−2090、DISPERBYK−2091、EFKA 4520、EFKA 6225、DISPERBYK−20000及び長鎖脂肪酸塩
これらのうち、特に好ましい第一の分散剤は、EFKA 4585であり、特に好ましい第二の分散剤は、DISPERBYK−181、DISPERBYK−187、又は、DISPERBYK−190である。
なお、上記EFKA(登録商標)シリーズは、ビーエーエスエフ社製分散剤であり、上記DISPERBYK(登録商標)シリーズは、ビックケミー社製分散剤である。
以下に、これらの市販品の酸価及びアミン価の値を示す。
また、第一の分散剤は、アミン価と酸価との差(アミン価−酸価)が、3〜100mgKOH/gであることが好ましく、5〜70mgKOH/gであることがより好ましく、10〜40mgKOH/gであることが更に好ましい。
また、第二の分散剤は、酸価とアミン価との差(酸価−アミン価)が、0〜200mgKOH/gであることが好ましく、0〜150mgKOH/gであることがより好ましく、0〜100mgKOH/gであることが更に好ましい。
第一の分散剤、及び、第二の分散剤は、水への溶解性が、1g/100mL以上であることが好ましく、3g/100mL以上であることがより好ましく、5g/100mL以上であることが更に好ましい。水への溶解性が1g/100mL以上であると、水への溶解性に優れ、特定顔料への吸着性に優れ、良好な分散性が得られる。
また、印画物の画質の観点から、第一の分散剤、及び、第二の分散剤のいずれかは、高分子分散剤であることが好ましく、第一の分散剤が少なくとも高分子分散剤であることがより好ましい。
なお、本発明における高分子分散剤とは、重量平均分子量が1,000以上である分散剤である。
本発明において、分散剤の重量平均分子量は、5,000以上200,000以下が好ましく、8,000以上150,000以下であることがより好ましく、10,000以上100,000以下であることが更に好ましい。重量平均分子量が5,000以上では印画物の画質が優れ、一方、200,000以下では、粘度が高くなるのを抑制でき、更に貯蔵安定性の低下を防ぐ。
高分子分散剤は、親水性モノマー、疎水性モノマーの両方を重合して得られた分散剤であることが好ましい。
なお、本発明におけるポリビニル系樹脂とは、エチレン性不飽和モノマーの単独重合体又は共重合体であり、アクリル樹脂やスチレン樹脂等が挙げられる。
カチオン性基も、また、アニオン性基も、分散剤に両性的安定性(amphoteric stabilisation)を与える。
好ましいアニオン性基は、カルボキシル基、フェノール性ヒドロキシ基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、ポリ燐酸基、燐酸基、及び、これらの塩である。
好ましいカチオン性基は、第四級アンモニウム基、ベンサルコニウム基、グアニジニウム基、ビグアニジニウム基、及び、ピリジニウム基である。これらは水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物のような塩の形でもよい。
非イオン性基は、グルコキシド構造、糖構造、ピロリドン構造、アクリルアミド基、ヒドロキシ基又はポリ(アルキレンオキシド)基であることが好ましく、ポリ(エチレンオキシド)基又はポリ(プロピレンオキシド)基であることがより好ましく、−(CH2CH2O)nH又は−(CH2CH2O)nC1-4−アルキルであることが更に好ましい。ここで、nは3〜200(好ましくは4〜20)を表す。また、これ以降、例えばC1-4−の表現は、「炭素数1〜4の」を表す。
ポリマーは、非イオン性基のみを、ポリマー全体で複数の非イオン性基を、また、非イオン性基を含む1以上のポリマー鎖を含んでいてもよい。ヒドロキシ基は、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル化合物又はセルロースを用いて挿入される。エチレンオキシ基はポリエチレンオキシドのようなポリマー鎖を用いて挿入される。
ポリマーは、ホモポリマーでもよいが、好ましくは共重合体(コポリマー)である。ポリマーはランダムポリマー(統計上短いブロック又はセグメント)であってもグラフトポリマー(長いブロック又はセグメント)であってもよい。また、ポリマーは、交互(alternating)ポリマーでもよい。ポリマーは、分岐していてもよいが、好ましくは直鎖である。ポリマーは2以上のセグメント(例えば、ブロック及びグラフト、コポリマー)を持っていてもよいが、好ましくはランダムである。
ポリマーが2以上のセグメントを有する場合の態様では、少なくとも1つのセグメントは疎水性であり、少なくとも1つのセグメントは互いに関連性の親水性であることが好ましい。疎水性及び親水性セグメントを形成する好ましい方法は、それぞれ疎水性及び親水性モノマーの共重合による方法が挙げられる。ポリマーが少なくとも1つの疎水性セグメント及び少なくとも1つの親水性セグメントを有する場合、カルボキシル基は、疎水性セグメントにあっても、親水性セグメントにあっても、また、両方のセグメントにあってもよい。
ビニルポリマーは、(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合が好ましい。
ビニルポリマーは、好ましくは共重合体(コポリマー)である。
疎水性モノマー及び親水性モノマーから導かれるコポリマーは、好ましくは実質的にセグメントを有しない。例えば、上記コポリマーはセグメント長が非常に短いか存在しないようなフリーラジカル重合によって製造される。かかる場合はしばしば「ランダム」重合と呼ばれる。セグメントをもつコポリマーはリビング重合、特に原子団転移(group transfer)重合、原子転移(atom transfer)重合、マクロモノマー(macromonomer)重合、グラフト重合、アニオン又はカチオン重合のような重合方法によって製造される。
好適な親水性ビニルモノマーは、非イオン性及びイオン性モノマーである。
好ましい非イオン性モノマーは、糖類、グルコース化合物、アミド化合物、ピロリドン化合物であり、特にヒドロキシ基及びエトキシ基をもつものである。
好ましい非イオン性モノマーの例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、エトキシ化された(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
好適なイオン性ビニルモノマーは、カチオン性であってもよい。
好ましいカチオンビニルモノマーは、第四級アンモニウム基、ピリジニウム基、グアニジニウム基又はビグアニジニウム基を含むものである。
好ましい疎水性ビニルモノマーは、親水性基を持たない。好ましい疎水性ビニルモノマーとしては、C1-20−ヒドロカルビル(メタ)アクリレート、ブタジエン、スチレン及びビニルナフタレンが挙げられ、C1-20−ヒドロカルビル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート)が好ましく、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートが特に好ましい。これらのヒドロカルビル基は分岐でもよいが、好ましくは直鎖である。
ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとのエステル化で製造されることが典型的なものである。
カルボキシル基を有するポリエステルは、例えば、カルボキシル基含有化合物と水酸基含有化合物とを、カルボキシル基が残存するように、溶融法、溶剤法などの公知の方法によって脱水縮合反応を行うことにより製造することができる。
ポリエステルは、一塩基酸、多塩基酸の如きカルボキシル基を有する化合物と、ジオール、ポリオールの如き水酸基を有する化合物とを適宜選択して脱水縮合させて得られるもの等が挙げられ、更に、油脂類又は脂肪酸類を使用したものがアルキッド樹脂となる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、(無水)コハク酸、セバシン酸、ダイマー酸、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸などが挙げられる。
更に、二塩基酸の一部をジイソシアネート化合物に代えることもできる。
また、カルボキシル基を有するポリエステルは、水酸基を有するポリエステルに、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸などの無水酸を付加反応せしめる方法によっても製造することができる。
水酸基とカルボキシル基とを有するポリエステルは、例えば、ポリエステル樹脂の脱水縮合反応において、公知の方法に従って、水酸基とカルボキシル基とが残存するように反応させることによって容易に製造することができる。
水酸基とカルボキシル基とを有するポリエステルに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を有するラジカル重合性不飽和基含有モノマー類、又は、無水マレイン酸などのラジカル重合性不飽和基を有する無水酸を付加反応せしめる方法、
カルボキシル基を有するポリエステル樹脂に、エポキシ基を有する重合性モノマー類を付加反応せしめる方法、
酸成分として無水マレイン酸などのラジカル重合性不飽和基含有モノマーを使用してポリエステル樹脂を合成する方法、
等によって容易に製造することができる。
カルボキシル基を有するポリウレタンは、例えば、カルボキシル基を導入する成分としてのジメチロールプロピオン酸の如きカルボキシル基と水酸基とを有する化合物を含有するポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させることによって、容易に製造することができる。
ポリオール成分としては、ポリエステルの製造方法において掲げたジオール成分のほか、必要に応じて、3官能以上のポリオール化合物を使用することもできる。
ポリイソシアネート成分としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添メタキシリレンジイソシアネート、粗製4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの如きジイソシアネート化合物のほか、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートの如きポリイソシアネート化合物も使用できる。
ポリウレタンを製造する際の反応系には、ジアミン、ポリアミン、N−メチルジエタノールアミンの如きN−アルキルジアルカノールアミン;ジヒドラジド化合物などの公知の鎖伸長剤も使用できる。
第三級アミノ基とカルボキシル基とを有するポリウレタンは、例えば、ポリオール成分の一部としてN−メチルジエタノールアミンなどのN−アルキルジアルカノールアミンを使用することにより容易に製造することができる。
ブロック化イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタンは、例えば、カルボキシル基と末端イソシアネート基とを有するポリイソシアネートに、公知のブロック剤を付加反応させることによって容易に製造することができる。
エポキシ基とカルボキシル基とを有するポリウレタンは、例えば、カルボキシル基と末端イソシアネート基とを有するポリイソシアネートに、水酸基とエポキシ基とを有する化合物を付加反応させることによって容易に製造することができる。
水酸基とエポキシ基とを有する化合物としては、例えば、グリシドール、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明の水性顔料分散液中の式(1)で表されるアゾ顔料の含有量をP、第二の分散剤の含有量をD2とし、含有量D2と含有量Pとの比(質量比)をD2/P値としたときに、D2/P値が、0.05以上1.2以下であることが好ましく、0.1以上0.8以下であることがより好ましく、0.2以上0.75以下であることが更に好ましく、0.3以上0.7以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、保存安定性及び画像堅牢性により優れる。
また、本発明の水性顔料分散液中における第一の分散剤の含有量D1と、第二の分散剤の含有量D2との質量比は、D1:D2=5:1〜1:5であることが好ましく、3:1〜1:3であることがより好ましく、1:2〜2:1であることが更に好ましい。上記範囲であると、保存安定性及び画像堅牢性により優れる。
また、本発明の水性顔料分散液中の第一の分散剤及び第二の分散剤の総含有量は、式(1)で表されるアゾ顔料100質量部に対して、10〜90質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましく、20〜75質量部であることが更に好ましく、30〜70質量部であることが特に好ましい。
他の分散剤を含有する場合、他の分散剤は、アミン価5mgKOH/g以上かつアミン価>酸価である分散剤であるか、又は、長鎖脂肪酸塩、若しくは、酸価が5mgKOH/g以上かつ酸価≧アミン価である分散剤であることが好ましい。他の分散剤が上記分散剤でない場合、第一の分散剤及び第二の分散剤の総含有量は、水性顔料分散液中の分散剤の全質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
本発明の水性顔料分散液は、分散媒として水を含有する。
水としては、水道水や井水等であってもよく、特に制限はないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水や超純水が好ましい。更に、カビやバクテリア等の発生を防ぐ目的で紫外線処理、過酸化水素水処理等により滅菌された水を用いることも好ましい。
併用する有機溶剤は、水溶性有機溶剤であることが好ましく、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−nプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等のグリコールエーテル類、2−ピロリドン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性顔料分散液は、式(1)で表されるアゾ顔料、第一の分散剤、第二の分散剤、及び、水に加え、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、防腐剤、多価イオン等が例示される。
防腐剤について説明する。本発明において、防腐剤とは微生物、特に細菌・真菌(カビ)の発生、発育を防止する機能を有するものをいう。
本発明に使用可能な防腐剤としては、種々のものが使用可能である。
防腐剤としては、重金属イオンを含有する無機物系の防腐剤(銀イオン含有物など)や塩類をまず挙げることができる。有機系の防腐剤としては、第四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、ヘテロ環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル(PROXEL)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、酸アミド類、カルバミン酸、カルバメート類、アミジン・グアニジン類、ピリジン類(ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド等)、ジアジン類、トリアジン類、ピロール・イミダゾール類、オキサゾール・オキサジン類、チアゾール・チアジアジン類、チオ尿素類、チオセミカルバジド類、ジチオカルバメート類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、スルファミド類、抗生物質類(ペニシリン、テトラサイクリン等)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、及び、その塩など種々のものが使用可能である。
また、防腐剤としては、防菌防微ハンドブック(技報堂出版(株):1986)、防菌防黴剤事典(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載のものも使用することができる。
防腐剤としては、フェノール誘導体、又は複素環化合物が好ましく、複素環化合物が更に好ましい。
複素環化合物としては、チアゾール系化合物又はベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。チアゾール系化合物は、防腐剤の中でも、特に防黴剤として機能する。チアゾール系化合物としては、ベンズイソチアゾリン、イソチアゾリン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズチアゾール及び3−アリルオキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−1,1−オキシド等を挙げることができる。また、チアゾール系防黴剤としては、アーチ・ケミカルズ(株)より製造販売されているProxel(商標)シリーズ(BDN、BD20、GXL、LV、XL2及びUltra10等)を使用することもできる。
防腐剤が、複素環化合物、フェノール誘導体、フェノキシエーテル誘導体、及び、アルカンジオール類よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、少なくとも1種の防腐剤が、複素環化合物であることがより好ましい。
防腐剤が複素環化合物であり、上記複素環化合物がチアゾール系化合物又はベンゾトリアゾール系化合物であることが更に好ましい。
本発明の水性顔料分散液は、多価金属イオンを含有してもよい。
本発明でいう多価金属イオンとは、例えば、Fe3+、Fe2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cd2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、Pb2+、Mn2+、Al3+、Cr3+、Sn4+などを挙げることができる。
水性顔料分散液中の多価金属イオンの含有量は、それぞれ10ppm以下であることが好ましく、それぞれ0.001〜5ppmであることがより好ましい。水性顔料分散液中の多価金属イオンの含有量を、上記で規定した量とすることにより、本発明の水性顔料分散液中の顔料及び/又は分散剤は、凝集による粗大粒子の増大を抑制することができる。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第一の分散剤を水中に分散して水性顔料分散液Aを得る工程a、式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第二の分散剤を水中に分散して水性顔料分散液Bを得る工程b、並びに、水性顔料分散液Aと水性顔料分散液Bとを混合し水性顔料分散液を得る工程c、を含むことを特徴とする。
本発明の水性顔料分散液の製造方法においては、第一の分散剤を含有する水性顔料分散液Aと、第二の分散液を含有する水性顔料分散液Bとをそれぞれ先に調製し、その後、水性顔料分散液Aと水性顔料分散液Bとを混合し水性顔料分散液とすることにより、保存安定性及び画像堅牢性に優れる水性顔料分散液を容易に得ることができる。詳細な理由は不明ではあるが、特に特定の複数の分散剤が併用された顔料分散液となったことで、顔料粒子への吸着性が高い分散剤によって顔料粒子が分散剤から脱着しにくくなり、更に、別の分散剤の作用によって顔料粒子が沈降せずに安定化することが、同時に可能となったと推測している。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第一の分散剤を水中に分散して水性顔料分散液Aを得る工程aを含む。
工程aにおける式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第一の分散剤の好ましい態様は、本発明の水性顔料分散液において上述した式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第一の分散剤の好ましい態様と同様である。
工程aにおいて得られる水性顔料分散液Aにおける、式(1)で表されるアゾ顔料の含有量をPa、第一の分散剤の含有量をD1aとし、含有量D1aと含有量Paとの比(質量比)をD1a/Pa値としたときに、D1a/Pa値が、0.1以上1.0以下であることが好ましく、0.2以上0.9以下であることがより好ましく、0.3以上0.8以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、分散性に優れる。
水性顔料分散液Aにおける式(1)で表されるアゾ顔料及びその互変異性体の総含有量は、水性顔料分散液Aの全質量に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜25質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。
これらの中でも、ミル方式であることが好ましく、媒体分散方式(コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等)であることがより好ましく、ビーズミルが更に好ましい。
また、工程aにおける分散温度や混合分散時間は特に限定されず、所望の分散状態に応じ適宜選択すればよい。
工程aでは、式(1)で表されるアゾ顔料の体積平均粒子径が所望の範囲となるように、分散することが好ましく、式(1)で表されるアゾ顔料の体積平均粒子径が100nm以下となるように、分散することがより好ましい。
また、工程aにおいて、必要に応じ、防腐剤や多価金属イオン等の他の成分を添加してもよい。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第二の分散剤を水中に分散して水性顔料分散液Bを得る工程bを含む。
工程bにおける式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第二の分散剤の好ましい態様は、本発明の水性顔料分散液において上述した式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体より選択される少なくとも1種、及び、第二の分散剤の好ましい態様と同様である。
工程bにおいて得られる水性顔料分散液Bにおける、式(1)で表されるアゾ顔料の含有量をPb、第二の分散剤の含有量をD1bとし、含有量D1bと含有量Pbとの比(質量比)をD1b/Pb値としたときに、D1b/Pb値が、0.1以上1.0以下であることが好ましく、0.2以上0.9以下であることがより好ましく、0.3以上0.8以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、分散性に優れる。
水性顔料分散液Bにおける式(1)で表されるアゾ顔料及びその互変異性体の総含有量は、水性顔料分散液Bの全質量に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜25質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。
工程bにおいては、式(1)で表されるアゾ顔料、第二の分散剤及び水の混合及び/又は分散順序は特に制限はなく、任意の順で混合分散し、分散液を作製すればよいが、予め、特定顔料、第二の分散剤、及び、水を混合して、混合液を調製し、この混合液を分散機で分散することによって、水性顔料分散液Aを得ることが好ましい。
また、工程bにおける分散温度や混合分散時間は特に限定されず、所望の分散状態に応じ適宜選択すればよい。
工程bでは、式(1)で表されるアゾ顔料の体積平均粒子径が所望の範囲となるように、分散することが好ましく、式(1)で表されるアゾ顔料の体積平均粒子径が100nm以下となるように、分散することがより好ましい。
また、工程bにおいて、必要に応じ、防腐剤や多価金属イオン等の他の成分を添加してもよい。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、水性顔料分散液Aと水性顔料分散液Bとを混合し水性顔料分散液を得る工程cを含む。
工程cにおいては、水性顔料分散液Aを水性顔料分散液Bに添加して混合してもよいし、水性顔料分散液Bを水性顔料分散液Aに添加して混合してもよいし、水性顔料分散液A及び水性顔料分散液Bを同時に添加し混合してもよい。
工程cにおける水性顔料分散液Aと水性顔料分散液Bとの混合比(質量比)は、水性顔料分散液A:水性顔料分散液B=4:1〜1:4であることが好ましく、3:1〜1:3であることがより好ましく、2:1〜1:2であることが更に好ましい。上記範囲であると、分散性に優れ、また、保存安定性及び画像堅牢性により優れる。
工程cにおける水の添加量は、特に制限はなく、所望の顔料濃度になるように適宜添加することができる。
工程cにおける混合方法は、特に制限はなく、公知の混合方法、及び、公知の混合装置を用いることができるが、撹拌混合により混合することが好ましい。
また、工程cにおける混合温度や混合時間は、特に限定されず、所望の混合の進行状況に応じ適宜選択すればよい。
本発明の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液における式(1)で表されるアゾ顔料及びその互変異性体、第一の分散剤、第二の分散剤及び水の好ましい含有量は、上述した本発明の水性顔料分散液における好ましい含有量とそれぞれ同様である。
また、工程cにおいて、必要に応じ、防腐剤や多価金属イオン等の他の成分を添加してもよい。
水性顔料分散液Cの調製方法としては、上記水性顔料分散液A又はBと同様の方法で調製することが好ましい。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、上記工程cの後に、更に、水性顔料分散液の電気伝導度を100μS/cm以下にする工程を有することが好ましい。
水性顔料分散液の電気伝導度はインクの貯蔵安定性・インク吐出性付与の観点から100μS/cm以下にすることができる。水性顔料分散液の電気伝導度は1〜100μS/cmであることが好ましく、更に1〜50μS/cmであることがより好ましい、特に1〜20μS/cmであることがより好ましい。この工程を有することにより、インクの貯蔵安定性という効果が得られる。
電気伝導度の値の調整には、アンバーライト処理(イオン交換樹脂処理)、限外ろ過処理(ウルトラフィルトレート(UF)処理)などを用いることができる。UF処理については特開2011−144298号公報の[0247]〜[0249]にも記載されており、本発明においても参照することができる。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、工程cにおいて得られた水性顔料分散液を加熱処理する工程(以下、単に「加熱処理工程」ともいう。)を含むことが好ましい。加熱処理工程を有することにより、水性顔料分散液中の顔料と分散剤との関係がより安定なものとなり、保存安定性及び画像堅牢性により優れた水性顔料分散液が得られる。
加熱処理工程における加熱温度としては、40℃以上100℃以下が好ましく、50℃以上85℃以下がより好ましく、60℃以上80℃以下が更に好ましい。
また、加熱処理工程における加熱時間としては、5分以上が好ましく、5分以上24時間以下がより好ましく、30分以上12時間以下が更に好ましい。
また、加熱処理工程において、撹拌を行いながら加熱処理を行ってもよい。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、水性顔料分散液のpHを調整するpH調整工程を含んでいてもよい。pHを特定の値に調整することにより、保存安定性及び画像堅牢性に優れた水性顔料分散液が得られる。
pH調整工程は、工程a及び工程bの後であれば所望のタイミングで行えばよいが、工程cと工程dとの間、又は、工程dの後に行うことが好ましく、工程dの後に行うことがより好ましい。
また、本発明の水性顔料分散液の製造方法は、工程c、後述する脱イオン工程、pH調整工程、及び、工程dの順で行うか、又は、工程c、工程d、後述する脱イオン工程、及び、pH調整工程の順で行うことが好ましく、工程c、工程d、後述する脱イオン工程、及び、pH調整工程の順で行うことが特に好ましい。
pH調整剤としては、調合される記録用インクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第四級アンモニウム水酸化物)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
水性顔料分散液のpHとしては、保存安定性及び画像堅牢性の観点から、6〜11とすることが好ましく、7〜10とすることが特に好ましい。
本発明でいう殺菌とは、殺菌作用のある操作を意味し、例えば、紫外線(UV)等の光照射、アルコール等の殺菌効果を有する添加剤の添加が挙げられる。その中でも。光照射が好ましい。
殺菌工程を有することにより、保存安定性及び画像堅牢性により優れた水性顔料分散液が得られる。
光照射手段としては、400nm以下の近紫外光〜紫外光を照射できるものが好ましく、具体的にはキセノンランプ、高圧水銀ランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等を用いることが好ましい。
光照射時間や光照射量は、特に制限はなく、適宜選択することができる。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、イオン成分を少なくとも一部除去する脱イオン工程を含んでいてもよい。特定顔料や分散剤に不純物として含まれるイオン成分を除去することにより、保存安定性及び画像堅牢性に優れた水性顔料分散液を得られる。
脱イオン工程は、所望のタイミングで行えばよいが、工程cと工程dとの間、又は、工程dの後に行うことが好ましく、工程dの後に行うことがより好ましい。
イオン成分を除去する方法としては、限外ろ過、ナノろ過等の膜分離法によるものや、イオン交換樹脂を加えて処理する方法等が挙げられる。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、工程cにおいて得られた水性顔料分散液を遠心分離する工程を含んでいてもよい。遠心分離操作により粗大粒子を除去することができる。また、本発明の水性顔料分散液の製造方法は、工程cの前に、水性顔料分散液Aを遠心分離する工程を含んでいてもよいし、工程cの前に、水性顔料分散液Bを遠心分離する工程を含んでいてもよい。
遠心分離工程を行うのは、後述するろ過工程前であることが好ましい。ろ過工程前に遠心分離工程を有することにより、粗大粒子が目詰まりを起こしてろ過性が低下することを抑制できる。
遠心分離する際の遠心力としては、500G〜50,000Gが好ましく、700G〜20,000Gがより好ましく、1,000G〜15,000Gが更に好ましい。500G以上であると、粗大粒子を十分沈降除去でき、50,000G以下であると、分散している顔料の沈降が抑制される。
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、工程cにおいて得られた水性顔料分散液をろ過する工程を有していてもよい。また、本発明の水性顔料分散液の製造方法は、工程cの前に、水性顔料分散液Aをろ過する工程を含んでいてもよいし、工程cの前に、水性顔料分散液Bをろ過する工程を含んでいてもよい。
ろ過により粗大粒子を除去することができる。ろ過工程を行うのは、顔料を分散した後であれば特に限定されないが、防腐剤を添加した後、又は、水性顔料分散液を完成させる最後の工程として行うことが好ましい。
特に、上記加熱処理工程を有する場合には、分散している顔料及び分散剤の一部が乾燥、あるいは熟成されて、粗大粒子となり、沈降している場合があるからである。
用いることのできるフィルターとしては、ろ過を行うことができれば特に限定されないが、ろ布、ろ紙、メンブレンが好ましい。フィルターの孔径としては、0.1mm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。
本発明の着色組成物は、本発明の水性顔料分散剤を原料として用いた着色組成物であり、本発明の水性顔料分散液を含有することが好ましい。
本発明の着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。
塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機化合物;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−エチル−2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(アミノエチル)エタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アンモニア、ピペリジン、モルフォリン等の有機アミン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のインク組成物は、本発明の水性顔料分散剤を原料として用いたインク組成物であり、本発明の水性顔料分散液を含有することが好ましい。
インク組成物としては、特に限定されず、上述した着色組成物を適宜インク用途に使用しればよい。具体的には、グラビアインキ、フレキソインキ等の水性インキ、水性ボールペン、万年筆、水性サインペン、水性マーカー等の筆記具用インキ、バブルジェット(登録商標)方式、サーマルジェット方式、ピエゾ方式等のオンデマンドタイプのインクジェットプリンター用のインクとして使用することができる。
これらの中でも、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インク組成物として好適である。
例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−nプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等のグリコールエーテル類、2−ピロリドン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、及び、スルホラン等が挙げられる。これら溶剤の1種又は2種以上を、本発明のインク組成物中に好ましくは0〜10質量%で用いることができる。
界面活性剤としては、一般的に使用されるアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選択できるが、この中でもノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等が挙げられ、これらを用いることにより、イオン性の界面活性剤と比較して発泡の少ないインク組成物を得ることができる。更にノニオン性界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤が、発泡がほとんどないインク組成物を得ることができ、インクジェット記録に用いる場合、特に好ましい。
このようなアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、又はこれらの物質それぞれにおける複数の水酸基それぞれにエチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基を平均1〜30個付加してなる物質等が挙げられる。
また、アセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、「オルフィンE1010」及び「オルフィンSTG」(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、本発明のインク組成物中、0.1〜3質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましい。
このような浸透剤としては、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類が好ましく、特に、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが優れた浸透性能と取り扱いが容易であるという点から好ましい。
浸透剤の含有量は、インク組成物の浸透性及び速乾性を向上させて、インクの滲み発生を有効に防止できる点で、本発明のインク組成物中、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
このような水溶性グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2,000以下のポリエチエングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の二価のアルコールや、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の三価以上のアルコール等が挙げられる。
水溶性グリコール類は、1種又は2種以上を用いることができる。
水溶性グリコール類の含有量は、本発明のインク組成物中に1〜30質量%であることが好ましい。
例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
これら防黴剤や防腐剤の1種又は2種以上を、本発明のインク組成物中に好ましくは0.01〜0.5質量%で用いることができる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機アルカリ類、アンモニア、トリエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリプロパノールアミン等の炭素数6〜10の第三級アミン類等が挙げられる。
pH調整剤は、その1種又は2種以上を、本発明のインク組成物中に好ましくは0.01〜2質量%で用いることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、インクを微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させるいかなる方式も使用することができる。
本発明のアゾ顔料のX線回折の測定は、日本工業規格JISK0131(X線回析分析通則)に準じて、粉末X線回折測定装置RINT2500(株式会社リガク製)にてCuKα線を用い、次の条件で行ったものである。
X線巻球:Cu
管電圧:55KV
管電流:280mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:6deg./min
サンプリング間隔:0.100deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):55deg.
ダイバージェンススリット:2deg.
スキャッタリングスリット:2deg.
レシービングスリット:0.6mm
縦型ゴニオメータ使用
式(1)で表されるδ型結晶形態アゾ顔料(以下、単に「アゾ顔料」又は「顔料」と称する場合がある)は、以下の方法により合成することができる。
すなわち、本発明の製造方法は下記式(2)で表されるヘテロ環アミンから誘導したジアゾニウム塩と、下記式(3)で表される化合物(カップリング成分)とをアゾカップリング反応させる工程から容易に誘導できる。
亜硝酸ナトリウム2.2gを水50mLに溶解させた。別に式(2)で表されるアミノ化合物5.8gを濃塩酸50mLに溶解させた後、内温−10℃まで冷却した。この中に内温が0℃以下になるように先述の亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下した。内温−10℃〜0℃にて1時間攪拌した後、内温0℃以下にて尿素1.8gを加えた。添加終了後15分間同温度にて攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に式(3)の化合物5gをメタノール175mLに加えた後昇温し、還流下溶解させた。この溶液を内温0℃まで冷却し、先述のジアゾニウム塩溶液を内温が10℃以下になるように添加した。内温10℃にて1時間攪拌した後、析出している固体を濾別した。メタノール、水で十分にかけ洗いを行った後、水300mLに懸濁させ、28%アンモニア水溶液を添加してpHを6.0に調整した。析出している固体を濾別して水で十分にかけ洗いを行い、60℃にて乾燥後、非晶質なアゾ化合物(1)−1を9.8g得た。得られたアゾ化合物(1)−1の1次粒子の長軸方向の長さは、約0.5μmであった。
アゾ化合物(1)−1のX線回折の測定を上記の条件により行ったところ、特徴的なX線回折ピークが見られなかった。
得られたアゾ顔料(1)の1次粒子の長軸方向の長さは、約0.6μmであった。
得られたアゾ顔料(1)のX線回折の測定を上記の条件により行ったところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、18.9°、26.0°および26.7°に特徴的なX線回折ピークを示した。
CuKα特性X線回折図を図1に示す。
顔料分散液中の粒子径は、日機装(株)製Nanotrac150(UPA−EX150)を用いて測定した。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビーエーエスエフ社製EFKA 4585(固形分濃度:50質量%)を10.0部、水45.0部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.5%の顔料分散液Aを51部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−181(固形分濃度:〜63%)を7.9部、水47.2部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.3%の顔料分散液Bを60部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−180(固形分濃度:〜79%)を6.3部、水50.0部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度14.9%の顔料分散液Cを58部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−183(固形分濃度:〜52%)を9.6部、水44.9部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.0%の顔料分散液Dを60部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−184(固形分濃度:〜52%)を9.6部、水46.0部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.3%の顔料分散液Eを62部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビーエーエスエフ社製EFKA 5071(固形分濃度:〜53%)を9.4部、水45.1部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.0%の顔料分散液Fを55部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、日本ルーブリゾール(株)製SOLSPERSE27000(固形分濃度:100%)を5部、水51.2部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.2%の顔料分散液Gを55部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−2090(固形分濃度:〜81%)を6.2部、水48.3部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.0%の顔料分散液Hを53部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−2091(固形分濃度:〜55%)を9.1部、水48.0部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度14.8%の顔料分散液Iを58部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビーエーエスエフ社製EFKA 4580(固形分濃度:〜40%)を12.5部、水43.2部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.1%の顔料分散液Jを60部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビーエーエスエフ社製EFKA 4560(固形分濃度:〜40%)を12.5部、水42.6部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.0%の顔料分散液Kを56部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−187(固形分濃度:〜70%)を7.1部、水48.5部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度14.8%の顔料分散液Lを58部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、ビックケミー社製DISPERBYK−190(固形分濃度:〜40%)を12.5部、水42.9部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.1%の顔料分散液Mを59部得た。
アゾ顔料(1)を10.0部、日本ルーブリゾール(株)製SOLSPERSE20000(固形分濃度:100%)を5部、水50.0部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度15.5%の顔料分散液Nを50部得た。
アゾ顔料(1)を10部、オレイン酸ナトリウムを3部、グリセリン10部、水77部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ375部とともにサンドグラインダミルTSG1(アイメックス社製)を用いて毎分1,500回転、45℃で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、顔料濃度10.1%の比較顔料分散液1を80部得た。
<顔料分散液1の製造>
6.6部の顔料分散液Aを撹拌している中に、6.6部の顔料分散液Bをゆっくり添加し、更に水6.4部を添加して顔料濃度10.0%の顔料分散液1を得た。
<顔料分散液2〜15の製造>
顔料分散液1の製造と同様にして以下の表2に記載したとおりに組み合わせて、顔料分散液2〜15を作製した。
<顔料分散液16の製造>
顔料分散液1を60℃で1時間加熱し、顔料分散液16を得た。
80部の顔料分散液1に対し、イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製 アンバーライトMB−2)4部を加えて約4時間攪拌し、電気伝導度を10μS/cm以下にした後、イオン交換樹脂を除去した。その後、トリイソプロパノールを加えてpHを9.0に調整して顔料分散液17を得た。
80部の顔料分散液2に対し、イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製 アンバーライトMB−2)4部を加えて約4時間攪拌し、電気伝導度を10μS/cm以下にした後、イオン交換樹脂を除去した。その後、トリイソプロパノールを加えてpHを9.0に調整して顔料分散液18を得た。
顔料分散液1の製造において、アゾ顔料(1)をP.Y.74に代えた以外は同様の操作にて顔料濃度10.1%の比較顔料分散液1を得た。
上記実施例の顔料分散液1〜18、比較例の顔料分散液1、及び、顔料分散液A〜Oをそれぞれ総重量が10.88部で顔料濃度が6.90%となるように水を添加し、そこに、2−ピロリジノン0.45部、グリセロール2.25部、1,2−ヘキサンジオール0.60部、エチレングリコール0.75部、サーフィノール465(界面活性剤、日信化学工業(株)製)0.08部の混合溶液を加え、十分に撹拌し、顔料濃度5質量%の顔料インクI−1〜I−18、比較顔料インクI−1及び顔料インクI−A〜I−Oを得た。
上記実施例の顔料分散液1〜18、比較例の顔料分散液1、及び、顔料分散液A〜Oをそれぞれ総重量が11.15部で顔料濃度が6.73%となるように水を添加し、そこに、トリエチレングリコールモノブチルエーテル1.50部、エチレングリコール2.25部、サーフィノール485(界面活性剤、日信化学工業(株)製)0.11部の混合溶液を加え、十分に撹拌し、顔料濃度5質量%の顔料インクII−1〜II−16、比較顔料インクII−1及び顔料インクII−A〜II−Oを得た。
<保存安定性(粘度及びpH)>
上記の顔料分散液1〜18、比較例の顔料分散液1、顔料分散液A〜O、顔料インクI−1〜I−18、比較顔料インクI−1、顔料インクI−A〜I−O、顔料インクII−1〜II−18、比較顔料インクII−1及び顔料インクII−A〜II−Oを、それぞれ60℃にて4週間静置した。
4週間静置した顔料分散液及び顔料インクの粘度に関し、4週間静置前後の粘度の変化率が5%以内のものをA、5%を超えて10%未満のものをB、10%以上15%未満のものをC、15%以上のものをDとして評価した。なお、各顔料分散液及び顔料インクの粘度は、東機産業(株)製RE80L型粘度計を用いて、25℃、100rpmの条件で測定した。
4週間静置した顔料分散液及び顔料インクのpHの変化が、0.5未満のものをA、0.5以上1未満ものをB、1以上1.5未満のものをC、1.5以上のものをDとして評価した。
4週間静置した顔料分散液及び顔料インクの粒子径を測定し(日機装(株)製Nanotrac150(UPA−EX150)を用いて測定)、変化率が10%以内のものをA、変化率が10%を超えて15%未満のものをB、変化率が15%以上20%未満のものをC、変化率が20%以上のものをDとして評価した。
上記水系インクをイエローインクとし、市販のセイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター(型番:PX−V630)を用い、富士フイルム(株)製写真紙 画彩に光学濃度(OD)が1.0になるように印画し、アトラス社製ウェザーメーターを用いて画像にキセノン光(10万ルックス)を5週間照射した。試験前後のODをX−Rite310(X−Rite社製)にて測定し、ODの残存率を求め評価した。残存率が90%以上をA、90%未満80%以上をB、80%未満をCとして評価した。
得られたアゾ顔料(1)を、ソルトミリングを行い、一次粒子の長軸方向の長さが0.03μmの微細アゾ顔料(2)を得た。ソルトミリングは以下の方法にて行った。
以下の組成となるように、スーパーミキサーにアゾ顔料(1)及び食塩を投入して混合した。スーパーミキサーを回転させながらジエチレングリコールを少しずつ添加して混合物(以下、「予備混合物」ということがある。)を調製した。
・アゾ顔料(1)・・・150部
・食塩(赤穂化成(株)製オシオミクロンT−0)・・・1,500部
・ジエチレングリコール・・・300部
続いて、連続式1軸混練機(浅田鉄工(株)製、ミラクルKCK−L)の磨砕部及び押し出し部の5箇所の温度を15〜20℃に、軸回転数50rpmに設定し、上記で得られた予備混合物を投入し、混練物を得た。この時、電流値(負荷)は約4Aで、吐出量は50g/分、吐出物の温度は16℃であった。
こうして得られた混練物を1%希塩酸5,000部へ投入して撹拌処理を行った後、濾過及び十分に水洗をして、食塩及びジエチレングリコールを除去し、乾燥し、微細アゾ顔料(2)を得た。
D/Pは、分散剤の含有量(質量%)/微細アゾ顔料(2)の含有量(質量%)である。
80部の顔料分散液101に対し、イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製 アンバーライトMB−2)4部を加えて約4時間攪拌し、電気伝導度を10μS/cm以下にした後、イオン交換樹脂を除去した。その後、トリイソプロパノールを加えてpHを9.0に調整して顔料分散液108を得た。
Claims (15)
- CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する下記式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種と、第一の分散剤とを水中に分散して水性顔料分散液Aを得る工程a、
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、9.7°、20.0°、17.3°、26.0°及び26.7°に特徴的X線回折ピークを有する下記式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種と、第二の分散剤とを水中に分散して水性顔料分散液Bを得る工程b、及び、
水性顔料分散液Aと水性顔料分散液Bとを混合し水性顔料分散液を得る工程c、を含むことを特徴とする水性顔料分散液の製造方法。
- 第一の分散剤及び第二の分散剤の少なくとも一方が、高分子分散剤である、請求項1に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 第一の分散剤が、アミン価が5mgKOH/g以上であり、かつ、アミン価が酸価よりも大きく、
第二の分散剤が、長鎖脂肪酸塩、又は、酸価が5mgKOH/g以上であり、かつ、酸価がアミン価以上である、
請求項1又は2に記載の水性顔料分散液の製造方法。 - 工程cの後に、更に、水性顔料分散液の電気伝導度を100μS/cm以下にする工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 得られる水性顔料分散液において、式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種の含有量100質量部に対して、第一の分散剤及び第二の分散剤の総含有量が、10〜90質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種が、ソルトミリングしていないものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液を原料として用いた着色組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法により製造された水性顔料分散液を原料として用いたインク組成物。
- インクジェット記録用インク組成物である、請求項9に記載のインク組成物。
- 請求項10に記載のインクジェット記録用インク組成物を記録媒体上にインクジェット方式により吐出する工程を含む、インクジェット記録方法。
- 第一の分散剤及び第二の分散剤の少なくとも一方が、高分子分散剤である、請求項12に記載の水性顔料分散液。
- 第一の分散剤が、アミン価が5mgKOH/g以上であり、かつ、アミン価が酸価よりも大きく、
第二の分散剤が、長鎖脂肪酸塩、又は、酸価が5mgKOH/g以上であり、かつ、酸価がアミン価以上である、
請求項12又は13に記載の水性顔料分散液。 - 式(1)で表されるアゾ顔料、及びその互変異性体の少なくとも1種の含有量100質量部に対して、第一の分散剤及び第二の分散剤の総含有量が、10〜90質量部である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の水性顔料分散液。
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