JP2017061244A - 自動二輪車の車体カバー、及び、自動二輪車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料タンク50の前部側方を覆うサイドカウル40は、燃料タンク50の側部前方から燃料タンク50の側面に向かって延出するカウル主部41aを有する。サイドカウル40は、カウル主部41aを有する第1カウル部材41と、少なくとも一部が第1カウル部材41の裏面側に重なって配置される第2カウル部材42と、を備えている。第2カウル部材42は、第1カウル部材41の裏面側に重なった状態で、後部領域41a−r内の空間aを前方から遮蔽する前方遮蔽部42bを有している。
【選択図】図3
Description
このため、上記従来の車体カバーにおいては、車両の走行時に、カウル主部の後部領域の内側の袋状の空間部内に走行風が溜り易く、空気抵抗が生じ易い。また、カウル主部の後部領域は燃料タンクの側面に滑らかに連続する部分であり、車両の外部から目につき易い部分であるため、カウル主部の後部領域に排風口を設けることは外観上好ましくない。
この場合、車両の走行時にカウル主部(41a)の内側に流入した走行風が前方遮蔽部(42b)に当接すると、下方に向かって車体後方側に傾斜する前方遮蔽部(42b)に沿って走行風が流れ、その走行風が排風口(45)を通って車両下方に排出されるようになる。したがって、車両の走行時における空気抵抗をより抑制することが可能になる。
この場合、車両の走行時にカウル主部(41a)の内側に流入した走行風が、前方遮蔽部(42b)に当たった後に前方遮蔽部(42b)の下方を回り込んで、カウル主部(41a)の後部領域(41a−r)の内側の空間(a)に流入するのを下方遮蔽部(42c)によって阻止することが可能になる。したがって、走行風がカウル主部(41a)の後部領域(41a−r)の内側に溜って車両の走行抵抗が増大するのをより確実に抑制することができる。
この場合、車両の走行時にカウル主部(41a)の内側に流入した走行風が、前方遮蔽部(42b)に当たり、排風口(45)を通って車体後方側に向きを変えて流れる。このとき、排風口(45)の車幅方向内側の壁を構成する第2カウル部材(42)の導風壁(42a−1)に、車幅方向外側に膨出して排風口(45)の開口幅を狭める膨出部(46)が設けられているため、前方遮蔽部(42b)の前方の空間から下方に流れ込んだ走行風が膨出部(46)で緩やかに車体後方側に向きを変える。このため、走行風が急激に向きを変えることに伴う反力の増大を抑制することが可能になる。
この場合、車両の走行時にカウル主部(41a)の内側を通って排風口(45)内の膨出部(46)で車両後方側に緩やかに向きを変えた走行風は、膨出部(46)の車体後方側に隣接する窪み部(47)で第2カウル部材(42)の導風壁(42a−1)から剥離する。したがって、排風口(45)で車両後方側に向きを変えた走行風が、窪み部(47)において即時に剥離するため、車両の操舵性能(旋回性能)が向上する。
この場合、前方遮蔽部(42b)と下方遮蔽部(42c)が第1カウル部材(41)によって覆われて、外部から見えなくなるため、外部からの見栄えが良好になり、意匠性を向上させることが可能になる。
この場合、第2カウル部材(42)はフェンダ部材(30)によって覆われるヘッドパイプ(11)やフロントフォーク(22)の外側に配置され、第2カウル部材(42)の前方遮蔽部(42b)はヘッドパイプ(11)やフロントフォーク(22)の外側に突出することになる。このため、ヘッドパイプ(11)を中心としてフロントフォーク(22)や他の操舵回りの部材が回転したときに、これらの部材が第2カウル部材(42)と干渉するのを回避しつつ、サイドカウルを含む車体カバーをコンパクトに設計することが可能になる。
この実施形態に係る自動二輪車1は、エンジン2によって後輪Wrが駆動されるオフロードタイプの自動二輪車である。
自動二輪車1の車体フレームFは、前端部に配置されるヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後斜め下方へ延出するメインフレーム12と、ヘッドパイプ11上のメインフレーム12との連結部の下方位置から下方に延出するダウンフレーム13と、メインフレーム12の後部領域の左右の側部から下方に湾曲して延出する一対のセンターフレーム14と、を備えている。センターフレーム14の下端部同士は車幅方向に延出する図示しないクロスパイプによって結合されている。車体フレームFは、さらにメインフレーム12の後部から車体後方側に向かって延出する左右一対のシートフレーム16と、左右の各センターフレーム14の下部領域と左右の対応するシートフレーム16の後部領域とを連結するサポートフレーム17と、を備えている。
メインフレーム12の下方でダウンフレーム13とセンターフレーム14に挟まれた領域には、エンジン2及び変速機3を有するパワーユニットPUが取り付けられている。エンジン2はクランク軸を収容するクランクケース26の上部にシリンダブロック27が一体に結合される。変速機3はエンジン2のクランクケース26の後部に一体に結合されており、変速機3にはエンジン2の動力を外部に取り出すための図示しない出力軸が設けられている。
これらの図にも示すように、ヘッドパイプ11と燃料タンク50の前部には、左右のフロントフォーク22の上部とトップブリッジ23及びボトムブリッジ24の周域を取り囲むとともに、前輪Wfの上方側を覆うフロントフェンダ30(フェンダ部材)がボルト締結やクリップ止め等によって取り付けられている。フロントフェンダ30は、ヘッドパイプ11には、ヘッドパイプ11に固定された図示しないステーを介して支持されている。フロントフェンダ30は、左右のフロントフォーク22の上部とトップブリッジ23及びボトムブリッジ24の前方と左右の側方を覆う上面視が略C字状の後方覆い部30aと、後方覆い部30aの前部から前輪Wfの上部の円弧形状に略沿って車両前方に延出する前方覆い部30bとを備えている。後方覆い部30aは、前輪Wfの操舵時に、ヘッドパイプ11に操向可能に支持されている左右のフロントフォーク22や各種のケーブル類等と干渉しないように設置されている。後方覆い部30aは、左右の側壁部分の各後端部が燃料タンク50の前部側側面に結合されている。前方覆い部30bは、車両の走行時に、前輪Wfから運転者方向に泥水や埃が飛散するを防止する。
同図にも示すように、第1カウル部材41のカウル主部41aは、車体前後方向に延出する上辺が前後方向の略中央位置を頂部とする緩やかな山形状に形成され、前部領域41a−fと後部領域41a−rがそれぞれ延出端側に向かって収斂して形成されている。第1カウル部材41のカウル主部41aの前部側寄りの下縁には、車幅方向内側に湾曲しつつ下方に向かって延出し、エンジン2の前部側側方を覆う外側導風壁41bが一体に形成されている。
カウル主部41aの後部領域41a−rは、燃料タンク50の側面に形成された浅い凹部50a内において、クリップ止め等によって燃料タンク50の側面に固定されている。後部領域41a−rは、上辺と下辺の収斂した先端領域が燃料タンク50の側面に当接している。後部領域41a−rは、上辺と下辺に対して中央領域が車幅方向外側に緩やかに膨出している。後部領域41a−rの内側には凹状の空間aが形成されている。この凹状の空間aは、第1カウル部材41が燃料タンク50の側面に取り付けられた状態において、車幅方向の内側が燃料タンク50の側面によってほぼ閉塞される。
なお、前方遮蔽部42bと下方遮蔽部42cとは、車幅方向の外側を第1カウル部材41によって覆われている。また、前方遮蔽部42bと下方遮蔽部42cとは、フロントフェンダ30の後方覆い部30aの外側に向かって突出している。
また、第2カウル部材42の主壁42aの前端部は、第1カウル部材41の外側導風壁41bの裏面に重ねて配置され、その下縁領域が第1カウル部材41の外側導風壁41bにビス止め等によって一体連結されている。こうして第1カウル部材41と連結された主壁42aの下縁部は、図5に示すように、ダウンフレーム13に固定されたステー36に取り付けられている。
また、自動二輪車1の前方からフロントフェンダ30の下方に流入した走行風の一部は、フロントフェンダ30の左右の側壁の外面と、左右のサイドカウル40のカウル主部41aの間にも流入する。このとき、左右のサイドカウル40のカウル主部41a(前部領域41a−f)の内側に流入した走行風は、カウル主部41aの後部領域41a−rよりも前方に配置されている第2カウル部材42の前方遮蔽壁42bに当たり、その前方遮蔽壁42bで下方に向きを変えて排風口45の上部に流入する。そして、排風口45の上部に流入した走行風は、車体後方側に向きを変えて車体後方側に排風される。
したがって、この実施形態に係る車体カバーを採用することにより、カウル主部41aの後部領域41a−rの外観品質の低下を招くことなく、車両走行時における空気抵抗の低減を図ることができる。
また、膨出部46は、車幅方向外側に円弧状に膨出しているため、走行風が膨出部46付近に滞留するのを抑制することができる。
11…ヘッドパイプ
22…フロントフォーク
30…フロントフェンダ(フェンダ部材)
40…サイドカウル
41…第1カウル部材
41a…カウル主部
41a−r…後部領域
42…第2カウル部材
42a−1…導風壁
42b…前方遮蔽部
42c…下方遮蔽部
45…排風口
46…膨出部
47…窪み部
50…燃料タンク
a…空間(a)
F…車体フレーム
Claims (8)
- 車体フレーム(F)のヘッドパイプ(11)の後部に配置された燃料タンク(50)の前部側方を覆うサイドカウル(40)を備え、
前記サイドカウル(40)が、前記燃料タンク(50)の側部前方から前記燃料タンク(50)の側面に向かって延出するカウル主部(41a)を有し、前記カウル主部(41a)の後部領域(41a−r)の周縁部が前記燃料タンク(50)の側面に当接、若しくは、近接して配置される自動二輪車の車体カバーにおいて、
前記サイドカウル(40)は、前記カウル主部(41a)を有する第1カウル部材(41)と、少なくとも一部が前記第1カウル部材(41)の裏面側に重なって配置される第2カウル部材(42)と、を備え、
前記第2カウル部材(42)は、前記第1カウル部材(41)の裏面側に重なった状態で、前記後部領域(41a−r)内の空間(a)を前方から遮蔽する前方遮蔽部(42b)を有していることを特徴とする自動二輪車の車体カバー。 - 前記前方遮蔽部(42b)は、前記第1カウル部材(41)の裏面位置において、上部から下方に向かって車体後方側に傾斜して形成されており、
前記前方遮蔽部(42b)の下端は、当該前方遮蔽部(42b)の前方側の空間を車両下方に連通させる排風口(45)の一部を前記第1カウル部材(41)とともに構成していることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の車体カバー。 - 前記第2カウル部材(42)は、前記前方遮蔽部(42b)と連続して形成され、前記第1カウル部材(41)の裏面側に重なった状態で、前記後部領域(41a−r)内の空間(a)を下方から遮蔽する下方遮蔽部(42c)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車の車体カバー。
- 前記第1カウル部材(41)と前記第2カウル部材(42)の間には、前記前方遮蔽部(42b)の前方の空間から流出した走行風を車体後方側に流す排風口(45)が設けられ、
前記第2カウル部材(42)には、前記排風口(45)の車幅方向内側の壁を構成する導風壁(42a−1)が設けられ、
前記導風壁(42a−1)には、上部から下方に向かって車幅方向外側に円弧状に膨出して前記排風口(45)の開口幅を狭める膨出部(46)が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動二輪車の車体カバー。 - 前記第2カウル部材(42)には、車幅方向内側に窪む窪み部(47)が前記膨出部(46)の車体後方側に隣接して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の自動二輪車の車体カバー。
- 前記前方遮蔽部(42b)と前記下方遮蔽部(42c)とは、車幅方向外側を前記第1カウル部材(41)によって覆われていることを特徴とする請求項3に記載の自動二輪車の車体カバー。
- 前記ヘッドパイプ(11)と、前記ヘッドパイプ(11)に操向可能に支持されるフロントフォーク(22)とを囲繞するフェンダ部材(30)をさらに備え、
前記第2カウル部材(42)は、前記フェンダ部材(30)の外側に配置され、
前記前方遮蔽部(42b)は、前記フェンダ部材(30)の外側に向かって突設されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動二輪車の車体カバー。 - 前部にヘッドパイプ(11)を有する車体フレーム(F)と、前記車体フレーム(F)のヘッドパイプ(11)の後部に配置された燃料タンク(50)と、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車体カバーと、を備えていることを特徴とする自動二輪車。
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