JP2017054962A - 巻鉄心の製造方法および巻鉄心の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円環状の鉄心材を矩形枠状にプレス成形する必要がなく、製造性の向上を図る。【解決手段】本実施形態に係る巻鉄心の製造方法は、一巻きごとに少なくとも1箇所の切断部を有する鉄心材を複数枚巻回して積層し、中心部に矩形状の窓部を有する巻鉄心を製造する方法であって、切断された複数枚の前記鉄心材を、巻取り装置により矩形枠状に巻き取りながら積層する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、巻鉄心の製造方法および巻鉄心の製造装置に関する。
近年、例えば配電用の小型の変圧器における大きな技術動向として、日本国内ではいわゆるトップランナー制度が適用され、世界的にも高効率化を定めた規格が制定されるなど、省エネルギー化や効率化が強く推し進められている。とりわけ、鉄心で発生する電力損失である無負荷損、いわゆる「鉄損」を低減するための努力が世界規模で展開されており、各メーカは、鉄心材料の改良や鉄心構造の改良に注力し激しい競争を繰り広げている。ここで、変圧器用の鉄心としては、切断した薄い珪素鋼板を積層した積層鉄心、切断した薄い珪素鋼板を巻回した巻鉄心が知られている。そして、巻鉄心は、鉄心中の磁束の流れが阻害されにくいことから、鉄損の低減の観点からは積層鉄心よりも有利である。
例えば特許文献1には、このような巻鉄心の製造方法の一例が開示されている。この種の巻鉄心は、一般的に、次のような方法により製造されている。即ち、薄い珪素鋼板から鉄心材を一巻き分、つまりワンターン分ごとに切断しながら円形の巻取り型に巻き取って積層する。その後、巻き取った円環状の鉄心材の内側と外側に成形型を当ててプレスし、これにより、中心にほぼ矩形状の窓部を有する矩形枠状に成形する。このとき、巻鉄心を構成する鉄心材には、鉄損増大の原因となる曲げ応力が生じる。そのため、残留応力を緩和して鉄損特性を回復させるための処理、即ち、巻鉄心を例えば約800℃に加熱した後に徐冷する焼鈍処理が行われる。焼鈍は、鉄損特性を回復させる他に、プレスした後の鉄心材の形状を保たせるという目的も兼ねている。また、巻鉄心に巻線を組み付ける際には、巻鉄心を、各鉄心材の切断部において一旦開き、巻鉄心の直線部(脚部)に巻線を組み付けた後、再び、巻鉄心を閉じるようにする。
上記した巻鉄心の製造方法では、一巻き分ごとに切断した鉄心材を一旦円形の巻取り型に巻き取ることで円環状の鉄心材を形成し、この後、この円環状の鉄心材を矩形枠状にプレス成形する必要がある。このように二段階の組立工程となることから、連続した製造ラインを構築することが困難となり、各工程ごとに中間製品のバッファを持つことになるため棚卸資産の増加を招く。また、円環状に巻き取るための「巻取り型」と矩形枠状にプレス成型するための「成形型」が必要であり、これらの型を多数ストックして製造工程へ供給するための生産管理も必要となる。
そこで、本実施形態は、円環状の鉄心材を矩形枠状にプレス成形する必要をなくすることで、従来必要であった中間製品のバッファをなくし、巻取り型や成形型を不要とすることで、生産管理の容易化が実現でき、もって製造性の向上を図ることができる巻鉄心の製造方法、および巻鉄心の製造装置を提供する。
本実施形態に係る巻鉄心の製造方法は、一巻きごとに少なくとも1箇所の切断部を有する鉄心材を複数枚巻回して積層し、中心部に矩形状の窓部を有する巻鉄心を製造する方法であって、切断された複数枚の前記鉄心材を、巻取り装置により矩形枠状に巻き取りながら積層する。
また、本実施形態に係る巻鉄心の製造装置は、一巻きごとに少なくとも1箇所の切断部を有する鉄心材を複数枚巻回して積層し、中心部に矩形状の窓部を有する巻鉄心を製造する装置であって、前記鉄心材を切断する切断装置と、この切断装置で切断された複数枚の前記鉄心材を矩形枠状に巻き取りながら積層する巻取り装置と、を備える。
以下、巻鉄心の製造方法および巻鉄心の製造装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、図3に示す巻鉄心1は、後述するように、けい素鋼板を切断することにより得られた複数枚の鉄心材2が巻回されて積層された構成のもので、全体としてほぼ矩形枠状をなしていて、中心部にほぼ矩形状の窓部3を有している。この巻鉄心1は、窓部3の周りに、直線状をなして対向する一対の長辺部4,4と、この長辺部4よりもやや短い直線状をなして対向する一対の短辺部5,5と、四隅のコーナー部6を有している。この場合、各コーナー部6は曲面状(円弧状)をなしている。図3に示す巻鉄心1においては、各長辺部4および短辺部5に緊縛部材7が縛り付けられている。緊縛部材7は、耐熱性を有する材料である例えばスチールバンドにより構成されていて、それぞれ一度窓部3を通過する形態で巻鉄心1に巻き付けられている。
まず、図3に示す巻鉄心1は、後述するように、けい素鋼板を切断することにより得られた複数枚の鉄心材2が巻回されて積層された構成のもので、全体としてほぼ矩形枠状をなしていて、中心部にほぼ矩形状の窓部3を有している。この巻鉄心1は、窓部3の周りに、直線状をなして対向する一対の長辺部4,4と、この長辺部4よりもやや短い直線状をなして対向する一対の短辺部5,5と、四隅のコーナー部6を有している。この場合、各コーナー部6は曲面状(円弧状)をなしている。図3に示す巻鉄心1においては、各長辺部4および短辺部5に緊縛部材7が縛り付けられている。緊縛部材7は、耐熱性を有する材料である例えばスチールバンドにより構成されていて、それぞれ一度窓部3を通過する形態で巻鉄心1に巻き付けられている。
図1には、前記巻鉄心1を製造する製造装置10の概略構成が示されている。この製造装置10は、切断装置11と、搬送部12と、巻取り装置13を備えている。切断装置11は、コイル状に巻回されたけい素鋼板Sから鉄心材を引き出し、その鉄心材を切断手段14にて必要な長さに切断する。切断装置11の出口15からは、一巻き分ごとに切断された鉄心材2が搬送部12に向けて順次送り出される。搬送部12は、例えばベルトコンベアにより構成されていて、出口15から送り出された鉄心材2をベルト12aにより巻取り装置13に向けて搬送する。鉄心材2は、両端部に切断部17を有しており、ベルト12aにて搬送されたのち、ピンチローラ16にて巻取り装置13へと供給される。
巻取り装置13は、巻芯18と、押圧手段として機能するベルト19と、このベルト19の移動をガイドする複数個のガイドローラ20を備えている。巻芯18は、回転中心Oを中心に回転されるベース21と、このベース21に設けられた4個のローラ22を備えている。巻芯18が回転中心Oを中心に、図1の矢印A方向へ回転することに伴い、鉄心材2が4個のローラ22の周りに巻き取られ、順次積層されていく。図2に示すように、鉄心材2の各切断部17は、巻鉄心1における一つの短辺部5に位置させて、順次位置をずらせるようにしている。
巻取り装置13において、ベルト19は、最外周の鉄心材2を取り囲むように配置されていて、巻芯18に巻き取られる鉄心材2を外側から積層方向の内側となる巻芯18方向に押圧しながら、巻芯18の回転に同期して矢印B方向へ移動する。また、巻芯18の回転動作は、切断装置11の切断動作と同期していて、切断装置11から送り出される鉄心材2が、順次巻取り装置13にて巻き取られていく。このようにして所定枚数の鉄心材2を巻芯18の周りに巻き取り、積層していくことで、矩形枠状の巻鉄心1が形成される。なお、鉄心素材の厚みによっては成形時の剛性が高くなり矩形枠状に成型することが困難な場合は、ベルト19の外周に複数の押圧ローラ23を配置し、当該押圧ローラ23により鉄心材2を押圧することにより成形を容易にすることができる。
鉄心材2の巻取りが完了したら、巻鉄心1を、緊縛部材7により複数箇所で緊縛する(図3参照)。このとき、緊縛部材7は、図3に示すように巻鉄心1の各長辺部4および各短辺部5において、それぞれ窓部3を通って緊縛することで、巻かれた鉄心材2の形状が崩れないようになる。このように巻鉄心1を緊縛部材7で緊縛した状態で、巻鉄心1を巻取り装置13から外す。前述のように成形時において鉄心素材の剛性が高い場合は、図4に示すように巻鉄心1と緊縛部材7間に板状の補助材24を追加挿入することで、成形後に元に戻ろうとする変形を抑制することができる。
巻取り装置13においては、前記巻芯18の4本のローラ22が、巻鉄心1における矩形状の窓部3を形成する。この場合、それら4本のローラ22は、その窓部3の長手方向(図1の矢印C1参照)およびこれと直交する短手方向(図1のC2参照)に移動可能に構成されていて、これら4本のローラ22の位置を調整することで、窓部3の寸法(大きさ)を変えることが可能な構成となっている。
そして、巻取り装置13から外された巻鉄心1は、緊縛部材7で緊縛した状態で焼鈍処理される。焼鈍処理では、巻鉄心1を約800℃に加熱した後、徐冷することで行われる。このようして製造された巻鉄心1に図示しない巻線を組み付ける際には、巻鉄心1を、各鉄心材2の切断部17において一旦開き、巻鉄心1の長辺部4に巻線を組み付け、この後、巻鉄心1を閉じるようにする。
上記した実施形態においては、一巻き分ごとに切断された複数枚の鉄心材2を、巻取り装置13において矩形枠状に巻き取りながら積層することで、中心部に矩形状の窓部3を有する巻鉄心1を製造するようにした。これによれば、切断した鉄心材を一旦円形の巻取り型に巻き取ることで円環状の鉄心材を形成し、この後、この円環状の鉄心材を矩形枠状にプレス成形する必要があった従来の製造方法とは違い、円環状の鉄心材を矩形枠状にプレス成形するという必要がなく、製造性の向上を図ることができる。また、鉄心材を円環状に巻き取るための巻取り型を必要としない。
鉄心材2を切断する切断装置11の切断工程と、切断された鉄心材2を巻き取る巻取り装置13による巻取り工程が連続しているので、巻鉄心1の製造性を一層向上させることが可能となる。
巻取り装置13には、巻芯18に巻き取られる鉄心材2を積層方向に押圧する押圧手段としてベルト19を設けているので、鉄心材2を巻芯18に良好に巻き取らせることが可能になる。また、そのベルト19は、巻芯18の回転に同期して移動する構成となっているので、鉄心材2を巻芯18に一層良好に巻き取らせることが可能になる。
巻取り装置13における巻芯18の回転動作を、切断装置11における切断動作と同期させることで、巻鉄心1の製造性を一層向上させることが可能になる。
また、鉄心材2を巻取り装置13により巻き取る前のいずれかの工程において、鉄心材2をプレス成形により折り曲げるように成形する構成として折り曲げぐせを付加すれば、巻取り装置13にて巻き取られる鉄心材2を、矩形枠状に良好に巻き取ることが可能になり、巻き取られた鉄心材2の形状が崩れることを一層防止することが可能となる。
また、鉄心材2を巻取り装置13により巻き取る前のいずれかの工程において、鉄心材2をプレス成形により折り曲げるように成形する構成として折り曲げぐせを付加すれば、巻取り装置13にて巻き取られる鉄心材2を、矩形枠状に良好に巻き取ることが可能になり、巻き取られた鉄心材2の形状が崩れることを一層防止することが可能となる。
この点は、例えば、図5に示すような矩形枠状の巻鉄心30を製造する場合に有効である。前述した巻鉄心1は、四隅の各コーナー部6が曲面状(円弧状)をなしていた。これに対し、図5に示す巻鉄心30は、四隅のコーナー部31が平面状をなしていて、長辺部4と短辺部5の間を斜めに接続した形態となっている。このような巻鉄心30を前述したような製造方法で製造する場合、鉄心材2を巻取り装置13により巻き取る前の工程において、前記コーナー部31を含めてプレス成形して折り曲げぐせを付加しておくことで、鉄心材2を矩形枠状に良好に巻き取ることが可能になり、巻き取られた鉄心材2の形状が崩れることを一層防止することが可能となる。
巻取り装置13において、巻芯18の4本のローラ22の位置を変えることで、巻鉄心1の窓部3の寸法を変えることができる構成となっている。これにより、一つの巻芯18で、窓部3の大きさが異なる巻鉄心1も製造することが可能になる利点がある。
複数枚の鉄心材2を巻取り装置13により矩形枠状に巻き取った後、この巻き取られた巻鉄心1を、緊縛部材7により緊縛した状態で巻取り装置13から外す工程を有する。これによれば、緊縛部材7により緊縛しておくことで、巻鉄心1の形状を保持することができるので、巻取り装置13から巻鉄心1を外しやすく、また、外した後の保管や次の工程への搬送が容易にできる。緊縛部材7は耐熱性を有する部材であるので、緊縛部材7で緊縛したまま、巻鉄心1の焼鈍処理を行うことができる。
(その他の実施形態)
巻芯18に巻き取られる鉄心材2を巻芯18側へ押圧する押圧手段としては、ベルト19に代えて、例えば複数個のローラで構成することも可能である。
巻芯18に巻き取られる鉄心材2を巻芯18側へ押圧する押圧手段としては、ベルト19に代えて、例えば複数個のローラで構成することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、一巻きごとに少なくとも1箇所の切断部を有する鉄心材を複数枚巻回して積層し、中心部に矩形状の窓部を有する巻鉄心を製造する際に、円環状の鉄心材を矩形枠状にプレス成形する必要がなく、製造性の向上を図ることができる。
本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、1は巻鉄心、2は鉄心材、3は窓部、7は緊縛部材、10は巻鉄心の製造装置、11は切断装置、12は搬送部、13は巻取り装置、17は切断部、18は巻芯、19はベルト(押圧手段)、20はガイドローラ、22はローラ、30は巻鉄心を示す。
Claims (11)
- 一巻きごとに少なくとも1箇所の切断部を有する鉄心材を複数枚巻回して積層し、中心部に矩形状の窓部を有する巻鉄心を製造する方法であって、
切断された複数枚の前記鉄心材を、巻取り装置により矩形枠状に巻き取りながら積層する巻鉄心の製造方法。 - 前記鉄心材の切断工程と、前記巻き取り装置による巻取り工程が連続している請求項1記載の巻鉄心の製造方法。
- 前記巻取り装置には、巻き取られる前記鉄心材を積層方向に押圧する押圧手段が設けられている請求項1または2記載の巻鉄心の製造方法。
- 前記巻取り装置は、前記鉄心材を巻き取る巻芯を備え、
前記押圧手段は、前記巻芯の回転に同期して移動するベルトである請求項3記載の巻鉄心の製造方法。 - 前記巻取り装置は、前記鉄心材を巻き取る巻芯を備え、
前記巻取り工程において前記巻芯の回転動作が、前記切断工程における切断動作と同期している請求項2記載の巻鉄心の製造方法。 - 前記鉄心材は、前記巻取り装置により巻き取るよりも前のいずれかの工程で、前記鉄心材を折り曲げ成形する請求項1から5のいずれか一項記載の巻鉄心の製造方法。
- 前記巻取り装置は、前記鉄心材を巻き取る巻芯を備え、
前記巻芯は、前記窓部の寸法を変えることができる構成となっている請求項1記載の巻鉄心の製造方法。 - 複数枚の前記鉄心材を前記巻取り装置により矩形枠状に巻き取った後、この巻き取られた巻鉄心を、耐熱性を有する緊縛部材により緊縛した状態で前記巻取り装置から外す工程を有する請求項1から7のいずれか一項記載の巻鉄心の製造方法。
- 前記緊縛部材による緊縛は、その緊縛部材が前記巻鉄心の前記窓部を少なくとも一度通って行われる請求項8記載の巻鉄心の製造方法。
- 前記巻鉄心を前記緊縛部材により緊縛した後、前記巻鉄心を焼鈍する請求項8または9記載の巻鉄心の製造方法。
- 一巻きごとに少なくとも1箇所の切断部を有する鉄心材を複数枚巻回して積層し、中心部に矩形状の窓部を有する巻鉄心を製造する装置であって、
前記鉄心材を切断する切断装置と、
この切断装置で切断された複数枚の前記鉄心材を矩形枠状に巻き取りながら積層する巻取り装置と、を備えた巻鉄心の製造装置。
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