先ず、図1〜図5を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
図1を用いて本実施形態の画像形成装置31の構成について説明する。図1(a)に示すように、本実施形態の画像形成装置31は、図1(a)の矢印a方向に回転し、静電潜像を担持する像担持体となる感光ドラム1を有する。更に、該感光ドラム1の表面に接触させて帯電ニップ部Ncを形成し、該感光ドラム1の表面に帯電電圧Vを印加して該感光ドラム1の表面を一様に帯電させる帯電処理を行なう帯電手段となる帯電ローラ2を有する。
更に、該帯電ローラ2により一様に帯電処理された感光ドラム1の表面を画像情報に応じて露光することにより該感光ドラム1の表面に静電潜像を形成する露光手段となるレーザスキャナ3を有する。
更に、感光ドラム1の表面に形成された静電潜像に現像剤となるトナー10を供給してトナー像(現像剤像)として現像する現像手段となる現像装置4を有する。現像装置4には、トナー10を担持して感光ドラム1の表面に搬送するための現像剤担持体となる現像ローラ12が回転可能に軸支されている。
該現像ローラ12の表面は、感光ドラム1の表面と接触して現像ニップ部Ndを形成する。該現像ローラ12の表面を感光ドラム1の表面に当接させて現像領域を形成する。この現像領域において感光ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナー10を電気的に付着させることによりトナー像として現像する。
更に、感光ドラム1の表面に形成されたトナー像を記録材Pに転写する転写手段となる転写ローラ5を有する。更に、記録材P上に転写されたトナー10を加熱及び加圧して熱定着する定着手段となる定着装置30を有して構成される。
転写ローラ5により感光ドラム1の表面に形成されたトナー像を記録材Pに転写する。その後、該感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナー(現像剤)は、該感光ドラム1と帯電ローラ2との帯電ニップ部Nc(以下、単に「帯電ニップ部Nc」という)を通過するときに該帯電ローラ2により帯電される。
その後、感光ドラム1の表面に当接している現像ローラ12の現像ニップ部Ndからなる現像領域において該現像ローラ12により感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナー(現像剤)が静電吸着され、現像装置4により回収される。これにより本実施形態の画像形成装置31では、図9に示すようなクリーニング装置1007を省略したクリーナレスシステムとして構成される。
<帯電手段>
帯電手段となる帯電ローラ2は、導電性を有する芯金2aと、該芯金2aの外周にローラ状に被覆された中抵抗で弾性を有するゴム等の弾性層2bとを有して構成されている。芯金2aの両端部は軸受けにより回転可能に軸支されており、常時、帯電ローラ2の表面が感光ドラム1の表面に当接するように支持されている。
本実施形態では、弾性層2bとしてNBR(Nitril-Butadiene Rubber;ニトリルブタジエンゴム)ヒドリンのソリッドゴムを使用している。また、帯電ローラ2は、図1(a)の矢印a方向に回転する感光ドラム1に対して従動回転する。
帯電ローラ2の芯金2aは、帯電電流検知装置50を介在して直流(DC)バイアスと、交流(AC)バイアスとを重畳できる帯電バイアス、或いは、直流(DC)バイアスのみを印加する帯電電源17と電気的に接続されている。帯電電源17により芯金2aを介して帯電ローラ2に帯電電圧Vを印加することで、感光ドラム1の表面を所定の非画像部電位Vdに帯電処理する。
本実施形態の帯電電源17は、直流(DC)バイアスのみを定電圧制御で印加する。帯電電源17と帯電ローラ2の芯金2aとの間には、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面との間に流れる帯電電流I(以下、単に「帯電電流I」という)を検知する帯電電流検知手段となる帯電電流検知装置50が接続されている。該帯電電流検知装置50により常に帯電電流Iを検知し、帯電電源17から帯電ローラ2に安定した帯電電圧Vを印加している。
本実施形態の現像装置4は、感光ドラム1の表面上に形成された静電潜像に現像剤(トナー)を供給して現像する。その他に、転写後に感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナーを回収する。
露光手段となるレーザスキャナ3は、画像形成装置31に入力される、或いは、テストパターンのような画像形成装置31本体の内部で作成される画像信号に応じてON/OFF制御されたレーザ光3aを一様に帯電された感光ドラム1の表面に照射する。これにより該感光ドラム1の表面上に静電潜像(デジタル潜像)を形成する。
尚、露光手段としては、レーザスキャナ3以外にもLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)プリントヘッド方式や液晶シャッターアレイ方式等の露光装置も適用可能である。
感光ドラム1の表面電位としては、負帯電性トナーを用いる場合は、非画像部電位Vdとして、−500V〜−1000Vの範囲が好適であり、また、最大トナー画像濃度が得られる画像部電位Vlとして、−50V〜−200Vの範囲が好適である。
同様に正帯電性トナーを用いる場合は、非画像部電位Vdとして、+500V〜+800Vの範囲が好適であり、また、最大トナー画像濃度が得られる画像部電位Vlとして、+50V〜+200Vの範囲が好適である。本実施形態では、負帯電性トナーを用いた一例である。
<現像手段>
現像手段となる現像装置4は、図1(a)に示すように、一成分現像剤の非磁性トナー(一成分トナー)10を収容した現像剤容器11、現像ローラ12、現像ブレード19、供給ローラ18及び攪拌羽根13を有して構成されている。
現像ローラ12は、アルミニウムやその合金、ステンレス等の導電性を有する金属の円筒体の外周上に基層と、その上の表層とからなる弾性層を設けた多層構成とされる。弾性層の基層は、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR;Nitril-Butadiene Rubber)からなる。或いは、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM;Ethylene Propylene Diene Terpolymer)からなる。或いは、シリコーンゴム、ウレタンゴム等のゴムからなる。表層はエーテルウレタンや例えば、ナイロン(登録商標)等のポリアミド系繊維(単量体がアミド結合 (−CO−NH−) により次々に縮合した高分子)からなっている。
他に基層としてスポンジ等の発泡体を用い、表層としてゴム弾性層を形成した構造も使用可能である。或いは、ニトリルブタジエンゴム(NBR;Nitril-Butadiene Rubber)のゴム弾性層のみから構成される単層構造として構成しても良い。或いは、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM;Ethylene Propylene Diene Terpolymer)のゴム弾性層のみから構成される単層構造として構成しても良い。或いは、ウレタンゴム等のゴム弾性層のみから構成される単層構造として構成しても良い。
本実施形態では、基層ウレタンフォーム、表層エーテルウレタンからなる二層構造の現像ローラ12として構成された一例である。現像ローラ12は、図示しない駆動源からの駆動力が伝達されて図1(a)の矢印b方向に回転駆動される。
図1(a)に示す現像ローラ12の上方には、トナー規制部材となる現像ブレード19が設けられている。現像ブレード19は、金属製の薄板からなる押さえ板19aに弾性部材19bが支持されている。弾性部材19bの自由端側の先端近傍は、現像ローラ12の表面に面接触状態で当接するように設けられている。現像ブレード19の弾性部材19bの当接方向は、現像ローラ12の表面の当接部に対して該弾性部材19bの先端側が現像ローラ12の図1(a)の矢印b方向で示す回転方向の上流側に位置するカウンター方向に設定されている。
本実施形態の現像ブレード19は、バネ弾性を有するリン青銅板の金属薄板からなる押さえ板19aに、弾性部材19bとしてポリアミドエラストマーを接着、または射出成形により形成したものである。そして、弾性部材19b側を現像ローラ12の表面に対して所定の線圧で当接している。押さえ板19aにより現像ローラ12の表面に対する現像ブレード19の圧接力を維持する。そして、トナー10が、例えば、負帯電性トナーである場合には、ポリアミドエラストマーによりトナー10に対する帯電性が付与される。
尚、押さえ板19aは、現像ブレード19の圧接力を維持するものであれば特に限定されず、また、弾性部材19bもトナー10の帯電性を考慮して適宜選択可能である。また、弾性部材19bのようなトナー10への帯電付与部材を特に設ける必要は無く、ステンレス製の薄板、リン青銅製の薄板等のバネ弾性を有する押さえ板19aをそのままトナー10を介在して現像ローラ12の表面に当接する構成とすることも出来る。
供給ローラ18は、スポンジ構造や、芯金上にレーヨン、ナイロン(登録商標)等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが現像ローラ12に対するトナー10の供給及び現像残りのトナー10の剥ぎ取りの点から好ましい。本実施形態では、芯金上にウレタンフォームを設けた弾性ローラを用いている。この弾性ローラからなる供給ローラ18は、現像ローラ12に当接して該現像ローラ12と同一方向となる図1(a)の矢印c方向に回転される。
感光ドラム1の表面に形成された静電潜像をトナー10により現像する際、現像ローラ12には、現像バイアス電圧Vdcが印加される。現像バイアス電圧Vdcは、直流電圧である。感光ドラム1の表面に形成された静電潜像の現像バイアス電圧Vdcの条件としては以下の通りである。該現像バイアス電圧Vdcの値と、最大トナー画像濃度が得られる画像部電位Vlとの電位差分となるコントラスト電位Vc(=|Vl−Vdc|)が50V〜400Vとなる範囲で好適となる。
更に、本実施形態において、現像ブレード19により規制されつつ現像ローラ12の表面上に担持されたトナー10は、非磁性一成分のトナー10である。このため現像ローラ12の表面上でトナー10を拘束する力は、トナー10が有する電荷による鏡映力と、僅かなファンデルワールス力しか働かない。このため現像ローラ12の表面上のトナー10の層厚が厚くなると、トナー層の上層部にあるトナー10に対する鏡映力が弱くなる。このため現像ローラ12の表面上にトナー10が担持できなくなり、トナー10が飛散してしまう。
従って、現像ローラ12の表面上のトナー層を薄く規制する必要があるが、その結果、十分な画像濃度が得難くなる場合がある。このような場合、現像ローラ12の周速度を感光ドラム1の周速度よりも速く設定することで所望の画像濃度を得ることが可能である。
このときの現像ローラ12の周速度と、感光ドラム1の周速度との周速度比としては。感光ドラム1の周速度に対して現像ローラ12の周速度を1.1倍〜3倍の範囲に設定することが好ましい。本実施形態では、感光ドラム1の周速度に対して現像ローラ12の周速度を1.3倍に設定した。
その後、感光ドラム1の表面上に可視化されたトナー像は、感光ドラム1と転写ローラ5との転写ニップ部Nt(以下、単に「転写ニップ部Nt」という)で挟持搬送された記録材P上に転写される。接触転写部材となる転写ローラ5の表面は、感光ドラム1の表面に所定の押圧力で付勢されている。
本実施形態では、転写ローラ5の表面を感光ドラム1の表面に9.8N(1kgf)の押圧力で接触させている。そして、図示しない転写電源から印加される転写電圧により感光ドラム1の表面と転写ローラ5の表面との間の転写ニップ部Ntで感光ドラム1の表面に形成されたトナー像を記録材Pに転写する。本実施形態の転写ローラ5は、感光ドラム1の回転駆動と連動して駆動される。
<転写手段>
本実施形態の転写手段となる転写ローラ5は、導電性の芯金の表面に導電性のゴム材からなる弾性層を形成して構成されている。転写ローラ5の電気抵抗値は、1×106Ω〜1×1010Ωに調整されている。本実施形態の転写ローラ5の外径直径は14mm、芯金の外径直径は6mm、ゴム厚みtは4mm、ゴム材としては発泡タイプのニトリルブタジエンゴム(NBR;Nitril-Butadiene Rubber)を用いている。
転写ローラ5の電気抵抗値は、画像形成装置31が設置される環境条件が23℃/50%R.H.(相対湿度)で1.0×108Ωとしている。尚、相対湿度(RH;relative humidity)は、(湿り空気中の水蒸気の比重量(g/m3)/(飽和湿り空気中の水蒸気の比重量(g/m3))である。
トナー像が転写された記録材Pは、その後、定着装置30に搬送される。定着装置30において、記録材P上のトナー像を加熱及び加圧して熱定着した後、排出トレー6上に排出されて一連の画像形成プロセスが終了する。
<記録材検知手段>
本実施形態の画像形成装置31では、記録材Pが画像形成装置31本体内でジャムが発生するのを検知する記録材検知手段となる検知センサ99が設けられている。検知センサ99は、作像プロセスの動作タイミングを測る目的で給送カセット7から給送ローラ8と、図示しない分離手段とにより一枚ずつ給送された記録材Pを検知する。更に、定着装置30から排出された記録材Pを検知する検知センサ101を設けている。
検知センサ101を定着装置30よりも記録材Pの搬送方向下流側に設けているのは、感光ドラム1の近傍に該検知センサ101を設置した場合、記録材P上の未定着のトナー像を検知センサ101のフラグ等の接触により乱してしまうからである。また、検知センサ101のフラグ等が記録材Pとの摩擦帯電により帯電し、静電的に画像形成装置31本体内に浮遊するトナー10を引き付けることで検知センサ101のフラグ等に汚れが発生し、その汚れが記録材Pに付着してしまうからである。
<各記録材検知手段の位置関係>
次に、図1(b)を用いて各記録材検知手段となる検知センサ99,101の位置関係について説明する。本実施形態の画像形成装置31の記録材Pの搬送経路において、検知センサ99から転写ローラ5と感光ドラム1との転写ニップ部Ntまでの距離L1を考慮する。更に、転写ローラ5と感光ドラム1との転写ニップ部Ntから帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncまでの図1(b)の矢印a方向の上流側における距離L2を考慮する。距離L1と距離L2との合計は111mmである。
検知センサ99から転写ローラ5と感光ドラム1との転写ニップ部Ntまでの距離L1を考慮する。更に、転写ローラ5と感光ドラム1との転写ニップ部Ntから現像ローラ12と感光ドラム1との現像ニップ部Ndまでの図1(b)の矢印a方向の上流側における距離L3を考慮する。距離L1と距離L3との合計は136mmである。また、検知センサ99から検知センサ101までの距離L4は250mmである。
<潜像電位及び現像電位の設定>
次に、本実施形態の画像形成装置31における感光ドラム1の表面上に静電潜像が形成された画像部電位Vl及び現像ローラ12により現像される現像電位の設定について説明する。
本実施形態の画像形成装置31においては、感光ドラム1の表面上に形成された静電潜像(画像部)に確実にトナー10を載せる。このためにコントラスト電位Vc(=|Vl−Vdc|)をとりつつ、転写後に感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナーの回収性を確実にするために現像ローラ12に印加する現像バイアス電圧Vdcの値を考慮する。更に、非画像部電位Vdを考慮する。これらの電位差分となるバックコントラスト電位Vb(=|Vd−Vdc|)を大きくする必要がある。
バックコントラスト電位Vbを大きくすることにより感光ドラム1の表面上の電位と、現像ローラ12の表面上の電位との電位差が大きくなる。これにより転写後に感光ドラム1の表面上に残留して帯電ニップ部Ncを通過した後の転写残トナーを現像ローラ12に引き戻す電気的な力が大きくなる。これにより転写後に感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナーを現像ローラ12により確実に回収できる。
本実施形態の画像形成装置31では、帯電ローラ2により一様に帯電された感光ドラム1の表面上の非画像部電位Vdは−900Vである。また、帯電ローラ2により一様に帯電された後、レーザスキャナ3により露光されて静電潜像が形成された感光ドラム1の表面上の画像部電位Vlは−100Vである。
また、現像ローラ12に印加される現像バイアス電圧Vdcは−300Vである。また、コントラスト電位Vc(=|Vl−Vdc|)は200Vである。また、バックコントラスト電位Vb(=|Vd−Vdc|)は600Vである。
画像形成装置31の画像形成動作中に記録材Pが感光ドラム1の表面に静電力により吸着されて分離不良が発生する。その場合、図1(b)に示す記録材Pの移動経路上において検知センサ99から転写ニップ部Ntを経て帯電ニップ部Ncまでの距離(L1+L2)を考慮する。或いは、検知センサ99から転写ニップ部Nt及び帯電ニップ部Ncを経て現像ニップ部Ndまでの距離(L1+L3)を考慮する。これらの距離(L1+L2)及び距離(L1+L3)は、検知センサ99から検知センサ101までの距離L4よりも短く設定されている。
このため感光ドラム1の表面に静電力により吸着されて分離不良を起こした記録材Pが該感光ドラム1の表面に巻き付いた場合、搬送ジャム(紙詰り)と判断されずに、帯電ニップ部Nc、或いは、現像ニップ部Ndに到達する。感光ドラム1の表面に巻き付いて分離不良を起こした記録材Pが帯電ニップ部Ncに到達した場合、該記録材Pの影響により帯電ローラ2と感光ドラム1との間のインピーダンスが変化する。これにより帯電ローラ2と感光ドラム1との間に流れる帯電電流Iも変化する。
本実施形態では、記録材Pの影響により帯電ローラ2と感光ドラム1との間に流れる帯電電流Iがある一定の値以上変化する場合を検知する。そして、その変化を帯電電流検知装置50が検知した場合に分離不良の記録材Pが感光ドラム1の表面に巻きついて帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに到達したことが分かる。
本実施形態では、帯電電流検知装置50により検知した帯電電流Iが所定の閾値に到達した場合に、制御手段となる制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止させる。
これにより制御部9は、分離不良により感光ドラム1の表面に記録材Pが巻き付いて該感光ドラム1の図1(a)の矢印a方向の回転に伴って帯電ニップ部Ncまで移動したと判断して画像形成装置31の画像形成動作を停止する。
<分離不良が発生した記録材Pのジャム処理後に印刷を行なった場合の画像不良の発生状況>
以下に本実施形態と、帯電電流検知装置50が備わっていない比較例1とで、分離不良が発生した記録材Pのジャム処理後に印刷を行なった場合の画像不良の発生状況の結果について説明する。
キヤノン株式会社製の普通紙薄紙(CS−520;坪量が52g/m2)からなるA4サイズの記録材Pに両面印刷した場合の分離不良の発生回数を確認した。更に、分離不良が発生した記録材Pのジャム処理後に印刷を行なった場合の画像不良の発生状況を確認した。
<実験条件>
温度が23℃、湿度が50%(以下、「平温、平湿度環境NN」という)の環境条件に設置された画像形成装置31(キヤノン株式会社製の「HP LaserJet 1020/600dpi」)を用いた。そして、片面印刷で10ppm(Page Per Minute;1分間に排出できる記録材Pの枚数)とした。更に、両面印刷で6ipm(images per minute;1分間あたりの画像印刷枚数)のプロセススピード(30mm/sec)に設定した。使用する記録材Pは、キヤノン株式会社製のA4サイズの普通紙薄紙(CS−520;坪量が52g/m2)である。
印刷モードは、1000枚の記録材Pの両面に連続して2000個の画像パターンを600dpi(1インチあたりのドット数)で300ドット、300スペースの横線パターンで印刷した。1000枚の記録材Pが通過した後に、2ドット、3スペース(2d3s)の横線画像で画像レベルを確認した。
帯電電源17から帯電ローラ2に印加する帯電電圧Vは、−1200Vの定電圧に制御した。これにより感光ドラム1の表面上の非画像部電位Vdは、−900Vである。また、感光ドラム1の表面上の画像部電位Vlは、−100Vである。
また、帯電電流検知装置50により検知された帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達した場合に、制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止した。図2(a)は帯電電流検知装置50が設けられた本実施形態と、帯電電流検知装置50が設けられていない比較例1について分離不良の発生回数と、1000枚の記録材Pに印刷した後の画像の確認結果を示す。
また、図3は本実施形態において、実際に記録材Pが二面目で三回目の分離不良を起こしたときの記録材Pが帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncを通過した前後に帯電電流検知装置50により検知された帯電電流Iの値をモニターしたものである。
図2(a)に示すように、本実施形態では、分離不良が38回発生した。その都度、ジャム処理を行ったが1000枚の記録材Pに印刷した後の画像確認では問題無く良好であった。本実施形態では、図4に示すように、記録材Pの先端部が図1(a)の検知センサ99により検知されてから転写ローラ5により感光ドラム1の表面上に形成されたトナー像が記録材Pに転写された後に感光ドラム1の表面からの分離不良が発生した。
分離不良が発生した記録材Pは静電気力により感光ドラム1の表面上に巻き付いて該感光ドラム1の図1(a)の矢印a方向の回転に伴って移動して帯電ニップ部Ncに侵入する。そのとき、図3に示すように、記録材Pの先端部が図1(a)の検知センサ99により検知されてから3.9秒後に帯電電流Iが10μAに設定された閾値まで下降している。
帯電電流検知装置50により検知された帯電電流Iは、記録材Pの分離不良が発生した38回のうち毎回、予め設定された閾値(10μA)よりも下回った。このため図4に示すように、帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに記録材Pの先端部が侵入した直後に制御部9により画像形成装置31の画像形成動作が停止する。
このため、図5に示すように、記録材Pが現像ローラ12と感光ドラム1との現像ニップ部Ndに到達することは無かった。これにより分離不良が発生した記録材Pが現像ローラ12等に接触しなかったため該現像ローラ12の表面を傷付けることが無かった。
帯電電流検知装置50が設けられていない比較例1においては、図2(a)に示すように、記録材Pの分離不良が37回発生した。その都度、ジャム処理を行ったが1000枚の記録材Pに印刷した後の画像確認では現像ローラ12の回転周期で記録材Pに印刷された画像にスジやポチが多数見られて画像不良となった。
これは図5に示すように、分離不良を起こした記録材Pが帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncを通過し、更に、現像ローラ12と感光ドラム1との現像ニップ部Ndまで到達することで現像ローラ12の表面を傷付けてしまったことによる。
また、分離不良が発生した記録材Pのジャム処理時にも現像ローラ12の表面と、記録材Pとが摺擦する。このためジャム処理時の記録材Pが現像ローラ12の表面を傷付けてしまう。その結果、ジャム処理後に記録材Pに印刷したトナー像が画像不良となった。
本実施形態では、図4に示すように、分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに到達したときに帯電電流検知装置50により帯電電流Iの変化を検知する。そして、図3に示すように、帯電電流検知装置50により検知した帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達したとき、制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する。
これにより分離不良を起こした記録材Pの現像ニップ部Ndへの到達を防止できる。これにより現像ローラ12の表面にダメージを与えることなくジャム処理後に記録材Pに印刷したトナー像の画像不良を防止することが出来る。
尚、本実施形態において予め設定された帯電電流Iの閾値は、10μAに設定した一例について説明したが、感光ドラム1や帯電ローラ2の構成によって適宜設定することができる。また、記録材Pの種類や画像形成装置31の放置状態によって記録材Pの電気抵抗値も変わる。このため帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに記録材Pが挟まったときのインピーダンスも変わる。このため画像形成装置31や記録材Pの使用条件に対応して帯電電流Iの閾値を適宜設定することで良い。
本実施形態では、転写後に記録材Pが感光ドラム1に巻き付き、該記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに侵入した場合を考慮する。帯電電流検知装置50により検知した帯電電流Iが予め設定された閾値に到達した場合、制御部9は、記録材Pが感光ドラム1の表面と分離できずに該感光ドラム1の表面に巻きついて帯電ニップ部Ncに侵入していると判断できる。
このため制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止することで、分離不良が発生した記録材Pの現像ニップ部Ndへの侵入を防止できる。その結果、現像ローラ12の表面のダメージを回避でき、分離不良が発生した記録材Pのジャム処理後の印刷で良好な画像を提供できる図9に示すクリーニング装置1007を省略したクリーナレスシステムを備えた画像形成装置31を提供できる。
次に、図2(b)及び図6を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では、図3に示すように、印刷中の電気的なノイズ等の影響で帯電電流Iの値が上下に振れる。このため分離不良を起こした記録材Pが図4に示すように帯電ニップ部Ncに到達していないときでも図6(b)に示すように帯電電流Iが予め設定した閾値(10μA)に到達してしまい、画像形成装置31が停止する誤検知が発生する場合もある。
本実施形態では、記録材Pの先端部が図1(b)に示す画像形成装置31本体内の記録材Pの搬送経路上の転写ローラ5よりも上流側に設けられた検知センサ99により検知された時刻を始点とした。そして、該記録材Pが分離不良を起こした場合に該記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに到達するまでの到達時間を制御部9に設けられたカウンタにより計測して予測する。
本実施形態では、制御部9に設けられたカウンタが分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに到達するまでの到達時間を予測する予測手段として構成される。制御部9に設けられたカウンタは以下の通りである。転写ローラ5によりトナー像(現像剤像)を記録材Pに転写する。その後、感光ドラム1の表面からの分離不良により該記録材Pの先端部が検知センサ99により検知される。その時刻から帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに到達するまでの到達時間を予測する。
そして、実際に制御部9に設けられたカウンタにより測定した到達時間が予め予測された到着時間付近で帯電電流検知装置50により検知した帯電電流Iが予め設定した閾値に到達した場合に制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する。他の構成は第1実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
本実施形態では、図1(a)に示す画像形成装置31を用いて前記第1実施形態と同様の条件で、キヤノン株式会社製の普通紙薄紙(CS−520;坪量が52g/m2)からなるA4サイズの記録材Pに両面印刷した。その場合の分離不良の発生回数を確認した。更に、分離不良が発生した記録材Pのジャム処理後に印刷を行なった場合の画像不良の発生状況を確認した。
本実施形態では、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから帯電ニップ部Ncに到達するまでの到達時間を3.9秒〜4.2秒の範囲で予測して適宜設定した。この予測到達時間は、分離不良を起こした記録材Pが撓んでしまい、該記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達する時間の振れとして3.7秒〜3.9秒(時間差ΔT1=0.2秒)を考慮している。
更に、帯電電流検知装置50により検知した帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達するまでの時間の振れとして0.2秒〜0.3秒(時間差ΔT2=0.1秒)も考慮している。
そして、予測到達時間の近傍で帯電電流検知装置50により検知した帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達した場合に、制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する。実験では意図的に電気的なノイズを発生させる。そのために連続して印刷中の記録材Pの50枚目と500枚目の2回につき、図6(a),(b)に示すように、静電耐圧試験を行なった。静電耐圧試験は、記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから0.4秒後に画像形成装置31の近傍外部で電極間に30kVを印加して空気中で放電させる。
図2(b)は、本実施形態と前記第1実施形態とで、静電耐圧試験を実施したときの誤検知の発生結果を示す。
図6(a)は、本実施形態の画像形成装置31において、50枚目の記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから分離不良を起こした。そして、感光ドラム1の表面に巻き付いて該記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncを通過した。その前後の帯電電流Iの値をモニターしたものである。
図6(b)は、前記第1実施形態の画像形成装置31において、50枚目の記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから分離不良を起こした。そして、感光ドラム1の表面に巻き付いて該記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncを通過した。その前後の帯電電流Iの値をモニターしたものである。
図6(a),(b)に示すように、本実施形態と前記第1実施形態で、記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから0.4秒後に静電耐圧試験を行なった。そのとき、図6(a)に示す本実施形態では、静電耐圧試験により発生したノイズにより帯電電流Iの落ち込みがあり、予め設定した閾値(10μA)に到達した。しかしながら記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達すると予測された到達時間(3.9秒後〜4.2秒後)よりも前であったため制御部9は画像形成装置31の画像形成動作を停止することなく画像形成動作を継続した。
これにより本実施形態では、図2(b)の実施例2に示すように、静電耐圧試験により発生したノイズにより帯電電流Iが予め設定した閾値(10μA)に到達した場合を記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達したものとして誤検知することがなかった。これにより画像形成装置31の画像形成動作が停止することも無かった。
図6(a)の横軸上において、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから3.7秒後に帯電ニップ部Ncに到達した。更に、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから3.9秒後に予め設定した閾値(10μA)に到達した。その後、制御部9により画像形成装置31の画像形成動作が停止した。
前記第1実施形態では、図6(b)に示すように、記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから0.4秒後に行なった静電耐圧試験時に発生したノイズにより帯電電流Iが予め設定した閾値(10μA)に到達した。このため制御部9は静電耐圧試験時に発生したノイズを誤検知して画像形成装置31の画像形成動作を停止した。
このように前記第1実施形態では、静電耐圧試験を行ったときのノイズの影響で帯電電流Iが予め設定した閾値(10μA)に到達してしまう。このため静電耐圧試験を行ったときのノイズの影響を記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達したものとして誤検知してしまった。
本実施形態では、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから帯電ニップ部Ncに到達する到達時間を制御部9に設けられたカウンタにより測定する。そして、実際に分離不良が発生した記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達する。そして、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達した場合のみ制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する。これによりノイズによる誤検知を防止することができる。
尚、本実施形態では、記録材Pの給送動作開始時刻として記録材Pの先端部が検知センサ99により検知された時刻を始点として採用し、分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達する到達時間を予測した。そして、予測された到達時間付近で帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達した場合のみ制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する構成とした。他に、他の種々の時刻を到達時間のカウント開始時刻に設定することが出来る。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図2(c)、図7及び図8を用いて本発明に係る画像形成装置の第3実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では、転写ローラ5に印加する転写電圧等の影響で転写後の感光ドラム1の表面上の電位が振れる。これにより帯電ローラ2に印加される帯電電圧Vが定電圧制御の場合は、図8(b)に示すように、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面との間に流れる帯電電流Iの振れが大きくなる。
このため分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに侵入したときに帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iの変化を判断するための閾値の設定を該帯電電流Iの振れ幅よりも大きく設定する必要がある。
その場合、図8(b)に示すように、帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達する時間が長くなる。図8(b)の横軸上の0.99秒は、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから帯電ニップ部Ncに到達し、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達する時間である。
このため制御部9により画像形成装置31が画像形成動作を停止するまでに時間がかかってしまう。分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達してから画像形成装置31が画像形成動作を停止するまでに時間がかかる。その場合、例えば、画像形成装置31のプロセススピード(画像形成速度)を速い設定にすると、画像形成装置31が画像形成動作を停止する前に分離不良を起こした記録材Pの先端部が現像ニップ部Ndに侵入してしまう。
図8(b)の横軸上の0.96秒は、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから現像ニップ部Ndに到達した時間である。図8(b)の場合、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達する時間(0.99秒)よりも早く分離不良を起こした記録材Pの先端部が現像ニップ部Ndに侵入してしまう。その結果、分離不良を起こした記録材Pにより現像ローラ12の表面を傷付けてしまう。
本実施形態では、図7に示すように、画像形成装置31本体の感光ドラム1の回転方向(図7の矢印a方向)において、転写ローラ5よりも下流側で、且つ帯電ローラ2よりも上流側に第二の露光手段となる帯電前露光装置100を設けている。
そして、転写ローラ5により感光ドラム1の表面に形成されたトナー像(現像剤像)を記録材Pに転写した。その後で、且つ帯電ローラ2により感光ドラム1の表面に帯電電圧Vを印加して帯電処理する前に該帯電前露光装置100により感光ドラム1の表面を露光する。これにより帯電前の感光ドラム1の表面上の電位を一定にすることができる。
その結果、帯電電流Iを安定させることが出来、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iの変化を判断する閾値を該帯電電流Iに近い値に設定することが可能となる。その結果、制御部9により画像形成装置31の画像形成動作の停止をより早く行うことが可能となる。これによりプロセススピードが速い設定の画像形成装置31にも適用出来る。
本実施形態の帯電前露光装置100は、感光ドラム1の長手方向の全域を照射できるように画像形成装置31本体の両側面板の間にLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)タイプの光源を設けている。LEDから出射される光をライトガイドにより導いて感光ドラム1の表面を照射する。本実施形態の帯電前露光装置100により感光ドラム1の表面を照射する光量は、該感光ドラム1の表面上に光を照射した後、該感光ドラム1の表面の電位が0Vになるように設定している。
本実施形態の画像形成装置31では、プロセススピードを140mm/sec、スループットを24ppm(pages per minute;1分間あたりの印刷枚数)に設定した。更に、両面スループットを14ipm(images per minute;1分間あたりの画像印刷枚数)に設定した。そして、図2(c)の実施例3に示すように、分離不良の発生回数と、1000枚の記録材Pに印刷した後の画像の確認を行った。
図2(c)に示す比較例2としては、前記第1実施形態の構成において、プロセススピードを140mm/sec、スループットを24ppm、両面スループットを14ipmに設定した。そして、分離不良の発生回数と、1000枚の記録材Pに印刷した後の画像の確認を行った。
本実施形態では、図8(a)に示すように、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定した閾値(19μA)に到達したときに制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する。図8(b)に示す比較例2では、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定した閾値(10μA)に到達したときに制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する。
それ以外は、前記第1実施形態と同条件で、キヤノン株式会社製の普通紙薄紙(CS−520;坪量が52g/m2)からなるA4サイズの記録材Pに両面印刷した。その場合の分離不良の発生回数と、分離不良が発生した記録材Pのジャム処理後に印刷を行なった場合の画像不良の発生状況を確認した。
図2(c)は、本実施形態と比較例2において、分離不良の発生回数と、1000枚の記録材Pに印刷した後の画像確認結果を示す。
図8(a)は、本実施形態において、記録材Pが二面目で三回目の分離不良を起こしたときの該記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncを通過した前後の帯電電流Iの値をモニターしたものである。
図8(b)は、比較例2において、記録材Pが二面目で三回目の分離不良を起こしたときの該記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncを通過した前後の帯電電流Iの値をモニターしたものである。
図2(c)の実施例3で示すように、本実施形態においては、分離不良の発生回数は38回あり、その都度、ジャム処理を行ったが1000枚の記録材Pに印刷した後の画像確認では問題無く良好であった。これは、分離不良が発生した記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達した際に帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(19μA)よりも毎回下回った。
このため分離不良が発生した記録材Pの先端部が帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部Ncに侵入した直後に制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する。本実施形態の場合、帯電前露光装置100により帯電前に感光ドラム1の表面を露光したことにより帯電前の感光ドラム1の表面電位が安定する。
これにより図8(a)に示すように、帯電電流Iも20μAに安定する。そのため帯電電流Iの値(20μA)と、予め設定された閾値(19μA)との差を小さく設定しても確実に分離不良の発生を検知できる。
更に、帯電電流Iの値(20μA)と、閾値(19μA)との差が小さいため帯電電流Iが閾値に至るまでの到達時間が短くなる。このため制御部9により画像形成装置31の画像形成動作をより早く停止させることが可能となる。
本実施形態では、図8(a)の横軸上に示すように、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから帯電ニップ部Ncに到達する時間が0.79秒である。また、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから帯電ニップ部Ncに到達し、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(19μA)に到達するのが0.84秒である。
これにより分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達してから帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(19μA)に到達するまでの応答時間は、0.05秒(=0.84秒−0.79秒)である。
分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから現像ニップ部Ndに到達する時間が0.96秒である。これにより分離不良を起こした記録材Pの先端部が現像ニップ部Ndに到達する前に制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を確実に停止させることができる。
これにより分離不良を起こした記録材Pの先端部が現像ニップ部Ndに侵入することはなく、分離不良を起こした記録材Pにより現像ローラ12の表面を傷付けることがない。
図8(a)では、帯電電流Iが予め設定された閾値(19μA)に到達するまでの応答時間が0.05秒(=0.84秒−0.79秒)の場合の一例を示す。図2(c)に示すように、分離不良が発生した38回のうちで、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(19μA)に到達する時間の振れを測定した。
その結果、分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達してから帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(19μA)に到達するまでの応答時間は、0.05秒〜0.1秒以内であった。これにより分離不良を起こした記録材Pの先端部が現像ニップ部Ndに到達する前に制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を確実に停止させることができた。
次に、図2(c)に示す比較例2において、分離不良の発生回数は37回あり、その都度、ジャム処理を行った。1000枚の記録材Pに印刷した後の画像確認では、現像ローラ12の回転周期で記録材P上に形成されたトナー像にスジやポチが多数見られて画像不良となった。
図2(c)に示す比較例2の画像形成装置31では、図7に示す帯電前露光装置100を設けていない。このため感光ドラム1の表面上を帯電前に露光しない。このため感光ドラム1の表面上の帯電電位を安定させることができない。このため図8(b)に示すように、転写ローラ5に印加される転写電圧の影響を受けて帯電電流Iが振れてしまう。
そのため分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達した際の帯電電流Iの変化を判断する閾値を転写電圧の影響を受けて振れる実際の帯電電流Iの値から振れを許容するように所定の許容幅だけ離して設定する必要がある。このため分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達してから帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達するまでに時間がかかってしまう。
比較例2では、図8(b)の横軸上に示すように、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから帯電ニップ部Ncに到達する時間が0.79秒である。また、帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達する時間が0.99秒である。
図8(b)に示す比較例2において、分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達する。それから帯電電流検知装置50により検知される帯電電流Iが予め設定された閾値(10μA)に到達するまでの応答時間は、0.2秒(=0.99秒−0.79秒)である。
一方、分離不良を起こした記録材Pの先端部が検知センサ99により検知されてから現像ニップ部Ndに到達する時間が0.96秒である。これにより分離不良を起こした記録材Pの先端部が現像ニップ部Ndに到達する前に制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止させることができない。
これにより制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止する前に分離不良を起こした記録材Pの先端部が現像ニップ部Ndに到達してしまう。このため分離不良を起こした記録材Pにより現像ローラ12の表面を傷付けてしまう。
本実施形態では、図7に示すように、画像形成装置31本体に帯電前露光装置100を設ける。そして、転写ローラ5による転写後で、且つ帯電ローラ2により帯電される前に帯電前露光装置100により感光ドラム1の表面を露光して表面電位を一様に0Vに帯電(除電)する。これにより帯電ローラ2の表面から感光ドラム1の表面に流れる帯電電流Iを安定させる。
これにより実際の帯電電流Iの値と、予め設定された閾値とを近い値に設定することが出来る。これにより分離不良を起こした記録材Pの先端部が帯電ニップ部Ncに到達してから制御部9により画像形成装置31の画像形成動作を停止させるまでの時間を短縮することが可能となる。
これにより感光ドラム1の周方向における帯電ローラ2と、現像ローラ12との距離を短くすることができ、その結果、画像形成装置31本体を小型化することも可能となる。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。