JP2017039897A - 有機物質の低分子化方法および低分子化設備 - Google Patents

有機物質の低分子化方法および低分子化設備 Download PDF

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Abstract

【課題】有機物質を効率的に低分子化して高品質、高カロリーの低分子物を得ることができるとともに、低エネルギーコストで実施することができ、また、低分子化反応の反応効率を適切に制御することができる有機物質の低分子化方法を提供する。
【解決手段】一酸化炭素含有ガス(g)と水蒸気とのシフト反応により得られた混合ガス(g)を低分子化反応器2において有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法であって、有機物質の低分子化反応で生成した液体生成物(p)を燃焼炉3で燃焼させ、その燃焼熱で低分子化反応器2に低分子化反応熱を供給する。好ましくは、液体生成物(p)の燃焼量を、有機物質の低分子化反応で生成する液体生成物(p)の生成量に比例するように制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチックなどの有機物質を気体燃料などに転換するために、有機物質を改質して低分子化する技術に関する。
廃プラスチック、含油スラッジ、廃油などの多くは焼却処理されているのが現状である。しかし、焼却処理ではCO発生などの環境負荷が高く、また、焼却炉の熱的損傷の問題もあり、ケミカルリサイクル技術の確立が求められている。
ケミカルリサイクル技術のなかでも、有機物質を気体燃料や液体燃料に転換するための技術は、廃プラスチックを中心に従来から種々検討がなされ、例えば、以下のような提案がなされている。
特許文献1には、水素濃度60vol%以上、好ましくは80vol%以上、温度600℃以上のコークス炉ガス(COG)を廃プラスチックなどの有機物質と反応させることにより、有機物質を高効率で水素化分解・ガス化し、COGを増熱化する方法が開示されている。COG中の水素濃度が60vol%以上となるのは石炭乾留工程のうちでも乾留末期に限られるので、特許文献1の方法では、乾留末期のタイミングでガス流路を切替え、多量のダストを含む600℃以上のCOGを廃プラスッチク水素化分解反応器に供給する必要がある。しかし、このような過酷な条件で、流路切替弁を長期間安定して作動させ続けることは困難であり、この意味で実現性に乏しい技術であると言える。さらに、廃プラスチックの効率的なガス化のためには、60vol%以上の水素を含有するCOGを連続的に水素化分解反応器に供給することが必要であるが、このためには炭化室毎に水素濃度計と流路切替弁を設置する必要があり、設備コストが増大する。
また、特許文献2には、石油の流動接触触媒(FCC)を熱媒体兼触媒として用い、温度350〜500℃で廃プラスチックを分解して液体燃料に変換する方法が開示されている。しかし、この方法では、FCC触媒添加によって接触分解と芳香族化が進むものの、不活性ガスフローで反応を行っているため、重油分とコークが合計で13質量%生成しており(実施例1)、軽質燃料の製造技術として満足できる水準とは言えない。
また、特許文献3には、RDFや木材などを熱分解するにあたり、熱分解で生成したガスを水蒸気改質し、この水蒸気改質により水素濃度を高くしたガスを熱分解部に循環し、水素濃度を高くしたガス雰囲気で熱分解を行う方法が開示されている。しかし、この方法で生成するガスは、H、CO、COが主体で、燃焼熱が冶金炉発生排ガスのそれよりやや低い1800kcal/Nm程度のものであり、気体燃料としての価値は限定的なものとなる。
さらに、特許文献4には、流動層ガス化炉と流動層燃焼炉からなるガス化方法であって、ガス化で生成したチャーと流動媒体とを流動層燃焼炉に循環させ、ガス化原料への伝熱を促進する方法が開示されている。しかし、この方法は、流動媒体(固体粒子)の循環量で流動層ガス化炉の温度を制御しようとするものであり、チャー生成量が減少すると流動媒体の温度が低下するなど、ガス化反応系に付帯される自律的な性質を利用した制御ではないため、制御性に劣ることが問題である。
一方、特許文献5には、冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガスとし、この混合ガスを有機物質に接触させ、低分子化する方法が開示されている。
特開2007−224206号公報 特開2010−013657号公報 特開2001−131560号公報 国際公開第2008/107928号 特開2012−188641号公報
特許文献5の方法は、常圧、400〜900℃程度という従来にない温和な反応条件で効率的に有機物質を低分子化できる優れた方法であるが、低分子化反応には熱源が必要であるため外部から熱を供給する必要があり、その分、エネルギーコストがかかる。
また、特許文献5の方法では、種々の原因で低分子化反応温度が変動することがあるが、低分子化反応温度の変動により有機物質の反応効率が変動し、有機物質の効率的な低分子化を阻害する要因となる。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、有機物質を効率的に低分子化して高品質、高カロリーの低分子物を得ることができるとともに、低いエネルギーコストで実施することができる有機物質の低分子化方法および低分子化設備を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の点に加え、低分子化反応の反応効率を適切に制御することができ、有機物質を特に効率的に低分子化することができる有機物質の低分子化方法および低分子化設備を提供することにある。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を解決すべく検討を重ねた結果、低分子化系内で生成した液体生成物(油状物質)を分離回収して燃焼させ、その燃焼熱を低分子化反応の熱源に利用するという着想を得た。さらに、低分子化反応による液体生成物の生成量が低分子化反応温度に依存して増減することに着目し、低分子化反応の熱源となる液体生成物の燃焼量を液体生成物の生成量に比例するように制御することによって、低分子化反応温度の変動とこれに伴う反応効率の変動が自律的に抑えられるようにした新たな方法を創案した。
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
[1]一酸化炭素を含有するガス(g)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)とし、低分子化反応器において混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法であって、前記有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を燃焼炉で燃焼させ、その燃焼熱で前記低分子化反応器に低分子化反応熱を供給することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[2]上記[1]の低分子化方法において、液体生成物(p)の燃焼量を、有機物質の改質による低分子化反応で生成する液体生成物(p)の生成量に比例するように制御することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[3]上記[2]の低分子化方法において、有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を一時貯留タンクに貯留し、該一時貯留タンク内の液体生成物(p)の液面高さまたは一時貯留タンクに貯留される液体生成物(p)の流量に応じて、一時貯留タンクから燃焼炉への液体生成物(p)の供給量と、燃焼炉への支燃ガスの供給量を調整することで、燃焼炉での液体生成物(p)の燃焼量を制御することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの低分子化方法において、一酸化炭素を含有するガス(g)が、一酸化炭素濃度が5vol%以上、窒素濃度が60vol%以下であることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[5]上記[4]の低分子化方法において、一酸化炭素を含有するガス(g)が、一酸化炭素濃度が10vol%以上、窒素濃度が55vol%以下であることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの低分子化方法において、液体生成物(p)の燃焼ガスで低分子化反応器の内部を間接加熱することにより、液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[7]上記[1]〜[5]のいずれかの低分子化方法において、低分子化反応器が流動層式反応器であり、該流動層式反応器から流動媒体の一部を抜き出し、この流動媒体を液体生成物(p)の燃焼炉に導入して液体生成物(p)の燃焼熱で加熱し、この加熱された流動媒体を流動層式反応器に循環させることにより、液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[8]上記[7]の低分子化方法において、液体生成物(p)の燃焼炉がロータリーキルン燃焼炉または流動層燃焼炉であることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[9]上記[7]または[8]の低分子化方法において、流動媒体が酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化ニッケルの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[10]一酸化炭素を含有するガス(g)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)を得るシフト反応器(1)と、該シフト反応器(1)で得られた混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する低分子化反応器(2)と、該低分子化反応器(2)での有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を燃焼させる燃焼炉(3)を備え、該燃焼炉(3)での液体生成物(p)の燃焼による燃焼熱で低分子化反応器(2)に低分子化反応熱が供給されるようにしたことを特徴とする有機物質の低分子化設備。
[11]上記[10]の低分子化設備において、さらに、低分子化反応器(2)での有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を貯留する一時貯留タンク(8)と、一時貯留タンク(8)内の液体生成物(p)の液面高さまたは一時貯留タンク(8)に貯留される液体生成物(p)の流量を計測する計測手段(9)と、一時貯留タンク(8)から燃焼炉(3)に液体生成物(p)を送給する送液管(10)と、送液管(10)に設けられる液体生成物(p)の供給ポンプ(11)と、燃焼炉(3)に支燃ガスを供給する供給管(12)と、供給管(12)に設けられる支燃ガスの流量調節弁(13)と、計測手段(9)で計測される一時貯留タンク(8)内の液体生成物(p)の液面高さまたは一時貯留タンク(8)に貯留される液体生成物(p)の流量に応じて、供給ポンプ(11)と流量調節弁(13)を制御し、一時貯留タンク(8)から燃焼炉(3)への液体生成物(p)の供給量と、燃焼炉(3)への支燃ガスの供給量を調整することで、燃焼炉(3)での液体生成物(p)の燃焼量を制御する演算制御装置(14)を備えることを特徴とする有機物質の低分子化設備。
[12]上記[10]または[11]の低分子化設備において、液体生成物(p)の燃焼ガスで低分子化反応器(2)の内部を間接加熱する間接加熱機構を備えることを特徴とする有機物質の低分子化設備。
[13]上記[10]または[11]の低分子化設備において、低分子化反応器(2)が流動層式反応器(2a)からなり、該流動層式反応器(2a)から流動媒体の一部を抜き出し、この流動媒体を液体生成物(p)の燃焼炉(3)に導入するとともに、燃焼炉(3)において液体生成物(p)の燃焼熱で加熱された流動媒体を流動層式反応器(2a)に循環させる流動媒体循環機構(4)を備えることを特徴とする有機物質の低分子化設備。
[14]上記[13]の低分子化設備において、液体生成物(p)の燃焼炉がロータリーキルン燃焼炉または流動層燃焼炉であることを特徴とする有機物質の低分子化設備。
本発明によれば、廃プラスチックなどの高分子量の有機物質を低分子化して気体燃料などに転換する際、有機物質を効率的に改質して低分子化し、重質分や炭素質が少なく、軽質分を多量に含有する高カロリーの低分子化物を得ることができるとともに、低分子化系内で生成した液体生成物の燃焼熱を低分子化反応の熱源に利用することにより、有機物質の低分子化を低いエネルギーコストで実施することができる。
また、有機物質の低分子化反応で生成する液体生成物の生成量が低分子化反応温度に依存することから、低分子化反応の熱源となる液体生成物の燃焼量を液体生成物の生成量に比例するように制御することにより、低分子化反応温度の変動が自律的に抑えられ、その結果、反応効率を一定に保つことができ、有機物質を特に効率的に低分子化することができる。
また、実施設備に関しても、特別な計測器や流路切替弁などが必要なく、しかも比較的低い反応温度でも有機物質の低分子化を行うことができるので、比較的簡易な設備で実施することができる。
また、シフト反応によって生成するCOは、有機物質の低分子化中に炭酸ガス改質反応でCOに変化するため、有機物質のケミカルリサイクルをCO発生量を増加させることなく実施することが可能となる。
本発明の実施に供される有機物質の低分子化設備の一実施形態を模式的に示す説明図 本発明の実施に供される有機物質の低分子化設備の他の実施形態を模式的に示す説明図 実施例において、有機物質の低分子化により生成する液体生成物の生成速度と低分子化反応温度との関係を示すグラフ
本発明の有機物質の低分子化方法は、一酸化炭素を含有するガス(g)(以下、「一酸化炭素含有ガス(g)」という。)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応(反応[1])を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)とし、低分子化反応器において混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化(反応[2])する方法であって、その有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を燃焼炉で燃焼させ、その燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給するものである。すなわち、低分子化系内で生成した液体生成物(p)の燃焼熱を低分子化反応の熱源として利用するものである。
なお、一酸化炭素含有ガス(g)に過剰の水蒸気を添加するとは、シフト反応で消費されない余剰の水蒸気が混合ガス(g)中に残存するように水蒸気を添加するという意味である。
また、本発明では、液体生成物(p)を燃焼炉で燃焼させるに当たり、低分子化反応で生成する液体生成物(p)の生成量に比例するように液体生成物(p)の燃焼量を制御する(燃焼量を決定する)ことが好ましく、これにより、低分子化反応温度の変動が自律的に抑えられ、反応効率を一定に保つことができる。
ここで、「低分子化反応温度の変動が自律的に抑えられる」とは、(ア)何らかの原因で低分子化反応温度が低下すると、液体生成物(p)の生成量(生成速度)が増大するので、その分だけ、燃焼炉での液体生成物(p)の燃焼量を増加させると、低分子化反応器に供給される低分子化反応熱が増加し、これにより低分子化反応温度が自律的に上昇し、(イ)何らかの原因で低分子化反応温度が上昇すると、液体生成物(p)の生成量(生成速度)が減少するので、その分だけ、燃焼炉での液体生成物(p)の燃焼量を減少させると、低分子化反応器に供給される低分子化反応熱が減少し、これにより低分子化反応温度が自律的に低下し、それらの結果、低分子化反応温度の変動が自律的に抑制されるということである。
上記反応[1](シフト反応)、反応[2](低分子化反応)は、以下に示す反応である。
反応[1]:CO+HO→H+CO
Figure 2017039897
反応[1]では、一酸化炭素含有ガス(g)に過剰の水蒸気が添加されるので、シフト反応後の混合ガス(g)には、シフト反応により生成したH、COと過剰添加分のHOが含まれることになる。ここで、一酸化炭素含有ガス(g)に対して過剰に添加する水蒸気の過剰割合やシフト反応の反応率を適宜制御することによって、ガス中の水蒸気、水素、炭酸ガスの各濃度を制御し、有機物質低分子化用の混合ガス(g)とすることができる。なお、シフト反応の反応率は、シフト反応器内での滞留時間を調整することで制御することができる。例えば、滞留時間を短くするには、シフト反応器長さを短くしたり、或いは触媒充填量を少なくする方法が一般的である。
シフト反応で得られる有機物質低分子化用の混合ガス(g)は、水蒸気、水素および炭酸ガスを含むものであり、それらの濃度に特別な制限はないが、廃プラスチックなどの有機物質の分解率を確保する一方で、低分子化反応生成ガス中でのCOの残留を抑えるなどの観点から、水蒸気濃度は5〜70vol%であることが好ましい。また、有機物質の分解率を確保する観点から、混合ガス(g)の水素濃度および炭酸ガス濃度はともに5vol%以上が好ましい。また、同様の観点から、混合ガス(g)のより好ましい組成は、水蒸気濃度:20〜70vol%、水素濃度:10〜40vol%、炭酸ガス濃度:10〜40vol%である。なお、この混合ガス(g)に、他のガス成分(例えば、窒素など)が含まれることは妨げない。
反応[2](低分子化反応)は、水素化反応、水素化分解反応、水蒸気改質反応、炭酸ガス改質反応の4反応が同時に進行するものと考えられるが、実際には、それらに加えて、熱分解反応も同時に進行して有機物質が低分子化され、種々の軽質炭化水素や一酸化炭素が生成する複雑な反応であると考えられる。ここで、水素化反応とは不飽和結合への水素付加反応の他に、COやCOへの水素付加によるメタネーション反応も含む。この反応[2]では、比較的低い反応温度でも効率的に有機物質の低分子化が促進され、水素消費量も少なく、且つ重質分や炭素質の生成もほとんど認められない。
本発明において、改質による低分子化の対象となる有機物質に特別な制限はないが、高分子量の有機物質が好適であり、例えば、プラスチック(通常、廃プラスチック)、含油スラッジ、廃油、バイオマス、石炭などが挙げられ、これらの1種以上を対象とすることができる。
有機物質低分子化時の反応温度は400〜900℃が好ましく、この温度範囲において、有機物質の種類に応じてより好適な反応温度を選択すればよい。
反応[2]により生成した気体生成物は回収されて気体燃料などとして使用されるが、本発明では、反応[2]により生成した生成物から液体生成物(p)を分離し、これを燃焼炉で燃焼させ、その燃焼熱を有機物質の低分子化反応の熱源として用いる。液体生成物(p)は平均分子量が370程度であり、燃焼熱が約37MJ/Lと軽油と同程度の物性であるため、燃焼させて熱源として用いるのに適している。
また、好ましくは、液体生成物(p)を燃焼炉で燃焼させるに当たり、低分子化反応で生成する液体生成物(p)の生成量に比例するように液体生成物(p)の燃焼量を制御する(燃焼量を決定する)。有機物質の低分子化反応において、何らかの原因で低分子化反応温度が低下すると、この温度にほぼ反比例して液体生成物(p)の生成量(生成速度)が増加する。燃焼炉での液体生成物(p)の燃焼量を、この液体生成物(p)の生成量(生成速度)に比例して増加させると、燃焼炉での燃焼出力が増加し、低分子化反応温度が上昇する。逆に、何らかの原因で低分子化反応温度が上昇すると、この温度にほぼ反比例して液体生成物(p)の生成量(生成速度)が減少する。燃焼炉での液体生成物(p)の燃焼量を、この液体生成物(p)の生成量(生成速度)に比例して減少させると、燃焼炉での燃焼出力が低下し、低分子化反応温度が低下する。このように、液体生成物(p)の生成量(生成速度)が低分子化反応温度にほぼ反比例することから、液体生成物(p)の生成量(生成速度)に液体生成物(p)の燃焼量を連動させること、すなわち、液体生成物(p)の生成量(生成速度)に比例するように液体生成物(p)の燃焼量を決めることにより、低分子化反応温度の変動が自律的に抑制され、反応効率を一定に保つことができる。
液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給する形態に特別な制限はないが、例えば、下記(i)、(ii)のような形態が挙げられる。
(i)液体生成物(p)の燃焼ガスで低分子化反応器の内部を間接加熱することにより、液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給する。
(ii)低分子化反応器として流動層式反応器を用い、この流動層式反応器から流動媒体の一部を抜き出し、この流動媒体を液体生成物(p)の燃焼炉に導入して液体生成物(p)の燃焼熱で加熱し、この加熱された流動媒体を流動層式反応器に循環させることにより、液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給する。
上記(i)の形態では、例えば、(1)燃焼炉で液体生成物(p)を燃焼させ、その燃焼ガス(熱風)を低分子化反応器内に設置された伝熱管に流すことで、低分子化反応器の内部を間接加熱する方式、(2)水蒸気改質炉などで採用されているような、燃焼ガス(熱風)によって反応器を外側から間接加熱する方式、すなわち、燃焼炉内に低分子化反応器を配置し、燃焼炉内で発生させた液体生成物(p)の燃焼ガス(熱風)で低分子化反応器を外側から間接加熱する方式、(3)低分子化反応器として外熱式ロータリーキルンを用い、燃焼炉で液体生成物(p)を燃焼させ、その燃焼ガス(熱風)を外熱式ロータリーキルンに熱源として供給する方式、などの方式を採ることができる。
また、上記(ii)の形態は、液体生成物(p)の燃焼熱を流動媒体を介して低分子化反応器内部に直接供給するため、伝熱効率が高く、特に好ましい。この形態で使用する燃焼炉としては、ロータリーキルン燃焼炉または流動層燃焼炉が好ましい。
ロータリーキルン燃焼炉を使用する場合には、ロータリーキルン燃焼炉内で液体生成物(p)を燃焼させつつ、流動層式反応器(低分子化反応器)から抜き出された流動媒体を順次ロータリーキルン燃焼炉内に導入して燃焼熱で加熱し、加熱されてロータリーキルン燃焼炉から順次排出された流動媒体を流動層式反応器(低分子化反応器)に返送する。また、流動層燃焼炉を使用する場合には、流動層式反応器(低分子化反応器)から抜き出された流動媒体を順次流動層燃焼炉内に導入して流動層を形成しつつ、流動層燃焼炉内で液体生成物(p)を燃焼させ、その燃焼熱で流動媒体を加熱し、加熱されて流動層燃焼炉から順次排出された流動媒体を流動層式反応器(低分子化反応器)に返送する。すなわち、いずれの場合も、流動層式反応器(低分子化反応器)から流動媒体を一定量ずつ抜き出し、燃焼炉との間で循環させる。
なお、流動層燃焼炉は、通常の気泡流動層が形成されるものだけでなく、高速流動層が形成されるものでもよい。
低分子化反応器として流動層式反応器を用いる場合の流動媒体としては、燃焼炉での加熱に耐える物質であって、流動層に適した粒径・粒子形状であれば特に制限はないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄や酸化ニッケルなどの粉粒体が工業的に安価に入手可能であることから好ましく、これらの1種以上を用いることができる。なお、酸化鉄や酸化ニッケルを流動媒体として用いた場合、単なる流動媒体としての作用に加え、低分子化反応の触媒としても作用するため、流動層式反応器を小型化できたり、低分子化反応温度を低くできたりする効果が得られる。
流動媒体は、平均粒径が小さ過ぎても大き過ぎても安定した流動層が形成しにくいので、その平均粒径は30〜300μm程度が好ましく、50〜200μm程度がより好ましい。
本発明においてシフト反応に用いる一酸化炭素含有ガス(g)は、一酸化炭素濃度が5vol%以上、窒素濃度が60vol%以下であることが好ましく、また、一酸化炭素濃度が10vol%以上、窒素濃度が55vol%以下であることが特に好ましい。一酸化炭素含有ガス(g)の一酸化炭素濃度が5vol%未満ではシフト反応後の二酸化炭素濃度が低くなり、低分子化反応後の気体燃料中に炭化水素や一酸化炭素に比べて低カロリーのガス成分である水素が残留しやすくなる。また、窒素濃度が60vol%を超えると気体燃料のLHVの低下が顕著になるとともに、シフト反応速度も低下する。
なお、一酸化炭素含有ガス(g)としては、上述した好ましいガス組成の観点から、特に高炉ガスやシャフト炉ガス(一般的なガス組成はCO:10〜30vol%、CO:10〜30vol%、N:55〜30vol%、H:0〜10vol%)が好ましい。また、その他の一酸化炭素含有ガスを用いてもよいが、上述した好適範囲のガス組成を有するものが好ましい。例えば、一般的な燃焼炉から排出される排ガス、火力発電所から排出される排ガス、転炉ガスなどの冶金炉発生排ガスなどが挙げられる。以上のような一酸化炭素含有ガスは、1種を単独で若しくは2種以上を混合して一酸化炭素含有ガス(g)として用いることができる。
図1は、本発明の実施に供される有機物質の低分子化設備の一実施形態を模式的に示すものであり、1は一酸化炭素含有ガス(g)と水蒸気とのシフト反応により混合ガス(g)を得るシフト反応器、2はシフト反応器1で得られた混合ガス(g)により有機物質を改質して低分子化する低分子化反応器、3は低分子化反応器2での有機物質の低分子化反応で生成した液体生成物(p)を燃焼させる燃焼炉であり、この燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼による燃焼熱で低分子化反応器2に低分子化反応熱が供給されるようにしてある。この実施形態は、液体生成物(p)の燃焼ガスで低分子化反応器2の内部を間接加熱する間接加熱機構を備えており、具体的には、燃焼炉3内に低分子化反応器2を配置し、燃焼炉3内で発生させた液体生成物(p)の燃焼ガス(熱風)で低分子化反応器2を外側から間接加熱するように構成されている。
また、5は燃焼炉3の燃焼バーナー、6は低分子化反応器2で生成した低分子物を水で洗浄して液体生成物(p)を凝縮させるガス洗浄器、7はガス洗浄器6で凝縮した液体生成物(p)と水の混合物から液体生成物(p)を分離する分離器、8は分離器7で分離された液体生成物(p)の一時貯留タンク、9は一時貯留タンク8内の液体生成物(p)の液面高さを計測する計測手段(液面計)、10は一時貯留タンク8から燃焼炉3(燃焼バーナー5)に液体生成物(p)を送給する送液管、11は送液管10に設けられる液体生成物(p)の供給ポンプ、12は燃焼炉3の燃焼バーナー5に燃焼用空気などの支燃ガス(以下、「燃焼用空気」を例に説明する)を供給する供給管、13はこの供給管12に設けられる燃焼用空気の流量調節弁である。
また、14は演算制御装置であり、この演算制御装置14は、計測手段9で計測される一時貯留タンク8内の液体生成物(p)の液面高さ(液体生成物(p)の生成量)に応じて供給ポンプ11と流量調節弁13を制御し、一時貯留タンク8から燃焼炉3(燃焼バーナー5)への液体生成物(p)の供給量と、燃焼炉3(燃焼バーナー5)への支燃ガスの供給量を調整することで、燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼量を制御する。これによって、例えば、液体生成物(p)の時間当たりの生成量が多くなると、その分だけ燃焼炉3への液体生成物(p)の供給量を増加させるとともに、燃焼用空気の供給量も増加させ、燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼量を増加させるような制御が可能となる。なお、特に限定するものではないが、燃焼炉3での空気比を一定となるように空気流量を制御するのが一般的である。
前記シフト反応器1は、触媒が充填された固定床反応器などのような公知のものでよい。このシフト反応器1にガス(系外から導入するガス)を供給する供給管には、通常、一酸化炭素含有ガス(g)とスチームの供給量をそれぞれ調整できる流量調節弁、一酸化炭素含有ガス(g)にスチームを混合するスチーム混合器、一酸化炭素含有ガス(g)とスチームの混合ガスを予熱する予熱器が設けられている。
前記低分子化反応器2は、例えば、外熱式ロータリーキルンなどのような移動床方式反応器、流動層式反応器、固定床方式反応器などで構成することができるが、上述したように、本実施形態では、燃焼炉3内に低分子化反応器2を配置し、燃焼炉3内で発生させた液体生成物(p)の燃焼ガス(熱風)で低分子化反応器2を外側から間接加熱するように構成されているので、低分子化反応器2は固定床方式反応器で構成されることが一般的である。
低分子化反応器2での有機物質の低分子化には特に触媒を必要としないが、触媒を充填して反応を行ってもよい。触媒としては、水蒸気改質活性、炭酸ガス改質活性、水素化活性、水素化分解活性をそれぞれ有する1種または2種以上の触媒を用いることができる。具体例としては、Ni系改質触媒、Ni系水素化触媒、Pt/ゼオライト系石油精製触媒などを挙げることができる。また、微細なFe粒子からなることが知られている転炉発生ダストも、改質触媒や水素化分解触媒として用いることができる。
低分子化反応器2の原料(有機物質)投入口には、スクリューコンベア方式などによる有機物質(廃プラスチックなど)の定量投入装置15が設置される。
前記分離器7の形式は任意であるが、液体生成物(p)が軽油程度の物性であるため、傾斜板方式やコアレッサー方式が好ましい。
前記燃焼炉3が備える燃焼バーナー5の形式も特に制限はないが、液体生成物(p)の物性が軽油程度であるので、軽油用バーナーが安価で好ましい。なお、厳寒期に液体生成物(p)の粘性が高くなることを考慮して、送液管10をスチームトレースなどで加熱してもよい。これに使用するスチームは、特に限定するものではないが、数kg/cm程度の圧力の低圧スチームでよい。
なお、上述した一時貯留タンク8の液面計(計測手段9)に代えて、図1に仮想線で示すように、分離器7から一時貯留タンク8に液体生成物(p)を供給する供給管16に液体生成物(p)の流量を計測する流量計を設け、この流量計を計測手段9としてもよい。この場合には、計測手段9により一時貯留タンク8に貯留される液体生成物(p)の流量が計測される。
図1の設備の操業において、系外(プロセス外部)から一酸化炭素含有ガス(g)に過剰のスチームが添加されたガスが供給管を通じてシフト反応器1に供給されてシフト反応が行われる。このシフト反応後の混合ガス(g)には、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気が含まれることになる。低分子化反応器2には、その混合ガス(g)が供給されるとともに、定量投入装置15を通じて有機物質が供給され、混合ガス(g)を有機物質に接触させることで有機物質を改質して低分子化する。有機物質の低分子化による生成物は、気体生成物(一酸化炭素、C1〜C4の炭化水素など)と液体生成物(p)である。
低分子化反応器2から取り出された生成物(低分子物)は、ガス洗浄器6において水で洗浄されることで液体生成物(p)が凝縮し、気体生成物から分離される。液体生成物(p)と水との混合物は、分離器7に送られて水が分離され、液体生成物(p)の全量が供給管16を通じて一時貯留タンク8に送られ、貯留される。この一時貯留タンク8内の液体生成物(p)は、送液管10と供給ポンプ11により燃焼炉3の燃焼バーナー5に送られる。この燃焼バーナー5には、供給管12と流量調節弁13により燃焼用空気が供給され、この燃焼用空気により液体生成物(p)が燃焼し、その燃焼ガスで低分子化反応器2が外側から間接加熱される。
演算制御装置14は、低分子化反応器2での液体生成物(p)の生成量に比例するように、燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼量を制御する。計測手段9で計測される一時貯留タンク8内の液体生成物(p)の液面高さは、低分子化反応器2での低分子化反応による液体生成物(p)の生成量に対応するものであり、その計測値が演算制御装置14に入力される。演算制御装置14では、この一時貯留タンク8内の液体生成物(p)の液面高さ(液体生成物(p)の生成量)に比例するように、燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼量を求め、供給ポンプ11による液体生成物(p)の供給量と流量調節弁13による燃焼用空気の供給量を制御(調整)する。
低分子化反応器2での低分子化反応温度が何らかの原因で低下すると、この温度にほぼ反比例して液体生成物(p)の生成量(生成速度)が増加し、この液体生成物(p)の生成量(生成速度)の増加によって計測手段9で計測される液面高さが高くなる。この場合、演算制御装置14は、燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼量が液体生成物(p)の液面高さ(液体生成物(p)の生成量)に比例するように、供給ポンプ11による液体生成物(p)の供給量と、流量調節弁13による燃焼用空気の供給量を増加させ、その結果、燃焼炉3での燃焼出力が増加し、低分子化反応温度が上昇する。また、上記とは逆に、低分子化反応器2での低分子化反応温度が何らかの原因で上昇すると、この温度にほぼ反比例して液体生成物(p)の生成量(生成速度)が減少し、この液体生成物(p)の生成量(生成速度)の減少によって計測手段9で計測される液面高さが低くなる。この場合、演算制御装置14は、燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼量が液体生成物(p)の液面高さ(液体生成物(p)の生成量)に比例するように、供給ポンプ11による液体生成物(p)の供給量と、流量調節弁13による燃焼用空気の供給量を減少させ、その結果、燃焼炉3での燃焼出力が低下し、低分子化反応温度が低下する。
なお、計測手段9が一時貯留タンク8に供給される液体生成物(p)の流量を計測する流量計である場合、計測手段9で計測される液体生成物(p)の流量は、低分子化反応器2での液体生成物(p)の生成量に対応するものであり、その計測値が演算制御装置14に入力される。演算制御装置14では、この液体生成物(p)の流量(液体生成物(p)の生成量)に比例するように、燃焼炉3での液体生成物(p)の燃焼量を求め、供給ポンプ11による液体生成物(p)の供給量と流量調節弁13による燃焼用空気の供給量を制御(調整)する。
以上のように、液体生成物(p)の生成量(生成速度)が低分子化反応温度にほぼ反比例することから、液体生成物(p)の生成量(生成速度)に比例するように液体生成物(p)の燃焼量を制御することで、低分子化反応温度の変動が抑えられ、反応効率が自律的に一定に制御される。
なお、気体生成物は、配管を通じて系外に取り出され、気体燃料として利用される。あるいは、気体生成物が軽質炭化水素とCO、Hの混合物であることから、溶鉱炉における鉄鉱石の還元材などとして、製鉄所などで活用することもできる。
図2は、本発明の実施に供される有機物質の低分子化設備の他の実施形態を模式的に示すものであり、低分子化反応器2が流動層式反応器2aで構成され、燃焼炉3がロータリーキルン燃焼炉3aで構成されている。
この実施形態では、流動層式反応器2aの流動媒体の一部を抜き出し、これをロータリーキルン燃焼炉3aとの間で循環させる流動媒体循環機構4を備えている。この流動媒体循環機構4は、流動層式反応器2aから流動媒体を抜き出してロータリーキルン燃焼炉3aに導入する抜出管17と、ロータリーキルン燃焼炉3aで加熱された流動媒体を流動層式反応炉2aに返送する戻し管18で構成されている。
図2のその他の構成は図1と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
流動層式反応器2aから抜出管17を通じて流動媒体を一定量ずつ抜き出し、この流動媒体をロータリーキルン燃焼炉3aに導入して液体生成物(p)の燃焼熱で加熱し、この加熱された流動媒体を戻し管18で流動層式反応器2aに戻す(循環させる)ことにより、液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器2(流動層式反応器2a)に低分子化反応熱を供給する。
流動層式反応器2aから抜出管17を通じて抜き出された流動媒体は、ロータリーキルン燃焼炉3aの一端側から炉内に導入さる。一方、ロータリーキルン燃焼炉3aの燃焼バーナー(図示せず)には、一時貯留タンク8から送液管10と供給ポンプ11により液体生成物(p)が供給されるとともに、供給管12と流量調節弁13により燃焼用空気が供給され、この燃焼用空気により液体生成物(p)が燃焼し、その燃焼熱(高温の燃焼ガス)で流動媒体が加熱される。このようにして加熱された流動媒体はロータリーキルン燃焼炉3aの他端側から排出され、戻し管18で流動層式反応器2aに戻される。
この実施形態は、ロータリーキルン燃焼炉3aで加熱された流動媒体によって、低分子化反応器2(流動層式反応器2a)に対して直接的に低分子化反応熱を供給でき、伝熱効率が高いことが特徴である。
この実施形態においても、液体生成物(p)の生成量(生成速度)に比例するように液体生成物(p)の燃焼量を制御することで、低分子化反応温度の変動が自律的に抑えられ、反応効率が一定に保たれることは、図1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、ロータリーキルン燃焼炉3a内での液体生成物(p)の燃焼ガスの流れ方向と流動媒体の移動方向を向流(反対方向)としているが、液体生成物(p)の燃焼ガスの流れ方向と流動媒体の移動方向を併流(同一方向)としてもよい。
また、図2の実施形態の燃焼炉3は、ロータリーキルン燃焼炉3aで構成されているが、例えば、流動層燃焼炉(高速流動層燃焼炉などを含む)で構成してもよい。
低分子化反応器として内径66mmの流動層式反応器を用い、この流動層式反応器に廃プラスチック(有機物質)を供給して低分子化し、その際の低分子化反応温度と液体生成物の生成速度との関係を調べた。その結果を図3に示す。
この試験では、流動層式反応器の流動媒体に転炉発生ダストを用い、シフト反応生成ガスに相当するガス組成の混合ガス(H:26vol%、CO:0vol%、CO:30vol%、HO:35vol%、N:9vol%)を吹き込むとともに、廃プラスチックを300g/hの供給速度で供給した。試験中、液体生成物(p)の燃焼量を調整することにより低分子化反応温度を550〜650℃の範囲で変化させた。流動層式反応器から排出された生成ガスを水で急冷し、凝縮した生成物(水との混合物)から遠心分離によって液体生成物(油状物質)を分離し、その生成量を求めた。
図3に示されるように、液体生成物の生成速度は低分子化反応温度に反比例して減少しており、このことから、液体生成物の燃焼熱を有機物質の低分子化反応の熱源として用いる場合に、低分子化反応温度の自律的な制御が可能であること、具体的には、液体生成物の生成量(生成速度)に比例するように液体生成物の燃焼量を制御することで、低分子化反応温度の変動が自律的に抑制されるような制御が可能であることが理解できる。なお、廃プラスチックに対する液体生成物の収率は10〜40mass%であった。
図2に示すような装置構成を有する設備を用い、外熱式の流動層式反応器2a(低分子化反応器)において有機物質を改質して低分子化するとともに、その低分子化反応で生成した液体生成物(p)をロータリーキルン燃焼炉3aで燃焼させ、その燃焼熱で流動層式反応器2aに低分子化反応熱を供給する操業試験を行った。
系外(プロセス外部)から供給する一酸化炭素含有ガス(g)の平均組成は、H:4vol%、CO:23vol%、CO:23vol%、HO:0vol%、N:50vol%であった。スチーム混合器(図示せず)に対して一酸化炭素含有ガス(g)を74Nm/h、水蒸気として圧力10kg/cmGのスチームを67Nm/h供給し、この混合ガスをシフト反応器1に導入してシフト反応を行なわせ、ガス組成がH:14vol%、CO:0vol%、CO:24vol%、HO:35vol%、N:27vol%の混合ガス(g)(シフト反応生成ガス)を得た。この混合ガス(g)は、流量が141Nm/h(質量流量では155kg/h)、シフト反応器出口ガス温度が306℃であった。
外熱式の流動層式反応器2aは予め500℃に予熱されており、この流動層式反応器2aに、上記混合ガス(g)(シフト反応生成ガス)を導入するとともに、廃プラスチックのモデル物質として粒状に破砕処理したポリエチレンを880kg/hで供給し、計画反応温度である600℃まで昇温させた。600℃に到達した後、1時間、廃プラスチックの低分子化反応を継続した。
流動層式反応器2aの流動媒体(平均粒径80μmの転炉発生ダスト)を抜出管17で一定量ずつ抜き出し、これをロータリーキルン燃焼炉3aに供給するとともに、一時貯留タンク8に貯留した液体生成物(p)を送液管10を通じてロータリーキルン燃焼炉3aの燃焼バーナーに供給して空気比1.2で燃焼させ、その燃焼熱(燃焼ガス)で流動媒体を加熱した。ロータリーキルン燃焼炉3aで加熱された流動媒体を戻し管18で流動層式反応器2aに戻し、低分子化反応の熱源とした。
以上の操業試験では、低分子化反応温度を600±10℃で自律的に安定して制御することができた。なお、液体生成物(p)の収率は18〜26mass%であった。また、気体生成物としては、低位燃焼熱が6.2Mcal/Nmのガスが収率70〜60mol%で得られた。
1 シフト反応器
2 低分子化反応器
2a 流動層式反応器
3 燃焼炉
3a ロータリーキルン燃焼炉
4 流動媒体循環機構
5 燃焼バーナー
6 ガス洗浄器
7 分離器
8 一時貯留タンク
9 計測手段
10 送液管
11 供給ポンプ
12 供給管
13 流量調節弁
14 演算制御装置
15 定量投入装置
16 供給管
17 抜出管
18 戻し管

Claims (14)

  1. 一酸化炭素を含有するガス(g)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)とし、低分子化反応器において混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法であって、
    前記有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を燃焼炉で燃焼させ、その燃焼熱で前記低分子化反応器に低分子化反応熱を供給することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
  2. 液体生成物(p)の燃焼量を、有機物質の改質による低分子化反応で生成する液体生成物(p)の生成量に比例するように制御することを特徴とする請求項1に記載の有機物質の低分子化方法。
  3. 有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を一時貯留タンクに貯留し、該一時貯留タンク内の液体生成物(p)の液面高さまたは一時貯留タンクに貯留される液体生成物(p)の流量に応じて、一時貯留タンクから燃焼炉への液体生成物(p)の供給量と、燃焼炉への支燃ガスの供給量を調整することで、燃焼炉での液体生成物(p)の燃焼量を制御することを特徴とする請求項2に記載の有機物質の低分子化方法。
  4. 一酸化炭素を含有するガス(g)が、一酸化炭素濃度が5vol%以上、窒素濃度が60vol%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機物質の低分子化方法。
  5. 一酸化炭素を含有するガス(g)が、一酸化炭素濃度が10vol%以上、窒素濃度が55vol%以下であることを特徴とする請求項4に記載の有機物質の低分子化方法。
  6. 液体生成物(p)の燃焼ガスで低分子化反応器の内部を間接加熱することにより、液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機物質の低分子化方法。
  7. 低分子化反応器が流動層式反応器であり、
    該流動層式反応器から流動媒体の一部を抜き出し、この流動媒体を液体生成物(p)の燃焼炉に導入して液体生成物(p)の燃焼熱で加熱し、この加熱された流動媒体を流動層式反応器に循環させることにより、液体生成物(p)の燃焼熱で低分子化反応器に低分子化反応熱を供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機物質の低分子化方法。
  8. 液体生成物(p)の燃焼炉がロータリーキルン燃焼炉または流動層燃焼炉であることを特徴とする請求項7に記載の有機物質の低分子化方法。
  9. 流動媒体が酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化ニッケルの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の有機物質の低分子化方法。
  10. 一酸化炭素を含有するガス(g)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)を得るシフト反応器(1)と、
    該シフト反応器(1)で得られた混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する低分子化反応器(2)と、
    該低分子化反応器(2)での有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を燃焼させる燃焼炉(3)を備え、
    該燃焼炉(3)での液体生成物(p)の燃焼による燃焼熱で低分子化反応器(2)に低分子化反応熱が供給されるようにしたことを特徴とする有機物質の低分子化設備。
  11. さらに、低分子化反応器(2)での有機物質の改質による低分子化反応で生成した液体生成物(p)を貯留する一時貯留タンク(8)と、
    一時貯留タンク(8)内の液体生成物(p)の液面高さまたは一時貯留タンク(8)に貯留される液体生成物(p)の流量を計測する計測手段(9)と、
    一時貯留タンク(8)から燃焼炉(3)に液体生成物(p)を送給する送液管(10)と、
    送液管(10)に設けられる液体生成物(p)の供給ポンプ(11)と、
    燃焼炉(3)に支燃ガスを供給する供給管(12)と、
    供給管(12)に設けられる支燃ガスの流量調節弁(13)と、
    計測手段(9)で計測される一時貯留タンク(8)内の液体生成物(p)の液面高さまたは一時貯留タンク(8)に貯留される液体生成物(p)の流量に応じて、供給ポンプ(11)と流量調節弁(13)を制御し、一時貯留タンク(8)から燃焼炉(3)への液体生成物(p)の供給量と、燃焼炉(3)への支燃ガスの供給量を調整することで、燃焼炉(3)での液体生成物(p)の燃焼量を制御する演算制御装置(14)を備えることを特徴とする請求項10に記載の有機物質の低分子化設備。
  12. 液体生成物(p)の燃焼ガスで低分子化反応器(2)の内部を間接加熱する間接加熱機構を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の有機物質の低分子化設備。
  13. 低分子化反応器(2)が流動層式反応器(2a)からなり、
    該流動層式反応器(2a)から流動媒体の一部を抜き出し、この流動媒体を液体生成物(p)の燃焼炉(3)に導入するとともに、燃焼炉(3)において液体生成物(p)の燃焼熱で加熱された流動媒体を流動層式反応器(2a)に循環させる流動媒体循環機構(4)を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の有機物質の低分子化設備。
  14. 液体生成物(p)の燃焼炉がロータリーキルン燃焼炉または流動層燃焼炉であることを特徴とする請求項13に記載の有機物質の低分子化設備。
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