JP2017039616A - 中空粒子、該中空粒子の製造方法及び該中空粒子を含む摩擦材 - Google Patents

中空粒子、該中空粒子の製造方法及び該中空粒子を含む摩擦材 Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度を有するとともに、例えば摩擦材に使用したときに摩擦材の気孔率を十分に高め、優れた耐フェード性及び耐摩耗性を付与し得る、中空粒子及びその製造方法の提供。【解決手段】中空部と該中空部を形成するシェルからなり、該シェルが硫酸塩から形成される中空粒子であり、平均粒子径が3〜40μm、モース硬度が1.0〜4.0、タップ密度が0.4〜2.2g/cm3。該硫酸塩は硫酸バリウム及び硫酸カルシウムのうち少なくとも1種である摩擦材として用いる中空粒子。【選択図】図1

Description

本発明は中空粒子、該中空粒子の製造方法及び該中空粒子を含む摩擦材に関し、更に詳しくは、産業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車等のブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等に用いられる摩擦材の充填材として好適に使用可能な中空粒子とその製造方法、並びにその中空粒子を含む摩擦材に関する。
中空構造を有する中空粒子は、軽量性、断熱性などの特性を有し、断熱材、摩擦材などの用途に利用されている。このような中空粒子の製造方法として、種々の方法が提案されている(特許文献1、2、3及び4参照)。
特許文献1に記載された方法は、ジルコニウム、チタン、ケイ素などの金属のアルコキシドのアルコール溶液に酵母、デンプンなどの粒子状生体材料の水分散液を加えて攪拌することにより、金属アルコキシドを加水分解させて、粒子状生体材料の表面に金属アルコキシドの加水分解物を析出させ、粒子状生体材料をコア、金属アルコキシドの加水分解物の層をシェルとするコア・シェル複合体を得、次いでこのコア・シェル複合体を水洗、乾燥後、加熱処理することにより、金属アルコキシドの加水分解物の脱水縮合による金属酸化物の生成と粒子状生体材料の熱分解による中空部の形成によって目的とする中空粒子を得るものである。
また、特許文献2に記載の方法は、一次粒子が20〜200nmの炭酸カルシウムを調製し、この炭酸カルシウムにゾル−ゲル法を用いてシリカをコーティングし、その後、酸を添加して炭酸カルシウムを除去して目的とするシリカからなる中空粒子を得るもので、この中空粒子は、静的光散乱法による粒子径が30〜800nmであり、水銀圧入法による細孔分布が2〜20nmを検出しない緻密なシリカ殻からなる高分散性のものである。
特許文献3に記載の方法は、樹脂粉末にアルミナやシリカの金属酸化物を圧接させながら混合し、樹脂粉末の表面に金属酸化物を被覆させ、その後、電気炉等で焼成し、樹脂粉末を除去するとともに、金属酸化物同士を焼結させて目的とする中空粒子を得るものである。
特許文献4に記載の方法は、粒子径30μm未満でアスペクト比が100以下の金属酸化物母粒子と粒子径0.1μm未満の金属酸化物の子粒子とを溶媒に分散して混合液体を調製し、該混合液体を100μm未満の液滴とした後、乾燥し、中空粒子を得るものである。
中空粒子は前述のように、軽量性、断熱性などの特性を物品に付与するものであるから、外部応力に対してその形状を保持できる一定の強度が必要とされる。
一方、中空粒子を自動車等のブレーキの摩擦材に用いることも提案されている。例えば特許文献5には、チタン酸アルカリ粒子が結合した中空粒子が開示されている。
特開2006−326557号公報 特開2005−263550号公報 特開2003−160330号公報 特開2011−116569号公報 特開2009−114050号公報
一般的に摩擦材は、補強作用をする繊維基材、摩擦作用を与えかつその摩擦性能を調整する摩擦調整材、充填材、これらの成分を一体化する結合材などの原材料からなっている。
摩擦材の重要な特性の一つである耐フェード性は、摩擦材の気孔率に大きく影響を受けることが知られている。すなわち、高い気孔率を有する摩擦材は、ブレーキをかけたときに発生するガス圧を下げることができ、耐フェード性を向上できる。そこで、摩擦材の充填材として気孔率の高い材料が求められている。
しかしながら、上記のような従来の中空材料を摩擦材に用いても、耐フェード性を十分に高めることができず、このため摩擦材の気孔率を高め得る別の材料が依然として求められていた。
また、昨今の車両の高性能化、高速化に伴い、ブレーキの役割は益々過酷なものとなってきており、摩擦材は、優れた耐フェード性とともに、相手材(例えばブレーキロータ)に対する攻撃性を緩和して優れた耐摩耗性を有することも求められている。
したがって、本発明の目的は、高い強度を有するとともに、例えば摩擦材に使用したときに摩擦材の気孔率を十分に高め、優れた耐フェード性及び耐摩耗性を付与し得る、中空粒子及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、前記中空粒子を含み、優れた耐フェード性及び耐摩耗性を有する摩擦材を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、硫酸塩を用いて中空粒子を形成することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(12)により達成されるものである。
(1)中空部と該中空部を形成するシェルからなり、該シェルが硫酸塩から形成されることを特徴とする中空粒子。
(2)平均粒子径が3〜40μmであることを特徴とする前記(1)に記載の中空粒子。
(3)前記硫酸塩のモース硬度が1.0〜4.0であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の中空粒子。
(4)前記硫酸塩が硫酸バリウム及び硫酸カルシウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の中空粒子。
(5)タップ密度が0.4〜2.2g/cmであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の中空粒子。
(6)摩擦材の充填材材料として用いることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の中空粒子。
(7)硫酸塩のスラリー、並びに、ポリマー及び粒子状生体材料のうちの少なくとも1種を混合し、得られた混合液を噴霧乾燥した後、熱処理することを特徴とする中空粒子の製造方法。
(8)硫酸塩の微粒子、並びに、ポリマー及び粒子状生体材料のうちの少なくとも1種をメカノケミカル法にて複合化し、得られた粒子を熱処理することを特徴とする中空粒子の製造方法。
(9)前記硫酸塩が硫酸バリウム及び硫酸カルシウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の中空粒子の製造方法。
(10)前記ポリマーを形成する単量体が、不飽和芳香族類、ビニルエステル類、不飽和ニトリル類及び不飽和カルボン酸アルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれか1つに記載の中空粒子の製造方法。
(11)前記粒子状生体材料が、酵母、デンプン、菌類、藻類、胞子及び花粉からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれか1つに記載の中空粒子の製造方法。
(12)前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の中空粒子を含むことを特徴とする摩擦材。
本発明の中空粒子のシェルを構成する硫酸塩は、モース硬度が低く、相手材に対する攻撃性を緩和し、優れた耐摩耗性を有する。よって、本発明の中空粒子は、高い強度を有するとともに、例えば摩擦材に使用したときに摩擦材の気孔率を十分に高め、優れた耐フェード性及び耐摩耗性を付与することができる。
また、本発明の中空粒子の製造方法によれば、中空粒子の強度及び気孔率を高め得るとともに、中空部のサイズ及び形状を容易に制御することができる。
また、本発明の摩擦材は、本発明の中空粒子を含むものであるので、高い気孔率を有し、ブレーキをかけたときに発生するガス圧を下げることができ、優れた耐フェード性を有する。
実施例1〜4、比較例1で得られた中空粒子の外観のSEM写真図である。 実施例1〜3、比較例1で得られた中空粒子の断面のSEM写真図である。 実施例5〜9における熱処理前の粒子の外観のSEM写真図である。 実施例5〜9で得られた中空粒子の外観のSEM写真図である。 実施例6で得られた中空粒子を配合した摩擦材1の断面のSEM写真図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の中空粒子は、中空部と該中空部を形成するシェルからなる中空構造である。
前記シェルは硫酸塩から形成される。
硫酸塩としては、特に制限されないが、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。中でも、高い強度を付与し、中空粒子を摩擦材の充填材として用いたときに摩擦材の優れた耐フェード性及び耐摩耗性を付与し得るという観点から、モース硬度が1.0〜4.0である硫酸塩を用いることが好ましく、モース硬度が1.5〜4.0である硫酸塩がより好ましい。具体的には、硫酸バリウム及び硫酸カルシウムのうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。
中空粒子の平均粒子径は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば摩擦材の充填材として用いる場合は、摩擦材に優れた耐フェード性及び耐摩耗性を付与し得るという観点から、3〜40μmであるのが好ましく、5〜25μmがさらに好ましい。なお、本発明で言う平均粒子径は、ナノ粒子径分布測定装置により粒度分布を求め、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(d50)を平均粒子径とする。
中空粒子の平均粒子径の調整は、下記の中空粒子の製造方法の説明の項で記載する。
中空粒子のシェルのシェル壁の厚みは、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば摩擦材の充填材として用いる場合は、優れた耐フェード性及び耐摩耗性を付与し得るという観点から、0.1〜2.0μmであるのが好ましく、0.5〜2.0μmがさらに好ましい。
また、中空粒子のかさ密度は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば摩擦材の充填材として用いる場合は、優れた耐フェード性及び耐摩耗性を付与し得るという観点から、タップ密度が0.4〜2.2g/cmであるのが好ましく、0.4〜1.8g/cmがさらに好ましい。
中空粒子のシェルの厚みは、中空粒子の断面をSEM観察することにより、また、かさ密度は、JIS R1628に従い測定することができる。
中空粒子のシェルの厚み及びかさ密度の調整は、下記の中空粒子の製造方法において説明する。
本発明の中空粒子の強度は、5〜50MPaが好ましく、10〜45MPaがさらに好ましい。中空粒子の強度が前記範囲であると、外からの衝撃や振動を受けてもひび割れや損害を受けることがないため、例えば摩擦材の充填材として用いた場合に摩擦材の気孔率を損ねることがない。
なお、該強度は、例えば、微小圧縮試験機(例えば、株式会社島津製作所製「MCTW−500」(商品名))などを用いて算出することができる。
次に、本発明の中空粒子の製造方法について説明する。
本発明の中空粒子は、公知の方法により製造することができ、例えば、噴霧乾燥法、メカノケミカル法、ゾルゲルコート法、高速気流衝撃法、メカニカルアロイング、ミキサーによる攪拌混合等によって得ることができる。中でも、中空粒子の強度及び気孔率を高め得るとともに、その内部の中空部のサイズ及び形状の設計が容易に制御できるという観点から、噴霧乾燥法、メカノケミカル法を用いることが好ましい。
噴霧乾燥法は、熱風中にスラリーを噴霧して乾燥する方法である。本発明において、硫酸塩のスラリー、並びに、ポリマー及び粒子状生体材料のうちの少なくとも1種を混合し、得られた混合液を噴霧乾燥後、熱処理することにより中空粒子を製造することができる。
硫酸塩のスラリーは、例えば、0.02〜0.30μmの範囲、好ましくは0.08〜0.12μmの範囲の粒径の硫酸塩を準備し、分散溶媒に該硫酸塩を分散させることにより得ることができる。分散溶媒としては、精製水、蒸留水等の水やエタノール等の有機溶媒を挙げることができ、環境への負荷の観点から、精製水、蒸留水を用いることが好ましい。
硫酸塩のスラリーの固形分濃度は、1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜30質量%である。スラリーの固形分濃度が前記範囲であると、硫酸塩が均一に分散するため好適である。
また、硫酸塩のスラリーには必要に応じて公知の分散剤を加えることができる。分散剤としては、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤のアンモニウム塩、ポリアクリル酸塩等を用いることができる。分散剤の含有量は、適度な分散性を付与するとの観点から、スラリー中、1〜4質量%とすることが好ましい。
また、硫酸塩のスラリーの粘度(25℃)は、例えば500〜4000mPa・sであり、好ましくは1000〜2000mPa・sである。スラリーの粘度が前記範囲であると、均一な形状の粒子が作製できるため好適である。
本発明に使用されるポリマーの組成は特に制限されないが、その形成に使用する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の不飽和芳香族類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル類;その他に、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジアリルフタレート、アクリルアクリレート、アリルメタクリレート等を例示することができる。また、これらの単量体は、単独でも2種以上混合しても使用することができる。なお、加熱により、分解しやすい重合体を得るためには、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニルから選ばれた少なくとも1種の単量体を主成分とする重合体が好ましい。
また、粒子状生体材料としては、例えば、酵母、デンプン、菌類、藻類、胞子、花粉等が挙げられ、中でも入手性の観点から、酵母、デンプンを用いるのが好ましい。粒子状生体材料は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酵母としては、ビール酵母、ワイン酵母、パン酵母等;デンプンとしては、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、豆デンプン、いもデンプン等;菌類としては、キノコ、カビ等;藻類としてはワカメ、コンブ、テングサ等;胞子としては、シダ植物、コケ植物等;花粉としては、スギやヒノキなどの樹木花粉、花や草などの草花花粉等をいずれも用いることができる。
ポリマー及び粒子状生体材料の平均粒子径は、1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。ポリマー及び粒子状生体材料の平均粒子径が前記範囲であると、作製される粒子を摩擦材に添加したときなどに、作製される粒子がフィラーとして機能しやすい粒子径となるため好ましい。
硫酸塩のスラリーとポリマー及び粒子状生体材料のうちの少なくとも1種との混合は、公知の方法により行うことができ、例えば、硫酸塩のスラリーにポリマー及び/又は粒子状生体材料を添加して撹拌する方法、分散溶媒に硫酸塩、分散剤並びにポリマー及び/又は粒子状生体材料を添加して撹拌する方法等が挙げられる。
得られた混合液中の硫酸塩のスラリーとポリマー及び/又は粒子状生体材料との混合割合は、前者:後者(固形分体積比)として、例えば、2:1〜1:10であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:4である。硫酸塩のスラリーとポリマー及び/又は粒子状生体材料との混合割合が前記範囲であると、粒子強度と粒子内部への気孔の付与の両立が可能となるため好適である。
調製された混合液は噴霧乾燥に施される。噴霧乾燥法に用いる装置としては、公知の噴霧乾燥装置を用いて行うことができ、例えば、ディスクアトマイザー式スプレードライヤー、二流体ノズルスプレードライヤー等が挙げられる。
ディスクアトマイザー式スプレードライヤーは、ディスク状のアトマイザーを乾燥室に設置し、ディスクを回転させつつそこにスラリーを送液し、放出させ、乾燥室内を移動させながらスラリーを乾燥させる方式である。ディスクアトマイザー式スプレードライヤーとしては、大川原化工機株式会社製のM型ディスクアトマイザー、K型ディスクアトマイザー、N型ディスクアトマイザー等を使用することができる。
二流体ノズルスプレードライヤーは、気体路と液体路からでた流体が一点に集まる衝突焦点を形成させるためのノズルエッジから気体とスラリーを噴出させ、噴出したスラリーを乾燥させる方式である。二流体ノズルスプレードライヤーとしては、大川原化工機株式会社製の二流体ノズルスプレードライヤー等を使用することができる。
ディスクの回転速度はディスクの大きさにより適宜調整すればよく、通常は10000〜40000rpm、好ましくは20000〜30000rpmである。
噴霧乾燥で調製された乾燥物は、熱処理を行い、コアを構成していたポリマー及び粒子状生体材料から選択された少なくとも1種を焼成除去し、硫酸塩から形成されるシェル及び該シェルに囲まれた中空部から構成される本発明の中空粒子を得る。
熱処理条件としては、例えば大気雰囲気下、熱処理温度450〜1000℃、好ましくは500〜800℃、熱処理時間1〜10時間、好ましくは2〜4時間である。熱処理温度が前記範囲であるとコアを焼成させ分解させることができ、熱処理時間が前記範囲であると硫酸塩の焼結が進行し強固な粒子となるため好適である。
噴霧乾燥法において、中空粒子の平均粒子径の調整は、ディスクの回転速度、ディスクへのスラリーの送液速度、乾燥室内の乾燥温度を適宜設定することにより行うことができる。
中空粒子のシェルのシェル壁の厚み及びかさ密度(タップ密度)の調整は、スラリーの固形分濃度を適宜設定することにより行うことができる。
中空粒子の強度の調整は、熱処理温度、熱処理時間を適宜設定することにより行うことができる。
メカノケミカル法は、摩擦、圧縮等の機械エネルギーにより局部的に生じる高いエネルギーを利用して、コア粒子の表面に硫酸塩の微粒子(以下、「硫酸塩微粒子」という)を付着させる方法である。
本発明において、硫酸塩微粒子とポリマー及び粒子状生体材料のうちの少なくとも1種とを原理的に溶剤を使用しない乾式法で、上記機械的エネルギーを加えて混合することにより、両者を互いに付着させて複合化する。
硫酸塩微粒子は、平均粒子径が20〜300nmのナノ粒子を用いることが好ましく、80〜120nmのナノ粒子であることがより好ましい。硫酸塩微粒子の平均粒子径が前記範囲であると、ポリマー及び/又は粒子状生体材料の表面を間隙無く被覆することができ、硫酸塩により形成されるシェルのシェル壁の強度を高めることができる。
ポリマー及び粒子状生体材料は、上記の噴霧乾燥法で例示したものが挙げられ、好ましいものも同様である。
硫酸塩微粒子とポリマー及び/又は粒子状生体材料との混合割合は、前者:後者(固形分体積比)として、例えば、2:1〜1:10であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:4である。硫酸塩のスラリーとポリマー及び/又は粒子状生体材料との混合割合が前記範囲であると、粒子強度と粒子内部への気孔の付与が可能となるため好適である。
メカノケミカル法に用いる装置としては、特に限定されるものではなく、ミル、粉体を対象にした機械的複合化装置を用いることができ、具体的には、ビーズミル、遊星式、転動式、振動式のボールミルや、ロッキングミル、タワーミル、メカノフュージョン、ジェットミル、ハイブリダイザー、ヘンシェルミキサー、ホモミキサー等が挙げられる。中でもハイブリダイザーを用いることが好ましい。例えば、株式会社奈良機械製作所製「NHS−1」(商品名)等が挙げられる。
メカノケミカル法により複合化された粒子は、続いて熱処理に施される。熱処理条件は、上記の噴霧乾燥法で例示した条件が挙げられ、好ましい条件も同様である。
メカノケミカル法において、中空粒子の平均粒子径の調整は、原料の混合割合の選定、コア粒子、シェル粒子の粒子径の選択により行うことができる。
中空粒子のシェルのシェル壁の厚み及びかさ密度(タップ密度)の調整は、複合化させる子粒子の投入量、ロータの回転数を調整することにより行うことができる。
中空粒子の強度の調整は、使用するシェル粒子の粒子径と加熱温度を選択することにより行うことができる。粒子径が小さいほど、また、加熱温度が高いほど、早く焼結が進行し粒子強度が高くなる。
本発明の中空粒子は、シェル壁が強固であり、軽量性、断熱性を有し、充填性に優れた材料であるため、各種の充填材材料として使用することができる。例えば、産業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車等のブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等に用いられる摩擦材、建築材料、塗料等に使用することができ、中でも、摩擦材の充填材材料に好適である。
摩擦材に本発明の中空粒子を用いる場合、摩擦材は、中空粒子を1〜40質量%含むことが好ましく、10〜30質量%含むことがより好ましい。摩擦材中の本発明の中空粒子の含有量が前記範囲であると、高い気孔率に基づく優れた耐フェード性を提供することができる。また、中空粒子のシェルを構成する硫酸塩は、モース硬度が低く、相手材に対する攻撃性を緩和し、優れた耐摩耗性を提供できる。
本発明の摩擦材の配合に際しては、通常用いられる配合材料が使用される。繊維基材としては、有機繊維、無機繊維、金属繊維が使用される。有機繊維としては、例えば芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、耐炎性アクリル繊維が使用され、無機繊維としては、例えばチタン酸カリウム繊維やアルミナ繊維等のセラミック繊維、生体溶解性無機繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ロックウール等が使用され、また、金属繊維としては、例えば銅繊維やスチール繊維が使用される。
結合材としては、例えばフェノール樹脂(ストレートフェノール樹脂、ゴム等による各種変性フェノール樹脂を含む)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
摩擦調整材としては、例えば非ウィスカー状のチタン酸化合物(チタン酸カリウム、チタン酸リチウムカリウム、チタン酸マグネシウムカリウム等)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、バーミキュライト、マイカ等の無機充填材、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、酸化クロム、四三酸化鉄(Fe)、クロマイト等の研削材、銅、アルミニウム、青銅、亜鉛等の金属粉末、各種ゴム粉末(ゴムダスト、タイヤ粉末等)、カシューダスト、メラミンダスト等の有機充填材、黒鉛(グラファイト)、二硫化モリブデン、硫化スズ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑材等が挙げられる。
具体的な配合割合としては、例えば繊維基材を摩擦材全体の15〜55質量%、摩擦調整材を10〜60質量%、結合材を5〜35質量%とするのが好ましい。
本発明の摩擦材の製造は、周知の製造工程により行うことができ、例えば、予備成形、熱成形、加熱、研摩等の工程を経て摩擦材を作製することができる。
ディスクブレーキ用ブレーキパッドの製造における一般的な工程を以下に示す。
(a)板金プレスによりプレッシャプレートを所定の形状に成形する工程、
(b)上記プレッシャプレートに脱脂処理及びプライマー処理を施す工程、
(c)有機繊維、無機繊維、金属繊維等の繊維基材;摩擦調整材;結合材等の粉末原料;必要に応じてその他の充填材を配合し、撹拌により十分に均質化した原材料を、常温にて所定の圧力で成形して予備成形体を作製する工程、
(d)上記予備成形体と接着剤が塗布されたプレッシャプレートとを、所定の温度及び圧力を加えて両部材を一体に固着する熱成形工程(成形温度130〜180℃、成形圧力30〜80MPa、成形時間2〜10分間)、
(e)アフターキュア(150℃〜300℃、1〜5時間)を行って、最終的に仕上げ処理を施す工程。
本発明における摩擦材も、このような工程により製造することができる。本発明の中空粒子は、上記(c)工程で配合することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
<中空粒子の作製:実施例1〜4>
(実施例1)
硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名))10kg、精製水23.3kg、分散剤(サンノプコ株式会社製「SNディスパーサント5468」(商品名))0.25kgを混合し、硫酸バリウムのスラリーを調製した。
上記スラリーと、コア粒子としての平均粒子径5μmのパン酵母(日清フーズ株式会社製「日清スーパーカメリヤドライイースト」(商品名))とを、固形分体積比が1:1になるように混合し、固形分30質量%の硫酸バリウム/パン酵母混合液を得た。
この混合液に対し、噴霧乾燥を施した。噴霧乾燥は、ディスクアトマイザー式スプレードライヤーとして大川原化工機株式会社製「L−8」(商品名)を用い、ディスクの回転速度を30000rpm、ディスクへのスラリーの送液速度を40g/min、乾燥室内の噴霧液入り口温度を180℃に設定した。
続いて、上記噴霧乾燥で調製された乾燥物に対し、熱処理を行った。熱処理条件は、大気中、600℃、2時間とし、コア粒子を焼成除去した。
以上の工程を経ることにより硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(実施例2)
実施例1で調製した硫酸バリウムのスラリーを用い、該スラリーと、コア粒子としての平均粒子径1μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)(積水化成品工業株式会社製「SSX−101」(商品名))とを、固形分体積比が1:1になるように混合し、固形分30質量%の硫酸バリウム/PMMA混合液を得た。
この混合液に対し、実施例1と同様の条件で噴霧乾燥と熱処理を行い、硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(実施例3)
実施例1で調製した硫酸バリウムのスラリーを用い、該スラリーと、コア粒子としての平均粒子径10μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)(積水化成品工業株式会社製「SSX−110」(商品名))とを、固形分体積比が1:1になるように混合し、固形分30質量%の硫酸バリウム/PMMA混合液を得た。
この混合液に対し、実施例1と同様の条件で噴霧乾燥と熱処理を行い、硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(実施例4)
実施例1で調製した硫酸バリウムのスラリーを用い、該スラリーと、コア粒子としての平均粒子径15μmのデンプン(株式会社波里製コーンスターチ)とを、固形分体積比が1:1になるように混合し、固形分30質量%の硫酸バリウム/コーンスターチ混合液を得た。
この混合液に対し、実施例1と同様の条件で噴霧乾燥と熱処理を行い、硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(比較例1)
比較例1として、非中空の硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名))を用いた。
<中空粒子の測定>
上記の実施例1〜4で得られた中空粒子に対し、ナノ粒子径分布測定装置(株式会社島津製作所製「SALD−7100」(商品名))による粒度分布(d10、d50、d90)、かさ密度(タップ密度)及び粒子強度を測定した。なお、d10は、体積基準の累積百分率10%相当粒子径であり、d90は、体積基準の累積百分率90%相当粒子径である。また、以下に粒子強度の測定装置及び測定条件を示す。
結果を表1に纏めて示す。
〔粒子強度の測定装置及び測定条件〕
測定装置:微小圧縮試験機「MCTW−500」(商品名、株式会社島津製作所製)
使用圧子:ダイヤモンド製平面圧子(φ=50μm)
負荷速度:0.892mN/s(負荷速度一定方式)
測定雰囲気:室温大気中
また、実施例1〜4で得られた中空粒子及び比較例1の硫酸バリウムの外観をSEMにより観察し(倍率1000倍)、実施例1〜3で得られた中空粒子及び比較例1の硫酸バリウムの断面をSEMにより観察した(倍率1000倍)。結果を図1及び図2にそれぞれ示す。
表1及び図1〜2の結果から、噴霧乾燥法により、実施例1〜4は硫酸バリウムからなるシェル及びそれに囲まれた中空部から構成されてなる中空粒子が形成されていることを確認できた。
<中空粒子の作製:実施例5〜9、比較例2>
(実施例5)
硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名)を平均粒子径0.1μmとなるように粉砕したもの)150g、コア粒子としての平均粒子径10μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)(積水化成品工業株式会社製「SSX−110」(商品名))100gを量り取り、容器内で混合した。なお、硫酸バリウムとPMMAの体積比は2:5である。
得られた混合物を、株式会社奈良機械製作所製「NHS−1」(商品名)を用い、ロータ回転速度6600rpmにて10分間処理し、メカノケミカル法により複合化した。
続いて、上記メカノケミカル法で調製された複合物に対し、熱処理を行った。熱処理条件は、大気中、800℃、2時間とし、コア粒子を焼成除去した。
以上の工程を経ることにより硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(実施例6)
硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名)を平均粒子径0.1μmとなるように粉砕したもの)175g、コア粒子としての平均粒子径10μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)(積水化成品工業株式会社製「SSX−110」(商品名))75gを量り取り、容器内で混合した。なお、硫酸バリウムとPMMAの体積比は5:8である。
得られた混合物を、実施例5と同様にメカノケミカル法により複合化し、得られた複合化物に対して、実施例5と同様の条件で熱処理を行い、硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(実施例7)
硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名)を平均粒子径0.1μmとなるように粉砕したもの)203g、コア粒子としての平均粒子径10μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)(積水化成品工業株式会社製「SSX−110」(商品名))54gを量り取り、容器内で混合した。なお、硫酸バリウムとPMMAの体積比は5:5である。
得られた混合物を、実施例5と同様にメカノケミカル法により複合化し、得られた複合化物に対して、実施例5と同様の条件で熱処理を行い、硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(実施例8)
硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名)を平均粒子径0.1μmとなるように粉砕したもの)216g、コア粒子としての平均粒子径10μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)(積水化成品工業株式会社製「SSX−110」(商品名))38gを量り取り、容器内で混合した。なお、硫酸バリウムとPMMAの体積比は6:4である。
得られた混合物を、実施例5と同様にメカノケミカル法により複合化し、得られた複合化物に対して、実施例5と同様の条件で熱処理を行い、硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(実施例9)
硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名)を平均粒子径0.1μmとなるように粉砕したもの)221g、コア粒子としての平均粒子径1μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)(積水化成品工業株式会社製「SSX−101」(商品名))25gを量り取り、容器内で混合した。なお、硫酸バリウムとPMMAの体積比は7:3である。
得られた混合物を、実施例5と同様にメカノケミカル法により複合化し、得られた複合化物に対して、実施例5と同様の条件で熱処理を行い、硫酸バリウムの中空粒子を得た。
(比較例2)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックス20」(商品名)、平均粒子径20μm)200g、コア粒子として平均粒子径6μmのパン酵母(日清フーズ株式会社製ドライイースト)20gを量り取り、容器内で混合し、蒸留水380gを加え固形分濃度10質量%のスラリーを調製した。なお、コロイダルシリカとパン酵母の体積比は5:5である。
このスラリーに対し、噴霧乾燥を施した。噴霧乾燥は、二流体ノズルスプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)を用いた。
続いて、上記噴霧乾燥で調製された乾燥物に対し、熱処理を行った。熱処理条件は、大気中、700℃、2時間とし、コア粒子を焼成除去した。
以上の工程を経ることにより中空シリカ粒子を得た。
<中空粒子の測定>
上記の実施例5〜9で得られた中空粒子に対し、ナノ粒子径分布測定装置(株式会社島津製作所製「SALD−7100」(商品名))による粒度分布(d50)及び熱処理前後における粒子の質量減少率を測定した。なお、質量減少率は、以下の式により算出した。結果を表2に示す。
質量減少率(%)={1−(熱処理後の粒子の質量/熱処理前の粒子の質量)}×100
また、実施例5〜9における熱処理前の粒子の外観をSEMにより観察し(倍率10000倍)、実施例5〜9で得られた中空粒子の外観をSEMにより観察した(倍率3000倍)。結果を図3及び図4にそれぞれ示す。
図3から、実施例5〜9の熱処理前の粒子(メカノケミカル法により得られた複合物)は、コア粒子の全面を硫酸バリウムが覆っていることが観察された。また、図4及び表2における質量減少率の結果から、硫酸バリウムからなるシェル及びそれに囲まれた中空部から構成されてなる中空粒子が形成されていることを確認できた。
<摩擦材の作製>
摩擦材の配合材料を表3に示す配合組成(質量%)に従って混合機で混合し、摩擦材混合物を得た。得られた摩擦材混合物を圧力20MPaで10秒間予備成形し、予備成形体を作製した。次いで、予備成形体を金型に投入し、温度150℃、成形面圧50MPaで5分間加熱加圧成形した。その後、この加熱加圧成形体に対し、250℃で3時間のアフターキュアを行い、研摩工程を経て摩擦材1〜3を得た。なお、摩擦材2、3の作製に用いた不定形硫酸バリウムは、非中空の硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製「W−10」(商品名))である。
<摩擦材の気孔率の測定>
上記で得られた各摩擦材の気孔率をヘリウム含浸法により測定した。結果を表4に示す。
また、摩擦材1について、摩擦材断面をSEMにより観察した(倍率500倍)。結果を図5に示す。
<摩擦材の性能試験>
上記で得られた各摩擦材に対し、以下の試験を行った。
各摩擦材について、JASO C406に準拠した摩擦性能試験をブレーキダイナモメーターで行った。試験後の、摩擦材と相手材の摩耗量と高速時の制動における摩擦係数μの結果を表4に示す。
表4の結果から、本発明の摩擦材(摩擦材1)は、比較例の摩擦材(摩擦材2,3)に比べて、気孔率が高いことが分かった。また、図5から、摩擦材1中に本発明の中空粒子が存在していることが確認された。
また、表4の結果から、摩擦材2は、不定形硫酸バリウムを配合した摩擦材3に対し、摩擦材摩耗量、相手材摩耗量共に大きく増加したのに対し、本発明の摩擦材1は、摩擦材摩耗量、相手材摩耗量共に摩擦材3と略同程度であった。一方、高速時の制動における摩擦係数μについては、摩擦材3に対し、摩擦材2が5%改善されたのに対し、摩擦材1は10%改善された。
これらの結果から、本発明の中空粒子を用いて作製した摩擦材1は、摩擦材内部で1つの粒子に対して均一な気孔を有しており、摩擦材へ配合することにより、摩擦材が、耐フェード性及び耐摩耗性に優れることが確認された。
上記では、本発明の中空粒子の用途として摩擦材を例示しているが、これ以外にも本発明の中空粒子は、建築材料や塗料等のフィラーを使用する材料に使用することも好適である。

Claims (12)

  1. 中空部と該中空部を形成するシェルからなり、該シェルが硫酸塩から形成されることを特徴とする中空粒子。
  2. 平均粒子径が3〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載の中空粒子。
  3. 前記硫酸塩のモース硬度が1.0〜4.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空粒子。
  4. 前記硫酸塩が硫酸バリウム及び硫酸カルシウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空粒子。
  5. タップ密度が0.4〜2.2g/cmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空粒子。
  6. 摩擦材の充填材材料として用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空粒子。
  7. 硫酸塩のスラリー、並びに、ポリマー及び粒子状生体材料のうちの少なくとも1種を混合し、得られた混合液を噴霧乾燥した後、熱処理することを特徴とする中空粒子の製造方法。
  8. 硫酸塩の微粒子、並びに、ポリマー及び粒子状生体材料のうちの少なくとも1種をメカノケミカル法にて複合化し、得られた粒子を熱処理することを特徴とする中空粒子の製造方法。
  9. 前記硫酸塩が硫酸バリウム及び硫酸カルシウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項7又は8に記載の中空粒子の製造方法。
  10. 前記ポリマーを形成する単量体が、不飽和芳香族類、ビニルエステル類、不飽和ニトリル類及び不飽和カルボン酸アルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  11. 前記粒子状生体材料が、酵母、デンプン、菌類、藻類、胞子及び花粉からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  12. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の中空粒子を含むことを特徴とする摩擦材。
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