JP2017034763A - 内包磁石型ロータの製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高配向度の異方性ボンド磁石がスロットに充填された高精度なロータを得ることができる内包磁石型ロータの製造装置を提供する。【解決手段】本発明は、ロータコア(1)の軸周りに複数配設されているスロット(12)へ、バインダ樹脂と異方性磁石粒子との混合物である流動混合物を充填して、流動混合物を固化させた異方性ボンド磁石からなる磁極を有する内包磁石型ロータを得る内包磁石型ロータの製造装置である。この製造装置は、射出ノズルから射出される流動混合物を軸方向に沿って上流側から下流側へ誘導する流路であるスプルー(731)とスプルーの下流側から横方向に分岐して流動混合物をスロットのそれぞれへ誘導する複数の流路からなるランナー(732)とを有し、ランナーの下流側にある開口または開溝からスロットの開口へ流動混合物を直接充填できる流路金型(73)を備えることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、異方性ボンド磁石を磁極とする内包磁石型ロータの製造装置に関する。
電動機(発電機を含めて単に「モータ」という。)には種々のタイプがある。最近ではインバータ制御の発達と高磁気特性の希土類磁石の普及に伴い、省電力、高効率、高トルクまたは高出力が望める同期機が着目されている。
同期機(Synchronous Motor)は、回転子(ロータ)に永久磁石を、固定子(ステータ)に電機子巻線(コイル)を備えるモータであり、電機子巻線に交流(AC)を供給して固定子に回転磁界を生じさせることにより回転子を駆動するACモータである。同期機には、永久磁石が回転子の表面に配設された表面磁石型モータ(Surface Permanent Magnet Synchronous Motor/単に「SPMモータ」ともいう。)と、その永久磁石が回転子の内部に配設された内包(埋込)磁石型モータ(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor/単に「IPMモータ」または「モータ」ともいう。)とがある。現在では、高トルク化や省電力化のみならず、永久磁石の飛散防止による信頼性の向上をも図れるIPMモータが主流となりつつある。
これまでのIPMモータでは、所定の寸法に切削や研磨等された希土類焼結磁石をロータコアのスロット内へ挿入して磁極を形成した内包磁石型ロータが用いられてきた。しかし、IPMモータの最適化設計を行う場合、ロータに内包される永久磁石の形状は、略円弧形状あるいは略楕円形状となったり、また内周側面と外周側面の半径が異なったり、磁石厚さが周方向で変化したりすることが多い。そこで、内包磁石型ロータ(適宜、「IPMロータ」または単に「ロータ」という。)の磁極を構成する永久磁石として、形状自由度が小さくて欠損等の生じ易い焼結磁石に替えて、形状自由度が大きく、生産性にも優れる希土類異方性ボンド磁石(単に「ボンド磁石」ともいう。)が用いられるようになってきた。このようなボンド磁石は、希土類異方性磁石粒子(粉末)とバインダ樹脂の流動混合物を配向磁場中のスロット内へ射出して成形される。これに関連した記載が下記の特許文献1にある。
特開2003−47212号公報
特許文献1では、外周側に永久磁石およびポールピースを配設してなる配向装置(下型)の内周側にロータコアを収容し、そのロータコアのスロットへ樹脂磁石(ボンド磁石)を充填して、IPMロータを製造している。この際、射出成形機のノズル(単に「射出ノズル」という。)の出口からロータコアのスロットへ至る流路は、その下型上に積層された中間型および上型により形成されている。具体的にいうと、上型には、射出ノズルの出口に連なる注入口(一次スプルー)が形成されており、また中間型には、その上型の注入口の下流側に連なり横方向(軸方向に直交する方向)へ延在するランナーと、このランナーの下流側からさらに直交方向(軸方向)へ延在する細径化した二次スプルーおよびその先端部にゲート(ピンゲート)が形成されている。
このように特許文献1では、加熱されて溶融された状態にある樹脂磁石を、一般的な樹脂製品を射出成形する場合と同様に、一次スプルー、ランナー、二次スプルーおよびゲートを通じて、ロータコアのスロットへ充填している。
しかし、本発明者の研究に依ると、ロータのスロット内でボンド磁石(樹脂磁石)を射出成形する場合、少なくとも次のような点で、一般的な樹脂製品を射出成形する場合と大きく異なることが明らかとなった。先ず、ロータのスロットは、堅牢な金型により形成されたキャビティとは異なり、所望形状に打ち抜かれた電磁鋼板を積層して形成され、外周側に肉薄で低剛性な部分を有することが多い。このため、充填不良の防止や充填効率の向上等を意図して射出圧力(速度)を安易に高めると、スロットの周辺(特に、その外周側)に歪み(真円度や円筒度等の悪化)を生じ得る。このようなロータは、IPMモータの性能の低下や振動・騒音等の原因となる。
次に、単なる樹脂製品の射出成形であれば、ショートショットやヒケ等の外観不良が生じない限り、充填中の樹脂の粘度はあまり問題とはならない。しかし、ボンド磁石を射出成形する場合、溶融した樹脂中に混在している異方性磁石粒子(単に「磁石粒子」ともいう。)は、スロットに充填されてから固化するまでの短時間内に、スロットに印加されている配向磁場に沿って姿勢変動(配向)する必要がある。このとき、流動混合物(特に溶融樹脂)が過度に高粘度であると、その磁石粒子の姿勢変動が不十分となり、スロットに充填成形されたボンド磁石の配向度低下、ひいてはロータやモータの性能低下を招来し得る。
さらにいうと、スロット内で充填された磁石粒子には強力な磁力が作用するため、スロット内における流動混合物全体の粘度(見掛の粘度)は、バインダー樹脂自体の粘度よりも高くなり易い。このためロータコアのスロット内でボンド磁石を射出成形する場合、単なる樹脂製品を射出成形する場合よりも、射出ノズルの出口からスロットの入口を経てスロット最深部に至る流動抵抗が大きくなってスロット内の充填性や流動性が低下し易く、ひいては流路中の流動性も低下し易い。このような充填性や流動性の低下は、ロータの生産性の低下のみならず、品質の不安定化の要因ともなり得る。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、スロットに充填されるボンド磁石の配向度低下やロータの変形抑制を図れ、安定した品質で効率的に内包磁石型ロータを製造することができる製造装置を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、バインダ樹脂と異方性磁石粒子との混合物である流動混合物を、ランナーからスロットへ直接的に充填することを思いついた。この着想を具現化し発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《内包磁石型ロータの製造装置》
(1)本発明の内包磁石型ロータの製造装置(単に「製造装置」という。)は、ロータコアの軸周りに複数配設されており少なくとも一端側が開口しているスロットへ、加熱されて流動状態にあるバインダ樹脂と異方性磁石粒子との混合物である流動混合物を充填して、該流動混合物を固化させた異方性ボンド磁石からなる磁極を有する内包磁石型ロータを得るために用いる内包磁石型ロータの製造装置であって、射出ノズルから射出される前記流動混合物を前記軸方向に沿って上流側から下流側へ誘導する流路であるスプルーと該スプルーの下流側から横方向に分岐して該流動混合物を前記スロットのそれぞれへ誘導する複数の流路からなるランナーとを有し、該ランナーの下流側にある開口または開溝から該スロットの開口へ該流動混合物を直接充填できる流路金型を備えることを特徴とする。
(2)本発明の製造装置によれば、バインダ樹脂(単に「樹脂」ともいう。)と異方性磁石粒子(単に「磁石粒子」ともいう。)からなる流動混合物(単に「混合物」ともいう。)は、スプルーおよびランナーを経てロータコアのスロットに直接充填される。このため射出された混合物は、従来よりも太くて短い通路を通過して、スロットに充填され得る。換言すれば、ランナーの流路をさらに細く絞ったゲート(ピンゲート等)を通過することなく、混合物がスロットに充填される。このため混合物は、射出ノズルの出口からスロットの入口に至る流路中で受ける流動抵抗が小さい。この結果、混合物は、射出圧力(射出速度)をあまり大きくしなくても、十分にスロットへ充填され、変形や歪みの少ないロータが得られる。
また、そのような太くて短い流路を移動する混合物は、流路金型への抜熱量も少なく、流路の移動中における温度低下も少ない。このため混合物は、比較的低粘度な状態を維持しつつ、スロットへ充填される。この結果、流動抵抗が低減されて射出圧力の上昇が抑止さると共に、スロット内における磁石粒子の姿勢変動も容易となり、高配向度のボンド磁石を有するロータが得られる。
《その他》
(1)本明細書でいうモータには、特に断らない限り、電動機の他に発電機(ジェネレータ)も含まれ、回転機と換言できる。また、本明細書でいう内包磁石型モータには、固定子に設けたコイル(電機子巻線)へ供給する交流電流の周波数に同期して回転数が変化する本来的な同期機の他、ホール素子、ロータリエンコーダ、レゾルバ等の検出手段により検出されたロータの位置に基づいて固定子側に回転磁界を生じさせるブラシレス直流(DC)モータ等も含まれる。ちなみに、ブラシレスDCモータは、インバータに供給する直流電圧を変化させて回転数を変化させ得るので、通常の直流モータと同様に制御性に優れる。
(2)本明細書でいうロータは、インナーロータの他、アウターロータでもよい。アウターロータの場合、ボンド磁石が射出成形されるときのロータコアの形態は、製造装置に装着し易い形態であればよく、モータに組付けられるときのアウターロータの最終的な形態と異なっていてもよい。
スロットの形態や配置数はロータひいてはモータの仕様に応じて選択されるが、複数のスロットは、射出成形するときのロータコアの軸周りに均等に配置されていると好ましい。なお、「均等に配設」とは、周方向に配設されるスロットのピッチが均等という意味である。
(3)本明細書では、適宜、ロータの回転中心に近い側を「内周側」といい、逆にその回転中心から遠い側を「外周側」という。「軸方向」とは、射出成形されるときのロータコアの中心軸またはその回転軸に沿った方向である。通常、この軸方向が、本発明の製造装置を構成する金型(可動側)の移動方向となり、また射出ノズルに連なるスプルーの延在方向となる。同様に、「軸周り」とは、射出成形されるときのロータコアの中心軸またはその回転軸まわりの周方向である。「横方向」とは、特に断らない限り、その軸方向に直交する方向であり、通常は、金型の分割面に沿った方向である。なお、特に断らない限り、本明細書でいう射出成形には、トランスファ成形も含まれるものとする。
(4)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を、新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
成形金型を型開きした状態を示す断面図である。 成形金型を型閉じ(型締め)した状態を示す断面図である。 ロータコアと、そのスロットに至る流路中に生じる固化物とを示す斜視図である。
本明細書中に記載した事項から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を上述した本発明の構成に付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。製造方法に関する構成要素は、一定の場合、プロダクトバイプロセスクレームとして物に関する構成要素ともなり得る。
《流路金型》
本発明に係る流路金型は、射出ノズルの出口からスロットの入口に至る混合物の流路を構成する。この流路は、軸方向に沿って上流側から下流側へ延在するスプルーと、そのスプルーの下流側から横方向に分岐して少なくともスロットの入口(開口)まで延在するランナーとからなる。各流路の断面形状は問わないが、円形状または円弧形状(扇型状)であると、流路の体積(V)に対する表面積(S)の比率(S/V)を小さくでき、流動する混合物の抜熱量ひいては温度低下を抑制できる。
流路金型の一端面(例えば下端面)をロータコアの開口側端面(例えば上端面)と接触させてランナーを形成する場合であれば、ランナーの流路の断面形状を、例えば、図2に示すような形状とすると好ましい。具体的にいうと、ランナーの流路の上側断面は、理想的な円状の一部である半円状または円弧状(扇型状)としつつ、その上側断面に連なる下側断面は、方形状または台形状とすると好ましい。この場合、流路金型の一端面に形成されたランナーは開溝状となる。射出成形の際、その開溝の一部がスロットの開口に接続され連通して、混合物がスロットへ充填される。
流路金型は、1ピース(枚)から構成されても良いし、2ピース以上からなってもよい。本発明に係る流路金型では、2次スプルーまたはゲートが不要であり、スプルーとランナーを備えれば十分であるため、1ピースでも構成可能である。
流路金型は、その一端面がロータコアの開口側端面に当接する場合、その全体または少なくとも当接面近傍が非磁性材からなると好ましい。これにより、ロータコアに印加される配向磁場の流路金型側への漏洩を抑止できる。なお、本明細書でいう非磁性材とは、ロータコアまたはヨーク等を構成する強磁性材よりも透磁率または飽和磁化が低い材質という意味である。このような非磁性材として、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼等がある。
流路金型は、流路(スプルーまたはランナー)を加熱しないタイプ(いわゆるコールドランナー)でも、流路を加熱するタイプ(いわゆるホットランナー)でもよい。もっとも本発明の場合、流路の短縮化やその断面積の拡張化が容易であるため、流路を加熱しなくても、混合物の低粘度化または高流動性を確保できる。このため、流路金型ひいては製造装置の構造を簡素化できるコールドランナータイプでも、射出圧力の低減ひいてはスロット内の充填圧力の低減が可能となり、ロータの歪み抑制やボンド磁石の高配向化を安定的に図れる。勿論、流路を加熱することにより、混合物のさらなる低粘度化や高流動性を安定的に確保してもよい。
《ロータコア》
ロータコアは、軟磁性材からなり、通常、両面を絶縁被覆した電磁鋼板の積層体や絶縁被覆された金属粒子(軟磁性粒子)を加圧成形した圧粉磁心等からなる。軟磁性材は、その材質を問わないが、例えば、純鉄、ケイ素鋼、合金鋼等の鉄系材であると好ましい。
ロータコアの中央に設けたシャフト穴の周囲に配設されるスロットは、少なくとも2以上あれば、その形状や数は問わない。本発明に係るスロットは、ボンド磁石が充填されるため、その形状自由度は高く、例えば、中心から半径方向へ直線状に延在する放射型でも、内周側に凸な形状をした凸型でも、半径方向に複数ある多層型でもよい。
《異方性ボンド磁石》
ロータコアのスロットに充填成形される異方性ボンド磁石は、異方性磁石粒子とバインダ樹脂からなる。用いる異方性磁石粉末の種類は問わないが、例えば、Nd−Fe−B系磁石粉末、Sm−Fe−N系磁石粉末、Sm−Co系磁石粉末等の高性能な希土類異方性磁石粉末が好ましい。また異方性磁石粉末は、単一粉末にかぎらず、複数種の粉末を混合した混合粉末でもよい。混合粉末は、成分組成が異なるものに限らず、粒径分布が異なるものでもよい。例えば、Nd−Fe−B系磁石粉末の粗粉と微粉を組み合わせたものでも、Nd−Fe−B系磁石粉末の粗粉とSm−Fe−N系磁石粉末の微粉を組み合わせたものでもよい。このような異方性磁石粉末を用いることにより、磁石粒子の高密度化ひいてはロータやモータの高性能化を図れる。なお、本発明に係る異方性ボンド磁石は、異方性磁石粒子が存在する限り、等方性磁石粒子やフェライト磁石粒子等が混在するものでもよい。
バインダ樹脂には、ゴムを含む公知の材料を用いることができる。混合物の流動性や充填性等を考慮すると、射出成形する場合、バインダ樹脂は熱可塑性樹脂であると好ましい。熱可塑性樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド(PA)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、メチルペンテン、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド等がある。
本発明に係る流動混合物は、例えば、ホッパーから投入された磁石粒子と樹脂からなる原料ペレットを、射出シリンダー等に設けたヒータで加熱して調製される。このときの加熱温度は、通常、樹脂の融点以上の温度範囲内で調整される。本発明に係る流路金型を用いれば、バインダー樹脂が融点や結晶化温度の低い樹脂(例えばPA)である場合に限らず、融点や結晶化温度の高い樹脂(例えばPPS)である場合でも、高配向度のボンド磁石を有する高精度(低歪み)なロータを得ることができる。融点の高い樹脂は、耐熱性や耐久性等に優れるため、バインダー樹脂として好適である。これらの樹脂は、例えば、融点が280℃以上さらには300℃以上である樹脂をバインダー樹脂として用いることもできる。なお、結晶化温度は、融点よりも低い温度であるが、冷却速度等により変化し得るため、ここでは樹脂を分類する一指標として融点を用いた。但し、本発明に係るバインダー樹脂は、その結晶度を問わず、結晶性でも非晶性でもよい。
異方性ボンド磁石をトランスファ成形する場合なら、バインダ樹脂として熱硬化性樹脂を用いてもよい。熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン等を用いることができる。
《内包磁石型モータの用途》
本発明に係るロータを備えたモータは、その用途を問わないが、例えば、電気自動車、ハイブリッド車若しくは鉄道車両等に用いられる車両駆動用モータ、エアコン、冷蔵庫若しくは洗濯機等に用いられる家電製品用モータなどに好適である。
実施例を示して本発明をより具体的に説明する。本実施例では、IPMモータに用いられるインナーロータの製造装置について説明する。なお、実際の配置や可動方向等とは関係なく、以下で説明する上下方向は、特に断らない限り、図中の上下方向である。
《インナーロータ》
インナーロータの骨格となるロータコア1は、図2に示すように、所望形状に打ち抜かれた珪素鋼板を積層してなる。具体的にいうと、ロータコア1は、略円筒状をしており、中央に設けられたシャフト穴(図略)と、その中心軸周りに均等に配設された略U字状の6つの貫通したスロット121〜126(これらをまとめて「スロット12」という。)を有する。なお、シャフト穴およびスロット12が打ち抜かれた各珪素鋼板は、リベットまたはかしめ等により固定されている。
ロータコア1の各スロット12に、希土類異方性ボンド磁石(単に「ボンド磁石」という。)が配向磁場中で射出成形されることにより、インナーロータが得られる。図2には、その射出成形を行う際に、射出ノズルから各スロット12の入口(開口)に至る流路中に形成される流動混合物の固化物2も示した。
固化物2は、各スロット12へ流動混合物が充填される際の流路を反映したものであり、軸方向に延在する太くて短い1本のスプルー部21と、そのスプルー部21から各スロット12の開口中央に向かって横方向に延在する6本のランナー部221〜226(これらをまとめて「ランナー部22」という。)とからなる。より具体的にいうと、スプルー部21は、上流側から下流側に向かって拡径する円錐状をしている。ランナー部22は、スプルー部21の下流側から滑らかに接続された半円柱状をしており、その平面側がロータコア1の一端面(図2の上端面)と接している。ランナー部22は、各スロット12の中央付近(最内周側)にある開口部分を跨いでいる。
《成形金型》
(1)概要
ロータコア1のスロット12内へ希土類異方性ボンド磁石を射出成形する際に用いる成形金型Dを図1Aおよび図1B(両図を併せて「図1」という。)に示した。図1Aは型開きした状態を示し、図1Bは型閉じした状態を示す。
成形金型Dは、汎用されている縦型または横型の射出成形機等にセットして用いられる。このような射出成形機は、通常、ボンド磁石の原料であるバインダー樹脂と希土類異方性磁石粉末(粒子)を混練して製造したペレットを投入するホッパー、ホッパーから供給される原料を計量しつつ搬送するスクリュー、スクリューを収容するシリンダー、シリンダー内の原料を加熱溶融するヒーター、シリンダーの先端に取り付けられて成形金型Dの注入口に接続される射出ノズル、スクリューに背圧を印加して前進させ溶融した原料(流動混合物)を射出ノズルから噴出させるアクチュエーター等を備える。また、成形金型Dの開閉を行う型締機構(油圧アクチュエーター等)、射出成形後のインナーロータを取り出すための突出機構等も備える。なお、本発明の製造装置は、成形金型をセットした射出成形機と把握してもよいが、成形金型単体としても把握できる。以下では、本発明にとって重要な成形金型Dについて詳述する。
(2)成形金型
成形金型Dは、図1に示すように、いわゆる2プレート型であるが、具体的には、ベース金型5、配向金型6および射出金型7の3層構造からなる。
ベース金型5は、射出成形機の可動側に取付けられる取付部51と、取付部51上に配設された突出距離確保部52と、突出距離確保部52の中央内に進退可能に収容された突出部53とを備える。突出部53の一方側(図1の上方側)はロータコア1とほぼ同外径な円柱状からなり、その先端部(図1の上端面側)には、ロータコア1のシャフト穴に嵌挿される軸部531が突出して形成されている。従って、突出部53の先端側は、ロータコア1を保持できる段付き形状となっている。また、突出部53は突出距離確保部52により支持されつつ、その突き出し量が規制されている。
軸部531にロータコア1のシャフト穴を嵌挿すると、ロータコア1の他端面(下端面)は突出部53の先端側にある段付面に当接する。こうしてロータコア1は突出部53の先端側に高精度に保持される。なお、突出部53はオーステナイト系ステンレス鋼(非磁性材)からなる。また、突出部53の進退駆動は、図示しない射出成形機の突出機構(アクチュエーター等)によりなされる。
配向金型6は、ベース部61と、ベース部61の中央に軸方向上方に同軸状に設置された枠部62と、枠部62内に収容されて枠部62の各端面に当接している遮蔽プレート63、64と、枠部62に内接しており遮蔽プレート63、64により挟持された遮蔽リング65と、遮蔽プレート63、64および遮蔽リング65により収容された環状の配向磁場体66とを備える。なお、遮蔽プレート63、64および遮蔽リング65は、オーステナイト系ステンレス鋼(非磁性材)からなる。
配向磁場体66は、ロータコア1の各スロット12に対応して外周側に放射状に細長く突出した6つの配向ヨーク(図略)と、各配向ヨーク間を円弧状に架橋し、中央に滑らかに連続した内周面を有する円筒状の収容部(図略)と、各配向ヨークの周方向の対向側面に同極を対面させて配設された配向磁場源となる12個の永久磁石(図略)とからなる。
なお、配向磁場源には、電磁石を用いることもできるが、希土類焼結磁石等からなる永久磁石を用いることにより、配向磁場体66ひいては成形金型Dの小型化や簡素化が可能となる。これにより、種々の汎用射出成形機に本実施例に係る成形金型Dを組合わせて、ボンド磁石の射出成形が可能となる。
射出金型7は、環状のベース部71と、射出成形機の固定側に取付けられる取付部72と、ベース部71内に嵌挿される流路部73(流路金型)と、射出ノズルと金型の芯だしをするロケートリング74と、射出ノズルに接して流動混合物の漏れを抑止するノズルタッチ部7311とを備える。
流路部73は、略T字型をした環状をしており、上述したスプルー部21およびランナー部22にそれぞれ対応したスプルー部731とランナー部732と有する。スプルー部731の上流端側開口は射出ノズルの出口に当接する。ランナー部732は、スプルー部731の下流端側から均等に配置された6つの横方向へ延在する断面が略半円状の開溝となっている。
図1Bに示すように型閉じして射出成形される時、ロータコア1の上端面と下端面は、流路部73の下端面と突出部53の上端面(段付面)とによりそれぞれ挟持された状態となっている。ランナー部732の下端面とロータコア1の上端面が圧接されることにより、断面が略半円状の閉じた流路が形成されるが、ランナー部732の開溝とスロット12の開口とが重畳する領域のみが連通状態となる。なお、図1Bからもわかるように型閉じした状態では、ランナー部732の下端側中央に、突出部53の軸部531が僅かに突出した状態となる。この軸部531の先端部も、本実施例に係る流路の一部を構成すると考えてもよい。なお、流路部73も、突出部53と同様に、オーステナイト系ステンレス鋼(非磁性材)からなる。
本実施例に係る成形金型Dと汎用の射出成形機とを組合わせて、図1Bに示すように型閉じした状態で射出成形を行った後、図1Aに示すように型開きを行い、突出部53を進行させると、ボンド磁石がスロット12に充填されたIPMロータのインナーロータが得られる。なお、流路部73内に生じた固化物2は、回収され、粉砕処理等を施した後に再利用される。
1 ロータコア
12 スロット
5 ベース金型
6 配向金型
7 射出金型
73 流路部(流路金型)

Claims (2)

  1. ロータコアの軸周りに複数配設されており少なくとも一端側が開口しているスロットへ、加熱されて流動状態にあるバインダ樹脂と異方性磁石粒子との混合物である流動混合物を充填して、該流動混合物を固化させた異方性ボンド磁石からなる磁極を有する内包磁石型ロータを得るために用いる内包磁石型ロータの製造装置であって、
    射出ノズルから射出される前記流動混合物を前記軸方向に沿って上流側から下流側へ誘導する流路であるスプルーと該スプルーの下流側から横方向に分岐して該流動混合物を前記スロットのそれぞれへ誘導する複数の流路からなるランナーとを有し、該ランナーの下流側にある開口または開溝から該スロットの開口へ該流動混合物を直接充填できる流路金型を備えることを特徴とする内包磁石型ロータの製造装置。
  2. 前記流路金型は、非磁性材からなる請求項1に記載の内包磁石型ロータの製造装置。
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