JP2013143791A - 内包磁石型同期機およびその回転子 - Google Patents

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浩 松岡
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Masayuki Kato
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Abstract

【課題】高配向な希土類異方性ボンド磁石を内包した内包磁石型同期機の回転子を提供する。
【解決手段】本発明の内包磁石型同期機の回転子(1)は、軟磁性材からなり回転中心軸の周囲に均等配置された空隙からなる内包部(12)を有する本体(11)と、この内包部に設けられた永久磁石(M1)とを備える。この永久磁石の外周側端から本体の外周端に至る外周側領域は、軟磁性材よりも透磁率が低い低磁性部となっている。永久磁石は、配向磁場が有効に形成された内包部内で射出成形された希土類異方性ボンド磁石からなる。上記の低磁性部は、例えば、積層電磁鋼板の一部の組織をオーステナイト組織に改質してなる。この低磁性部を設けることにより、射出成形時の配向磁場が効果的に内包部へ分布するようになり、高配向な希土類異方性ボンド磁石をその内包部に効率的に形成できる。
【選択図】図1A

Description

本発明は、希土類異方性ボンド磁石を内包した内包磁石型同期機およびその回転子に関する。
電動機(発電機を含めて単に「モータ」という。)には種々のタイプがある。最近ではインバータ制御の発達と高磁気特性の希土類磁石の普及に伴い、省電力で高効率であり高トルクまたは高出力が望める同期機が着目されている。
同期機は、界磁用の永久磁石を回転子(ロータ)に有し、電機子巻線(コイル)を固定子(ステータ)に有するモータであって、その電機子巻線に多相交流(AC)を供給することにより固定子に回転磁界が生じて回転するACモータである。同期機は、永久磁石を回転子の表面に配設した表面磁石型モータ(SPM)と、永久磁石を回転子の内部に埋め込んだ埋込磁石型モータ(IPM)とに大別されるが、磁石の飛散防止を図れ信頼性が高いIPMが現在の主流となりつつある。
従来のIPMは、所定の寸法に切削、研磨等された焼結磁石をロータに設けたスロットへ挿入して構成していた。ところが、着磁した強力な希土類焼結磁石をスロットに挿入する際に、その磁石に欠損等が生じ易い。そこで下記の特許文献1では、希土類磁石粉末と樹脂からなる溶融ストランドをロータのスロットへ磁場中で射出充填し、冷却固化させて、後着磁した希土類ボンド磁石を、従来の焼結磁石に置換することを提案している。
特開平11−206075号公報 特許4626683号公報
もっとも特許文献1は、単に、IPMの希土類焼結磁石を希土類ボンド磁石に置換することを提案しているに留まり、希土類ボンド磁石の磁場中射出成形に適したロータやスロットの構成等に関して何ら触れていない。
また特許文献2では、鉄心であるロータの一部に非磁性部を設けることが従来から提案されている。これにより、漏れ磁束が低減され、モータ出力に寄与する有効磁束(鎖交磁束)が増加し得る。もっとも、このような低磁性部は、モータ運転時のロータとステータの間に形成される磁気回路に着目して配設されているに過ぎず、後述するような希土類異方性ボンド磁石の射出成形時の配向磁場とは直接関係ない。
ちなみに、希土類異方性ボンド磁石を構成する希土類異方性磁石粒子は、組成によらず、一般的に多用されているフェラト磁石粒子と比較して、磁束密度のみならず保磁力が遥かに高いため、射出成形時の配向にフェライト磁石粒子より高い配向磁場が必要である。従って高性能なIPMを効率的に生産するためには、希土類異方性ボンド磁石の射出成形時に印加する配向磁場を、そのボンド磁石が収まるロータコアのスロットへ如何に有効に作用させるかが重要となる。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、効率的に配向させた希土類異方性ボンド磁石を回転子内に内包する内包磁石型同期機およびその回転子を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、ロータコアの特定域を非磁性とすることにより、射出成形時の配向磁場により生じるロータコア内の磁束密度分布を制御することを思いついた。そして、ロータコアのスロット内の磁束密度を効率的に高め、従来よりも高配向な希土類異方性ボンド磁石を内包したロータを得ることに成功した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《内包磁石型同期機の回転子》
(1)本発明の内包磁石型同期機の回転子は、軟磁性材からなり回転中心軸の周囲に(均等に)配置された空隙からなる内包部を有する本体と、該内包部に設けられた永久磁石と、を備える内包磁石型同期機の回転子であって、少なくとも前記永久磁石の外周側端から前記本体の外周端まで延在する外周側領域に、前記軟磁性材よりも透磁率が低い低磁性部を有し、該永久磁石は、配向磁場が印加された該内包部内で射出成形された希土類異方性ボンド磁石からなることを特徴とする。
(2)本発明の回転子は、効率的に配向させた永久磁石(希土類異方性ボンド磁石)を有し、内包磁石型同期機の高性能化に寄与する。この理由は次のように考えられる。先ず本発明の回転子では、内包部に収納される永久磁石の外周側端から延在して本体(ロータコア)の外周端に至る外周側領域が、軟磁性材よりも透磁率の低い低磁性部となっている。このような外周側領域を伴う内包部(スロット)へ射出成形時に配向磁場が印加されると、配向磁場は透磁率の低い外周側領域に集中することがなくなり、希土類異方性磁石粉末の配向に寄与しない漏れ磁束が大幅に低減される。
逆にいうと、射出成形時に外部から回転子へ印加した配向磁場は、回転子の内包部内に高密度に分布するようになり、希土類異方性磁石粉末の配向に寄与する有効磁束が大幅に増加する。従って本発明に係る希土類異方性ボンド磁石は、効率的に配向磁場が作用した状態で射出成形されたものとなり高配向となる。また、印加する配向磁場の大きさにも依るが、その希土類異方性ボンド磁石は外部から高い磁場が印加された状態で成形されたものとなるため、射出成形の終了後から高い磁束密度を発揮し、射出成形後の着磁(後着磁)も不要となり得る。これは、難配向性磁石粉末である希土類異方性磁石粉末(例えばNd−Fe−B系磁石粉末等)からなる希土類異方性ボンド磁石の場合に有効である。
なお当然ながら、本発明では、回転子に内包される永久磁石がボンド磁石であるため、焼結磁石を埋込む場合と比較して、多くの利点を有する。例えば、希少で高価な希土類の使用量を抑制できる。また焼結磁石を用いる場合、スロットに収納するために切削や研磨等の加工が必要となるが、ボンド磁石を用いる場合、そのような加工は不要である。加えて加工屑も生じないので、希少で高価な希土類を無駄にすることもない。
さらに焼結磁石を用いる場合、スロットへ挿入する際に欠損等を生じたり、スロットとの間に隙間を生じたり、スロット内に固定する接着剤が必要になったりする。しかし、スロット内に一体成形されるボンド磁石なら、自ずとスロット内に強固に密着固定されるため、焼結磁石のような欠点がない。
さらに、同期機の運転時、焼結磁石には大きな鉄損(渦電流損とヒステリシス損)が生じ得るが、ボンド磁石は各磁石粒子が絶縁体であるバインダ樹脂で絶縁された状態となっているため、生じる鉄損は非常に小さい。従ってボンド磁石を内包した回転子からなる同期機は効率的である。またボンド磁石は、各磁石粒子がバインダ樹脂で被覆された状態となっているため、表面処理等を行うまでもなく高い耐酸化性を有する。
《内包磁石型同期機》
(1)本発明は上述した回転子としてのみならず、その回転子を用いた内包磁石型同期機としても把握できる。すなわち本発明は、上述した回転子と、該回転子の外周囲に(均等に)配設されたコイルと該コイルの外周側で磁気回路を構成するヨークとを有する固定子と、を備えることを特徴とする内包磁石型同期機でもよい。なお、適宜、ヨークはコイル内にあるティースを含む。
(2)同期機は、基本的に、回転子に設けた永久磁石により形成される磁極と固定子により回転子の外周囲に形成される回転磁界とで生じる吸引力および反発力に基づいて回転力(マグネットトルク)を生じる。もっとも、表面磁石型同期機と異なり埋込磁石型(内包磁石型)同期機の場合、磁極に生じるインダクタンス(Ld)と磁極間に生じるインダクタンス(Lq)との間に差を生じ易いため、吸引力に基づくリラクタンストルクも回転子に生じることが多い。特にLd<Lqとなる場合、リラクタンストルクとマグネットトルクは同方向となり、出力トルクが増大し得る。
そこで本発明に係る回転子も、回転子中における永久磁石(内包部)の形状や配置等を調整して、例えば、永久磁石により形成される隣接する磁極間に、この磁極により生じるマグネットトルクと同一方向に作用するリラクタンストルクを生じさせる突極を有するものであると好適である。
《内包磁石型同期機の回転子の製造方法》
さらに本発明は、上述した内包磁石型同期機やその回転子としてのみならず、その回転子の製造方法としても把握できる。すなわち本発明は、軟磁性材からなり回転中心軸の周囲に(均等に)配置された空隙からなる内包部を有する本体と該内包部に設けられた永久磁石とを備える内包磁石型同期機の回転子の製造方法であって、外周側端から前記本体の外周端まで延在する外周側領域に前記軟磁性材よりも透磁率の低い低磁性部を有する前記内包部へ、溶融したバインダ樹脂中に希土類異方性磁石粉末を分散させた溶融混合物を配向磁場中で射出充填して、前記永久磁石となる希土類異方性ボンド磁石を成形する射出成形工程を備えることを特徴とする内包磁石型同期機の回転子の製造方法としても把握できる。
《その他》
(1)本発明の内包磁石型同期機には電動機のみならず発電機も含まれ、本明細書でいう電動機(モータ)も特に断らない限り、発電機(ジェネレータ)を含む。また本発明の内包磁石型同期機には、固定子に設けたコイル(電機子巻線)へ供給する交流電流の周波数に同期して回転数が変化する本来的な同期機の他、ホール素子、ロータリエンコーダ、レゾルバ等の検出手段により検出された回転子の位置に基づいて固定子側に回転磁界を生じさせるブラシレス直流(DC)モータも含まれる。ちなみに、ブラシレスDCモータは、インバータに供給する直流電圧を変化させて回転数を変化させ得るので、通常の直流モータと同様に制御性に優れる。
(2)本明細書では、対象物または対象部を相対的に観て、本体の回転中心に近い側を「内周側」といい、逆にその回転中心から遠い側を「外周側」という。また、対象物または対象部のうちで、その回転中心に最も近い部位を「内周端」といい、逆にある方向に関してその回転中心に最も遠い部位を「外周端」という。例えば、本体(対象物)の場合、その外周形状が完全な円形状ならば、いずれの方向から観てもその円弧部分が「外周端」となる。しかし、その外周形状が凹凸形状をしていれば、「外周端」は観る方向により異なり、凸部の頂部の外周側が「外周端」となることもあれば凹部の底部の外周側が「外周端」となることもある。なお、このような「外周端」のうちで、回転中心から最も遠い位置にあるものを「最外周端」という。
さらに「内周端側」とは、上記の「内周端」の内周側を意味する。「外周端側」とは、上記の「外周端」の外周側を意味する。なお、本明細書でいう「端」の形状は線状でも面状でもよく、「端部」はその「端」の近傍という意味である。
(3)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を、新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
本発明の第一実施例である同期モータの要部断面図である。 そのロータコアを構成する電磁鋼板の平面図である。 そのロータへ印加される配向磁場の様子を示す磁束密度分布図である。 その磁束密度分布図の要部拡大図である。 改質部のないロータへ印加される配向磁場の様子を示す磁束密度分布図である。 その磁束密度分布図の要部拡大図である。 本発明の第二実施例に係るロータの平面図である。 本発明の第三実施例に係るロータの平面図である。 本発明の第四実施例に係るロータの平面図である。 本発明の第五実施例に係るロータの平面図である。 ロータコアの架橋部の変形例とその架橋部に設けた改質部を示す部分拡大図である。 その改質部の変形例を示す部分拡大図である。 その改質部の他の変形例を示す部分拡大図である。 その改質部のさらに別の変形例を示す部分拡大図である。
本明細書で説明する内容は、本発明の内包磁石型同期機(以下単に「同期機」ともいう。)のみならず、それに用いられる回転子等にも該当し得る。製造方法に関する事項も、プロダクトバイプロセスとして理解すれば物に関する構成要素となり得る。そして本明細書中に記載した事項から任意に選択した一つまたは二つ以上を上述した本発明の構成要素に付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《内包磁石型同期機の回転子》
(1)本体
回転子の本体は、軟磁性材からなり、通常、両面を絶縁被覆した電磁鋼板の積層体や絶縁被覆された金属粒子を加圧成形した圧粉磁心等からなる。軟磁性材は、その材質を問わないが、例えば、純鉄、ケイ素鋼、合金鋼等の鉄系材であると好ましい。
(2)内包部
回転子の内包部は、上記本体中に設けられ、永久磁石を配設するための空隙からなる。内包部は、磁極となる永久磁石を内包するため、少なくとも2以上あり、通常、これらは本体の回転中心軸周りに均等に配置される。
内包部の形状は問わず、同期機の仕様等に応じて適宜調整される。例えば、内包部は、中心から半径方向へ直線状に延在する放射型内包部でも良いし、内周側に凸な形状をした凸型内包部でも良い。凸型内包部は、滑らかな曲線形状からなると、内包部全体に高い配向磁場を均一的に作用させることができて好ましい。例えば、内周側へ緩やかに湾曲した湾曲内包部(U字型内包部、V字型内包部、J字型内包部等を含む)が好ましい。また同様な観点から、内包部は均一的な溝幅からなると好ましい。逆にいうと、印加した配向磁場が局所的に集中し易い急激な形状変化や寸法変化がないほど好ましい。
さらに内包部は、半径方向に複数ある多層型内包部でもよい。多層型内包部にすると、リラクタンストルクの増大を図れる。多層型内包部の層数は問わないが、2層または3層が同期機の特性と生産性の両立を図る上で好ましい。
本発明では、永久磁石が射出成形された希土類異方性ボンド磁石(単に「ボンド磁石」ともいう。)からなるため、内包部がどのような形状であっても、永久磁石は内包部の形状に基本的に沿ったものとなる。但し、内包部にスペーサー等を介在させて射出成形することも可能なため、内包部の形状と永久磁石の形状が一致しないこともある。また後述するように、内包部の長手方向両端部を空隙からなる低磁性部(特に補完部)とする場合、永久磁石と内包部の形状が合致しないこともある。
(3)低磁性部
低磁性部は、本体を構成する軟磁性材よりも透磁率が低い限り、その具体的な透磁率を問わない。例えば、空隙部(空気等を含む部分)、その空隙部に低透磁率(適宜「非磁性」という。)な樹脂等を充填した充填部、回転子本体を構成する軟磁性材を部分的に改質した改質部、その軟磁性材を部分的に非磁性材で置換した置換部等により低磁性部は構成される。
ここで軟磁性材の改質は、例えば、強磁性を有するフェライト組織やマルテンサイト組織を、非磁性なオーステナイト組織に変化させることにより行える。このような改質は、例えば、NiやCr等を含む改質材(オーステナイト安定化元素)を、鉄系軟磁性材へ部分的に溶解、固溶、拡散等させることにより行える。
また強磁性なマルテンサイト系ステンレス鋼や冷間加工した準安定オーステナイト系ステンレス鋼等を、局部的に加熱して非磁性なオーステナイト組織へ変態させることにより改質してもよい。なお、局部的な加熱は、レーザや電子ビーム等の照射や高周波誘導加熱等により行うことができる。
ところで本発明に係る低磁性部は、ボンド磁石が射出成形される部分(内包部の全部または一部)へ、高い配向磁場が均一的に誘導されるように、外周側領域に設けられていれば足る。従って外周側領域の全体が低磁性部である必要はなく、その一部だけが低磁性部でもよい。
もっとも低磁性部は、永久磁石(ボンド磁石)の外周側端から本体の外周端まで連続していると好ましい。これにより本体の外部から印加された配向磁場が、ボンド磁石の配向に寄与せず、外周側領域の特定部分(例えば後述の架橋部)に集中して短絡的に通過することが抑止される。
また低磁性部は、全体が同質的または均質的である必要はなく、前述した空隙部、充填部、改質部等を適宜組み合わせたものでもよい。例えば、本体が外周側領域内に周方向へ延在する軟磁性材からなる架橋部(本体の一部)とその架橋部の内周側に空隙部を有する場合を考える。この架橋部の少なくとも一部に改質部を設けることにより、本発明に係る低磁性部は、その改質部と架橋部の内周側に形成された空隙部とにより構成されることになる。
なお、本明細書では、上述したような架橋部の内周側に形成される空隙部やその空隙部に非磁性材等が充填されてなる充填部を補完部という。上述したように補完部も本発明に係る低磁性部の一部を構成し得る。この補完部により、架橋部の内周端側に生じる配向磁場のゆがみが吸収され、補完部の内周側(すなわち前述した溶融混合物が射出充填される部位)に目標方向へ整列した配向磁場を形成させることができる。これによりボンド磁石の外周端部の配向度の低下を抑制できる。また補完部により、射出成形時の配向磁場がボンド磁石の外周端部で短絡的に集中することなどが抑止される。
また補完部は、同期機の作動時の有効磁束(鎖交磁束)も増加させ得る。
さらに架橋部に設ける改質部は、架橋部を半径方向(内包部が外周側へ延在する方向)へ貫くように設けられるか、配向磁場の磁束が集中しない程度に架橋部が高磁気抵抗となるように設けられると好ましい。この架橋部は本体の最外周端部に設けられても、それより内周側に設けられてもよい。いずれの場合でも、架橋部を半径方向に貫く改質部を設けることにより、前述したようにボンド磁石の外周側端から本体の外周端まで連続した低磁性部が容易に形成され得る。
なお、架橋部を本体の最外周端よりも内周側に設けた場合、架橋部の最外周端は本体の想定最外径に対して少し凹んだ底位置となる。このように架橋部を配置すると、架橋部を改質した際にその外周端面に膨らみや歪み等が生じても、回転子の最外径に影響が及ばず、好都合である。
低磁性部は、外周側領域に限らず、ボンド磁石の射出成形部分へ配向磁場を効果的に誘導できる他の領域に併設してもよい。例えば、本体の強度等を確保するために、前述した湾曲内包部の外周側と内周側を連結する連結部を設ける場合、その連結部を軟磁性材よりも透磁率が低い低磁性部(低磁性連結部)としてもよい。
《希土類異方性ボンド磁石》
(1)原料
希土類異方性ボンド磁石は、基本的に希土類異方性磁石粉末とバインダ樹脂からなる。希土類異方性磁石粉末は、その種類等が特に限定されず、例えば、Nd−Fe−B系磁石粉末、Sm−Fe−N系磁石粉末、Sm−Co系磁石粉末等である。これら希土類異方性磁石粉末は、一種のみならず複数種からなってもよい。ちなみに複数種の磁石粉末は、成分組成が異なるものに限らず、粒径分布が異なるものでもよい。例えば、Nd−Fe−B系磁石粉末の粗粉と微粉を組み合わせたものでも、Nd−Fe−B系磁石粉末の粗粉とSm−Fe−N系磁石粉末の微粉を組み合わせたものでもよい。このような希土類異方性磁石粉末を用いることにより、ボンド磁石内の磁石粉末の充填率を向上させることができ、高磁束密度を発揮するボンド磁石が得られる。さらに、各種の等方性磁石粉末やフェライト磁石粉末等を希土類異方性磁石粉末中に混在させてもよい。
バインダ樹脂には、ゴムを含む公知の材料を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、メチルペンテン、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂を用いると好ましい。またエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ジリアルフタレート樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂も適宜用いることができる。
(2)射出成形
本発明に係る希土類異方性ボンド磁石は、上記原料からなるペレット等を加熱溶融させた溶融混合物を、配向磁場を印加した内包部へ射出充填した後、冷却固化して成形される。射出成形の各条件は、原料の特性、充填量、内包部の冷却性等を考慮して適宜調整される。例えば、射出成形時の加熱温度(溶融混合物の温度)は、希土類異方性磁石粉末のキュリー点未満が好ましい。
また配向磁場は、溶融混合物の固化前に印加されている必要があるが、その開始は射出成形の当初からでも、射出成形の途中からでもよい。例えば、配向磁場源に永久磁石を用いる場合は射出成形の当初からとし、電磁石を用いる場合は射出成形の途中からとしてもよい。配向磁場の印加形態(回転子内に形成させる磁束密度の分布)は、内包部の形状ひいては同期機の仕様に応じて適宜調整される。
《内包磁石型同期機の用途》
本発明の内包磁石型同期機は、その用途を問わないが、例えば、電気自動車、ハイブリッド車若しくは鉄道車両等に用いられる車両駆動用モータ、エアコン、冷蔵庫若しくは洗濯機等に用いられる家電製品用モータなどに好適である。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《内包磁石型同期機:第一実施例》
本発明の内包磁石型同期機に係る一実施例である同期モータSM1のステータSおよびロータ1の断面図を図1Aに示した。図1Aに示した同期モータSM1は、6極18スロットタイプである。この同期モータSM1は自動車駆動用モータや家電製品用モータ等として用いられる。以下、ステータSおよびロータ1について詳しく説明する。
(1)ステータ
ステータSは、積層電磁鋼板からなり、環状のヨークSaと、ヨークSaから中心方向に向けて均等に突出したティースSbと、隣接するティースSb間に形成されたスロットScからなる。各スロットScには、ティースSbの周囲に分布巻きされた電磁コイル(図略)が収納される。各電磁コイルへインバータ制御された三相交流が供給されることにより、その周波数と極数に応じた同期速度の回転磁界がステータSに発生する。
(2)ロータ
ロータ1は、図1Bに示すように、中心穴191とその中心まわりに6つ均等に配置され内周側に湾曲した形状(凸な形状)で貫通した等幅な長溝121とを有する円板状の電磁鋼板111(軟磁性材)が積層されてなる。この電磁鋼板111が積層されることにより、回転中心軸方向(図1Aの紙面に垂直な方向)へ延びる略円筒状のロータコア11(本体)が形成され、長溝121は後述する永久磁石M1が射出成形される同方向へ延びる貫通したスロット12(内包部)となり、中心穴191は同期モータSM1のシャフト(図略)が嵌入される同方向へ延びるシャフト穴19となる。
スロット12の外周側端部は、軟磁性材(積層電磁鋼板)からなるロータコア11の外周端部(架橋部)を、非磁性なオーステナイト組織へ改質した改質部141(低磁性部)となっている。この改質処理は、処理対象部分であるロータコア11の外周端部にNi−Crワイヤーを配置し、そこへ炭酸ガスレーザーを照射して、部分的な溶融を生じさせることにより行った(日本公開特許公報:特開平6−79483参照)。
この改質部141を両端の外周側に有するスロット12内に、磁場中射出成形により希土類異方性ボンド磁石からなる永久磁石M1を形成した。具体的には、先ず、ロータコア11を磁場中射出充填装置(図略)にセットし、隣接するスロット12間で極性が交互に異なる配向磁場(図2Aおよび図2B参照)を、各スロット12へ向けて印加する。
これらスロット12へ、Nd−Fe−B系異方性磁石粉末、Sm−Fe−N系磁石粉末およびポリフェニレンサルファイド樹脂(バインダ樹脂)からなるペレットを、加熱溶融してなる溶融混合物を射出充填する。この後、磁場中射出充填装置の金型内で冷却されることによりスロット12内の溶融混合物が固化し、スロット12内に一体成形された永久磁石M1が形成された。こうして、内周側に湾曲した永久磁石M1を環状均等に内包したロータ1が得られた。
なお本実施例では、溶融混合物の充填開始時から充填終了時まで、スロット12へ配向磁場を印加した。この際、配向磁場:0.7T、溶融混合物の温度:300℃、射出圧力:80MPa、射出速度:80mm/secとした。
これにより永久磁石M1中の磁石粒子は、磁場中射出成形時に配向するのみならず、同時に着磁もされ、永久磁石M1は既に高磁束密度を発揮する状態となっていた。このため本実施例では別途、後着磁を行う必要がなかった。
(3)モータ
永久磁石M1を内包したロータ1のシャフト穴19に、シャフト(図略)を嵌入して取り付ける。このロータ1をステータS内に回動自在に配設する。この際、ロータ1の外周端面とティースSbの内端面との間に形成されるギャップが一定となるようにした。こうして同期モータSM1が得られた。この同期モータSM1をインバータ制御された電源に接続し、ステータSに回転磁界を発生させると、それに同期してロータ1が回転するようになる。
なお、同期モータSM1では、永久磁石M1の中央を通るd軸方向のインダクタンスLd1よりも、そのd軸方向からπ/2(電気角)ずれたq軸方向のインダクタンスLq1が大きくなる。このため同期モータSM1には、永久磁石M1によるマグネットトルクTm1のみならず、インダクタンス差(Lq1−Ld1)に基づくリラクタンストルクTr1もマグネットトルクTm1と同方向へ発生する。従って同期モータSM1は、より大きな出力トルクを発揮する。なお、以降の実施例でもd軸およびq軸の定義は同様とする。
(4)低磁性部
ところで、スロット12へ溶融混合物を射出充填する際、スロット12の両内端側には非磁性材(樹脂等)からなるスペーサーを介在させた。このため、スロット12に形成された永久磁石M1の両端側(永久磁石M1の外周側端M1aと改質部141の内周側端141aの間)には、空隙部からなる補完部142が形成された。
この補完部142は、上述した改質部141と同様に、ロータコア11よりも透磁率が桁違いに小さい部分である。従って、補完部142も改質部141と同様に本発明の低磁性部を構成し得る。そこで改質部141と補完部142を合わせて、適宜、低磁性部14という。
低磁性部14を有するロータコア11中における射出成形時の配向磁場の分布(磁束密度分布)をシミュレーションした。その結果を図2Aに磁力線で示した。そのスロット12(特に低磁性部14)の周辺(図2Aに示した□部分)を、拡大した図を図2Bに示した。この際、配向磁場は、磁場中射出充填装置に設けた永久磁石DaからヨークDbを介して、スロット12に向けて供給されることとした。なお、適宜、永久磁石DaおよびヨークDbを合わせて配向磁場源Dという。
また、ロータコア11に改質部141を設けなかったロータコア11’についても同様なシミュレーションを行い、その結果を図3Aおよび図3Bに示した。
両シミュレーション結果から明らかなように、改質部141を設けることにより、スロット12を通らずにロータコア11の外周端部(架橋部)を短絡的に通過する漏洩磁束が大きく低減している。逆にいうと、スロット12を通過する配向磁場が全体的に増加した。一例を挙げると、配向磁場源Dからの磁場供給により、スロット12における磁場は、ロータコア11’では0.5Tであったが、ロータコア11では0.7Tとなった。
従って、前述したとおり、スロット12の両端部に補完部142を設けるだけでも有効であるが、改質部141も設けることにより、永久磁石M1が射出成形されるスロット12に配向磁場がより効果的に形成されることがわかった。
《第二実施例》
本発明の内包磁石型同期機の回転子に係る他の実施例であるロータ2を図4に示した。ロータ2は、ロータ1のスロット12および永久磁石M1をそれぞれ半径方向の2層に分割した第一スロット22および第二スロット23と、第一永久磁石M21および第二永久磁石M22をロータコア21中に有する。ロータ2でも、Nd−Fe−B系異方性磁石粉末の使用量はロータ1の場合と同様とした。従って、ロータ2に形成される第一スロット22および第二スロット23は、それぞれ半径方向の厚さがロータ1のスロット12の約半分程度となっている。同様に、第一スロット22および第二スロット23へ、磁場中で射出されて一体成形された第一永久磁石M21および第二永久磁石M22も、それぞれ半径方向の厚さがロータ1の永久磁石M1の約半分程度となっている。
第一スロット22および第二スロット23の外周側には、ロータ1の改質部141および補完部142と同様に、改質部241および補完部242(両者を合わせて低磁性部24という。)と、改質部251および補完部252(両者を合わせて低磁性部25という。)を形成した。このため、低磁性部24、25により各スロット22、23に配向磁場が効果的に印加される点はロータ1の場合と同様である。
このロータ2のシャフト穴29に、シャフト(図略)を嵌入して取り付け、ステータS内に回動自在に配設することにより、同期モータSM2(図略)が得られる。この同期モータSM2は、同期モータSM1と異なり、第一スロット22と第二スロット23の間に軟磁性材(積層電磁鋼板)からなる磁路217を有する。このため、本実施例のq軸方向のインダクタンスLq2は、前述したインダクタンスLq1よりも大きくなる。一方、第一永久磁石M21および第二永久磁石M22の磁石量は永久磁石M1とほぼ同じであるため、インダクタンスLd2はインダクタンスLd1と大差ない。この結果、同期モータSM2は同期モータSM1よりも大きなリラクタンストルクを発生し得る。
なお、第一永久磁石M21および第二永久磁石M22の合計量を永久磁石M1と同等としたが、その合計量を永久磁石M1よりも多くすれば、同期モータSM2は同期モータSM1よりも大きなマグネットトルクも発生し得る。
《第三実施例》
本発明の内包磁石型同期機の回転子に係る他の実施例であるロータ3を図5に示した。ロータ3は、ロータ1のスロット12および永久磁石M1を、内周側へより大きく突出させた緩やかな略V字状のスロット32および永久磁石M3をロータコア31に有する。スロット32の外周側端部(ロータコア31の外周端部/架橋部)には、改質部114と同様な改質部34のみが形成されている。改質部34(低磁性部)により各スロット32に配向磁場が効率的に印加される点は、ロータ1の場合と同様である。
このロータ3のシャフト穴39にシャフト(図略)を嵌入して取り付けると、同期モータSM3(図略)が得られ、ステータSに回転磁界を発生させると、それに同期してロータ3が回転するようになる。
本実施例の同期モータSM3では、永久磁石M3が中心方向へ深く入り込んでいるため、q軸方向のインダクタンスLq3は、インダクタンスLq1等よりも小さくなる。一方、永久磁石M3の半径方向の幅は永久磁石M1とほぼ同じなため、インダクタンスLd3はインダクタンスLd1等と大差ない。このため同期モータSM3に生じるリラクタンストルクTr3は、同期モータSM1のリラクタンストルクTr1よりも小さくなる。但し、永久磁石M3の磁石表面積は永久磁石M1よりも大きいため、同期モータSM3のマグネットトルクTm3は同期モータSM1のマグネットトルクTm1よりも大きくなる。
《第四実施例》
本発明の内包磁石型同期機の回転子に係る他の実施例であるロータ4を図6に示した。ロータ4は、ロータ3のスロット32および永久磁石M3を、それぞれ半径に対して対称な2つに分割した第一スロット42および第二スロット43と、第一永久磁石M41および第二永久磁石M42をロータコア41内に有する。
第一スロット42および第二スロット43の外周側端部(架橋部)には、それぞれ改質部44および改質部45が形成されている。これら改質部44、45により、スロット42、43に配向磁場が効果的に印加される点はロータ3の場合と同様である。
第一スロット42と第二スロット43の内周側挟間にある連結部47は、スロット42、43により分断されたロータコア47の内周側と外周側を連結する機能を果たす。この連結部47を設けることにより、ロータコア47ひいてはロータ4の強度(特に半径方向の強度)は大幅に向上し得る。
連結部47が軟磁性材からなると、射出成形時の配向磁場がその連結部47を通じて漏洩し得る。このためスロット42、43の内周端側近傍の磁束密度は低下し得る。しかし、連結部47はロータコア47の内周側深くにあり、その幅も細いため、その配向磁場の低下はさほど大きくはない。その配向磁場の低下が問題になる場合は、その連結部47を改質等して非磁性化すればよい。これにより連結部47における漏洩磁束が著しく低減され、各スロット42、43全体に配向磁場を効果的に印加できる。このように本実施例によれば、スロット42、43に印加される配向磁場の低下を抑えつつ、ロータコア47の強度を大幅に向上させることできる。
《第五実施例》
本発明の内包磁石型同期機の回転子に係る他の実施例であるロータ5を図7に示した。ロータ5は、放射状に配置された6つの直線状のスロット52と、それらスロット52に射出成形により一体成形された永久磁石M5をロータコア51内に有する。
ロータコア51の外周端部には改質部54が形成されている。さらに、ロータコア51の内周端部にも、非磁性改質された環状の改質部57が形成されている。この改質部57はシャフト穴59を囲繞するように形成されており、各スロット52の内周側端部が改質部57に接続されている。改質部54、57により、スロット52に配向磁場が効果的に印加される点は他の実施例の場合と同様である。
なお、改質部57に係る部分は、非磁性なオーステナイト系ステンレス鋼等からなる低磁性部材で置換してもよい。この際、改質部57に相当する部分を、低磁性部材からなる別部材で置換してもよいし、少なくともその該当部分に低磁性部材を有するシャフトをロータコア51へ嵌入してもよい。
シャフト穴59にシャフト(図略)を嵌入して取り付けたロータ5を、ステータS内に回動自在に配設すると、同期モータSM5(図略)が得られる。この同期モータSM5は、d軸方向のインダクタンスLd5とq軸方向のインダクタンスLq5との差が小さいため、同期モータSM5に生じるリラクタンストルクは、他の実施例の場合よりも非常に小さい。
このようにリラクタンストルクが小さい同期モータSM3、同期モータSM4や同期モータSM5は、比較的低い回転数で使用され、コギングトルクやトルクリップルが小さいことが要求される電動パワーステアリング(EPS)等のモータに好適である。
《第六実施例》
第1実施例に係るロータコア11および低磁性部14(特に改質部141)を変更した種々の実施例を図8A〜図8Dに示した。各図には永久磁石M1と同形態の永久磁石M6の外周側領域Eおよびその近傍を拡大して示した。なお、各図間で共通する部分には同じ符号を付した。
(1)図8Aに示したロータコア61は、図1Aに示した改質部141が形成されたロータコア11の最外周端を、少し内周側(ロータコア61の円周方向に延長させた仮想外周端lよりも内周側)へ移動させた架橋部640とその内周側にできた空隙部642を有する。図8Aには架橋部640の一部を周方向に均一的に非磁性改質した改質部641を示した。
架橋部640全体を非磁性改質してもよいが、そうしなくても、図8Aに示すように非磁性改質しなかった残部の幅を狭小にすれば、その部分の磁気抵抗を大きくできる。そうすれば、配向磁場の磁束が架橋部640に集中することを回避でき、永久磁石M6へ高配向磁場を効果的に誘導できる。
(2)図8Bには、ロータコア61の架橋部640の略中央を、半径方向(永久磁石M6が外周側へ延在する方向)へ貫くように非磁性改質した改質部741を示した。この場合、空隙部642および改質部741により、永久磁石M6の外周端M6aから架橋部640の外周端640aに至る範囲(外周側領域D)内に、連続した低磁性部74が形成される。これにより、架橋部640を周方向から挟むロータコア61の両側は、その連続した低磁性部74により実質的に遮断された状態となる。こうして永久磁石M6へ高配向磁場をより効果的に誘導できるようになる。
(3)図8Cには、ロータコア61の架橋部640の略中央に三角形状の改質部841を設けた場合を示した。この改質部841は、その頂点部分が架橋部640の内周端に到達していない。このため、非磁性改質されていない軟磁性材からなる部分が、架橋部640の内周端側で周方向に連続して残っている。もっともこの場合も図8Aに示した場合と同様に、改質部841の頂点近傍では磁気抵抗が大きくなる。このため、配向磁場の磁束が架橋部640に集中することはなく、高配向磁場が永久磁石M6へ効果的に誘導される。
(4)図8Dには、ロータコア61の架橋部640に三角形状の改質部941、942を周方向に並設した場合を示した。改質部941、942の場合も、それらの頂点部分が架橋部640の内周端に到達していないため、非磁性改質されていない軟磁性材からなる部分が、架橋部640の内周端側で周方向に連続して残る。
しかし、この場合、図8Cに示した場合よりも架橋部640の周方向における磁気抵抗がより大きくなる。従って図8Dの場合の方が、図8Cの場合よりも、配向磁場の磁束が架橋部640により集中し難くなり、高配向磁場が永久磁石M6へより効果的に誘導される。
ちなみに、架橋部640中の軟磁性材からなる部分の幅(半径方向)を小さくすることにより、架橋部640の周方向の磁気抵抗を大きくでき、そこに配向磁場の磁束が集中しないようにできる。もっとも、ロータコア61の強度を向上させるために、架橋部640には適当な幅を確保する必要がある。そこで、ロータコア61の強度と架橋部640の磁束密度分布を考慮して、架橋部640の幅、改質部641、741、841、941、942の形状や大きさなどは適宜決定されるとよい。
SM1 同期モータ(内包磁石型同期機)
S ステータ
M1 永久磁石(希土類異方性ボンド磁石)
1 ロータ
11 ロータコア(本体)
12 スロット(内包部)
14 低磁性部
141 改質部
142 補完部

Claims (10)

  1. 軟磁性材からなり回転中心軸の周囲に配置された空隙からなる内包部を有する本体と、
    該内包部に設けられた永久磁石と、
    を備える内包磁石型同期機の回転子であって、
    少なくとも前記永久磁石の外周側端から前記本体の外周端まで延在する外周側領域に、前記軟磁性材よりも透磁率が低い低磁性部を有し、
    該永久磁石は、配向磁場が印加された該内包部内で射出成形された希土類異方性ボンド磁石からなることを特徴とする内包磁石型同期機の回転子。
  2. 前記低磁性部は、前記永久磁石の外周側端から前記本体の外周端まで連続している請求項1に記載の内包磁石型同期機の回転子。
  3. 前記低磁性部の少なくとも一部は、前記外周側領域内で前記本体の周方向に延在する架橋部を少なくとも部分的に改質した改質部である請求項1または2に記載の内包磁石型同期機の回転子。
  4. 前記改質部は、前記本体の最外周端よりも内周側にある請求項3に記載の内包磁石型同期機の回転子。
  5. 前記低磁性部の少なくとも一部は、前記外周側領域内で前記架橋部の内周側に形成された空隙部または該空隙部に前記軟磁性材よりも透磁率の低い低磁性材が充填された充填部からなる補完部を有する請求項3または4に記載の内包磁石型同期機の回転子。
  6. 前記内包部は、内周側に湾曲した湾曲内包部である請求項1〜5のいずれかに記載の内包磁石型同期機の回転子。
  7. 前記本体は、前記湾曲内包部の内周側と外周側を連結する連結部を有する請求項6に記載の内包磁石型同期機の回転子。
  8. 前記連結部は、前記軟磁性材よりも透磁率が低い低磁性連結部である請求項7に記載の内包磁石型同期機の回転子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の回転子と、
    該回転子の外周囲に配設されたコイルと該コイルの外周側で磁気回路を構成するヨークとを有する固定子と、
    を備えることを特徴とする内包磁石型同期機。
  10. 前記回転子は、前記永久磁石により形成された隣接する磁極間に、該磁極により生じるマグネットトルクと同一方向に作用するリラクタンストルクを生じさせる突極を有する請求項9に記載の内包磁石型同期機。
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