JP2017032006A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 平行軸歯車減速機に対する車輪用軸受の組み付け性を向上させると共に、車輪用軸受での予圧管理を可能とする。【解決手段】 モータ部Aと、平行軸歯車減速機38で構成された減速機部Bと、車輪用軸受43で構成された車輪用軸受部Cとを備えたインホイールモータ駆動装置21であって、平行軸歯車減速機38は、車輪用軸受43に駆動力を伝達する第4歯車33を有し、車輪用軸受43は、内周面に複列の外側軌道面が形成された外輪46と、外周面に外側軌道面と対向する内側軌道面が形成されたハブ輪48および内輪50と、外輪46の外側軌道面とハブ輪48および内輪50の内側軌道面との間に介装された複列の転動体51とを備え、車輪用軸受43の内輪50は、平行軸歯車減速機38の第4歯車33を支持するインボード側軸部55が一体的に形成された構成をなす。【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、電動モータの出力軸と車輪用軸受とを減速機を介して連結したインホイールモータ駆動装置に関する。
従来のインホイールモータ駆動装置は、例えば、特許文献1に開示された構造のものがある。この特許文献1のインホイールモータ駆動装置は、駆動力を発生させる電動モータと、その電動モータの回転を減速して出力する平行軸歯車減速機と、その平行軸歯車減速機からの出力を車輪に伝達する車輪ハブとで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置は、電動モータと平行軸歯車減速機との間に中間プレートを設け、その中間プレートのインボード側に、電動モータを収容するモータハウジングを設けると共に、中間プレートのアウトボード側に、平行軸歯車減速機を収容するギヤハウジングを設けた構造を具備する。
電動モータは、モータハウジングに固定されたステータと、そのステータの内側でモータハウジングに回転自在に支持されたロータ軸とで構成されている。また、平行軸歯車減速機は、電動モータのロータ軸に同軸的に連結されたモータ入力歯車と、中間プレートおよびギヤハウジングに回転自在に支持されてモータ入力歯車と噛合する第1カウンタ歯車と、第1カウンタ歯車と同軸的に支持された第2カウンタ歯車と、車輪ハブの車軸に設けられて第2カウンタ歯車と噛合する出力歯車とで構成されている。
ところで、特許文献1で開示されたインホイールモータ駆動装置では、車輪ハブと平行軸歯車減速機の出力歯車とをトルク伝達可能に連結することにより、平行軸歯車減速機からの出力を車輪ハブに伝達するようにしている。
このように、車輪ハブと平行軸歯車減速機の出力歯車とをトルク伝達可能に結合させるには、以下のような構造が必要である。例えば、車輪ハブおよび平行軸歯車減速機の出力歯車とは別体に、車輪ハブと平行軸歯車減速機の出力歯車とを連結する軸部材を設けた構造がある。
この構造では、軸部材の一方の端部に車輪ハブをスプライン嵌合により結合させると共に、軸部材の他方の端部に平行軸歯車減速機の出力歯車をスプライン嵌合により結合させるようにしている。また、減速機出力歯車と軸部材を一体化させ、その端部にスプライン形状をもたせることにより車輪ハブと嵌合させる構造とすることもできる。
以上のように、車輪ハブあるいは平行軸歯車減速機の出力歯車と別体の軸部材を用いた構造や、出力歯車と軸部材を一体化させた構造では、軸部材に対して車輪ハブを組み付ける作業が煩雑となり、平行軸歯車減速機に対する車輪ハブの組み付け性を向上させることが困難であった。
また、車輪ハブにおけるガタツキを無くし、車輪ハブの軸傾きに対する剛性を向上させる目的で、車輪ハブの軸受に予圧を付与するに際して、前述した軸部材と車輪ハブを嵌合させた後、ナットなどを用いて軸力を付与し、適切な予圧を管理する必要があり、煩雑な管理工数を必要とする問題もあった。
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、平行軸歯車減速機に対する車輪ハブの組み付け性を向上させると共に、車輪ハブでの予圧管理を可能とするインホイールモータ駆動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、モータ部と、平行軸歯車減速機で構成された減速機部と、車輪用軸受で構成された車輪用軸受部とを備えたインホイールモータ駆動装置であって、平行軸歯車減速機は、車輪用軸受に駆動力を伝達する出力歯車を有し、車輪用軸受は、内周面に複列の外側軌道面が形成された外輪と、外周面に外側軌道面と対向する内側軌道面が形成されたハブ輪および内輪と、外輪の外側軌道面とハブ輪および内輪の内側軌道面との間に介装された複列の転動体とを備え、車輪用軸受の内輪は、平行軸歯車減速機の出力歯車を支持する軸部が一体的に形成された構成をなすことを特徴とする。
本発明のインホイールモータ駆動装置において、車輪用軸受の内輪は、平行軸歯車減速機の出力歯車を支持する軸部が一体的に形成された構成をなすことから、車輪用軸受あるいは平行軸歯車減速機の出力歯車とは別体の軸部材を設ける必要がなくなる。
その結果、平行軸歯車減速機の出力歯車に対して車輪用軸受を組み付ける作業が簡略化され、平行軸歯車減速機に対する車輪用軸受の組み付け性を向上させることが容易となる。また、車輪用軸受に予圧を付与するに際して、組み立てに先立って適切な予圧を管理しておくことが可能となり、管理工数の低減が図れる。
本発明において、内輪の軸部と平行軸歯車減速機の出力歯車とが一体的に形成されていることが望ましい。このように、内輪の軸部と平行軸歯車減速機の出力歯車とを一体的に形成すれば、平行軸歯車減速機に対する車輪用軸受を組み付ける作業がより一層簡略化され、平行軸歯車減速機に対する車輪用軸受の組み付け性をより一層向上させることができる。
本発明における内輪は、ハブ輪とトルク伝達可能に嵌合された構成をなすことが望ましい。このように、内輪がハブ輪とトルク伝達可能に嵌合された構成をなすことで、平行軸歯車減速機の出力歯車からの出力を車輪用軸受を介して車輪に伝達することができる。
本発明において、内輪とハブ輪とを加締めあるいはナット締めにより固定することが望ましい。このように、内輪とハブ輪とを加締めあるいはナット締めにより固定すれば、加締めあるいはナット締めにより予圧を付与された車輪用軸受として組み立てを簡便にすることができる。
本発明によれば、車輪用軸受あるいは平行軸歯車減速機の出力歯車とは別体の軸部材を設ける必要がなくなる。そのため、平行軸歯車減速機の出力歯車に対して車輪用軸受を組み付ける作業が簡略化され、平行軸歯車減速機に対する車輪用軸受の組み付け性を向上させることが容易となる。また、車輪用軸受に予圧を付与するに際して、組み立てに先立って適切な予圧を管理しておくことが可能となり、管理工数の低減が図れる。
本発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。図10は、インホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図、図11は、電気自動車11を後方から見た概略断面図である。
電気自動車11は、図10に示すように、シャシー12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを装備する。後輪14は、図11に示すように、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、懸架装置(サスペンション)16を介してシャシー12の下部に固定されている。
懸架装置16は、左右に延びるサスペンションアームにより後輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットにより、後輪14が地面から受ける振動を吸収してシャシー12の振動を抑制する。左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時などの車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられている。懸架装置16は、路面の凹凸に対する追従性を向上させ、後輪14の駆動力を効率よく路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させる独立懸架式としている。
電気自動車11は、ホイールハウジング15の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構などを設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上させるためにばね下重量を抑える必要があり、さらに、広い客室スペースを確保するためにインホイールモータ駆動装置21の小型化が求められる。
そこで、図1に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21は、以下の構造を具備する。これにより、コンパクトなインホイールモータ駆動装置21を実現し、ばね下重量を抑えることで、走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を得ることができる。
この実施形態の特徴的な構成を説明する前にインホイールモータ駆動装置21の全体構成を説明する。以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21を車両に搭載した状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)と称し、中央寄りとなる側をインボード側(図面右側)と称する。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機部Bと、減速機部Bからの出力を駆動輪としての後輪14(図10および図11参照)に伝達する車輪用軸受部Cとを備えている。モータ部Aと減速機部Bはケーシング22に収容されて、電気自動車11のホイールハウジング15(図11参照)内に取り付けられる。ケーシング22は、モータ部Aのモータハウジングと減速機部Bのギヤハウジングとからなる分割可能な構造でボルトにより締結一体化されている。
モータ部Aは、ケーシング22に固定されたステータ23と、ステータ23の径方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータ24と、ロータ24の径方向内側に配置されてロータ24と一体回転するモータ回転軸25とを備えたラジアルギャップ型の電動モータ26で構成されている。モータ回転軸25は、毎分一万数千回転程度で高速回転可能である。ステータ23は磁性体コアの外周にコイルを巻回することによって構成され、ロータ24は永久磁石または磁性体が内部に配置されている。
モータ回転軸25は、径方向外側へ一体的に延びるホルダ部27によりロータ24が保持されている。ホルダ部27は、ロータ24が嵌め込み固定された凹溝を環状に形成した構成としている。モータ回転軸25は、その軸方向一方側端部(図1の右側)が転がり軸受28に、軸方向他方側端部(図1の左側)が転がり軸受29によって、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
減速機部Bは、入力歯車である第1歯車30と、中間歯車である第2歯車31および第3歯車32と、出力歯車である第4歯車33とを有する。
第1歯車30は、インボード側に延びる軸部34をモータ回転軸25にスプライン嵌合(セレーション嵌合を含む。以下、同じ)によって連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車31は、その軸部35を中間軸36にスプライン嵌合によって連結することにより、中間軸36に同軸的に取り付け固定されている。第3歯車32は、前述の中間軸36に一体的に形成されている。第4歯車33は、その軸部37を後述の車輪用軸受43の内輪50から一体的に延びるインボード側軸部55にスプライン嵌合によって連結することにより、内輪50のインボード側軸部55に同軸的に取り付け固定されている。
この減速機部Bは、第1歯車30と第2歯車31とが噛合し、第3歯車32と第4歯車33とが噛合することにより、モータ回転軸25の回転運動を2段に減速する平行軸歯車減速機38で構成されている。
第1歯車30の軸部34は、転がり軸受39によりケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車31の軸部35は、転がり軸受40によりケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車31が取り付け固定され、第3歯車32が一体的に形成された中間軸36は、転がり軸受41,42によりケーシング22に対して回転自在に支持されている。
第1歯車30〜第4歯車33および各歯車の回転軸を図2に基づいて説明する。図2は、図1の平行軸歯車減速機38を構成する第1歯車30〜第4歯車33のみをアウトボード側から見た概要図である。
第1歯車30は、モータ回転軸25(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C1を中心にして回転する。第2歯車31は、中間軸36(図1参照)に取り付け固定され、第3歯車32は、中間軸36に一体的に形成され、その軸心C2を中心にして回転する。第4歯車33は、内輪50のインボード側軸部55(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C3を中心にして回転する。なお、第1歯車30の軸部34と第4歯車33の軸部37は同軸上に配置されていることから、それぞれの軸心C1と軸心C3は一致している。
この実施形態では、モータ回転軸25、中間軸36および内輪50のインボード側軸部55の各軸心C1,C2,C3が直線E−E上に配置され、減速機部Bの径方向のコンパクト化を図っている。ただし、各軸心C1,C2,C3の配置は、この実施形態のような配置に限らず、各歯車30〜33の噛合いを維持した状態で、ケーシング22のスペースなどを考慮して適宜ずらしてもよい。
ここで、平行軸歯車減速機38を構成する第1歯車30〜第4歯車33には、はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が増え、歯当たりが分散されるので音が静かで、トルク変動が少ない点で有効である。歯車のかみあい率や限界の回転数などを考慮して、モジュールは1〜3程度が好ましい。
インホイールモータ駆動装置21は、ホイールハウジング15(図11参照)の内部に収められ、ばね下荷重となるため、小型軽量化が必須である。平行軸歯車減速機38を電動モータ26と組み合わせることで電動モータ26の小型化を図ることができる。
例えば、減速比11の平行軸歯車減速機38を用いた場合、毎分一万数千回転程度の高速回転の電動モータ26を使用することにより電動モータ26を小型化することができる。この場合、ケーシング22のスペースなどを考慮すると、第1歯車30と第2歯車31からなる第1段の減速比は2〜4程度とし、第3歯車32と第4歯車33からなる第2段の減速比は3〜5程度とすることが好ましい。
車輪用軸受部Cは、図1に示すように、以下のような構造の車輪用軸受43で構成されている。
車輪用軸受43は、内周面に複列の外側軌道面44,45(図3参照)が形成された外輪46と、外周面に一方の内側軌道面47(図3参照)が形成されたハブ輪48と、外周面に他方の内側軌道面49(図3参照)が形成された内輪50と、ハブ輪48および内輪50の内側軌道面47,49と外輪46の外側軌道面44,45との間に配置された複数の転動体51と、複数の転動体51を保持する保持器52とを備えている。ハブ輪48の内側軌道面47と内輪50の内側軌道面49とで、外輪46の外側軌道面44,45と対向する複列の内側軌道面を構成している。
車輪用軸受43の軸方向両端部には、泥水またはは潤滑油などの侵入防止、および軸受内部に封入されたグリースの漏洩防止のためにシール部材53が設けられている。また、車輪用軸受43の外輪46は、ケーシング22に取り付け固定されている。さらに、車輪用軸受43のハブ輪48にハブボルト54で後輪14(図10および図11参照)が連結される。
この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体構成は、前述のとおりであるが、その特徴的な構成を以下に詳述する。
図1に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21において、図3に示すように、車輪用軸受43の内輪50は、平行軸歯車減速機38の第4歯車33を支持するインボード側軸部55が一体的に形成されている。また、この内輪50は、ハブ輪48とトルク伝達可能に嵌合されるアウトボード側軸部56が一体的に形成されている。
内輪50のインボード側軸部55を第4歯車33の軸部37とスプライン嵌合によって連結することにより、内輪50のインボード側軸部55を第4歯車33の軸部37に同軸的に取り付け固定している。また、内輪50のアウトボード側軸部56をハブ輪48の軸孔57に圧入してスプライン嵌合させることにより、内輪50のアウトボード側軸部56をハブ輪48にトルク伝達可能に連結している。これにより、平行軸歯車減速機38の出力を車輪用軸受43を介して後輪14(図10および図11参照)に伝達する。
この内輪50のアウトボード側軸部56の端部を径方向外側に加締め、その加締め部58でもって車輪用軸受43に予圧を付与している。この予圧の付与により、車輪用軸受43を複列のアンギュラ玉軸受構造としている。また、予圧の付与により車輪用軸受43の組み立てを簡便にすることができる。車輪用軸受43の内輪50が以上のような構造を有することにより、車輪用軸受43と平行軸歯車減速機38の第4歯車33とを連結している。
このインホイールモータ駆動装置21において、車輪用軸受43の内輪50は、平行軸歯車減速機38の第4歯車33を支持するインボード側軸部55が一体的に形成された構成をなすことから、車輪用軸受43あるいは平行軸歯車減速機38の第4歯車33とは別体の軸部材を設ける必要がなくなる。
その結果、平行軸歯車減速機38の第4歯車33に対して車輪用軸受43を組み付ける作業が簡略化され、平行軸歯車減速機38に対する車輪用軸受43の組み付け性を向上させることが容易となる。また、車輪用軸受43に予圧を付与するに際して、組み立てに先立って適切な予圧を管理しておくことが可能となり、管理工数の低減が図れる。
図1および図3の実施形態では、車輪用軸受43の内輪50に、第4歯車33を支持するインボード側軸部55を一体的に形成した構造について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、図4および図5に示す構造であってもよい。なお、図4および図5において、図1および図3と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図4に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21では、図5に示すように、内輪50のインボード側軸部55に平行軸歯車減速機38の第4歯車33の軸部37を一体的に形成している。このように、内輪50のインボード側軸部55と平行軸歯車減速機38の第4歯車33とを一体的に形成することにより、平行軸歯車減速機38に対する車輪用軸受43を組み付ける作業がより一層簡略化され、平行軸歯車減速機38に対する車輪用軸受43の組み付け性をより一層向上させることができる。
図1および図3に示す実施形態や、図4および図5に示す実施形態では、車輪用軸受43の内輪50のインボード側軸部55が中実構造である場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、図6および図7に示すように、内輪50のインボード側軸部55が中空構造であってもよい。なお、図6および図7において、図4および図5と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図6に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21では、図7に示すように、内輪50のインボード側軸部55に平行軸歯車減速機38の第4歯車33の軸部37を一体的に形成している。この内輪50のインボード側軸部55および第4歯車33の軸部37は中空状をなす。一方、ハブ輪48は、インボード側へ延びる中空軸状の小径段部59を有する。このハブ輪48の小径段部59に内輪50のインボード側軸部55および第4歯車33の軸部37を圧入してスプライン嵌合によりトルク伝達可能に連結する。
また、ハブ輪48の小径段部59の端部を径方向外側に加締め、その加締め部60でもって車輪用軸受43に予圧を付与している。この予圧の付与により、車輪用軸受43を複列のアンギュラ玉軸受構造としている。また、予圧の付与により車輪用軸受43の組み立てを簡便にすることができる。車輪用軸受43のハブ輪48が以上のような構造を有することにより、車輪用軸受43を平行軸歯車減速機38の第4歯車33に固定している。
この加締め構造では、第4歯車33のインボード側端面に凹部61を形成し、その凹部61に加締め部60を収容するようにしている。これにより、加締め部60が第4歯車33のインボード側端面から食み出すことがなく、他の周辺部品との干渉を回避することができ、平行軸歯車減速機38のコンパクト化が図れる。
図6および図7に示す実施形態では、ハブ輪48の小径段部59の端部を加締める構造でもって車輪用軸受43と平行軸歯車減速機38の第4歯車33とを固定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、図8および図9に示す構造であってもよい。なお、図8および図9において、図6および図7と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図8に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置では、図9に示すように、ハブ輪48の小径段部59の端部外周面に雄ねじ部62を形成し、その雄ねじ部62にナット63を螺合させる。このナット締めにより車輪用軸受43に予圧を付与している。この予圧の付与により、車輪用軸受43を複列のアンギュラ玉軸受構造としている。また、予圧の付与により車輪用軸受43の組み立てを簡便にすることができる。このようなナット締めにより、車輪用軸受43を平行軸歯車減速機38の第4歯車33に固定している。
このナット締め構造では、第4歯車33のインボード側端面に凹部61を形成し、その凹部61に雄ねじ部62およびナット63を収容するようにしている。これにより、雄ねじ部62およびナット63が第4歯車33のインボード側端面から食み出すことがなく、他の周辺部品との干渉を回避することができ、平行軸歯車減速機38のコンパクト化が図れる。
図6〜図9に示す実施形態において、ハブ輪48の小径段部59と内輪50のインボード側軸部55および第4歯車33の軸部37との連結は、ハブ輪48の小径段部59の外周面に雄スプラインを形成し、内輪50のインボード側軸部55および第4歯車33の軸部37の内周面に雌スプラインを形成するスプライン嵌合構造としている。
このスプライン嵌合構造以外にも、ハブ輪48の小径段部59が中空状であることから、ハブ輪48の小径段部59の外周面、あるいは、内輪50のインボード側軸部55および第4歯車33の軸部37の内周面にローレット加工を施し、ハブ輪48の小径段部59を治具により拡径することにより両者を連結する拡径加締めなど、塑性変形や弾性変形を利用した他の連結構造であってもよい。
最後に、この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を説明する。
図1に示すように、モータ部Aにおいて、例えば、ステータ23に交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けてロータ24が回転する。これにより、減速機部Bにおいて、モータ回転軸25の回転が、平行軸歯車減速機38を構成する第1歯車30、第2歯車31、第3歯車32および第4歯車33によって減速され、車輪用軸受部Cに伝達される。この時、モータ回転軸25の回転が減速機部Bによって減速されて車輪用軸受部Cに伝達されるので、モータ部Aにおいて、低トルク、高速回転型の電動モータ26を採用した場合でも、後輪14(図10および図11参照)に必要なトルクを伝達することが可能となる。
減速機部Bの減速比は、第1歯車30と第2歯車31の第1段で1/2.5、第3歯車32と第4歯車33の第2段で1/4.5とすれば、減速比は約1/11と大きな減速比を得ることができる。このように、大きな減速比を得ることができる平行軸歯車減速機38を採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、平行軸歯車減速機38は、はすば歯車を用いているので、製造が容易で、コストの低減が図れ、性能面でも、静粛かつ効率のよいインホイールモータ駆動装置21を実現することができる。
この実施形態では、モータ部Aとしてラジアルギャップ型の電動モータ26を例示したが、任意の構成のモータを適用可能である。例えば、ケーシングに固定されたステータと、ステータの軸方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータとを備えるアキシャルギャップ型の電動モータであってもよい。
この実施形態における作動の説明は、各部材の回転に着目して行ったが、実際にはトルクを含む動力がモータ部Aから後輪14に伝達される。従って、前述のように減速された動力は高トルクに変換されたものとなっている。また、モータ部Aに電力を供給してモータ部を駆動させ、モータ部Aからの動力を後輪14に伝達させる場合を示したが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、後輪14側からの動力を減速機部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電してもよい。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、後でモータ部Aを駆動させることや、車両に備えられた他の電動機器などの作動に用いてもよい。
以上の実施形態では、図10および図11に示すように、後輪14を駆動輪とした電気自動車11を例示したが、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等も含むものである。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置
33 出力歯車(第4歯車)
38 平行軸歯車減速機
43 車輪用軸受
44,45 外側軌道面
46 外輪
47,49 内側軌道面
48 ハブ輪
50 内輪
51 転動体
55 軸部(インボード側軸部)
A モータ部
B 減速機部
C 車輪用軸受部
33 出力歯車(第4歯車)
38 平行軸歯車減速機
43 車輪用軸受
44,45 外側軌道面
46 外輪
47,49 内側軌道面
48 ハブ輪
50 内輪
51 転動体
55 軸部(インボード側軸部)
A モータ部
B 減速機部
C 車輪用軸受部
Claims (4)
- モータ部と、平行軸歯車減速機で構成された減速機部と、車輪用軸受で構成された車輪用軸受部とを備えたインホイールモータ駆動装置であって、
前記平行軸歯車減速機は、前記車輪用軸受に駆動力を伝達する出力歯車を有し、前記車輪用軸受は、内周面に複列の外側軌道面が形成された外輪と、外周面に前記外側軌道面と対向する内側軌道面が形成されたハブ輪および内輪と、前記外輪の外側軌道面とハブ輪および内輪の内側軌道面との間に介装された複列の転動体とを備え、
前記車輪用軸受の内輪は、前記平行軸歯車減速機の出力歯車を支持する軸部が一体的に形成された構成をなすことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。 - 前記内輪の軸部と前記平行軸歯車減速機の出力歯車とが一体的に形成されている請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記内輪は、ハブ輪とトルク伝達可能に嵌合された構成をなす請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記内輪とハブ輪とを加締めあるいはナット締めにより固定した請求項1〜3のいずれか一項に記載のインホイールモータ駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015149793A JP2017032006A (ja) | 2015-07-29 | 2015-07-29 | インホイールモータ駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015149793A JP2017032006A (ja) | 2015-07-29 | 2015-07-29 | インホイールモータ駆動装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017032006A true JP2017032006A (ja) | 2017-02-09 |
Family
ID=57987182
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015149793A Pending JP2017032006A (ja) | 2015-07-29 | 2015-07-29 | インホイールモータ駆動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017032006A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022546829A (ja) * | 2019-09-03 | 2022-11-09 | ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド | 電気駆動アセンブリの補助ベアリングの固定構造及び電気駆動アセンブリ |
-
2015
- 2015-07-29 JP JP2015149793A patent/JP2017032006A/ja active Pending
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JP2022546829A (ja) * | 2019-09-03 | 2022-11-09 | ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド | 電気駆動アセンブリの補助ベアリングの固定構造及び電気駆動アセンブリ |
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