JP2017024942A - カーボンナノチューブ被膜部材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属や炭素材料の基材に製膜した、分光反射率の低いカーボンナノチューブ被膜部材とその製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法は、基材をアルミニウム化合物溶液に浸漬し、前記基材を800℃以上に加熱し、金属錯体蒸気を用いる浮遊触媒輸送式の化学気相成長により、カーボンナノチューブを前記基材の表面に製膜する。また、前記アルミニウム化合物溶液が硝酸アルミニウム溶液であってもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ被膜部材とその製造方法に関する。特に、本発明は、基材の形状に制約を受けにくく、分光反射率の低いカーボンナノチューブ被膜部材とその製造方法に関する。
放射温度計や光検出器の校正に用いられる黒体空洞や光学機器のバッフル(観測や測定に支障を与える迷光を遮光する部材)の表面は可能な限り反射率が小さい(放射率が大きい)黒色物質で覆われている事が必要である。また、発熱体や放熱板のように輻射熱を放出又は吸収することを目的とする部材の表面も同様な黒色物質で覆われていることが必要であると共に耐熱性も有することが求められる。近年、カーボンナノチューブ(以下、CNTという)の垂直配向集合体の反射率が非常に小さいことが報告されており、CNTを黒化膜として応用することが期待されている。CNTの構成元素である炭素の融点は3000℃以上であるため、耐熱性という点でもCNTは優れた材料である。それゆえ、CNTを表面に成長させたアルミニウム合金製の基材を地球観測衛星に搭載する黒体光源として利用する事を目的とした様々な開発・評価が行われている事が非特許文献1に報告されている。
基材表面にCNT膜を形成する技術の中で最も効率的で商業的に実現する可能性が高い技術としては、鉄系遷移金属を触媒として炭化水素ガスを熱分解してCNTを基材表面に成長させる触媒化学気相成長法(以下、触媒CVD法という)が挙げられる。この方法では、基材自体がCNTの触媒金属を主成分とする合金で無い場合には、CVDの前処理として触媒層となる鉄系遷移金属薄膜を基材表面に形成する必要がある。一般に、上述したような黒化膜を必要とする部材の基材に使われる金属、炭素材料、半導体の多くは触媒金属である鉄系遷移金属とは反応してしまうか、又は基材内部に触媒金属が拡散してしまい、触媒活性が失われてしまう問題が生じる。この問題を解消するため、一般に、金属や炭素材料を基材としてCNTをCVDにより製膜する場合には、触媒層を製膜する前に金属酸化物薄膜からなる触媒担持層を基材上に形成する必要がある。
触媒層と触媒担持層を成長させることを特徴とするCNTの代表的な製膜方法として、非特許文献2では、スパッタリングにより金属箔上にアルミナ薄膜(触媒担持層)と鉄薄膜(触媒層)を形成した後、エチレンの熱分解を利用したCVD法によりCNTを金属箔上に成長させる手法を報告している。非特許文献3では、カーボンペーパー(炭素繊維複合材の一種)上に電子線蒸着法によりアルミニウムと鉄の2層薄膜を形成した後、アセチレンの熱分解を利用したCVD法によりCNTをカーボンペーパー上に製膜する手法を報告している。非特許文献4では、シリコン基材上に電子線蒸着法によりチタニウムと鉄の2層薄膜を形成した後、アセチレンの熱分解を利用したCVD法によりCNTをシリコン基材上に製膜する手法を報告している。非特許文献3及び4の手法では、基材表面のアルミニウムとチタニウムはいずれもCVDを実施する温度・雰囲気においては鉄よりも酸化しやすい性質を有するため、酸化してアルミナとチタニアとなり鉄触媒の担持層の役割を担うことになる。非特許文献5では、シリコン基材上にスパッタリングにより触媒担持層の前駆体であるアルミニウム薄膜を形成した後、100℃程度で昇華する鉄化合物であるフェロセン蒸気に基材を暴露させることで鉄薄膜層を形成してからエチレンの熱分解を利用したCVD法によりCNTをシリコン基材上に製膜する手法を報告している。
これら4つの手法は最も一般的に用いられているCNTの製膜法であるが、触媒層や触媒担持層の製膜に電子線蒸着やスパッタリングのような物理気相蒸着(PVD)を用いていることが次に述べるような理由によりCNTの商業的な応用を妨げている。一般にPVDは真空中で処理をおこなう必要があるため製膜できる基材の大きさは使用する真空槽の大きさに依存すると共に膜原料を基材表面に照射させる際に基材自体が遮蔽物となってしまうような複雑な三次元形状を有する物体の表面に製膜することはできないため、このような方法で黒体空洞や天体望遠鏡の内表面等にCNTを製膜することは技術的に困難である。また、一般にPVDを行うための装置の購入・運用には多大なコストが掛かる。これらの問題のため、CNTを製膜した部材が上述のような用途の市販製品に応用された例はほとんど無い。
PVDの代わりに低コストのウェットプロセスにより触媒層と触媒担持層を形成することを特徴とするCNTの製膜方法が提案されている。非特許文献6では、10種類の導電性固体試料(高濃度ドーピング処理シリコン、金、銀、銅、アルミニウム、白金、タングステン、窒化チタン、ニクロム合金、鋼)の表面に硝酸アルミニウムと硝酸鉄を混合した水溶液の滴をピペットで落とした後、アルゴンと水素の混合雰囲気下において200℃以上に加熱することで試料表面に触媒担持層となるアルミナ薄膜とCNTの触媒となる鉄薄膜を成長させた後に700℃以上に加熱し、アセチレンの熱分解を利用したCVDによりCNTの製膜を試みた結果、白金以外の試料表面に多層CNTを成長させることができたことが報告されている。非特許文献7では、非特許文献6とほぼ同様な方法により炭素繊維製の織物の表面にCNTを製膜したことが報告されている。非特許文献6及び7が採用している方法では、基材表面に垂らした溶液に含まれる硝酸アルミニウムと硝酸鉄は200℃以上に加熱されるとそれぞれの酸化物すなわちアルミナとFe2O3に変化してアルミナは触媒担持層の役割を担い、水素を含む還元雰囲気下で更に加熱することによりFe2O3は触媒活性を有する鉄に還元されることで触媒層を形成することを特徴としている。したがって、この方法は雰囲気制御が可能な加熱炉さえあれば基材表面に触媒層とその担持層を製膜可能であるため、複雑な形状の部材表面にCNTを低コストで製膜できる可能性がある。
E. Theocharous et al., Optics Express, 22, 7290 (2014) T. Hiraoka et al., Journal of the American Chemical Society, 128, 13338-13339 (2006) B. Kim, H. Chung, and W. Kim, The Journal of Physical Chemistry C, 114, 15223 (2010) A. Takeshima et al., IUCrJ, 1, 221 (2014) H. Liu et al., Surface and Coatings Technology, 202, 4114 (2008) P. M. Parthangal et al., Nanotechnology, 18, 185605 (2007) F. An, C. Lu, J. Guo, S. He, H. Lu, and Y. Yang, Applied Surface Science, 258, 1069 (2011)
触媒CVD法によるCNT製膜においてウェットプロセスを用いて基材表面に触媒層及びに触媒担持層を製膜させる場合、次に述べる2つの問題が生じる。
触媒層を成長させるためにはウェットプロセス後の基材を水素雰囲気下で加熱して基材表面の酸化鉄を触媒の鉄に還元する処理は必須である。しかしながら、非特許文献6に指摘されているように、水素の存在は白金表面でのCNTの成長を阻害してしまう。さらに、一般に金属の場合、高温の水素雰囲気に晒されると水素が金属原子間に侵入してもろくなる現象(水素脆化)が起きるため、基材を金属とする場合には水素の使用は避けることが望ましい。また、CNTは原料である炭化水素の熱分解反応によって生じるため、副生成物として水素もしくは水素と酸素が反応して水が生成される。したがって、副生成物である水素の反応系内での濃度が上昇した場合、ルシャトリエの原理から判るように炭化水素の熱分解反応が阻害される方向に反応が進むため、CNTの成長という観点に立てば水素の導入は熱力学的には不利と考えられる。このような問題を回避するため水素以外の還元ガスとして一酸化炭素を使用することが考えられるが、一酸化炭素は有毒ガスであるため運用時における安全性に問題がある。また、還元ガスを必要とするプロセスは設備の購入・運用に関わるコストの増大を招く。
ウェットプロセスのもう一つの問題点は、触媒前駆体溶液と基材の濡れ性が悪い場合、溶液が表面に不均一に滞留してしまうため、触媒層及び触媒担持層が不均一になってしまい、結果として成長させたCNT膜も不均一になってしまうことである。非特許文献6及び7に紹介されているウェットプロセスによる表面前処理を用いたCNTの製膜実験では、触媒前駆体溶液はピペットや注射器で基材の非常に小さい範囲にのみ垂らしているだけであり、大面積を有する基材の全面にCNTの製膜が可能であることを実証していない。実際、発明者らは非特許文献6の実験で使われている硝酸鉄と硝酸アルミニウムの混合水溶液に金属板を浸漬させた後にCNTの製膜を試みたが、不均一な膜しか形成できなかった。
本発明は、上述した問題を解決するものであって、金属や炭素材料の基材に製膜した、分光反射率の低いカーボンナノチューブ被膜部材とその製造方法を提供する。
本発明の一実施形態によると、基材をアルミニウム化合物溶液に浸漬し、前記基材を800℃以上に加熱し、金属錯体蒸気を用いる浮遊触媒輸送式の化学気相成長により、カーボンナノチューブを前記基材の表面に製膜するカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法が提供される。
前記カーボンナノチューブ被膜部材の製造方法において、前記アルミニウム化合物溶液が硝酸アルミニウム溶液であってもよい。
前記カーボンナノチューブ被膜部材の製造方法において、前記アルミニウム化合物溶液に浸漬した前記基材を、真空下で800℃以上に加熱してもよい。
前記カーボンナノチューブ被膜部材の製造方法において、前記基材は、Au、Ag、Cu、Pt、W、Nb、Ta、Mo、V、Pd、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Hf、Zr、Si、Eu、Gd、U及びそれらを主成分とする合金からなる群から選択されてもよい。
前記カーボンナノチューブ被膜部材の製造方法において、前記基材に無機物微粒子を衝突させて粗面を形成してもよい。
前記カーボンナノチューブ被膜部材の製造方法において、前記基材は、炭素繊維複合材、等方性黒鉛、ガラス状炭素及び天然黒鉛からなる群から選択されてもよい。
また、本発明の一実施形態によると、基材と、前記基材の表面に配置された無機物層と、前記無機物層上に担持された触媒金属微粒子層と、前記触媒金属微粒子層上に配置されたカーボンナノチューブを備え、分光反射率が0.01以下であるカーボンナノチューブ被膜部材が提供される。
前記カーボンナノチューブ被膜部材において、前記基材は、Au、Ag、Cu、Pt、W、Nb、Ta、Mo、V、Pd、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Hf、Zr、Si、Eu、Gd、U及びそれらを主成分とする合金からなる群から選択されてもよい。
前記カーボンナノチューブ被膜部材において、前記基材が粗面を備えてもよい。
前記カーボンナノチューブ被膜部材において、前記基材が炭素繊維複合材、等方性黒鉛、ガラス状炭素及び天然黒鉛からなる群から選択されてもよい。
本発明によると、金属や炭素材料の基材の表面に、その形状に大きな制限を受けることなく、カーボンナノチューブを一様に成長させた分光反射率の低いカーボンナノチューブ被膜部材とその製造方法を提供することができる。分光反射率の低い本発明に係るカーボンナノチューブ被膜部材は、黒体炉、標準反射板、発熱体、放熱板、光学機器のバッフル等に利用することができる。
本発明の一実施形態に係るCNT被膜部材100を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るCNT被膜部材100の製造方法を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るCNT被膜部材200の模式図である。 本発明の一実施形態に係るCNT被膜部材200の製造方法を示す模式図である。 本発明の一実施例に係る無機物微粒子(アルミナ微粉末)の電子顕微鏡(SEM)像である。 本発明の一実施例に係る触媒担持層を窒素雰囲気中(a)及び(b)と真空中(c)及び(d)の条件で焼成した炭素繊維複合材の表面SEM像である。 本発明の一実施例に係る触媒担持層を窒素雰囲気中と真空中の条件で焼成したガラス状炭素基材の表面SEM像とオージェ電子分光分析(AES)によるアルミニウム面分布を示す図であり、(a)は窒素雰囲気で焼成した担持層のSEM像、(b)は窒素雰囲気で焼成した担持層のアルミニウム面分布、(c)は真空中で焼成した担持層のSEM像、(b)は真空中で焼成した担持層のアルミニウム面分布を示す。 本発明の一実施例に係る黒化膜を製膜する前(a)と製膜した後(b)の炭素繊維複合材の写真である。 本発明の一実施例に係る黒化膜を製膜した2本のタングステンチューブの写真である。 本発明の一実施例に係る銅(Cu)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係る銀(Ag)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係る金(Au)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係る白金(Pt)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るタングステン(W)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るニオブ(Nb)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るタンタル(Ta)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るモリブデン(Mo)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るバナジウム(V)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るパラジウム(Pd)基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係る等方性黒鉛基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るガラス状炭素基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係る炭素繊維複合材基材に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係る等方性黒鉛材に製膜したCNTのTEM像である。 本発明の一実施例に係る炭素繊維複合材に製膜したCNTのTEM像である。 本発明の一実施例に係る炭素繊維複合材(CC)、等方性黒鉛(IG)、タングステン(W)基材に製膜したCNT製の黒化膜の可視域における分光反射率の測定結果を示す図である。 本発明の一実施例に係るPAN系炭素繊維上に製膜したCNTのSEM像である。 本発明の一実施例に係るPAN系炭素繊維上に製膜したCNTのTEM像である。 本発明の一実施例に係る処理b〜dにより製膜したCNT製の黒化膜の状態を示す写真である。
本発明者らは、上述した問題を解決すべく鋭意検討した結果、ウェットプロセスによる触媒担持層の形成と、金属錯体蒸気を触媒前駆体として用いる浮遊触媒輸送式の化学気相成長法によるカーボンナノチューブ(以下、CNTという)の合成を組合せることにより、金属や炭素材料の基材の表面に、その形状に大きな制限を受けることなく、カーボンナノチューブを一様に成長させ、分光反射率の低いカーボンナノチューブ被膜部材を得られることを見出した。
以下、図面を参照して本発明に係るカーボンナノチューブ被膜部材(以下、CNT被膜部材)とその製造方法について説明する。本発明のCNT被膜部材とその製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本明細書において、浮遊触媒輸送式の化学気相成長法(以下CVD法という)とは、金属錯体蒸気に基材を暴露させることにより触媒層を形成し、炭素を含有するガスの熱分解によりCNTを合成する方法である。
ここで述べる粗面とは、表面に様々な曲率半径を有する屈曲部が無数かつ不規則に存在する表面構造を指し、加熱時に形成される熱酸化膜と金属基材の熱膨張差により膜の無数の屈曲部に微細な割れが生じる。それゆえ、平滑面と比較して粗面に形成された熱酸化膜には、より多くの空隙が存在することになる。そして、それらの空隙に触媒金属が強固に沈着するため、CNTが基板表面に欠損部無く一様に成長する効果が高まることを見出した。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係るCNT被膜部材100を示す模式図である。CNT被膜部材100は、例えば、基材110と、基材110の表面に配置された無機物層120と、無機物層120に担持された触媒金属微粒子層130と、触媒金属微粒子層130上に配置されたCNT150を備える。
[カーボンナノチューブ]
本発明により形成されるCNT150は、主に多層カーボンナノチューブ(MWCNT)であるが、これに限定されるものではない。CNT150は、触媒金属微粒子層130を構成する触媒金属微粒子131から、基材110の表面に対して概ね垂直に配向して成長すると共に、CNT150の最上部(表層又は表面)において、先端が無配向となる集合体を形成する。例えば、基材に単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を高密度に垂直配向成長させると、表面はCNTの先端が規則的かつ高密度に配置した構造を形成する。そのような構造規則性を有すると、光干渉効果のため分光反射率の角度異方性が顕著になる懸念がある。一方、本発明に係るCNT150は、SWCNTよりも太いMWCNTが比較的低密度に垂直配向している。それゆえ、CNT先端の周囲には比較的空間が存在するため、最上部(表層又は表面)は比較的無配向な集合体を形成する。そのような構造の不規則性のため、分光反射率の角度異方性は非常に小さくなる。
[基材]
基材110の材質は、CNTの成長温度において溶融しない純金属及び合金、又は炭素材料であり、例えば、CNTの原料であるアセチレンの熱分解温度(約750℃)において溶融しない純金属及び合金、又は炭素材料である。CNTをCVD法で製造する場合、CNTを成長させる基板の材質として、一般にはシリコン基板が用いられる。この理由としては、CNTはシリコン基板製の電子デバイス上の部材に応用する研究開発が盛んに行われているため、シリコン基板上にCNTを成長させる技術の蓄積が進んでいたことや高温での安定性、平滑で高純度な基板の入手の容易さ等があげられる。
しかし、シリコン基板にCNTを成長させた物体を光学部材として用いることは必ずしも適切ではない。光学部材は一般に温度分布が一定であることが求められるが、シリコン基板は半導体であるため金属と比較して熱伝導率が小さいため、金属基板と比較して温度分布が不均一になる恐れがある。電磁波の放射のために用いられる光学部材は目的とする電磁波を発するために加熱する必要があるが、金属基板であれば通電加熱により容易に温度制御が可能である。また、複雑な形状の光学部材を作製する場合、シリコンよりも金属や炭素材料を素材に用いた方が容易に加工できる。これらの理由から、光学部材を構成する基材は金属又は炭素材料である事が望ましい。
基材110は、CNTの原料となる炭化水素の熱分解温度においても溶融しない金属又は炭素材料で形成される限り、その材質や形状は特に限定されない。基材110に用いる金属は、例えば、Au、Ag、Cu、Pt、W、Nb、Ta、Mo、V、Pd、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Hf、Zr、Si、Eu、Gd、U及びそれらを主成分とする合金からなる群から選択することができる。好ましくは、基材110に用いる金属として、Au、Ag、Cu、Pt、W、Nb、Ta、Mo、V、Pd及びそれらを主成分とする合金を用いることができる。また、基材110に用いる炭素材料は、炭素繊維複合材、等方性黒鉛、ガラス状炭素及び天然黒鉛からなる群から選択される。
本発明においては、下記に詳述する方法により無機物層120及び触媒金属微粒子層130を形成することにより、ほぼ任意の材質の金属基材又は炭素材料基材の表面上にCNT150を形成することができる。本発明において、基材110は、平板状の基板に限定されず、3次元構造体であってもよい。本発明においては、後述するウェットプロセスにより無機物層120を形成するため、3次元構造体の基材を用いても、CNT150を均一に形成することができる。
[無機物層]
無機物層120は、触媒金属微粒子層130を形成するための触媒金属微粒子131を担持させるための足場である。無機物微粒子121としては、金属酸化物粒子が好ましく、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ハフニア等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。従来技術では、触媒の担持に用いる無機物層は、基材上にスパッタリングで形成するか真空蒸着装置で金属薄膜を蒸着した後に酸化処理を行って酸化物膜を形成する方法が用いられていた。しかし、スパッタリングや蒸着を用いる方法では、3次元構造体の基材表面に無機物層を一様に形成するのは困難である。一方、本発明においては、無機物層120は、ウェットプロセスにより形成する。このため、3次元構造体の基材を用いる場合にも、基材110の表面に無機物層120を一様に形成することができる。また、本発明に係る無機物層120は、連続膜ではなく、不連続な膜構造を有する。不連続な無機物層120は、CNTを製膜して基材110から剥離しにくく、結果として、均一なCNTの製膜を可能とする。
[触媒金属微粒子層]
触媒金属微粒子層130は、反応系内で炭化水素を熱分解してCNT150を形成するための触媒層である。触媒金属微粒子層130は、無機物層120に担持された触媒金属微粒子131により形成される。本発明においては、金属錯体蒸気を用いる浮遊触媒輸送式CVD法によりCNT150を形成するため、フェロセンやカルボニル鉄等の金属錯体を触媒前駆体に用いる。その他、Coを含む金属錯体であるコバルトセンも触媒前駆体として用いることが可能である。しかし、浮遊触媒輸送式CVD法では、安全性や取り扱いの観点から、触媒金属微粒子131の供給源として、フェロセンを好適に用いることができる。浮遊触媒輸送式CVD法の場合、触媒金属微粒子が反応炉全体に拡散するため3次元形状物体の全面に触媒層を形成することが可能であると共に触媒層を炭化水素の熱分解反応の直前に同一の反応炉を用いて効率的に形成することが可能である。
従来、触媒担持層や触媒層を形成するために用いられるスパッタリング装置は、一般に平板状の基材であれば触媒担持層や触媒層を形成することは容易であるが、スパッタリングターゲットや蒸着源と基材の間に障害物が存在するような3次元形状を有する基材の表面に触媒担持層や触媒層を形成するのは困難である。一方、本発明においては、ウェットプロセスによる無機物層120の形成と浮遊触媒輸送式の触媒金属微粒子層130の形成とを組み合わせることにより、3次元形状を有する基材110の表面にCNT150を成長させることができる。
[光学部材の特性]
本発明に係る光学部材の可視波長域での分光反射率は0.01以下である。本発明に係る光学部材は、可視波長域での非常に低い分光反射率を有することにより、黒化面として有用である。
[光学部材の製造方法]
本発明に係るCNT被膜部材の製造方法について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るCNT被膜部材100の製造方法を示す模式図である。基材110を準備する(図2(a))。基材110は、CNTの原料となる炭化水素の熱分解温度においても溶融しない金属又は炭素材料で形成される限り、その材質や形状は特に限定されない。基材110として炭素材料を用いる場合、金属基材よりもCNT製膜面の均一性が高くなることを見出した。特に、炭素繊維複合材については非常に濃密なCNT製膜面が基材全面に形成される。これは、炭素繊維複合材に対する硝酸アルミニウム溶液の濡れ性が金属や他の炭素材料よりも良いためであると考えられる。
本発明においては、ウェットプロセスにより、基材110の表面に無機物層120を形成する(図2(b))。この後の工程に用いる浮遊触媒輸送式CVD法では、触媒金属微粒子131の触媒活性を維持するためには基材110に前もって触媒担持層である無機物層120を形成することは不可欠で有る。従来、無機物層120の製膜方法には物理気相蒸着(PVD)が用いられていた。それゆえ、CNTを製膜可能な基材の形状や大きさはPVDの使用にともなう制限を受けていた。本発明者らは、ウェットプロセスを用いて無機物層120を形成し、触媒金属微粒子層130を金属錯体蒸気への暴露により形成することを発案した。本明細書において、ウェットプロセスによる無機物層120の形成は、基材110をアルミニウム化合物溶液に浸漬した後に、基材110を800℃以上に加熱することにより行う。アルミニウム化合物溶液として、硝酸アルミニウム溶液が好ましい。基材110の加熱は、基材の酸化を防ぐため10-3 Pa程度の真空もしくは窒素ガス雰囲気で行うことが好ましい。
非特許文献6及び7には、硝酸アルミニウム溶液を滴下した基材を200℃に加熱することにより、アルミナからなる触媒担持層が形成されることが記載されている。本発明者らは、硝酸アルミニウム水溶液に浸漬した基材を大気中で約200℃に加熱した後に、上述の浮遊触媒輸送式CVDを行ったが、基材表面にCNTは成長しなかった。これは、200℃で焼成したアルミナ膜が化学的に不安定であるためCNTが成長しなかったためと推察される。
硝酸アルミニウムを加熱すると約200℃で化学的に不安定なアルミナ中間相が生成し、温度の上昇に伴い徐々に安定性を増し、約1200℃まで加熱すると安定相であるαアルミナが生成する事が知られている。本発明者らは、化学的に不安定な中間相アルミナはフェロセン蒸気から供給される反応性の高い鉄と容易に化学反応を起こし、鉄微粒子の活性が失われると考えた。硝酸鉄の焼成を利用した従来のウェットプロセスでは、中間相アルミナが存在する温度域では硝酸鉄は反応性の低い酸化鉄として存在し、中間相アルミナと接触しても反応を起こさないためCNTの製膜が可能であったと考えられる。
そこで、本発明者らは、硝酸アルミニウム溶液に浸漬した基材をより高温で焼成することにより、フェロセン蒸気として供給される鉄微粒子触媒を担持するに耐え得る安定なアルミナ中間相が得られると考えた。ただし、200℃以上の高温で基材を焼成することになると基材の酸化を防ぐ必要があるため、大気中ではなく真空もしくは不活性雰囲気下で加熱する。硝酸アルミニウム溶液に浸漬した基材を焼成する場合、不活性ガス雰囲気より真空条件下の方がCNT製膜面の均一性を向上させることができる。本発明者らは、無機物層120を焼成する温度を繰り返し検討した結果、800℃以上で焼成した基材110については浮遊触媒輸送式CVD法によりCNTを製膜可能であることを初めて見出した。
本発明においては、浮遊触媒輸送式CVD法により無機物層120上に触媒金属微粒子層130を形成する(図2(c))。触媒金属微粒子層130は、金属錯体を加熱して発生させた触媒金属微粒子131を含む蒸気を供給して形成する。例えば、CNT150を成長させるためのCVD反応炉内に無機物層120を形成した基材110と触媒前駆体の金属錯体の粉末を設置し、窒素ガス雰囲気下で金属錯体が蒸発する温度まで炉内を加熱する。浮遊した触媒金属微粒子131が無機物層120上に堆積して触媒金属微粒子層130を形成する。このとき、本発明においては、無機物層120が基材110の表面に不連続に形成された膜構造を有するため、触媒金属微粒子131が無機物層120の表面に適度に分散して付着し、CNT成長に適した不連続な膜構造を有する触媒金属微粒子層130を基材表面全体に一様に形成することができる。
触媒金属微粒子層130が形成された基材110に対して、炭化水素を供給し、触媒金属微粒子層130上にCNT150を形成する(図2(d))。供給する炭化水素としては、CNT150を形成可能な公知のものを用いることができ、例えば、アセチレンを好適に用いることができる。アセチレンを供給してCNT150を成長させる場合は、アセチレンの熱分解温度である約750℃まで炉内を加熱してからアセチレンを炉内へ導入するか、アセチレン導入後に炉を約750℃まで加熱すればよい。炉内温度は、用いる炭化水素の熱分解温度に基づいて、任意に設定可能である。このようにして、本発明に係るCNT被膜部材100を製造することができる。
なお、CVD反応炉内に無機物層120を形成した基材110と触媒前駆体の金属錯体の粉末を設置し、窒素ガスとアセチレンを供給して750℃まで炉内を加熱すれば、予熱段階(金属錯体としてフェロセンを用いた場合は100℃〜200℃)で金属錯体が昇華し、触媒金属微粒子131が無機物層120上に堆積して触媒金属微粒子層130を形成し、炉内温度が約750℃に達した時点でCNT150を成長させることができる。
以上説明したように、本発明に係るCNT被膜部材の製造方法は、CNTを製膜する基材の材質や形状について従来技術と比較して制限を受けず、三次元形状の物体の表面にCNTを欠損部無く一様に成長させることができる。
また、本発明に係るCNT被膜部材の製造方法においては、従来のCVDによるCNTの製造において必要であった還元剤の水素や一酸化炭素を使用する必要が無いため、水素雰囲気下で金属を加熱する際に問題となる金属の水素脆化や有毒ガスである一酸化炭素の使用を避けられる利点がある。特に、水素を使わないことにより、CNTの生成に際しての副生成物である水素もしくは水の反応炉内での分圧を低い値に維持できるため、熱力学的に炭化水素の分解反応を促進することができる。さらに、本発明に係る光学部材は、可視波長域での分光反射率が0.01以下であり、高性能のCNT被膜部材である。
(実施形態2)
上述したように、金属基材は炭素材料に比してCNT製膜面の均一性が低くなる傾向にある。これは、金属基材表面の濡れ性が炭素材料に比して低く、無機物層が表面全体に一様に形成されにくいためである。本実施形態においては、金属基材表面の濡れ性を向上させて無機物層を形成する方法について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るCNT被膜部材200の模式図を示す。CNT被膜部材200は、CNTを成長させる面が粗面を有する金属基材210と、金属基材210の粗面に付着した無機物微粒子219で構成される無機物微粒子層217と、金属基材210の表面に配置され、無機物微粒子219を覆う無機物層220と、無機物層220に担持された触媒金属微粒子231で構成される触媒金属微粒子層230と、触媒金属微粒子層230上に形成されたCNT150を備える。
金属錯体蒸気を用いる浮遊触媒輸送式の化学気相成長によりCNT150を成長させるため、触媒担持層である無機物層220の形成が必要であるが、金属基材210を用いる本実施形態においては、金属基材210の表面を粗面化することにより濡れ性を向上させる。本実施形態においては、金属基材210の表面の濡れ性が向上することにより、金属基材210全体に無機物層220が形成され、触媒金属微粒子231が金属基材210の表面全体に一様に形成される。本実施形態においては、金属基材210の表面を粗面化することにより、金属基材表面に一様にCNT150を形成することができる。3次元構造体の基材では、基材表面の濡れ性が低いと基材全体に無機物層を形成するのは困難である。しかし、本実施形態においては、3次元構造体の金属基材を用いても、基材表面に粗面を形成することにより、CNT150の成長に適した場を提供することができる。
[粗面]
無機物微粒子219は、硬い無機物である金属酸化物、金属窒化物又は金属炭化物からなる。無機物微粒子219としては、金属酸化物が好ましく、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ハフニア等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。本実施形態において、金属基材210の粗面は、例えば、金属基材210の表面に上述した金属酸化物等の硬い無機物の微粉末を空力的もしくは投射的な方法で衝突させる処理(微粉末ショット処理)を実施することにより形成することができる。
金属基材210の表面に衝突させた無機物微粒子219の一部は細かく砕けて金属基材210の表面に無数に食い込むため、無機物微粒子219を覆う無機物層220が金属基材210の粗面に形成される。粗面を有する金属基材210は濡れ性が向上し、無機物層220が金属基材210の粗面に形成され、触媒金属微粒子231が一様に担持される。また、微粉末ショット処理により金属基材210の表面に存在する汚染物質が機械的に削り取られるため、金属基材210の表面を清浄にする効果も得られる。また、微粉末ショット処理は真空チャンバー等に金属基材210を設置して処理する必要が無いと共に微粉末を射出する方向を処理中に変更することは容易であるため、金属基材210の形状や大きさによらず、金属基材210の全面に処理を施すことが可能である。
例えば、アルミナ微粉末の微粉末ショット処理により粗面を形成した場合、走査型電子顕微鏡(以下、SEMとも称す)像で明確な無機物微粒子層217が観察されない場合であっても、金属基材210の最表面のオージェスペクトルにおいて約1390 eVの位置にAlに対応するピークが検出される。
[光学部材の製造方法]
金属基材210に粗面を形成してCNTを一様に製膜したCNT被膜部材200の製造方法について説明する。金属基材210を準備する(図4(a))。金属基材210には上述した金属を用いることができるため、詳細な説明は省略する。
金属基材210の少なくともCNTを製膜する面に粗面215を形成して、金属基材210の粗面215上に無機物微粒子層217を形成する(図4(b))。金属基材210の表面を粗面215にすることにより、金属基材210の表面の濡れ性が向上する。
粗面215を形成した金属基材210を硝酸アルミニウム溶液に浸漬する。硝酸アルミニウム溶液には、溶媒として、例えば、水や、アセトン、エタノールのような有機溶媒を用いることができる。硝酸アルミニウム溶液に浸漬した金属基材210を、CVD反応炉内に配置し、真空もしくは不活性雰囲気下で、800℃以上で焼成する。これにより、CNTを製膜する金属基材210の表面に無機物層220が形成される(図4(c))。本実施形態においては、無機物微粒子219を覆う無機物層220が金属基材210の粗面215に形成される。これにより、触媒金属微粒子231が金属基材210の表面に欠損部無く一様に沈着することができる。
浮遊触媒輸送式CVD法により、無機物層220上に触媒金属微粒子層230を形成する(図4(d))。また、触媒金属微粒子層230が形成された金属基材210に対して、炭化水素を供給し、触媒金属微粒子層230上にCNT150を形成する(図4(e))。浮遊触媒輸送式CVD法による触媒金属微粒子層230の形成方法及びCNT150の製膜方法については上述したため、詳細な説明は省略する。
本実施形態においては、濡れ性が低い金属基材を用いる場合にも、金属基材の表面を粗面化することにより濡れ性を向上させ、CNTを一様に成長させることができる。従来、CVD法によるCNTの製造において、水素や一酸化炭素は触媒金属の酸化を防ぐことで触媒活性を維持するために導入される。本実施形態においては、浮遊触媒輸送式CVD法を用いることにより、CVD反応炉に還元剤を導入せずに、CNT150を成長させることができる。
以上説明したように、本発明に係るCNT被膜部材の製造方法は、CNTを製膜する基材の材質や形状について従来技術と比較して制限を受けず、三次元形状の物体の表面にCNTを欠損部無く一様に成長させることができる。
また、本発明に係るCNT被膜部材は濡れ性が低い金属基材を用いても、可視波長域での分光反射率が0.01以下であり、高性能のCNT被膜部材である。
本発明に係る光学部材について、具体例を挙げて、さらに説明する。
CNTの触媒前駆体としてフェロセンを用い、原料の炭化水素ガスとしてアセチレンを用いた。金属基材としてAu、Ag、Cu、Pt、W、Nb、Ta、Mo、V及びPdを用い、炭素材料として炭素繊維複合材、等方性黒鉛及びガラス状炭素からなる、厚さ0.2〜1 mmの基板から長方形(40 ×5 mm)又は円盤形状(φ43〜45)の基材を放電加工機やフライス盤により切り出した。なお、本発明においては、基材を切り出す手段については特に限定されない。また、複雑な3次元形状の物体表面への製膜の可否を確かめるため、外径3 mm、内径2.6 mmで長さ40 mmのチューブ形状のタングステン試験片を作製した。金属試料については、同一材質に対して複数の試験片を作製した。
[粗面の形成]
金属基材については、微粉末ショット処理により、粗面を形成した。無機物微粒子として、粒番号が#60のアルミナ微粉末を用い、エアーブラスト装置(株式会社不二製作所、ニューマブラスター、型番:SGF-4(B)型)に装填して基材の全表面に対して微粉末ショット処理を行った。使用したエアーブラスト装置は、コンプレッサを用いて0.9 MPの高圧空気を1分間に約0.55 m3噴出させ、アルミナ微粉末を約140 m/sの速度で基材の表面に吹き付けて粗面を形成した。
図5に、使用した無機物微粒子(アルミナ粉)の電子顕微鏡(SEM)像を示す。図5のスケールと粒子画像の比較から判るように、無機物微粒子の粒径は主として10〜40 μm程度であった。
[ウェットプロセスによる無機物層の形成]
無機物層を形成するため、触媒担持層前駆体溶液には和光純薬工業株式会社が製造した塩基性硝酸アルミニウム溶液を用いた。塩基性硝酸アルミニウム溶液はウェットバインダーとも呼ばれ、硝酸アルミニウムの水溶液である。使用した溶液の硝酸アルミニウム濃度は約3.9 mol/lであり、加熱することにより1 mlの溶液から0.190〜0.204 gのアルミナ(Al2O3)を生成可能である。
試験片を上述の溶液に約30分間浸漬した。溶液中の試験片表面に気泡が付着した場合には、超音波洗浄器を用いて浸漬中の試験片に振動を加えて気泡を除去した。その後、大気中で自然乾燥させた後、雰囲気制御可能な加熱炉やホットプレートにより試験片を850〜900℃に加熱して約10分間保持して、基材表面にアルミナからなる無機物層を形成した。焼成時の雰囲気には、基材の酸化を防ぐため10-3 Pa程度の真空もしくは窒素ガス雰囲気のいずれかを選択した。
(無機物層の微細構造観察)
上述の方法により製膜したアルミナからなる無機物層の微細構造を分析するため、無機物層を形成した基材表面に対して、走査電子顕微鏡(SEM)による微細形状観察と走査式オージェ電子分光装置によるアルミニウムの面分布分析を行った。使用した走査式オージェ電子分光装置はアルバック・ファイ製の型式PHI-710であり、電子銃加速電圧と電流はそれぞれ20 kVと1 nAに設定した。この装置のオージェ電子空間分解能は約8 nmであり、面分布空間分解能は約4 nm/stepである。
図6には、炭素繊維複合材の表面に窒素雰囲気中((a)及び(b))と真空中((c)及び(d))の異なる条件において焼成した触媒担持層のSEM像の比較を示している。像(a)及び像(c)は倍率2万倍のSEM像であり、表面には数ミクロン程度の角張ったタイル形状のアルミナが点在し、その間の領域を細かい粒子状のアルミナが無数に分散している事が判る。像(b)及び像(d)は、粒子状のアルミナが分散している領域を10万倍に拡大したSEM像である。真空中で焼成した基材表面には窒素雰囲気中で焼成した基材表面のアルミナ粒子よりも微細な粒径(数〜数十 nm)のアルミナ粒子が分散している事が判明した。
図7には、ガラス状炭素基材の表面に窒素雰囲気中と真空中の異なる条件で焼成した触媒担持層のSEM像とオージェ電子分光分析(AES)による触媒担持層の最表面におけるアルミニウム面分布の比較を示している。像(b)の白点は、窒素雰囲気中において焼成した触媒担持層表面におけるアルミニウムの存在を示し、像(d)の白点は真空中において焼成した触媒担持層表面におけるアルミニウムの存在を示す。それぞれの像の左側に示す同じ領域を撮影したSEM像((a)と(c))において白く表示される領域がアルミナに対応することが判る。両者のSEM像((a)及び(c))とアルミニウム面分布((b)及び(d))の比較から、窒素雰囲気中で焼成した触媒担持層の大部分が連続膜状のアルミナに覆われているのに対して、真空中で焼成した触媒担持層は30〜100 nmの粒子状のアルミナが分散している不連続構造である事が判明した。
以上の観察結果から、真空中で製膜したアルミナ膜は不連続膜となり、窒素雰囲気中で製膜したアルミナ膜は連続膜になる傾向があることが判明した。
[浮遊触媒輸送式CVDによるCNTの製膜]
試験片表面に触媒担持層を製膜した後、株式会社マイクロフェーズ社製の小型CNT合成装置MPCNT-Premiumを用いてフェロセンを触媒前駆体とする浮遊触媒輸送式CVD法によるCNTの製膜を行った。この合成装置は、フェロセンを昇華させる金属リボン発熱体と基材を載せて直接加熱する炭素繊維複合材発熱体が内蔵された試料チャンバーとチャンバー内の雰囲気を制御するためのロータリーポンプと各種のガス供給ラインで構成されており、製膜中の基材の温度は放射温度計で測定することができる。
炭素繊維複合材発熱体上に試験片を置くと共に金属リボン発熱体近傍のるつぼにフェロセン粉末を挿入し、試料チャンバー内に窒素を導入後、ロータリーポンプでチャンバー内を真空にする作業を3回繰り返した。その後、体積比で1:2のアセチレンと窒素の混合ガスを導入し、チャンバー内のゲージ圧を-0.085 Paとした。その後、炭素繊維複合材発熱体を加熱して試料を約380℃の温度に上昇させた後、金属リボン発熱体を加熱してフェロセンを昇華させた。フェロセン蒸気がチャンバー内に充満した事を確認した後、炭素繊維複合材発熱体を更に加熱し試料温度を約780℃に上昇させた後、その温度で約5分間保持し試験片表面にCNTを成長させた。
[CNT製の黒化膜の観察]
実施例に用いた13種類全ての基材に対してCNTから構成される黒化膜が形成されることを確認した。金属と炭素材料の基材に成長させた黒化膜の均一性を比較すると、炭素材料の黒化膜の方が均一であった。特に、炭素繊維複合材に関しては試験片全面に濃密に黒色物質が成長することを確認した。図8は黒化膜の製膜前(a)と製膜後(b)の炭素繊維複合材の写真を示す。黒化膜の製膜により炭素繊維の筋や織り目が全く見えなくなってしまったことが判る。金属に関しては、基材表面を微粉末ショット処理により粗面化した基材の方が黒化膜の均一性が向上する効果が得られた。
図9に、黒化膜を製膜した2本のタングステンチューブの写真を示す。チューブ(a)の基材表面は通常の切削面のままとし、チューブ(b)の基材外表面は粉末ショット処理により粗面化処理を行った。両者の外観を比較すると、チューブ(a)は左側の端が黒化されていない状態であるが、チューブ(b)はほぼ全面が黒化されていることが判る。なお、両チューブ試料ともチューブ内面は黒化されていたことから、本発明に係るCNT被膜部材の製造方法が3次元物体表面へのCNTの製膜に有効であることが示された。
また、真空中と窒素雰囲気中の2種類の条件で触媒担持層を形成した基材表面に製膜した黒化面の均質性を比較した結果、窒素雰囲気中で触媒担持層を製膜した基材の黒化膜は所々基材から剥離して均一性が悪くなる傾向があった。前述したように窒素雰囲気中で形成したアルミナ膜は連続膜になる傾向があることを考慮すると、そのことが製膜したCNT製の黒化膜の剥離及び不均一性に関わっていると考えられる。触媒担持層であるアルミナ膜が連続膜である場合、基材とアルミナとの熱膨張差によりCNTの製膜中にアルミナ膜がひび割れて剥離すると考えられる。したがって、均一性が良好なCNT製の黒化膜を形成するためには、触媒担持層前駆体溶液を基材にディップコートした後に焼成する際の雰囲気には真空を選択すべきであることが判明した。
[SEMによるCNT膜の観察]
製膜したCNT製の黒化膜の表面をSEMにより観察した結果を図10〜22に示す。図10〜22において、(a)は倍率250倍のSEM像を示し、(b)は(a)の中心部にある白抜きの丸で囲まれた部分について倍率7万倍のSEM像を示す。
図10は、銅(Cu)基材を用いた実施例を示す。図11は、銀(Ag)基材を用いた実施例を示す。図12は、金(Au)基材を用いた実施例を示す。図13は、白金(Pt)基材を用いた実施例を示す。図14は、タングステン(W)基材を用いた実施例を示す。図15は、ニオブ(Nb)基材を用いた実施例を示す。図16は、タンタル(Ta)基材を用いた実施例を示す。図17は、モリブデン(Mo)基材を用いた実施例を示す。図18は、バナジウム(V)基材を用いた実施例を示す。図19は、パラジウム(Pd)基材を用いた実施例を示す。図20は、等方性黒鉛基材を用いた実施例を示す。図21は、ガラス状炭素基材を用いた実施例を示す。図22は、炭素繊維複合材基材を用いた実施例を示す。
全ての倍率250倍のSEM像は、表面には繊維状の物体無秩序に存在することを示しており、倍率7万倍のSEM像から繊維状の物質の直径は概ね5 nm〜50 nm程度であることが判る。黒色物質は炭素から構成されている事を考慮すると、直径の大きさから繊維状の物質は多層CNTと考えられる。
[TEMによるCNTの観察]
成長した繊維状物質が多層CNTであることを透過電子顕微鏡(TEM)により確認した。等方性黒鉛と炭素繊維複合材の基材に成長させた繊維状物質をそれぞれ基材から削り取り分散処理を行った上でTEMによる観察を行った。使用したTEMは日立ハイテクノロジーズ製の型式H-9000NARであり、観察時の加速電圧は200 kVに設定した。図23に、等方性黒鉛材に成長させた黒色物質の倍率205万倍のTEM像を示す。(a)〜(d)において、4〜17層のグラフェンを有する直径6〜20 nmの多層CNTが存在していることが判明した。
図24に、炭素繊維複合材に成長させたCNTの倍率205万倍のTEM像を示す。(a)〜(c)において、4〜9層のグラフェンを有する直径5.5〜10 nmの多層CNTが存在していることが判明した。フェロセンを触媒前駆体、アセチレンを原料ガスとして用いた場合、直径が5〜30 nmとなる多層CNTが生成しやすいことが予想されたが、実施例は経験的な予想と合致した。
[分光反射率の測定]
実施例のCNT被膜部材について、可視域における分光反射率測定を行った。光源付き積分球と回折格子型マルチチャネル分光器を用いて試料と2%標準反射板の半球拡散分光反射強度の比較測定を行い、可視波長域(400〜800 nm)における垂直分光反射率を決定した。炭素繊維複合材(CC)、等方性黒鉛(IG)、タングステン(W)基材に成長させた黒化面の可視域における分光反射率の測定結果を図25に示す。この図より、黒化面はいずれも0.01以下と非常に低い反射率の値を示しており、黒化面として非常に優れている事が判明した。
炭素繊維複合材を素材とする基材にCNTが製膜されたことから、CNTが炭素繊維から直接成長するかどうかを実験により検証した。図26は、PAN系炭素繊維上に本発明に係るCNT被膜部材の製造方法により製膜したCNTのSEM像である。(a)は倍率500倍のSEM像であり、(b)は(a)の像の丸で囲んだ部分の倍率5000倍のSEM像である。本発明に係るCNT被膜部材の製造方法により、無機物層を形成することでPAN系炭素繊維の全面にCNTと思われる繊維状の物質が成長することが明らかとなった。
PAN系炭素繊維に成長した繊維状の物質が多層CNTであることをTEMにより確認した。図27は、PAN系炭素繊維上に製膜したCNTのTEM像ある。加速電圧200 kV、倍率205万倍、倍率精度10 %で観察した。(a)〜(c)のTEM像から、直径10〜24 nmで6〜23層の多層CNTが形成されたことが明らかとなった。
[粗面化処理の効果の検証]
本発明に係るCNT被膜部材の製造方法における粗面化処理の効果を検証した。処理bとして、微粉末ショット処理を行わずウェットプロセスによる無機物層の形成のみ行った後にCNTを製膜した。処理cとして、微粉末ショット処理後にCNTを製膜した。処理dとして、微粉末ショット処理後にウェットプロセスによる無機物層の形成を行った後にCNTを製膜した。
図28は、処理b〜dによりタングステン製の基材に製膜したCNT膜の状態を示す写真である。図の上半分には3個の平面状試験片に対して処理した後の基材の写真を配しており、図の下半分には2本のチューブ状基材に対して処理した後の基材の写真を配している。この図から、処理bでは、平面板などの単純な形状の基材の場合でも、所々、CNTの成長具合にムラが発生した事が判る。処理cでは、平面板などの単純な形状の基材の場合にはムラ無くCNTを表面に製膜できるが、3次元形状の表面を有するチューブ状基材等の場合にはCNTが一様に成長せずにムラが発生することがあると言える。処理dでは、平面板もチューブのような複雑な3次元形状の基材表面に対してもムラ無く一様にCNTを成長させることができた。なお、処理b〜dで生成したCNTのミクロ構造(SEMやTEMでの観察結果)に明確な違いは観察されなかった。
本発明に係るカーボンナノチューブ被膜部材は、カーボンナノチューブが一様に被膜され、分光反射率が低いため、計測・試験機器、加熱装置、放熱部材、光学機器等の分野で利用可能である。
100:CNT被膜部材、110:基材、115:粗面、120:無機物層、121:無機物微粒子、130:触媒金属微粒子層、131:触媒金属微粒子、150:CNT、200:CNT被膜部材、210:金属基材、215:粗面、217:無機物微粒子層、219:無機物微粒子、220:無機物層、230:触媒金属微粒子層、231:触媒金属微粒子

Claims (10)

  1. 基材をアルミニウム化合物溶液に浸漬し、
    前記基材を800℃以上に加熱し、
    金属錯体蒸気を用いる浮遊触媒輸送式の化学気相成長により、カーボンナノチューブを前記基材の表面に製膜することを特徴とするカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法。
  2. 前記アルミニウム化合物溶液が硝酸アルミニウム溶液であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法。
  3. 前記アルミニウム化合物溶液に浸漬した前記基材を、真空下で800℃以上に加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法。
  4. 前記基材は、Au、Ag、Cu、Pt、W、Nb、Ta、Mo、V、Pd、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Hf、Zr、Si、Eu、Gd、U及びそれらを主成分とする合金からなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法。
  5. 前記基材に無機物微粒子を衝突させて粗面を形成することを特徴とする請求項4に記載のカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法。
  6. 前記基材は、炭素繊維複合材、等方性黒鉛、ガラス状炭素及び天然黒鉛からなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のカーボンナノチューブ被膜部材の製造方法。
  7. 基材と、
    前記基材の表面に配置された無機物層と、
    前記無機物層上に担持された触媒金属微粒子層と、
    前記触媒金属微粒子層上に配置されたカーボンナノチューブと、
    を備え、
    分光反射率が0.01以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ被膜部材。
  8. 前記基材は、Au、Ag、Cu、Pt、W、Nb、Ta、Mo、V、Pd、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Hf、Zr、Si、Eu、Gd、U及びそれらを主成分とする合金からなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載のカーボンナノチューブ被膜部材。
  9. 前記基材が粗面を備えることを特徴とする請求項8に記載のカーボンナノチューブ被膜部材。
  10. 前記基材が炭素繊維複合材、等方性黒鉛、ガラス状炭素及び天然黒鉛からなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載のカーボンナノチューブ被膜部材。
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