JP2017022080A - ニッケル膜の製造方法、積層型セラミック電子部品の製造方法、およびニッケル膜形成用組成物 - Google Patents

ニッケル膜の製造方法、積層型セラミック電子部品の製造方法、およびニッケル膜形成用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、空隙等の欠陥の少ないニッケル膜の製造方法、前記ニッケル膜の製造方法を用いた積層型セラミック電子部品の製造方法、およびこれらの製造方法に好適に用いられるニッケル膜形成用組成物を提供することにある。【解決手段】本発明のニッケル膜の製造方法は、(1)25℃での粘度が0.5〜1,000Pa・sであって、カルボン酸のニッケル金属塩(A)、およびアルカノールアミン(B)を含有するニッケル膜形成用組成物の塗膜を、基板上に形成する工程と、(2)前記塗膜を200〜600℃で加熱する工程とを有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル膜の製造方法、積層型セラミック電子部品の製造方法、およびニッケル膜形成用組成物に関する。
一般的に、コンデンサ、インダクタ、圧電素子、バリスタおよびサーミスタ等の積層型セラミック電子部品は、内部電極層と誘電体セラミック層とを交互に積層して形成された積層体と、前記積層体中の内部電極に接続された外部電極とを有している。
CPU等の機器による処理の高速化が図られることに伴い、積層型セラミック電子部品には、小型化および薄膜化が求められてきている。例えば、内部電極層および誘電体セラミック層を薄膜化する必要がある。
しかしながら、前記電子部品における各層の中で、特に内部電極層を薄膜化すると、内部電極層として用いられる金属膜が、焼結時の収縮により空隙等の欠陥を生じやすいという問題がある。例えば、誘電体セラミックグリーンシートを用いて前記電子部品を製造する場合、前記金属膜を構成する金属成分が卑金属のニッケルであると、前記シートとニッケル膜との焼結開始温度が異なることが問題となる。一般的に、金属膜を構成するニッケル粒子の焼結開始温度は低く、前記シートを構成するセラミック粒子の焼結開始温度は高い。このため、前記シートとニッケル膜とを同時焼成した場合、ニッケル膜の表面に欠陥があると、その欠陥は焼結時に増幅し、内部電極層と誘電体セラミック層との界面で亀裂が生じる(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2005−129591号公報 特開2007−157563号公報 特開2008−223068号公報
本発明の課題は、空隙等の欠陥の少ないニッケル膜の製造方法、前記ニッケル膜の製造方法を用いた積層型セラミック電子部品の製造方法、およびこれらの製造方法に好適に用いられるニッケル膜形成用組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する製造方法および組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、例えば以下の[1]〜[6]に関する。
[1](1)25℃での粘度が0.5〜1,000Pa・sであって、カルボン酸のニッケル金属塩(A)、および炭素数3以上のアルカノールアミン(B)を含有するニッケル膜形成用組成物の塗膜を、基板上に形成する工程と、
(2)前記塗膜を200〜600℃で加熱する工程と
を有するニッケル膜の製造方法。
[2]前記カルボン酸のニッケル金属塩(A)が、蟻酸ニッケルおよびその水和物から選ばれる少なくとも1種である前記[1]に記載のニッケル膜の製造方法。
[3]前記ニッケル膜形成用組成物が、さらにカルボン酸(C)を含有する前記[1]または[2]に記載のニッケル膜の製造方法。
[4](i)誘電体セラミックグリーンシート上に、前記[1]、[2]または[3]に記載のニッケル膜の製造方法により内部電極層となるニッケル膜を形成することによって、ニッケル膜を有する誘電体セラミックグリーンシートを得る工程と、
(ii)ニッケル膜を有する前記誘電体セラミックグリーンシートを積層することによってセラミック積層体を形成する工程と、
(iii )前記セラミック積層体を焼成することによってセラミック焼結体を形成する工程と、
(iv)前記セラミック焼結体に外部電極を形成する工程と
を有する、セラミック焼結体内に複数の内部電極層が誘電体セラミック層を介して積層された構造を含む積層型セラミック電子部品の製造方法。
[5]25℃での粘度が0.5〜1,000Pa・sであって、カルボン酸のニッケル金属塩(A)、および炭素数3以上のアルカノールアミン(B)を含有するニッケル膜形成用組成物。
[6]さらに、カルボン酸(C)を含有する前記[5]に記載のニッケル膜形成用組成物。
本発明によれば、空隙等の欠陥の少ないニッケル膜の製造方法、前記ニッケル膜の製造方法を用いた積層型セラミック電子部品の製造方法、およびこれらの製造方法に好適に用いられるニッケル膜形成用組成物を提供することができる。
以下、本発明のニッケル膜形成用組成物について詳細に説明した後、本発明のニッケル膜の製造方法および積層型セラミック電子部品の製造方法について詳細に説明する。
[ニッケル膜形成用組成物]
本発明のニッケル膜形成用組成物は、カルボン酸のニッケル金属塩(A)と、炭素数3以上のアルカノールアミン(B)とを含有し、好ましくはさらにカルボン酸(C)を含有する。以下、本発明のニッケル膜形成用組成物を「本発明の組成物」ともいい、これらの含有成分を、それぞれ「成分(A)」、「成分(B)」および「成分(C)」ともいう。
〈カルボン酸のニッケル金属塩(A)〉
カルボン酸のニッケル金属塩(A)を用いることにより、金属塩から金属へ変化する際の重量減少量が少なくてすむことから、欠陥の少ないニッケル膜を形成することができる。
成分(A)は、カルボン酸のニッケル金属塩であり、水和物であってもよい。例えば蟻酸のニッケル金属塩の場合には、蟻酸ニッケル[化学式:Ni(HCOO)2 ]であっても、水和物[化学式:Ni(HCOO)2 ・2H2 O]であってもよい。
成分(A)におけるカルボン酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、ピコリン酸等の芳香族カルボン酸;乳酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
成分(A)におけるカルボン酸の炭素数は、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
成分(A)の具体例としては、蟻酸ニッケル、酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、酪酸ニッケル、吉草酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、2−エチルへキサン酸ニッケル、ネオデカン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、マロン酸ニッケル、コハク酸ニッケル、アクリル酸ニッケル、メタクリル酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、マレイン酸ニッケル、フマル酸ニッケル、安息香酸ニッケル、ピコリン酸ニッケル、乳酸ニッケル、クエン酸ニッケルおよびグルコン酸ニッケル、並びにこれらの水和物が挙げられる。
成分(A)の中でも、蟻酸ニッケルおよび酢酸ニッケルが好ましく、カルボン酸の中で質量が1番小さい蟻酸が揮発量を減らすことができ、ニッケル膜中の空隙の形成を抑制することができることから、蟻酸ニッケルおよびその水和物が特に好ましい。
成分(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、成分(A)の含有量は、10〜50質量%であり、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは20〜40質量%である。但し、成分(A)が水和物である場合、成分(A)の含有量は無水のニッケル金属塩換算量である。
〈アルカノールアミン(B)〉
炭素数3以上のアルカノールアミン(B)は、加熱時の還元反応により、成分(A)中のニッケルイオンをニッケル金属に還元するともに、揮発または分解して揮発する。したがって、成分(A)および成分(B)を含有する組成物を用いることにより、導電性を有するニッケル膜を形成することができる。
成分(B)の炭素数は、沸点の点から、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜7である。
成分(B)としては、例えば、式(1)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017022080
式(1)中、R1 は水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、R2 は炭素数1〜7のアルキレン基であり、ただし、R1 およびR2 の炭素数の合計は3以上であり、好ましくは3〜10である。
式(2)中、R3 およびR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜7のアルキレン基であり、ただし、R3 およびR4 の炭素数の合計は3以上であり、好ましくは3〜10である。
式(3)中、R1 は水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、RT は炭素数1〜7の3価の飽和脂肪族炭化水素基であり、ただし、R1 およびRT の炭素数の合計は3以上であり、好ましくは3〜10である。
式(4)中、R1 は水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、R5 およびR6 はそれぞれ独立に炭素数1〜7のアルキレン基であり、ただし、R1 、R5 およびR6 の炭素数の合計は3以上であり、好ましくは3〜10である。
式(1)〜式(4)においてR1 で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。
式(1)、式(2)および式(4)においてR2 〜R6 で示されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、n−プロパン−1,2−ジイル基、n−プロパン−1,3−ジイル基、n−ブタン−1,2−ジイル基、n−ブタン−1,3−ジイル基、n−ブタン−1,4−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基が挙げられる。
式(3)においてRT で示される3価の飽和脂肪族炭化水素基としては、前記アルキレン基を3価の基に変更した基が挙げられる。
成分(B)のうち、式(1)で表される化合物の具体例としては、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが挙げられ、
式(2)で表される化合物の具体例としては、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、4−(エチルアミノ)−1−ブタノールが挙げられ、
式(3)で表される化合物の具体例としては、ジエタノールアミン、ジn−プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、3−アミノ−1,2−プロパンジオールが挙げられ、
式(4)で表される化合物の具体例としては、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールが挙げられる。
成分(B)としては、1気圧での沸点が150〜300℃の化合物を用いることが好ましく、より好ましくは170〜270℃、さらに好ましくは180〜250℃である。沸点が前記下限値以上であれば、成分(B)の揮発が速すぎてニッケル膜が形成される前にニッケル粒子が酸化されることおよびニッケル膜にクラックが発生することを防ぐことができる。沸点が前記上限値以下であれば、ニッケル膜を形成する際の加熱により成分(B)が適度な速度で揮発するため、均一性および緻密性に優れたニッケル膜を形成することができる。
成分(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、成分(B)の含有量は、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜75質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。成分(B)の含有量が前記範囲内であると、カルボン酸のニッケル金属塩(A)を均一に溶解することができることから、欠陥の少ないニッケル膜を形成することができる。
〈カルボン酸(C)〉
本発明の組成物は、さらに、カルボン酸(C)を含有することができる。カルボン酸(C)を含有することで、薄膜であっても欠陥の少ないニッケル膜を形成することができる。
前記薄膜とは、通常、0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下の膜厚を有する膜を示す。
前記カルボン酸(C)としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、ピコリン酸等の芳香族カルボン酸;乳酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは飽和脂肪族モノカルボン酸、より好ましくは、炭素数1〜4の飽和脂肪族カルボン酸、さらに好ましくは炭素数1または2の飽和脂肪族カルボン酸である。カルボン酸(C)として、飽和脂肪族モノカルボン酸を用いることで、体積比低効率の低いニッケル膜を形成することができる。
成分(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、成分(C)の含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。成分(B)の含有量が前記範囲内であると、欠陥が少なく、体積比抵抗率の低いニッケル膜を形成することができる。
〈他の成分〉
本発明の組成物は、必要に応じて、ニッケル金属塩(A)の加熱分解促進剤、バインダー成分、界面活性剤、チクソ剤、表面張力調整剤、粘度調整剤から選ばれる少なくとも1種をさらに含有してもよい。また、前記組成物は、アルカノールアミン(B)およびカルボン酸(C)以外の有機溶媒および水から選ばれる少なくとも1種をさらに含有してもよい。
《加熱分解促進剤》
ニッケル金属塩(A)の加熱分解促進剤を本発明の組成物に配合することにより、ニッケル金属塩(A)の分解温度を低下させることができるため、ニッケル膜の形成温度を低下させることができる。
なお、加熱分解促進剤の種類およびその含有量によっては、組成物の放置時間が長くなると分解促進作用によりニッケル粒子が生成する場合がある。この場合には、組成物を使用する直前に加熱分解促進剤を配合することが好ましい。
前記促進剤としては、例えば、酢酸パラジウム等のパラジウム化合物が挙げられる。
前記促進剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、加熱分解促進剤を用いる場合のその含有量は、成分(A)100質量部に対して、通常0.3質量部以下、好ましくは0.002〜0.1質量部、より好ましくは0.02〜0.1質量部である。
《バインダー成分》
バインダー成分を本発明の組成物に配合することにより、得られる塗膜の密着力および平坦性を向上させることができる。バインダー成分としては、例えば、有機高分子、シリコーン系またはチタン系のカップリング剤が挙げられる。
有機高分子としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、セルロース系樹脂、ロジン系樹脂が挙げられる。
カップリング剤としては、例えば、アミノ基およびアミン基から選ばれる少なくとも1種を有するカップリング剤が、成分(A)の溶解性を損なわないため好ましい。アミノ基は、例えば−NH2 で表され、アミン基は、アンモニアの水素原子の1個、2個または3個をそれぞれ1個、2個または3個のアルキル基(例:メチル基、エチル基)またはアリール基(例:フェニル基)で置換して得られる官能基である。
シリコーン系カップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメチルメトキシシランが挙げられる。
チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリス[2−(2−アミノエチルアミノ)エチル]チタンが挙げられる。
バインダー成分としてカップリング剤を用いる場合、無機成分がニッケル膜中に残留し、基板とニッケル粒子とを接合するため、基板に対するニッケル膜の密着力を向上させることができる。
バインダー成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、バインダー成分を用いる場合のその含有量は、成分(A)100質量部に対して、通常、5質量部以下、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部である。バインダー成分の含有量が前記範囲であると、塗膜の密着力および平坦性を向上させるとともに、バインダー成分がニッケル粒子同士の間に介在して接触を阻害してしまいニッケル膜の導電性が損なわれるおそれも小さい。
《界面活性剤》
界面活性剤を本発明の組成物に配合することにより、組成物の基材への塗布性を向上させることができる。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アミン系界面活性剤が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン、これらの化合物の一部に各種官能基を導入した化合物が挙げられる。側鎖および末端における変性基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基が挙げられる。前記化合物の一部に導入されうる官能基としては、アルカノールアミン(B)への溶解性およびニッケル金属塩(A)の溶解安定性を向上させるという点から、上述したアミノ基およびアミン基が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウムが挙げられる。
アミン系界面活性剤としては、例えば、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルベンジル第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩、アルキルアミン酢酸塩が挙げられる。これらの中でも、アルキルアミン酢酸塩が、ニッケル膜形成用組成物の安定性を良好に保ち、かつ熱分解性も有するため好ましい。アルキルアミン酢酸塩としては、例えば、[RNH3 + [CH3 COO]- で表される化合物が挙げられる。前記式中、Rはアルキル基であり、好ましくは炭素数8〜18のアルキル基である。
界面活性剤のHLB値(親水性−親油性バランス)は10〜20であることが好ましい。HLB値が前記範囲であると、得られる塗膜の均一性が充分となる傾向が見られる。HLB値は、界面活性剤の性質を示す1つの指標であり、HLB値は親水性および親油性の均衡を示す。HLB値が高ければ高いほど水溶性であり、低ければ低いほど油性に近づく。
界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、界面活性剤を用いる場合のその含有量は、成分(A)100質量部に対して、通常、3質量部以下、より好ましくは0.01〜2質量部、さらに好ましくは0.02〜0.5質量部である。界面活性剤の含有量が前記範囲であると、組成物の基材への塗布性向上させることができ、欠陥の少ないニッケル膜を形成することができる。
《有機溶媒および水》
アルカノールアミン(B)およびカルボン酸(C)以外の有機溶媒としては、例えば、本発明の組成物の粘度を調整するために配合することができる。アルカノールアミン(B)およびカルボン酸(C)以外の有機溶媒を「他の有機溶媒」ともいう。
他の有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、グリコール溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、アミド溶媒が挙げられる。
脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、デカリンが挙げられる。
芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ターピネオール、ジヒドロターピネオールが挙げられる。
グリコール溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロフランが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
他の有機溶媒の中でも、アルカノールアミン(B)と良好な相互溶解性を有し、ニッケル金属塩(A)の溶解安定性を悪化させないことから、グリコール溶媒が好ましい。
他の有機溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、他の有機溶媒を用いる場合のその含有量は、アルカノールアミン(B)および他の有機溶媒の含有量の合計が、好ましくは30〜90質量%となる量である。
水は、成分(A)として水和物を用いた場合は、必然的に本発明の組成物に含有される。水は、成分(A)の溶解および安定性を高める働きがある。このため、本発明の組成物中の水の含有量は、例えば10質量%以下であってもよい。
〈ニッケル膜形成用組成物の製造方法〉
本発明のニッケル膜形成用組成物は、少なくとも、成分(A)および成分(B)を混合することで製造することができる。例えば、成分(A)を成分(B)に加熱溶解させることによって製造することができる。必要に応じて、カルボン酸(C)、ニッケル金属塩(A)の加熱分解促進剤、バインダー成分、界面活性剤、他の有機溶媒および水から選ばれる少なくとも1種を配合してもよい。混合する順序は特に限定されない。また、ゴミを取り除くために、各成分を均一に混合した後、得られた混合物をフィルター等で濾過してもよい。
加熱溶解条件は、例えば、加熱温度が通常は40℃以上、より好ましくは50〜100℃であり、加熱時間が通常は1時間以上、より好ましくは2〜10時間である。
本発明の組成物のニッケル濃度は、通常、5質量%以上、好ましくは5〜20質量%である。ニッケル濃度とは、本発明の組成物中に含まれるニッケル元素の質量%を意味する。
本発明の組成物の粘度は、0.5〜1,000Pa・s、好ましくは1〜500Pa・s、より好ましくは10〜200Pa・sである。粘度は、JIS Z8803:2011の「10.円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に則り、E型粘度計で、回転速度が2.5〜10rpm 温度が25℃の条件で測定される値である。
粘度が前記範囲より低い組成物を用いると、粘度が前記範囲にある組成物の場合に比べ、加熱前の塗膜を形成した段階での塗膜の流動性が高くなる。この後、塗膜を加熱すると、流動性の高い塗膜は、塗膜中に含まれるカルボン酸のニッケル金属塩(A)が局所的に集まり、空隙、やクラックが形成される。そしてこの空隙やクラックは、塗膜を加熱しニッケル膜を製造するときに大きくなり、ニッケル膜の欠陥となる。
一方、粘度が前記範囲より高い組成物は、流動性が低すぎるため、スクリーン印刷法やバーコート法など、通常の塗膜形成法では、均一な塗膜を形成することが難しく、不均一な膜ができてしまい、空隙が形成される。そしてこの空隙は、塗膜を加熱しニッケル膜を製造するときに大きくなり、ニッケル膜の欠陥となる。
以上のように、粘度が前記範囲にある本発明の組成物であれば、上述の空隙が形成されることなくニッケル膜を製造することができる。
特に、積層型セラミックコンデンサを製造する場合、ニッケル膜と誘電体セラミック層とを焼成するため、ニッケル膜に空隙があるとその空隙がより大きくなり、結果として、積層セラミックコンデンサの静電容量が低下するという問題が起こる。本発明では、粘度が前記範囲にある組成物を用いることにより、静電容量の低下を抑制することができる。
粘度が前記範囲にある組成物は、特にスクリーン印刷法により良好に塗膜を形成することができる。本発明では、ニッケル源としてカルボン酸のニッケル金属塩(A)を用いていることから、前記粘度の組成物であっても、貯蔵安定性に優れている。
本発明の組成物は、積層型セラミック電子部品に含まれる内部電極層を形成するために好適に用いることができる。内部電極層を形成するために、本発明の組成物を、スクリーン印刷法により、誘電体セラミックグリーンシート上に塗布することが好ましい。
[ニッケル膜の製造方法]
本発明のニッケル膜の製造方法は、上述したニッケル膜形成用組成物の塗膜を、基板上に形成する工程(1)と、前記塗膜を200〜600℃で加熱する工程(2)とを有する。
〈工程(1)〉
工程(1)では、本発明のニッケル膜形成用組成物の塗膜を形成する。
前記塗膜は、例えば、前記組成物を基板上に塗布することにより形成することができる。前記組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布方法が挙げられる。これらの中でも、欠陥の少ないニッケル膜を形成できることから、スクリーン印刷法が好ましい。
基板としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等のセラミック材料からなるセラミック基板およびセラミックグリーンシート;ソーダガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、石英ガラス基板等のガラス基板;低密度ポリエチレン樹脂基板、高密度ポリエチレン樹脂基板、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂基板、アクリル樹脂基板、スチレン樹脂基板、塩化ビニル樹脂基板、ポリエステル基板、ポリアセタール基板、セルロース誘導体樹脂基板等の樹脂基板;銅基板、鉄基板、アルミニウム基板等の金属基板;シリコン基板等の半導体基板が挙げられる。
〈工程(2)〉
工程(2)では、基板上に形成された前記塗膜を200〜600℃で加熱する。前記加熱により、成分(A)中のニッケルイオンの還元反応が進行するとともにカルボン酸が揮発して、ニッケル膜が形成される。
前記加熱は、例えば、非酸化性雰囲気下で行う。非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気;水素ガス、水素−窒素混合ガス等の還元性ガス雰囲気が挙げられる。還元性ガス雰囲気が、ニッケルの酸化を抑制しして、ニッケル膜の導電性を一層向上できる点で好ましい。
また、加熱時間は、例えば10〜120分間である。
本発明の製造方法で得られるニッケル膜の膜厚は、通常は0.05〜10μm、より好ましくは0.07〜5μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。膜厚は、接触式膜厚計を用いて測定することができる。
本発明の製造方法で得られるニッケル膜の比抵抗値は、通常は100mΩ・cm以下、より好ましくは10mΩ・cm以下、さらに好ましくは1mΩ・cm以下である。比抵抗値は、4端子抵抗測定器等を用いて測定することができる。
本発明のニッケル膜の製造方法は、以下に説明するように、積層型セラミック電子部品が有する内部電極層としてのニッケル膜の製造に特に好適に用いることができる。
本発明のニッケル膜の製造方法は、その他、配線基板、タッチパネル、液晶表示素子および有機EL素子等が有する基板上に形成される金属膜の製造に用いることができる。基板上に形成されたニッケル膜をフォトリソグラフィ法等の公知の方法を利用してパターニングすることで、配線、電極および端子等を形成することができる。
[積層型セラミック電子部品の製造方法]
本発明の積層型セラミック電子部品の製造方法は、誘電体セラミック層となる誘電体セラミックグリーンシート上に、本発明のニッケル膜の製造方法により内部電極層となるニッケル膜を形成することによって、ニッケル膜を有する誘電体セラミックグリーンシートを得る工程(i)と、ニッケル膜を有する前記誘電体セラミックグリーンシートの複数を積層することによって、セラミック積層体を形成する工程(ii)と、前記セラミック積層体を焼成することによってセラミック焼結体を形成する工程(iii )と、前記セラミック焼結体に外部電極を形成する工程(iv)とを有する。
以上の工程を有する本発明の製造方法により、セラミック焼結体内に複数の内部電極層が誘電体セラミック層を介して積層された構造を含む積層型セラミック電子部品を、具体的には、交互に積層された内部電極層と誘電体セラミック層とを有する積層型セラミック電子部品を製造することができる。
積層型セラミック電子部品としては、例えば、積層型の、コンデンサ、インダクタ、圧電素子、バリスタ、サーミスタが挙げられる。これらの中でも、本発明は積層型セラミックコンデンサの製造に好適である。
〈工程(i)〉
工程(i)では、先ず、誘電体セラミックグリーンシートを複数枚用意する。次いで、誘電体セラミックグリーンシート上に、本発明のニッケル膜の製造方法によってニッケル膜を形成する。前記ニッケル層は、焼成後、得られる積層型セラミック電子部品において内部電極層として働く。
本発明で使用される誘電体セラミックグリーンシートとしては、従来公知のセラミックグリーンシートを使用することができる。例えば、チタン酸バリウムおよびジルコン酸バリウム等の誘電体セラミック原料粉末と、有機バインダーおよび有機溶媒とを湿式混合することにより、セラミックスラリーを調製し、前記セラミックスラリーを成形加工することにより、セラミックグリーンシートを得る。
このような誘電体セラミックグリーンシート上に、本発明のニッケル膜の製造方法により、すなわち本発明のニッケル膜形成用組成物を用いて、内部電極層となるニッケル膜を形成する。このようにして、前記シートの表面に所定のパターンを有するニッケル膜を形成する。ニッケル膜の形成条件は、前記[ニッケル膜の製造方法]の欄に記載したとおりである。
本発明の製造方法では、ニッケル膜を有する誘電体セラミックグリーンシートを複数枚用いるが、その一部に、本発明のニッケル膜の製造方法以外の方法で形成されたニッケル膜を有する誘電体セラミックグリーンシートを用いてもよい。このようなニッケル膜は、例えば、NiまたはNi合金を含有する内部電極層用導電性ペーストを用いて形成することができる。
〈工程(ii)〉
工程(ii)では、ニッケル膜を有する前記誘電体セラミックグリーンシートを所定方向に複数枚積層して、未焼成のセラミック積層体を作製する。例えば、前記シートを、ニッケル膜の形成面が同一方向を向くように複数枚積層する。
ニッケル膜を有する前記誘電体セラミックグリーンシートを複数枚積層し、必要に応じて、得られた積層体の最外層上に、ニッケル膜を有さないセラミックグリーンシート(外層用シート)を積層する。
以上のようにして得られた積層体を圧着し、所定寸法に切断することにより、未焼成のセラミック積層体が得られる。
〈工程(iii )〉
工程(iii )では、前記セラミック積層体を焼成することによってセラミック焼結体を形成する。
焼成処理は、通常は600〜2000℃、好ましくは800〜1500℃で行う。焼成処理は、通常、水素ガス雰囲気などの非酸化性雰囲気下または大気圧下で行い、好ましくは、非酸化性雰囲気下で行う。焼成処理により、ニッケル膜と誘電体セラミック層とが同時に焼成され、交互に積層された内部電極層と誘電体セラミック層とを有するセラミック焼結体を得ることができる。
また、焼成時間は、通常、1〜20時間である。
〈工程(iv)〉
工程(iv)では、前記セラミック焼結体に外部電極を形成する。
例えば、セラミック焼結体の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布し、焼き付け処理を行い、これにより外部電極を形成する。外部電極用導電性ペーストに含有される導電性材料としては、例えば、Cu等の卑金属材料が挙げられる。
必要に応じて、耐熱性およびはんだ濡れ性を向上させるために、外部電極にメッキ処理を行ってもよい。例えば、電解メッキを行って外部電極の表面にNi、Cu等からなる第1のメッキ皮膜を形成し、さらに前記第1のメッキ皮膜の表面にはんだ、スズ等からなる第2のメッキ皮膜を形成する。
以上のようにして、積層型セラミック電子部品を製造することができる。積層型セラミック電子部品では、セラミック焼結体中に内部電極が埋設されていると共に、セラミック焼結体の両端部には、内部電極と導通する外部電極が形成されている。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」の意味で用いる。
1.ニッケル膜形成用組成物、およびニッケル膜の製造
1−1.ニッケル膜形成用組成物の粘度測定方法
ニッケル膜形成用組成物の粘度は、JIS Z8803:2011 10.円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法に則り、E型粘度計で、回転速度が2.5〜10rpm 温度が25℃の条件で測定した。
1−2.ニッケル膜形成用組成物、およびニッケル膜の製造
[実施例1]
ギ酸ニッケル2水和物10g、および3−アミノ−1−プロパノール40gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、粘度0.7Pa・s、ニッケル濃度6.4質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ50μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱し、厚さ0.6μmのニッケル膜を製造した。
[実施例2]
ギ酸ニッケル2水和物10g、3−アミノ−1−プロパノール20g、およびプロピレングリコール10gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、25℃での粘度2.5Pa・s、ニッケル濃度8.0質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ50μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱し、厚さ0.8μmのニッケル膜を製造した。
[実施例3]
ギ酸ニッケル2水和物19.1g、および3−アミノ−1−プロパノール76.2gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、室温に戻した後、ギ酸を4.7g添加して攪拌し、25℃での粘度0.8Pa・s、ニッケル濃度6.0質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ30μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱し、厚さ0.2μmのニッケル膜を製造した。
[実施例4]
ギ酸ニッケル2水和物19.1g、および3−アミノ−1−プロパノール76.2gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、室温に戻した後、酢酸を4.7g添加して攪拌し、25℃での粘度0.8Pa・s、ニッケル濃度6.0質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ30μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱し、厚さ0.2μmのニッケル膜を製造した。
[実施例5]
ギ酸ニッケル2水和物19.1g、および3−アミノ−1−プロパノール76.2gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、室温に戻した後、プロピオン酸を4.7g添加して攪拌し、25℃での粘度0.8Pa・s、ニッケル濃度6.0質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ30μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱し、厚さ0.2μmのニッケル膜を製造した。
[実施例6]
ギ酸ニッケル2水和物19.1g、および3−アミノ−1−プロパノール76.2gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、室温に戻した後、酪酸を4.7g添加して攪拌し、25℃での粘度0.8Pa・s、ニッケル濃度6.0質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ30μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱し、厚さ0.2μmのニッケル膜を製造した。
[比較例1]
ギ酸ニッケル2水和物5g、3−アミノ−1−プロパノール45g、およびプロピレングリコール10gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、粘度0.1Pa・s、ニッケル濃度3.2質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ100μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱し、厚さ0.5μmのニッケル膜を製造した。
[比較例2]
ギ酸ニッケル2水和物10g、および3−(2−エチルヘキシル)オキシプロピルアミン30gを混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、粘度50Pa・s、ニッケル濃度8.0質量%の青色透明溶液のニッケル膜形成用組成物を製造した。
厚さ10μmのチタン酸バリウムのグリーンシートに、前記ニッケル膜形成用組成物をスクリーン印刷法にて塗布することにより、厚さ50μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱したが、均一なニッケル膜は得られなかった。
2.ニッケル膜の評価
実施例1〜6および比較例1のニッケル膜について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
2−1.体積抵抗値の測定
ニッケル膜の体積抵抗値は、JIS K6911に従い行った。室温で、四探針抵抗測定機(商品名「Model sigma−5」、NPS社製)を用いて測定した。
2−2.欠陥の有無
ニッケル膜における欠陥の有無は、金属顕微鏡(倍率50倍)にてクラックやピットの数を数えて行った。
Figure 2017022080

Claims (6)

  1. (1)25℃での粘度が0.5〜1,000Pa・sであって、カルボン酸のニッケル金属塩(A)、およびアルカノールアミン(B)を含有するニッケル膜形成用組成物の塗膜を、基板上に形成する工程と、
    (2)前記塗膜を200〜600℃で加熱する工程と
    を有することを特徴とするニッケル膜の製造方法。
  2. 前記カルボン酸のニッケル金属塩(A)が、蟻酸ニッケルおよびその水和物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル膜の製造方法。
  3. 前記ニッケル膜形成用組成物が、さらにカルボン酸(C)を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のニッケル膜の製造方法。
  4. (i)誘電体セラミックグリーンシート上に、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のニッケル膜の製造方法により内部電極層となるニッケル膜を形成することによって、ニッケル膜を有する誘電体セラミックグリーンシートを得る工程と、
    (ii)ニッケル膜を有する前記誘電体セラミックグリーンシートを積層することによってセラミック積層体を形成する工程と、
    (iii )前記セラミック積層体を焼成することによってセラミック焼結体を形成する工程と、
    (iv)前記セラミック焼結体に外部電極を形成する工程と
    を有することを特徴とする、セラミック焼結体内に複数の内部電極層が誘電体セラミック層を介して積層された構造を含む積層型セラミック電子部品の製造方法。
  5. 25℃での粘度が0.5〜1,000Pa・sであって、カルボン酸のニッケル金属塩(A)、および炭素数3以上のアルカノールアミン(B)を含有することを特徴とするニッケル膜形成用組成物。
  6. さらに、カルボン酸(C)を含有することを特徴とする請求項5に記載のニッケル膜形成用組成物。
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