JP2017020063A - フレア加工用銅又は銅合金管 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレア加工による拡管により拡管部に割れが発生することがない細径で薄肉のフレア加工用銅又は銅合金管を提供する。【解決手段】フレア加工用銅又は銅合金管は、継目無管の管端部にフレア加工するフレア加工用銅又は銅合金管において、外径Dが2.0乃至5.5mmであり、肉厚Tと外径Dとの比T/Dが(0.057−0.005D)以上(0.075−0.005D)以下であり、平均結晶粒径が30μm以下であり、円周方向の伸びが35%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、ルームエアコンの熱交換器等に使用されるフレア加工用銅又は銅合金管に関し、特に、フレア加工部の拡管割れ防止性が優れたフレア加工用銅又は銅合金管に関する。
ルームエアコンの熱交換器は、複数個の直管状の銅又は銅合金管(以下、総称して銅管という)をその中間部で折り返し(180°)曲げ加工し、U字状のヘアピン管を得、複数の銅管の直管部を相互に平行に配置し、複数枚のアルミニウム又はアルミニウム合金(以下、総称してアルミニウムという)からなるフィンにこれらの銅管直管部を挿通し、銅管の直管部を拡管することにより、銅管とアルミニウムフィンを密着させ、フィンから突出した各銅管の隣接する管端部同士をU字形のベンド銅管で連結することによって、組立てられる。これにより、各銅管の内部が熱媒体の通流流路として1本の通路で連結される。
この場合に、図1(a)に示すヘアピン状銅管1は、その両管端部が180°で折り返すようにU字状に曲げ加工されており、ヘアピン状をなしている。そして,銅管1の同一方向を向く両管端部から、銅管1をアルミニウムフィン(図示せず)の孔に挿通した後、銅管1の直管部を若干拡管加工(一次拡管)することにより、この銅管1の直管部がアルミニウムフィンに固定される。また、ベンド銅管2は、その長手方向がU字形に曲げ加工されており、その両管端部を2本のヘアピン銅管1の管端部に向けて、そのヘアピン銅管1の管端部のフレア加工部12に挿入して配置される。このヘアピン銅管1の管端部は、ベンド銅管2の管端部が嵌入される部分が、拡管加工されて、二次拡管部11となり、更に、ヘアピン銅管1の管端がフレア加工されて、三次フレア加工部12となっている。ヘアピン銅管1の大部分を占める直管部と、二次拡管部11との間は、管径が徐々に変化する遷移部10となっている。そして、銅管1の管端部の二次拡管部11に、ベンド管2の管端部を嵌合し、三次フレア加工部12の管端内面とベンド管2の外面との管の隙間に、リング状のろう材13を配置し、この組立体の全体を加熱炉内に挿入して、又はヘアピン状銅管1とベンド銅管2の嵌合部及びその周辺をバーナーで加熱して、ろう材13を溶融させ、凝固後のろう材13により、直管状銅管1とベンド管2とを二次拡管部11で接合する。
而して、従来のフレア加工用の銅管としては、リン脱酸銅管の内面溝付管が広く使用されている。また、従来のこの種の銅管は、外径が7乃至9.52mmであり、更に、伝熱管の軽量化及び性能向上のために、外径の小径化が要望されている。また、管内を通流する冷媒は、地球温暖化係数の低減のために、R410AからR32へと切り替わりつつある。この場合に、R32は、微燃性のため、冷媒の使用量を削減することが要望されている。このため、伝熱管を構成する銅管の外径は、7mmから、6.35mm、5mm、4mm、更に4mm未満とますます細くなっていく傾向にある。
従来、公知のフレア加工用の銅管としては、外径が9.52mmの溶接管(特許文献1)、外径が6.5mmの溶接管(特許文献2)、外径が7mmの内面溝付溶接管(特許文献3)が開示されている。
特開平6−94390号公報 特開2000−199023号公報 特開2001−287048号公報
しかしながら、フレア加工用銅管として提案されている前記溶接管の外径は、6.5mm以上であり、近時の細径化の要請に応えられるものではない。また、溶接管に存在する溶接部は凝固組織であるため、拡管割れに対する溶接管の信頼性は継目無管に劣るという問題点がある。継目無管は、生産性が高く、外径が6mm以下の細径管も開発されているが、外径が6mm未満で肉厚が薄い銅管においては、フレア加工により割れが発生し、熱交換器の歩留まり低下の問題が発生する頻度が多くなってきている。
銅管の外径が小さくなっても、ろう材を設置するための隙間を提供する三次フレア加工部12の最大拡径部の外径は、管外径の小径化に比例して小さくなるものではない。このため、管外径が小さくなると、三次フレア加工部12の二次拡管部11に対する拡管率は管外径が大きい場合に比べ、相対的に大きくなる。これにより、外径が小さい銅管ほど三次フレア加工の加工条件はより厳しくなる。更に、銅管の外径が小さくなるにつれて、同じ耐圧強度を持たせるために必要な銅管の底肉厚は薄くても済むようになるが、同時に小径化、薄肉化するための転造加工率、及び縮径加工率は共に大きくなる。このため、外径が小さい銅管ほど、前記加工時に銅管外面の微細な表面疵が発生しやすくなる。
なお、銅管の外面に形成された深さ約0.03mm(検出限界)以上の疵は、渦流探傷によって検出することができる。通常は、渦流探傷試験により検出限界以上の疵が見つかった銅管は熱交換器に加工されることはなく、検出限界以下をクリアした銅管(合格品)のみが使われる。通常、合格品であれば、外径6mm以上の銅管では、三次フレア加工により割れが発生することがないが、それより外径が小さい銅管では割れが発生する例が見られるようになってきた。管外径が9.52mm、7mm、又は6mmの銅管の場合、合格品であれば、フレア加工前に渦流探傷の検出限界値以下の0.03mm未満の微細な疵があっても、肉厚が十分に厚く、外径に対する三次フレア加工部の拡管率も大きくないので、その疵を起点とする拡管割れの発生に到ることは通常ない。しかし、管外径が6mm未満の銅管では、肉厚は薄くなり、三次フレア加工部12の拡管率も高くなるので、渦流探傷試験の合格品であっても、三次フレア加工部12に拡管割れが発生してしまうことがある。このように、割れが発生した伝熱管は、熱交換器に使用することができなくなる。三次フレア加工による拡管部の割れを防止するには、小径銅管の肉厚を厚くする対策が考えられるが、この場合、銅管の単位長さあたりの質量が増加し、軽量化が達成できなくなることから、この対策をとることは難しい。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、三次フレア加工による拡管により拡管部に割れが発生することがない細径で薄肉のフレア加工用銅又は銅合金管を提供することを目的とする。
本発明に係るフレア加工用銅又は銅合金管は、継目無管の管端部にフレア加工するフレア加工用銅又は銅合金管において、
外径Dが2.0乃至5.5mmであり、肉厚Tと外径Dとの比T/Dが(0.057−0.005D)以上(0.075−0.005D)以下であり、平均結晶粒径が30μm以下であり、円周方向の伸びが35%以上であることを特徴とする。この場合に、内面溝付管であることが好ましい。
本発明においては、継目無銅管の肉厚、平均結晶粒径及び延びを適切に設定したので、外径が2.0乃至5.5mmの細径銅管を使用して、フレア加工した場合に、フレア加工部の拡管部に割れが発生することを防止することができる。
(a)、(b)は、直管状銅管とベンド管との接続方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。本発明は、継目無銅管(以下、銅合金管も含む)であり、内面に溝が形成された内面溝付管の場合は、素管の内部に、外面に溝加工されたプラグ(溝プラグ)を挿入し、素管の外面に遊星回転するボール等を転動させて、素管の内面を溝プラグの外面に押しつけることにより、素管の内面に溝プラグの溝を転写することによって、管内面に溝を成形する。
素管の材質は、例えば、JIS H3300で規定される合金番号C1220のリン脱酸銅、C1020の無酸素銅、C5010の高強度銅(KHRT(商品名))等である。
そして、この継目無の内面溝付銅管又は継目無平滑銅管の外径Dは、2.0乃至5.5mmであり、肉厚Tと外径Dとの比T/Dは、(0.057−0.005D)以上(0.075−0.005D)以下であり、平均結晶粒径は、30μm以下であり、円周方向の延びは35%以上である。
「平均結晶粒径:30μm以下」
次に、本発明の銅管の材質の数値範囲の規定理由について説明する。先ず、平均結晶粒径について説明する。この平均結晶粒径は、フレア加工用銅又は銅合金管の管軸方向に平行な断面をJISH0501に定められた切断法により、肉厚方向の平均結晶粒径として求めたものである。同様の測定方法により、管軸方向に任意の10箇所で平均結晶粒径を測定し、それらの平均をとって、本発明の平均結晶粒径とした。外径が5.5mm以下の小径銅管において、平均結晶粒径が30μmを超えると、拡管による割れ感受性が高くなり、銅管の外表面に渦流探傷試験により検知できない深さ0.03mm未満の疵があった場合でも、一次拡管、二次拡管により表面の疵部分の深さが大きくなり、三次フレア加工による拡管で表面割れに至ってしまう。このため、平均結晶粒径は30μm以下とする。平均結晶粒径は25μm以下が望ましく、20μm以下が更に望ましい。なお、平均結晶粒径は小さいほど拡管による割れがおきにくくなるが、その下限値はりん脱酸銅管の場合は5μm、銅合金管の場合は3μmであれば、比較的容易に制御することができる。
「円周方向の延び:35%以上」
フレア加工用銅管の内部に水圧を負荷して破壊させ、破壊部(略円形断面)において、管外面の長さが最大となる部分の外面長さを測定して、これを破壊前の外面円周長さで除することによって、円周方向の伸びを計算した。この計算式は下記のとおりである。
円周方向の伸び=
{(破壊後の管外面の最大長さ−破壊前の外面円周長さ)/(破壊前の外面円周長さ)}×100
なお、破壊部分の管外面長さは、管軸方向に直交するように破壊部の断面を切断して樹脂に埋め込み、オリンパス株式会社製オプトデジタルマイクロスコープによって破壊した外面の長さを測定した。
銅管の外表面における深さが0.03mm未満の外表面疵は、渦流探傷試験により検知できず、また蛍光探傷によっても検知することが困難である。このため、渦流探傷試験に合格した銅管であっても、それをサンプリングし、三次フレア加工すると、割れがないものと、三次フレア加工前の0.03mm未満の外表面疵に起因して発生したと考えられる割れがあるものとが存在する。これらの銅管について、一時拡管前のものの円周方向の伸びを前述の方法により調査したところ、3次フレア加工により割れが発生したものはいずれも伸びが35%未満、割れが発生しなかったものは伸びが35%以上であった。このことは、円周方向の伸びにより、小径銅管の三次フレア加工後の割れ感受性を予想又は評価できることを示している。銅管外表面の疵は圧延及び抽伸などの工程において、工具との接触により銅管の長手方向に形成されるものが多いことから、フレア加工によって銅管の円周方向に応力をかけることにより、疵が口を開いて割れとなって破壊し、表面疵の多い銅管では伸びが小さく、表面疵の少ない銅管では伸びが大きくなったものと推定することができる。よって、円周方向の伸びは、35%以上とする。なお、円周方向の伸びは、好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上である。
次に、上述の如く構成された銅管の製造方法について、説明する。先ず、所定の組成の銅の管状の押出材を得る。この押出材は、例えば、管の外径Dが、90mmであり、肉厚は10mmである。この押出管材は、その表面の皮むきを行い、表面疵及び表面のスケールを除去する。これは、後工程で疵発生の原因となる押出後の表面疵及び表面スケールを除去しておくためである。
次に、押出材の結晶粒の微細化処理をする。これは、押出材の加工性を向上させることにより、フレア加工時の微細疵の発生を防止するためである。押出材の微細化処理は、通常、押出完了後の素管を水槽内の水中に浸漬して急冷することにより、行っている。しかし、このような従来の微細化処理では、結晶粒の粗大化防止には十分ではない。そこで、本実施形態では、押出直後から押出素管に対し、シャワー水を噴射して水冷することにより、急冷する。これにより、押出直後の素管の結晶粒の粗大化を十分に阻止することができる。押出時の素管の結晶粒径は、格別の急冷処理をしなければ、約300乃至1000μmであるが、上述の押出直後の冷却水噴射による急冷処理を行うと、押出素管の平均結晶粒径は100乃至300μmとなる。
次に、押出素管に対し、圧延加工を行う。この圧延の加工率は、70乃至85%であり、通常の圧延加工の加工率よりも低い。これは、加工硬化の度合いを低減して、フレア加工時の疵の発生を抑制するためである。
次に、銅管を抽伸加工する。これにより、銅管を所定の外径及び肉厚に加工することができる。管外面をダイスで拘束し、管内面をプラグで拘束して、抽伸機により、銅管を引き抜き加工する。
この場合に、抽伸加工の1回あたりの加工率は、通常の抽伸加工の加工率よりも低い20乃至30%とすることが好ましい。これにより、加工硬化の度合いを低減して、フレア加工時の疵の発生を抑制することができる。そして、この圧延加工及び抽伸加工により発生し、フレア加工時まで残存している微細な疵を低減することができる。特に、0.03mm程度の微細な疵は、渦流探傷で補足できないが、そのような大きさを超える疵は、フレア加工前に存在しないようにすることが好ましい。
この場合に、抽伸加工にて使用するダイスの材質として、ヌープ硬度が80〜150GPa程度である高硬度のダイヤモンドダイスを使用することが好ましい。この硬度が高いダイスを使用して抽伸加工することにより、ダイスの表面の微細疵が少ないため、抽伸加工時にダイスの微細疵が銅管表面に転写されて、銅管表面の疵が増大することが防止される。
また、ダイスの表面に塗布する外面潤滑油として高粘度のものを使用する。ダイスに疵が発生することを防止して、その疵が銅管表面に転写されることを防止するためである。この外面潤滑油の粘度は約1500cst以上であることが好ましい。更に、この外面潤滑油については、濾過フィルタを通すことにより、外面潤滑油中の介在物を低減することが好ましい。これにより、外面潤滑油中の介在物による銅管表面の疵の発生を防止することができる。
上述の抽伸工程は、複数パス繰り返すが、この抽伸工程の途中のパス間で、中間焼鈍を実施する。この中間焼鈍により、中間焼鈍前の加工により生じた加工組織を再結晶させ、その後に行う抽伸加工の加工率を小さくすることができることから、抽伸加工終了時の管表面に発生する疵及び割れの発生を抑制することが可能になる。この中間焼鈍は、抽伸管の実体温度が400乃至700℃で、5乃至120分間保持することにより行うことが好ましい。なお、この中間焼鈍は、通常、ローラーハース炉による連続焼鈍が行われるが、高周波誘導加熱炉を使用して、高速昇温、高温短時間加熱、高速冷却の連続焼鈍を行ってもよい。この場合、連続焼鈍された銅管の平均結晶粒径、機械的性質(降伏応力、引張り強さ、伸び、硬さ)が、ローラーハース炉によって焼鈍された銅管のそれと同様の範囲になるように、焼鈍する銅管の外径、肉厚に応じて、高周波加熱炉の通電条件、銅管を通す速度を決めればよい。
平滑管を製造する場合、この中間焼鈍後、再び抽伸加工を行い、所定の外径及び肉厚に仕上げた後、最後に最終焼鈍を行う。最終焼鈍条件は、抽伸管の実体温度が400乃至700℃で、5乃至120分間程度保持することが好ましい。なお、通常、ローラーハース炉による連続焼鈍が行われるが、高周波誘導加熱炉を使用して、高速昇温、短時間加熱、高速冷却の焼鈍を行っても良い。
平滑管を製造する場合、前記中間焼鈍後の銅管を抽伸加工によって、所定の外径及び肉厚に仕上げた後、高周波誘導加熱による焼鈍を行って軟質材とする。その後、軟化させた抽伸銅管内に、溝プラグを挿入して、転造加工及び縮径加工により管の内面に溝を形成し、レベルワウンドコイルに巻き、最終焼鈍を行う。なお、ヘアピン状銅管は、上述の如く製造した銅管のレベルワウンドコイルから、所定の長さの銅管に整直切断した後、ヘアピンベンダーによって回転引き曲げを行い、180°の曲げ加工を行うことにより製作する。
「T/D:(0.057−0.005D)以上(0.075−0.005D)以下」
このような製造条件により、平均結晶粒径が5乃至30μmで、円周方向の伸びが35%以上である銅管(銅合金管も含む)を得ることができる。また、この銅管の外径Dは、2.0乃至5.5mmであり、肉厚は、外径Dに対する比T/Dで、(0.057−0.005D)以上(0.075−0.005D)以下である。
そこで、この銅管を、熱交換器の直管状フレア加工用銅管として、多数のアルミニウム板が平行に配置されたアルミニウムフィンに設けた孔に挿通し、銅管の本体部に対し、若干の拡管加工(一次拡管)を施して、銅管をアルミニウムフィンに固定する。この一次拡管の加工率は、一次拡管前の外径に対する一次拡管後の外径の増加率であり、例えば、4乃至6%である。その後、銅管の管端部に、二次拡管を施して、二次拡管部11を形成する。この二次拡管部11の加工率は、一次拡管前の外径に対する二次拡管後の外径の増加率であり、例えば、10乃至20%である。次いで、二次拡管部11の管端に、三次フレア加工を施して、フレア加工部12を形成する。この三次フレア加工は、例えば、管長手方向に0.5乃至2mmの部分を、その先端を管の直径方向外方に一次拡管前の外径に対する三次フレア加工後の外径の増加率であり、例えば、40乃至50%である。
前述の如く、近時,銅管の外径の小径化に伴い、従来よりも、フレア加工部の加工率が増大し、フレア加工により割れが発生しやすい状況になっている。熱交換器に使用する伝熱管の長手方向の引張強さ引張強さσと肉厚T、及び熱交換器の冷媒の運転圧力Pとの間には、以下の式で表される関係があり(Sは安全率:通常2乃至4程度)、このTを破壊圧同等計算底肉厚という。
T=(S×P×D)/(2×σ+0.8×P)
熱交換器メーカーはこの式に基づき、伝熱管の肉厚を見積もっている。例えば、りん脱酸銅製伝熱管においては、長手方向の引張り強さσ=215MPa、熱交換器の冷媒の運転圧力P=14.0MPa(ルームエアコンの規格値4.15MPa×3=12.45MPaに少し余裕を持たせた値)を用いる。つまり、前記式で見積もられる肉厚Tは、熱交換器に使用したとき運転中に破壊しない強度を有するという観点であり、フレア拡管を行ったときに割れが発生しないことは考慮されていない。前記式で計算される銅管の肉厚をT1、フレア拡管により割れが発生しないときの最小肉厚をT2とすると、銅管の外径の小径化に伴い、T2とT1の差(T1<T2)が大きくなる。特に、銅管の外径が6mm未満になると、T2とT1の差が大きくなる。
本発明においては、結晶粒径及び円周方向の伸びを適切に設定することにより、外径が5.5mm以下の場合においても、前述のT2−T1の差を小さくすることを可能にしたものである。前述の破壊圧同等計算底肉厚の式において、S=2、σ=215MPa、P=14.0MPaとして、D=2〜5.5mmに対してT(T1)の値を計算すると、(D,T)=(5.5mm,0.17mm)、(5.0mm,0.16mm)、(4mm,0.13mm)、(3mm,0.10mm)、(2mm,0.06mm)となる。前述の製造方法により、D=5.5mm、及びD=5.0mmのりん脱酸銅管(σ=215MPa、平均結晶粒径=20〜25μm、円周方向伸び=35〜38%)においては、T=0.17mm、及びT=0.16mmの底肉厚を、破壊圧同等計算底肉厚から決まる値である0.16mmにしても、フレア加工時に拡管割れが発生しないようにすることができる。
次に、前述の製造方法により、D=2.5mm、D=3.5mm、D=4.5mm、σ=205〜215MPa、平均結晶粒径=20〜30μm、円周方向伸び=35〜40%であるりん脱酸銅管を製作した。これらのりん脱酸銅管の肉厚は0.10〜0.18mmの範囲で変化させた。D=2.5mm、D=3.5mm、D=4.5mmの銅管に対して、破壊圧同等計算底肉厚の式により計算される肉厚は夫々0.08mm、0.11mm、0.14mmであるが、フレア加工時に拡管割れが発生しない肉厚の下限値は、D=2.5mmでは0.11mm、D=3.5mmでは0.14mm、D=4.5mmでは0.16mmであった。これらの結果を基にして、フレア加工時に拡管割れが発生しない肉厚と管の外径との比T/Dの下限値をT/D=0.057−0.005Dと定める。
底肉厚Tの上限値は、フレア加工という観点では、規定することが不要であるが、管の肉厚が大きくなることによる高重量化及び高コスト化を回避するために定めることが必要である。例えば、外径Dが5mmの場合の底肉厚Tの上限値は、0.25mmとする。この場合のT/Dは0.050mmであり、この場合にも、フレア加工時の拡管割れは生じない。そこで、下限値の式を平行移動する形で、T/Dの上限値を、T/D=0.075−0.005Dと規定する。よって、0.057−0.005D<T/D<0.075−0.005Dとする。
以下、本発明の効果を実証するために、本発明の範囲に入る実施例と、本発明の範囲から外れる比較例とについて説明する。
下記表1は、本発明の実施例及び比較例の各形状因子と、その拡管試験の結果を示す。拡管試験は、銅管をヘアピン曲げ加工し、次いで、直管部をアルミニウムフィンに挿入し、拡管ビュレットで拡管した。アルミニウムフィンに固定するための一次拡管の外径拡管率は5%、二次拡管部11の二次拡管の場合の外径拡管率は15%、フレア加工部12の三次フレア拡管の場合の外径拡管率は45%とした。フレア部の割れの有無を目視で観察し、割れがない場合を○、割れがある場合を×とした。
Figure 2017020063
この表1に示すように、比較例1は、T/Dが本発明の下限値を下回ったため、拡管割れが発生した。また、比較例2は、T/Dが本発明の上限値を上回ったため、銅の使用量が増大し、製造コストが上昇した。比較例3は、平均結晶粒径が小さすぎたので、銅管が硬くなり、拡管割れが発生した。比較例4は、平均結晶粒径が大きかったので、銅管表面の肌荒れが顕著となり、拡管割れが発生した。比較例5は、伸びが本発明の範囲より下回ったため、拡管割れが発生した。
これに対し、本発明の実施例1乃至9は、本発明の請求項1の条件を満たすため、フレア加工部を含めて全ての拡管部に拡管割れが発生しなかった。
1:ヘアピン状銅管、2:ベンド管、10:遷移部、11:二次拡管部、12:フレア加工部、13:ろう材

Claims (2)

  1. 継目無管の管端部にフレア加工するフレア加工用銅又は銅合金管において、
    外径Dが2.0乃至5.5mmであり、肉厚Tと外径Dとの比T/Dが(0.057−0.005D)以上(0.075−0.005D)以下であり、平均結晶粒径が30μm以下であり、円周方向の伸びが35%以上であることを特徴とするフレア加工用銅又は銅合金管。
  2. 内面溝付管であることを特徴とする請求項1に記載されたフレア加工用銅又は銅合金管。
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