JP2017020056A - 合金窒化物膜形成装置および合金窒化物膜形成方法 - Google Patents

合金窒化物膜形成装置および合金窒化物膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質な合金窒化物膜を形成すると共に、その組成比に柔軟に対応する合金窒化物膜形成装置の提供。
【解決手段】固体材料に電子ビーム26aを照射するとともに、プラズマ発生手段により窒素プラズマを生成することにより合金窒化物膜を形成する合金窒化膜形成装置において、蒸発源20は合金窒化物膜の合金成分材料である2種類の固体材料22a、22bが個別に収容される坩堝を有し、各固体材料22a、22bは、1つの電子銃によって各固体材料22a、22bそれぞれの気化量を制御することにより合金窒化物膜の合金成分の組成比を制御する合金窒化物膜形成装置。
【選択図】図6

Description

本発明は、被処理物の表面に合金窒化物膜を形成する合金窒化物膜形成装置および合金窒化物膜形成方法に関する。
合金窒化物膜として、例えばAlCrN(窒化アルミクロム)膜が知られており、その形成方法として、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された従来技術によれば、イオンプレーティング法,スパッタリング法またはアーク放電法によって、当該AlCrN膜が形成される。いずれの場合にも、Al(アルミニウム)とCr(クロム)との混合蒸気が発生され、この混合蒸気と窒素ガスとの反応生成物であるAlCrN膜が被処理物としての基板上に形成される。そして、このAlCrN膜の合金成分であるAlとCrとの組成比は、Alが25〜50原子%であり、Crが75〜50原子%であることが、特に優れた耐高温酸化特性を示すために好ましい、とされている。
なお、イオンプレーティング法による場合には、Alの蒸発源とCrの蒸発源との2つの蒸発源が用いられる。また、適当な組成比のAlCr合金、或いは、Al粒とCr粒との混合物、を用いれば、蒸発源は1つで構わない、とされている。
そして、スパッタリング法による場合には、AlのターゲットとCrのターゲットとの2つのターゲットが用いられる。また、所定の組成比のAl/Crターゲットであれば、この1つのターゲットで成膜が可能である、とされている。
さらに、アーク放電法による場合にも、スパッタリング法と同様のターゲットが用いられ、つまりAlのターゲットとCrのターゲットとの2つのターゲットが用いられ、或いは、所定の組成比のAl/Crターゲットが1つ用いられる。このアーク放電法は、イオンプレーティング法の一種であり、カソード(陰極)アーク方式のイオンプレーティング法とも呼ばれている。このアーク放電法によれば、ターゲットがカソードとされ、アノード(陽極)との間で真空アーク放電が発生されると、当該ターゲットの表面にアークスポットと呼ばれる小さな溶融領域が誘起される。このアークスポットは、ターゲット材料を瞬時に蒸発させると共に、当該ターゲットの表面をランダムに動き回る。このようなアーク放電法によっても、上述の如くAlCrN膜が形成される、とされている。
特許第3039381号公報
しかし、この従来技術では、次のような問題がある。
即ち例えば、イオンプレーティング法による場合(厳密には上述のアーク放電法を除く言わば通常のイオンプレーティング法による場合)であって、Alの蒸発源とCrの蒸発源との2つの蒸発源が用いられる場合には、これら2つの蒸発源は、相互の電気的または磁気的な干渉を回避するべく、互いに相応の距離を置いて設けられる。すると、各蒸発源から被処理物までの距離に差異が生じ、これにより、当該被処理物の表面に形成されるAlCrN膜の品質(特性)に差異(分布)が生じる。この品質の差異は、とりわけ、複数の被処理物が同時に(1バッチで)処理される場合に、これら各被処理物間で顕著に表われる。この結果、高品質なAlCrN膜を形成することができない、という問題がある。なお、従来技術では、上述の如く、この通常のイオンプレーティング法による場合において、適当な組成比のAlCr合金、或いは、Al粒とCr粒との混合物、を用いれば、蒸発源は1つで構わない、とされているが、現実には、このような蒸発源を採用することはできない。なぜならば、この通常のイオンプレーティング法による場合においては、被膜の材料である蒸発材料を加熱する手段として、常套的に電子銃またはホローカソードガンが用いられるが、このような電子銃またはホローカソードガンによって、当該AlCr合金、或いは、Al粒とCr粒との混合物、が加熱されると、AlとCrとの相互の蒸発温度の違いにより、AlがCrよりも先に蒸発してしまい、この結果、これらAlとCrとの組成比を含め、所望の特性のAlCrN膜を形成することができない。ゆえに、通常のイオンプレーティング法による場合においては、当該AlCr合金、或いは、Al粒とCr粒との混合物、を採用することはできない。
また例えば、スパッタリング法による場合であって、AlのターゲットとCrのターゲットとの2つのターゲットが用いられる場合には、これら2つのターゲットは、相互の電気的または磁気的な干渉を回避するべく、互いに相応の距離を置いて設けられる。すると、上述した通常のイオンプレーティング法による場合であって、Alの蒸発源とCrの蒸発源との2つの蒸発源が用いられる場合と同様、各ターゲットから被処理物までの距離に差異が生じ、これにより、当該被処理物の表面に形成されるAlCrN膜の品質に差異が生じる。一方、所定の組成比のAl/Crターゲットが1つ用いられる場合には、この1つのAl/CrターゲットからAlとCrとが放出されるので、つまりこれらAlとCrとが互いに共通の位置から放出されるので、当該品質の差異は抑えられる。ただし、この場合には、AlCrN膜のAlとCrとの組成比が、これらの材料であるAl/CrターゲットのAlとCrとの組成比に依存する。従って例えば、AlとCrとの組成比の異なるAlCrN膜を形成しようとすると、その都度、当該組成比に応じたAl/Crターゲットを用意しなければならず、極めて非効率であり、言わば柔軟に対応することができない。なお、AlのターゲットとCrのターゲットとの2つのターゲットが用いられる場合には、当該Alのターゲットのスパッタ量とCrのターゲットのスパッタ量とを個別に制御すれば、AlCrN膜のAlとCrとの組成比を適宜に制御することができ、つまり柔軟に対応することができる。ただし、これら2つのターゲットが用いられる場合には、上述の如くAlCrN膜の品質に差異が生じ、つまり高品質な当該AlCrN膜を形成することができない、という問題がある。
さらに、アーク放電法(カソードアーク方式のイオンプレーティング法)による場合にも、スパッタリング法と同様のターゲットが用いられることから、当該スパッタリング法による場合と同様の問題がある。即ち、高品質なAlCrN膜を形成することができず、或いは、当該AlCrN膜のAlとCrとの組成比について柔軟に対応することができない、という問題がある。加えて、このアーク放電法による場合であって、特に1つのAl/Crターゲットが用いられる場合には、このAl/Crターゲットとして、上述のAl粒とCr粒との混合物と同様のものが用いられることが、詳しくは当該Al粒とCr粒との混合焼結体が用いられることが、多い。この混合焼結体は、その製法から必然的に内部に空気等の絶縁性の不純物を含む。その一方で、アーク放電法によれば、ターゲット内に絶縁性の不純物が含まれていると、その部分で異常放電が起こり、これにより、被膜の表面にドロップレットが発生する。従って、このアーク放電法による場合であって、Al粒とCr粒との混合焼結体がターゲットとして用いられる場合には、AlCrN膜の表面にドロップレットが発生することがある。このドロップレットの発生は、言うまでもなく極めて不都合である。
そこで、本発明は、AlCrN膜等の合金窒化物膜の形成装置および形成方法において、高品質な当該合金窒化物膜を形成することができると共に、当該合金窒化物膜の組成について柔軟に対応することができる技術を提供することを、目的とする。
この目的を達成するために、本発明のうちの第1発明は、被処理物の表面に合金窒化物膜を形成する合金窒化物膜形成装置において、真空槽と、気化手段と、窒素ガス供給手段と、プラズマ発生手段と、バイアス電力供給手段と、を具備する。このうちの真空槽は、その内部に被処理物が設置されるものであり、この真空槽の内部は、当該被処理物が設置された状態で排気される。そして、気化手段は、真空槽の内部に設けられており、互いに近接した位置にある複数の収容部を有している。これら複数の収容部には、合金窒化物膜の合金成分材料である複数の固体材料が個別に収容される。その上で、気化手段は、これら複数の収容部に個別に収容されている複数の固体材料に1つの電子ビームを所定の順番で周期的に照射することによって、当該複数の固体材料を個別に加熱して気化させる。併せて、窒素ガス供給手段は、真空槽の内部に窒素ガスを供給する。そして、プラズマ発生手段は、真空槽の内部にプラズマを発生させる。さらに、バイアス電力供給手段は、被処理物にバイアス電力を供給する。このバイアス電力は、プラズマによってイオン化された複数の固体材料それぞれの気化粒子と、当該プラズマによってイオン化された窒素ガスのガス粒子とを、被処理物の表面に引き寄せるためのものである。
即ち、本第1発明によれば、真空槽の内部に被処理物が設置され、この状態で、当該真空槽の内部が排気される。また、真空槽の内部には、気化手段が設けられており、この気化手段は、互いに近接した位置にある複数の収容部を有している。これら複数の収容部には、合金窒化物膜の合金成分材料である複数の固体材料が個別に収容されている。気化手段は、これら複数の収容部に個別に収容されている複数の固体材料に1つの電子ビームを所定の順番で周期的に照射することによって、当該複数の固体材料を個別に加熱して気化させる。併せて、窒素ガス供給手段によって、真空槽の内部に窒素ガスが供給される。そして、プラズマ発生手段によって、真空槽の内部にプラズマが発生される。これにより、複数の固体材料それぞれの気化粒子と、窒素ガスのガス粒子とが、イオン化される。さらに、バイアス電力供給手段によって、被処理物にバイアス電力が供給される。すると、イオン化された複数の固体材料それぞれの気化粒子と、イオン化された窒素ガスのガス粒子とが、当該被処理物の表面に引き寄せられる。これにより、被処理物の表面にこれら各粒子の反応物である合金窒化物膜が形成され、いわゆるイオンプレーティング法によって当該合金窒化物膜が形成される。
ここで、合金窒化物膜の合金成分材料である複数の固体材料は、互いに近接した位置にある複数の収容部から、言い換えれば互いに略共通の位置から、気化する。従って、被処理物の表面に形成される合金窒化物膜の品質に差異が生じ難く、つまり高品質な当該合金窒化物を形成することができる。また、各固体材料は、1つの電子ビームによって個別に加熱され気化する。従って、この電子ビームによる各固体材料の気化比率(加熱比率)を制御することによって、合金窒化物膜の合金成分の組成比を適宜に制御することができ、つまり当該組成比について柔軟に対応することができる。
なお、電子ビームによる各固体材料の気化比率の制御は、気化手段が担う。この制御に際して、気化手段は、当該気化比率を任意に(言わば連続的に)制御可能であることが、望ましい。
また、気化手段は、電子ビームのパワーを一定とし、この状態で、各固体材料のそれぞれに対する当該電子ビームの照射時間によってこれら各固体材料の気化比率を制御するものとしてもよい。
さらに、気化手段は、各固体材料のそれぞれに対する電子ビームの照射位置を変えながら当該各固体材料のそれぞれを加熱して気化させるのが、望ましい。このようにすれば、各固体材料のそれぞれを満遍なく加熱して気化させることができる。これは、各固体材料の無駄の低減、ひいてはコストの低減に、大きく貢献する。
この場合、各固体材料が個別に収容される各収容部は、1つの軸を中心とする概略同心円筒状の複数の壁状体によって区画されたものであってもよい。そして、気化手段は、当該軸を中心として各収容部を回転させることによって、これら各収容部に個別に収容されている各固体材料のそれぞれに対する電子ビームの照射位置を変えるものとしてもよい。
本発明のうちの第2発明は、第1発明に対応する方法の発明である。即ち、本第2発明は、被処理物の表面に合金窒化物膜を形成する合金窒化物膜形成方法において、排気過程と、気化過程と、窒素ガス供給過程と、プラズマ発生過程と、バイアス電力供給過程と、を具備する。このうちの排気過程では、内部に被処理物が設置された真空槽の当該内部が排気される。そして、気化過程では、真空槽の内部に設けられている複数の収容部に個別に収容されている合金窒化物膜の合金成分材料である複数の固体材料に1つの電子ビームが所定の順番で周期的に照射されることによって、当該複数の固体材料が個別に加熱され気化する。なお、複数の収容部は、互いに近接した位置にある。併せて、窒素ガス供給過程では、真空槽の内部に窒素ガスが供給される。そして、プラズマ発生過程では、真空槽の内部にプラズマが発生される。さらに、バイアス電力供給過程では、被処理物にバイアス電力が供給される。このバイアス電力は、プラズマによってイオン化された複数の固体材料それぞれの気化粒子と、当該プラズマによってイオン化された窒素ガスのガス粒子とを、被処理物の表面に引き寄せるためのものである。
このように、本発明によれば、高品質な合金窒化物膜を形成することができると共に、当該合金窒化物の組成比について柔軟に対応することができる。また特に、上述の従来技術におけるアーク放電法による場合であって、1つのAl/Crターゲットが用いられる場合とは異なり、ドロップレットが発生することもない。即ち、合金窒化物膜を形成する技術として、極めて画期的である。
本発明の一実施形態に係るイオンプレーティング装置の概略構成を示す図である。 図1におけるA−A矢視断面図である。 図1におけるB−B矢視断面図である。 同実施形態における蒸発源の坩堝の構成を示す図解図である。 同実施形態における蒸発源の制御を担う部分の電気的な構成を示す図解図である。 同実施形態における蒸発源の動作を説明するための図解図である。 同実施形態における蒸発源の坩堝内の各固体材料に対する電子ビームの照射態様を当該各固体材料の消費状態と併せて示す図解図である。 同電子ビームの照射態様を詳細に示す図解図である。 図7の比較対象例を示す図解図である。 図8とは別の例を示す図解図である。 図7とは別の例を示す図解図である。 同実施形態において形成されたAlCrN膜と従来技術によるものとを走査型電子顕微鏡で観察した画像である。 同実施形態における実験結果を示すグラフである。 図13とは別の実験結果を示すグラフである。
本発明の一実施形態について、図1〜図14を参照して説明する。
本実施形態に係るイオンプレーティング装置10は、AlCrN膜等の合金窒化物膜を形成するのに好適なものであり、図1〜図3に示すように、概略円筒形の真空槽12を有している。なお、図1は、特に真空槽12の内部に注目して当該真空槽12を含むイオンプレーティング装置10を正面から見た概略図であり、図2は、図1におけるA−A矢視断面図、図3は、図1におけるB−B矢視断面図である。
真空槽12は、概略円筒形である自身の中心軸を水平方向に延伸させた状態にあり、その周壁14の両端の一方側に当たる部分16は、当該真空槽12の前面として前面壁によって閉鎖されており、当該周壁14の両端の他方側に当たる部分18は、真空槽12の後面として後面壁によって閉鎖されている。この真空槽12の周壁14,前面壁16および後面壁18を含む当該真空槽12の筐体は、耐熱性および耐食性の高い金属製、例えばSUS304等のステンレス鋼製であり、基準電位としての接地電位に接続されている。なお、詳しい説明は省略するが、この真空槽12の前面壁16および後面壁18は、後述する被処理物100の出し入れやメンテナンス等のために任意に開閉可能とされている。加えて、この真空槽12の筐体(周壁14,前面壁16または後面壁18)の適当な位置に、当該真空槽12の内部と外部とを連通させる図示しない排気口が設けられている。そして、この排気口には、真空槽12の外部において、当該真空槽12の内部を排気するための図示しない排気手段としての真空ポンプが結合されている。
真空槽12の内部に注目すると、当該真空槽12の内部の略中央に、気化手段としての蒸発源20が配置されている。この蒸発源20は、合金窒化物膜の合金成分材料である複数の、例えば2種類の、固体材料22aおよび22bを個別に収容可能な収容手段としての坩堝24と、これら各固体材料22aおよび22bを個別に加熱して蒸発させるための電子ビームeを出力する電子ビーム出力手段としての電子銃26と、を有している。この蒸発源20については、後で詳しく説明する。また、蒸発源20の近傍に、被処理物100を加熱するための図示しない加熱手段、例えば電熱ヒータ、が設けられている。
そして、蒸発源20の周りを取り囲むように、複数個の被処理物100,100,…が配置される。具体的には、真空槽12の後面壁18の近傍に、被処理物位置変更手段としての自公転ユニット28が設けられている。この自公転ユニット28は、複数個の保持手段としてのホルダ30,30,…を有しており、これら各ホルダ30,30,…は、真空槽12の中心軸から当該中心軸を横切る方向に一定の距離を置き、かつ、当該中心軸を中心とする円の円周方向に沿って等間隔に、設けられている。そして、それぞれのホルダ30に、被処理物100が1つずつ取り付けられる。なお、図1〜図3(特に図1)においては、被処理物100(ホルダ30)の個数が16個とされているが、これは一例であって、当該個数は、被処理物100の形状や寸法等に応じて適宜に定められる。また、被処理物100として、概略丸棒状のものが例示されているが、この場合、当該被処理物100は、真空槽12の中心軸に沿う方向に延伸するように取り付けられる。
自公転ユニット28は、回転軸32を介して、真空槽12の外部にある駆動手段としてのモータ34に結合されている。このモータ34の駆動力を受けて、自公転ユニット28は、真空槽12の中心軸を中心として各ホルダ30,30,…を図1に矢印36で示す方向(反時計回りの方向)に回転させる。これに伴い、各ホルダ30,30,…に取り付けられている各被処理物100,100,…もまた、真空槽12の中心軸を中心として同じ方向に回転し、言わば公転する。併せて、自公転ユニット28は、それぞれのホルダ30をそれ自身の中心軸を中心として図1に矢印38で示す方向(反時計回りの方向)に回転させる。これに伴い、それぞれの被処理物100もまた、自身の中心軸を中心として同じ方向に回転し、言わば自転する。なお、自公転ユニット28による各被処理物100,100,…の公転速度は、例えば1rpm程度である。そして、それぞれの被処理物100の自転速度は、例えば公転速度の10倍程度であり、つまり10rpm程度である。
さらに、蒸発源20よりも上方の位置であって、各被処理物100,100,…の公転軌跡よりも下方の位置に、陰極としての概略直線状のフィラメント40と、陽極としての概略物差(細長い平板)状のアノード板42と、が互いに適当な距離を置いて配置されている。
このうちのフィラメント40は、例えば直径が約2mmのタングステン(W)製ワイヤであり、厳密には3本のタングステン製ワイヤから成る縒り線である。このフィラメント40は、真空槽12の中心軸に沿う方向に延伸するように、言い換えればそれぞれの被処理物100と平行を成すように、配置されている。そして、このフィラメント40には、真空槽12の外部にある陰極電力供給手段としてのフィラメント用電源装置44から陰極電力としての交流のフィラメント電力Efが供給される。さらに、このフィラメント電力Efには、接地電位を基準とする負電位の直流電力であるフィラメントバイアス電力Efbが重畳される。このため、フィラメント用電源装置44の接地端子と接地電位との間に、当該フィラメントバイアス電力Efの供給源である陰極バイアス供給手段としてのフィラメントバイアス用電源装置46が設けられている。
一方、アノード板42は、高融点金属製であり、例えばモリブデン(Mo)製である。このアノード板42は、真空槽12の中心軸を含む鉛直面に関して、フィラメント40と略面対称(共役)となる位置に配置されている。具体的には、アノード板42は、その一方主面をフィラメント40側に向けた状態で、厳密には後述する理由により当該一方主面を少し斜め上方に向けた状態で、かつ、それ自身が真空槽12の中心軸に沿う方向に延伸するように、つまりフィラメント40と平行を成すように、配置されている。そして、このアノード板42には、真空槽12の外部にある陽極電力供給手段としてのアノード用電源装置48から接地電位を基準とする正電位の直流電力であるアノード電力Eaが供給される。
加えて、真空槽12内には、フィラメント40およびアノード板42を間に挟んだ状態で、磁界印加手段としての1対の細長い概略直方体状の磁界発生器50および52が配置されている。具体的には、各磁界発生器50および52は、それぞれの一側面を互いに対向させた状態で、厳密には後述する理由により当該それぞれの一側面を少し斜め上方に向けた状態で、かつ、それ自身が真空槽12の中心軸に沿う方向に延伸するように、つまりフィラメント40およびアノード板42と平行を成すように、配置されている。そして、これら各磁界発生器50および52には、当該各磁界発生器50および52の互いに対向する一側面が互いに異なる磁極(N極およびS極)となるように図示しない永久磁石が内蔵されている。これにより、各磁界発生器50および52間の空間に、つまりフィラメント40およびアノード板42が配置されている空間に、強力な磁界が印加される。
なお、これら各磁界発生器50および52による磁界の印加領域を拡張するべく、当該各磁界発生器50および52は、互いに対向する一側面を上述の如く少し斜め上方に向けた状態で配置されている。そして、このうちのアノード板42側に配置されている磁界発生器52の傾きに合わせて、当該アノード板40もまた、上述の如くその(フィラメント40に向けられた側の)一方主面を少し斜め上方に向けた状態にある。さらに、各磁界発生器50および52による磁界の印加領域のさらなる拡張を図るべく、これら各磁界発生器50および52の外方の側面に、当該側面よりも少し面積の大きい平板状のヨーク54および56が設けられている。
また、これら各磁界発生器50および52による磁界の印加領域よりも下方であって、蒸発源20よりも上方の位置に、ガス供給管58が設けられている。このガス供給管58は、合金窒化物膜の材料の1つである材料ガスとしての窒素(N)を真空槽12内に供給するための窒素ガス供給手段として機能する。併せて、当該ガス供給管58は、放電用ガスとしてのAr(アルゴン)ガスを真空槽12内に供給するための放電用ガス供給手段としても機能する。なお、このガス供給管58の先端にあるノズル58aは、上述のフィラメント40とアノード板42との間の空間に向けられている。また、図示は省略するが、このガス供給管58管には、真空槽12の外部において、当該ガス供給管58内を流れる窒素ガスおよびArガスの流量を個別に調整するための流量調整手段としての例えばマスフローコントローラが設けられている。
さらに、各被処理物100,100,…には、各ホルダ30,30,…および自公転ユニット28を介して、バイアス電力供給手段としてのパルス電源装置60から接地電位を基準とする交流の基板バイアス電力Esが供給される。この基板バイアス電力Esは、その電圧値が接地電位を基準とする正電位のハイレベルと当該接地電位を基準とする負電位のローレベルとに交互に遷移するいわゆるバイポーラ矩形パルス状のものであり、その周波数は、例えば10kHz〜500kHzの範囲で任意に設定可能とされている。そして、この基板バイアス電力Esの平均電圧値Vsもまた、任意に設定可能とされており、厳密にはローレベル電圧値の調整によって例えば−5V〜−1000Vの範囲で任意に設定可能とされている。なお、この基板バイアス電力のハイレベル電圧値は、一定であり、例えば+37Vである。加えて、この基板バイアス電力のデューティ比(パルスの1周期に対して電圧値がハイレベルとなる期間の比率)もまた、例えば10%〜90%の範囲で任意に設定可能とされている。
ここで改めて、蒸発源20について、詳しく説明する。上述したように蒸発源20は、坩堝24を有しており、この坩堝24は、2種類の固体材料22aおよび22bを個別に収容可能とされている。具体的には、当該坩堝24は、図4に示すように、互いに径の異なる同心円筒状の2つの周壁部24aおよび24bと、これら各周壁部24aおよび24bの一方端側を閉鎖するように当該各周壁部24aおよび24bの一方端に結合された円板状の底壁部24cと、から成り、言わば2重皿のような形状をしている。このような形状から、内側の周壁部24aの内側面と底壁部24cの内側面とによって囲まれた言わば短円柱状の内側収容部24dと、内側の周壁部24aの外側面と外側の周壁部24bの内側面と底壁部24cの内側面とによって囲まれた言わば概略リング状の外側収容部24eと、が形成されており、つまり2つの収容部24dおよび24eが形成されている。そして、内側収容部24dに2種類の固体材料22aおよび22bの一方が収容されると共に、外側収容部24eに当該2種類の固体材料22aおよび22bの他方が収容される。なお、内側収容部24dの直径(内径)Maは、例えば60mm〜100mmであり、当該内側収容部24dの深さ寸法Mbは、15mm〜25mmである。そして、外側収容部24eの幅寸法(内側周壁部24aの外側面の半径と外側周壁部24bの内側面の半径との相互差)Mcは、例えば20mm〜40mmであり、当該外側収容部24eの深さ寸法Mbは、内側収容部24dのそれと同じである。この坩堝24は、例えば銅(Cu)製であり、図示しない水冷機構によって水冷される。
また、蒸発源20は、上述の如く電子銃26を有しており、この電子銃26は、図5に示すように、電子銃電源装置70からスキャンコントローラ72を介して供給される電子銃駆動電力Egを受けて駆動し、つまり当該図5に破線の矢印26aで示される如く電子ビームeを出力する。この電子ビームeは、上述の2種類の固体材料22aおよび22bに交互に照射され、つまりはそうなるように電子銃26が制御される。この電子銃26の制御は、スキャンコントローラ72から当該電子銃26に供給されるスキャン制御信号Scに従う。電子銃26は、このスキャン制御信号Scの供給を受けて、図6(a)に示す如く電子ビームeを内側の(収容部24dに収容されている)固体材料22aに照射する状態と、図6(b)に示す如く当該電子ビームeを外側の(収容部24eに収容されている)固体材料22bに照射する状態と、に交互に(言わば周期的に)遷移する。これにより、各固体材料22aおよび22bは、個別に加熱され気化する。
より具体的には例えば、合金窒化物膜としてAlCrN膜が形成される場合には、内側収容部24dに固体材料22aとしてAl材料が収容されると共に、外側収容部24eに固体材料22bとしてCr材料が収容される。なお、ここで言うAl材料とは、その純度が99%以上のものであり、好ましくは99.99%以上のいわゆる高純度のものであり、例えば直径が2mm〜5mmのロッド状の素材が5mm〜10mm程度の長さに、言わばペレット(円柱)状に、切断されたものである。このようなペレット状のAl材料が内側固体材料22aとして採用されることで、例えば当該内側固体材料22aとして内側収容部24dの形状に応じた言わばそれ専用のものが採用される場合に比べて、当該内側固体材料22aの低コスト化が図られる。そして、ここで言うCr材料は、その純度が99%以上のものであり、好ましくは99.99%以上の高純度のものであり、例えば直径が1mm〜5mmのグラニュール(粗粒)状のものである。このようなグラニュール状のCr材料が外側固体材料22bとして採用されることで、例えば当該外側固体材料22bとして外側収容部24eの形状に応じた専用のものが採用される場合に比べて、当該外側固体材料22bの低コスト化が図られる。その上で、電子銃26は、内側の固体材料22aとしてのAl材料に対して、図7(a)に破線80aで示すように、内側収容部24d(坩堝24)の中心から少し外れた比較的に小さな矩形状の領域に絞って電子ビームeを照射し、厳密には当該領域80a内において電子ビームe(の照射位置)をスキャンさせる。そして、外側の固体材料22bとしてのCr材料に対しては、電子銃26は、当該図7(a)に破線80bで示すように、外側収容部24eの円周方向における一部を完全に覆うほどの大きさの矩形状領域にわたって電子ビームeを照射し、厳密には当該領域80b内において電子ビームeをスキャンさせる。
なお、内側固体材料22aとしてのAl材料は、比較的に熱伝導性(熱伝導率)が高い。従って、このAl材料22aを効率的に加熱するために、上述の如く当該Al材料22aに対する電子ビームeの照射領域80aが比較的に小さめに絞られる。これにより、Al材料22aは、効率的に加熱されて気化し、厳密には蒸発する。一方、外側固体材料22bとしてのCr材料もまた、電子ビームeの照射を受けて加熱されて気化するが、厳密には昇華する。このため、上述の如くCr材料22bに対する電子ビームeの照射領域80bが外側収容部24eの円周方向における一部を完全に覆うほどの大きさとされており、これにより、後述する如く当該Cr材料22bが満遍なく気化(昇華)する。
ここで、電子ビームeは、図8に示すように、Al材料(内側固体材料)22aに対する照射領域80aにおいて、坩堝24の半径方向を横切る方向(図8の左右方向)にfsという周波数でスキャンされると共に、当該坩堝24の半径方向(図8の上下方向)に沿ってTaという時間を掛けて言わば概略ジグザグ状にスキャンされる。また、電子ビームeは、Cr材料(外側固体材料)22bに対する照射領域80bにおいて、坩堝24の半径方向を横切る方向にfsという周波数でスキャンされると共に、当該坩堝24の半径方向に沿ってTbという時間を掛けて概略ジグザグ状にスキャンされる。そして、電子ビームeは、これら各照射領域80aおよび80bにおけるスキャンを交互に繰り繰り返し、詳しくはAl材料22aに対する言わば内側照射領域80aの内側(図8における上方側)の端部とCr材料22bに対する言わば外側照射領域80bの外側(図8における下方側)の端部との間を繰り返し往復する。なお、電子ビームeが各照射領域80aおよび80bの一方から他方に移動する際には、当該電子ビームeは、瞬時に直線状に移動する。また、坩堝24の半径方向を横切る方向における電子ビームeのスキャン周波数fsは、例えば250Hz〜1kHzの範囲で任意に設定可能であり、好ましくは500Hzとされる。そして、電子ビームeが坩堝24の半径方向において1往復するのに要する時間2・Tsは、例えば500ms〜4sの範囲で任意に設定可能であり、好ましくは500msとされ、言わば片道(Ts)で250msとされる。加えて、この電子ビームeのスキャン時間Tsが一定とされた状態で、内側照射領域80aにおけるスキャン時間Taと外側照射領域80bにおけるスキャン時間Tbとの相互比であるスキャン時間比Ta:Tbについても、任意に設定可能とされている。
この電子ビームeのスキャン周波数fs,スキャン時間Ts(または2・Ts),スキャン時間比Ta:Tb,各照射領域80aおよび80bそれぞれの形状や寸法等は、図5に示す如くスキャンコントローラ72に接続されたスキャン条件設定手段としての例えばパーソナルコンピュータ74によって設定される。また、電子ビームeのパワーについても、このパーソナルコンピュータ74によって任意に設定可能とされている。そして、このパーソナルコンピュータ74によって設定された条件に従って、上述のスキャン制御信号Scが生成される。
さらに、上述の図6や図7(a)に示すように、坩堝24は、その中心を軸としてこれら各図に矢印24fで示される方向(例えば図7(a)における反時計回りの方向)にゆっくりと、例えば10°/min〜50°/minという速度で、好ましくは20°/minという速度で、回転する。厳密には、そうなるように蒸発源20が構成されている。これにより、Al材料22aおよびCr材料22bのそれぞれが満遍なく気化し、とりわけ、昇華性物質であるCr材料24aについても満遍なく気化する。
ここで特に、図7(a)に注目すると、外側照射領域80bは、Cr材料22bが収容されている外側収容部24eをはみ出しており、詳しくは内側周壁部24aおよび外側周壁部24bそれぞれの一部を含むように設定されている。従って、この外側照射領域80bに含まれている内側周壁部24aおよび外側周壁部24bそれぞれの一部が電子ビームeの照射を受けて加熱されて溶融する等の不都合が生じることが懸念される。しかしながら、内側周壁部24aおよび外側周壁部24bを含む坩堝24は、上述の如く水冷されている。また、このように内側周壁部24aおよび外側周壁部24bそれぞれの一部に電子ビームeが照射されるとは言え、外側照射領域80bという比較的に広い領域にわたってスキャンしている当該電子ビームeがそのスキャン過程の一部で当該内側周壁部24aおよび外側周壁部24bそれぞれの一部に照射されるに過ぎないので、言い換えれば電子ビームeが当該内側周壁部24aおよび外側周壁部24bそれぞれの一部に集中的に照射される訳ではないので、ここで懸念されるような不都合は生じない。
さらに、図7(a)によれば、外側照射領域80bは、Al材料22aが収容されている内側収容部24dの一部をも含んでいる。言い換えれば、外側照射領域80b内をスキャンする電子ビームeは、内側収容部24dに収容されているAl材料22aの一部にも照射される。従って、この一部のAl材料22aが加熱されて蒸発すること、言わば当該Al材料22aが不本意に蒸発すること、が懸念される。しかしながら、Al材料22aは、上述の如く熱伝導性が高いので、このようなAl材料22aに対して外側照射領域80b内をスキャンする電子ビームeが照射されても、当該Al材料22aが蒸発する程度にまで加熱されることはなく、つまり当該Al材料22aが不本意に蒸発することはない。
このようにして外側照射領域80bが設定されることによって、昇華性物質であるCr材料22bが満遍なく気化し、つまり図7(b)に示す如く(外側収容部24eの)全体にわたって概ね均一に消費される。なお、Al材料22aについては、気化する際に溶融するので、やはり図7(b)に示す如く(内側収容部24dの)全体にわたって概ね均一に消費される。
なお、図7(a)において、電子ビームeは、当該図7(a)における下方側から飛翔して、Al材料22aおよびCr材料22bのそれぞれに照射される。また、ここで採用されている電子銃26は、自身から遠い位置ほど電子ビームeを小さく絞り易い、という特性を有している。このため、照射領域80aを小さく絞る必要のあるAl材料22aについて、電子銃26から遠い位置にある内側収容部24dに収容され、そのような必要のないCr材料22bについては、当該内側収容部24dよりも電子銃26に近い位置にある外側収容部26aに収容される。
因みに例えば、図9(a)に示す如く外側照射領域80bが設定されると、つまり坩堝24の半径方向を横切る方向(図9(a)の左右方向)における当該外側照射領域80bの寸法が図7(a)に示したそれよりも小さめに設定されると、Cr材料22bは、図9(b)に示す如く消費され、つまり坩堝24の中心に近い位置ほど顕著に消費され、言わば満遍なく消費されない。これは、坩堝24の半径方向を横切る方向における外側照射領域80bの寸法が小さくなると、電子ビームeの照射密度が上がり、また、坩堝24の中心に近い位置ほど当該電子ビームeの照射密度が顕著に上がるからである、と推察される。なお、この坩堝24の半径方向を横切る方向における外側照射領域80bの寸法が過度に小さいと、電子ビームeの照射密度が過度に上がり、極端には当該外側照射領域80bに含まれている内側周壁部24aおよび外側周壁部24bそれぞれの一部(特に坩堝24の中心に近い位置にある内側周壁部24aの一部)が溶融し、さらには、Al材料22bが不本意に蒸発する、という不都合が生じる。
また例えば、図10(a)に示す如く外側照射領域80bが設定されると、つまり外側収容部24e内に収まるように設定されると、Cr材料22bは、図10(b)に示す如く消費され、つまり坩堝24の中心に近い位置ほど顕著に消費される一方、外側周壁部24bに近い位置においてはあまり消費されない。要するに、この場合も、Cr材料22bは、満遍なく消費されない。
従って、外側照射領域80bについては、Cr材料22bが満遍なく消費されるように、その寸法および形状が適宜に設定されることが、望ましい。なお例えば、図11(a)に示す如く外側照射領域80bが設定された場合にも、つまり坩堝24の中心に近いほど当該坩堝24の半径方向を横切る方向における当該外側照射領域80bの寸法が小さくなるように当該外側照射領域80bが台形状に設定された場合にも、Cr材料22bは、図11(b)に示す如く満遍なく消費される。ゆえに、この図11(a)に示すような台形状の外側照射領域80bが設定されてもよい。
さて、このような構成のイオンプレーティング装置10によれば、合金窒化物膜としての例えばAlCrN膜を形成することができる。なお、このAlCrN膜の形成に際しては、上述の如く坩堝24の内側収容部24dにAl材料22aが収容されると共に、外側収容部24eにCr材料22bが収容される。そして、真空槽12内の各ホルダ30,30,…に被処理物100が1個ずつ取り付けられる。
その上でまず、真空槽12内が真空ポンプによって10−3Pa程度の圧力にまで排気され、いわゆる真空引きされる。そして、この真空引き後、上述の電熱ヒータによって各被処理物100,100,…が約400℃に加熱され、いわゆるベーキング処理が行われる。そして、このベーキング処理後、真空槽12内にArガスが供給される。このときのArガスの供給流量は、例えば40mL/min〜100mL/minとされ、真空槽12内の圧力は、例えば3×10−2Pa〜1×10−1Pa程度に維持される。この状態で、フィラメント40にフィラメント電力Efが供給される。すると、フィラメント40が加熱されて、当該フィラメント40から熱電子が放出される。併せて、フィラメント電力Efにフィラメントバイアス電力Efbが重畳されると共に、アノード板42にアノード電力Eaが供給される。すると、フィラメント40から放出された熱電子がアノード板42に向かって加速される。この過程で、熱電子がArガスの粒子に衝突して、その際の衝撃によって当該Arガスの粒子が放電する。この結果、アーク放電による高密度なプラズマ200が発生する。なお、フィラメントバイアス電力Efbの電圧成分であるフィラメントバイアス電圧Vfbと、アノード電力Eaの電圧成分であるアノード電圧Vaと、の総和によって、熱電子の加速度が制御され、プラズマ200の安定化が図られる。因みに、フィラメントバイアス電圧Vfbは、例えば−20V〜−40Vとされる。そして、アノード電圧Vaは、例えば40V〜60Vとされる。また、アノード板42に流れる電流、言わばアノード電流Iaは、例えば30Aに維持される。このアノード電流Iaは、フィラメント40の加熱温度によって、つまり当該フィラメント40からの熱電子の放出量によって、制御される。さらに、プラズマ200が発生している空間には各磁界発生器50および52による磁界が印加されているので、上述の熱電子は螺旋運動をしながら加速され、これにより、当該熱電子がArガス粒子に衝突する機会が増えて放電が顕著となり、プラズマ200の高密度化が図られる。
この高密度なプラズマ200が発生している状態で、モータ34が駆動される。すると、各被処理物100,100,…が自転しながら公転し、つまり自転しながらプラズマ200の空間に順次送り込まれる。そして、各被処理物100,100,…に基板バイアス電力Esが供給されると、このうちのプラズマ200の空間内にあるそれぞれの被処理物(母材)100の表面に当該プラズマ200中のArイオンが照射される。このとき例えば、基板バイアス電力Esの平均電圧値Vsが−100Vとされることによって、当該Arイオンが被処理物100の表面に対して高いエネルギ(高速)で衝突する。これにより、被処理物100の表面がArイオンによって洗浄され、いわゆるイオンボンバードが行われる。さらに、蒸発源20のAl材料22aおよびCr材料22bのいずれか一方または両方が気化される。なお、蒸発源20は、上述の如くAl材料22aおよびCr材料22bの両方を個別に気化させることができるが、いずれか一方のみを気化させることもでき、厳密にはそうなるように電子銃26がスキャン制御信号Scに従って制御されることもある。この蒸発源20からの気化粒子は、プラズマ200によってイオン化される。そして、このイオン化された気化粒子もまた、プラズマ200の空間内にあるそれぞれの被処理物100の表面に対して高いエネルギで照射される。これにより、被処理物100の表面が当該イオン化された気化粒子によって洗浄され、いわゆるメタンボンバードが行われる。
このイオンボンバードおよびメタルボンバードが所定の期間にわたって行われた後に、AlCrN膜を形成するための成膜処理が行われる。
即ち、真空槽12内へのArガスの供給流量が0mL/min〜50mL/minの範囲で適度に低減され、例えば30mL/minとされる。そして、このArガスに加えて真空槽12内に窒素ガスが供給される。この窒素ガスの供給流量は、次に説明する蒸発源20からのAl材料22aおよびCr材料22bそれぞれの気化量との兼ね合いに応じて適宜に設定され、例えば50mL/min〜300mL/minの範囲で適宜に設定される。併せて、蒸発源20のAl材料22aおよびCr材料22bが個別に気化され、つまり当該Al材料22aおよびCr材料22bが上述の如く電子ビームeによって個別に加熱されて気化する。この蒸発源20からのAl材料22aおよびCr材料22bそれぞれの気化量は、電子ビームeのパワーによって制御され、特に窒素ガスの供給流量との兼ね合いに応じて適宜に設定される。
真空槽12内に供給された窒素ガスの粒子は、プラズマ200によってイオン化される。これと同様に、蒸発源20からのAl材料22aおよびCr材料22bそれぞれの気化粒子もまた、プラズマ200によってイオン化される。そして、これらイオン化された各粒子、つまり窒素イオン,AlイオンおよびCrイオンは、プラズマ200の空間内にあるそれぞれの被処理物100の表面に照射される。この結果、それぞれの被処理物100の表面に窒素とAlとCrとの化合物であるAlCrN膜が形成される。なお、この成膜処理時の基板バイアス電力Esの平均電圧値Vsは、例えば−10V〜−150Vとされ、おおよそ−50Vとされる。
この成膜処理が所定の期間にわたって行われた後、蒸発源20によるAl材料22aおよびCr材料22bの気化動作が停止され、つまり電子銃26による電子ビームeの出力が停止される。併せて、真空槽12内へのArガスおよび窒素ガスの供給が停止される。そして、各被処理物100,100,…への基板バイアス電力Esの供給が停止される。さらに、フィラメント40へのフィラメント電力Efおよびフィラメントバイアス電力Efbの供給が停止されると共に、アノード板42へのアノード電力Eaの供給が停止される。そして、真空槽12内が高真空状態に維持されながら、所定の冷却期間が置かれる。このとき、各被処理物100,100,…を自公転させるためのモータ34は、駆動されたままの状態であってもよいし、停止されてもよい。そして、冷却期間の経過後、真空槽12内の圧力が大気圧に戻され、当該真空槽12内が外部(大気)に開放されて、その上で、当該真空槽12内から各被処理物100,100,…が外部に取り出される。これにより、成膜処理を含む一連の処理(1バッチ)が終了する。
図12(a)に、この成膜装置10によって形成されたAlCrN膜を走査型電子顕微鏡で観察した画像を示す。また、この比較対象用として、図12(b)に、従来のアーク放電法によって形成されたAlCrN膜の観察画像を示す。これらの比較から分かるように、図12(a)に示す本実施形態によるAlCrN膜は、特にその表面が極めて滑らかであり、当該表面の最大粗さRyは、0.2μmと極めて小さい。これに対して、図12(b)に示す従来のアーク放電法によるAlCrN膜は、その表面にドロップレットが発生しており、このことも起因して、当該表面の最大粗さRyは、2μmであり、本実施形態におけるそれよりも極めて大きい。このことから明らかなように、本実施形態によれば、表面が極めて滑らかなAlCrN膜を形成することができる。なお、図12(a)に示されるAlCrN膜は、真空槽12内へのArガスの供給流量が30mL/min、窒素ガスの供給流量が150mL/min、真空槽12内の圧力が9×10−2〜10×10−2Pa、フィラメントバイアス電圧Vfbが−30V、アノード電圧Vaが50V、アノード電流Iaが30A、基板バイアス電力Esの平均電圧値Vsが−50V、電子ビームeのパワーが6.57kW(=730mA×9kV)、という条件下で形成されたものである。
また、本実施形態において、AlCrN膜の合金成分であるAlとCrとの組成比(=Ar/(Al+Cr))を種々に変更し、それぞれのヌープ硬さ(HK0.025)を測定する実験を行った。その結果を、図13に示す。なお、ここで言う組成比とは、原子組成比であり、この組成比は、蒸発源20によるAl材料22aおよびCr材料22bそれぞれの気化量によって制御され、言い換えれば当該Al材料22aおよびCr材料22bの気化比率によって制御される。具体的には、電子ビームeのパワーが一定とされると共に、図8を参照しながら説明したスキャン時間Tsが一定とされた状態で、スキャン時間比Ta:Tbが任意に設定されることによって、Al材料22aおよびCr材料22bの気化比率が任意に制御され、ひいては当該組成比が任意に制御される。また、この図13における曲線は、最小二乗法によって求められたものである。
この図13において、例えば3000というヌープ硬さの基準値が設定されている。そして、AlとCrとの組成比が0.51〜0.68であるときに(網掛模様が付されている領域において)、この3000という基準値以上のヌープ硬さが得られること、つまり極めて高硬度なAlCrN膜が形成されること、が分かる。
さらに、本実施形態において、AlCrN膜全体における窒素の組成比(=N/(Al+Cr+N))についても、これを種々に変更し、それぞれのヌープ硬さを測定する実験を行った。その結果を、図14に示す。なお、ここで言う組成比もまた、原子組成比であり、この組成比は、真空槽12内への窒素ガスの供給流量と、蒸発源20によるAl材料22aおよびCr材料22bそれぞれの気化量と、によって制御される。
この図14においても、上述の図13と同様、3000というヌープ硬さの基準値が設定される。そして、AlCrN膜全体における窒素の組成比が0.5〜0.6であるときに(網掛模様が付されている領域において)、この3000という基準値以上のヌープ硬さが得られること、つまり極めて高硬度なAlCrN膜が形成されること、が分かる。
以上のように、本実施形態によれば、表面が極めて滑らかであると共に、極めて高硬度なAlCrN膜を形成することができる。しかも、このAlCrN膜の形成に際しては、合金成分材料であるAl材料22aおよびCr材料22bが個別に収容される概略2重皿状の坩堝24と、この坩堝24に収容されたAl材料22aおよびCr材料22bを個別に加熱して気化させる1つの電子銃26と、を有する、言わば2元対応型の蒸発源20が、採用されている。このような2元対応型の蒸発源20が採用されることで、Al材料22aおよびCr材料22bは、互いに近接した位置から、言い換えれば互いに略共通の位置から、気化する。従って例えば、Al材料22a用の蒸発源とCr材料22b用の蒸発源とが互いに別々に設けられる構成に比べて、AlCrN膜の品質に差異が生じ難く、つまり高品質な当該AlCrN膜を形成することができる。また、上述のスキャン時間比Ta:Tbによって、Al材料22aおよびCr材料22bの気化比率を任意に制御することができ、ひいてはAlCrN膜の合金成分であるAlとCrとの組成比を任意に制御することができる。従って例えば、AlとCrとの組成比の異なるAlCrN膜を形成する場合に、これに柔軟に対応することができる。さらに、図12を参照しながら説明したように、従来の特にアーク放電法とは異なり、ドロップレットが発生することもない。即ち、本実施形態は、AlCrN膜を形成する技術として極めて画期的である。
なお、本実施形態は、本発明の具体的な一例であり、本発明の内容を限定するものではない。
例えば、上述のスキャン時間比Ta:Tbによって、詳しくは全体のスキャン時間Tsが一定とされた状態での当該スキャン時間比Ta:Tbによって、Al材料22aおよびCr材料22bの気化比率が制御されることとしたが、これに限らない。全体のスキャン時間Tsが一定でなくとも、各照射領域80aおよび80bそれぞれのスキャン時間TaおよびTbの長さによって、或いは、電子ビームeのパワーによって、当該気化比率が制御されてもよい。
また、蒸発源20について、特に坩堝24について、概略2重皿状のものとされたが、これに限らない。例えば、概略丸皿状のものが2つの概略半円皿状に区画されたものであってもよいし、概略角皿状のものが2つの概略角皿状または概略三角皿状に区画されたものであってもよいし、これ以外の態様のものであってもよい。いずれにおいても、Al材料22aの収容部とCr材料22bの収容部とが互いに近接した位置にあることが、肝要である。併せて、この坩堝24に収容されたAl材料22aおよびCr材料22bのそれぞれが均一に消費されるようにするために、当該坩堝24は、必要に応じて、回転する等、それ自身が動くように構成されることも、肝要である。
そして、電子銃26については、いわゆる270度偏向型のものが採用されたが、これに限らない。即ち、180度偏向型や直進型等の当該270度偏向型以外のものが採用されてもよい。いずれにおいても、坩堝24に収容されたAl材料22aおよびCr材料22bのそれぞれに適宜に電子ビームeが照射されることが、つまりはそうなるように当該電子銃26が制御されることが、肝要である。
さらに、本実施形態においては、AlCrN膜を形成する場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。AlCrN膜に限らず、例えばAlTiN(窒化チタンアルミ)膜やAlSiN(窒化アルミシリコン)膜,TiCrN(窒化チタンクロム)膜,CrSiN(窒化クロムシリコン)膜,VTiN(窒化バナジウムチタン)膜,VAlN(窒化バナジウムアルミ)膜,ZrTiN(窒化ジルコニウムチタン)膜,ZrAlN(窒化ジルコニウムアルミ)膜等の当該AlCrN膜以外の2元合金窒化物膜を形成する場合にも、本発明を適用することができる。
加えて、2元合金窒化物膜以外にも、AlSiTiN(窒化アルミシリコンチタン)膜やAlCrSiN(窒化アルミクロムシリコン)膜,TiAlCrN(窒化チタンアルミクロム)膜等の3元合金窒化物膜を形成する場合にも、本発明を適用することができる。この場合、坩堝24および電子銃26を含む蒸発源20について、3元の合金成分材料を個別に収容すると共に、これらを個別に気化させることのできるよう、適宜の構成とされる。勿論、4元以上の合金窒化物膜を形成する場合への適用も期待できる。
10 イオンプレーティング装置
12 真空槽
20 蒸発源
22a,22b 固体材料
24 坩堝
26 電子銃
40 フィラメント
42 アノード板
58 ガス供給管
60 パルス電源装置
100 被処理物
200 プラズマ

Claims (6)

  1. 被処理物の表面に合金窒化物膜を形成する合金窒化物膜形成装置において、
    内部に上記被処理物が設置されると共に該内部が排気される真空槽と、
    上記真空槽の内部に設けられており互いに近接した位置にあって上記合金窒化物膜の合金成分材料である複数の固体材料が個別に収容される複数の収容部を有しており該複数の収容部に個別に収容されている該複数の固体材料に1つの電子ビームを所定の順番で周期的に照射することによって該複数の固体材料を個別に加熱して気化させる気化手段と、
    上記真空槽の内部に窒素ガスを供給する窒素ガス供給手段と、
    上記真空槽の内部にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
    上記プラズマによってイオン化された上記複数の固体材料それぞれの気化粒子と上記窒素ガスのガス粒子とを上記被処理物の表面に引き寄せるためのバイアス電力を該被処理物に供給するバイアス電力供給手段と、
    を具備することを特徴とする、合金窒化物膜形成装置。
  2. 上記気化手段は上記複数の固体材料の気化比率を任意に制御可能である、
    請求項1に記載の合金窒化物膜形成装置。
  3. 上記気化手段は上記電子ビームのパワーを一定として上記複数の固体材料のそれぞれに対する該電子ビームの照射時間によって上記気化比率を制御する、
    請求項2に記載の合金窒化物膜形成装置。
  4. 上記気化手段は上記複数の固体材料のそれぞれに対する上記電子ビームの照射位置を変えながら該複数の固体材料のそれぞれを加熱して気化させる、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の合金窒化物膜形成装置。
  5. 上記複数の収容部は1つの軸を中心とする概略同心円筒状の複数の壁状体によって区画されたものであり、
    上記気化手段は上記軸を中心として上記複数の収容部を回転させることによって上記複数の固体材料のそれぞれに対する上記電子ビームの照射位置を変える、
    請求項4に記載の合金窒化物膜形成装置。
  6. 被処理物の表面に合金窒化物膜を形成する合金窒化物膜形成方法において、
    内部に上記被処理物が設置された真空槽の該内部を排気する排気過程と、
    上記真空槽の内部に設けられており互いに近接した位置にある複数の収容部に個別に収容されている上記合金窒化物膜の合金成分材料である複数の固体材料に1つの電子ビームを所定の順番で周期的に照射することによって該複数の固体材料を個別に加熱して気化させる気化過程と、
    上記真空槽の内部に窒素ガスを供給する窒素ガス供給過程と、
    上記真空槽の内部にプラズマを発生させるプラズマ発生過程と、
    上記プラズマによってイオン化された上記複数の固体材料それぞれの気化粒子と上記窒素ガスのガス粒子とを上記被処理物の表面に引き寄せるためのバイアス電力を該被処理物に供給するバイアス電力供給過程と、
    を具備することを特徴とする、合金窒化物膜形成方法。
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