JP2017019685A - 電気抵抗材料およびその製造方法 - Google Patents

電気抵抗材料およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017019685A
JP2017019685A JP2015138078A JP2015138078A JP2017019685A JP 2017019685 A JP2017019685 A JP 2017019685A JP 2015138078 A JP2015138078 A JP 2015138078A JP 2015138078 A JP2015138078 A JP 2015138078A JP 2017019685 A JP2017019685 A JP 2017019685A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resistance material
vol
volume resistivity
metal particles
electrical resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015138078A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6222620B2 (ja
Inventor
芳春 和久
Yoshiharu Waku
芳春 和久
眞二 春井
Shinji Harui
眞二 春井
景一 磯部
Keiichi Isobe
景一 磯部
浩道 勝山
Hiromichi Katsuyama
浩道 勝山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SUZUKI GOKIN KK
Shimane University
Original Assignee
SUZUKI GOKIN KK
Shimane University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SUZUKI GOKIN KK, Shimane University filed Critical SUZUKI GOKIN KK
Priority to JP2015138078A priority Critical patent/JP6222620B2/ja
Publication of JP2017019685A publication Critical patent/JP2017019685A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6222620B2 publication Critical patent/JP6222620B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】 ニクロムより高いレンジの体積抵抗率を有し、ニクロム等の使用量の低減も可能な電気抵抗材料を提供すること【解決手段】絶縁体であるマトリクス材料に対し、平均アスペクト比が3以上9以下にある扁平状金属粒子を20vol%以上70vol%以下の割合で含有する焼結体であって、体積抵抗率の値が1.5×10−4[Ω・cm]以上5.0×10−2[Ω・cm]以下であることを特徴とする電気抵抗材料。【選択図】図2

Description

本発明は、電気抵抗材料およびその製造方法に関し、特に、ニクロムより体積抵抗率の大きな電気抵抗材料および体積抵抗率の調整が可能な電気抵抗材料製造方法に関する。
従来、抵抗材料や発熱材料として用いられる素材は体積抵抗率が材料ごとに一定であるため、長さと断面積の比を変える2次加工をおこなうことにより、電気抵抗値や発熱量を調整していた。
換言すれば、従来は、素材自体による体積抵抗率の幅広い調整は不可能であり、材料加工により絶対値を調整する必要があるという制約があった。
また、抵抗材料や発熱材料の代表的な素材としてニクロムが知られている。しかしながら、ニッケルもクロムもレアメタルであり、資源の枯渇も懸念されるため、使用するにしても使用量を少なくしたいという潜在的な要請がある。
特開平11−16665号公報 特開平9−260031号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ニクロムより高いレンジの体積抵抗率を有し、ニクロム等の使用量の低減も可能な電気抵抗材料を提供することを目的とする。また、素材自体の体積抵抗率を設計できる電気抵抗材料製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の電気抵抗材料は、絶縁体であるマトリクス材料に対し、平均アスペクト比が3以上9以下にある扁平状金属粒子を20vol%以上70vol%以下の割合で含有する焼結体であって、体積抵抗率の値が1.5×10−4[Ω・cm]以上5.0×10−2[Ω・cm]以下であることを特徴とする。
なお、マトリクス材料としては、ガラスまたはセラミックスを挙げることができる。金属粒子は、金属粉末ということもでき、平均アスペクト比が3以上9以下の扁平状金属粒子が好ましい。平均アスペクト比における平均とは、金属粒子が個々異なる形状であるための定義づけであるが、異なる分布をもつ二以上の粒子系を意図的に混在させる場合の平均も当然ながら含む。すなわち、アスペクト比4.5の粒子50%にアスペクト比2.5の粒子50%(いずれも同一の標準偏差をもつ正規分布であるとする)を加えて平均アスペクト比が3.5となる粒子系も排除されないことを意味する。
請求項2に記載の電気抵抗材料は、請求項1に記載の電気抵抗材料において、曲げ強度がマトリクス材料の曲げ強度の1.5倍以上であり、かつ、破壊靱性値がマトリクス材料の破壊靱性値の2倍以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の電気抵抗材料は、請求項1または2に記載の電気抵抗材料において、扁平状金属粒子が、ニクロム、ステンレス鋼、パーマロイ、超耐熱合金、または、Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Fe,Ni,Co,Cu,Al,Mg,Znもしくはこれらの合金もしくはこれらの金属間化合物、から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項4に記載の電気抵抗材料の製造方法は、絶縁体であるマトリクス材料に扁平状金属粒子を添加混合して焼結する電気抵抗材料の製造方法であって、扁平状金属粒子の平均アスペクト比を3以上9以下、添加量を20vol%以上70vol%以下にて調整することにより、焼結して得られる電気抵抗材料の体積抵抗率を1.5×10−4[Ω・cm]以上5.0×10−2[Ω・cm]以下の所定値に調整可能としたことを特徴とする。
なお、添加混合する金属の融点はマトリクスの焼結温度を超える必要がある。これは、扁平状を維持するためであり、金属粒子の扁平度(アスペクト比)は、金属粒子をボールミル等により処理する処理時間、回転数等により調整できる。また、適宜分粒により調整してもよい。
請求項5に記載の電気抵抗材料の製造方法は、絶縁体であるマトリクス材料に対して、金属粒子を20vol%以上70vol%以下として添加し、扁平化混合装置により金属粒子の平均アスペクト比が3を超えるまで混合し、これを焼結することにより、曲げ強度がマトリクス材料の曲げ強度の1.5倍以上かつ破壊靱性値がマトリクス材料の破壊靱性値の2倍以上であって、体積抵抗率が1.5×10−4[Ω・cm]以上5.0×10−2[Ω・cm]以下の範囲にある電気抵抗材料を得ることを特徴とする。
なお、扁平化混合装置の例としては、ボールミル、遊星型ボールミル、振動ミル、アトライターなどを挙げることができる。
本発明によれば、ニクロムより高いレンジの体積抵抗率を有し、ニクロム等の使用量の低減も可能な電気抵抗材料を提供することができる(請求項1,3)。また、そのレンジ内にて素材として体積抵抗率を設計し、狙った電気抵抗材料を製造することができる(請求項4)。また、曲げ強度と破壊靱性値の高い、機械的特性が良好で信頼性の高い電気抵抗材料を提供することができる(請求項2)。また、作製時間が短くコストの安い電気抵抗材料を提供することが可能となる(請求項5)。
本発明の電気抵抗材料の断面写真および破断面の写真である。このうち、図1aは本発明の電気抵抗材料の断面の光学顕微鏡写真を、図1bは、本発明の電気抵抗材料の破壊靭性試験の破断面の走査型電子顕微鏡写真を示している。 本発明の電気抵抗材料の、扁平状金属粒子の含有割合に対する体積抵抗率の変化の様子を示した図である。 本発明の電気抵抗材料の、扁平状金属粒子のアスペクト比に対する体積抵抗率の変化の様子を示した図である。 本発明の電気抵抗材料の、扁平状金属粒子の含有割合に対する破壊靱性値の上昇を示す図である。 本発明の電気抵抗材料の、扁平状金属粒子の含有割合に対する破壊靱性値の上昇を示す他の実施結果である。 本発明の電気抵抗材料の、扁平状金属粒子の含有割合に対する曲げ強度の上昇を示す実施結果である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。まず、電気抵抗材料およびその製造方法について説明し、次に、体積抵抗率および強度等を評価した結果について説明する。
<電気抵抗材料>
本発明である電気抵抗材料は、絶縁体であるマトリクス材料に扁平状金属粒子を添加混合し、焼結して得られる。
<電気抵抗材料:マトリクス1>
絶縁体であるマトリクス材料はガラスとすることができる。例えば、結晶化ガラス、汎用ガラス等の酸化物系ガラスや非酸化物系ガラスを用いることができる。ガラスを複数種用いてもよい。
具体的には、結晶化ガラスとしては、LASI(LiO−Al−SiO−MgO系)、LASII、III(LiO−Al−SiO−MgO−Nb系)、MAS(MgO−Al−SiO系)、BMAS(BaO−MgO−Al−SiO系)、Ternary mullite(BaO−Al−SiO系)、Hexacelsian(BaO−Al−SiO系)や、LiO−Al−SiO系、NaO−Al−SiO系、NaO−CaO−MgO−SiO系、PbO−ZnO−B系、ZnO−B−SiO系、ZrO−SiO系、CaO−Y−Al−SiO系、CaO−Al−SiO系、MgO−CaO−Al−SiO系、SiO−B−Al−MgO−KO−F系等を挙げることができる。
汎用ガラスとしては、ケイ酸ガラス(SiO系)、ソーダ石灰ガラス(NaO−CaO−SiO系)、カリ石灰ガラス(KO−CaO−SiO系)、ホウケイ酸ガラス(NaO−B−SiO系)、アルミノケイ酸ガラス(Al−MgO−CaO−SiO系)、鉛ガラス(KO−PbO−SiO系)、バリウムガラス(BaO−SiO−B系)等を挙げることができる。
この他、低融点ガラスを用いてもよく、例えば、鉛ケイ酸塩ガラス(PbO−SiO系、PbO−B−SiO系等)、ほう酸塩ガラス(B系、LiO−B系、NaO−B系等)、りん酸塩ガラス(NaO−P系、B−P系等)やAl−LiO−NaO−KO−P系等を挙げることができる。
さらに、近年、開発が進められているY−Al−SiO系ガラス、オキシナイトライドガラス(La−Si−O−N系、Ca−Al−Si−O−N系、Y−Al−Si−O−N系、Na−Si−O−N系、Na−La−Si−O−N系、Mg−Al−Si−O−N系、Si−O−N系、Li−K−Al−Si−O−N系)や熱膨張率の小さいTiO−SiO系、CuO−Al−SiO系等を用いることもできる。
非酸化物系ガラスとしては、ふっ化物系ガラスやカルコゲン系ガラスを用いることができる。
<電気抵抗材料:マトリクス2>
また、マトリクス材料としては、セラミックスを用いることができる。例えば、Al、ZrO、MgO、ムライト、MgO/Al、Al/Yを挙げることができる。セラミックスを複数種用いてもよい。
なお、焼結前は、ガラス粉末を用いる場合はその粒度は50μm以下のものが望ましい。セラミックス粉末を用いる場合は、その粒度は特に制限はないが、焼結性の観点からその平均粒径1μm以下のものが望ましい。
<電気抵抗材料:扁平状金属粒子>
添加混合し複合相を形成する金属(扁平状金属粒子)としては、Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Fe,Ni,Co,Cu,Al,Mg,Znもしくはこれらの合金もしくはこれらの金属間化合物とすることができる。また、ニクロム、ステンレス鋼、パーマロイまたは、超耐熱合金とすることもできる。以上の金属を複数組み合わせてもよい。
なお、金属はその融点がマトリクスの焼結温度より高いものを選択することが必要である。
ガラスをマトリクスとする場合、例えば、マトリクスがケイ酸ガラス系やTiO−SiO系の場合には、焼結温度が1600℃以上になるため、これより高い融点をもつ金属であるV、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wもしくはこれらの合金もしくはこれらの金属間化合物を用いることが好ましい。
また、オキシナイトライドガラスおよびPbO−ZnO−B系を除く結晶化ガラスの焼結温度は、およそ700〜1300℃であるため、上記の金属の他に、Ti、Fe、Ni、Coもしくはこれらの合金もしくはこれらの金属間化合物も使用することができる。
また、ニクロム、ステンレス鋼、パーマロイ、超耐熱合金も使用することができる。さらに、汎用ガラスは焼結温度がおよそ600〜1000℃であるため、上記の金属の他にCuも使用することができる。
PbO−ZnO−B系結晶化ガラスと低融点ガラスでは焼結温度がおよそ200〜600℃であるため、さらにAl、Mg、Znまたはこれらの合金を使用することができる。
セラミックスをマトリクスとする場合、例えば、Alの場合には、焼結温度はおおよそ1500℃〜1700℃であるため、これより高い融点をもつ金属であるV、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wもしくはこれらの合金もしくはこれらの金属間化合物を用いることが好ましい。
低温度焼結タイプのセラミックス、例えば、タイミクロンTM−DAR(大明化学工業株式会社製)では、焼結温度が1200℃になるため、上記の金属の他に、Ti、Fe、Ni、Coもしくはこれらの合金もしくはこれらの金属間化合物も使用することができる。ニクロム、ステンレス鋼、パーマロイ、超耐熱合金も使用することができる。
ZrO(焼結温度>1800℃)、MgO(焼結温度>1400℃)、ムライト(焼結温度>1500℃)についても、適宜、これらの焼結温度を考慮して金属を選択できる。
なお、Alにガラス相を加えていくと焼結温度を約900℃まで下げることができるので、このような場合、上記の金属の他にCuも使用することができる。
金属の含有量は20vol%以上70vol%以下の割合が好ましい。20vol%未満であると、絶縁体の相対量が多くなり、体積抵抗率のバラツキが大きく、電気抵抗材料として使用できなくなるためであり、70vol%を越えると、体積抵抗率が添加金属のそれとほぼ同等となりメリットが出てこないためである。
金属粉末は、ボールミル等を用いマトリクス材料との混合中に扁平化させる場合(後述)には、当初の扁平化していない粒径が1μm〜200μm、特に3μm〜100μmであることが好ましい。粒径が1μmよりも小さいと、微粒のため扁平化させることが困難となり、200μmよりも大きいと、マトリクス材料の粉末との分離が生じかつこの程度の金属粉末が残存していると粗粒のため焼結も困難となるためである。なお、予め扁平化させた粉末を単にマトリクス材料と混合するだけである場合(もしくは、ボールミル処理が終わり、焼結前の状態においては)、平均アスペクト比が3以上9以下であることが好ましい。
<電気抵抗材料:製造方法>
本発明の電気抵抗材料は、以下の方法で製造できる。
(1)まず、金属粉末表面にガラス粉末またはセラミックス粉末が付着している複合粉末を製造する。このような複合粉末は、金属粉末とガラス粉末またはセラミックス粉末とを混合することにより製造できる。扁平状金属粒子は、混合時に塑性変形させて形成することができる。
金属粒子と、ガラス粉末、セラミックス粉末その他のマトリクス材料との混合方法については特に制限はなく湿式および乾式のいずれも採用できる。湿式混合の場合の溶媒としてはエタノール、メタノール等を使用することができる。混合装置は、ボールミル、振動ミル、アトライター、遊星型ボールミル等を用いることができる。
金属粒子は、混合時に、ボール等との機械的接触により球状から扁平状へと変形していく。すなわち、混合時間や回転数等の混合条件の制御により扁平度合いを制御することができる。また、この混合過程で、金属粉末の表面にガラス粉末またはセラミックス粉末が満遍なく付着していくため、焼結の際、金属同士が接触することによる造粒化を防止することができる。
なお、マトリクス材料に金属粒子を添加した後に扁平処理を施すプロセスに限らず、予め金属粒子を扁平状にし、必要に応じて分粒し、所定範囲のアスペクト比を有する金属粒子、または、所定の平均アスペクト比を有する金属粒子とし、マトリクス材料に添加混合するようにしてもよい。
(2)次に、このようにして得られた混合粉末を所望の形状に成形し、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下または真空中で200〜1800℃で焼結する。焼結方法としては、公知の焼結方法を用いることができる。例えば、CIP成形や射出成形した成形体を常圧焼結や真空焼結し、さらにHIP処理で高密度化するプロセスでは、扁平化した粒子が3次元的にランダムに配向するため等方的な組織となるが、扁平状金属粒子を用いてホットプレス等の一軸加圧方法により成形をおこなうと、扁平状金属粒子はプレス方向と垂直方向に2次元に配向するので、焼結体の特性(曲げ強度と破壊靭性)に異方性を持たせることができる。
マトリクスがガラスの場合、ガラスの軟化点付近以上に加熱することより2次加工ができるため、成形したビレットを、押出やロール成形などにより、長尺の形状に成形することもできる。さらに、鍛造法や鋳造法、好ましくは加圧鋳造法により直接複雑形状の成形をすることもできる。
なお、焼結は、200〜1800℃の温度範囲でおこなうが、扁平形状が保持されるように添加した金属の融点より低い温度の軟化点ないし焼結温度をもつマトリクスを適宜選択する。
次に、実際に試験体を作成し、体積抵抗率について物性評価をおこなった。
<実施例1:予備試験>
1.試験体の作成:
マトリクスとしてガラス粉末(日硝マテリアル製、平均粒径:14μm)を用い、ニクロム粒子(Hoganas製、化学組成:Ni77.5%、Cr20%、Si1%、Mn0.8%、Fe0.5%、C0.2%、粒径:53〜20μm)とガラス粉末の総質量を約100gとし、ニクロムの体積率が30%になるように所定量に配合した。混合に際しては、溶媒としてエタノールを添加し、窒化ケイ素(Si)ボールを用い、湿式遊星型ボールミル混合をおこなった。この混合過程において、金属粒子の周りにガラス粉末が満遍なく付着していることを確認した。
この混合粉末を黒鉛のモールドにいれ、プラズマ放電焼結によりアルゴン雰囲気下にて700℃に加熱し、388kg/cmの圧力で5分間保持して焼結をおこなった。図1に断面組織の光学顕微鏡像写真(a)と破断面の電子顕微鏡写真(b)を示す。扁平状金属粒子平均アスペクト比が6.1となっていることを確認した。
上記配合は、扁平状ニクロム粒子が30vol%の例であるが、同様に、20vol%、40vol%、50vol%、60vol%および70vol%の試料も作成した。
2.試験体の体積抵抗率(金属添加割合−体積抵抗率の関係):
次に得られた10φ×1.5mmの焼結体を用いて4端子法にて体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。なお、比較のため、100vol%すなわち、使用したニクロムそのものの体積抵抗率も合わせて示している。
表から明らかなように、扁平状ニクロム粒子の含有量に応じて、純粋なニクロムである場合に比して4倍〜140倍程度体積抵抗率を上昇させることができることを確認した。
3.試験体の体積抵抗率(金属粒子のアスペクト比−体積抵抗率の関係):
次に、含有量は30vol%に固定し、ボールミルの処理時間を変えることにより、ニクロム粒子の扁平度、すなわち、平均アスペクト比を変え、上記と同様に試料を作成し、その体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
表から明らかなように、アスペクト比を変えることによって、体積抵抗率を変えることができることを確認した。
以上の予備試験結果から、絶縁体であるマトリクス材料に対し、金属粒子ないし金属粉末を扁平にして添加混合した焼結体は、広いレンジで体積抵抗率を調整ないし設計できることが分かった。特に、ニクロムを用いた例では、ニクロム単体より体積抵抗率を4〜140倍程度上昇させることができる。これは、換言すれば、同等の電気抵抗値を有するのであればニクロムの使用量を少なくでき、また、抵抗体を小型化できるというメリットを有するといえる。
<実施例2:電気抵抗材料の評価>
次に、他の物性も考慮し、特に、添加金属がニクロムであるときにどの程度のアスペクト比および添加量とするのが実用的であるかを調べた。実施例1と同様にして、様々な平均アスペクト比、添加量をふり、体積抵抗率を調べた。
図2に、平均アスペクト比が5.5である場合の、vol%−体積抵抗率の関係を示した。なお、扁平処理していないニクロムを30vol%添加した場合の体積抵抗率についてもプロットした。また、ニクロム単体の体積抵抗率もプロットした。
図示したように、扁平とすることにより体積抵抗率は約1000倍程度小さくなることが確認できた。また、添加量が少なくなるにつれ(すなわち、vol%が小さくなるにつれ)体積抵抗率は100倍程度大きくなることも確認できた。ただし、グラフから明らかなように、添加量が多い場合、具体的には、70vol%を越えて添加しても、ニクロム100%である場合と体積抵抗率が数倍程度しか異ならず、添加メリットが得られない。反対に、添加量が少ない場合、具体的には20vol%より少ないと、急激に体積抵抗率が上昇し、抵抗材料ひいては製品のばらつきが大きくなる。したがって、添加量は、20vol%以上70vol%以下が好適である。
なお、一般的に、プラスチックの中に炭素微粉末を添加するなど、マトリックスにこれと性状の異なる微粉末を添加したような複合材料については、ある添加量を境に体積抵抗率が著しく低下し、この体積抵抗率が急激に低下する添加量の範囲は極めて狭い(LDPE間の場合1.5wt%前後、PMMAの場合3%wt%前後、PMMA/LPDEの場合5〜6wt%)(例えばSeyed Ahmad Hosseini Pour et. al., Materials Chemistry and Physics, 143(2014)830-837.)。この現象はパーコレーション理論の閾値として知られ、今まで報告されている材料は全てこの現象を示している。これに対して、図2に示したように、本発明は、体積抵抗率が添加量に伴ってなだらかに変化し、従来にない物性を示す抵抗材料であるといえる。
また、図3に、ニクロム30vol%と固定して、平均アスペクト比−体積抵抗率の関係を示した。なお、ほとんど扁平処理していない、すなわち、平均アスペクト比≒1.5のニクロムを30vol%添加した場合の体積抵抗率についてもプロットしてある。
図示したように、平均アスペクト比が7を超えると、体積抵抗率がほとんど変わらない。反対に、平均アスペクト比が3未満となると、急激に体積抵抗率が上昇し、抵抗材料ひいては製品のばらつきが大きくなる(換言すれば、平均アスペクト比が3以上であればばらつかなくなる)。したがって、平均アスペクト比は、3以上7以下が好適である。
<実施例3:破壊靱性値>
焼結体の破壊靱性値を測定した。マトリクスを板ガラスとして、平均アスペクト比5.7のステンレス鋼SUS410L(大同特鋼(株)製、化学組成:Fe72.45%,Cr13.05%,Si1.03%,N0.029%,O0.23%,Mn0.14%,Ni0.12%,C0.019%,P0.016%,Mo0.01%,平均粒径:9μm)の粉末を20、30、40、50vol%添加し、放電プラズマ焼結装置(SPS:シンテックス(株)製、Dr.SINTER)を用い焼結温度700℃、圧力38MPaにて焼結し試験片を作製した。
SEVNB法により破壊靱性値を測定した。結果を図4に示す。なお、図には、マトリクスそのものの破壊靱性値もプロットした。20vol%以上の添加によりマトリクスの二倍以上の破壊靱性値を有することが確認できた。また、この材料の体積抵抗率とステンレス鋼SUS410Lの体積率との関係を表3に示す。

表から明らかなように、扁平状ステンレス鋼SUS410Lの体積率とともに体積抵抗率が大幅に減少することを確認した。すなわち、扁平状金属粒子の体積率により体積抵抗率の調整が可能である。
<実施例4:曲げ強度>
同様に、マトリクスをガラス粉末B200(日硝マテリアル(株)製、平均粒径:14μm)を用い、ニクロム粒子(Hoganas製、化学組成:Ni77.5%、Cr20%、Si1%、Mn0.8%、Fe0.5%、C0.2%、粒径:53〜20μm)を扁平化し、平均アスペクト比7.2の粉末を20、30、40、50vol%添加し、実施例3と同様の燒結を実施し、試験片を作製した。これについて、曲げ強度と破壊靱性値を測定した結果を図5および図6に示す。なお、曲げ強度は、3点曲げ試験により測定した。
図示したように、20vol%以上の添加であれば、マトリクスに対して少なくとも1.5倍以上の曲げ強度かつ2倍以上の破壊靱性値を有することが確認した。
以上の傾向は、添加する金属の種類に大きく依存しない。すなわち、焼結体に応力がかかりマトリクス中を微小クラックが進行しても、破壊時に扁平粒子が塑性変形するため、破壊エネルギーが大きくなりクラックの進展に大きな障害となり、添加する金属の種類には大きく依存しない。
なお、アスペクト比が3以上であれば、物性にばらつきがなく、かつ、扁平処理の時間が短くて済む。したがって、所望する体積抵抗率にも依存するが、金属粒子をマトリクスに対して20vol%以上70vol%以下として添加し、ボールミルにより平均アスペクト比が3を超えるまで混合し(3を目安にこれを超えたら混合を速やかに終了し)、これを焼結して、曲げ強度がマトリクス材料の曲げ強度の1.5倍以上であり破壊靱性値がマトリクス材料の破壊靱性値の2倍以上の電気抵抗材料を製造するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、ニクロム等のこれまで汎用されている電気抵抗材料では達成できない高抵抗領域まで素材として体積抵抗率を制御できる電気抵抗材料を設計および製造、提供できる。したがって、二次加工を必要とせず、例えば、板状とすることもできる。また、小型化(軽量化)にも資する。ニクロムの使用量を少なくする電気抵抗材料であるということもできる。また、金属を扁平状としているのでその塑性変形も利用し、素材強度をマトリクス以上に高め、酸化アルミニウム程度にすることにも成功している。
また、製造過程において、金属粒子を扁平化することもでき、製造プロセスの簡素化も可能である。
本発明の電気抵抗材料はマトリクスがガラスやセラミックスを採用できるので、マトリックスとして耐熱性の高い材料を選択すれば耐熱性に優れた電気抵抗材料を製造できる。

Claims (5)

  1. 絶縁体であるマトリクス材料に対し、平均アスペクト比が3以上9以下にある扁平状金属粒子を20vol%以上70vol%以下の割合で含有する焼結体であって、
    体積抵抗率の値が1.5×10−4[Ω・cm]以上5.0×10−2[Ω・cm]以下であることを特徴とする電気抵抗材料。
  2. 曲げ強度がマトリクス材料の曲げ強度の1.5倍以上であり、かつ、破壊靱性値がマトリクス材料の破壊靱性値の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気抵抗材料。
  3. 扁平状金属粒子が、
    ニクロム、ステンレス鋼、パーマロイ、超耐熱合金、または、
    Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Fe,Ni,Co,Cu,Al,Mg,Znもしくはこれらの合金もしくはこれらの金属間化合物、
    から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気抵抗材料。
  4. 絶縁体であるマトリクス材料に扁平状金属粒子を添加混合して焼結する電気抵抗材料の製造方法であって、
    扁平状金属粒子の平均アスペクト比を3以上9以下、添加量を20vol%以上70vol%以下にて調整することにより、
    焼結して得られる電気抵抗材料の体積抵抗率を1.5×10−4[Ω・cm]以上5.0×10−2[Ω・cm]以下の所定値に調整可能としたことを特徴とする電気抵抗材料の製造方法。
  5. 絶縁体であるマトリクス材料に対して、金属粒子を20vol%以上70vol%以下として添加し、
    扁平化混合装置により金属粒子の平均アスペクト比が3を超えるまで混合し、
    これを焼結することにより、
    曲げ強度がマトリクス材料の曲げ強度の1.5倍以上かつ破壊靱性値がマトリクス材料の破壊靱性値の2倍以上であって、
    体積抵抗率が1.5×10−4[Ω・cm]以上5.0×10−2[Ω・cm]以下の範囲にある電気抵抗材料を得ることを特徴とする電気抵抗材料の製造方法。
JP2015138078A 2015-07-09 2015-07-09 電気抵抗材料およびその製造方法 Active JP6222620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015138078A JP6222620B2 (ja) 2015-07-09 2015-07-09 電気抵抗材料およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015138078A JP6222620B2 (ja) 2015-07-09 2015-07-09 電気抵抗材料およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017019685A true JP2017019685A (ja) 2017-01-26
JP6222620B2 JP6222620B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=57887569

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015138078A Active JP6222620B2 (ja) 2015-07-09 2015-07-09 電気抵抗材料およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6222620B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019085593A (ja) * 2017-11-01 2019-06-06 公立大学法人大阪府立大学 金属めっき方法及び抵抗体
US11495374B2 (en) 2018-08-29 2022-11-08 Koa Corporation Resistive material, resistor, and manufacturing method of resistive material

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08208273A (ja) * 1994-11-29 1996-08-13 Ube Ind Ltd ガラス複合材料及びガラス複合粉末並びにそれらの製造方法
JPH09260031A (ja) * 1996-03-21 1997-10-03 Ube Ind Ltd 抵抗発熱体
JP2012001402A (ja) * 2010-06-18 2012-01-05 Shimane Univ 電気抵抗材料

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08208273A (ja) * 1994-11-29 1996-08-13 Ube Ind Ltd ガラス複合材料及びガラス複合粉末並びにそれらの製造方法
JPH09260031A (ja) * 1996-03-21 1997-10-03 Ube Ind Ltd 抵抗発熱体
JP2012001402A (ja) * 2010-06-18 2012-01-05 Shimane Univ 電気抵抗材料

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
山下輝之ほか: "扁平ニクロム粒子で強化したガラス基複合材料の製造と電気抵抗特性", 粉体粉末冶金協会講演概要集, vol. 平成23年度秋季大会, JPN6016042015, 26 October 2011 (2011-10-26), JP, pages 141, ISSN: 0003430407 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019085593A (ja) * 2017-11-01 2019-06-06 公立大学法人大阪府立大学 金属めっき方法及び抵抗体
JP2021101047A (ja) * 2017-11-01 2021-07-08 公立大学法人大阪 金属めっき物
JP7072811B2 (ja) 2017-11-01 2022-05-23 公立大学法人大阪 金属めっき物
US11495374B2 (en) 2018-08-29 2022-11-08 Koa Corporation Resistive material, resistor, and manufacturing method of resistive material

Also Published As

Publication number Publication date
JP6222620B2 (ja) 2017-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005132654A (ja) セラミックス複合材料及びその製造方法
JP4146333B2 (ja) 均一な組織を有するタングステン−銅合金及びその製造方法
TW201536466A (zh) 接合材組成物、氮化鋁接合體及其製法
JP6058668B2 (ja) 熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換モジュール並びに熱電変換材料の製造方法
JP6222620B2 (ja) 電気抵抗材料およびその製造方法
JP2007251125A (ja) 軟磁性合金圧密体及びその製造方法
JP4618557B2 (ja) 軟磁性合金圧密体及びその製造方法
JP2002371301A (ja) タングステン焼結体およびその製造方法
JPH09255408A (ja) 電波吸収材料
JP3580778B2 (ja) 熱電変換素子及びその製造方法
JP2020097509A (ja) ムライト質焼結体及びその製造方法
JP4295491B2 (ja) 銅−タングステン合金およびその製造方法
JPS6033335A (ja) 耐熱性モリブデン材
JP5051834B2 (ja) 耐熱衝撃性電磁波シールド材およびその製造方法
JP2000277815A (ja) 金属短細線分散熱電材料およびその作製方法
JP5728684B2 (ja) 快削性セラミックス及びその製造方法
KR101159086B1 (ko) 고강도 및 고경도를 갖는 텅스텐계 소결 재료 및 그것으로 이루어지는 광학 유리 렌즈의 열간 프레스 성형 금형
JP5312523B2 (ja) セラミック製刃物およびその製造方法
JPH0974298A (ja) 電磁波シールド材
JPH09260031A (ja) 抵抗発熱体
JP4222223B2 (ja) 光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した細粒組織を有する高硬度タングステン系焼結材料
JP4366594B2 (ja) 光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するタングステン系焼結材料
KR101789300B1 (ko) 방전 플라즈마 소결 공정을 이용한 은-다이아몬드 복합 재료의 제조방법 및 이에 의해 제조된 은-다이아몬드 복합 재료
JP4071691B2 (ja) 耐熱衝撃性に優れたMoSi2を主成分とする発熱体の製造方法及び発熱体
JP2004083968A (ja) 高精度光学ガラスレンズの熱間プレス成形に用いるのに適したタングステン基焼結合金金型

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161101

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20161226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170919

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170924

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6222620

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250