JP2017017276A - 波長可変レーザ、情報取得装置及び撮像装置 - Google Patents

波長可変レーザ、情報取得装置及び撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】単一素子で広い波長掃引帯域を有する波長可変レーザ等を提供する。【解決手段】波長可変レーザは、一対の反射ミラー102、113と、一対の反射ミラーの間に配置された活性層105、106、一対の反射ミラーの少なくとも1つを変位させる駆動手段を有する。活性層は、第1の利得波長領域に利得のある第1の活性領域105と第2の利得波長領域に利得のある第2の活性領域106とを含む。第1の利得波長領域と第2の利得波長領域は少なくとも部分的に重なっており、反射ミラーは、その反射スペクトルが第1の利得波長領域と第2の利得波長領域で発振を可能とする反射率を有する。それぞれ第1の活性領域と第2の活性領域に由来する発振可能な第1の共振光と第2の共振光が、波長領域の重なり領域で、一対の反射ミラーで形成される共振器において、互いに位相同期しながら共振するように波長可変レーザは構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、波長可変レーザ、情報取得装置及び撮像装置に関する。
近年、波長可変レーザが盛んに研究されている。波長可変レーザには様々な方式のものがあるが、その中の1つにMEMS(Micro Electoric Mechanical Systems)機構を用いた波長可変レーザがある。例えば、面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)のミラーにMEMS機構を付け、ミラーを可動とすることで共振器長を変えて波長掃引可能としたもの等がある。上記MEMS機構を用いたレーザは、他方式に比べ掃引波長領域が広いことが特徴である。MEMSの駆動方式としては、静電力を用いたものや熱歪みを用いたものなど、様々な方式のものが提案されている。
非特許文献1には、このようなMEMS機構を用いたレーザとして、VCSELの片方のミラーにMEMS機構を付加し、静電力を用いて片方のミラーを上下に動かすレーザ素子が開示されている。こうしたMEMS機構を用いた波長可変レーザの一つの応用として、主に眼科診断に用いる光干渉断層撮像装置(OCT装置:Optical Coherence Tomography)がある。OCTには色々な方式が存在するが、波長可変レーザを用いるのは、SS−OCT(Swept Source−OCT)と呼ばれる、光源の波長を高速で掃引しながら計測を行う方式のOCTである。これは他方式に比べ、高速、高S/N比などの優位点を持ち、次世代のOCTとして注目を集めている。OCTでは、波長可変範囲が広いほど、得られる画像の奥行き分解能が高くなるため有利となる。
Proceedings of SPIE Vol. 8276, 82760P (2012)
波長可変レーザは、一般に波長可変範囲が広いほど、応用範囲も広がり光源として優れていると言えるため、より広い可変範囲を得るための開発が行われている。本発明は、MEMS機構などのミラー駆動手段を用い、広い波長可変範囲を有する波長可変レーザ等を提供することを目的とする。
本発明の波長可変レーザは、一対の反射ミラーと、前記一対の反射ミラーの間に配置された活性層と、前記一対の反射ミラーの少なくとも1つを変位させる駆動手段と、を有する波長可変レーザである。前記活性層は、第1の利得波長領域に利得のある第1の活性領域と第2の利得波長領域に利得のある第2の活性領域とを含み、前記第1の利得波長領域と前記第2の利得波長領域は少なくとも部分的に重なっている。前記反射ミラーは、その反射スペクトルが前記第1の利得波長領域と前記第2の利得波長領域で発振を可能とする反射率を有する。そして、それぞれ前記第1の活性領域と前記第2の活性領域に由来する発振可能な第1の共振光と第2の共振光が、前記利得波長領域の重なり領域で、前記一対の反射ミラーで形成される共振器において、互いに位相同期しながら共振して発振する。
本発明によれば、異なる波長可変範囲をもつ複数の素子を別々に駆動する方法を用いるのではなく、1素子の中で適宜の位相同期手段を用いて波長可変範囲を広げているので、広い波長可変範囲を有する単一のレーザ素子を得ることができる。
波長可変レーザの一実施形態の素子構成を示す模式断面図。 波長可変レーザの一実施形態の波長に対する活性層の利得分布を示す図。 レーザ素子の共振光の強度分布と電流狭窄部の径の関係を示す図。 非対称量子井戸構造の活性層のエネルギーと膜厚方向位置の関係を示す図。 波長可変レーザの一実施形態の波長に対する共振光の強度分布を示す図。 波長可変レーザの他の実施形態の素子構成を示す模式断面図。 波長可変レーザの他の実施形態の活性層付近の共振光の光強度分布を示す図。 波長可変レーザの他の実施形態の位相調整層導入のパターンを示す図。 本発明の第1の実施例の素子構成を示す模式上面図。 本発明の第1の実施例の素子構成を示す模式断面図。 本発明の第1の実施例の素子構成を示す他の模式断面図。 非対称量子井戸構造の活性層における利得分布の例を示す図。 本発明の第2の実施例の素子構成を示す模式断面図。 本発明の第2の実施例の素子構成を示す他の模式断面図。 本発明の第3の実施例の素子構成を示す模式断面図。 波長掃引型の光干渉断層撮像装置の実施形態の構成を示す図。
以下の実施形態及び実施例の広い波長掃引帯域を有する単一素子の波長可変レーザでは、利得波長領域の少なくとも一部が重なり合うよう複数の活性領域を設計する。そして、重なり合った領域において、複数の活性領域からの発振可能な共振光を互いに位相同期させることで、広帯域で連続的な波長掃引が可能なレーザ素子を得ることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、面発光型の波長可変レーザの第1の実施形態の素子構成を表す概念図である。図1には、素子全体の主要構成を示す模式的断面が記載されている。101は基板であり、基板上、基板垂直方向に、下部反射ミラー102、下部クラッド層103が設けられ、その上に下部スペーサ層104が積層されている。その上には、複数の活性領域を含む活性層が積層されており、同一面内で、第1の活性領域である第1の活性層105と第2の活性領域である第2の活性層106とに分割されて積層されている。更にその上に、上部スペーサ層107、上部クラッド層108の順に積層されている。上部クラッド層108中に、駆動電流狭窄のための電流狭窄層109が設けられ、第1の電流狭窄部110と第2の狭窄部111が形成されている。第1の電流狭窄部110と第2の電流狭窄部111は、それぞれ、第1の活性層105と第2の活性層106の上部に位置する。上部クラッド層108の上方には、エアギャップ112を挟んで上部反射ミラー113が設けられている。上部反射ミラー113は、不図示のMEMS梁構造により支持されており、静電引力などの外力を受けて上下に移動する可動ミラー構造となっている。MEMS梁構造の詳細な構造は図9−1から図9−3に示されている。
本実施形態の波長可変レーザは、一対の反射ミラー間で形成された共振器を有する面発光型の波長可変レーザである。これは、上記のようにMEMS梁構造により一対のミラーのうちの少なくとも1つのミラーが上下に移動することで共振器長が変化し、発振する波長が変化するMEMS VCSELである。MEMS構造において可動ミラーに印加する外力を制御することで、発振光の波長を任意に変化させることができる。
本実施形態の波長可変レーザにおいては、上記第1の活性層由来の第1の利得波長領域(閾値利得以上の利得の波長領域)と上記第2の活性層由来の第2の利得波長領域のいずれかの波長領域の発振波長でレーザ発振する(それらが重なった領域を含む)。本実施形態では、第1の利得波長領域の発振光は、第1の活性層由来で第1の電流狭窄部110より放射され、第2の利得波長領域の発振光は、第2の活性層由来で第2の電流狭窄部111より放射される。通常、異なる活性層からレーザ発振する素子はそれぞれ個別のレーザ素子として振る舞うが、本実施形態のような構成をとることにより、同一の波長可変レーザ素子として駆動させることが可能となる。さらに本実施形態においては、第1の活性層の利得波長領域と第2の活性層の利得波長領域を一部重ねることにより、1つの素子において広い可変波長範囲を得ることが可能である。
(原理)
以下、本実施形態の波長可変レーザの原理について説明する。図2は、本実施形態の波長可変レーザの各活性領域の利得分布を表す模式図である。201は、第1の活性層による第1の利得波長領域を表す曲線、202は、第2の活性層による第2の利得波長領域を表す曲線、203は、発振に必要な利得(閾値利得)を表す線、204は、閾値利得以上の利得の重なり部分の利得波長領域を表している。それぞれの活性層では閾値利得以上の利得でレーザ発振するため、第1の利得波長領域では第1の活性層による発振可能な第1の共振光に由来する発振が起こり、第2の利得波長領域では第2の活性層による発振可能な第2の共振光に由来する発振が起こる。閾値利得以上の利得の重なり部分の波長領域(重なり波長領域とも呼ぶ)では、両方の共振光に由来する発振が起こり得る。通常、この重なり波長領域で起こる発振では、レーザ光同士の位相が揃わず、それぞれの発振があたかも別々のレーザとして発振しているような振る舞いを示す。この別々に発振しているレーザ光について、レーザ光の位相同期という現象を用いることでそれぞれの位相を揃え、2つのレーザが単一のレーザとして発振する状況を生み出すことができる。本実施形態においては、具体的には、2つのレーザ光が発振している電流狭窄層の第1及び第2の電流狭窄部110、111の距離をレーザ光の波長オーダーに近づけることにより、この位相同期現象を引き起こすことができる。
通常、この位相同期を用いたレーザ(位相同期レーザとも呼ぶ)は、同一の発振波長をもつレーザ光同士を位相同期させ、高出力の単一レーザとして動作させるために用いられる。本実施形態においては、活性層の波長領域を敢えてずらして部分的に重ならせ、その重なり波長領域でのみ位相同期現象を起こす。このことでその重なり波長領域においても同一のレーザとして動作させる。こうすることで、利得の重なり波長領域を小さくとっておけば、それぞれの活性層における元々の波長領域をほぼ足し合わせた、広範囲の波長領域を有するレーザを単一素子として実現することができる。
発振波長は、共振器長により厳密な制御が可能である。例えば、短波長側から長波長側へ徐々に発振波長が変化していくよう上部反射ミラー113をMEMS梁構造により移動させて共振器長を制御した場合、最初は第1の電流狭窄部110より短波長の光が発振する。発振波長を長くしていき利得の重なり波長領域204に達すると、第1及び第2の電流狭窄部110の両方から発振するが、上述した位相同期現象によりここでも単一のレーザとして動作する。さらに波長を長くし第2の活性層106の利得波長領域に達すると、第2の電流狭窄部111より発振する。このように、全ての利得波長領域において単一のレーザとして機能するため、全体で広帯域なレーザ素子を得ることが可能となる。
(設計方法)
図3に、本実施形態における共振光の光振幅分布(強度分布)の様子を表す模式図を示す。301は第1の共振光の振幅分布、302の網掛け部は第1の電流狭窄部110の直径を表す。303の網掛けは第2の電流狭窄部111の直径、304は第2の共振光の振幅分布を表す。位相同期を生じるためには共振光同士を互いに近接させ、それぞれの光が互いに結合するように配置する必要がある。本実施形態では、共振光のモードフィールドを決定しているのは電流狭窄層109の位置である。電流狭窄層109の第1及び第2の電流狭窄部110、111においては、その部分のみに電流が流れ利得が生じるが、通常、狭窄層自体が、高屈折率の半導体層中に低屈折率の酸化層などにより構成されるため、屈折率差による光閉じ込めが生じる。従って、電流狭窄層109は利得導波または屈折率導波による一種の導波路構造と見ることができる。図3における網掛け部302、303は、上記導波路をイメージしたものである。
上記のような導波路を考えると、狭窄構造中の共振光も導波光の一種とみなすことができ、共振光同士の結合を議論する際、導波路結合の理論を適用することが可能となる。具体的には、図3の共振光の裾部分が隣の導波路とどれだけ重なるかに伴い、結合度合いが変化する。光の裾の長さは、本実施形態では、レーザ素子の共振器長、素子を構成する半導体の屈折率、電流狭窄層109の厚さや狭窄部110、111の直径などをパラメータとして決まる。そして、その裾の長さと導波路間の距離により、重なりすなわち結合度合いを制御することができる。結合度合いを表す指標としては、文献(ELECTRONICS LETERS 21st June 1990 Vol. 26 No. 13 pp896(1990))に記載されているような結合係数がある。また、別文献(IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS, VOL. QE−21, NO. 5, pp458(1985))は、この結合係数が10-5以上の値を持つときに、安定した位相同期が実現すると報告している。
例えば、共振器長が3.5λ、半導体部の屈折率が3.4、酸化層(電流狭窄層)の屈折率が1.5、層厚が0.0286λ、狭窄部が円形で直径2.86λのときを考える。まず、共振光の光振幅分布を、共振光が単独で存在した場合を考え計算する。そして狭窄部間の距離を1.43λとしたとき、それぞれの光の振幅分布同士を近づけた場合を想定し、光振幅分布と導波路構造部との重なり積分を計算することで、結合効率を得ることができる。上記の条件の場合、結合効率を計算すると、9×10−5となる。ここでのλは、前記2つの利得波長領域がカバーする領域の中心波長から±20%内の波長を指す。さらに好ましくは±10%、さらに好ましくは±5%の範囲の波長を指す。結合係数は10-5以上であるため、安定した位相同期が実現すると考えられる。
(レーザの種類)
本実施形態においては、レーザ素子はVCSEL構成としたが、例えば活性媒体として共振器内に利得チップを設置し、外部ミラーにより共振器を形成する外部共振器型のレーザ構成とすることも可能である。この場合は共振器内部に狭帯域な波長可変式のバンドパスフィルタなどを配置することで、波長可変機能を持たせることが可能である。
(材料)
本実施形態において、用いている材料は、GaAs/InGaAs/GaAsP系のIII−V族化合物半導体である。その他、GaAs/AlGaAs系、InGaAsP/InP系などのIII−V族、GaN/AlGaN/InGaNなどのIII−V族窒化物半導体、ZnSeなどのII−VI族半導体を用いることもできる。用いることのできる材料は、活性媒体としての利得チップの場合でも同様である。
(活性層の種類)
本実施形態で用いることのできる活性層構造に関して説明する。本実施形態における活性層は、第1の活性層及び第2の活性層が同一面内に配置された構造となっている。この活性層は、同一面内に別々の活性層を成長することで得られる。第1及び第2の共振光はそれぞれ第1及び第2の活性層で発光するため、所望の波長の光を得たい位置に、所望の活性層が対応して設けられることが必要である。具体的な配置としては、例えば、それぞれの共振光の間に活性層の境界部が位置するようにし、共振光と活性層を対応させる。後述する、電流注入量を狭窄部ごとに変化させるための構成として、こうした境界部に沿って、例えば、図1の電流狭窄層109と活性層間において上下方向に伸びる絶縁層を形成してもよい。
第1及び第2の利得波長領域を形成する2つの活性領域はそれぞれ別の構造の活性層でも良いが、より簡便、低コストに作製するために、同一構造の非対称量子井戸で形成することもできる。図4は非対称量子井戸構造の空間位置(x)とエネルギー(E)を表す模式図である。401は井戸層、402は障壁層である。「非対称」とは、「対称」多重量子井戸に対する表現であり、各井戸層または障壁層の「井戸幅及び/又は井戸深さが異なる」、「障壁層幅及び/又は障壁層高さが異なる」、「井戸層及び/又は障壁層の歪量が異なる」、などという条件を含む概念である。即ち、こうした条件の少なくとも1つを満たすものが非対称量子井戸構造層である。通常の同一井戸層のみで構成された「対称」の多重量子井戸構造に対して、図4のように、例えば、異なる複数の活性層が基板の層厚方向に非対称に積層されていることから、非対称多重量子井戸と呼ぶ。この非対称量子井戸活性層はキャリア注入密度及びキャリア分布によって利得分布が大きく変化する性質を持つ。これを利用し、例えば、発振波長に応じて、共振器長を変化させるのに連動して注入電流を変化させられる構成にすることにより、第1及び第2の共振光が感じる実質的な利得に差を設け、効果を出すことができる。活性層への注入電流の変化は、2つの狭窄部の径に大小をつけたり、素子への注入電流を変化させたりすることで行う。詳細は、図10の例で説明する。
(利得付与方法)
本実施形態では、活性層への利得の付与方法は、活性層近傍に設けられた電流狭窄部を介した電流注入を用いている。この狭窄部110、111は、水蒸気などによる半導体層の選択酸化、イオン注入による高抵抗化などの方法を用いて、形成することができる。また、外部光源から励起光を集光して照射し、その集光部においてレーザ発振させる光励起型の形態(図12の例参照)をとることも可能である。この場合には、電流狭窄構造は必ずしも必要でなく、励起光の照射スポットの大きさが電流狭窄部と同様の機能を果たす。導波路構造としては、利得は生じるが屈折率による閉じ込めはないため、利得導波型の導波路構造と見立てることができる。
(上下のミラー)
本実施形態においては、利得波長領域と同様、1対のミラーの高反射帯域も広くする必要がある。例えば、化合物半導体のAlAs/GaAs(50ペア)からなる半導体多層膜は、中心波長1060nmとした場合、100nm以上の波長帯域で99%以上の反射率となるミラーとして機能する。多層膜ミラーを誘電体で形成すると、さらに反射波長領域を広げることが可能である。また、波長の1/5程度の厚さの高屈折率層に、波長の半分程度のピッチでグレーティング構造を設けた構造も、一枚で広帯域反射率を持つミラーとして機能することが近年報告されている。このミラーはHCG(High Contrast Grating)と呼ばれ、本実施形態において用いることも可能である。上記に挙げたようなミラーを任意に組み合わせることにより、共振器を構成することが可能である。
(MEMSの方式)
ミラー移動用のMEMS構造としては、静電力駆動方式、ピエゾ素子による駆動方式、さらには熱膨張率の違いを利用した熱駆動方式などを用いることが可能である。
(波長重なり領域の制御)
本実施形態におけるレーザ素子の、副次的な機能について説明する。図5は、上記第1及び第2の共振光の波長と光出力との関係を表す模式図である。501は第1の共振光からの光放射強度を表す曲線、502は第2の共振光からの光放射強度を表す曲線、503は両方の合成光放射強度を表す曲線である。図5に示すように、光放射強度の重なり波長領域はそれぞれの光強度が積算され強度が大きくなる。従ってレーザ素子全体としては、503に示すような形の合成光強度が得られる。曲線503は、光放射強度の重なり波長領域の大きさを制御することにより、形状を変化させることが可能である。重なり波長領域が広い場合は、503は波長領域の中央部で強度が大きくなり、端部で強度の小さい形状を得ることが可能である。また重なり波長領域を狭くしていくと、各共振光の光放射強度の弱い部分(光放射強度の裾部)で重なるようになり、波長領域全体に渡り凹凸の少ない光強度とすることができる。さらに重なり領域を狭くし、裾部の最下部の波長領域でのみ重なるようにすると、二山の合成光強度を得ることも可能である。
(作製方法)
本実施形態におけるレーザ素子は、通常の半導体レーザ作製技術(エピタキシャル結晶成長、リソグラフィー、ドライエッチング、蒸着、リフトオフ、水蒸気酸化、イオン注入等)を用いて作製することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。図6は第2の実施形態の素子構成を表す概念図である。本実施形態では、601の基板から613の上部反射ミラーまでの構成要素は、全て第1の実施形態と同様である。本実施形態においては、第1の実施形態と異なり、第1及び第2の活性層が同一平面上にはなく、別々の平面内に分離されており、基板601に対し上側が第1の活性層605、下側が第2の活性層606となっている。さらに本実施形態では、第1の電流狭窄部610側の共振器において、活性層を挟んで両側に位相調整層がある。すなわち、上側に上部位相調整層615、下側に下部位相調整層614が設けられている。
(第2の実施形態の効果)
上記位相調整層がもたらす効果を、図7を用いて説明する。図7は、共振器内部の活性層付近における、共振光と活性層の位置関係を表した模式的な概念図である。図7の左側が基板に対して上側、右側が基板に対して下側を表す。第1の活性層605と第2の活性層606は、図6でも示した通り上下に位置がずれている。これに対して、第1の共振光の強度分布を表す曲線703及び第2の共振光の強度分布を表す曲線704も、強度の大小(山と谷)の位置が活性層605、606の位置ずれと同じだけずれている。これは図6の上下の位相調整層により、活性層付近での共振光の位置が実質的にずれたことによる。本実施形態では、第2の共振光側に対して、第1の共振光側では、上部位相調整層615は光路長が長く、下部位相調整層は光路長が短くなっている。そのため、第1の共振光側の共振器長に対して、第2の共振光側では上側の共振器長が短く、下側の共振器長が長くなる。共振器長のうち実質的に長くなった部分と短くなった部分では、その変化分は等しいものとしている。活性層605、606付近での共振光の位置は、この変化分だけずれることとなり、こうすることで、第1の共振光703は第1の活性層605に、第2の共振光704は第2の活性層606に、山が位置するようになる。従って、それぞれ、第1の共振光703は第1の活性層605の、第2の共振光704は第2の活性層606の、利得を主に感じるようになり、活性層同士が上下に分離されていても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における位相調整層の条件に関して以下に説明する。第1の共振光に対する第2の共振光の光路長の変化分を、活性層の上下についてそれぞれΔu、Δdとする。すると、本実施形態においては、共振光の波長を変えないようにΔu+Δd=Nλ/2(N:整数、|Δu|、|Δd|はそれぞれ上部共振器、下部共振器の共振器長以上にはならない)となることが必要である。また、Δu=Nu・λ/2+δ、Δd=-Nd・λ/2−δ(Nu、Nd:整数、0<|δ|<λ/2)となり、Δu、Δd≠0より、活性層の上下で、両共振光に必ず光路差が付いていることが必要である。特にN=0、すなわちΔu=−Δdの場合は、それぞれ必要な光路長差の値Δu、Δdをλ/2以上にすることなく小さくできるため、実用上は好ましい。さらに第1の活性層が第1の共振光に対して山の位置、第2の活性層が節の位置、第2の共振光に対してはこれらと逆の関係となることが好ましいので、Δu=λ/4、Δd=−λ/4となることが好ましい。この場合、第1及び第2の活性層間の距離も光路長でλ/4離れていることが好ましい。
位相調整層の配置に関して、本実施形態で示したもの以外のバリエーションを、図8を用いて説明する。図8は、共振器における位相調整層の位置を簡略に表すための概念図であり、導入する調整層の一部の例を示している。図8には、下部反射ミラー602、上部反射ミラー613で挟まれた共振器の略図が示されている。Δu、Δd≠0であるから、位相調整層は活性層605、606に対して上下にそれぞれ設けられ、隣接する共振光に対して光路長を長くする位相調整層が615の位相調整層+、短くする調整層が614の位相調整層−である。共振器の左側に位置する調整層は第1の共振光に作用する調整層、右側に位置する調整層は第2の共振光に作用する調整層を表している。
本実施形態では、第1の共振光に対して上部位相調整層がプラス、下部位相調整層がマイナスとしていたが、図8の左側の例のように、上下の位相調整層のプラス、マイナスを入れ替えることも可能である。また中央の例のように、両方の共振光に対して、活性層の上下にそれぞれ符号を入れ替えた位相調整層を入れても同様の効果が得られる。ただしこの場合は、両方の共振光の位置に調整層が入っていることから、互いの共振光の相対的なずれ量は、片側のみに調整層を入れる場合の倍になる。従って、片側のみに調整層を入れる場合に対して、その半分の量の光路長差をつけるよう、調整量を設定することで同様の効果が得られる。また共振光間で光路長差がつけばよいので、右の例のように第1の共振光、第2の共振光のそれぞれ上側、下側の共振器に同種の(例ではプラスが2つ)調整層を入れることも可能である。図8の中央、右の例においても、調整層を上下入れ替えたものや、符号を反転させたものなども使用することができる。
実際に用いる位相調整層の具体例を説明する。位相調整層+としては、共振器を構成する化合物半導体層中の同族で組成を変えた高屈折率の半導体層、または異種の高屈折率半導体、誘電体などがある。また位相調整層−としては、化合物半導体中に形成した酸化物などの誘電体、または空気層などを用いることができる。更に、共振器中にエアギャップを有する面発光レーザ素子に対しては、半導体とエアギャップの境界部の半導体を削り、窪みを形成することで、位相調整層−とすることも可能である。
動作は次の通りである。電流注入状態で、上部反射ミラー613を移動する。これにより、第1または/及び第2の共振光であって、第1または第2の活性層に山の位置が来る波長の光が大きな利得を得て発振する。この波長は、上部反射ミラー613の移動による共振器長の変化に従って変化する。重なり波長領域では、第1及び第2の共振光が位相同期して発振する。すなわち、共振器長の共振波長が、第1の活性層の利得分布の非重なり波長領域の波長であるとき、前記波長の第1の共振光は第1の活性層に略山の位置が来て発振する。また、共振器長の共振波長が、第2の活性層の利得分布の非重なり波長領域の波長であるとき、前記波長の第2の共振光は第2の活性層に略山の位置が来て発振する。さらに、共振器長の共振波長が、第1及び第2の活性層の利得分布の重なり波長領域の波長であるとき、前記波長の第1及び第2の共振光はそれぞれ第1及び第2の活性層に略山の位置が来て発振する。このとき第1及び第2の共振光が位相同期するように、電流狭窄部が形成されている。以上の如くなるように位相調整層(部)が設けられている。
(第1の実施例)
本発明における第1の実施例について説明する。図9−1は、本実施例の素子構造を表す模式上面図、図9−2は、本実施例の素子構造を表すA−A’模式断面図、図9−3は、本実施例の素子構造を表すB−B’模式断面図である。本実施例では、レーザ素子は両持ち梁のMEMS VCSEL構造となっている。901の基板から913の上部反射ミラーまでは、第1の実施形態と同様の構成であるため、逐一の説明は省略する。本実施例では、素子の基板裏面に裏面電極914が設けられ、上部クラッド層908上に中間電極915が設けられ、上部反射ミラー913の上に上部電極917が設けられている。図9−3において、918は、半円形の第1及び第2の活性層905、906の境界部を示す。第1の電流狭窄部910により規定される共振光が第1の共振光であり、第2の電流狭窄部911により規定される共振光が第2の共振光である。
裏面電極914と中間電極915はレーザ素子のVCSEL部分の駆動を行うための電極である。本実施例においては、MEMS部の駆動は静電力の印加により行い、中間電極915と上部電極917は前記MEMS部を駆動するために用いられる。本実施例では、中間電極915をグランドとしている。エアギャップ912は、犠牲層の一部をエッチングプロセスにより除去することで形成され、残りの犠牲層916は上部反射ミラー913を含む梁部を支える支柱の役割を果たす。また本実施例では、レーザ素子はメサ構造をとっており、側壁は不図示のパッシベーション膜で覆われている。
本実施例のレーザの中心発振波長λは1100nmである。それぞれの部位を構成する材料は、基板901がn型GaAs、下部、上部クラッド層903、908がそれぞれn型、p型Al0.7Ga0.3Asである。また、下部、上部スペーサ層904、907がアンドープAl0.25Ga0.75As、電流狭窄層909がAlO、第1及び第2の電流狭窄部910、911がp−Al0.98Ga0.02As、犠牲層916がアンドープGaAsである。第1の活性層905は、井戸層/バリア層がIn0.27Ga0.73As/Ga0.22As0.75Pの3層多重量子井戸構成、第2の活性層906は、井戸層/バリア層がIn0.30Ga0.70As/Ga0.28As0.72Pの3層多重量子井戸構成である。井戸層/バリア層それぞれの厚さは、8nm/10nmである。下部反射ミラー902は、n−GaAs/AlAsのλ/4厚の半導体膜が30ペア積層された多層膜ミラー、上部反射ミラー913はp−GaAs/AlAsの40ペア積層ミラーである。共振器長は全長が3.5λの光路長であり、そのうち半導体材料部分の光路長は2.25λである。
本実施例においては、酸化狭窄層(電流狭窄層)909の厚さは30nmであり、狭窄部910、911は直径3μmの円形、狭窄部間の距離は、狭窄部中心間で4.5μmである。これらのパラメータを基に光結合係数を計算すると0.9×10−4となり、前述した10−5以上が得られているので、位相同期を安定して得ることが可能である。
本レーザ素子は、電流注入駆動することで、第1の活性層、第2の活性層の全利得波長領域を用い、それらの重なり波長領域部分は位相同期により、全体として1つの波長掃引レーザとして機能する。MEMS両持ち梁部の位置を変位させ波長が短波長側と長波長側との間で掃引されるとき、利得波長領域の重なり部に光がさしかかった際も、位相同期により、位相が不規則に変化することがない。こうして、第1の共振光と第2の共振光との両共振光間で一定の位相関係を保持することができる。
前述したように結合係数は10−5以上が必要だが、この条件を満たしていれば、なるべく小さい方が好ましい。位相同期が起こると共振光の実効屈折率が変化するため、元の波長に対して波長が僅かに変化する。この変化量は、結合係数に比例するため、結合係数が小さいほど、小さくなる。よって、掃引時の波長とびを抑えるためにも、結合効率は、位相同期が起こる範囲で小さい事が好ましい。本実施例の素子では、結合係数が10−5のとき、予想される波長とびは、〜0.01nm以下に抑えることが可能である。この値は、光装置への応用を考慮すると、該装置で用いられる波数取得干渉計の波長分解能(波数分解能)は0.1nm程度であるため、干渉計でも測定できない程度のずれ量である。結合係数を10倍にしても0.1nm以上にはならないので、10−4まではOCT装置応用では十分に小さな結合係数であると言える。また上記波長とびは、例えば、共振器の光路長調整用に設けた電極から素子に電流を流し光路長調整を行う事でも、影響を軽減することができる。
本実施例では、上部反射ミラー部913のMEMS構造は両持ち梁としたが、片持ち梁の構造とすることも可能である。また本実施例においては、上部反射ミラーは多層膜反射鏡自体が梁を形成しているが、反射鏡ではない梁専用部に、別途、多層膜ミラーまたはHCGミラーを形成する構成も可能である。
本実施例において、異なる組成の第1及び第2の活性層を基板面内方向で空間的に分けることで、それぞれの電流狭窄部910、911からの発振波長を制御しているが、前述したような非対称量子井戸構造を用いることも可能である。以下、それについて説明する。図10は非対称量子井戸構造層の利得分布を表す模式図である。1001は高キャリア注入域における利得分布、1002は低注入域における利得分布である。1003は利得波長領域の中心を表す。非対称量子井戸は、非常に広い利得波長領域を実現することが可能だが、図10に示すように高キャリア注入域においては短波長側の利得が大きくなり、低注入域では長波長側の利得が大きくなる特性を持つ。この性質を利用し、短波長側の波長で発振させたい場合には電流密度を上げ、長波長側の波長で発振させたい場合には電流密度を下げるように制御する。こうすることで、それぞれの共振光が感じる利得に差をつけることができる。こうした非対称量子井戸構造は、活性領域の少なくとも一方を構成するのに用いることもできる。
具体的には、2つの活性層を共通の単一の非対称量子井戸で構成し、掃引が長波長側にある場合には、第1の狭窄部を低注入、第2の狭窄部を高注入とし、第1の共振光が感じる長波長側の利得を増やし、第2の共振光が感じる長波長側の利得を減らす。掃引が短波長側にある場合には、それぞれの低注入、高注入を入れ替える。こうしたことは、2つの狭窄部への電流注入を別個の電極で行うことなどで実現できる。このように掃引波長に合わせて注入レベルを変化させることで、利得の波長依存性をリアルタイムに制御し、2つの活性領域を実質的に空間的に分離することのない同一の活性層にしても効果を得ることができる。本実施例において、近接した狭窄部間で、活性層の組成を変えることの難易度は高いため、活性層を同一にできることは、作製難易度を下げられるメリットがある。
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例について説明する。図11−1は、本実施例の波長可変レーザ素子の構造を示す、図9−1のA−A’に相当する線における模式断面図、図11−2は、同じく図9−1のB−B’ に相当する線における模式断面図である。本実施例の上面図は図9−1と同様である。本実施例では、第1の活性層1105と第2の活性層1106が上下に分かれた構造となっている。そして、第1の電流狭窄部1110と第1及び第2の活性層の下側に、第1の位相調整層1118が形成され、第2の電流狭窄部1111と第1及び第2の活性層の上側に、第2の位相調整層(部)1119が形成されている。第2の位相調整層は、上部クラッド層1108の表面から、クラッド層に窪みをつけることで形成されているため、位相調整部と呼んでもよい。
上記活性層と位相調整層以外の構成、材料、及び寸法は、第1の実施例と同様である。活性領域においては、形状は異なるが第1及び第2の活性層1105、1106の材料及び寸法はそれぞれ第1の実施例のものと同様である。両活性層間の基板垂直方向の距離は、光路長にしてレーザ帯域中心波長λのλ/4、実厚さにして82nmである。第1の位相調整層1118はAlOであり、厚さ174nmである。この位相調整層1118により、第1の電流狭窄部1110に位置する共振器長において、第2の電流狭窄部1111に位置する共振器長に対し、−λ/4の光路長差をつけることが可能である。さらに、第2の位相調整層の厚さ(位相調整部1119の深さ)は116nmであり、第1の電流狭窄部に位置する共振器長において、第2の電流狭窄部に位置する共振器長に対し、+λ/4の光路長差をつけることが可能である。
以上のような構成を用い、第1の電流狭窄部1110に位置する第1の共振光が、第2の電流狭窄部1111に位置する第2の共振光に対し、活性領域の上側で+λ/4、活性領域の下側で−λ/4の光路長差がつく。よって、前記第2の実施形態で述べたように、共振光の山、谷を互いにずらすことができる。本実施例のレーザを駆動すると、利得波長領域の重なり部のみで位相同期が生じ、広帯域な波長可変レーザを得ることができる。本実施例の構成を用いることで、活性層を上下に分けた形態で、本発明の要旨の範囲内のレーザ素子を実現できる。
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例について説明する。図12は、本実施例の波長可変レーザ素子の構造を示す模式断面図である。本実施例は、レーザの駆動を、電流注入ではなく、光励起により行うところが特徴である。そのため、本実施例の素子は、注入電流の狭窄部は有さず、代わりに励起光1212を照射するための励起光照射レンズ1211を有している。その他の構成、材料及び寸法は、第1の実施例と同様である。
励起光照射レンズ1211は、不図示のレンズ偏向機構により、照射場所を調整できるようになっている。これにより、第1及び第2の共振光同士の間隔を自由に調整できるため、共振光の結合効率を自由に制御することが可能となる。また、活性層に非対称量子井戸構造を用いた場合、波長掃引時の発振波長に応じた励起強度の調整は、本実施例では励起光強度を変えることで容易に行うことができる。
本実施例のレーザ素子を駆動すると、励起用光源の集光部にある活性層でそれぞれ利得波長領域が形成され、第1の共振光及び第2の共振光が得られる。それらを用いると共に上部反射ミラー1209を移動することで、広波長領域の波長可変レーザを実現することができる。本実施例で用いることができる励起用光源としては、半導体レーザ、固体レーザ、ガスレーザなどのレーザ光源、スーパールミネッセントダイオード、フラッシュランプなどの高パワー、非レーザ光源がある。また、励起用光源として、独立のもの2つを用いても良いし、1つの光源からの光を2つに分岐して外部の変調手段により独立に2つの光の強度を調整しても良い。
以上第1から第3の実施例は例示的なものであり、本発明によるレーザ素子の構造、材料、大きさ、形状などの諸条件は、以上の実施例により何ら限定されるものではない。
(第3の実施形態)
本実施形態では、上記実施形態ないし実施例の波長可変レーザを光源装置として用いた情報取得装置の例について説明する。波長可変型の光源装置は、光通信用光源や光計測用光源として利用することができる。さらに、波長可変型の光源装置は、非侵襲、非破壊で測定対象物の内部の情報を取得する情報取得装置の光源装置として利用することができる。以下では、本実施形態の光源装置を用いた情報取得装置の一例として、光干渉断層撮像装置(以下、OCT装置という)について図13を用いて説明する。これは、波長掃引レーザとして上述の波長可変レーザを備えていることを特徴とする波長掃引型の光干渉断層撮像装置である。
図13は、本実施形態に係るOCT装置を示す模式図である。OCT装置は、光源装置801、干渉光学系802、光検出部803、測定対象物の内部情報を取得する情報取得部804、を少なくとも有する。光源装置801として、上記実施形態ないし実施例の波長可変レーザを用いることができる。また、図示していないが、情報取得部804はフーリエ変換器を有する。ここで、情報取得部804がフーリエ変換器を有するとは、情報取得部804が入力されたデータに対してフーリエ変換する機能を有していれば形態は特に限定されない。一例は、情報取得部804が演算部を有し、この演算部がフーリエ変換する機能を有する場合である。具体的には、演算部がCPUを有するコンピュータであり、このコンピュータが、フーリエ変換機能を有するアプリケーションを実行する場合である。他の例は、情報取得部804がフーリエ変換機能を有するフーリエ変換回路を有する場合である。
光源装置801から出た光は干渉光学系802を経て測定対象の物体812の情報を有する干渉光となって出力される。干渉光は光検出部803において受光される。なお光検出部803は差動検出型でも良いし単純な強度モニタ型でも良い。受光された干渉光の強度の時間波形の情報は光検出部803から情報取得部804に送られる。情報取得部804では、受光された干渉光の強度の時間波形のピーク値を取得してフーリエ変換をし、物体812の情報(例えば断層像の情報)を取得する。なお、ここで挙げた光源装置801、干渉光学系802、光検出部803、情報取得部804を任意に設けることができる。
以下、光源装置801から光が照射されてから、測定対象の物体の内部の情報を得るまでについて詳細に説明する。光源装置801から出た光は、ファイバ805を通って、カップラ806に入り、照射光用のファイバ807を通る照射光と、参照光用のファイバ808を通る参照光とに分岐される。カップラ806は、光源の波長帯域でシングルモード動作のもので構成し、各種ファイバカップラは3dBカップラで構成することができる。照射光はコリメーター809を通って平行光になり、ミラー810で反射される。ミラー810で反射された光はレンズ811を通って物体812に照射され、物体812の奥行き方向の各層から反射される。
一方、参照光はコリメーター813を通ってミラー814で反射される。カップラ806では、物体812からの反射光とミラー814からの反射光による干渉光が発生する。干渉した光はファイバ815を通り、コリメーター816を通って集光され、光検出部803で受光される。光検出部803で受光された干渉光の強度の情報は電圧などの電気的な情報に変換されて、情報取得部804に送られる。情報取得部804では、干渉光の強度のデータを処理、具体的にはフーリエ変換し断層像の情報を得る。このフーリエ変換する干渉光の強度のデータは通常、等波数間隔にサンプリングされたデータであるが、等波長間隔にサンプリングされたデータを用いることも可能である。
得られた断層像の情報は、情報取得部804から画像表示部817に送って画像として表示させてもよい。なお、ミラー810を照射光の入射する方向と垂直な平面内で走査することで、測定対象の物体812の3次元の断層像を得ることができる。また、光源装置801の制御は、情報取得部804が電気回路818を介して行ってもよい。また図示しないが、光源装置801から出る光の強度を逐次モニタリングし、そのデータを干渉光の強度の信号の振幅補正に用いてもよい。
OCT装置は、眼科、歯科、皮膚科等の分野において、動物や人のような生体内の断層像を取得する際に有用である。生体の断層像に関する情報とは、生体の断層像のみならず、断層像を得るために必要な数値データをも含む。特に、測定対象を人体の眼底や歯、血管とし、それらの断層像に関する情報を取得することに用いられることが好適である。
(その他の実施形態)
上記実施形態や実施例による波長可変レーザは、上記のOCT装置以外にも、光通信用光源や光計測用光源として利用できる。また、上記実施形態を適用したVCSEL構造を同一平面上に複数配列してアレイ光源として使用してもよい。
101:基板、102:下部反射ミラー、105:第1の活性層(第1の活性領域)、106:第2の活性層(第2の活性領域)、109:電流狭窄層、110:第1の電流狭窄部、111:第2の電流狭窄部、113:上部反射ミラー

Claims (14)

  1. 一対の反射ミラーと、前記一対の反射ミラーの間に配置された活性層と、前記一対の反射ミラーの少なくとも1つを変位させる駆動手段と、を有する波長可変レーザであって、
    前記活性層は、第1の利得波長領域に利得のある第1の活性領域と第2の利得波長領域に利得のある第2の活性領域とを含み、
    前記第1の利得波長領域と前記第2の利得波長領域は少なくとも部分的に重なり、
    前記反射ミラーは、その高反射帯域が前記第1の利得波長領域と前記第2の利得波長領域で発振を可能とする反射率を有し、
    それぞれ前記第1の活性領域と前記第2の活性領域に由来する発振可能な第1の共振光と第2の共振光が、前記利得波長領域の重なり領域で、前記一対の反射ミラーで形成される共振器において、互いに位相同期しながら共振するように構成されていることを特徴とする波長可変レーザ。
  2. 基板上に、前記基板の垂直方向に前記反射ミラー及び前記活性層を積層することで前記垂直方向に発振可能な面発光レーザとして構成されたことを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ。
  3. 前記反射ミラーは、多層膜ミラー又はHCGミラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長可変レーザ。
  4. 前記第1の共振光と前記第2の共振光が、前記波長領域の重なり領域で、互いに位相同期しながら共振するように、前記活性層の近傍に、発振光の波長オーダーで近接して2つの電流狭窄部が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の波長可変レーザ。
  5. 前記2つの電流狭窄部に独立に電流注入して前記第1の活性領域と前記第2の活性領域に独立に利得を与え、それぞれ、前記第1の共振光と前記第2の共振光が発生するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の波長可変レーザ。
  6. 外部光源からの光を、前記第1の活性領域と前記第2の活性領域の少なくとも一方に照射することで、該少なくとも一方の活性領域に利得を与えられるように構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の波長可変レーザ。
  7. 前記活性層の第1の活性領域と第2の活性領域の少なくとも一方は、非対称量子井戸構造層で構成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の波長可変レーザ。
  8. 前記活性層の第1の活性領域と第2の活性領域は、異なる組成または構造の活性層で構成されていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の波長可変レーザ。
  9. 前記活性層の第1の活性領域と第2の活性領域は、同一の平面内に形成されていることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の波長可変レーザ。
  10. 前記第1の活性領域と前記第2の活性領域はそれぞれ別々の平面内に設けられ、前記第1の共振光と前記第2の共振光は、それぞれ、前記第1の活性領域と前記第2の活性領域から主に利得を得ることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の波長可変レーザ
  11. 前記第1の共振光と前記第2の共振光が、それぞれ、前記第1の活性領域と前記第2の活性領域から主に利得を得るように、前記活性層を挟んで両側に、共振光に対して光路差をつけるための位相調整層が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の波長可変レーザ
  12. 前記位相調整層によりつけることのできる、前記第1の共振光に対する前記第2の共振光の光路長の変化分を、前記活性層の両側についてそれぞれΔu、Δdとするとき、それぞれが以下の関係を満たしていることを特徴とする請求項10又は11に記載に記載の波長可変レーザ。
    Δu+Δd=Nλ/2(N:整数、λ:レーザ帯域の中心波長)
    Δu=Nu・λ/2+δ、Δd=−Nd・λ/2−δ(Nu、Nd:整数、0<|δ|<λ/2)
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の波長可変レーザと、
    測定対象物の内部情報を取得する情報取得部と、を有することを特徴とする情報取得装置。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の波長可変レーザと、
    前記波長可変レーザからの光を測定対象物へ照射する照射光と参照光とに分岐させ、前記測定対象物に照射された光の反射光と前記参照光による干渉光を発生させる干渉光学系と、
    前記干渉光を受光する光検出部と、
    前記光検出部からの信号に基づき、前記測定対象物の情報を取得する情報取得部と、を有することを特徴とする撮像装置。
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