JP2017014420A - 樹脂組成物及びそれを用いた絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性及び低温時の屈曲特性を向上させた樹脂組成物及びそれを用いた絶縁電線を提供する。
【解決手段】樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、柔軟樹脂とを含有する。そして、樹脂組成物は、1Hzの振動周波数で測定した損失弾性率(E”)のピーク温度が−25℃以下である。また、樹脂組成物からなり、かつ、厚みが0.24mm〜0.40mmである被覆層を、断面積が1.25mmの導体に被覆させた電線に対して、直径0.45±0.01mmの針金を用いてISO6722:2006に規定のスクレープ摩耗試験を行った場合の往復回数が400以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物及びそれを用いた絶縁電線に関する。詳細には本発明は、耐摩耗性及び低温時の屈曲特性を向上させる樹脂組成物及び当該樹脂組成物を用いた絶縁電線に関する。
自動車に用いられるワイヤーハーネス等の電線は、短い経路内で大きく曲げられて配索されると共に、車体の温度変化に対応するため、幅広い温度範囲での耐屈曲性が要求される。このため、導体を被覆する絶縁材も耐屈曲性を有する材料が用いられている。
このような耐屈曲性を有する絶縁材として、従来、ポリ塩化ビニル(PVC)を主材とするフィルム基材をテープ状に形成したPVC系テープが開示されている(例えば、特許文献1参照)。そして、このPVC系テープでは、フィルム基材が所定量のPVC樹脂、可塑剤、ニトリルゴム及び難燃性充填剤を含有することが開示されている。
特開2000−198895号公報
しかしながら、特許文献1のPVC系テープは可塑剤の配合量が多く、強度が不十分なため、電線に必要とされる耐摩耗性を満足しない恐れがあった。また、ニトリルゴムが過少な場合には低温時の屈曲性が悪化し、さらにニトリルゴム中のアクリロニトリルの含有量次第では、ポリ塩化ビニルに対するニトリルゴムの相溶性が低下し、耐摩耗性や低温屈曲性が悪化する恐れがあった。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、耐摩耗性及び低温時の屈曲特性を向上させた樹脂組成物及びそれを用いた絶縁電線を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、柔軟樹脂とを含有する。そして、樹脂組成物は、1Hzの振動周波数で測定した損失弾性率(E”)のピーク温度が−25℃以下である。また、樹脂組成物からなり、かつ、厚みが0.24mm〜0.40mmである被覆層を、断面積が1.25mmの導体に被覆させた電線に対して、直径0.45±0.01mmの針金を用いてISO6722:2006に規定のスクレープ摩耗試験を行った場合の往復回数が400以上である。
本発明の第2の態様に係る樹脂組成物は、第1の態様の樹脂組成物に関し、柔軟樹脂は、アクリロニトリルの含有量が20〜35質量%であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムである。そして、塩化ビニル樹脂100質量部に対するアクリロニトリル−ブタジエンゴムの含有量が5〜30質量部であり、塩化ビニル樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が15〜29質量部である。
本発明の第3の態様に係る絶縁電線は、第1又は第2の態様に係る樹脂組成物からなる被覆層と、被覆層により被覆される導体とを備える。
本発明の樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂、可塑剤及び柔軟樹脂を含有し、さらに損失弾性率(E”)のピーク温度が−25℃以下である。そのため、低温時でも優れた屈曲性及び耐摩耗性を有することから、電線の絶縁材として好適に用いることができる。
本発明の実施形態に係る絶縁電線を示す断面図である。 低温屈曲性試験を行う装置を説明するための概略図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る樹脂組成物及び絶縁電線について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂を主成分としている。塩化ビニル樹脂は、架橋処理を施さなくても高い耐熱性を有し、さらに電気絶縁性にも優れ、安価で加工も容易な材料である。さらに当該樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂の柔軟性を高めるために可塑剤を添加している。ただ、塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加しただけでは、低温下において樹脂組成物に十分な柔軟性を与えることができず、屈曲性が不十分となる。
そのため、本実施形態の樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂及び可塑剤に加え、柔軟樹脂を含有している。柔軟樹脂は可塑剤と同様に塩化ビニル樹脂に柔軟性を付与するための樹脂であり、これを添加することで樹脂組成物の低温での屈曲性を向上させることが可能となる。
本実施形態の樹脂組成物に使用される塩化ビニル樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などを挙げることができる。これらの塩化ビニル樹脂は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、塩化ビニル樹脂の重合方法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合など特に限定されない。
塩化ビニル樹脂の平均重合度(重量平均重合度)は特に限定されないが、500〜5000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。平均重合度が500以上であることにより、得られる樹脂組成物の耐摩耗性の低下を抑制することができる。また、平均重合度が5000以下であることにより、樹脂組成物を押出成形する場合、押出成形時の溶融粘度の上昇を抑制し、さらに混練及び成形加工性の悪化を防止することができる。なお、本実施形態の樹脂組成物では、上記重合度の範囲にある塩化ビニル樹脂を一種又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
樹脂組成物に使用される可塑剤は、塩化ビニル樹脂の分子間に浸透して樹脂の分子間力を弱め、塩化ビニル樹脂に柔軟性を与えるものであれば特に限定されない。ただ本実施形態では、可塑剤は、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤の少なくとも一方を使用することが好ましい。トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤は、耐熱性及び耐候性に優れ、さらに低揮発性であるため、電線の絶縁材用の樹脂組成物に好適である。
トリメリット酸系可塑剤としては、トリメリット酸エステルを挙げることができる。また、ピロメリット酸系可塑剤としては、ピロメリット酸エステルを挙げることができる。なお、トリメリット酸エステル及びピロメリット酸エステルにおいて、脱水縮合によりエステルを構成するアルコールとしては、炭素数が8〜13の飽和脂肪族アルコールなどを挙げることができる。これらのアルコールは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
樹脂組成物に使用される可塑剤は、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤以外の可塑剤を使用してもよい。他の可塑剤としては、フタル酸系可塑剤及び脂肪族系可塑剤などを挙げることができる。
フタル酸系可塑剤としては、フタル酸エステルを挙げることができる。フタル酸エステルにおいて、脱水縮合によりエステルを構成するアルコールとしては、炭素数が8〜13の飽和脂肪族アルコールなどを挙げることができる。また、これらのアルコールは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。より具体的には、フタル酸系可塑剤は、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル及びフタル酸ジトリデシルからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。
脂肪族系可塑剤としては、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル及びアゼライン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。また、これらのエステルにおいて、脱水縮合によりエステルを構成するアルコールとしては、炭素数が3〜13の飽和脂肪族アルコールなどを挙げることができる。また、これらのアルコールは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。より具体的には、脂肪族系可塑剤は、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸イソノニル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル及びアゼライン酸ジオクチルからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。
樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量は、15〜29質量部であることが好ましい。可塑剤の含有量がこの範囲内であることにより、耐摩耗性の低下を抑制しつつも、低温時の屈曲性を良好なものとすることができる。
本実施形態の樹脂組成物に使用される柔軟樹脂は、塩化ビニル樹脂に対して可塑剤と共に添加することで、樹脂組成物の低温時の柔軟性を向上させる樹脂であれば特に限定されない。このような柔軟樹脂としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)及びポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)からなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。この中でも柔軟樹脂としては、低温柔軟性と耐摩耗性を両立する観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましい。
ここで、柔軟樹脂としてアクリロニトリル−ブタジエンゴムを使用する場合、アクリロニトリル−ブタジエンゴムにおけるアクリロニトリルの含有量が20〜35質量%であることが好ましい。アクリロニトリルの含有量が20質量%未満の場合には、極性基であるシアノ基(−CN)の含有量が少ないため、極性樹脂である塩化ビニル樹脂との相溶性が不十分となり、耐摩耗性及び低温屈曲性が悪化する恐れがある。逆にアクリロニトリルの含有量が35質量%を超える場合にはシアノ基が過剰となり、塩化ビニル樹脂と相溶性が低下するため、耐摩耗性及び低温屈曲性が悪化する恐れがある。
樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂100質量部に対する柔軟樹脂の含有量は5〜30質量部であることが好ましい。柔軟樹脂としてアクリロニトリル−ブタジエンゴムを使用する場合も、塩化ビニル樹脂100質量部に対するアクリロニトリル−ブタジエンゴムの含有量は5〜30質量部であることが好ましい。柔軟樹脂の含有量がこの範囲内であることにより、低温時の屈曲性を良好なものとすることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、上記材料に加えて種々の添加剤を配合することが可能である。添加剤としては、安定剤、顔料、酸化防止剤、増量剤、金属不活性剤、老化防止剤、滑剤、充填材、補強剤、紫外線吸収剤、染料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤等が挙げられる。
次に、本実施形態の樹脂組成物の製造方法について説明する。上述の樹脂組成物は、上述の材料を加熱して混練することにより調製されるが、その方法は公知の手段を用いることができる。例えば、上述の材料をバンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールミル等の公知の混練機を用いて混練することにより、樹脂組成物を得ることができる。また、上述の材料を予めタンブラー等を用いてドライブレンドした後、上述の混練機を用いて混練してもよい。このように加熱混練することで、本実施形態の樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、1Hzの振動周波数で測定した損失弾性率(E”)のピーク温度が−25℃以下である。つまり、動的粘弾性測定装置を用いて樹脂組成物の損失弾性率(E”)を1Hzの振動周波数で測定した際、その温度−損失弾性率曲線におけるピーク温度が−25℃以下である。当該ピーク温度が低いほど低温環境下でも樹脂組成物中のゴム状態の割合が増加することから、低温柔軟性を高めることができる。
さらに、上述の樹脂組成物からなり、かつ、厚みが0.24mm〜0.40mmである被覆層を、断面積が1.25mmの導体に被覆させた電線に対して、直径0.45±0.01mmの針金を用いてISO6722:2006に規定のスクレープ摩耗試験を行った場合の往復回数が400以上である。スクレープ摩耗試験の往復回数が400以上であることにより、十分な耐摩耗性を有することから、例えばワイヤーハーネス等の電線の電気絶縁材に適用することが可能となる。
このように、本実施形態の樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、柔軟樹脂とを含有する。そして、樹脂組成物は、1Hzの振動周波数で測定した損失弾性率(E”)のピーク温度が−25℃以下である。また、樹脂組成物からなり、かつ、厚みが0.24mm〜0.40mmである被覆層を、断面積が1.25mmの導体に被覆させた電線に対して、直径0.45±0.01mmの針金を用いてISO6722:2006に規定のスクレープ摩耗試験を行った場合の往復回数が400以上である。このような樹脂組成物は、低温時の屈曲性に加え、耐摩耗性にも優れるため、車両用電線の電気絶縁材として好適に用いることが可能となる。
[絶縁電線]
本実施形態に係る絶縁電線1は、図1に示すように、上述の樹脂組成物からなる被覆層3と、被覆層3により被覆される導体2とを備えている。
導体2としては、1本の素線で構成された単線を用いてもよく、複数の素線を撚り合わせて構成された撚り線を用いてもよい。撚り線も、1本又は数本の素線を中心とし、その周囲に素線を同心状に撚り合わせた同心撚り線;複数の素線を一括して同方向に撚り合わせた集合撚り線;複数の集合撚り線を同心状に撚り合わせた複合撚り線のいずれも使用することができる。
導体2の直径及び導体2を構成する各素線の直径も特に限定されない。さらに、導体2の材料も特に限定されず、例えば、金属全般、導電性繊維及び導電性高分子を用いることができる。特に、導体2の材料としては、例えば銅、銅合金及びアルミニウム、アルミニウム合金等の公知の導電性金属材料を用いることができる。これらの導電性金属材料は、屈曲性及び導電性が良好であるため、特に好ましい。また、導体2の表面にはめっきを施してもよく、例えば錫めっき、銀めっき、ニッケルめっきを施してもよい。
導体2の外周を被覆する被覆層3は、導体2に対する電気絶縁性を確保できる樹脂組成物により形成されている。具体的には、被覆層3は、上述の樹脂組成物により形成されている。上述のように、本実施形態の樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂と可塑剤と柔軟樹脂とを含有し、さらに損失弾性率(E”)のピーク温度が−25℃以下である。そのため、低温柔軟性だけでなく耐摩耗性にも優れるため、電線の絶縁材として好適に用いることができる。
次に、本実施形態の絶縁電線1の製造方法について説明する。絶縁電線1の被覆層3は、上述の樹脂組成物の製造方法と同様に、材料を加熱して混練することにより調製される。そして、導体2を被覆層3で被覆する方法も公知の手段を用いることができる。例えば被覆層3は、一般的な押出成形法により形成することができる。そして、押出成形法で用いる押出機としては、例えば単軸押出機や二軸押出機を使用し、スクリュー、ブレーカープレート、クロスヘッド、ディストリビューター、ニップル及びダイスを有するものを使用することができる。
具体的な絶縁電線1の製造方法としては、まず、常法に従って均一な溶融混合物を調製することによって、本発明のポリ塩化ビニル樹脂組成物を得る。そして、この樹脂組成物を電線の絶縁被覆用の樹脂として用いて、電線(銅線等の導電性金属で形成される線状導体)と共に押出し成形することによって、管状に固化した樹脂組成物が絶縁体となって電線を被覆する絶縁部材が形成される。このような方法により、絶縁部材で電線が被覆された絶縁電線が得られる。
そして、本実施形態に係るワイヤーハーネスは、上述の絶縁電線1を備えるものである。上述のように、本実施形態の絶縁電線1は、従来に比べて高い耐摩耗性及び低温柔軟性を有するため、短い経路内で大きく曲げられて配索されるワイヤーハーネスに好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、混練機を用い、以下に示す塩化ビニル樹脂、可塑剤及び柔軟樹脂としてのアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を表1及び表2に示す配合量で溶融混練することにより、各実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。
(塩化ビニル樹脂)
・ポリ塩化ビニル 株式会社カネカ製 商品名:カネビニール(登録商標)S1003
(可塑剤)
・フタル酸系可塑剤 株式会社ジェイ・プラス社製 商品名:DINP(フタル酸ジイソノニル)
(柔軟樹脂)
・NBR JSR株式会社製 商品名:JSR N220S、アクリロニトリル(AN)含有量:42質量%
・NBR JSR株式会社製 商品名:JSR N230S、アクリロニトリル(AN)含有量:35質量%
・NBR JSR株式会社製 商品名:JSR N242S、アクリロニトリル(AN)含有量:29質量%
・NBR JSR株式会社製 商品名:JSR N250S、アクリロニトリル(AN)含有量:20質量%
・NBR JSR株式会社製 商品名:JSR N260S、アクリロニトリル(AN)含有量:15質量%
次に、金属導体として、断面積が1.25mmの銅芯線を準備した。そして、当該金属導体に対し、電線製造用の押出被覆装置を用いて約180℃の温度条件で押出成形を行い、各実施例及び比較例の樹脂組成物で被覆した試験サンプルを作製した。なお、押出成形の際、被覆後の被覆層の厚さが0.30mmとなるように調整した。
Figure 2017014420
Figure 2017014420
[評価]
実施例及び比較例の樹脂組成物について、次の方法により損失弾性率のピーク温度を測定した。さらに実施例及び比較例の試験サンプルについて、次の方法により低温屈曲性及び耐摩耗性の評価を実施した。結果を表1及び表2に合わせて示す。
<損失弾性率のピーク温度>
まず、実施例及び比較例で調製した樹脂組成物を用いて、縦10mm、横2mm、厚さ1mmの試験片を作製した。次に、動的粘弾性測定装置を用い、各例の試験片を−60℃〜100℃の範囲を測定することで、損失弾性率(E”)のピーク温度を求めた。なお、損失弾性率の測定条件は、測定モード:引張モード、振動周波数:1Hz、昇温速度:2℃/分とした。
<低温屈曲性>
実施例及び比較例の試験サンプルに対し、図2に示す装置を用いて、IEC60227−2に概ね準拠した屈曲試験を行った。ただ、IEC60227−2に規定の試験方法の一部を次のように変更した。
屈曲試験では、図2に示すように、実施例及び比較例の試験サンプル10の下端に重り11を取り付けて負荷をかけ、さらに試験サンプル10に曲げを与えるための曲面を有する2つの治具12で試験サンプル10の中央部を挟持した。この際、治具12の直径Rは25mmとした。また、重り11の重さは800gとした。
そして、試験サンプル10に対し、屈曲速度が30回/分、試験温度が−30℃の条件で180°屈曲試験を行い、導体が断線したときの屈曲回数を調べた。屈曲回数が350回以上でも断線しなかった場合を「○」と評価し、屈曲回数が350回未満で断線した場合を「×」と評価した。
<耐摩耗性>
上記で得られた各例の試験サンプルに対し、IS06722:2006のスクレープ摩耗規格に準拠して摩耗試験を実施した。なお、当該スクレープ摩耗試験の条件は次の通りである。
・摩耗子:直径が0.45±0.01mmのニードル
・試験サンプルへの荷重:7N
・ニードルの種類:スプリングワイヤ(光沢)材
・頻度:55±5サイクル/分(1サイクル=1往復運動)
・ニードルの移動:20±1mm
・摩耗長さ:15.5±1mm
・試験温度:23±1℃
そして、往復回数が400回以上でも金属導体と針金との間で導通しなかった場合を「○」と評価し、往復回数が400回未満で導通した場合を「×」と評価した。
表1に示すように、本実施形態に係る実施例1〜7は、損失弾性率のピーク温度が−25℃以下であることから、低温屈曲性に優れることが分かる。また、スクレープ摩耗試験も良好な結果となり、耐摩耗性にも優れることが分かる。
これに対し、表2に示すように、柔軟樹脂を含有せず、損失弾性率のピーク温度が−25℃よりも高い比較例1は低温屈曲性に劣ることが分かる。また、柔軟樹脂を含有せず、損失弾性率のピーク温度が−25℃よりも高く、さらに可塑剤の含有量が過多の比較例2は低温屈曲性及び耐摩耗性に劣ることが分かる。そして、柔軟樹脂を含有せず、可塑剤の含有量が過多の比較例3は耐摩耗性に劣ることが分かる。また、柔軟樹脂であるアクリロニトリル−ブタジエンゴム中のアクリロニトリルの含有量が過多の比較例4、及びアクリロニトリルの含有量が過少の比較例5は低温屈曲性だけでなく、耐摩耗性にも劣ることが分かる。
以上、本発明を実施例及び比較例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 絶縁電線
2 導体
3 被覆層

Claims (3)

  1. 塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、柔軟樹脂とを含有する樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物は、1Hzの振動周波数で測定した損失弾性率(E”)のピーク温度が−25℃以下であり、
    前記樹脂組成物からなり、かつ、厚みが0.24mm〜0.40mmである被覆層を、断面積が1.25mmの導体に被覆させた電線に対して、直径0.45±0.01mmの針金を用いてISO6722:2006に規定のスクレープ摩耗試験を行った場合の往復回数が400以上であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記柔軟樹脂は、アクリロニトリルの含有量が20〜35質量%であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムであり、
    前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記アクリロニトリル−ブタジエンゴムの含有量が5〜30質量部であり、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記可塑剤の含有量が15〜29質量部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物からなる被覆層と、
    前記被覆層により被覆される導体と、
    を備えることを特徴とする絶縁電線。
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ZEON,NIPOL(R) 1312LV, JPN6019010279, 22 August 2006 (2006-08-22) *
フジクラ技報, vol. 第119号,2010 Vol.2, JPN6019010280, 2010, pages 30 - 32 *

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