JP2017009329A - 運動機能の判定用マーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価するためのバイオマーカーを提供する。
【解決手段】個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子を含む、運動機能の判定用マーカー、筋量判定用マーカー、骨格筋細胞の分化の判定用マーカー、及び筋管肥大の判定用マーカー。
【選択図】なし

Description

本発明は、運動機能の判定用マーカー、筋量判定用マーカー、骨格筋細胞の分化の判定用マーカー、又は筋管肥大の判定用マーカーに関する。
ロコモティブシンドロームは、加齢などが原因とされる運動器の疾患をいう。ロコモティブシンドロームの有病率は加齢に伴い上昇し、ロコモティブシンドロームが進行すると、要介護になるリスクが大きく高まる。
これまでに、ロコモティブシンドロームなどの運動器の加齢性疾患に関連する遺伝子やタンパク質の研究が進んでいる。しかし、これまでに運動器の疾患に関連する因子の特定には至っていない。
一方ミオシン結合タンパク質H(以下、単に「MYBPH」ともいう)については、ヒト肺腺癌細胞株においてMYBPHをノックダウンすると細胞遊走が促進されること、及びイヌ腎臓尿細管上皮由来細胞株においてMYBPHを過剰発現させると細胞遊走及び浸潤が抑制されることが知られている(非特許文献1参照)。また、ラット心臓由来細胞株においてMYBPHとミオシン結合タンパク質Cをダブルノックダウンすると、アドレナリン刺激による細胞収縮が抑制されることが知られている(非特許文献2参照)。さらに、医薬品などの投与による副作用(筋肉毒性)により生じる骨格筋障害を検出するためのタンパク質バイオマーカーとしてMYBPHを使用することも開示されている(特許文献1参照)。
しかし、日常生活に必要な運動機能や運動器の加齢性疾患を判定、評価するためのバイオマーカーとしてMYBPHを使用できることについては知られていない。
国際公開第2007/066129号パンフレット
Yasuyuki Hosono,et al.,The EMBO Journal,2012,vol.31,p.481-493 Jomien Mouton,et al.,Exp.Cell Res.,2015,vol.331(2),p.338-351
本発明は、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価するためのバイオマーカーの提供を課題とする。
また本発明は、前記バイオマーカーを用いた、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度の評価方法の提供を課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った。
運動器官の1つであり身体を動かす骨格に結合する骨格筋には、多くのタンパク質が発現することが知られている。これらのタンパク質のうち、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子(以下、「MYBPH遺伝子」ともいう)の発現レベルが、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大との間で相関性を有することを見出した。そして、このMYBPH又はMYBPH遺伝子が、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価するためのバイオマーカーとして有用であることを見出した。さらに、個体から採取されたMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大の程度を評価できることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子を含む、運動機能の評価用マーカーに関する。
また本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子を含む、筋量の評価用マーカーに関する。
また本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子を含む、骨格筋細胞の分化評価用マーカーに関する。
また本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子を含む、筋管肥大の評価用マーカーに関する。
また本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて個体の運動機能を評価する、運動機能の評価方法に関する。
また本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて筋量を評価する、筋量の評価方法に関する。
また本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて骨格筋細胞の分化の程度を評価する、骨格筋細胞の分化の評価方法に関する。
さらに本発明は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて筋管肥大の程度を評価する、筋管肥大の評価方法に関する。
本発明のバイオマーカーは、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度の評価に使用することができる。
また本発明の評価方法は、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を的確かつ簡便に評価することができる。さらに本発明の評価方法に基づいて、運動機能を向上させる物質、筋量を増加させる物質、骨格筋細胞の分化を促進させる物質、又は筋管肥大を促進させる物質のスクリーニングなどに好適に適用することができる。
試験例1で測定した、運動開始より2カ月後の対照群と運動群それぞれのマウスのヒラメ筋の筋量を示すグラフである。 試験例1で測定した、運動開始より2カ月後の対照群と運動群それぞれのマウスのヒラメ筋の筋力を示すグラフである。 試験例1で測定した、運動開始より1カ月後及び2カ月後の対照群と運動群のマウスのヒラメ筋におけるMYBPH遺伝子の発現量を示すグラフである。 試験例2で測定した、足底筋の協働筋切除の非施術群と施術群それぞれのマウスの足底筋の筋量を示すグラフである。 試験例2で測定した、足底筋の協働筋切除の非施術群と施術群それぞれのマウスの足底筋におけるMYBPH遺伝子の発現量を示すグラフである。 試験例3で測定した、尾懸垂直後及び再接地後それぞれのマウスのヒラメ筋の筋量を示すグラフである。 試験例3で測定した、尾懸垂直後及び再接地後それぞれのマウスのヒラメ筋におけるMYBPH遺伝子の発現量を示すグラフである。 試験例4で測定した、マウス骨格筋由来細胞株の増殖区及び分化過程でのMYBPH遺伝子の発現量を示すグラフである。 試験例4で測定した、マウス骨格筋由来細胞株の増殖区及び分化過程でのMYBPHの発現量を示す図である。 試験例5で測定した、RNA干渉の影響による、MYBPH遺伝子の発現量の変化を示すグラフである。 試験例5で測定した、RNA干渉の影響による、MYBPHの発現量の変化を示すグラフである。 試験例5で測定した、RNA干渉の影響による、ミオシン重鎖の発現量の変化を示すグラフである。 試験例5で測定した、マウス骨格筋由来細胞株におけるミオシン重鎖の発現の様子を撮影した顕微鏡写真であり、(a)は分化誘導から48時間後に撮影した顕微鏡写真であり、(b)は分化誘導から72時間後に撮影した顕微鏡写真であり、(c)は分化誘導から120時間後に撮影した顕微鏡写真である。また、上段はRNA干渉を行なわなかったときの顕微鏡写真であり、下段はRNA干渉を行ったときの顕微鏡写真である。 試験例5で測定した、RNA干渉の影響による平均筋管直径の変化を示すグラフである。 図15(a)はコントロール群のゼブラフィッシュの顕微鏡写真を示し、図15(b)はTALEN mRNAをマイクロインジェクションしたゼブラフィッシュの顕微鏡写真を示す。 試験例6で行った、MYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子をノックアウトしたゼブラフィッシュにおけるMYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子の発現の様子を示す電気泳動写真である。
本明細書において、データ又は測定値等に関する「評価」又は「判定」とは、あるサンプル(群)から取得したデータ又は測定値を所定の目的に応じて分析し、分析した情報に基づいて当該サンプル(群)が特定の性状、動向、傾向を有するか否かを結論づけることを意味する。
また本発明において「運動機能」とは、身体を構成し、支え、身体運動を可能にする運動器官の運動能力を指す。
本発明の運動機能の評価用マーカー、筋量の評価用マーカー、骨格筋細胞の分化評価用マーカー、及び筋管肥大の評価用マーカー(以下、これらをまとめて単に「本発明のマーカー」ともいう)は、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子を含む。
後述の実施例で示すように、本発明のマーカーに含まれる、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH及びMYBPH遺伝子の発現レベルは、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大との間で相関性を有する。そして、運動機能の向上、筋量の増加、骨格筋細胞の分化の進行、及び筋管肥大に伴い、MYBPH及びMYBPH遺伝子の発現レベルが有意に上昇することを本発明者らは見出した。
したがって、本発明のマーカーは、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大の程度の指標とすることができる。さらに本発明のマーカーは、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大の程度を簡便かつ的確に評価する方法に好適に用いることができる。
なお、特許文献1には、MYBPHから構成される、医薬品などの投与による副作用(筋肉毒性)により生じる骨格筋の障害を検出するためのバイオマーカーが記載されている。これに対して本発明のマーカーは、日常生活に必要な運動機能や運動器の加齢性疾患を判定、評価するためのバイオマーカーである。このように、本発明において判定又は評価の対象が、特許文献1に記載の発明とは全く異なるものである。
前記MYBPHのアミノ酸配列の情報は、各種データベースから入手可能である。例えば、マウス由来のMYBPHのアミノ酸配列はNCBI RefSeqにID:NP_058029として、ゼブラフィッシュ由来のMYBPH(MYBPHa及びMYBPHb)のアミノ酸配列はNCBI RefSeqにID:NP_956852.1及びNM_001100137.1として(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/393530、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/321053参照)、ヒト由来のMYBPHのアミノ酸配列はNCBI RefSeqにID:NP_004988として、それぞれ登録されている。
なお本発明で用いるMYBPHはこれらに限定するものではなく、これらのアミノ酸配列において、1又は数個、通常1〜100個、好ましくは1〜75個、より好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個、のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質も含まれる。また、これらのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質も含まれる。ここで本明細書においてアミノ酸配列の相同性は、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,(1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本発明のマーカーは、前述のMYBPHのアミノ酸配列の一部を有するポリペプチドからなり、MYBPHの発現レベルの情報を取得するための抗体又はペプチドアプタマーにより特異的に認識される長さのポリペプチドであることが好ましい。ここで「MYBPHのアミノ酸配列の一部を有するポリペプチド」とは、前述のMYBPHのアミノ酸配列の一部、好ましくは5個以上、より好ましくは7個以上、さらに好ましくは10個以上、特に好ましくは12個以上、好ましくは40個以下、より好ましくは30個以下、さらに好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下、を連続して有するポリペプチドを意味する。
前記MYBPH遺伝子の塩基配列の情報は、各種データベースから入手可能である。例えば、マウス由来のMYBPH遺伝子の塩基配列はNCBI RefSeqにID:NM_016749として、ゼブラフィッシュ由来のMYBPH遺伝子(MYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子)の塩基配列はNCBI RefSeqにID:NM_200558.1及びNP_001093607.1として(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/393530、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/321053参照)、ヒト由来のMYBPHの塩基配列はNCBI RefSeqにID:NM_004997として、それぞれ登録されている。
なお本発明で用いるMYBPH遺伝子はこれらに限定するものではなく、これらの塩基配列において、1又は数個、通常1〜389個、好ましくは1〜292個、より好ましくは1〜195個、さらに好ましくは1〜98個、特に好ましくは1〜39個、最も好ましくは1〜20個、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなり、かつ前述のMYBPHをコードする核酸も含まれる。また、これらの塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有する塩基配列からなり、かつ前述のMYBPHをコードする核酸も含まれる。ここで本明細書において塩基配列の相同性は、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,(1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
また本発明において、MYBPH遺伝子はDNA及びRNAのいずれであってもよく、MYBPH遺伝子そのもの(DNA)、mRNA、cDNA、及びcRNAのいずれであってもよい。
本発明のマーカーは、前述のMYBPH遺伝子の塩基配列の一部を有するポリオリゴヌクレオチドからなり、MYBPH遺伝子の発現レベルの情報を取得するための核酸プローブや核酸アプタマー、核酸プライマーとストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な長さのポリヌクレオチドであることが好ましい。ここで「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W.Russell.,Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン***DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明の運動機能の評価方法、筋量の評価方法、骨格筋細胞の分化の評価方法及び筋管肥大の評価方法(以下、これらをまとめて「本発明の評価方法」ともいう)は、本発明のマーカーを用いて個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定する。そして、測定したMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルに基づいて、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価する。
本発明の評価方法においてまず、動物、好ましくはヒトや非ヒト動物、より好ましくは、ヒトや実験動物(マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ゼブラフィッシュなど)、から採取した生体試料や、人工的に培養した細胞株から、MYBPH又はMYBPH遺伝子を検出する。MYBPH又はMYBPH遺伝子を検出するための生体試料に特に制限はないが、骨格筋、好ましくはヒラメ筋、ヒフク筋又は足底筋、からMYBPH又はMYBPH遺伝子を採取する。
MYBPH又はMYBPH遺伝子を個体から採取するタイミングは、適宜選択することができる。例えば、運動など筋量を増加させる外部刺激を個体に負荷してから1〜6時間後にMYBPH又はMYBPH遺伝子を採取することが好ましい。
このように採取したMYBPH又はMYBPH遺伝子について、その発現レベルを測定する。発現レベルを測定する方法としては、MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現を定性的又は定量的、すなわちMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現の有無や発現量、を測定する常法より適宜選択することができる。
個体から採取された骨格筋由来のMYBPHの発現レベルを測定する方法としては、常法に従い作製した、MYBPHと特異的に結合する抗体やペプチドアプタマーを用いて、免疫沈降法、質量分析法、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ウェスタンブロット法、ELISA(酵素結合免疫吸着)法、ECLIA(電気化学発光免疫測定)法、マイクロアレイなどの常法に従い測定する方法が挙げられる。
個体から採取された骨格筋由来のMYBPH遺伝子の発現レベルを測定する方法としては、常法に従い作製した、MYBPH遺伝子とストリンジェントな条件下で結合する核酸プローブ、核酸アプタマー、又は核酸プライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法などの核酸増幅法、サザンハイブリダイゼーション、ノザンハイブリダイゼーションなどのハイブリダイゼーション法、マイクロアレイ法などの常法に従い測定する方法が挙げられる。また前記核酸プローブ、核酸アプタマー及び核酸プライマーは、放射性同位体、蛍光物質、酵素などの標識物質で標識されていてもよい。
このうち本発明では、核酸プライマーを用いてPCR法によりMYBPH遺伝子の発現レベルを測定することが好ましい。また前記核酸プライマーとしては、下記表1に示す核酸プライマーセット1〜3のいずれか1つを好ましく用いることができる。
運動機能の向上、筋量の増加、骨格筋細胞の分化の進行、及び筋管肥大に伴い、MYBPH及びMYBPH遺伝子の発現レベルが上昇する。これに対して、運動機能の低下、筋量の減少、骨格筋細胞の分化の不進行、及び筋管縮小に伴い、MYBPH及びMYBPH遺伝子の発現レベルは低下する。
よって、個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管に関して標準的な個体から採取されたMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルと比較を行う。そして、測定した発現レベルが上昇した場合には、運動機能が向上した、筋量が増加した、骨格筋細胞の分化が進行した、又は筋管が肥大した、と判断する。一方、MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルが低下した場合には、運動機能が低下した、筋量が減少した、骨格筋細胞の分化が進行していない、又は筋管が縮小した、と判断する。また、MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルに変化が確認できない場合は、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管は標準的な状態であると判断する。あるいは、運動など筋量を増加させるような外部刺激を個体に行ってもMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルが増加しない場合には、その個体がロコモティブシンドロームに罹患している、又はロコモティブシンドロームに罹患するリスクが高い、と判断する。
本発明でMYBPHの発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価する際、骨格筋のタンパク質分子マーカーとして通常用いられる物質の発現レベルとMYBPHの発現レベルとを比較し、測定したMYBPHの発現レベルを補正することが好ましい。このように発現レベルの補正を行うことで、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大の程度それぞれを正確に評価することができる。
通常用いられる、前記骨格筋のタンパク質分子マーカーとしては、β-アクチンなどが挙げられる。
本発明でMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価する際、ハウスキーピング遺伝子(内部標準遺伝子)の発現レベルと、MYBPH遺伝子の発現レベルとを比較し、測定したMYBPH遺伝子の発現レベルを補正することすることが好ましい。具体的には、MYBPH遺伝子の発現量を測定し、別途測定したハウスキーピング遺伝子の発現量で補正を行い、補正した値に基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価することが好ましい。このように発現レベルの比較を行うことで、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大の程度それぞれを正確に評価することができる。
通常用いられるハウスキーピング遺伝子としては、36B4遺伝子、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、GAPDH)遺伝子、β-アクチン遺伝子などが挙げられる。
本発明は、MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定するための抗体、ペプチドアプタマー、核酸プローブ、核酸アプタマー又は核酸プライマーを含んでなる、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度又は筋管肥大の程度の評価用キットも提供する。
このキットは、前述した、タンパク質分子マーカーやハウスキーピング遺伝子の発現レベルを測定するための抗体、ペプチドアプタマー、核酸プローブ、核酸アプタマー又は核酸プライマーを含んでもよい。
本発明は、前記評価方法に基づいて、ロコモティブシンドロームの予防又は改善剤、運動機能向上の促進剤、運動機能低下の予防又は改善剤、筋量増加の促進剤、筋量低下の予防又は改善剤、骨格筋細胞の分化促進剤、筋管肥大の促進剤、筋管縮小の予防又は改善剤をスクリーニングするスクリーニング方法も提供する。このスクリーニング方法では、ヒト若しくは非ヒト動物、又は骨格筋由来の細胞株に前記剤の候補となる物質を投与又は摂取させ、物質の投与又は摂取の前後で本発明の評価方法に基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価し、運動機能を向上させる物質、筋量を増加させる物質、骨格筋細胞の分化を促進させる物質、又は筋管を肥大させる物質をこれらの剤として選択することができる。
なお本明細書において「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止若しくは遅延、又は個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。また、本明細書において「改善」とは、疾患、症状若しくは状態の好転、疾患、症状若しくは状態の悪化の防止若しくは遅延、又は疾患、症状若しくは状態の進行の逆転、防止若しくは遅延をいう。
本発明のバイオマーカーは、分化が進行した骨格筋細胞の検出方法及び筋管が肥大した骨格筋細胞の検出方法にも好適に用いることができる。この検出方法では、骨格筋細胞に発現するMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、発現レベルの高い細胞を分化が進行した骨格筋細胞又は筋管が肥大した骨格筋細胞として検出することができる。
また本発明のバイオマーカーは、ロコモティブシンドロームの罹患の有無又は罹患するリスクの有無の評価方法にも好適に用いることができる。この評価方法では、運動など筋量を増加させるような外部刺激を行った個体の骨格筋細胞由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルが増加しない場合に、ロコモティブシンドロームに罹患している、又は罹患するリスクが高い、と評価することができる。
さらに本発明のバイオマーカーは、ロコモティブシンドロームの治療又は予防効果の評価方法にも好適に用いることができる。ロコモティブシンドロームに罹患した被験者にロコモティブシンドロームの治療又は予防措置が効果的であった場合、それに応じてMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルも上昇する。したがって、ロコモティブシンドロームの治療又は予防措置の前後でMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、発現レベルが上昇した場合には治療又は予防措置が効果的であると評価することができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のマーカー、使用、方法、評価方法、スクリーニング方法、及びキットを開示する。
<1>個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子を含む、運動機能の判定用マーカー、筋量判定用マーカー、骨格筋細胞の分化の判定用マーカー、又は筋管肥大の判定用マーカー。
<2>前記MYBPHのアミノ酸配列の一部を有するポリペプチド、又は前記MYBPH遺伝子の塩基配列の一部を有するポリオリゴヌクレオチドからなる、前記<1>項に記載のマーカー。
<3>前記MYBPH又はMYBPH遺伝子がヒラメ筋、ヒフク筋又は足底筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子である、前記<1>又は<2>項に記載のマーカー。
<4>前記MYBPHが、NCBI RefSeqにNP_058029、NP_956852.1、NM_001100137.1、若しくはNP_004988で登録されているタンパク質、これらのタンパク質のアミノ酸配列において、1又は数個、通常1〜100個、好ましくは1〜75個、より好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個、のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質、又はこれらのタンパク質のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質、である、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のマーカー。
<5>前記MYBPH遺伝子が、NCBI RefSeqにNM_016749、NM_200558.1、NP_001093607.1、若しくはNM_004997で登録されている遺伝子、これらの遺伝子の塩基配列において、1又は数個、通常1〜389個、好ましくは1〜292個、より好ましくは1〜195個、さらに好ましくは1〜98個、特に好ましくは1〜39個、最も好ましくは1〜20個、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなり、かつMYBPHをコードする核酸、又はこれらの遺伝子の塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有する塩基配列からなり、かつMYBPHをコードする核酸、である、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のマーカー。
<6>前記MYBPHが、MYBPHと特異的に認識される抗体又はペプチドアプタマー、好ましくは抗体、により検出されたものである、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のマーカー。
<7>前記MYBPH遺伝子が、核酸プローブ、核酸アプタマー又は核酸プライマー、好ましくは核酸プライマー、により検出されたものである、前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のマーカー。
<8>前記MYBPH遺伝子が、前記表1に示す核酸プライマーセット1〜3のいずれか1つにより検出されたものである、前記<7>項に記載のマーカー。
<9>前記MYBPH又はMYBPH遺伝子が、運動など筋量を増加させる外部刺激を個体に負荷してから1〜6時間後に採取されたMYBPH又はMYBPH遺伝子である、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のマーカー。
<10>個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の、運動機能の判定用マーカー、筋量判定用マーカー、骨格筋細胞の分化の判定用マーカー、又は筋管肥大の判定用マーカーとしての使用。
<11>個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子を、運動機能の判定用マーカー、筋量判定用マーカー、骨格筋細胞の分化の判定用マーカー、又は筋管肥大の判定用マーカーとして使用する方法。
<12>個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子を使用する、運動機能の判定方法、筋量判定方法、骨格筋細胞の分化の判定方法、又は筋管肥大の判定方法。
<13>前記MYBPHのアミノ酸配列の一部を有するポリペプチド、又は前記遺伝子の塩基配列の一部を有するポリオリゴヌクレオチドを使用する、前記<10>〜<12>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<14>前記MYBPH又はMYBPH遺伝子がヒラメ筋、ヒフク筋又は足底筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子である、前記<10>〜<13>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<15>前記MYBPHが、NCBI RefSeqにNP_058029、NP_956852.1、NM_001100137.1、若しくはNP_004988で登録されているタンパク質、これらのタンパク質のアミノ酸配列において、1又は数個、通常1〜100個、好ましくは1〜75個、より好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個、のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質、又はこれらのタンパク質のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質、である、前記<10>〜<14>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<16>前記MYBPH遺伝子が、NCBI RefSeqにNM_016749、NM_200558.1、NP_001093607.1、若しくはNM_004997で登録されている遺伝子、これらの遺伝子の塩基配列において、1又は数個、通常1〜389個、好ましくは1〜292個、より好ましくは1〜195個、さらに好ましくは1〜98個、特に好ましくは1〜39個、最も好ましくは1〜20個、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなり、かつMYBPHをコードする核酸、又はこれらの遺伝子の塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有する塩基配列からなり、かつMYBPHをコードする核酸、である、前記<10>〜<15>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<17>前記MYBPHが、MYBPHと特異的に認識される抗体又はペプチドアプタマー、好ましくは抗体、により検出されたものである、前記<10>〜<16>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<18>前記MYBPH遺伝子が、核酸プローブ、核酸アプタマー又は核酸プライマー、好ましくは核酸プライマー、により検出されたものである、前記<10>〜<17>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<19>前記MYBPH遺伝子が、前記表1に示す核酸プライマーセット1〜3のいずれか1つにより検出されたものである、前記<18>項に記載の使用又は方法。
<20>前記MYBPH又はMYBPH遺伝子が、運動など筋量を増加させる外部刺激を個体に負荷してから1〜6時間後に採取されたMYBPH又はMYBPH遺伝子である、前記<10>〜<19>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<21>個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、
測定した発現レベルに基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価する、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度の評価方法。
<22>前記MYBPHのアミノ酸配列の一部を有するポリペプチド、又は前記MYBPH遺伝子の塩基配列の一部を有するポリオリゴヌクレオチドの発現レベルを測定し、測定した発現レベルに基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価する、前記<21>項に記載の方法。
<23>前記発現レベルが、前記MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現の有無、又は前記MYBPH又はこれをコードする遺伝子の発現量である、前記<21>又は<22>項に記載の方法。
<24>前記MYBPH又はMYBPH遺伝子がヒラメ筋、ヒフク筋又は足底筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子である、前記<21>〜<23>のいずれか1項に記載の方法。
<25>前記MYBPHが、NCBI RefSeqにNP_058029、NP_956852.1、NM_001100137.1、若しくはNP_004988で登録されているタンパク質、これらのタンパク質のアミノ酸配列において、1又は数個、通常1〜100個、好ましくは1〜75個、より好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個、のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質、又はこれらのタンパク質のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ機能的に同等なタンパク質、である、前記<21>〜<24>のいずれか1項に記載の方法。
<26>前記MYBPH遺伝子が、NCBI RefSeqにNM_016749、NM_200558.1、NP_001093607.1、若しくはNM_004997で登録されている遺伝子、これらの遺伝子の塩基配列において、1又は数個、通常1〜389個、好ましくは1〜292個、より好ましくは1〜195個、さらに好ましくは1〜98個、特に好ましくは1〜39個、最も好ましくは1〜20個、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなり、かつMYBPHをコードする核酸、又はこれらの遺伝子の塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上、の相同性を有する塩基配列からなり、かつMYBPHをコードする核酸、である、前記<21>〜<25>のいずれか1項に記載の方法。
<27>MYBPHと特異的に認識される抗体又はペプチドアプタマー、好ましくは抗体、によりMYBPHを検出し、MYBPHの発現レベルを測定する、前記<21>〜<26>のいずれか1項に記載の方法。
<28>核酸プローブ、核酸アプタマー又は核酸プライマー、好ましくは核酸プライマー、によりMYBPH遺伝子を検出し、MYBPH遺伝子の発現レベルを測定する、前記<21>〜<27>のいずれか1項に記載の方法。
<29>前記表1に示す核酸プライマーセット1〜3のいずれか1つによりMYBPH遺伝子を検出し、MYBPH遺伝子の発現レベルを測定する、前記<28>項に記載の方法。
<30>測定したMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルが上昇した場合に、運動機能が向上した、筋量が増加した、骨格筋細胞の分化が進行した、又は筋管が肥大した、と判断する、前記<21>〜<29>のいずれか1項に記載の方法。
<31>測定したMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルが低下した場合に、運動機能が低下した、筋量が減少した、骨格筋細胞の分化が進行していない、又は筋管が縮小した、と判断する、前記<21>〜<30>のいずれか1項に記載の方法。
<32>測定したMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルに変化が確認できない場合に、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管は標準的な状態であると判断する、前記<21>〜<31>のいずれか1項に記載の方法。
<33>筋量を増加させるような外部刺激を行った個体から採取された骨格筋由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、測定した発現レベルが増加しない場合に、その個体がロコモティブシンドロームに罹患している又はロコモティブシンドロームに罹患するリスクが高いと判断する、前記<21>〜<32>のいずれか1項に記載の方法。
<34>骨格筋のタンパク質分子マーカー、好ましくはβ-アクチン、の発現レベルとMYBPHの発現レベルとを比較し、測定したMYBPHの発現レベルを補正する、前記<21>〜<33>のいずれか1項に記載の方法。
<35>ハウスキーピング遺伝子、好ましくは36B4遺伝子、GAPDH遺伝子、又はβ-アクチン遺伝子、の発現レベルとMYBPH遺伝子の発現レベルとを比較し、測定したMYBPH遺伝子の発現レベルを補正する、前記<21>〜<34>のいずれか1項に記載の方法。
<36>前記MYBPH又はMYBPH遺伝子が、運動など筋量を増加させる外部刺激を個体に負荷してから1〜6時間後に採取されたMYBPH又はMYBPH遺伝子である、前記<21>〜<35>のいずれか1項に記載の方法。
<37>MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定するための抗体、ペプチドアプタマー、核酸プローブ、核酸アプタマー又は核酸プライマーを含んでなる、個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度又は筋管肥大の程度の評価用キット。
<38>骨格筋のタンパク質分子マーカー、好ましくはβ-アクチン、又はハウスキーピング遺伝子、好ましくは36B4遺伝子、GAPDH遺伝子、又はβ-アクチン遺伝子、の発現レベルを測定するための抗体、ペプチドアプタマー、核酸プローブ、核酸アプタマー又は核酸プライマーをさらに含む、前記<37>に記載のキット。
<39>ロコモティブシンドロームの予防又は改善剤、運動機能向上の促進剤、運動機能低下の予防又は改善剤、筋量増加の促進剤、筋量低下の予防又は改善剤、骨格筋細胞の分化促進剤、筋管肥大の促進剤、筋管縮小の予防又は改善剤をスクリーニングするスクリーニング方法であって、
ヒト若しくは非ヒト動物、又は骨格筋由来の細胞株に前記剤の候補となる物質を投与又は摂取させ、
物質の投与又は摂取の前後で前記<21>〜<35>のいずれか1項に記載の評価方法に基づいて個体の運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、又は筋管肥大の程度を評価し、
運動機能を向上させる物質、筋量を増加させる物質、骨格筋細胞の分化を促進させる物質、又は筋管を肥大させる物質を前記剤として選択する、スクリーニング方法。
<40>前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載のマーカーを用いて、骨格筋細胞に発現するMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、
MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルの高い細胞を分化が進行した骨格筋細胞又は筋管が肥大した骨格筋細胞として検出する、
分化が進行した骨格筋細胞又は筋管が肥大した骨格筋細胞の検出方法。
<41>前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載のマーカーを用いて、骨格筋細胞由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、
骨格筋細胞由来のMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、
筋量を増加させるような外部刺激を個体に行ってもMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルが増加しない場合に、その個体がロコモティブシンドロームに罹患している、又は罹患するリスクが高い、と評価する、
ロコモティブシンドロームの罹患の有無又は罹患するリスクの評価方法。
<42>前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載のマーカーを用いて、骨格筋細胞に発現するMYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルを測定し、
MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルが上昇した場合には前記治療又は予防措置が効果的であると評価する、
ロコモティブシンドロームの治療又は予防効果の評価方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、下記試験例及び比較例で用いた、各種遺伝子の増幅に用いたプライマーの塩基配列を表2に示す。なお下記プライマーは、標的遺伝子の断片を約100〜200bpのサイズで増幅するように設計した。
試験例1 マウスの運動試験後のヒラメ筋の筋量及びヒラメ筋におけるMYBPH遺伝子の発現量の測定
(1)ヒラメ筋の筋量及び筋力の測定
室温を23±2℃、湿度を55±10%とし、照明時間を7〜19時と設定した飼育環境下で、7週齢の雄性C57BL/6Jマウス(オリエンタルバイオサービス社より購入)に対して一週間の環境馴化を行った後、個別飼育に馴化させた。その後、体重を基準に32匹のマウスを選抜した。これら32匹のマウスを非運動条件飼育群(対象群:個別飼育)16匹と、自発運動条件飼育群(運動群:回転カゴ付ケージで個別飼育)16匹とに分けた。試験食(商品名:CE-2、日本クレア社製)自由摂食下でこれら2群のマウスを飼育し、運動開始より1ヶ月目及び2ヶ月目に、各群8匹ずつの解剖を実施した。解剖は自由摂食条件下でセボフレン(商品名、丸石製薬社製)を麻酔した後、下腹部大静脈より全採血し、ヒラメ筋を採取した。採取したヒラメ筋の筋量及び筋力を測定し、すみやかに液体窒素で凍結し-80℃で保存した。運動開始より2カ月後のヒラメ筋の筋量の結果を図1に、運動開始より2カ月後のヒラメ筋の筋力の結果を図2に、それぞれ示す。
なおヒラメ筋の筋力測定は、左肢のヒラメ筋を縫合糸(#5-0 silk)でトランスデューサー(商品名:FORT100、World Precision Instruments社製)に固定し、37℃のKrebs溶液(95%O2、5%CO2通気、pH7.2)に浸し、2本のプラチナ電極より電気刺激を与えて単収縮刺激を施した後、トランスデューサーより得られるシグナルを筋力として評価した。
(2)MYBPH遺伝子の発現量の測定
保存したヒラメ筋から、RNeasy Fibrous Mini Kit(商品名、Qiagen社製)を使用してTotal RNAを抽出した。抽出したTotal RNAの濃度を揃え、65℃にて10分間の熱処理を行い、急冷後下記に示す逆転写反応に使用した。
125ng相当のRNAを鋳型とし、逆転写反応液{1×PCR buffer 2(商品名、Applied Biosystems社製)、5mM MgCl2、1mM dNTP mix、2.5μM oligo d(T) 18(商品名、New England Biolabs社製)、1U/μL Rnase inhibitor(商品名、タカラバイオ社製)}20μLと混合して、(42℃、1時間)→(52℃、30分)→(99℃、5分)→4℃の条件下で逆転写反応を行った。得られたcDNAサンプルを-20℃で保存した。
また、下記に示すreal-time PCRのスタンダード用として、500ng相当のRNAに対して同様の反応系で逆転写反応を行った。
得られたcDNAを鋳型とし、PCR反応液{Fast SYBR(商品名、Applied Biosystems社製)、1μM Forward Primer(配列番号1)、1μM Reverse Primer(配列番号2)}20μLと混合して、7500 Fast Real-Time PCR System(商品名、Applied Biosystems社製)を用いて、MYBPHのmRNAに対するreal-time PCRを行った。スタンダード用に逆転写し得られたcDNAを7段階希釈して調製したcDNAをスタンダードcDNAとしてreal-time PCRを行い、作製した検量線に基づき、MYBPHのmRNAの発現量の解析を行った。得られた解析結果は、配列番号3及び4に示す塩基配列からなるプライマーを用いて測定した内部標準遺伝子(36B4遺伝子)の発現量で補正し、相対的なmRNA発現量として表した。得られた結果を図3に示す。
図1に示すように、運動開始から2か月目に、運動群でヒラメ筋重量が有意に増加した。しかし、図2に示すように、運動開始から2か月であっても、ヒラメ筋の筋力に有意差は確認できなかった。
また、図3に示すように、運動開始から1か月目に、運動群でMYBPHのmRNAの発現量が有意に増加した。
これらの結果は、筋形成時(運動開始から1か月程度)にMYBPH遺伝子の発現量が増加すると、運動開始から2か月目にヒラメ筋の重量が増加することを示している。すなわちこれらの結果は、ヒラメ筋の筋量が増加する過程のいずれかの段階でMYBPHの一過的な発現量の増加が必要であり、筋形成時にMYBPHの発現を増加させることができない個体は筋量及び運動機能を維持又は増強できないことを示唆するものである。
試験例2 協働筋を切除した場合のMYBPHの発現量の測定
(1)足底筋の筋量の測定
C57BL/6Jマウス(オリエンタルバイオサービス社より購入、16週齢)を非施術群3匹と施術群3匹とに分けた。施術群のマウスのヒフク筋及びヒラメ筋を切除し(SA,Synergist Ablation手術)、足底筋への負荷を増加させた。
非施術群及び施術群のマウスを飼育し、施術群のマウスのヒフク筋及びヒラメ筋の切除から3日後に、各群のマウスから足底筋を採取した。採取した足底筋の筋量を測定し、すみやかに液体窒素で凍結し-80℃で保存した。測定した足底筋の筋量の結果を図4に示す。
(2)MYBPH遺伝子の発現量の測定
保存した足底筋におけるMYBPHのmRNAの発現量を試験例1と同様にして測定した。得られた結果を図5に示す。
図4及び5に示すように、施術群で足底筋の重量が有意に増加するとともに、MYBPHのmRNAの発現量が有意に増加した。
足底筋の協働筋であるヒラメ筋及びヒフク筋を切除した場合、足底筋に大きな負荷がかかる。よって図4及び5に示す結果は、足底筋に大きな負荷をかけて短期間で筋量を増加させると、MYBPH遺伝子の発現量が増加することを示している。
試験例3 尾懸垂後再接地した場合のMYBPHの発現量の測定
Balb/cマウス(チャールス・リバー社より購入、10週齢)を1週間の尾懸垂により後肢不活動状態とし、その後尾懸垂を解除した(再接地)。再接地から3日後にヒラメ筋を採取した。
尾懸垂直後のマウス、及び再接地後のヒラメ筋の筋量を測定し、すみやかに液体窒素で凍結し-80℃で保存した。測定したヒラメ筋の筋量の結果を図6に示す。
(2)MYBPH遺伝子の発現量の測定
保存したヒラメ筋におけるMYBPHのmRNAの発現量を試験例1と同様にして測定した。得られた結果を図7に示す。
図6及び7に示すように、再接地後にヒラメ筋の重量が有意に増加するとともに、MYBPHのmRNAの発現量が有意に増加した。
これらの結果は、尾懸垂直後に再接地させることで短期間で筋量を増加させた場合、筋量増加とともにMYBPH遺伝子の発現量も増加することを示している。
試験例4 骨格筋細胞の増殖・分化過程におけるMYBPHの発現量の測定
(1)mRNAの発現量の測定
マウス骨格筋由来細胞株C2C12を0.5×105cells/well又は1.5×105cells/wellとなるように24wellプレートに播種し(n=3)、10%ウシ胎児血清(FBS、AusGeneX)を含むDMEM培地{増殖培地、10%FBS-DMEM;10%FBS、1%Pen Strep(Gibco社製)}を用いて維持した。細胞の播種から24時間後に、増殖区の細胞サンプルを回収した(細胞密度:80%コンフルエント)。さらに、分化誘導区の細胞サンプルに対して、播種から48時間後(細胞密度:100%コンフルエント)に2%ウマ血清(HS、Kohjin Bio社製)を含むDMEM培地{分化誘導培地、2%HS-DMEM;2%HS、1%Pen Strep(Gibco社製)}を用いて分化誘導を施した。分化誘導から0時間後、8時間後、24時間後、48時間後、72時間後、及び120時間後に細胞サンプルを回収した。
回収した細胞サンプルからRNeasy Mini Kit(商品名、QIAGEN社製)を使用してTotal RNAを抽出し、試験例1と同様に逆転写反応を行い、MYBPHのmRNAの発現量の解析を行った。得られた解析結果は、配列番号5及び6に示す塩基配列からなるプライマーを用いて測定した内部標準遺伝子(GAPDH)の発現量で補正し、相対的なmRNA発現量として表した。このようにして得られた結果を図8に示す。
図8に示すように、MYBPHのmRNAの発現量は、骨格筋細胞の分化と共に増加した。
(2)タンパク質の発現量の測定
マウス骨格筋由来細胞株C2C12を0.5×105cells/well又は1.5×105cells/wellとなるように6wellプレートに播種し(n=3)、10%ウシ胎児血清(FBS、AusGeneX)を含むDMEM培地{増殖培地、10%FBS-DMEM;10%FBS、1%Pen Strep(Gibco社製)}を用いて維持した。細胞の播種から24時間後に、増殖区の細胞サンプルを回収した(細胞密度:80%コンフルエント)。さらに、分化誘導区の細胞サンプルに対して、播種から48時間後(細胞密度:100%コンフルエント)に2%ウマ血清(HS、Kohjin Bio社製)を含むDMEM培地{分化誘導培地、2%HS-DMEM;2%HS、1%Pen Strep(Gibco社製)}を用いて分化誘導を施した。分化誘導から0時間後、8時間後、24時間後、48時間後、72時間後、及び120時間後に細胞サンプルを回収した。
回収した各細胞サンプルと、1% Protease Inhibitor Cocktail(Sigma社製)を含むCelLytic M(商品名、Sigma社製)100μLとを混合し、-80℃で保存した。得られた混合液を15,000rpm、4℃で15分間遠心し、上清を回収してタンパク質溶液を調製した。タンパク質溶液の濃度を揃え、4×SDS Sample Bufferを添加し{タンパク質溶液:(Sample Buffer)=3:1(体積比))、99℃で10分間の熱処理を行った。
SDSで処理したタンパク質溶液20μgについてSDS-PAGEを行い、メタノールで1分間処理したImmobilon-P(PVDF膜、Millipore社製)にタンパク質を転写した。転写後のPVDF膜をPVDF Blocking Reagent(商品名、TOYOBO社製)に浸し、室温にて1時間ブロッキング処理を行った。その後、抗MYBPH抗体(1:1000、Aviva Systems Biology社製)、抗ミオシン重鎖(以下、「MyHC」ともいう)抗体(1:600、Developmental studies hybridoma bank社製;MF20)、抗β-actin抗体(1:1000、Cell Signaling社製)を、それぞれに適した濃度になるようCan Get Signal Solution 1(商品名、TOYOBO社製)で希釈し、これらの溶液を用いて4℃、1晩の1次抗体処理を行った。
0.1%Tween20-TBS(T-TBS、Bio-Rad社製)でメンブレンを洗浄した後、抗ウサギIgG抗体(MYBPH及びβ-actin検出用、Cell signaling社製)又は抗マウスIgG抗体(MyHC検出用、Cell signaling社製)をCan Get Signal Solution 2(商品名、TOYOBO社製)で1000倍に希釈して2次抗体溶液を作成し、室温にて1時間の2次抗体処理を行った。T-TBSによる洗浄後、LumiGLO Reagent and Peroxide(商品名、Cell signaling社製)で5分間処理して化学発光を起こし、発光強度をChemiDoc XRS(商品名、Bio Rad社製)で測定し、MYBPH、MyHC及びβ-actinの発現量とした。
このようにして得られた結果を図9に示す。ここで図9の上段はβ-actinの発現量に対するMYBPHの発現量の相対値を示すグラフであり、下段はSDS-PAGE後にウェスタンブロッティングを実施し化学発光でバンドを検出した結果を示す図である。
図9に示すように、MYBPHの発現量は筋細胞の分化と共に増加した。
試験例5 骨格筋細胞におけるMYBPHの発現量及び筋管肥大に対する、RNA干渉の影響
(1)siRNA溶液の調製
MYBPHのmRNAに特異的に設計された、2種類のsmall interfering RNA(siRNA)溶液(MYBPH siRNA1及びMYBPH siRNA2)(Silencer Select Pre-designed and Validated siRNA、Ambion社製)及びネガティブコントロールsiRNA溶液(Silencer Select Negative Control #2 siRNA、Ambion社製)を終濃度25nMとなるよう調製した。
(2)mRNAの発現量の測定
マウス骨格筋由来細胞株C2C12を0.5×105cells/well又は1.5×105cells/wellとなるように24wellプレートに播種した(n=3)。
細胞の播種から24時間後に、前記siRNA溶液及びLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(商品名、Invitrogen社製)を用い、添付のプロトコルに従って下記に示すように、C2C12へsiRNAのトランスフェクションを実施した。
まず抗生物質無添加の10% FBS-DMEM 500μLを24wellプレートに添加した。そして、20μM siRNA保存溶液をOpti-MEM I Reduced-Serum Medium(商品名、Invitrogen社製)で300μM(終濃度の12倍)となるよう希釈した。一方Lipofectamine RNAiMAX Transfection ReagentをOpti-MEM I Reduced-Serum Medium(商品名、Invitrogen社製)で2%となるよう希釈した。これらの溶液それぞれを5分間静置した。その後両溶液を混合し、10分間反応させた。反応後の混合液100μLを24wellプレートに添加した。
siRNAトランスフェクション開始から24時間後(細胞密度:100%コンフルエント)、2%HS-DMEMを用いて細胞に分化誘導を施し、48、72、120時間後に細胞サンプルを回収した。
回収した細胞サンプルから、RNeasy Mini Kit(商品名、QIAGEN社製)を使用してTotal RNAを抽出し、試験例1と同様に逆転写反応を行い、MYBPHのmRNAの発現量の解析を行った。得られた解析結果は、内部標準遺伝子(GAPDH)の発現量で補正し、相対的なmRNA発現量として表した。
このようにして得られた結果を図10に示す。図10に示すように、RNA干渉により、MYBPHのmRNAの発現量は減少した。
(3)タンパク質の発現量の測定
マウス骨格筋由来細胞株C2C12を0.5×105cells/well又は1.5×105cells/wellとなるように6wellプレートに播種した(n=3)。細胞の播種から24時間後に、前記siRNA溶液及びLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(商品名、Invitrogen社製)を用いて前述の方法と同様にC2C12へsiRNAのトランスフェクションを実施した。そして、siRNAトランスフェクション開始から24時間後(細胞密度:100%コンフルエント)、2%HS-DMEMを用いて細胞に分化誘導を施し、48、72、120時間後に細胞サンプルを回収した。
回収した各細胞サンプルについて、試験例2と同様にMYBPH、MyHC及びβ-actinの発現量を測定した。このようにして得られた結果を図11(MYBPHの発現量)及び図12(MyHCの発現量)に示す。
図11及び12に示すように、RNA干渉により、MYBPH、及び骨格筋細胞の分化マーカーであるMyHCの発現量は減少した。
(4)ミオシン重鎖の検出
マウス骨格筋由来細胞株C2C12を0.5×105cells/well又は1.5×105cells/wellとなるように6wellプレートに播種した(n=3)。細胞の播種から24時間後に、前記siRNA溶液及びLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(商品名、Invitrogen社製)を用い前述の方法と同様にC2C12へsiRNAのトランスフェクションを実施した。そして、siRNAトランスフェクション開始から24時間後(細胞密度:100%コンフルエント)、2%HS-DMEMを用いて細胞に分化誘導を施し、48、72、120時間後に細胞サンプルを回収した。
カルチャーカバーグラス(Poly-L-Lysine coat、松浪硝子工業社製)を底面に置き、Fibronectin(100倍希釈で使用、Sigma社製)でコーティングを行った6wellプレートに、回収した細胞を播種した。4%パラホルムアルデヒド・りん酸緩衝液(和光純薬工業社製)で細胞の固定した後、PBS(GIBCO社製)で細胞の洗浄を行った。その後、0.2% TritonX-100(Sigma社製)-PBS溶液を用いて、室温にて10分間細胞の可溶化処理を行った。PBSによる洗浄後、5%BSA(Sigma社製)-PBS溶液を用いて、室温にて30分間細胞のブロッキング処理を行った。その後、6μg/mLとなるよう抗MyHC抗体(1:600、Developmental studies hybridoma bank社製;MF20)を5%BSA-PBSで希釈し、この溶液を用いて室温にて1時間処理した。
PBSで洗浄した後、2次抗体溶液{Alexa Fluor 488 Donkey Anti-mouseIgG(Invitrogen社製)を5%BSA-PBSにより500倍に希釈した溶液}を用い、1時間の2次抗体処理を行った。
PBSによる洗浄後、Prolong Gold antifade reagent with DAPI(Invitrogen社製)を用いて細胞を封入し、細胞の形態観察と写真撮影を行い、筋管直径を測定した。筋管直径の測定は、オールインワン顕微鏡(商品名:BZ-9000、キーエンス社製)と付属の画像解析ソフトウェアを用い、1wellにつき5枚撮影した画像について、画像1枚あたり30本程度の筋管直径をそれぞれ測定し、平均値を算出した。
分化誘導から48時間後、72時間後及び120時間後の細胞の顕微鏡写真を図13に示す。ネガティブコントロールsiRNA溶液で処理した場合、分化誘導に伴い筋管が太くなった(例えば図13(b))。これに対し、MYBPH siRNA溶液で処理した場合、筋管が太くなりきれないまま、筋管が培養限界に達して剥がれてしまった(例えば図13(c)参照)。このように、MYBPHのmRNAの発現をRNA干渉により抑制することで、筋管の肥大が抑制された。
また、分化誘導から72時間後及び120時間後の平均筋管直径を図14に示す。図14に示すように、MYBPHのmRNAの発現をRNA干渉により抑制することで平均筋管直径が減少し、筋管の肥大が抑制された。
試験例6 ゼブラフィッシュにおけるMYBPH遺伝子のノックアウト試験
(1)ゼブラフィッシュのMYBPH遺伝子の検索
マウス由来のMYBPH遺伝子と相同性を有する遺伝子をNCBI(National Center for Biotechnology Information、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のHomoloGene検索を利用し、ゼブラフィッシュのMYBPH遺伝子の検索を行った。その結果ゼブラフィッシュは、それぞれ異なる染色体に存在する、2つの相同遺伝子(MYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子)を有することを見出した。さらに、MYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子の開始コドン近傍のシークエンスを行った。その結果、これらの遺伝子の塩基配列が、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)及びEnsembl(http://asia.ensembl.org/index.html)の情報と差異がないことを確認した。
そこで下記に示すように、これら2つの遺伝子全てをノックアウトした、ダブルノックアウトゼブラフィッシュを作製した。
(2)TALEN mRNAの合成
MYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子のノックアウト用TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)をコードしたプラスミド(和光純薬工業社製)を増幅し、増幅したTALENプラスミドを制限酵素処理反応液{各TALENプラスミド10μL、10×M buffer(TOYOBO社製)5μL、dH2O 34μL、制限酵素HindIII(TOYOBO社製)1μL}を用いて37℃で一晩制限酵素処理した。
得られた消化物をQIAquick PCR Purification Kit(商品名、Qiagen社製)を用いて精製した。そして、精製液を鋳型とし、mMESSAGE mMACHINE Kit(商品名、Applied Biosystems社製)を用いてRNA合成、キャップ構造付加、及びPolyA付加を行ったTALEN mRNAを作製した。ここで、混入したプラスミドを分解するためにDNase処理を行なった。
このようにして得られた産物をRNeasy MiniElute Cleanup Kit(商品名、Qiagen社製)を用いて精製し、TALEN mRNA精製液を得た。なお、TALEN mRNA精製液についてAgilent 2100 バイオアナライザ(商品名、Agilent Technologies社製)にて解析し、RNAが分解されていないことを確認した。
(3)TALEN mRNAのマイクロインジェクション
MYBPHa特異的TALEN mRNA及びMYBPHb特異的TALEN mRNAの両方を含むインジェクション溶液{TALEN(L)MYBPHa mRNA 3μL、TALEN(R)MYBPHa mRNA 3μL、TALEN(L)MYBPHb mRNA 3μL、TALEN(R)MYBPHb mRNA 3μL、フェノールレッド溶液 2μL、dH2O 6μL}を調製し、1細胞期の胚(卵黄を除く)に数nLずつゼブラフィッシュ100匹程度にインジェクションした。ここで、TALEN mRNAを含まないインジェクション溶液を打ち込むコントロール群100匹程度に対しても、同様のインジェクション操作を行った。
インジェクション後の胚(受精卵)には、未受精卵が混入することがある。また、インジェクション操作によりダメージを受け、死卵が発生することがある。そこで、1日につき2回ずつ、死卵の除去を行なった。
受精から5日後に、顕微鏡下で仔魚の形態及び行動を観察し、動画撮影を行った。その結果を図15に示す。ここで図15(a)はコントロール群のゼブラフィッシュの顕微鏡写真を示し、図15(b)はTALEN mRNAをマイクロインジェクションしたゼブラフィッシュの顕微鏡写真を示す。
図15(a)に示すコントロール群のゼブラフィッシュは形態及び行動はいずれも正常であった。これに対して図15(b)に示すように、ゼブラフィッシュにTALEN mRNAをマイクロインジェクションした場合、運動能力の低い個体が出現することが確認された。
(4)T7エンドヌクレアーゼ1アッセイ
TALEN mRNAのマイクロインジェクション後5日間生育した仔魚のうち、コントロール群の個体から1匹、ダブルノックアウト群の個体から運動機能が低下した個体を3匹回収した。
回収したサンプルから、Dneasy blood & tissue mini kit(商品名、Qiagen社製)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAを鋳型とし、Tks Gflex DNA Polymerase(商品名、タカラバイオ社製)、並びにMYBPHa遺伝子検出用プライマー(配列番号7及び8)及びMYBPHb遺伝子検出用プライマー(配列番号9及び10)を含むPCR反応液{2×Gflex PCR buffer(商品名、タカラバイオ社製)1μL、100μM Forwardプライマー0.1μL、100μM Reverseプライマー0.1μL、dH2O 23μL、Tks Gflex DNA Polymerase(商品名、タカラバイオ社製)1μL}を用いてPCRを行い、MYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子の第1エキソン周辺を増幅した。PCR条件は、(94℃1分)→(98℃10秒→MYBPHa:54℃/MYBPHb:58℃ 15秒→68℃1分20秒)×38サイクル→68℃3分→4℃とした。
得られたPCR産物をQIAquick PCR Purification Kit(Qiagen社製)を用いて精製した。精製したPCR産物200ngを含むT7エンドヌクレアーゼ1反応液{10×NEB2 Buffer(NEW ENGLAND BioLabs社製)1.9μL、(dH2O+サンプル溶液):17.1μL}を調製し、95℃10分→(95℃から85℃まで-2℃/秒で冷却)→(85℃から25℃まで-0.3℃/秒で冷却)→25℃10秒→22℃のMelting反応及びre-annealing反応を行った。その後、各サンプル(19μL)にT7エンドヌクレアーゼ1(NEW ENGLAND BioLabs社製)を1μLずつ添加し、37℃15分のT7エンドヌクレアーゼ1処理を行った。
T7エンドヌクレアーゼ1処理を行ったサンプルについて、1%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い、BioDoc-It 220 Imaging System(商品名、ビーエム機器社製)を用いてDNAバンドを撮影した。その結果を図16に示す。なお図16(a)はMYBPHa遺伝子について、図16(b)はMYBPHb遺伝子についての結果をそれぞれ示す。
図16に示すように、コントロール個体から抽出したゲノムDNAには、ミスマッチのある2本鎖DNAが存在しない。すなわち、T7エンドヌクレアーゼ1によるゲノムDNAのミスマッチでの切断は起こらず、MYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子由来のバンドが複数検出されることはなかった。
一方、Talen mRNAによりMYBPHa遺伝子及びMYBPHb遺伝子をノックアウトした場合、運動機能が低下した全ての個体で2本鎖DNAにはミスマッチが存在する。そのため、ミスマッチが存在するDNAのミスマッチ部でT7エンドヌクレアーゼにより切断されるため、PCR増幅産物のバンドの他に、低分子量の小さいバンドが2本検出された。
以上のように、運動機能が低下した個体では骨格筋由来のMYBPH遺伝子の発現が抑制される。したがって、運動機能とMYBPH遺伝子の発現レベルとの間に相関性があることが確認された。
試験例7 マウスの運動試験後のヒフク筋におけるMYBPH遺伝子の発現量の測定
10週齢の雄性C57BL/6Jマウス(日本チャールズリバーより購入)に対して1週間の予備飼育を行って環境に馴化させた後、トレッドミル走行運動に慣れさせるためのトレーニングを下記の通り5日間行った。

1日目:10m/分(15分)→15m/分(15分)
2日目:10m/分(10分)→15m/分(20分)
3日目:15m/分(15分)→20m/分(15分)
4日目:15m/分(5分)→20m/分(15分)→25m/分(10分)
5日目:15m/分(5分)→20m/分(10分)→25m/分(15分)
その後、体重が等しくなるようにマウスを3群に分けた(N=4/群)。このうち2群には走行速度25m/分の走行運動を30分間行った。残りの1群は安静群とした。
運動群は運動1時間後及び6時間後に解剖し、各群のヒフク筋を採取した。
RNA抽出キット(商品名:RNeasy Fibrous Kit、QIAGEN社製)を用いて、ヒフク筋からTotal RNAを抽出した。Total RNAの品質チェックには、BioAnalyzer(Agilent technology社製)を用い、全てのサンプルのRIN(RNA integrity number)値が7.0以上でマイクロアレイに十分な品質であることを確認した。
品質チェック後のTotal RNAを用いて以下の要領でマイクロアレイを実施した。アレイスライドはAgilent社製Mouse SurePrint G3を用いた。ラベル化cRNAの調製は、Agilent社のプロトコルに従って実施した。ハイブリダイゼーション及び洗浄後のアレイスライドは、速やかに窒素充填して遮光し、北海道システム・サイエンス株式会社に依頼してスキャンを行った。
スキャン後、QC reportから全てのアレイスライドに技術的な問題がないことを確認し、データの解析を行った。解析ソフトウェアGeneSpringを用い、Agilent推奨の75%法(Scaling)で正規化を実施した。その後、運動後1時間群、運動後6時間群におけるMYBPHのシグナル値を安静群と比較した。その結果を表3に示す。
表3に示すように、マウスにトレッドミル運動を負荷すると、MYBPH遺伝子の発現量が増加した。
試験例1〜7に示すように、MYBPH又はMYBPH遺伝子の発現レベルと、運動機能との間に相関性がある。よって、MYBPH又はMYBPH遺伝子を含む本発明のマーカーは、運動機能、筋量、骨格筋細胞の分化の程度、及び筋管肥大の程度の指標とすることができる。

Claims (8)

  1. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子を含む、運動機能の評価用マーカー。
  2. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子を含む、筋量の評価用マーカー。
  3. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子を含む、骨格筋細胞の分化評価用マーカー。
  4. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子を含む、筋管肥大の評価用マーカー。
  5. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、
    測定した発現レベルに基づいて個体の運動機能を評価する、
    運動機能の評価方法。
  6. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、
    測定した発現レベルに基づいて筋量を評価する、
    筋量の評価方法。
  7. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、
    測定した発現レベルに基づいて骨格筋細胞の分化の程度を評価する、
    骨格筋細胞の分化の評価方法。
  8. 個体から採取された骨格筋由来のミオシン結合タンパク質H又はこれをコードする遺伝子の発現レベルを測定し、
    測定した発現レベルに基づいて筋管肥大の程度を評価する、
    筋管肥大の評価方法。




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