JP2017007279A - 積層体 - Google Patents

積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2017007279A
JP2017007279A JP2015127695A JP2015127695A JP2017007279A JP 2017007279 A JP2017007279 A JP 2017007279A JP 2015127695 A JP2015127695 A JP 2015127695A JP 2015127695 A JP2015127695 A JP 2015127695A JP 2017007279 A JP2017007279 A JP 2017007279A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
resin composition
less
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015127695A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6547445B2 (ja
Inventor
信之 名畑
Nobuyuki Nahata
信之 名畑
渡辺 克己
Katsumi Watanabe
克己 渡辺
雄 森田
Takeshi Morita
雄 森田
増田 幹
Miki Masuda
幹 増田
俊昭 平山
Toshiaki Hirayama
俊昭 平山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2015127695A priority Critical patent/JP6547445B2/ja
Publication of JP2017007279A publication Critical patent/JP2017007279A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6547445B2 publication Critical patent/JP6547445B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】漆黒性の高い積層体を提供すること。【解決手段】少なくとも第一層と第二層の二層を有する積層体であって、第一層のL*が30以下であり、第一層を構成する材料中、カーボンナノチューブを1質量%〜20質量%含有し、第一層の上に第二層を積層させた面方向から測定した積層体のL*が1.7以下、a*が−2.0以上2.0以下、かつb*が−2.0以上0.5以下であり、第二層がウエットコート法によって形成されてなり、第二層を構成する材料中、カーボンナノチューブを0.1質量%〜1質量%含有することを特徴とする積層体。(但し、L*、a*およびb*は、JIS Z8729で規定されるL*a*b*表色系における値を表す。)【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関する。さらに詳しくは、漆黒性が高い積層体に関する。
一般に、樹脂成形体に対して、製品デザイナーや消費者から高い意匠性を付与することが求められている。特に成形体に高級感や高い質感を付与するため青味があって、かつ黒度が高い色調、いわゆる漆黒の成形体が求められている。同様に、一般に自動車等の塗装は、車体を保護し、耐久性を向上させるためのことを目的としているが、近年は感性に訴える外観品質(塗装質感)の向上に対する要求が強くなってきている。塗装質感を向上させるには、深み感、透明感、奥行き感を強くすることが必要であり、高級感を与える塗装として漆黒感、深み感のある黒塗装に対する要求が強い。
一般に、上記のような、漆黒性の樹脂塗工物、フィルム、成形物を得るためにはカーボンブラックを樹脂溶液や固形樹脂に均一に分散させたものを使用してきた。(特許文献1,2参照)しかし、当該手段においては、明度(L*)が高い(灰色・白)方向にあり、色度(a*、b*)がプラス方向(+a*:赤、+b*:黄)となり、いわゆる「ピアノブラック」や「カラスの濡れ羽色」といった漆黒性を表現することが困難であった。
カーボンブラックを使用した成形体の色調は配合したカーボンブラックの一次粒子径により異なる傾向にある。具体的には、一次粒子径が小さなカーボンブラックを使用すると、黒度はあるが赤味の強い色調が得られる。逆に、一次粒子径の大きなカーボンブラックを使用すると、青味はあるが黒度が低下する。このように、カーボンブラックを使用した黒色の着色は黒度と青味はトレードオフの関係にあるため、青味があって、かつ黒度が高い漆黒の色調を再現することは困難であった。
また、塗装質感を向上させるために、第一層の上に、明度が0.2未満である黒色ベースカラー層と、カーボンブラックを0.1重量%を超えて10重量%以下含有する黒色カラークリア層とを形成して成る塗膜構造が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、上記従来の塗膜構造においては、十分な漆黒感を出すことが困難で、低い明度を得ることができないという問題があった。
特開2001−179176号公報 特開2004−098033号公報 特開平6−15223号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、漆黒性の高い積層体を提供することを目的とする。
本発明の積層体は、カーボンナノチューブを1質量%〜20質量%含有する第一層を形成し、その上にカーボンナノチューブを0.1質量%〜1質量%含有する第二層を形成して成る積層体であって、低い明度を得ることができ、漆黒感、深み感のある黒塗装を得ることができる。
すなわち本発明は、少なくとも第一層と第二層の二層を有する積層体であって、第一層のL*が30以下であり、第一層中、カーボンナノチューブを1質量%〜20質量%含有し、第二層の面方向から測定した積層体のL*が1.7以下、a*が−2.0以上2.0以下、かつb*が−2.0以上0.5以下であり、第二層がウエットコート法によって形成されてなり、第二層中、カーボンナノチューブを0.1質量%〜1質量%含有することを特徴とする積層体に関する。(但し、L*、a*およびb*は、JIS Z8729で規定されるL***表色系における値を表す。)
また、本発明は、第二層の波長380〜780nmにおける平均透過率が5%以上80%以下であることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、第一層の膜厚が0.5μm以上40μm以下であることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、第二層の膜厚が0.5μm以上40μm以下であることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、第一層が射出成形により形成されることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、少なくとも第一層と第二層の二層を有する積層体の製造方法であって、第一層のL*が30以下であり、第一層中、カーボンナノチューブを1質量%〜20質量%含有し、第二層の面方向から測定した積層体のL*が1.7以下、a*が−2.0以上2.0以下、かつb*が−2.0以上0.5以下であり、第二層がウエットコート法によって形成されてなり、第二層中、カーボンナノチューブを0.1質量%〜1質量%含有することを特徴とする積層体の製造方法に関する。(但し、L*、a*およびb*は、JIS Z8729で規定されるL***表色系における値を表す。)
本発明によれば、上述のとおり構成されているから、以下に述べるとおりの効果を奏し、漆黒性の高い積層体を得ることができる。第一層(a)表面での散乱、第一層(a)に含有されるカーボンナノチューブによる散乱、および樹脂自体の散乱を、第二層(b)内のカーボンナノチューブで有効に抑制、吸収することができる。また、第一層(a)と第二層(b)の双方にカーボンナノチューブを含有させることにより、層の境目前後の屈折率を緩やかに変化させることで、第一層(a)からの反射を抑制することができるため、より漆黒感、深み感のある黒色塗膜を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳しく説明する。下記の樹脂組成物とは、第一層(a)、第二層(b)、積層体(c)を形成するための分散体であり、層とは樹脂組成物により形成される、成形体である。
(1)第一層形成用樹脂組成物(a´)
第一層形成用樹脂組成物(a´)を得るには、カーボンナノチューブ、樹脂と必要に応じて分散剤、ワックス、溶媒とを、特に限定されるものではないが、例えば、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、ホモナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、フーバーマーラー、3本ロールミル、エクストルーダー(二軸押出し機)、ヘンシェルミキサー等を使用して分散処理を行うことが好ましい。
また、第一層形成用樹脂組成物(a´)を得るために高速攪拌機を使用することもできる。例えば、ホモディスパー(PRIMIX社製)、フィルミックス(PRIMIX社製)、ディゾルバー(井上製作所社製)、ハイパーHS(アシザワ・ファインテック社製)等が挙げられる。
第一層形成用樹脂組成物(a´)に用いるカーボンナノチューブを用いる。カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)でも、これらが混在するものであっても良いが、コスト面や着色効果の面から多層カーボンナノチューブ(MWCNT)であることが好ましい。また、カーボンナノチューブの側壁がグラファイト構造ではなく、アモルファス構造をもったカーボンナノチューブを用いることもできる。
カーボンナノチューブの形状は、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状の形態などいずれの形態を有するものであってもよい。具体的には、例えばグラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。これらの形態として1種または2種以上を組み合わせた形態において使用することができる。本発明は魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状以外の形態であることが好ましい。魚骨状、トランプ状の場合は、樹脂組成物・成形体の製造時に発生するせん断応力によりカップ・トランプ状グラファイトシートの積層面(x−y面)よりカーボンナノチューブの切断が起こり、樹脂中に十分なネットワーク構造を形成できず、光閉じ込め効果が減少して黒度の低下に繋がる恐れがある。コイル状の場合も同様に、製造時にその3次元構造が破壊されやすく、着色効果が低下する可能性がある。
カーボンナノチューブの繊維径は、分散の容易さや色相の観点から、1〜500nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。
カーボンナノチューブの繊維長は、分散の容易さや色相の観点から、0.1〜150μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。
カーボンナノチューブの炭素純度は、カーボンナノチューブ100質量%中、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
カーボンナノチューブは、一般的に二次粒子として存在している。この二次粒子形状は、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよく、ほぐれ易くカーボンナノチューブを直線状にしたものの集合体であっても良い。直線状のカーボンナノチューブの集合体である二次粒子は絡み合っているものと比べると分散性が良いので好ましい。
カーボンナノチューブは、表面処理を行ったものや、カルボキシル基などの官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物や金属原子、フラーレン等を内包させたカーボンナノナノチューブ等も用いることができる。
第一層形成用樹脂組成物(a´)に用いる樹脂は、天然樹脂、合成樹脂から選ばれる1種ないし2種以上を組み合わせて使用することができる。
天然樹脂としては、天然ゴム、ゼラチン、ロジン、セラック、多糖類、ギルソナイト等が挙げられる。また、合成樹脂としては、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン樹脂、合成ゴム、ポリエステル、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、フッ素系樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、シリコーン系樹、ニトロセルロース、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂のうち、耐光性の観点から第一層形成用樹脂組成物(a´)にはアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂が含まれていることが好ましい。
特に、例えば、主剤として水酸基を含有するポリオール樹脂を使用し、硬化剤がイソシアネートである2液クリア塗料(例えば、2液硬化型ウレタン塗料)が好ましい。得られる塗膜が耐候性に優れたものとなるからである。上記主剤として使用されるポリオール樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。
硬化剤として用いるイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
第一層形成用樹脂組成物(a´)としてエマルジョン塗料が用いられる場合の樹脂は水溶性樹脂が用いられる。水溶性樹脂としては、酸価が20〜70mgKOH/gで、水酸基価が20〜160mgKOH/gの水溶性樹脂が好ましく、具体的には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。水溶性樹脂として好適に用いられるポリエステル樹脂は、多価アルコール及び多塩基酸を樹脂原料として用いて得られる、酸価が20〜70mgKOH/g、好ましくは25〜60mgKOH/g、特に好ましくは30〜55mgKOH/gで、水酸基価が20〜160mgKOH/g、好ましくは80〜130mgKOH/gの水溶性樹脂である。
水溶性ポリエステル樹脂は、その樹脂原料として、通常のポリエステル樹脂を構成する多価アルコール、多塩基酸及び必要に応じ油脂類を用い、公知のエステル化反応によって容易に得ることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等が挙げられる。これらの多価アルコールは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。該多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸等を挙げることができる。これらの多塩基酸は1種用いてもよいし、2 種以上を組み合わせて用いてもよい。油脂類としては、例えば、大豆油、椰子油、サフラワー油、ぬか油、ひまし油、きり油、あまに油、トール油、及びこれから得られる脂肪酸を挙げることができる。
水溶性樹脂として好適に用いられるアクリル樹脂は、ビニル系モノマーを樹脂原料として用いて得られる、酸価が20〜70mgKOH/g、好ましくは22〜50mgKOH/g、特に好ましくは23〜40mgKOH/gで、水酸基価が20〜160mgKOH/g、好ましくは80〜150mgKOH/gの水溶性樹脂である。
水溶性アクリル樹脂は、その樹脂原料として、通常のアクリル樹脂を構成するビニル系モノマーを用いて、有機過酸化物を開始剤とする公知の溶液重合法等によって、容易に得ることができる。
ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、シクロヘキシル、ステアリル等のアルキルエステル類、アクリル酸またはメタクリル酸の2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、分子量1000以下のポリエチレングリコール等のヒドロキシアルキルエステル類、アクリル酸またはメタクリル酸のアミド類またはそれらのアルキルエーテル類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。
更に、エポキシ基を持つグリシジル(メタ)アクリレートや第3級アミノ基を含むモノマー類、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。この他、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等の芳香族モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸、またはフマル酸のモノまたはジアルキルエステル類等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、アシルパーオキシド類(例えば、過酸化ベンゾイル)、アルキルヒドロパーオキシド類(例えば、t−ブチルヒドロパーオキシド、p−メタンヒドロパーオキシド)、ジアルキルパーオキシド類(例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド)等が挙げられる。
水溶性樹脂として好適に用いられるポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートを原料として用いて得られる、酸価が20〜70mgKOH/g、好ましくは22〜50mgKOH/g、特に好ましくは23〜35mgKOH/gで、水酸基価が20〜160mgKOH/g、好ましくは25〜50mgKOH/gの水溶性樹脂である。
水溶性ポリウレタン樹脂は、その樹脂原料として、通常のポリウレタン樹脂を構成するポリオールとポリイソシアネートを用いて、付加重合することによって、容易に得ることができる。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。また、ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
水溶性のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等は、通常、塩基性物質で中和することにより水溶性が付与される。この際、塩基性物質は、水溶性樹脂に含まれている酸性基の40モル%以上を中和するのに必要な量を用いることが好ましい。上記の塩基性物質としては、例えば、アンモニア、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モルホリン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
水溶性樹脂の数平均分子量は特に制限ないが、通常500〜50000が好ましく、800〜25000がより好ましく、1000〜12000が特に好ましい。
また、第一層形成用樹脂組成物(a´)を得るために、UV硬化性樹脂を使用できる。代表的なものとしては、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が使用できる。不飽和アクリル系化合物としては、アクリル系またはメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物であって、プロピレン(またはブチレン、エチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の単量体または分子量10,000以下のオリゴエステルが例示される。具体的には、例えば特殊アクリレート(2官能)のアロニックスM−210,アロニックスM−215,アロニックスM−220,アロニックスM−233,アロニックスM−240,アロニックスM−245;(3官能)のアロニックスM−305,アロニックスM−309,アロニックスM−310,アロニックスM−315,アロニックスM−320,アロニックスM−325,および(多官能)のアロニックスM−400(東亜合成株式会社製)などが例示できる。
また、第一層形成用樹脂組成物(a´)を得るために熱可塑性樹脂を用いてもよい。例としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリスチレン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・EPDM・スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、メタクリル樹脂、エチレン・メチルメタクリレートコポリマー樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ4フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、ポリ3フッ化塩化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン12、ナイロン6,T、ナイロン9,T、芳香族ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリフロロアルコキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、生分解樹脂、バイオマス樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂2種以上を共重合させたものであっても良い。
また、生分解樹脂、バイオマス樹脂も用いることができる。生分解樹脂は単にプラスチックがバラバラになることではなく、微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質を持った樹脂であり、その原料は有機資源由来の物質ある必要性が無い樹脂を示す。一方、バイオマス樹脂とは有機資源由来の物質からなる樹脂で生分解性を有さなくても良い樹脂を示す。生分解樹脂、バイオマス樹脂の両方に属する樹脂も多い。具体的にはポリ乳酸、ポリカプロラクトン、または脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールとを原料として得られる脂肪族ポリエステル系樹脂の他、微生物または植物より合成されたポリエステル樹脂等が挙げられる。特にポリ乳酸が好ましい。
分散剤としては、界面活性剤または樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性に分類され、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。好ましくは、樹脂型分散剤である。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、具体的には脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが挙げられる。
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類があり、具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩などが挙げられる。
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテルなどが挙げられ、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等などが挙げられる。
界面活性剤の選択に際しては1種類に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤など、2種以上の界面活性剤を併用して使用することも可能である。その際の配合量は、それぞれの活性剤成分に対して前述した配合量とすることが好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の併用が良く、アニオン性界面活性剤としては、ポリカルボン酸塩、ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン;ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル;不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物;ポリエステル系樹脂、変性ポリアクリレート系樹脂、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系樹脂等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
上記分散剤のうち少量の添加量で分散組成物の粘度が低くなり、高い分光透過率を示すという理由から、ポリカルボン酸のような酸性官能基を有する樹脂型分散剤が好ましい。樹脂型分散剤は、カーボンナノチューブに対して3〜300質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5〜100質量%程度使用することがより好ましい。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等;日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;BASFジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等;味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
第一層形成用樹脂組成物(a´)に用いるワックスとしては、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、サゾールワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、シュラックワックス等から選ばれる1種類または2種類以上であることが好ましい。これらの中でもポリエチレン系ワックスまたはポリプロピレン系ワックスがより好ましい。
第一層形成用樹脂組成物(a´)に必要に応じて用いる溶媒は特に限定されるものではなく、水、有機溶媒のいずれも用いることができる。
有機溶媒としては、沸点が50〜250℃の有機溶媒が、塗工時の作業性や硬化前後の乾燥性の点から用いやすい。具体的な溶媒の例としては、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、ブチルジグリコールアセテート、MEKなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP)等のエステル系溶媒、ジブチルエーテル、エチレングリコール、モノブチルエーテル等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、ソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製)などの芳香族系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒などを用いることができる。これらの溶媒は、単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、前記溶媒のほかにも、必要に応じて、例えば顔料、濡れ浸透剤、皮張り防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、防腐剤、防カビ剤、粘度調整剤、pH調整剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
(2)第一層(a)
第一層(a)は第一層形成用樹脂組成物(a´)を使用して得た層であり、第一層を構成する材料中、カーボンナノチューブを1質量%〜20質量%を含むものである。第一層(a)をカラーベース層(a)と呼ぶことがある。基材の上に第一層(a)が形成されていてもよい。
カーボンナノチューブは1質量%〜20質量%含有し、5質量%〜10質量%含有することが好ましい。この範囲内であれば、優れた漆黒性が得られる。
基材としては、特に限定されるものではなく、鉄、アルミニウム、銅またはこれらの合金などの金属類、ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン―酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネード樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種フィルム、FRP等のプラスチック材料、木材、繊維材料(紙、布等)等の天然または合成材料等が挙げられる。
第一層(a)を形成する方法としては、形成する物質により最適な方法を選択すれば良く、加熱硬化、真空蒸着、EB蒸着、スパッタ蒸着などのドライ法、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法等、一般的な方法を挙げることができる。
第一層(a)の膜厚は、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。さらに、40μm以下であることが好ましい。0.5μm以上ならば、隠蔽性が十分に得られる。40μm以下であれば、硬化スピード等の実用性に優れる。
第一層(a)のL*は、JIS Z8729で規定されるL***表色系における値であって、30以下であり、10以下が好ましい。第一層(a)のL*は、基材上に積層された第一層の面方向から色差計を用いて測定できる。特に斯かる範囲であれば、漆黒性に優れた積層体(c)が得られる。L*が小さい程、黒度が高い(明度が低い)ことを示す。
(3)第二層形成用樹脂組成物(b´)
第二層形成用樹脂組成物(b´)を得るには、カーボンナノチューブと樹脂、必要に応じて分散剤、溶媒を、特に限定されるものではないが、例えば、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、ホモナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、フーバーマーラー、3本ロールミル、エクストルーダー等を使用して分散処理を行うことが好ましい。必要に応じて、分散剤や添加剤を加えても良い。
第二層形成用樹脂組成物(b´)に用いるカーボンナノチューブは、第一層形成用樹脂組成物(a´)に用いられるカーボンナノチューブと同様のものが用いられる。
第二層形成用樹脂組成物(b´)に用いる樹脂としては、第一層形成用樹脂組成物(a´)に用いられる樹脂と同様のものが用いられる。
特に、例えば、主剤として水酸基を含有するポリオール樹脂を使用し、硬化剤がイソシアネートである2液クリア塗料(例えば、2液硬化型ウレタン塗料)が好ましい。得られるクリア塗膜の外観が良好で、耐酸性に優れたものとなるからである。上記主剤として使用されるポリオール樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。
硬化剤として用いるイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
第二層形成用樹脂組成物(b´)に用いる分散剤としては、第一層形成用樹脂組成物(a´)に用いる分散剤と同様のものが用いられる。
第二層形成用樹脂組成物(b´)に用いる溶媒は、特に限定されるものではなく、水、有機溶媒のいずれも用いることができる。有機溶媒としては第一層形成用樹脂組成物(a´)に用いられる有機溶媒と同様のものが用いられる。
第二層形成用樹脂組成物(b´)は、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤などを適宜添加でき、また着色顔料、メタリック顔料および雲母などの干渉模様顔料などを該塗膜の透明性が阻害されない程度に配合できる。
(4)第二層(b)
第二層(b)は、第二層形成用樹脂組成物(b´)を使用して得た層であり、カーボンナノチューブを0.1質量%〜1質量%含有するものである。第二層(b)をカラークリア層(b)と呼ぶことがある。
第二層(b)を第一層(a)上に形成する方法としては、形成する物質により最適な方法を選択すれば良く、加熱硬化、真空蒸着、EB蒸着、スパッタ蒸着などのドライ法、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等を挙げることができる。
第二層(b)の波長380〜780nmにおける平均透過率は5〜80%であることが好ましく、10〜30%であることがさらに好ましい。特に斯かる範囲であれば、漆黒性に優れた積層体(c)が得られる。
第二層(b)の膜厚は、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。さらに、40μm以下であることが好ましい。0.5μm以上であれば、第二層(b)内のカーボンナノチューブで散乱光を有効に抑制、吸収することができる。40μm以下であれば、第二層(b)で入射光を完全に隠蔽することなく、積層体としての効果が十分に得られる。
(5)積層体(c)
本発明の積層体(c)は少なくとも第一層(a)と第二層(b)の二層から構成される。第一層(a)と第二層(b)との間に他の層が設けられていてもよい。
また、積層体(c)は基材の上に第一層(a)が形成されていてもよい。
基材としては、特に限定されるものではなく、鉄、アルミニウム、銅またはこれらの合金などの金属類、ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン―酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネード樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂エポキシ樹脂等の樹脂類や各種フィルム、FRP等のプラスチック材料、木材、繊維材料(紙、布等)等の天然または合成材料等が挙げられる。
本発明の積層体(c)の形成方法では、第一層(a)に対し直接第二層(b)が形成されるが、積層体(c)が自動車車体および部品の場合は予め化成処理、電着塗装等による下塗り塗装、中塗り塗装等を施しておくことが好ましい。この中塗り塗装は、下地の隠ぺい、耐チッピング性の付与および上塗りとなる第一層(a)との密着性確保のために塗膜を形成するものである。
本発明の積層体(c)の形成方法において、第一層(a)を加熱硬化させることなく第二層(b)を形成し、その後塗膜を加熱硬化させる方法(ウェットオンウェット法)、および、第一層(a)を加熱硬化させ、次に第二層(b)を加熱硬化させる方法(ウェットオンドライ法)のどちらも適用可能である。
積層体(c)のJIS Z8729に基づいたL*,a*,b*表色系におけるL*は1.7以下であり、0.7以下であることがより好ましい。また、a*は−2.0以上2.0以下であり、b*は−2.0以上0.5以下であり、−2.0以上0以下であることが好ましく、−2.0以上−1.0以下であることがより好ましい。特に斯かる範囲であれば、漆黒性に優れた積層体(c)が得られる。L*が小さい程、黒度が高い(明度が低い)ことを示す。a*とb*はゼロ(0)に近い値である程、黒い色相であるといえる。また、b*がマイナスである程、青味(青色)が強い色相であるといえる。したがって、漆黒性という観点では、若干青味(青色)を有する黒色である場合が、漆黒性が高いと考えられるため、上記の数値範囲が好ましいと考えられる。
グロスメーターGM−26D(村上色彩研究所製)の60°グロスにおいて、グロス値は80以上であることが好ましく、85以上であることがさらに好ましい。特に斯かる範囲であれば、光沢によりL*を小さくできるため、漆黒性に優れた積層体(c)が得られる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施例中で単に「%」と記載した場合は「質量%」を指すものとする。
<第一層形成用樹脂組成物の作製例>
(作製例1)
<第一層形成用樹脂組成物(A1)>
カーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000、MWCNT、繊維長1.5μm、繊維径9.5nm、炭素純度90%)1.2g、樹脂としてアクリル系樹脂(DIC社製、アクリディック47−712)90.8g、溶媒としてソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製)8.1g、トルエン12.2g、キシレン12.2g、酢酸ブチル8.1gを445cm3のガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて1時間分散を行い、次いでメラミン樹脂(DIC社製、スーパーベッカミンL−117−60)22.3gを加え10分間分散を行い、固形分中のカーボンナノチューブ含有量が2%である第一層形成用樹脂組成物(A1)を得た。
(作製例2〜3)
<第一層形成用樹脂組成物(A2〜A3)>
表1に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例1と同様の方法により、それぞれ第一層形成用樹脂組成物(A2〜A3)を作製した。
(作製例4)
<第一層形成用樹脂組成物(A4)>
樹脂としてブロックポリプロピレン共重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロ966HP)1000gと、カーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000、MWCNT、繊維長1.5μm、繊維径9.5nm、炭素純度90%)52.6gと、ポリエチレンワックス(三洋化成工業、サンワックス151P、溶融粘度=130mPa・s)1gをヘンシェルミキサーに投入し、撹拌羽回転速度300rpmで4分間撹拌、・混合した。これを、設定温度220℃の二軸押出機(日本製鋼社製、TEX30α)に投入して溶融混練・造粒することにより第一層形成用樹脂組成物(A4)を得た。
(作製例5)
<第一層形成用樹脂組成物(A5)>
カーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000、MWCNT、繊維長1.5μm、繊維径9.5nm、炭素純度90%)3g、樹脂として水性2液ウレタン塗料用樹脂アクリルポリオール(DIC社製、バーノックWE−300)68.5g、溶媒として精製水150gを445cm3のガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて1時間分散を行い、次いでイソシアネート(DIC社製、バーノックDNW−5500)30.4gを加え10分間分散を行い、第一層形成用樹脂組成物(A5)を得た。
(作製例6)
<第一層形成用樹脂組成物(A6)>
カーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000、MWCNT、繊維長1.5μm、繊維径9.5nm、炭素純度90%)1.05g、樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学社製、JER4250)をブチルカルビトールアセテートに溶解し不揮発分40%に調整したエポキシ樹脂溶液50gをフーバーマーラーで荷重150lb(=667N)、回転速度100rpmの条件で3回練り分散を行い、第一層形成用樹脂組成物(A6)を得た。
(作製例7)
<第一層形成用樹脂組成物(A7)>
カーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000、MWCNT、繊維長1.5μm、繊維径9.5nm、炭素純度90%)3.0g、樹脂としてアクリルポリオール樹脂(DIC社製アクリディックA−801−P)85.3g、溶媒としてトルエン:酢酸ブチルの質量比7:3の混合溶媒88.4g、ジルコニアビーズ150gを445cm3ガラス瓶に計量し、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて1時間分散を行い、次いでイソシアネート樹脂(DIC社製バーノックDN−950)19.1gを加え10分間分散を行い、第一層形成用樹脂組成物(A7)を得た。
(作製例8)
<第一層形成用樹脂組成物(A8)>
カーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000、MWCNT、繊維長1.5μm、繊維径9.5nm、炭素純度90%)3.0g、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亜合成社製、アロニックスM−220)41.0g、ポリエステルアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、Ebecryl812)10.3g、シクロヘキサンノン12.5g、光重合開始剤(BASFジャパン社製、イルガキュア907)5.7gをフーバーマーラーで荷重150lb(=667N)、回転速度100rpmの条件で3回練り、第一層形成用樹脂組成物(A8)を得た。
(作製例9)
<第一層形成用樹脂組成物(A9)>
樹脂としてポリエステル樹脂(バイロンGK−130、東洋紡(株)製)をメチルエチルケトン/トルエン=50/50(質量比)の混合溶液で溶解し、不揮発分40%のポリエステル樹脂溶液を得た。次に、カーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000、MWCNT、繊維長1.5μm、繊維径9.5nm、炭素純度90%)3.0g、樹脂として上記のポリエステル樹脂溶液142g、溶媒としてメチルエチルケトン/トルエン=50/50(質量比)の混合溶液50gをフーバーマーラーで荷重150lb(=667N)、回転速度100rpmの条件で3回練り、第一層形成用樹脂組成物(A9)を得た。
<第一層形成用樹脂組成物(A10)>
カーボンナノチューブ(CNano社製、Flotube9000、MWCNT、繊維長10μm、繊維径12.5nm、炭素純度96.5%)3.0g、樹脂としてアクリル系樹脂(DIC社製、アクリディック47−712)90.8g、溶媒としてソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製)8.1g、トルエン12.2g、キシレン12.2g、酢酸ブチル8.1gを445cm3のガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて1時間分散を行い、次いでメラミン樹脂(DIC社製、スーパーベッカミンL−117−60)22.3gを加え10分間分散を行い、第一層形成用樹脂組成物(A10)を得た。
<第一層形成用樹脂組成物(A11)>
カーボンナノチューブ(SouthWest NanoTechnologies社製、SMW210、MWCNT、繊維長5μm、繊維径10nm、炭素純度75%)3.0g、樹脂としてアクリル系樹脂(DIC社製、アクリディック47−712)90.8g、溶媒としてソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製)8.1g、トルエン12.2g、キシレン12.2g、酢酸ブチル8.1gを445cm3のガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて1時間分散を行い、次いでメラミン樹脂(DIC社製、スーパーベッカミンL−117−60)22.3gを加え10分間分散を行い、第一層形成用樹脂組成物(A11)を得た。
<第一層形成用樹脂組成物(A12)>
カーボンナノチューブの代わりにカーボンブラック(デグサ社製、COLOR Black FW−200)3.0g、樹脂としてアクリル系樹脂(DIC社製、アクリディック47−712)90.8g、溶媒としてソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製)8.1g、トルエン12.2g、キシレン12.2g、酢酸ブチル8.1gを445cm3のガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて1時間分散を行い、次いでメラミン樹脂(DIC社製、スーパーベッカミンL−117−60)22.3gを加え10分間分散を行い、第一層形成用樹脂組成物(A12)を得た。
<第一層形成用樹脂組成物(A13)>
カーボンナノチューブの代わりにカーボンブラック(三菱化学社製、MA−100)3.0g、樹脂としてアクリル系樹脂(DIC社製、アクリディック47−712)90.8g、溶媒としてソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製)8.1g、トルエン12.2g、キシレン12.2g、酢酸ブチル8.1gを445cm3のガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて1時間分散を行い、次いでメラミン樹脂(DIC社製、スーパーベッカミンL−117−60)22.3gを加え10分間分散を行い、第一層形成用樹脂組成物(A13)を得た。
[第一層形成用樹脂組成物から得られる第一層のL*の測定方法]
第一層形成用樹脂組成物(A1〜A3、A5〜A7、A9〜A13)について、PETフィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第一層形成用樹脂組成物(A1〜A3、A5〜A7、A9〜A13)を乾燥後の膜厚が20μmとなるようにバーコーターを用いて塗工後、電気オーブン中で150℃±5℃にて60分間乾燥させ、基材上に層を作製し、層が積層された面方向から、色差計(NIPONDENSHOKU社製、SpectroColorMeterSE2000)を用いてJIS Z8729で規定される明度(L*)を測定した。
第一層形成用樹脂組成物(A4)について、シリンダー設定温度220℃、金型温度40℃の射出成型機(名機製作所社製、M−50A2−DM)に投入して成形し、表面が鏡面の板材(縦110mm×横90mm×厚さ2mm)の層を作製し、同様にL*を測定した。
第一層形成用樹脂組成物(A8)について、PETフィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第一層形成用樹脂組成物(A8)を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工後、電気オーブン中で150±5℃にて60分間乾燥させ、コンベア型紫外線照射器(アイグラフィックス株式会社製、ECS−4011GX)を使用して紫外線を照射し硬化させ基材上に層を形成し、同様にL*を測定した。
表1に、作製例1〜13で作製した第一層形成用樹脂組成物の作製条件と評価結果を示す。
Figure 2017007279
<第二層形成用樹脂組成物の作製例>
(作製例14〜16)
<第二層形成用樹脂組成物(B1〜B3)>
表2に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例1と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B1〜B3)を作製した。
(作製例17)
<第二層形成用樹脂組成物(B4)>
表2に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例5と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B4)を作製した。
(作製例18)
<第二層形成用樹脂組成物(B5)>
表2に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例6と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B5)を作製した。
(作製例19)
<第二層形成用樹脂組成物(B6)>
表2に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例7と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B6)を作製した。
(作製例20)
<第二層形成用樹脂組成物(B7)>
表2に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例8と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B7)を作製した。
(作製例21)
<第二層形成用樹脂組成物(B8)>
表2に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例10と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B8)を作製した。
(作製例22)
<第二層形成用樹脂組成物(B9)>
表2に示した通りのカーボンナノチューブの含有量に変更した以外は、作製例11と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B9)を作製した。
(作製例23)
<第二層形成用樹脂組成物(B10)>
表2に示した通りのカーボンブラックの含有量に変更した以外は、作製例12と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B10)を作製した。
(作製例24)
<第二層形成用樹脂組成物(B11)>
表2に示した通りのカーボンブラックの含有量に変更した以外は、作製例13と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B11)を作製した。
(作製例25〜26)
<第二層形成用樹脂組成物(B12〜B13)>
表2に示した通りのカーボンブラックの含有量に変更した以外は、作製例12と同様の方法により、それぞれ第二層形成用樹脂組成物(B12〜B13)を作製した。
[第二層形成用樹脂組成物から得られる第二層の平均透過率の測定方法]
第二層形成用樹脂組成物(B1〜B6、B8〜B11)について、PETフィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第二層形成用樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で150℃±5℃にて60分間乾燥させて層を形成した。
紫外可視近赤外分光光度計(日立製作所社製、UV−3500)を用い、基材に層を形成した面から波長300〜1500nmにおける透過スペクトルを5nmの範囲で測定し、波長380〜780nmの各透過率の加重平均値を求め、基材のみの値を差し引くことで平均透過率とした。
第二層形成用樹脂組成物(B7)について、PETフィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第二層形成用樹脂組成物(B7)を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工後、電気オーブン中で150±5℃にて60分乾燥させ、コンベア型紫外線照射器を使用して紫外線を照射し硬化させ基材上に層を作製し、同様に平均透過率を算出した。
表2に、作製例14〜26で作製した第二層形成用樹脂組成物の作製条件と評価結果を示す。
Figure 2017007279
(実施例1)
PETフィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第一層形成用樹脂組成物(A1)を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工後、電気オーブン中で150±5℃にて60分乾燥させ、基材上に第一層を形成した。前述の方法により第一層のL*を測定した。次いで、形成した第一層の面上に、第二層形成用樹脂組成物(B2)を乾燥後の膜厚が20μmとなるようにエアスプレーを用いてウエットコート法によって形成し、得られた塗膜面を電気オーブン中で150±5℃にて20分間乾燥させ、第一層上に第二層を形成させた積層体(C1)を作製した。
(実施例2〜3)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、積層体(C2〜C3)を作製した。
(実施例4)
第一層形成用樹脂組成物(A4)を、シリンダー設定温度220℃、金型温度40℃の射出成型機(名機製作所社製、M−50A2−DM)に投入して成形し、表面が鏡面の板材(縦110mm×横90mm×厚さ2mm)の第一層を作製した。前述の方法により第一層のL*を測定した。第一層に、第二層形成用樹脂組成物(B2)を乾燥後の膜厚が20μmとなるようにエアスプレーを用いてウエットコート法によって形成し、得られた塗膜面を電気オーブン中で150±5℃にて20分乾燥させ、第一層上に第二層を形成させ、積層体(C4)を作製した。
(実施例5〜7)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、それぞれ積層体(C5〜C7)を作製した。
(実施例8)
PETフィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第一層形成用樹脂組成物(A8)を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工後、電気オーブン中で150±5℃にて60分乾燥させ、コンベア型紫外線照射器を使用して紫外線を照射し硬化させ基材上に第一層を形成した。前述の方法により第一層のL*を測定した。第一層に、第二層形成用樹脂組成物(B2)を乾燥後の膜厚が20μmとなるようにエアスプレーを用いてウエットコート法によって形成し、得られた塗膜面を電気オーブン中で150±5℃にて20分乾燥させ、第一層上に第二層を形成させ、積層体(C8)を作製した。
(実施例9〜16)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、それぞれ積層体(C9〜C16)を作製した。
(実施例17)
PETフィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第一層形成用樹脂組成物(A2)を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工後、電気オーブン中で150±5℃にて60分乾燥させ、基材上に第一層を形成した。前述の方法により第一層のL*を測定した。第一層に、第二層形成用樹脂組成物(B7)を乾燥後の膜厚が20μmとなるようにエアスプレーを用いてウエットコート法によって形成し、電気オーブン中で150±5℃にて60分乾燥させ、コンベア型紫外線照射器を使用して紫外線を照射し硬化し、第一層上に第二層を形成させ、積層体(C17)を作製した。
(実施例18〜19)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、それぞれ積層体(C18〜C19)を作製した。
(実施例20)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせで、第一層の膜厚を10μmに変更した以外は実施例1と同様の方法により、積層体(C20)を作製した。
(実施例21)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせで、第一層の膜厚を40μmに変更した以外は実施例1と同様の方法により、積層体(C21)を作製した。
(実施例22)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせで、第二層の膜厚を10μmに変更した以外は実施例1と同様の方法により、積層体(C22)を作製した。
(実施例23)
表3に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせで、第二層の膜厚を40μmに変更した以外は実施例1と同様の方法により、積層体(C23)を作製した。
(比較例1〜6)
表4に示した通りの第一層形成用樹脂組成物と第二層形成用樹脂組成物との組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、それぞれ積層体(C24〜C29)を作製した。
これらの積層体についての評価方法は、次の通りである。
[漆黒性の評価]
漆黒性の評価の基準は、上記積層体(c)のL*が0.7未満のものを◎、L*が0.7以上1.7未満のものを○、L*が1.7以上2.5未満のものを△、L*が2.5以上のものを×とした。さらにb*が−1.0未満のものには+(プラス)、−1.0以上のものには−(マイナス)を付け評価した。
[L***の測定方法]
積層体(c)について、第二層が積層された面方向から、色差計(NIPONDENSHOKU社製、SpectroColorMeterSE2000)を用いてJIS Z8729で規定される明度(L*)および色度(a*、b*)を測定した。
[光沢の評価方法]
グロスメーターGM−26D(村上色彩研究所製)で60°グロスを測定し、グロス値の大きいものほど光沢があり良好である。
表3に実施例1〜23で作製した積層体の作製条件と評価結果を示す。また、前述の方法により測定した第一層のL*および第二層の平均透過率を併せて示す。
Figure 2017007279
表4に比較例1〜6で作製した積層体の作製条件と評価結果を示す。また、前述の方法により測定した第一層のL*および第二層の平均透過率を併せて示す。
Figure 2017007279
以上の結果から、第一層(a)および第二層(b)にカーボンナノチューブを所定範囲で含有させることによって、漆黒性の高い積層体が得られることが判明した。
実施形態の積層体の構成を示す図である。

Claims (6)

  1. 少なくとも第一層と第二層の二層を有する積層体であって、第一層のL*が30以下であり、第一層中、カーボンナノチューブを1質量%〜20質量%含有し、第二層の面方向から測定した積層体のL*が1.7以下、a*が−2.0以上2.0以下、かつb*が−2.0以上0.5以下であり、第二層がウエットコート法によって形成されてなり、第二層中、カーボンナノチューブを0.1質量%〜1質量%含有することを特徴とする積層体。(但し、L*、a*およびb*は、JIS Z8729で規定されるL***表色系における値を表す。)
  2. 第二層の波長380〜780nmにおける平均透過率が5%以上80%以下であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 第一層の膜厚が0.5μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 第二層の膜厚が0.5μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の積層体。
  5. 第一層が射出成形により形成されることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の積層体。
  6. 少なくとも第一層と第二層の二層を有する積層体の製造方法であって、第一層のL*が30以下であり、第一層中、カーボンナノチューブを1質量%〜20質量%含有し、第二層の面方向から測定した積層体のL*が1.7以下、a*が−2.0以上2.0以下、かつb*が−2.0以上0.5以下であり、第二層がウエットコート法によって形成されてなり、第二層中、カーボンナノチューブを0.1質量%〜1質量%含有することを特徴とする積層体の製造方法。(但し、L*、a*およびb*は、JIS Z8729で規定されるL***表色系における値を表す。)
JP2015127695A 2015-06-25 2015-06-25 積層体 Active JP6547445B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015127695A JP6547445B2 (ja) 2015-06-25 2015-06-25 積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015127695A JP6547445B2 (ja) 2015-06-25 2015-06-25 積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017007279A true JP2017007279A (ja) 2017-01-12
JP6547445B2 JP6547445B2 (ja) 2019-07-24

Family

ID=57762682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015127695A Active JP6547445B2 (ja) 2015-06-25 2015-06-25 積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6547445B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6376503B1 (ja) * 2017-12-13 2018-08-22 東洋インキScホールディングス株式会社 印刷用インキおよび印刷物
JP2019150986A (ja) * 2018-03-01 2019-09-12 尾池工業株式会社 漆黒調積層体

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014015037A (ja) * 2012-06-11 2014-01-30 Kobe Steel Ltd 薄膜黒色塗装金属板
JP2015085561A (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 株式会社神戸製鋼所 黒色塗装金属板

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014015037A (ja) * 2012-06-11 2014-01-30 Kobe Steel Ltd 薄膜黒色塗装金属板
JP2015085561A (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 株式会社神戸製鋼所 黒色塗装金属板

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6376503B1 (ja) * 2017-12-13 2018-08-22 東洋インキScホールディングス株式会社 印刷用インキおよび印刷物
JP2019104840A (ja) * 2017-12-13 2019-06-27 東洋インキScホールディングス株式会社 印刷用インキおよび印刷物
JP2019150986A (ja) * 2018-03-01 2019-09-12 尾池工業株式会社 漆黒調積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP6547445B2 (ja) 2019-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016013162A1 (ja) 積層体およびその製造方法
JP6898858B2 (ja) 複層塗膜及び複層塗膜の形成方法
JP6131517B1 (ja) 艶消し被覆組成物、化粧材及びその製造方法
CN106457800B (zh) 树脂组合物、层叠体和层叠体的制造方法
JP6648446B2 (ja) 積層体およびその製造方法
JP6891520B2 (ja) 積層体
DE102016217348B4 (de) Farbverschiebungsmaterial zum dreidimensionalen drucken, dreidimensionales produkt und verfahren zum dreidimensionalen drucken
JP2017007279A (ja) 積層体
JP4292020B2 (ja) 意匠性塗膜、意匠性塗膜形成方法および意匠性塗料組成物
JP6468108B2 (ja) 樹脂組成物、積層体及び積層体の製造方法
JP6468103B2 (ja) 積層体
JP2001232283A (ja) 光輝性塗膜形成方法および塗装物
JP2006297225A (ja) 陶磁器調色調塗膜形成方法および陶磁器調色調塗装物
JP2001232285A (ja) 光輝性複層塗膜の形成方法および塗装物
JP2017007195A (ja) 積層体
JP2006297183A (ja) 光輝性塗膜形成方法および光輝性塗装物
WO2024116914A1 (ja) 塗料組成物
JP6897518B2 (ja) 樹脂組成物および積層体
JP2001232282A (ja) 光輝性塗膜形成方法および塗装物
JP2009142822A (ja) 光輝性塗膜形成方法および塗装物
JP2022018994A (ja) 積層体およびカーボンナノチューブ樹脂組成物
JP2007222735A (ja) 複合塗膜および複合塗膜形成方法、塗装物品
JP2001164197A (ja) 光輝性塗料組成物、塗膜形成方法および塗装物
JP2024077262A (ja) 塗料組成物
JP2003206444A (ja) 光輝性塗料組成物、塗膜形成方法および塗装物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180409

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20180703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180703

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181218

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190610

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6547445

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350