JP2017005332A - 巡回型ad変換器、並びに巡回型ad変換器用のデジタル補正器及びその方法 - Google Patents

巡回型ad変換器、並びに巡回型ad変換器用のデジタル補正器及びその方法 Download PDF

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Toshihisa Watabe
俊久 渡部
川人 祥二
Shoji Kawahito
祥二 川人
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Abstract

【課題】巡回型AD変換器で発生する誤差に基づいた誤差係数を自動的、且つ所望のタイミングで計測可能とする巡回型AD変換器、並びに巡回型AD変換器用のデジタル補正器及びその方法を提供する。【解決手段】本発明の巡回型AD変換器1は、巡回型AD変換のための複数のキャパシタCs1,Cs2,Cf及びオペアンプ12、並びにサブAD変換器13と、デジタル出力コードを基に巡回型AD変換のための電圧値を生成するDAC11と、DAC11を制御するDAC制御クロック発生部14と、動作フェーズを切り替え制御するスイッチSR,SS,S0,S1,S2,S3と、発生する誤差の誤差係数の計測モードの回路構成となるよう切り替え可能なスイッチ群SX,SERと、を備える。本発明のデジタル補正器及びその方法は、巡回型AD変換器1に対してスイッチ群SP,SMS,SN,SX,SERを切り替え指示してデジタル補正する。【選択図】図1

Description

本発明は、巡回型アナログ・デジタル変換器(Cyclic Analog- Digital Converter)の技術に関し、特に、高フレームレートで超高精細のイメージセンサ用の巡回型アナログ・デジタル(AD)変換器、並びに巡回型AD変換器用のデジタル補正器及びその方法に関する。
従来、CMOSイメージセンサに巡回型AD変換器が用いられることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特に、近年では、高フレームレートで超高精細のイメージセンサとして、フレームレート120Hzで動作する3300万画素のCMOSイメージセンサの研究開発が行われている(例えば、非特許文献2〜4参照)。
例えば、非特許文献2に開示されるフレームレート120Hzで動作する3300万画素のCMOSイメージセンサでは、1水平走査期間が約1.9μsと短く、その列ごとに配置されるAD変換器には、この期間内に12ビットの変換を行う高速性が求められる。また、当該CMOSイメージセンサでは、そのAD変換器を約8000列に配置することとなるため、低消費電力化も重要な技術課題となっている。これらを満たすAD変換器として、非特許文献2では、2段巡回型AD変換器が提案されている。
ここで、より具体的に、図12に示す従来技術における1段構成の巡回型AD変換器について説明し、次に当該1段構成の巡回型AD変換器を2段縦列接続した図14に示す2段巡回型AD変換器と、この2段巡回型AD変換器を適用した当該CMOSイメージセンサの動作タイミングについて簡潔に説明する。
(1段構成の巡回型AD変換器)
まず、図12に示すように、1段構成の巡回型AD変換器1は、スイッチS,S,SMSを有するデジタル・アナログ変換器(DAC:Digital-Analog Converter)11と、1つのオペアンプ(演算増幅器)12と、2段のキャパシタC(C=Cs1+Cs2),Cと、後述する各動作フェーズを切り替え可能とするスイッチS,S,S,S,S,Sと、サブAD変換器(Sub-ADC)13と、DAC制御クロック発生部14と、フェーズ制御クロック発生部15とを備えるよう構成されている。尚、各スイッチは、スイッチトランジスタを用いてオン/オフ制御可能に構成される。DAC制御クロック発生部14は、サブAD変換器(Sub-ADC)13のデジタル出力コードDを基にDAC11を制御するために、スイッチS,SMS,Sを制御する各クロックΦ,ΦMS,Φを発生するよう構成されている。また、フェーズ制御クロック発生部15は、各動作フェーズを制御するために、スイッチS,S,S,S,S,Sを制御する各クロックΦ,Φ,Φ,Φ,Φ,Φを発生するよう構成されている。
図12に示す1段構成の巡回型AD変換器1は、以下に説明するように、4つの動作フェーズに分類できる。Vinはアナログ入力信号であり、VRL,VRHはそれぞれ下限及び上限を定める基準電源の入力端子であり、VCOMは仮想接地を定める接地電源の入力端子である。
1)リセットフェーズ
AD変換動作の最初に、スイッチSをオフ、スイッチS,S,S及びSをオンするとともに、DAC11内のスイッチSMSをオンしてキャパシタCs1,Cs2のDAC11側の極板を接続し、キャパシタCs1,Cs2,Cをリセットする。
2)サンプリングフェーズ
次に、スイッチSをオフ、スイッチSをオンして、入力信号VinをサンプリングしてサブAD変換器13に入力し、{0,1/2,1}の3値によるAD変換を行う。サブAD変換器13は、サブAD変換器13内の2個の比較器(図示せず)によって、判定電圧(VRCH,VRCL)を用いて式(1)のようにデジタル出力コードDを求める。
このように2進数で3値を用いる方式は、1.5ビット冗長方式と呼ばれる。ここで、巡回型AD変換器1によるAD変換のフルスケールは基準電源VRLからVRHまでとしている。また、判定電圧(VRCH,VRCL)は、それぞれ式(2)のように表される。
3)2倍増幅フェーズ
次に、スイッチS,S及びSをオフ、スイッチSをオンするとともに、DAC11内のスイッチがサブAD変換器13の出力に基づいて2つの基準電源VRH又はVRLのいずれかをキャパシタCs1,Cs2に接続するように動作することで、入力信号VinがサンプリングされたキャパシタCs1,Cs2の一方の端子を2つの基準電源VRH又はVRLのいずれかに接続し、他方をオペアンプ12の負入力端子に接続する。これにより、オペアンプ12の出力には、入力信号値Vinの2倍からDAC11によるDA変換値が差し引かれた値が現れる。
4)フィードバックフェーズ
次に、スイッチSをオフ、スイッチS,S及びDAC11内のスイッチSMSをオンして、2倍増幅フェーズのアンプ出力を容量Cs1,Cs2の一方の端子(DAC11側) に接続してサンプリングするとともに、サブAD変換器13によってオペアンプ12の出力電圧値Voutに対して{0,1/2,1}の3値によるAD変換を行う。
3)と4)の動作を1サイクルとして所定の回数を繰り返すことにより、当該回数に応じた分解能のAD変換がなされる。いま、VRH=V,VRL=0と仮定し(このように設定しても議論の一般性は失われない)、i回目のサイクルにおけるオペアンプ12の出力をVout(i)とし、そのときのサブAD変換器13のデジタル出力コードをD(i)とすると、i回目のサイクルにおけるオペアンプ12の出力Vout(i)は、式(3)のように表すことができる。
ここで、C=Cs1+Cs2である。このとき、C=Cであれば、式(3)のように表すことができる。
式(4)で表される変換特性を図示すると、図13のようになる。このように1サイクルあたり出力電圧値Voutに対して{0,1/2,1}の3値のデジタル出力コードD(i)に対応するデジタル出力が得られるため、このデジタル出力コードD(i)に対応するデジタル出力は2ビット長でそれぞれ00,01,10と表すことができる。そして、N回の巡回を行うたびに、DAC11は、このデジタル出力コードD(i)が当該3値の{0}であれば「Sをオフ、S,SMSをオン」とし、デジタル出力コードD(i)が当該3値の{1/2}であれば「S,Sをオン、SMSをオフ」とし、デジタル出力コードD(i)が当該3値の{1}であれば「S,SMSをオン、Sをオフ」としてDA変換値を出力する。一般に、N−1回の巡回による冗長Nビットにより、N+1ビットの分解能のAD変換を行うことができる。
(2段巡回型AD変換器)
図14に、図12に示す巡回型AD変換器を2段縦列接続して、2段巡回型AD変換器1として構成した例を示している。尚、図14において1段目の巡回型AD変換器1aと2段目の巡回型AD変換器1bとの間で対応する構成要素には、それぞれ参照符号に添字A,B(又はa,b)を付している。この2段巡回型AD変換器1は、Nビットの分解能を、1段目の巡回型AD変換器1aで上位Mビット、2段目の巡回型AD変換器1bで下位N−Mビットに分割してAD変換するよう構成される。まず、1段目の巡回型AD変換器1aで、先に説明した動作方式にしたがって、3)と4)の動作フェーズをM−1サイクル繰り返して、上位Mビットをデジタル出力DとしてAD変換する。ここで、M−1サイクル目の3)に示した動作の間に、スイッチSSBをオンして1段目の巡回型AD変換器1aのアナログ出力と2段目の巡回型AD変換器1bの入力を接続する。このとき、2段目の巡回型AD変換器1bは2)に示した動作を行い、1段目の巡回型AD変換器1aの出力が2段目の巡回型AD変換器1bに入力、サンプルされる。この後、スイッチSSBをオフして2段目の巡回型AD変換器1bを1段目の巡回型AD変換器1aから切り離し、3)と4)のサイクルをN−M回繰り返すことで、2段目の巡回型AD変換器1bにおいて残りの下位N−Mビットをデジタル出力DとしてAD変換することができる。
(2段巡回型AD変換器を適用した当該CMOSイメージセンサの動作タイミング)
2段巡回型AD変換器1を各列に配置したCMOSイメージセンサでは、1画素の信号を1段目の巡回型AD変換器1aで上位MビットをAD変換した後、2段目の巡回型AD変換器1bで残りの下位N−MビットをAD変換するとき、1段目の巡回型AD変換器1aでは次行の画素信号が入力され、同様に上位MビットをAD変換する。このように1段目の巡回型AD変換器1aと2段目の巡回型AD変換器1bの間でパイプライン並列動作を行うことで、実効的な変換速度を高くすることができる。例えば、N=12、M=4のときの動作タイミングを図15に示している。
図15において、上記説明の1)の動作をR(リセット)、2)の動作をS(サンプル)、3)の動作をA(アンプ)、4)の動作をF(フィードバック)と表している。また、“R”,“S”に並んで表記する1〜12の数値は、各段の巡回型AD変換器1a,1bがAD変換するビット深度を示している。CMOSイメージセンサの画素信号は、画素信号リセットパルスによりリセット後、画素転送パルスにより出力され、1段目の巡回型AD変換器1aにおけるスイッチSのオン/オフを制御するクロックΦSAによりサンプリングされる。このサンプリングされた1段目の巡回型AD変換器1aのアナログ出力は、スイッチSのオン/オフを制御するクロックΦSBにより2段目の巡回型AD変換器1bに転送される。このとき1段目の巡回型AD変換器(1段目ADC)1aと2段目の巡回型AD変換器(2段目ADC)1bの間でパイプライン並列動作を行うことで、1段目の巡回型AD変換器1aのアナログ出力を残りの下位8ビットをAD変換するときには、1段目の巡回型AD変換器1aでは、クロックΦSAにより次行の画素信号をサンプルしAD変換しているため、実効的な変換速度を高くすることができる。
尚、非特許文献2に開示されるような高フレームレート・超高精細のCMOSイメージセンサに求められる高速、高精度、小面積という条件を満たす巡回型AD変換器や、それを2段縦続に接続した2段巡回型AD変換器において、AD変換特性の悪化をもたらすアナログ回路部で発生する誤差をAD変換後のデジタル出力コードによりデジタル領域で補正することができることも知られている(例えば、非特許文献5,6参照)。
相澤清晴・浜本隆之 編著/黒田隆男・中村淳一・高橋秀和・川人祥二・太田 淳 共著,"CMOSイメージセンサ"、映像情報メディア学会編、コロナ社、pp.169-174,2012年7月発行 渡部俊久, 他, "12ビットカラム並列サイクリックADCを用いた3300万画素120fps CMOSイメージセンサ," 映像情報メディア学会技術報告, vol. 34, No. 18, IST2013-13, CE2012-25, pp. 31-36, 2012. T. Watabe, et al., "A 33Mpixel 120fps CMOS Image Sensor Using 12b Column-Parallel Pipelined Cyclic ADCs," ISSCC Dig. Tech Papers, pp.388-389, 2012. K. Kitamura, et al., "A 33-Megapixel 120-Frames-Per-Second 2.5-Watt CMOS Image Sensor With Column-Parallel Two-Stage Cyclic Analog-to-Digital Converters," IEEE Trans. Electron Devices, Vol.59, No.12, pp.3426-3433, 2012. T. Watabe,et al., "Digital Calibration Algorithm for a 2-Stage Cyclic Analog-to-Digital Converter Used in a 33-Mpixel 120-fps SHV CMOS Image Sensor," ITE Trans. Media Technology and Applications, Vol. 2, No. 2, pp. 102-107, 2014. T. Watabe,et al., "A Digitally-Calibrated 2-Stage Cyclic ADC for a 33-Mpixel 120-fps Super High-Vision CMOS Image Sensor," in Proc. IEEE SENSORS, pp. 66-69, 2014.
前述したように、非特許文献5,6では、高フレームレート・超高精細のCMOSイメージセンサに求められる高速、高精度、小面積という条件を満たす巡回型AD変換器や、それを2段縦続に接続した2段巡回型AD変換器において、AD変換特性の悪化をもたらすアナログ回路部で発生する誤差をAD変換後のデジタル出力コードによりデジタル領域で補正することが示されている。
しかしながら、その従来技法では、誤差を記述するパラメータである誤差係数の値を、正確に求めるために、各構成要素の設計上で推定される誤差係数を基にトライ・アンド・エラーを繰り返して最終的な誤差係数を決定し固有の値として保持するように構成しているため、固体ばらつきを吸収するのが容易ではなく、更には温度変化等の誤差の時間変化に対応できないといった問題があった。このため、高精度のデジタル補正が実現できないという問題があった。
また、AD変換回路を構成するアナログ回路部は様々な誤差を含んでいるため、実際の出力は式(3)のようには表現できない。図16は、図12に示す巡回型AD変換器1で発生するこれらの誤差の要因を示している。それぞれの誤差(及びその誤差係数)について、以下に説明する。
(容量ミスマッチ誤差)
図12に示す巡回型AD変換器1のキャパシタC(=Cs1+Cs2)とCの間には、キャパシタの製造誤差に起因した容量ミスマッチ誤差ΔC= C−Cが含まれるため、式(3)は、式(5)のように表される。
式(5)に示すように、容量ミスマッチ誤差ΔCにより、増幅率が2倍からずれることになる。また、{0,1/2,1}の3値のデジタル出力コードDについて、キャパシタCs1とCs2との間に容量ミスマッチ誤差ΔC=Cs1−Cs2が含まれる場合は、図13に示す入出力特性のD=1/2の領域の直線に誤差が生じ、式(5)は式(6)のように書き換えられる。
ここで、D(i)はD(i)により定まる定数で、D(i)=0又は1のときはD(i)=0、D(i)=1/2のときはD(i)=1となる。容量ミスマッチ誤差の各誤差係数をe=ΔC/C、ems=ΔC/Cと定義すると、式(6)は、式(7)のように表すことができる。
したがって、式(7)をデジタル領域で表すと、式(8)となる。
ここで、X(i) = Vout(i)/Vとした。式(8)において、各誤差係数e,emsは十分小さいため、これらの積e・emsの項を無視すると、i回目のサイクルにおける容量ミスマッチ誤差E(i)は、式(9)のように表すことができる。
Nビット変換後の容量ミスマッチ誤差の合計は、i=1からN−1までのE(i)を積算することで求められる。1段構成の巡回型AD変換器1におけるNビット変換後の容量ミスマッチ誤差の合計は、式(10)のように表すことができる。
ここで、デジタル出力コードに含まれる誤差が十分小さいものとして、式(8)に示すX(i)は、式(11)のように近似できる。
ここで、iはAD変換回路の分解能がNビットのとき、0からN−1の範囲の整数値をとる。式(11)を式(10)に代入することで、容量ミスマッチ誤差の合計は、式(12)のように表される。
一方、図14に示す2段巡回型AD変換器1におけるNビット変換後の容量ミスマッチ誤差の合計は、1段目の巡回型AD変換器1aで行われる最初のMビットのAD変換と、2段目の巡回型AD変換器1bで行われる残りのN−MビットのAD変換を別々に計算することにより、式(13)のように表される。
ここで、emA及びemBは、それぞれ1段目の巡回型AD変換器1aのキャパシタCsAとCfAとの間のミスマッチ誤差の誤差係数、及び2段目の巡回型AD変換器1bのキャパシタCsBとCfBとの間の容量ミスマッチ誤差の誤差係数を表し、emsA及びemsBは、それぞれ1段目の巡回型AD変換器1aのキャパシタCs1AとCs2Aとの間の容量ミスマッチ誤差の誤差係数、及び2段目の巡回型AD変換器1bのキャパシタCs1BとCs2Bとの間の容量ミスマッチ誤差の誤差係数を表す。したがって、式(11)を式(13)に代入することで、例えばN=12、M=4のときの容量ミスマッチ誤差の合計は、式(14)のように表される。
(アンプの有限ゲイン誤差)
図12に示す巡回型AD変換器1において、オペアンプ12の開ループゲインを無限大と仮定した場合は、オペアンプ12の負入力は仮想接地(VCOM) となり、2倍増幅回路の閉ループゲインは容量CとCの比のみで決定するため、C=Cとすると、2倍増幅フェーズにおける入出力特性は式(4)で表される理想的な形となるが、実際の開ループゲインは有限なため、式(15)のように表される。
ここで、G及びCは、それぞれオペアンプ12の開ループゲインおよび入力容量を表す。有限ゲイン誤差の誤差係数をefg=(C+C+C)/(C・G)と定義し、式(15)をデジタル領域で表すと、式(16)のように表される。
したがって、i回目のサイクルにおける有限ゲイン誤差Efg(i)は、式(17)のように表される。
このため、1段構成の巡回型AD変換器1におけるNビット変換後の有限ゲイン誤差の合計は、式(18)のように表される。
式(11)を式(18)に代入することで、有限ゲイン誤差の合計は、有限ゲイン誤差の誤差係数efgとデジタル出力コードD(i)により、式(19)のように表される。
一方、図14に示す2段巡回型AD変換器1におけるNビット変換後の有限ゲイン誤差の合計は、1段目の巡回型AD変換器1aで行われる最初のMビットのAD変換と、2段目の巡回型AD変換器1bで行われる残りのN−MビットのAD変換を別々に計算することにより、式(20)のように表される。
ここで、efgA及びefgBは、それぞれ1段目及び2段目の巡回型AD変換回路の有限ゲイン誤差の誤差係数を表す。式(11)を式(20)に代入することで、例えばN=12, M=4のときの有限ゲイン誤差の合計は、式(21)のように表される。
(アンプのセットリング誤差)
図12に示す巡回型AD変換器1において、オペアンプ12の帯域は有限なため、有限な時間内における出力が理想値(無限大の時間における出力)からずれることによるセットリング誤差を生じる。セットリング誤差係数をestとすると、実際の入出力特性は、式(22)のように表される。
式(22)をデジタル領域で表すと、式(23)となる。
したがって、i回目のサイクルにおけるセットリング誤差Est(i)は、式(24)のように表される。
このため、1段構成の巡回型AD変換器1におけるNビット変換後のセットリング誤差の合計は、式(25)のように表される。
式(11)を式(25)に代入することで、セットリング誤差の合計は、セットリング誤差係数est とデジタル出力コードD(i)により、式(26)のように表される。
一方、図14に示す2段巡回型AD変換器1におけるNビット変換後のセットリング誤差の合計は、1段目の巡回型AD変換器1aで行われる最初のMビットのAD変換と、2段目の巡回型AD変換器1bで行われる残りのN−MビットのAD変換を別々に計算するが、1段目の巡回型AD変換器1aがM−1サイクル目(MビットのAD変換時)の2倍増幅フェーズで動作しているとき、1段目の巡回型AD変換器1aは、サンプリングフェーズで動作する2段目の巡回型AD変換器1bと接続されるため、セットリング誤差は、これより前のサイクルにおける誤差より大きくなる。したがって、セットリング誤差の合計Est_tは、式(27)のように計算される。
ここで、estA及びestBは、それぞれ1段目及び2段目の巡回型AD変換器1a,1bのセットリング誤差の誤差係数を表し、estABは、1段目の巡回型AD変換器1aがM−1サイクル目の2倍増幅フェーズで動作しているとき、即ち1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bが接続しているときの、1段目の巡回型AD変換器1aのセットリング誤差の誤差係数を表す。式(11)を式(27)に代入することで、例えばN=12,M=4のときのセットリング誤差の合計は、式(28)のように表される。
尚、オペアンプ12a,12bの有限ゲイン誤差とセットリング誤差は、式(17)、 式(24)より同じ形式で書き表されるため、1段構成の巡回型AD変換器1における式(19)と式(26)、2段巡回型AD変換器1(N=12、M=4のとき)における式(21)と式(28)は、それぞれ以下の式(29)、式(30)のようにまとめることができる。
(オフセット誤差)
図12に示す巡回型AD変換器1において、サンプリングフェーズから2倍増幅フェーズに移行するときのスイッチングにより、オペアンプ12の負入力端子に流入するチャージインジェクションとクロックフィードスルー電荷に起因したオフセット誤差を生じる。
オフセット誤差係数をeoffとすると、デジタル領域で表した入出力特性は、式(31)となる。
したがって、1段構成の巡回型AD変換器1におけるNビット変換後のオフセット誤差の合計は、式(32)となる。
一方、図14に示す2段巡回型AD変換器1におけるNビット変換後のオフセット誤差の合計は、1段目の巡回型AD変換器1aで行われる最初のMビットのAD変換と、2段目の巡回型AD変換器1bで行われる残りのN−MビットのAD変換を別々に計算することにより、式(33)のように表される。
ここで、eoffA及びeoffBは、それぞれ1段目及び2段目の巡回型AD変換1a,1bのオフセット誤差係数を表す。
(デジタル補正)
上述した誤差は大変小さいため、2次以上の誤差係数の項は無視できると考えられる。したがって、容量ミスマッチ、アンプの有限ゲイン、アンプの不完全なセットリング、オフセット電圧により1段又は2段巡回型AD変換器1で発生する誤差の総計Esumは、1段の場合は、式(12)、式(19)、式(26)及び式(32)で算出されるそれぞれの誤差の総和、また、2段の場合は、式(14)、式(21)、式(28)及び式(33)で算出されるそれぞれの誤差の総和となり、式(34)のように表される。
デジタル補正処理は、式(11)で近似されたデジタル出力コードX(0)(誤差を含んだデジタル出力コード)から式(34)で表される誤差の総計Esumを減算することで行われ、補正されたデジタルコードDcalibは、例えば、AD変換ビット数Nを12とすると、式(35)にように表される。
上述の説明から分かるように、高精度なデジタル補正処理を行うためには、巡回型AD変換器1で発生する誤差をできるだけ正確に求める必要がある。
しかしながら、その従来技法では、誤差を記述するパラメータである誤差係数の値を、正確に求めるために、各構成要素の設計上で推定される誤差係数を基にトライ・アンド・エラーを繰り返して最終的な誤差係数を決定し固有の値として保持するように構成しているため、固体ばらつきを吸収するのが容易ではなく、更には温度変化等の誤差の時間変化に対応できないといった問題が生じる。このため、高精度のデジタル補正が実現できないという問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、巡回型AD変換器で発生する誤差に基づいた誤差係数を自動的、且つ所望のタイミングで計測可能とし、より高精度で決定することが可能な、巡回型AD変換器、並びに巡回型AD変換器用のデジタル補正器及びその方法を提供することにある。
本発明の巡回型AD変換器は、内部で発生する所定の誤差の誤差係数を自動計測可能に構成した巡回型AD変換器であって、入力されるアナログ信号をサンプリングするサンプリング手段と、複数のキャパシタからなるキャパシタ群及び演算増幅器を有し、前記アナログ信号を分解能に応じた巡回回数でAD変換するために、直前の巡回時における出力を2倍増幅した電圧値に対して、当該直前の巡回時にAD変換されたデジタル出力コードに応じた電圧値で差分した出力を発生するスイッチトキャパシタ増幅手段と、前記スイッチトキャパシタ増幅手段の出力をAD変換して冗長ビットのデジタル出力コードを生成するサブAD変換手段と、当該AD変換されたデジタル出力コードに応じた電圧値を生成するDA変換手段と、前記デジタル出力コードに応じた電圧値を前記DA変換手段が生成するよう制御するDA変換制御手段と、前記サンプリング手段及び前記スイッチトキャパシタ増幅手段における前記分解能に応じた巡回回数でAD変換するための動作フェーズを切り替え制御するフェーズ制御手段と、前記キャパシタ群と前記演算増幅器のいずれか一方又は双方に起因する誤差の誤差係数を含む当該スイッチトキャパシタ増幅手段の出力をAD変換して得られるデジタル出力コードから前記誤差係数を特定可能にするために、当該誤差係数を計測するための予め定めた計測モードの回路構成となるよう切り替え可能な複数のスイッチからなるスイッチ群と、を備えることを特徴とする。
また、本発明による他の態様の巡回型AD変換器は、本発明の巡回型AD変換器が2段縦列接続されていることを特徴とする。
また、本発明の巡回型AD変換器において、前記スイッチ群は、当該予め定めた計測モードの回路構成として前記誤差係数の種類数以上の回路構成を実現可能に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の巡回型AD変換器において、前記誤差は、前記キャパシタ群の容量ミスマッチ誤差、前記演算増幅器の有限ゲイン誤差、前記演算増幅器のセットリング誤差、及び前記演算増幅器のオフセット誤差のうち1つ以上の誤差を含み、前記スイッチ群は、該誤差の誤差係数を計測するための予め定めた計測モードの回路構成となるよう切り替え可能に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の巡回型AD変換器において、前記スイッチ群は、前記キャパシタ群の容量ミスマッチ誤差、前記演算増幅器の有限ゲイン誤差、前記演算増幅器のセットリング誤差、及び前記演算増幅器のオフセット誤差の全ての誤差係数を計測するための予め定めた計測モードの回路構成となるよう切り替え可能に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の巡回型AD変換器において、前記スイッチ群は、前記誤差係数を含む当該演算増幅器の出力をAD変換した際に、当該巡回型AD変換器のフルスケール内で計測可能なバイアスが生じる回路構成となるよう配置されていることを特徴とする。
更に、本発明の巡回型AD変換器用のデジタル補正器は、本発明の巡回型AD変換器に対して、当該誤差係数を計測するよう前記スイッチ群を切り替え指示する手段と、該切り替え指示により計測された当該誤差係数を含む電圧値のデジタル出力コードから、対応する誤差を算出し当該アナログ信号のデジタル出力から減算する手段と、を備えることを特徴とする。
更に、本発明の巡回型AD変換器用のデジタル補正方法は、本発明の巡回型AD変換器に対して当該アナログ信号の誤差をデジタル領域で補正するデジタル補正方法であって、該巡回型AD変換器に対して当該誤差係数を計測するよう前記スイッチ群を切り替え指示するステップと、該切り替え指示により計測された当該誤差係数を含む電圧値のデジタル出力コードから、対応する誤差を算出し当該アナログ信号のデジタル出力から減算するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、巡回型AD変換器の内部で発生する所定の誤差の誤差係数を含む信号を巡回型AD変換器の入力としてサンプリングし、本信号をAD変換して得られた出力コードを基に誤差係数の値を自動的、且つ所望のタイミングで計測可能となるので、固体ばらつきを吸収するのが容易となり、更には温度変化等の誤差の時間変化に対応することができる。例えば、CMOSイメージセンサや巡回型AD変換器の電源投入時、或いはCMOSイメージセンサのブランキング期間に、当該巡回型AD変換器の誤差を自動的に計測することができるので、実効性の高い高精度のデジタル補正が可能となる。
本発明による第1実施形態の巡回型AD変換器の構成を示すブロック図である。 本発明による第2実施形態の巡回型AD変換器の構成を示すブロック図である。 本発明による各実施形態の巡回型AD変換器における第1計測モードの回路構成を示すブロック図である。 本発明による各実施形態の巡回型AD変換器における第2計測モードの回路構成を示すブロック図である。 本発明による各実施形態の巡回型AD変換器における第3計測モードの回路構成を示すブロック図である。 本発明による第2実施形態の巡回型AD変換器における第3計測モードの追加の回路構成を示すブロック図である。 本発明による各実施形態の巡回型AD変換器における第4計測モードの回路構成を示すブロック図である。 本発明による各実施形態の巡回型AD変換器における第1計測モードの動作タイミングを示す図である。 本発明による各実施形態の巡回型AD変換器における第2計測モードの動作タイミングを示す図である。 本発明による各実施形態の巡回型AD変換器における第3及び第4計測モードの動作タイミングを示す図である。 本発明による第2実施形態の巡回型AD変換器における第3計測モードの追加の動作タイミングを示す図である。 従来技術における1段構成の巡回型AD変換器の構成を示すブロック図である。 冗長ビット方式の巡回型AD変換器のデジタル出力例を示す図である。 従来技術における2段巡回型AD変換器の構成を示すブロック図である。 2段巡回型AD変換器をCMOSイメージセンサに適用する際の動作例を示す説明図である。 巡回型AD変換器にて発生する誤差の説明図である。
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の巡回型AD変換器1、並びに巡回型AD変換器1用のデジタル補正器及びその方法を説明する。尚、各図において同様な構成要素には同一の符号を付し、重複する説明については省略している。特に、第2実施形態の巡回型AD変換器1の説明では、対応する同様な構成要素にはその参照番号の添え字にA,B(またはa,b)を付すことで、個別の重複する説明を省略している。本発明による各実施形態の巡回型AD変換器1は、例えば非特許文献2に開示されるCMOSイメージセンサに適用可能なAD変換器として構成されている。
(第1実施形態)
図1は、本発明による第1実施形態の巡回型AD変換器1の構成を示すブロック図である。図1に示す巡回型AD変換器1は、その内部で発生する所定の誤差の誤差係数を自動計測可能に構成されており、入力されるアナログ信号VinをサンプリングするスイッチSと、アナログ信号Vinを分解能に応じた巡回回数でAD変換するために、式(4)で表されるように、直前の巡回時における出力を2倍増幅した電圧値に対して、当該直前の巡回時にAD変換されたデジタル出力コードに応じた電圧値で差分した出力を発生するスイッチトキャパシタ増幅回路の構成要素である複数のキャパシタCs1,Cs2,C及びオペアンプ12と、オペアンプ12の出力をAD変換して冗長ビットのデジタル出力コードD(i)を生成するサブAD変換器13と、そのデジタル出力コードに応じた電圧値を生成するDAC11と、DAC11を制御するDAC制御クロック発生部14と、動作フェーズを切り替え制御するスイッチS,S,S,S,S(及びS)と、複数のキャパシタCs1,Cs2,C及びオペアンプ12のいずれか一方又は双方に起因する誤差の誤差係数を含むオペアンプ12の出力をAD変換して得られるデジタル出力コードからその誤差係数を特定可能にするために、当該誤差係数を計測するための予め定めた計測モードの回路構成となるよう切り替え可能な複数のスイッチS,SMS,S,S,SERと、を備える。
図1に示す本実施形態の巡回型AD変換器1は、主として、図12に示す巡回型AD変換器1と比較して、DAC11内にスイッチSを追加し、アナログ信号Vinの入力ラインとDAC11との間にスイッチSERを挿入している点で相違している。
また、本実施形態の巡回型AD変換器1にて、自動的、且つ所望のタイミングで各誤差係数を計測可能にするために、本実施形態の巡回型AD変換器1が動作モード制御部17によって「誤差係数の計測時」と「通常動作時」の各動作モードを切り替え可能にするよう構成されている点で相違している。この動作モード制御部17は、誤差係数の計測時と通常動作時の各動作モードを切り替え指示するべく、DAC制御指示信号及びフェーズ指示信号をそれぞれDAC制御クロック発生部14及びフェーズ制御クロック発生部15に供給するとともに、デジタル補正を行う補正制御部16内の各スイッチScal,Serrのオン/オフをそれぞれ制御するためのクロックΦcal,Φerrを補正制御部16に供給し、誤差係数の計測時と通常動作時の各動作モードを切り替え制御する機能部である。従って、誤差係数の計測時以外の動作、即ち本実施形態の巡回型AD変換器1における通常動作時は、図12に示す巡回型AD変換器1と同様に制御される。
また、DAC11を制御するDAC制御クロック発生部14がスイッチS,SMS,S,Sを制御する各クロックΦ,ΦMS,Φ,Φを発生するよう構成されている点、誤差係数の計測時と通常動作時の各動作モードを切り替え可能にするために、各動作フェーズを制御するフェーズ制御クロック発生部15がスイッチSER,S,S,S,S,S,Sを制御する各クロックΦER,Φ,Φ,Φ,Φ,Φ,Φを発生するよう構成されている点でも相違している。これらの各クロックのタイミング例は、図8〜図10を参照して後述する。
補正制御部16は、動作モード制御部17の制御により、式(11)で近似されたデジタル出力コードX(0)(誤差を含んだデジタル出力コード)から式(34)で表される誤差の総計Esumを減算することでデジタル補正処理を行うよう構成されている。
より具体的には、補正制御部16は、スイッチScal,Serrと、演算部161と、誤差係数用レジスタ162と、誤差演算器163と、誤差用レジスタ164と、減算部165とを備える。
補正制御部16における誤差係数の計測時の動作モードでは、その第1ステップとして、スイッチScalがオフ、スイッチSerrがオンとされ、演算部161により、巡回数分のデジタル出力コードDが保持されて、容量ミスマッチ、アンプの有限ゲイン、アンプの不完全なセットリング、及び、オフセット電圧により巡回型AD変換器1で発生する各誤差の誤差係数が演算され、誤差係数用レジスタ162に保持される。誤差係数用レジスタ162は、スイッチSerrがオンとなり演算部161により誤差係数が演算される度に更新するよう構成される。続いて、誤差係数の計測時の動作モードにおける第2ステップとして、スイッチScalがオン、スイッチSerrがオフとされ(通常動作時の動作モードと同様)、誤差演算器163は、巡回数分のデジタル出力コードDが保持されて、当該誤差係数用レジスタ162に保持された誤差係数の値を用いて、当該巡回型AD変換器1の分解能に応じたビット数の総計Esumを算出し、誤差用レジスタ164に保持させる。誤差用レジスタ164は、スイッチScalがオン、スイッチSerrがオフとされ誤差演算器163によりの総計Esumが演算される度に更新するよう構成される。
また、補正制御部16における通常動作時の動作モードでは、スイッチScalがオン、スイッチSerrがオフとされ、減算部165によって、巡回数分のデジタル出力コードDに対して誤差用レジスタ164に保持された誤差の総計Esumが減算されて、デジタル補正後の出力D’(即ち、式(35)で表される補正されたデジタルコードDcalib)を出力する。
特に、補正制御部16及び動作モード制御部17は、「デジタル補正器」として構成される。このようなデジタル補正器は、マイクロコンピュータ等のコンピュータとして機能させることもでき、当該コンピュータに、補正制御部16及び動作モード制御部17の各機能を実現させるためのプログラムは、当該コンピュータの内部又は外部に備えられるメモリ(図示せず)に記憶される。コンピュータに備えられる中央演算処理装置(CPU)などの制御で、これらの機能を実現するための処理内容が記述されたプログラムを、適宜、メモリから読み込んで、当該デジタル補正器の機能をコンピュータに実現させることができる。ここで、当該デジタル補正器の一部又は全部の機能を論理回路やレジスタ等を用いたハードウェアで実現してもよい。
まず、本実施形態の巡回型AD変換器1、フェーズ制御クロック発生部15及びそのデジタル補正器(補正制御部16及び動作モード制御部17)は、前述した容量ミスマッチ、アンプの有限ゲイン、アンプの不完全なセットリング、及び、オフセット電圧により巡回型AD変換器1で発生する誤差に関するそれぞれのパラメータである誤差係数を予め定めた複数の計測モードで特定できるように動作するとともに、その誤差計測動作と通常動作との切り替えも可能に動作するよう構成されている。
即ち、通常動作では、図1に示すDAC11を構成するスイッチS,SMS,Sのオン/オフ制御はデジタル出力Dに基づいて行われているが、誤差係数の計測動作時の最初のサンプリングフェーズ及び2倍増幅フェーズでは、それぞれの誤差係数の計測モード時の回路構成(後述する図3,図4,図5及び図7)となるように、DAC11内のスイッチS,SMS,S,S、及びスイッチSERのオン/オフ制御が外部から(本例では、動作モード制御部17によるDAC制御指示信号及びフェーズ指示信号)から強制的に制御可能となっている。
スイッチSERのオン/オフ制御は、詳細に後述するが、通常動作時では図12に示す構成と同様にスイッチSERをオンとし、誤差係数の計測モード時では、そのサンプリングフェーズ時に、フィードバック容量Cに入力する電圧がVin端子に接続されるようスイッチSERをオフし、その後の2倍増幅フェーズ時にスイッチSERをオンする。
そして、動作モード制御部17により、補正制御部16は、それぞれの誤差係数の計測モード時の回路構成(後述する図3,図4,図5及び図7)から、容量ミスマッチ、アンプの有限ゲイン、アンプの不完全なセットリング、及び、オフセット電圧により巡回型AD変換器1で発生する誤差に関する各誤差係数を算出して保持し、サブAD変換器(Sub-ADC)13からの誤差を含んだデジタル出力D(式(11)で近似されたデジタル出力コードX(0))に対して、式(34)で表される誤差の総計Esumを減算することで補正後のデジタル出力D’ (即ち、式(35)で表される補正されたデジタルコードDcalib)を得るよう構成されている。
(第2実施形態)
一方、図2は、本発明による第2実施形態の2段巡回型AD変換器1の構成を示すブロック図である。図2に示す第2実施形態の2段巡回型AD変換器1は、図1に示す1段構成の巡回型AD変換器1が2段縦列接続されて構成されている。このため、図2において1段目の巡回型AD変換器1aと2段目の巡回型AD変換器1bとの間で対応する構成要素には、それぞれ参照符号に添字A,B(又はa,b)を付している。図2に示す本実施形態の2段巡回型AD変換器1は、主として、図15に示す2段巡回型AD変換器1と比較して、1段目及び2段目の巡回型AD変換器1a,1bにおける各DAC11a,11b内にそれぞれスイッチSXA,SXBを追加し、アナログ信号Vinの入力ラインとDAC11aとの間にスイッチSERAを挿入するとともに、2段目の巡回型AD変換器1bのアナログ信号Vinの入力ラインとDAC11bとの間にスイッチSERBを挿入している点で相違している。
また、本実施形態の巡回型AD変換器1にて、自動的、且つ所望のタイミングで各誤差係数を計測可能にするために、各DAC11a,11bを制御するそれぞれのDAC制御クロック発生部14a,14bが、それぞれ対応するスイッチSPASMSA,SNA,SXA、及びSPB,SMSB,SNB,SXBを制御する各クロックΦPA,ΦMSA,ΦNA,ΦXA、及びΦPB,ΦMSB,ΦNB,ΦXBを発生するよう構成されている点、誤差係数の計測時と通常動作時の各動作モードを切り替え可能にするために、1段目及び2段目の巡回型AD変換器1a,1bの各動作フェーズを制御するフェーズ制御クロック発生部15a,15bが、それぞれ対応するスイッチSERA,SRA,SSA,S0A,S1A,S2A,S3A、及びSERB,SRB,SSB,S0B,S1B,S2B,S3Bを制御する各クロックΦERA,ΦRA,ΦSA,Φ0A,Φ1A,Φ2A,Φ3A、及びΦERB,ΦRB,ΦSB,Φ0B,Φ1B,Φ2B,Φ3Bを発生するよう構成されている点、及び、式(11)で近似されたデジタル出力コードX(0)(誤差を含んだデジタル出力コード)から式(34)で表される誤差の総計Esumを減算することでデジタル補正処理を行う各補正制御部16a,16bが、それぞれ動作モード制御部17a,17bの制御により、自動的、且つ所望のタイミングで各誤差係数を計測可能にするために、それぞれDAC制御クロック発生部14a,14b、並びにフェーズ制御クロック発生部15a,15bに対して、それぞれDAC制御指示信号及びフェーズ指示信号を与えるよう構成されている点でも相違している。これらの各クロックのタイミング例は、図8〜図11を参照して後述する。従って、誤差係数の計測時以外の動作、即ち本実施形態の巡回型AD変換器1における通常動作時は、図14に示す2段巡回型AD変換器1と同様に制御される。
尚、図2において、動作モード制御部17a,17bの制御により、それぞれ補正制御部16a,16bを制御する個別の機能ブロックとして図示しているが、動作モード制御部17a,17bを1つの機能ブロックとして構成し、補正制御部16a,16bにより1段目及び2段目の巡回型AD変換器1a,1bに対して自動的、且つ所望のタイミングで各誤差係数を計測可能とし、且つ式(11)で近似されたデジタル出力コードX(0)(誤差を含んだデジタル出力コード)から式(34)で表される誤差の総計Esumを減算することでデジタル補正処理を行うよう構成することもできる。
特に、補正制御部16a,16b及び動作モード制御部17a,17bは、「デジタル補正器」として構成される。このようなデジタル補正器は、マイクロコンピュータ等のコンピュータとして機能させることもでき、当該コンピュータに、補正制御部16a,16b及び動作モード制御部17a,17bの各機能を実現させるためのプログラムは、当該コンピュータの内部又は外部に備えられるメモリ(図示せず)に記憶される。コンピュータに備えられる中央演算処理装置(CPU)などの制御で、これらの機能を実現するための処理内容が記述されたプログラムを、適宜、メモリから読み込んで、当該デジタル補正器の機能をコンピュータに実現させることができる。ここで、当該デジタル補正器の一部又は全部の機能を論理回路やレジスタ等を用いたハードウェアで実現してもよい。
第2実施形態の2段巡回型AD変換器1、フェーズ制御クロック発生部15a,15b及びそのデジタル補正器においても、前述した容量ミスマッチ、アンプの有限ゲイン、アンプの不完全なセットリング、及び、オフセット電圧により2段巡回型AD変換器1で発生する誤差に関するそれぞれのパラメータである誤差係数を予め定めた複数の計測モードで特定できるように動作するとともに、その誤差計測動作と通常動作との切り替えも可能に動作するよう構成されている。
即ち、通常動作では、図2に示すDAC11a,11bを構成する各スイッチのオン/オフ制御はそれぞれのデジタル出力D,Dに基づいて行われているが、誤差係数の計測動作時の最初のサンプリングフェーズ及び2倍増幅フェーズでは、それぞれの誤差係数の計測モード時の回路構成(後述する図3〜図7)となるように、DAC11a,11b内の各スイッチ、及びスイッチSERA,SERBのオン/オフ制御が外部から(本例では、動作モード制御部17a,17bによるDAC制御指示信号及びフェーズ指示信号)から強制的に制御可能となっている。
スイッチSERA,SERBのオン/オフ制御は、詳細に後述するが、通常動作時では図14に示す構成と同様にスイッチSERA,SERBをオンとし、誤差係数の計測モード時では、そのサンプリングフェーズ時に、フィードバック容量Cに入力する電圧がVin端子に接続されるようスイッチSERA,SERBをオフし、その後の2倍増幅フェーズ時にスイッチSERA,SERBをオンする。
そして、動作モード制御部17a,17bにより、補正制御部16a,16bは、それぞれの誤差係数の計測モード時の回路構成(後述する図3〜図7)から、容量ミスマッチ、アンプの有限ゲイン、アンプの不完全なセットリング、及び、オフセット電圧により2段巡回型AD変換器1で発生する誤差に関する各誤差係数を算出して保持し、サブAD変換器(Sub-ADC)13a,13bからの誤差を含んだデジタル出力D,D(式(11)で近似されたデジタル出力コードX(0))に対して、式(34)で表される誤差の総計Esumを減算することで補正後のデジタル出力D’,D’を得るよう構成されている。
(誤差係数の計測モード)
ここで、各誤差係数を算出可能とする計測モードについて説明する。本例では4種類の誤差係数を特定するため、4種類の計測モードで切り替え可能に動作するよう図1及び図2にそれぞれ示す1段又は2段巡回型AD変換器1が構成されている。これらの4種類の計測モードは、図1に示す第1実施形態であれば動作モード制御部17(図2に示す第2実施形態であれば動作モード制御部17a,17b)により、誤差係数の計測時の動作モードで実行される。
各計測モードの動作原理の要諦は、計測動作時における最初のサンプリングフェーズと2倍増幅フェーズにより、所望の誤差係数を含む電圧値をサンプリングすることにある。特に、本実施形態では、サンプリングされた電圧値をサイクリックにAD変換していくため、この電圧値がAD変換範囲に含まれるように工夫されている。以下、各計測モードの回路構成(図2〜図5)と動作について説明する。尚、図1に示すVCOMの入力端子に印加するバイアス電圧は0とし、オペアンプ12のオフセット電圧VOSが付加されている。
(1)第1計測モード
代表して図1に示す巡回型AD変換器1において、第1計測モードにおける計測動作時の最初のサンプリングフェーズ(Sampling phase)及び2倍増幅フェーズ(Amplification phase)の回路構成を図3に示す。この第1計測モードにおける各クロックの動作は、図8に示される。VRH,VRLは、それぞれAD変換範囲の上限、下限を示している。いま、上述した説明と同様にVRH=V,VRL=0とし、オペアンプ12の負入力端子における電荷保存則より、第1計測モードにおけるオペアンプ12の出力電圧Vout_md1は、式(36)となる。
尚、各誤差係数の定義は上記の説明に示した通りである。e,emsは正負両方の値を取り得るが、バイアス値として0.5Vが加わっているため(式(36)の第1項)、出力電圧Vout_md1は0.5V前後となり、確実にAD変換範囲に含まれる。こうしてサンプリングされた出力電圧Vout_md1を巡回型AD変換器1の入力として、通常動作時と同様にサイクリックにAD変換する。即ち、誤差計測時の最初のサンプリングフェーズ(Sampling phase)及び2倍増幅フェーズ(Amplification phase)ではDAC11内の各クロックが強勢的に制御されて図3に示す回路構成を実現し、このときの出力電圧Vout_md1をサイクリックにAD変換すると、N回の巡回を行うたびに、DAC11は、このデジタル出力コードD(i)が当該3値の{0}であれば「S,Sをオフ、S,SMSをオン」とし、デジタル出力コードD(i)が当該3値の{1/2}であれば「S,Sをオン、SMS,Sをオフ」とし、デジタル出力コードD(i)が当該3値の{1}であれば「S,SMSをオン、S,Sをオフ」としてDA変換値を出力する。誤差係数の計測モードでは、通常動作モードと異なり、N回の巡回により冗長Nビットが変換され、N+1ビットの分解能のAD変換を行うことができる。
そして、式(36)で表される出力電圧Vout_md1をAD変換したとき、得られるデジタル出力コードD(i)には誤差が含まれる。上記の説明より、デジタル出力コードD(i)に含まれる誤差の総計Esumは式(34)のように表されるが、式(12)、式(19)、式(26)及び式(32)より、Em_t,Efg_t,Est_t,Eoff_tは、式(37)のようになる。
尚、式(37)の右辺の各係数a,a,bは、動作フェーズごとに、式(12)、 式(19)及び 式(26)にデジタル出力コードD(i)を代入して求める。また、cは、各動作フェーズで一定値である。したがって、式(36)で表されるVout_md1をAD変換して得られる、複数の誤差を含んだデジタル出力コードXout_md1は、式(38)となる。
尚、式(38)において、デジタル出力コードXout_md1は0.5近傍のため、誤差が大変小さいと仮定すると、誤差の総計Esumの計算は、式(12)、式(19)及び式(26)の代わりに式(10)、 式(18)及び式(25)においてX(i)=0.5,D(i)=0.5,D(i)=1とし簡略すると、第1計測モードで例えば冗長14ビット変換(N=14)では、式(39)となる。
また、図2に示す2段巡回型AD変換器1の場合、第1計測モードは、1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bにそれぞれ適用する。
(2)第2計測モード
代表して図1に示す巡回型AD変換器1において、第2計測モードにおける計測動作時の最初のサンプリングフェーズ(Sampling phase)及び2倍増幅フェーズ(Amplification phase)の回路構成を図4に示す。この第2計測モードにおける各クロックの動作は、図9に示される。VRH,VRLは、それぞれAD変換範囲の上限、下限を示している。いま、上述した説明と同様にVRH=V,VRL=0とし、オペアンプ12の負入力端子における電荷保存則より、第2計測モードにおけるオペアンプ12の出力電圧Vout_md2は、式(40)となる。
第1計測モードと同様に、第2計測モードにおいてもバイアス値として0.5Vが加わっているため(式(40)の第1項)、確実にAD変換範囲に含まれる。こうしてサンプリングされた出力電圧Vout_md2を巡回型AD変換器1の入力として、通常動作時と同様にサイクリックにAD変換する。式(40)で表される電圧をAD変換したとき、得られるデジタル出力コードD(i)に含まれる誤差は式(37)の形で表されるため、式(40)で表されるVout_md2をAD変換して得られる、複数の誤差を含んだデジタル出力コードXout_md2は、式(41)となる。
尚、式(41)において、デジタル出力コードXout_md2は0.5近傍のため、誤差が大変小さいと仮定すると、誤差の総計Esumの計算は、式(12)、式(19)及び式(26)の代わりに式(10)、式(18)及び式(25)においてX(i)=0.5,D(i)=0.5,D(i)=1とし簡略すると、第2計測モードで例えば冗長14ビット変換(N=14)では、式(42)となる。
また、図2に示す2段巡回型AD変換器1の場合、第2計測モードは、1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bにそれぞれ適用する。
(3)第3計測モード
代表して図1に示す巡回型AD変換器1において、第3計測モードにおける計測動作時の最初のサンプリングフェーズ(Sampling phase)及び2倍増幅フェーズ(Amplification phase)の回路構成を図5に示す。この第1計測モードにおける各クロックの動作は、図10に示される。VRH,VRLは、それぞれAD変換範囲の上限、下限を示している。いま、上述した説明と同様にVRH=V,VRL=0とし、オペアンプ12の負入力端子における電荷保存則より、第3計測モードにおけるオペアンプ12の出力電圧Vout_md3は、式(43)となる。
第1計測モードと同様に、第3計測モードにおいてもバイアス値として0.5Vが加わっているため(式(43)の第1項)、確実にAD変換範囲に含まれる。こうしてサンプリングされた出力電圧Vout_md3を巡回型AD変換器1の入力として、通常動作時と同様にサイクリックにAD変換する。式(43)で表される電圧をAD変換したとき、得られるデジタル出力コードD(i)に含まれる誤差は式(37)の形で表されるため、式(43)で表される出力電圧Vout_md3をAD変換して得られる、複数の誤差を含んだデジタル出力コードXout_md3は、式(44)となる。
尚、式(44)において、デジタル出力コードXout_md3は0.5近傍のため、誤差が大変小さいと仮定すると、誤差の総計Esumの計算は、式(12)、式(19)及び式(26)の代わりに式(10)、式(18)及び式(25)においてX(i)=0.5,D(i)=0.5,D(i)=1とし簡略すると、第2計測モードで例えば冗長14ビット変換(N=14)では、式(45)となる。
また、図2に示す2段巡回型AD変換器1の場合、第3計測モードは、1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bにそれぞれ適用する。ただし、2段巡回型AD変換器1の場合、第3計測モードにおいて、1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bが接続しているときの1段目の巡回型AD変換器1aのセットリング誤差係数estABは別途考慮しなければならないため、この点について図6及び図11を参照して説明する。
2段巡回型AD変換器1の場合の第3計測モード3において、1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bが接続しているときの1段目の巡回型AD変換器1aのセットリング誤差係数estABは別途考慮する。即ち、1段目の巡回型AD変換器1aが2段目の巡回型AD変換器1bと接続されるときのセットリング誤差estABを含んだ信号をサンプリングするために、1段目の巡回型AD変換器1aが2倍増幅フェーズで動作する時に、サンプリングフェーズで動作する2段目の巡回型AD変換器1bを接続する。このときの、最初のサンプリングフェーズ(Sampling phase)及び2倍増幅フェーズ(Amplification phase)の回路構成を図6に示す。このときの第3計測モードにおける各クロックの動作は、図11に示される。こうしてサンプリングされた出力電圧Vout_md3bを1段目の巡回型AD変換器1aの入力として、通常動作によりサイクリックにAD変換する。このときのデジタル出力コードD(i)をXout_md3bとすると、式(44)を1段目の巡回型AD変換器1aに適用した式のセットリング誤差estAをestABに置き換えればよいので、式(46)となる。
また、誤差が大変小さいと仮定した場合、本動作モードで冗長14ビット変換(N=14)を実行すると、式(47)となる。
式(46)、式(47)は、2段巡回型AD変換器1において1段目の巡回型AD変換器1aにのみ適用する。
(4)第4計測モード
代表して図1に示す巡回型AD変換器1において、第4計測モードにおける計測動作時の最初のサンプリングフェーズ(Sampling phase)及び2倍増幅フェーズ(Amplification phase)の回路構成を図7に示す。この第4計測モードにおける各クロックの動作は、図10に示される。VRH,VRLは、それぞれAD変換範囲の上限、下限を示している。いま、上述した説明と同様にVRH=V,VRL=0とし、オペアンプ12の負入力端子における電荷保存則より、第4計測モードにおけるオペアンプ12の出力電圧Vout_md4は、式(48)となる。
ここで、オフセット誤差の誤差係数eoffは、スイッチングによるチャージインジェクションとクロックフィードスルー電荷がオペアンプ12の負入力端子に流入することによる誤差に起因するため、eoff>0となるため、出力電圧Vout_md4は確実にAD変換範囲に含まれる。こうしてサンプリングされた出力電圧Vout_md4を巡回型AD変換器1の入力として、通常動作時と同様にサイクリックにAD変換する。式(48)で表される電圧をAD変換したとき、得られるデジタル出力コードDに含まれる誤差は式(37)の形で表されるため、式(48)で表される出力電圧Vout_md4をAD変換して得られる、複数の誤差を含んだデジタル出力コードXout_md4は、式(49)となる。
尚、式(49)において、デジタル出力コードXout_md4は0近傍のため、誤差が大変小さいと仮定すると、誤差の総計Esumの計算は、式(12)、式(19)及び式(26)の代わりに式(10)、式(18)及び式(25)においてX(i)=0,D(i)=0,D(i)=0とし簡略すると、第4計測モードで例えば冗長14ビット変換(N=14)では、オフセット誤差の誤差係数eoffのみを含む式(50)となる。
また、図2に示す2段巡回型AD変換器1の場合、第4計測モードは、1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bにそれぞれ適用する。
(誤差係数の算出)
図1に示す巡回型AD変換器1の場合、式(38)、式(41)、式(44)、式(49)を連立させることにより、例えば、上述の各動作モードで冗長14ビット変換を実行すると、以下の行列式の形に表される。
ここに、式(51)における行列内のパラメータは、式(52)、及び式(53)で与えられる。
尚、式(53)で表される係数a,a,bは、動作モードごとにデジタル出力コードを代入して求める。これらの式より、誤差係数は式(54)のように算出することができる。
この式(54)で与えられる連立式を解いて各誤差係数を求めるよう補正制御部16における演算部161の機能をコンピュータとして構成した「デジタル補正器」により実行させることで、高精度のデジタル補正が可能となるが、その処理負担を軽減させたい場合には、式(39)、式(42)、式(45)及び式(50)を連立して得られる、式(55)を用いて演算部161の機能を構成することができる。式(55)であれば、補正制御部16における演算部161の機能を比較的簡単な論理回路で構成することができる。
図2に示す2段巡回型AD変換器1の場合、各計測モードを1段目と2段目の巡回型AD変換器1a,1bに適用することで、上述した1段構成の巡回型AD変換器1の場合と同様にして、1段目の誤差係数emA,emsA,efgA+estA,eoffAと、2段目の誤差係数emB,emsB,efgB+estB,eoffBを算出できる。また、誤差係数estABに関しては、算出した誤差係数emA,emsA,eoffAを式(46)に代入することで、式(56)のように求めることができる。
また、簡略化した式(39)、式(42)、式(45)、式(47)、式(50)を連立することにより、1段目の巡回型AD変換器1aの誤差係数については式(57)のように、2段目の巡回型AD変換器1bの誤差係数については式(58)のように算出することもできる。尚、式(57)及び式(58)において、参照符号Xの添え字“ADC_1ST”及び“ADC_2ND”は、1段目の巡回型AD変換器1a及び2段目の巡回型AD変換器1bにおけるそれぞれの誤差係数を含んだデジタル出力コードXを示している。
前述した、図8〜図11において、2倍増幅フェーズ及びフィードバックフェーズの時間は、通常動作における2倍増幅フェーズ及びフィードバックフェーズの時間と同じとすることができる。そして、補正制御部16及び動作モード制御部17(或いは補正制御部16a,16b及び動作モード制御部17a,17b)を構成する「デジタル補正器」は、各誤差係数を特定するための各計測モードにより得られたデジタル出力コードを、式(51)〜式(56)、又は、簡略化した式(57)、式(58)に代入することで計測の対象としている巡回型AD変換器1で発生する誤差に起因した誤差係数を高精度で算出することができる。このように計算された各誤差係数は、図1に示す例では、誤差係数用レジスタ162に格納される。
そして、当該「デジタル補正器」は、このようにして求めた誤差係数を、1段構成の巡回型AD変換器1の場合は、誤差演算器163により、誤差係数用レジスタ162に格納された誤差係数を用いて、式(12)、式(29)、式(32)及び式(34)で、また、2段巡回型AD変換器1の場合は、式(14)、式(30)、式(33)及び式(34)で各誤差に基づく誤差の総計Esumを演算し誤差用レジスタ164に保持させておくことで、減算部165により誤差用レジスタ164に保持させた誤差を用いて、式(35)で表されるデジタル補正の計算式に当てはめて、デジタル補正を行うようにすることで、高精度なデジタル補正処理が可能となる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、1段又は2段の巡回型AD変換器1に対する「デジタル補正器」として、補正制御部16及び動作モード制御部17(或いは補正制御部16a,16b及び動作モード制御部17a,17b)をそれぞれ個別の機能ブロックで説明したが、マイクロコンピュータとして構成し、例えば中央演算処理ユニット(CPU)又はASIC(集積回路)の一部の機能、或いはこれらの組み合わせで単一のハードウェア内で構成することができる。
また、上述した実施形態の例では、容量ミスマッチ、アンプの有限ゲイン、アンプの不完全なセットリング、オフセット電圧により1段又は2段巡回型AD変換器1で発生する誤差の全てについて計測可能とする好適例を説明したが、上述した本発明に係る技法を利用して、これらの誤差のうち少なくとも1つ以上の誤差を対象にしてデジタル補正を可能に構成することができる。例えば、容量ミスマッチ誤差のみを本発明に係る技法を利用して計測するにあたり、式(34)等で表される誤差係数のうち容量ミスマッチ誤差以外の誤差係数の値をゼロとして扱えばよく、所望の誤差係数を選択的に計測・補正するよう構成することができる。
また、上述した例では、CMOSイメージセンサに本発明に係る巡回型AD変換器1を適用する例を好適例として説明したが、これに限定するものではない。
本発明によれば、本誤差係数を含む信号を巡回型AD変換器の入力としてサンプリングし、本信号をAD変換して得られた出力コードを基に誤差係数の値を自動的、且つ所望のタイミングで計測可能となるので、巡回型AD変換を利用する用途に有用である。
1 巡回型AD変換器
1a 2段巡回型AD変換器における1段目の巡回型AD変換器
1b 2段巡回型AD変換器における2段目の巡回型AD変換器
11,11a,11b デジタル・アナログ変換器(DAC)
12,12a,12b オペアンプ
13,13a,13b サブAD変換器(Sub-ADC)
14,14a,14b DAC制御クロック発生部
15,15a,15b フェーズ制御クロック発生部
16,16a,16b 補正制御部
17,17a,17b 動作モード制御部
161 演算部
162 誤差係数用レジスタ
163 誤差演算器
164 誤差用レジスタ
165 減算器
,Cs1,Cs2,C キャパシタ
sA,Cs1A,Cs2A,CfA キャパシタ
sB,Cs1B,Cs2B,CfB キャパシタ
,S,SMS,S DAC内のスイッチ
PA,SNA,SMSA,SXA DAC内のスイッチ
PB,SNB,SMSB,SXB DAC内のスイッチ
,S,S,S,S,S スイッチ
RA,SSA,S0A,S1A,S2A,S3A スイッチ
RB,SSB,S0B,S1B,S2B,S3B スイッチ
err,Scal 補正制御部内のスイッチ

Claims (8)

  1. 内部で発生する所定の誤差の誤差係数を自動計測可能に構成した巡回型AD変換器であって、
    入力されるアナログ信号をサンプリングするサンプリング手段と、
    複数のキャパシタからなるキャパシタ群及び演算増幅器を有し、前記アナログ信号を分解能に応じた巡回回数でAD変換するために、直前の巡回時における出力を2倍増幅した電圧値に対して、当該直前の巡回時にAD変換されたデジタル出力コードに応じた電圧値で差分した出力を発生するスイッチトキャパシタ増幅手段と、
    前記スイッチトキャパシタ増幅手段の出力をAD変換して冗長ビットのデジタル出力コードを生成するサブAD変換手段と、
    当該AD変換されたデジタル出力コードに応じた電圧値を生成するDA変換手段と、
    前記デジタル出力コードに応じた電圧値を前記DA変換手段が生成するよう制御するDA変換制御手段と、
    前記サンプリング手段及び前記スイッチトキャパシタ増幅手段における前記分解能に応じた巡回回数でAD変換するための動作フェーズを切り替え制御するフェーズ制御手段と、
    前記キャパシタ群と前記演算増幅器のいずれか一方又は双方に起因する誤差の誤差係数を含む当該スイッチトキャパシタ増幅手段の出力をAD変換して得られるデジタル出力コードから前記誤差係数を特定可能にするために、当該誤差係数を計測するための予め定めた計測モードの回路構成となるよう切り替え可能な複数のスイッチからなるスイッチ群と、
    を備えることを特徴とする巡回型AD変換器。
  2. 請求項1に記載の巡回型AD変換器が2段縦列接続されていることを特徴とする巡回型AD変換器。
  3. 前記スイッチ群は、当該予め定めた計測モードの回路構成として前記誤差係数の種類数以上の回路構成を実現可能に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の巡回型AD変換器。
  4. 前記誤差は、前記キャパシタ群の容量ミスマッチ誤差、前記演算増幅器の有限ゲイン誤差、前記演算増幅器のセットリング誤差、及び前記演算増幅器のオフセット誤差のうち1つ以上の誤差を含み、前記スイッチ群は、該誤差の誤差係数を計測するための予め定めた計測モードの回路構成となるよう切り替え可能に配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の巡回型AD変換器。
  5. 前記スイッチ群は、前記キャパシタ群の容量ミスマッチ誤差、前記演算増幅器の有限ゲイン誤差、前記演算増幅器のセットリング誤差、及び前記演算増幅器のオフセット誤差の全ての誤差係数を計測するための予め定めた計測モードの回路構成となるよう切り替え可能に配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の巡回型AD変換器。
  6. 前記スイッチ群は、前記誤差係数を含む当該演算増幅器の出力をAD変換した際に、当該巡回型AD変換器のフルスケール内で計測可能なバイアスが生じる回路構成となるよう配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の巡回型AD変換器。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の巡回型AD変換器に対して、当該誤差係数を計測するよう前記スイッチ群を切り替え指示する手段と、
    該切り替え指示により計測された当該誤差係数を含む電圧値のデジタル出力コードから、対応する誤差を算出し当該アナログ信号のデジタル出力から減算する手段と、
    を備えることを特徴とする、巡回型AD変換器用のデジタル補正器。
  8. 請求項1から6のいずれか一項に記載の巡回型AD変換器に対して当該アナログ信号の誤差をデジタル領域で補正するデジタル補正方法であって、
    該巡回型AD変換器に対して当該誤差係数を計測するよう前記スイッチ群を切り替え指示するステップと、
    該切り替え指示により計測された当該誤差係数を含む電圧値のデジタル出力コードから、対応する誤差を算出し当該アナログ信号のデジタル出力から減算するステップと、
    を含むことを特徴とする、巡回型AD変換器用のデジタル補正方法。
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