JP2017003056A - 内燃機関のピストン - Google Patents

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潤二 右手
Junji Migite
潤二 右手
正徳 ▲高▼橋
正徳 ▲高▼橋
Masanori Takahashi
優介 木村
Yusuke Kimura
優介 木村
博之 西浦
Hiroyuki Nishiura
博之 西浦
武雄 櫻井
Takeo Sakurai
武雄 櫻井
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Abstract

【課題】張力を低くしつつシール性能を向上することのできるオイルリングを備えて構成される内燃機関のピストンを提供する。
【解決手段】周面に形成された第3リング溝13にオイルリング20が装着され、シリンダ1内を往復動する内燃機関のピストン10は、第3リング溝13のうち、燃焼室側の面を溝上面31、当該溝上面31に対向する面を溝下面32とするとき、オイルリング20及び溝上面31の間のシール力を発生させる部位と、オイルリング20及び溝下面32の間のシール力を発生させる部位とが非対称である。
【選択図】図2

Description

本発明は、ピストンリング、特にオイルリングが装着されている内燃機関のピストンに関する。
周知のように、内燃機関のシリンダ内にはピストンが往復動可能に設けられており、ピストンには、ピストンリングが装着されている。そして、ピストンリングの一つであるオイルリングは、シリンダの壁面に供給された潤滑油としてのエンジンオイルの余剰分を掻き落とす機能を有している。
例えば、特許文献1には、燃焼室側に配置される第1サイドレール及びその反対側に配置される第2サイドレールと、エキスパンダとを備えるオイルリングが記載されている。第1サイドレール及び第2サイドレールは、ピストンの径方向外側へ突出し、ピストンの往復動に伴ってシリンダの壁面に摺接する。エキスパンダは、傾斜面を有する第1耳部及び第2耳部を備える。第1耳部は、第1サイドレールを径方向外側及び径方向と交差する方向に付勢する。第2耳部は、第2サイドレールを径方向外側及び径方向と交差する方向に付勢する。
特開2007−205395号公報
上述したオイルリングにおいて、第1耳部及び第2耳部は同じ傾斜角度を有している。すなわち、第1サイドレールをオイルリング溝の燃焼室側の面である溝上面に押し付けるシール力の大きさと、第2サイドレールをオイルリング溝のうち燃焼室と反対側の面である溝下面に押し付けるシール力の大きさとは同等となる。その結果、例えば内燃機関の高速回転時に、オイルリングに作用する慣性力などによってそれらのシール力が限界を超えると、オイルリングとオイルリング溝、又はオイルリングとシリンダの壁面との間のシール性能の維持が難しくなる。
一方、オイルリングのシール力を高めるためにその張力を大きくすると、オイルリングによるフリクションが増加してしまい、燃費に悪影響を及ぼす。
尚、こうした課題は、1対のレール部とエキスパンダとを備えるオイルリングに限らず、他の構成のオイルリングにおいても概ね共通したものとなっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、張力を低くしつつシール性能を向上することのできるオイルリングを備えて構成される内燃機関のピストンを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する内燃機関のピストンは、周面に形成されたオイルリング溝にオイルリングが装着され、シリンダ内を往復動する内燃機関のピストンにおいて、前記オイルリング溝のうち、燃焼室側の面を溝上面、当該溝上面に対向する面を溝下面とするとき、前記オイルリング及び前記溝上面の間のシール力を発生させる部位と、前記オイルリング及び前記溝下面の間のシール力を発生させる部位とが非対称であることを要旨としている。
上記構成では、例えば内燃機関の高回転時やピストンの傾きなどによってピストンに外力が作用したとき、オイルリング及び溝上面の間のシール力を発生させる部位とオイルリング及び溝下面の間のシール力を発生させる部位のうちいずれかによって、オイルリングとオイルリング溝との間のシール性能の維持を図ることができる。したがって、オイルリングの張力を大きくせずに、シール性能を向上することができる。
本発明にかかるオイルリングを備えるピストンの第1実施形態について、その概略構成を示す正面図。 同実施形態におけるピストンのうちオイルリングを中心とする断面構造を示す図。 同実施形態におけるピストンの断面構造であって、(a)はオイルリングの上部を中心とする図、(b)はその下部を中心とする図。 オイルリングの耳部の角度と第1サイドレールのシール力との一例を示すグラフ。 本発明にかかるオイルリングを備えるピストンの第2実施形態について、オイルリングを中心とする断面構造を示す図。 本発明にかかるオイルリングを備えるピストンの第3実施形態について、スラスト側及び反スラスト側のオイルリングを中心とする断面構造を示す図。 同実施形態におけるピストンのうち、フロント側又はリア側の断面構造を示す図。 (a)は同実施形態における傾きが生じたときのピストンのスラスト側及び反スラスト側の断面図、(b)は従来の傾斜面のないピストンの断面構造を示す図。 本発明にかかるオイルリングを備えるピストンの他の実施形態について、(a)はリング溝に傾斜を設けたピストンの断面構造を示す図、(b)はオイルリングに傾斜を設けたピストンの断面構造を示す図。
(第1実施形態)
以下、図1〜図4を参照してオイルリングを備えるピストンを具体化した第1実施形態を説明する。
図1に示すように、内燃機関のシリンダ1は円筒状に形成され、シリンダ1内にはピストン10が往復動可能に設けられている。シリンダ1内には、シリンダ1の壁面とピストン10の上面とにより燃焼室が区画されている。また、ピストン10には、ピストン10とコンロッドとを接続するピストンピンを挿入するためのピストン孔17が設けられている。なお、ピストンピン、コンロッドは図示を省略している。ピストン10の周面には、燃焼室に近い順に、第1リング溝11、第2リング溝12、及び第3リング溝13が形成されている。第3リング溝13は、オイルリング溝に対応している。
第1リング溝11には、トップリング14が装着されている。第2リング溝12には、セカンドリング15が装着されている。トップリング14及びセカンドリング15は、コンプレッションリングと総称され、燃焼室で生じた燃焼ガスがピストン10とシリンダ1の壁面との間から漏れないようにシールする機能を有している。また、第3リング溝13には、オイルリング20が装着されている。
図2に示すように、ピストン10に設けられた第3リング溝13のうち、燃焼室側の側面を溝上面31、燃焼室と反対側の面を溝下面32とする。オイルリング20の内周面と第3リング溝13との間には、背面通路33が設けられている。ピストン10には、第3リング溝13と連通する図示しないオイル戻し孔が設けられている。オイル戻し孔は、ピストン10の内側とも連通している。
オイルリング20は、3ピース型であって、第1サイドレール21と、第2サイドレール22と、エキスパンダ23とを備える。第1サイドレール21及び第2サイドレール22は円環状に形成されている。第1サイドレール21は、燃焼室側に配置され、第2サイドレール22は、燃焼室とは反対側に配置される。
第1サイドレール21と第2サイドレール22との間には、環状のエキスパンダ23が配置されている。エキスパンダ23は、第1サイドレール21側に突出する凸部29と、第2サイドレール22側に突出する凹部とが周方向に交互に配置されることによって、波型に形成されている。エキスパンダ23は、ピストン10の往復動方向に伸縮可能である。また、エキスパンダ23のうち、内周部には第1耳部25と、第2耳部26とが設けられている。第1耳部25は、第1サイドレール21側に設けられ、第2耳部26は、第2サイドレール22側に設けられている。
第1耳部25は、第3リング溝13の溝上面31から離れるにつれて径方向外側に位置する第1傾斜面27を有している。第2耳部26は、溝下面32から離れるにつれて径方向外側に位置する第2傾斜面28を有している。燃焼室側を上側、その反対側を下側とするとき、第1耳部25の第1傾斜面27は第1サイドレール21の内周面を斜め上側に付勢し、第2耳部26の第2傾斜面28は第2サイドレール22の内周面を斜め下側に付勢する。第1サイドレール21は、第1耳部25の付勢力によってシリンダ1の壁面及び溝上面31側に押し付けられ、第2サイドレール22は、第2耳部26の付勢力によってシリンダ1の壁面及び溝下面32側に押し付けられる。これにより、オイルリング20は、シリンダ1の壁面に付着しているエンジンオイル(以下、オイル)の余剰分を掻き落とす機能や、オイルリング20の上側と下側との間をシールする機能を有するようになっている。
第1傾斜面27がオイルリング20の中心軸と平行な方向に対してなす角度を耳角θ1、第2傾斜面28がオイルリング20の中心軸と平行な方向に対してなす角度を耳角θ2とするとき、耳角θ1は、耳角θ2よりも大きくなっている。すなわち、第3リング溝13の溝上面31を押圧する力を発生させるエキスパンダ23の第1耳部25と、溝下面32を押圧する力を発生させる第2耳部26とが非対称である。
図3(a)に示すように、第1耳部25による付勢力101は、オイルリング20の中心軸と平行な方向である鉛直方向上側の付勢力102と、中心軸と直交する方向である水平方向の付勢力103とからなる。第1耳部25の耳角θ1が大きいほど、鉛直方向の付勢力102は大きくなり、水平方向の付勢力103は小さくなる。
図3(b)に示すように、第2耳部26による付勢力110は、オイルリング20の中心軸と平行な方向である鉛直方向下側の付勢力111と、中心軸と直交する方向である水平方向の付勢力112とからなる。第2耳部26の耳角θ2は、第1耳部25の耳角θ1よりも小さいため、第2耳部26による鉛直方向下側の付勢力111は、第1耳部25による鉛直方向上側の付勢力102よりもその大きさが小さい。また、第2耳部26による水平方向の付勢力112は、第1耳部25による水平方向の付勢力103よりも大きい。
次にピストン10の作用について説明する。ピストン10がシリンダ1内を上死点に向かって摺動(上昇)するとき、オイルリング20の第1サイドレール21及び第2サイドレール22は、シリンダ1の壁面に摺接する。また、第2サイドレール22は溝下面32に押し付けられる。これにより、セカンドリング15とオイルリング20の間のオイルの余剰分が、第1サイドレール21と溝上面31との間を介して背面通路33に流れる。背面通路33に流入したオイルは、オイル戻し孔を介してクランクケース側に供給される。なお、クランクケースは、ピストン10の鉛直方向下方に配置されている。
ピストン10がシリンダ1内を下死点に向かって摺動(下降)するとき、オイルリング20の第1サイドレール21及び第2サイドレール22は、シリンダ1の壁面に摺接する。また、第1サイドレール21は溝上面31に押し付けられる。これにより、第2サイドレール22によって掻き落とされたオイルの余剰分が、第2サイドレール22及び溝下面32の間を介して背面通路33に流れる。背面通路33に流入したオイルは、オイル戻し孔を介してクランクケース側に流れる。
一方、内燃機関の高回転時においては、エキスパンダ23に作用する慣性力により、オイルリング20が溝上面31及び溝下面32に対して浮き上がるような現象(以下、浮き上がり現象)が生じることが知られている。第1サイドレール21が第3リング溝13の溝上面31に対して浮き上がると、吸気行程などにおいて燃焼室内の圧力が低下することにより、オイルが第1サイドレール21と溝上面31との間を介してセカンドリング15側に吸引される、いわゆるオイル上がりが生じやすくなる。これに対し、上述したように第1耳部25の耳角θ1を第2耳部26の耳角θ2よりも大きくすることによって、第1サイドレール21の浮き上がり現象が生じる時間を短くすることができる。
図4に示すグラフを参照して、第1耳部25の耳角θ1の大きさが溝上面31に対するシール力に与える影響について説明する。縦軸は、第1耳部25により発生する溝上面31に対するシール力を示し、横軸はクランク角を示す。第1サイドレール21の浮き上がり現象は、第1サイドレール21のシール力が「0」以下であるときに発生する。ピストン10が上死点から下死点まで下降するとき(0deg〜180deg)、耳角θ1が「15deg」であるオイルリングのほうが、耳角θ1が「5deg」であるオイルリングよりも、第1サイドレール21の浮き上がりが生じるタイミングが遅い。すなわち、耳角θ2に比べ耳角θ1が大きいオイルリング20においては、第2サイドレール22の浮き上がり現象が生じるタイミングよりも、第1サイドレール21の浮き上がり現象が生じるタイミングが遅くなる。このため、第2サイドレール22浮き上がり現象が発生している時間に比べ、第1サイドレール21の浮き上がり現象が発生している時間は短くなる。このようにすることによって、オイル上がりによって消費されるオイル量も低減することができる。なお、耳角θ1が「15deg」であるオイルリング及び耳角θ1が「5deg」であるオイルリングは、第2耳部の角度は同一である。
したがって、第1耳部25の耳角θ1を第2耳部26の耳角θ2よりも大きくすることによって、オイルリング20の張力を大きくすることなく、溝上面31に対するシール性能を向上することができる。また、第2耳部26が第2サイドレール22を押圧する付勢力は、第1耳部25が第1サイドレール21を押圧する付勢力よりも水平方向の付勢力が大きいことから、第2サイドレール22とシリンダ1の壁面とのシール性能も維持することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかるピストンによれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)エキスパンダ23の第1耳部25は第1サイドレール21をオイルリング20の径方向外側及び溝上面31側に付勢する。エキスパンダ23の第2耳部26は第2サイドレール22をオイルリング20の径方向外側及び溝下面32側に付勢する。第1耳部25の耳角θ1は、第2耳部26の耳角θ2よりも大きいため、例えば内燃機関の高回転時などに第1サイドレール21の浮き上がりが開始されるタイミングを遅らせることができる。これにより、オイルリング20の張力を低くしつつ、シール性能の向上することができる。
(第2実施形態)
以下、図5を参照して、オイルリングを備えるピストンを具体化した第2実施形態を説明する。なお、本実施形態にかかるピストンも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、重複する説明は割愛する。
第1サイドレール21は、第1実施形態の第1サイドレール21と同じ構成である。エキスパンダ23は、第1耳部25と第2耳部26とが同じ耳角を有する以外、第1実施形態のエキスパンダ23と同様の構成である。
第2サイドレール22は、溝下面32側の側面からエキスパンダ23側の側面までの高さHが、径方向外側に向かうにつれて大きくなっている。第2サイドレール22の溝下面32側の側面は、径方向外側に向かうにつれて、溝下面32に近づくように傾斜している。すなわち、第3リング溝13の溝上面31を押圧する第1サイドレール21と、溝下面32を押圧する第2サイドレール22とが非対称である。
次に、このオイルリング20を備えたピストン10の作用について説明する。内燃機関の運転時には、ピストン10が支点を中心にして回転する挙動(首振り挙動)や、ピストン10がその中心軸に対して傾く挙動が生じる。このとき、ピストン10とシリンダ1の壁面との間に介在するオイルに圧力が加わる。また、第1サイドレール21及び第2サイドレール22が均一の高さを有しているオイルリングにおいては、当該オイルリングと溝上面31及び溝下面32との間の隙間が拡大されてシール性能が低下する。これにより、圧力が上昇するとともにオイルが潤沢であるオイルリング20の下側から、燃焼室側へとオイルが移動しやすくなる。燃焼室側へオイルが移動すると、そのオイルが燃焼室で燃焼されることで消費されてしまう。
上述したオイルリング20は、第2サイドレール22が径方向外側に向かうにつれて高さHが大きくなる形状であるため、ピストン10の周面とシリンダ1の壁面との距離が短くなってオイルリング20が第3リング溝13内に押し込まれると、エキスパンダ23が、第1サイドレール21と第2サイドレール22との間で、その軸方向に圧縮される。これにより、エキスパンダ23による第1サイドレール21への付勢力、及び第2サイドレール22への付勢力が、オイルリング20が押し込まれる前に比べ大きくなる。そのため、首振り挙動などの現象が発生し、シリンダ1の壁面とピストン10との距離が小さくなった場合でも、第3リング溝13の溝下面32及び溝上面31とオイルリング20との間のシール性能の維持が図られるようになる。特に、第1サイドレール21の溝上面31側の側面は平面であり、エキスパンダ23の付勢力によって溝上面31に密着するため、オイルリング20及び溝上面31との間のシール性能が高められる。したがって、オイルリング20の張力を高めることなく、ピストン10の周面とシリンダ1の壁面との距離が短くときにもシール性を維持することができる。このため、オイル上がりを抑制することができる。
また、オイルリング20が第3リング溝13に押し込まれると、第2サイドレール22の溝下面32側の傾斜により、オイルリング20には、第3リング溝13から押し出される方向の力、即ち径方向外側の力が作用する。そのため、オイルリング20とシリンダ1の壁面とのシール性能の維持も図ることができる。さらに、エキスパンダ23は、第1サイドレール21及び第2サイドレール22の間で圧縮されることによって伸張し、内径が拡大する。そのため、エキスパンダ23の第1耳部25が第1サイドレール21を径方向外側に押圧する力、及び第2耳部26が第2サイドレール22を径方向外側に押圧する力が大きくなるため、これによっても、オイルリング20とシリンダ1の壁面とのシール性能を高めることができる。また、首振り挙動などが生じたとき、ピストン10には、シリンダ1の壁面に押し付けられたオイルリング20から径方向内側に向かう力が作用する。このときオイルリング20からピストン10に加わる力は、均一の高さHの第1サイドレール21及び第2サイドレール22を備えるオイルリングよりも大きい。そのため、ピストン10のがたつきや回転を抑える効果も期待できる。
以上説明したように、本実施形態のピストンによれば、以下の効果が得られるようになる。
(2)第2サイドレール22の高さは、径方向外側に向かうにつれて大きくなっている。このため、首振り挙動などによりシリンダ1の壁面とピストン10との距離が小さくなったとき、第3リング溝13に押し込まれた第2サイドレール22によりエキスパンダ23の付勢力を高めることができる。これにより、オイルリング20の張力を大きくせずに、シール性能を向上することができる。
(第3実施形態)
以下、図6〜図8を参照して、オイルリングを備えるピストンを具体化した第3実施形態を説明する。なお、本実施形態において第1実施形態と重複する説明は割愛する。
図6に示すように、オイルリング20は、2ピース型であって、円環状のリング本体41と、コイルエキスパンダ42とを備えている。リング本体41は、周方向の一箇所に合口を有している。また、リング本体41は、その外周面に溝部43が設けられることにより、上側突部45及び下側突部46が形成されている。コイルエキスパンダ42は、線材をコイル状に巻いたものを円環状に繋ぐことにより形成されている。コイルエキスパンダ42は、リング本体41の内側に備えられており、コイルエキスパンダ42はリング本体41を径方向外側へ向かって付勢している。ピストン10の下降に伴いオイルリング20が掻き落としたオイルは、オイルリング20と第3リング溝13との間の背面通路33に流入した後、図示しないオイル戻し孔を介してクランクケース側に供給される。
図6に示すように、第3リング溝13の溝上面31には、径方向外側に向かうにつれ燃焼室側(上側)に位置する傾斜面47が設けられている。傾斜面47とリング本体41までの長さ(高さ)は径方向外側に向かうにつれ長くなる。傾斜面47は、第3リング溝13のうち、スラスト側、及び反スラスト側(図1参照)に設けられている。スラスト側とは、燃焼行程にてピストン10がシリンダ1の壁面に押し付けられる位相側をいい、反スラスト側とは、その反対側(180°離れた位相)をいう。傾斜面47は、スラスト側及び反スラスト側の両方に所定の角度範囲に亘って設けられている。
ピストン10の中心軸がシリンダ1の中心軸に対して平行であるとき、リング本体41の上面と傾斜面47とがなす傾斜角度θ3は、0.1deg以上0.3deg以下である。この傾斜角度θ3は、ピストン10の回転運動の角度に基づき定めることができる。なお、図6はオイルリング20が溝下面32に密着した状態を示している。
一方、図7に示すように、第3リング溝13の溝上面31のうち、ピストン10のスラスト側及び反スラスト側の中間位置であるフロント側及びリア側には、傾斜面が設けられていない。スラスト側及び反スラスト側の傾斜面47は、フロント側及びリア側に向かうにつれその傾斜角度θ3が小さくなり、フロント側及びリア側の溝上面31と滑らかに接続する。
次に図8(a)及び図8(b)を参照して、ピストン10の作用について説明する。
図8(b)に示すように、スラスト側及び反スラスト側において溝上面31側の面が傾斜していないピストンにおいては、ピストンの回転などにより、例えばピストンがスラスト側へ傾くと、リング本体121の上面と溝上面31との当接によりオイルリングもスラスト側へ傾く。これにより、ピストンの傾き角度によっては、コイルエキスパンダ42の付勢力に抗して、下側突部124はシリンダ1の壁面から離れてしまう。
図8(a)に示すように、傾斜面47を有するピストン10においては、ピストン10の回転などにより、例えばピストン10がスラスト側へ傾いたとき、傾斜面47の傾斜角度θ3によって、ピストン10の傾きを吸収することができる。つまり、オイルリング20は第3リング溝13内で傾斜角度θ3分だけ傾くことができるので、ピストン10がスラスト側へ傾いたとき、コイルエキスパンダ42の付勢力に従って上側突部45及び下側突部46をシリンダ1の壁面に摺接させることができる。また、リング本体41は、溝上面31に密着するため、オイルリング20と溝上面31との間のシール性も維持される。このため、ピストン10の傾きに伴うオイル上がりを抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかるピストンによれば、以下の効果が得られるようになる。
(3)ピストン10の第3リング溝13の溝上面31には、傾斜面47が設けられている。このため、ピストン10の首振り挙動などによりシリンダ1の壁面とピストン10との距離が小さくなったとき、スラスト側及び反スラスト側に設けられた傾斜面47によりピストン10の傾きを吸収することができる。これにより、オイルリング20の張力を大きくせずに、シール性能を向上することができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・図9(a)に、第3実施形態と基本的な構成が同一である他の実施形態を示す。第3実施形態のピストン10は、スラスト側及び反スラスト側の溝上面31のうち、径方向の幅全体が傾斜しているが、溝上面31のうち径方向の一部に傾斜角度θ4の傾斜面50を設けてもよい。傾斜角度θ4は、傾斜面47の傾斜角度θ3と同じ範囲としてもよいし、傾斜角度θ3よりも大きくてもよく、小さくてもよい。このようにしても、オイルリング20とシリンダ1の壁面とのシール性能を向上することができる。
・図9(b)に示すように、2ピース型のオイルリング20のうち、リング本体41の溝上面31側の上面に傾斜面60を設けてもよい。傾斜面60は、リング本体41のうち、スラスト側及び反スラスト側に設けられている。傾斜面60が溝上面31となす傾斜角度θ5は、ピストン10の回転運動における傾斜角度に基づき決定される。これにより、ピストン10が回転運動をしても、リング本体41に設けた傾斜面60と溝上面31とがなす傾斜角度θ5により、ピストン10の傾きを吸収することができる。
・図9(b)に示す上記実施形態は、2ピース型のオイルリング20に傾斜面60を設けたが、3ピース型のオイルリングの第1サイドレール21のうち溝上面31側の側面に傾斜面を設けてもよい。
・第2実施形態では、第2サイドレール22を径方向外側に向かうにつれ高さHが大きくなる構成とした。これ以外に、第1サイドレール21と溝上面31との密着性が維持できるのであれば、第1サイドレール21を径方向外側に向かうにつれ高さHが大きくなる構成としてもよい。また、第1サイドレール21及び第2サイドレール22の両方を、方向外側に向かうにつれ高さHが大きくなる構成としてもよい。
・第3実施形態では、オイルリング20を、2ピース型のものとしたが、3ピース型のオイルリングであってもよい。
・ピストンは、第1実施形態〜第3実施形態及び他の実施形態の構成を複数組み合わせたものであってもよい。例えば、オイルリング20は、耳角θ1、θ2が異なるエキスパンダ23と、径方向外側に伴い高さが大きくなる第2サイドレール22及び高さが均一の第1サイドレール21とを備えてもよい。又は、耳角θ1、θ2が異なるエキスパンダ23を有するオイルリング20を備えるピストンにおいて、当該オイルリング20が装着される第3リング溝13の溝上面31を傾斜面47としてもよい。又は、径方向外側に伴い高さが大きくなる第2サイドレール22を有するオイルリング20を備えるピストンにおいて、第1サイドレール21の溝上面31側の面を傾斜面としてもよい。
1…シリンダ、10…ピストン、11…第1リング溝、12…第2リング溝、13…第3リング溝、14…トップリング、15…セカンドリング、20…オイルリング、21…第1サイドレール、22…第2サイドレール、23…エキスパンダ、25…第1耳部、26…第2耳部、27…第1傾斜面、28…第2傾斜面、29…凸部、31…溝上面、32…溝下面、33…背面通路、41…リング本体、42…コイルエキスパンダ、43…溝部、45…上側突部、46…下側突部、47…傾斜面、50…傾斜面、60…傾斜面。

Claims (1)

  1. 周面に形成されたオイルリング溝にオイルリングが装着され、シリンダ内を往復動する内燃機関のピストンにおいて、
    前記オイルリング溝のうち、燃焼室側の面を溝上面、当該溝上面に対向する面を溝下面とするとき、前記オイルリング及び前記溝上面の間のシール力を発生させる部位と、前記オイルリング及び前記溝下面の間のシール力を発生させる部位とが非対称である
    ことを特徴とする内燃機関のピストン。
JP2015119381A 2015-06-12 2015-06-12 内燃機関のピストン Pending JP2017003056A (ja)

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