本発明は圧力センサを備えた、アクティブ型の位置指示器、特にアクティブ型のペンに関する。
タッチデバイスは様々な応用分野で使用されており、これらの分野において、物体の存在の検出は、限定されてはいないが、タッチパッド、タッチパネル、タッチスクリーン、あるいは投影型静電容量方式ディスプレーなどのような物体の存在の検出が含まれる。タッチデバイスは、タッチデバイスに接触している受動物体を検出し、かつ接触の位置を確定することができる。これにより例えばユーザーの制御ができる。接触の位置検出の品質が接触面の大きさと共に下がるのは不適当なことである。従って、ペンの先端部の位置検出の品質は、高い検出誤差によってだけに検出される恐れがある。従って、アクティブ型のペンのようなアクティブ型の位置指示器は、低い誤差でもってアクティブ型の位置指示器の位置を検出するために、タッチデバイスをサポートするための電気回路を備えている。これは例えば容量結合あるいは誘導結合により達せられることができる。ある種のタッチデバイス、例えば容量式タッチデバイスあるいは誘導式タッチデバイスを使用する際に、受動的接触を検出するための同じセンサは、能動的位置指示器の先端部から発せられる電気信号を検出するために使用されてもよい。異なるタイプの能動的位置指示器がある。電気信号を発信して特定の能動的位置指示器を検出するウィンドウと同期する能動的位置指示器がある。電気信号の連続的発信による、すなわちタッチデバイスに対して能動的位置指示器において如何なる同期をすることのない、他の能動的位置指示器がある。バッテリにより、もしくは環境からエネルギーを得るためのエネルギー取り入れ装置により、作動される能動的位置指示器がある。応答機信号から作動のために必要な電力を得るための応答機のように作動される電源のない能動的位置指示器もある。特許文献1は、例えば連続的に発信する能動的位置指示器を備えた容量式タッチデバイスを示しており、容量式タッチデバイスは受動的および能動的接触を検出するための同じ容量式検出センサを使用する。
タッチデバイスで書かれる相互作用の良好な検出に関する別の問題は、ペンにより印加される圧力をどう理解するかである。印加される圧力を直接検出することができるタッチデバイスも中にはある。しかしアクティブ型のペンによるほとんどの解決手段において、ペンは先端部に印加される圧力を検出する圧力センサを備えており、かつ検出された圧力をタッチデバイスに送り戻す。しかし、圧力センサに関する技術の解決手段の状況は幾つかの短所を有する。
圧力センサは可動な部品、バネそして多くはプリント回路基板への可動な部品の電気的接続部を必要とする。これによりペンの組立、構造の複雑さおよび頑丈さのために時間が増大する。
特に図あるいは字を書いている間、能動的ペンに印加される力は、とても小さな力から極めて高い力に変わる恐れがある。これにより高い精度で印加される先端部の力を検出するための困難性は増す。
一つの問題は、一定の剛性を有する渦巻バネあるいは他の弾性要素の通常の使用である。従って、先端部に印加される力の一定の変化は、弱い力と強い力に関して先端部の同じ変位をもたらす。先端部の変位は最小にすぎないので、従って実現は小さな力を高い精度で検出することはできるが、一定の閾値より上の大きな力を検出できないかあるいは高い印加力までの力の高い範囲を低い精度で検出する。代替え案は両方とも不十分なので、剛性の小さいバネが弱い力に関して支配的であり、剛性の高い第二のバネが圧力センサで検出可能な力の範囲を広げるために大きな力に関して支配的であるように、一部の解決手段は、異なる剛性を有する二つのバネを備えている。しかし、このような解決手段により圧力センサの複雑さ、大きさそして頑丈さが増大する。さらに渦巻バネは組立てるのが難しくかつ大きなスペースを必要とする問題を有する。
検出精度に関するもう一つの問題は、印加される力を検出するのに利用できる先端部の最大限の変位がごく小さいことである。先端部の変位に依存した容量値を備えた容量素子は、実際の先端部の変位を検出するために使用されることが多い。二つのキャパシタ板の距離が先端部の変位に依存して変化する場合、これにより先端部の変位の逆数に依存した容量値が得られる。従って、小さい先端部の変位は、容量値の早い変化のために極めて高い精度で検出されることができるが、大きな先端部の変位では、容量値の緩やかな変化のために、急速に精度は下がる。代替え的に、線形挙動で先端部の変位を検出するための手段がある。しかし、このような線形解決手段では、小さい先端部の変位での高い精度を実現することができない。前記短所にもかかわらず、容量式の解決手段は、良く知られるようにかつ容易に実装可能であるように長所を有する。
従って、本発明の課題は、上述の問題を克服する、圧力センサを備えたアクティブ型の位置指示器を提供することである。
本発明の課題はペンを組立てるための時間が短縮され、構造の複雑さが軽減され、かつ頑丈さが増した、圧力センサを備えたアクティブ型の位置指示器を提供することである。
小さい力の状態で高い精度の高い力検出範囲を有する複雑さの低い圧力センサを備えたアクティブ型の位置指示器を提供することが本発明の課題である。
実施形態においてこれらの課題は独立請求項により達せられる。
一実施形態において、これらの課題は以下の特徴を備えたアクティブ型の位置指示器により達成される。可動な先端要素は、先端部に作用する力に依存した先端部の変位により動かされるように構成されている。先端部に作用する力を検出するための力センサは、先端部の変位に抗して先端要素に作用している弾性要素を備えており、弾性要素は板バネである。
板バネは、一つのバネ板材料から製造されており、かつ先端部の変位に依存した形状、大きさ、剛性のような必要条件に高度に適応されることができるという大きな長所を有する。さらに、板バネは可動な先端部の変位に容易に接触することができる。
一実施形態において、これらの課題は、以下の特徴を備えたアクティブ型の位置指示器により達成される。可動な先端要素は先端部に作用する力に依存した先端部の変位により動かされるように構成されている。位置信号回路は、前記可動な先端要素と接続されており、かつ先端部によるタッチデバイスとの電気的結合のための指示器の位置信号を発生させるように構成されている。先端部に作用する力を検出するための力センサは、先端部の変位を知らせるための帰還信号を発生させるために、先端部の変位に依存した容量値を備えた容量素子を備えている。容量素子は先端部の変位に依存した容量距離と先端部の変位に依存した容量面積を備えている。
特に小さな力のための力の範囲と感度の必要条件が達成されることができるように、このことは、先端部の変位にわたる容量値の挙動が高い自由度でもって構成されることができるという長所を有する。
一実施形態において、これらの課題は、以下の特徴を備えたアクティブ型の位置指示器により達成される。可動な先端要素は、先端部に作用する力に依存した先端部の変位により動かされるように構成されている。位置信号回路は前記可動な先端要素と接続されており、かつ先端部によりタッチデバイスと電気的に結合するための指示器の位置信号を発生するように構成されている。先端部に作用する力を検出するための力センサは、先端部の変位に抗して先端要素に作用する弾性要素を備えている。弾性要素は電気的に導電性であり、位置信号回路は前記可動な先端要素と前記弾性要素を介して電気的に接続されている。
このことは、接触するための要素と先端部の力に抗して作用するための弾性要素が組合わされることができるという長所を有する。これにより場所が節約され、かつ可動な要素に接触するための問題は避けられる。
一実施形態において、これらの課題は、以下の特徴を備えたアクティブ型の位置指示器により達成される。可動な先端要素は先端部に作用する力に依存した先端部の変位により動かされるように構成されている。先端部に作用する力を検出するための力センサは、先端部の変位に抗して先端要素に作用する弾性要素を備えており、弾性要素は先端部の変位に依存した剛性が非線形である。
非線形バネは、小さな力での力の一定の変化が、より大きな力での力の一定の変化に比べて先端部の変位のより大きな変化をもたらすことができるという長所を有する。
本発明は、例として与えられた実施例の記載によりより適切に理解されかつ図で示される。
アクティブ型のペンの実施例の三次元図を示す。
外側ハウジングのない、図1の実施形態の三次元図を示す。
アクティブ型のペンのための力センサの実施形態の三次元図を示す。
力センサの透明なハウジングによる図3の力センサの三次元図を示す。
図3の力センサの容量素子の第二のキャパシタ板の平面図を示す。
第一のキャパシタ板と第二のキャパシタ板を備えた、図3の力センサの容量素子の断面図を示す。
第一のキャパシタ板と第二のキャパシタ板が初期位置にある状態の、図3の力センサの容量素子の三次元図を示す。
第一のキャパシタ板と第二のキャパシタ板を備えた図3の力センサの容量素子の平面図を示す。
バネを備えた図3の力センサのハウジングの三次元図を示す。
バネを備えた図3の力センサのハウジングの平面図を示す。
図9のバネの三次元図を示す。
図9のバネの第一の側面図を示す。
図9のバネの第二の側面図を示す。
バネの代替え的実施形態の平面図を示す。
図13Aのバネの代替え的実施形態の側面図を示す。
図13Aのバネの代替え的実施形態の生産段階を示す図を示す。
先端部3に印加される力に対する異なる容量素子のキャパシタンス値を示す曲線を示す。
図1〜13はアクティブ型のペン5の実施形態を示す。以下に記載のアクティブ型のペンにより開示されたものはすべて、他のタイプのアクティブ型の位置指示器すべてに適用可能である。
アクティブ型のペン5は、ペンハウジング6、バッテリ7、プリント回路基板8、力センサおよび先端部3を有する先端要素10を備えている。
ペンハウジング6は、バッテリ7、プリント回路基板8および力センサの力検出機構9を密閉するのが好ましい。ペンハウジング6は、先端部3がペンハウジング6の外側に配置されており、かつ先端要素10の棒状体11を介してペンハウジング6の内部室と接続されるように、先端要素10を包含している開口部を備えているのが好ましい。ペンハウジング6の開口部は、先端要素10が変位方向に動かされることができるようにだけ先端要素10の棒状体11を案内するのが好ましい。しかし、異なる方向の力を検出することも可能である。ペンハウジング6は円筒形状を有し、変位方向は長手方向円筒軸線に対して平行であるのが好ましい。定義に従い、先端部3を備えたアクティブ型のペン5の側/端部は遠位の側/端部と名付けられ、変位方向におけるアクティブ型のペン5の対向した側/端部は近位の側/端部と呼ばれる。示された実施形態において、ペンハウジング6は、バッテリ7、プリント回路基板8および力検出機構9を有する筒状部6.1、前記開口部と先端要素を有する円錐部6.2およびキャップ6.3を備えている。さらに筒状部6.1は、プリント回路基板8上の電源スイッチ8.1と相互作用するように構成された電源ボタン6.4を備えている。円錐部6.2は、その近位の端部でもって筒状部6.1の遠位の端部に取付けられている。円錐部6.2の遠位の端部は、先端要素10のための開口部を備えている。円錐部6.2は、近位の端部から遠位の端部まで細くなっている円錐形を有するのが好ましい。筒状ハウジング6.1の近位の端部は、近位の端部でペンハウジング6を閉鎖しているキャップ6.3に取付けられている。好ましい実施形態において、キャップ6.3はバッテリ7を交換するための、例えば留め金具あるいはネジ切り機構により着脱可能であるべきである。加えて、キャップ6.3は、プリント回路基板8のバッテリ端子を電源端子に接続するための、必要な接触圧力を発生させるべきである。
アクティブ型のペン5の示された実施形態は、電源としてのバッテリ7により作動する。しかし、必要な電力を供給しているいずれの他の手段も代替え的に使用されてもよい。例えば、バッテリ7は周囲の状況から、例えば光、温度、(例えばタッチデバイスから与えられる)電磁波、(例えばタッチデバイスとの)電気的結合、ペンの動き、等からエネルギーを取入れるためのエネルギー取入れ機構により置換えられることができる。
プリント回路基板8は、この実施形態においては、アクティブ型のペン5の全てのあるいは少なくともほとんどの電子回路構成部分を備えている。プリント回路基板8は、アクティブ型のペン5のあるいはペンハウジング6の筒状部6.1の長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線を有する。プリント回路基板8の大きさは、一実施形態においては、ペンハウジング6、特に筒状ハウジング6.1の内径に相当する。示された実施形態において、プリント回路基板8は、力検出機構9の遠位の端部および/またはプリント回路基板8の電源端子8.3の近位の端部により保持されているかあるいはこれらを保持する。プリント回路基板8が、全半径方向において、力検出機構9のハウジング9.1を介して、および/または電源端子8.3を介して付加的に固定されるように、力検出機構のハウジング9.1および/または電源端子8.3は、ハウジング6により提供された中空円筒の内部形状に相当している円筒形状を有する。しかしプリント回路基板8は、例えばプリント回路基板8のためのレールにより、ハウジング6内に直接固定されていてもよい。プリント回路基板8は、力検出機構9のハウジング9.1を保持するために構成されたその遠位の端部に二つのアーム8.2を形成する。二つのアーム8.2間の最大距離を許容するために、アームは力検出機構のハウジング9.1上の予想される応力に対して抵抗すべき厚さを備えたプリント回路基板8の両側面に配置されている。力検出機構のハウジング9.1はプリント回路基板8の二つのアーム8.2を構成するために(図3〜5と図7〜10に示された)二つの凹部13を備えることができる。アーム8.2が凹部13を占めるようにアーム8.2と凹部13の寸法は設計されているのが好ましく、その結果として、ハウジング9.1は尖端部3の変位方向に対して半径方向に動くことはできない。力検出機構のハウジング9.1の側面(ハウジング6の長手方向軸線に対して通常半径方向の面)は、プリント回路基板8の側面と接触している。プリント回路基板8の長手方向に力検出機構のハウジング9.1を固定するために、かつスナップフィット固定を実現するために、アーム8.2の遠位の端部はフックを備えていてもよい。しかし他の固定も可能である。
プリント回路基板8は、ペンの位置信号を発生させかつ出力するための位置信号回路を備えているのが好ましい。ペンの位置信号は周期的な信号、例えば正弦波信号および/または余弦波信号であるのが好ましく、一定の周波数はタッチデバイスにおいて転送されかつ検出されるのに適している。このような位置信号回路は、例えば発振器と増幅器を備えている。位置信号回路の出力部は、プリント回路基板8の少なくとも一つの出力端子に接続されているのが好ましい。プリント回路基板8の出力部は、先端部3で発生されたペンの位置信号を供給するための先端部3に導電的に接続されているのが好ましい。先端部3に印加される信号は、タッチデバイスとの電気的結合を生む。このような結合は容量結合および/または誘導結合であるのが好ましいが、タッチデバイスで受けることができる随意の電磁波の放出であってもよい。出力端子は、その初期位置において先端要素10を保持している導電的な弾性要素、例えば先端要素10に導電的に接続されている金属製のバネに導電的に接続されているのが好ましい。これは固定されたプリント回路基板8に対する可動な先端要素10を接触させる問題を解決する。
プリント回路基板8は、力検出機構9から受ける電子帰還信号に基づいて先端部3に印加される力を検出するための力センサの力検出回路を備えているのが好ましい。力検出回路に入力部は、回路基板8の少なくとも一つの帰還入力端子に導電的に接続されているのが好ましい。回路基板8の少なくとも一つの帰還入力端子は、力検出機構9の帰還端子に接触するように構成された二つのアーム8.2の内の少なくとも一つ上に配置されているのが好ましい。従って、少なくとも一つの凹部13は導電面を備えており、この導電面は少なくとも一つの帰還入力端子を備えた少なくとも一つのアーム8.2の導電面と導電的に接触している。力検出機構9の帰還信号のための二つの入力端子が、プリント回路基板8の二つのアーム8.2の各々に一つあるのが好ましい。示された実施形態において、力検出機構9は(以下に記載された)先端部の変位に依存した容量値を有する可変の容量素子を備えている。示された実施形態において、ペンの位置信号は容量素子の第二のキャパシタ板12に送られ、帰還信号は容量素子の第一のキャパシタ板14から力検出回路に送られる。ペンの位置信号は固定された周波数かあるいは少なくとも公知の周波数を有するので、第二のキャパシタ板12から力検出回路への経路の複素抵抗は、容量素子の容量値に左右される。従って、帰還信号により、それ自体先端の変位にのみ依存する容量素子の容量値を確定することができる。力検出回路は複素抵抗のための値を測定し、この値は例えばルックアップテーブルにより、力に関する値に処理されることができる容量素子により提供される。複素抵抗を確定するための一例は、例えば帰還信号を整流しかつ帰還信号に低域フィルタをかけることにより確定されることができる。これにより複素抵抗のための測定を与える帰還信号の増幅のための値が得られる。ペンの位置信号の代わりに、容量値を検出するために、容量素子により印加される他の信号を使用することも可能である。しかし、容量値あるいは先端要素の変位に依存した他の電子的値のための他の測定方法も確定されおよび/または力検出回路内で力の値に変換される。
さらにプリント回路基板8は、タッチデバイスに先端部3を作用させている検出された力(力データ)を転送するための力データ転送回路を備えていてもよい。一実施形態において、力データ転送回路は、先端部3をタッチデバイスと電気的に結合することによりタッチデバイスに力データを転送するための先端部3に接続されている。力データはペンの位置信号の周期間に転送されることができおよび/または力データは連続的に変調されるかあるいはペンの位置信号に関するデータ転送窓において変調されてもよい。ここでは周波数、増幅あるいは変調の他のモードのような異なる変調が使用されてもよい。別の実施形態において、力データ転送回路は、タッチデバイスに力データを転送するための(先端部3ではなく)アンテナに接続されている。それ以外の実施形態において、力データはタッチデバイスに有線接続により転送されてもよい。
しかし、本発明はプリント回路基板8に限定されるものではない。他の回路基板あるいは電子回路の他の実現態様も、アクティブ型のペンの電子機能を満たすために使用されてもよい。
先端要素10は、遠位の端部に先端部3を備え、近位の端部に容量素子の第一のキャパシタ板12を備えている。第一のキャパシタ板12は、以後により詳細に記載される力検出機構9の部分でもある。先端部3と第一のキャパシタ板12は棒状体11により接続されている。先端部3は位置信号回路から受けたペンの位置信号を出すための導電材料を備えている。示された実施形態において、先端部3は導電性コア3’を、好ましくは図3および4に示されたような金属コアを備えており、この金属コアは保護キャップにより覆われており、この保護キャップは発信されるペンの位置信号を通過させるように構成され、および/またはタッチスクリーンのあらゆる損傷を避けるように構成されている。先端部3にペンの位置信号を導くために、棒状体11も導電性材料を、好ましくは金属を備えるか、あるいは導電性材料、好ましくは金属でできているのが好ましい。代替え的実施形態において、棒状体11は非導電性材料でできており、かつ位置信号回路から先端部3にペンの位置信号を導くための導体を備えている。このような導体は棒状体11の導電性コアであってもよい。第一のキャパシタ板12も導電性材料、好ましくは金属でできているのが好ましい。しかし、後に記載されている力検出機構9の容量素子の少なくとも一つのキャパシタ面のために、金属被覆部または金属面を備えた非導電性材料から第一のキャパシタ板12を作ることも可能である。先端要素10が少なくとも変位方向に動かされることができるように、先端要素10は可動に支持されている。支持はハウジング6により、例えばハウジング6の開口部により、および/または力検出機構9により行われることができる。先端部3に印加される力が無い場合、先端要素10は、初期位置にあるよぅに配置されている。さらに先端要素10は先端部3に印加される力に依存した先端部の変位により初期位置から動かされるように配置されている。アクティブ型のペン5は、最大の先端部の変位まで先端部の変位を制限している先端要素10のための最大限のストッパ要素を備えていてもよい。このような最大限のストッパ要素は、ハウジング6あるいは力検出機構9に設けられることができる。
力検出機構9は、先端部の変位に依存したキャパシタンス値を備えた容量素子と、初期位置で先端要素を保持するためのおよび/または変位方向に先端部3上に印加される力に抗して作用させるための弾性要素とを備えている。
示された実施形態において、容量素子は第一のキャパシタ板14と第二のキャパシタ板12を備えている。第一のキャパシタ板14はハウジング6および/または力検出機構9のハウジング9.1に対して固定されているのが好ましいが、第二のキャパシタ板12は先端部の変位に依存して動く。代替え的に、第一および第二のキャパシタ板14と12の、互いに関連する相対移動があることも逆に重要である。示された実施形態において、第2のキャパシタ板12が、第一のキャパシタ板14に対して最少距離をおいて先端要素10の初期位置に配置されているように、そして第一および第二のキャパシタ板14と12の距離が先端部の変位と共に線形に増すように第一のキャパシタ板14は配置されている。示された実施形態において、第一および第二のキャパシタ板14と12が導電的に接続されているように、そして先端要素10の初期位置が容易に検出可能であるように最小距離はゼロである。しかし、両キャパシタ板の間の最小距離がゼロと等しくないことも可能である。これにより電力消費が増大することによる短絡は回避される。これは容量素子のキャパシタンス値の挙動を調整するために使用されることもできる。その理由は、これにより先端部3の初期位置におけるキャパシタンス値の初期値が減少することにある(後に記載されている線形挙動を備えた別の容量部分がある場合に、このことは容量素子の線形挙動を増大させる)。第一のキャパシタ板14と第二のキャパシタ板12の間には、二つのキャパシタ板12と14の間のゼロではない初期位置を実現するための絶縁材料あるいは誘電材料が配置されている。これは絶縁体あるいは誘電体コーティングにより面12.1あるいは12.2を被覆することにより達せられる。一実施形態において、第一のキャパシタ板14は遠位の側(先端部3の近く)に配置されており、第二のキャパシタ板12は近位の側(先端部3の遠く)に配置されている。これは第一のキャパシタ板14を通して好ましくは中心で棒状体11を案内することにより達せられる。
一実施形態において、容量素子は先端部の変位dに依存した容量値を有する。容量素子の容量値Cは、容量素子のキャパシタ面積Aと容量素子のキャパシタ距離xに基づいて計算される。キャパシタンス成分がキャパシタ面積Aとキャパシタ距離xを備えた二つの平行な平面により与えられる場合、キャパシタンス値は、キャパシタ距離xにより除算されたキャパシタ面積A、すなわちA/xに比例している。
容量素子の第一の実施形態において、キャパシタ板は、法線が先端部3の変位方向に対して平行であり、キャパシタ距離x1が先端部の変位dに等しいかあるいは直接比例している状態で、板面A1上で対向しておりかつ重なり合っている金属面を有している。これにより先端部の変位の逆数1/dに直接比例しているキャパシタンス値C1が得られる。複素比抵抗Z1はキャパシタンス値の逆数に直接比例しているので、複素比抵抗はこの場合、dに対して線形に比例している。しかし、このことは、先端部の小さい変位dが先端部の大きい変位dと同じ絶対誤差でもって検出される恐れがあるという短所を有する。しかし、先端部の小さい変位のために高感度を有するように所望されるので、従って先端部の小さい変位dの場合、相対誤差は大きくなり、このような解決手段は所望されない。図14は、(一定の剛性を有する弾性要素を備えた)先端部3に印加される力に対する異なる容量素子のキャパシタンス値を示す。関数18と20は、外径D0と内径D1を備えたリングにより規定されたキャパシタ面A1を有する第一の実施形態による容量素子を示す。関数18はD1/D0=0.3の径の関係に相当し、関数20はD1/D0=0.9の径の関係に相当する。関数18と20は、小さい力に対する先端部の変位は急勾配を有しているが、これらの勾配は、大きな力のための検出誤差が相当大きくなるように、増加する力に対する先端部の変位のために常にもっと平坦になる。
容量素子の第二の実施形態において、法線が先端部3の変位方向に対して直角になっており、キャパシタ面A2が先端部の変位dに等しいかあるいは直接比例している状態で、キャパシタ板は板面上に対向している金属面を有している。重なり合うキャパシタ面積A2が、先端部の変位dと線形に増減するように、二つのキャパシタ板の二つの面は配置されているが、距離x2は一定のままである。これにより、先端部の変位dに直接比例しているキャパシタンス値C2が得られる。複素比抵抗Z2は、キャパシタンス値の逆数に直接比例しているので、複素比抵抗はこの場合、1/dに線形に比例している。従って、先端部の小さい変位での小さい変化は、より高いキャパシタンス値の変化のために、先端部の大きな変位での変化に比べてかなり正確に検出されることができる。しかし、この手法にも短所がある。その理由は、先端部の大きな変位での変化を検出するための特性は現在、キャパシタンス値のほぼフラットな挙動により、大きな誤差でもってしか検出されることができないことにある。
容量素子の第三の実施形態は、先端部の小さい変位において、先端部の大きい変位よりもより速く変化する先端部の変位dにわたるキャパシタンス値の挙動を達成するために、第一と第二の実施形態の両方の長所を組合せるが、これは容量素子の第二の実施形態の負の影響を有していない。これはそのキャパシタ面積とキャパシタ距離が両方とも先端部の変位dに依存して変化する容量素子により達せられる。このような達成はアクティブ型のペン5により証明される。従って、第一のキャパシタ板12は、面の法線が先端部の変位に対して直角である(アクティブ型のペンの外部に対する位置決め)状態での、側方の導電性板面12.2と、面の法線が好ましくは先端部3の方向(遠位の方向)で先端部の変位に対して平行な状態での、軸線方向の導電性板面12.1とを備えている。第二のキャパシタ板14は、グラウンドの内側面の導電性板面と中空円筒の側面を備えた中空円筒として形成されている。容量素子の第二のキャパシタ板14は、面の法線が変位方向に対して直角に延びている(アクティブ型のペン5の中心に対する位置決め、すなわち側方の導電性板面12.2に対向している)状態の側方板面14.2と、面の法線が、変位方向に対し平行である、好ましくは先端部3から離れた方向(近位方向)にある、すなわち第二のキャパシタ板の軸線方向板面12.1に対向している状態の軸線方向板面14.1とを備えている。示された実施形態において、第二のキャパシタ板14はハウジング9.1により形成されており、このハウジングは、キャパシタ面を達成するためにハウジング9.1の内壁に金属被覆を有する。容量素子は、第一のキャパシタ面A1と第一のキャパシタ距離x1を有する第一のキャパシタ部分と、第二のキャパシタ面A2と第二のキャパシタ距離x2を有する第二のキャパシタ部分とに分割されている。第一のキャパシタ部分は、第一のキャパシタ距離x1が先端部の変位dに依存している状態の第一の実施形態に記載されているような挙動を有する。第二のキャパシタ部分は、第二のキャパシタ面A2が先端部の変位dに依存している状態の第二の実施形態に記載されているような挙動を有する。第一のキャパシタ板の軸線方向の導電性板面14.1と側方の導電性板面14.2が同じ電位であり、第二のキャパシタ板12の軸線方向の導電性板面12.1と側方の導電性板面12.2が同じ電位であることを考慮すると、第一のキャパシタ部分と第二のキャパシタ部分は、C1=k1A1/x1(d)およびC2=k2A2(d)/x2の並列回路として考えることができる。ここで、k1とk2は、電気定数ε0に依存して一定であり、かつキャパシタ板12と14の間の材料の相対静的誘電率である。従って、容量素子はC=C1+C2=k1A1/x1(d)+k2A2(d)/x2の容量値を有する。容量素子は、先端部の変位に依存したキャパシタの距離を持つ容量素子と、先端部の変位に依存したキャパシタ面を備えた容量素子との挙動の長所を組合わせている。従って、示された実施形態のキャパシタ面は、第二のキャパシタ板14の軸方向の導電性板面12.1に重なり合う第一のキャパシタ板14の軸方向の導電性板面14.1((D0−Di)2π)に加えて、第二のキャパシタ板12の側方の導電性板面12.2に重なり合う第一のキャパシタ板12の側方の導電性板面14.2(円周2πD0(h−d))であり、後者だけは先端部の変位に依存しで変わる。容量素子のキャパシタ距離は、軸方向のキャパシタ距離x1(d)と側方のキャパシタ距離x2から構成されており、前者(だけ)は先端部の変位dに依存して変わる。第一のキャパシタ板14の側方の導電性板面14.2と第二のキャパシタ板12の側方の導電性板面12.2の間の距離は、先端部の変位dに関して一定のままである、および/または第二のキャパシタ板12の軸方向の導電性板面12.1に重なり合う第一のキャパシタ板14の軸方向の導電性板面に対して一定のままである。関数17と19は、外径D0と内径D1を備えたリングにより規定されたキャパシタ面A1を備えた第三の実施形態による容量素子を示す。関数17はDi/D0=0.3の径の関係に相当する。関数19はDi/D0=0.9の径の関係に相当する。関数17と19は両方とも同じ高さhに相当する。関数17と19は、小さい力に対する先端部の変位に関しては有利な急勾配を維持しているが、大きい力に対する先端部の変位に関しては、これらの勾配は線形になり、従って先端部の大きい変位の場合でも、先端部の変位はある程度の所望の一定の誤差により確定されることができる。
距離x1とx2は、それらの相当している距離ベクトルの方向に対して何の制限もない距離を指し示すにすぎない。示された実施形態において、距離ベクトルは互いに直角であるが、平行なあるいは他の角度の向きのような直角以外の配置も可能である。
示された実施形態は、そのキャパシタ面と先端部の変位dに関係したそのキャパシタ距離を変える容量素子のための一例にすぎない。さらに、例えばこのことは先端部の変位に対して、各々1°と89°の間の、あるいは91°と179°の間の角度を有している面法線を備えた(好ましくは平行な)二つの板面を有する一つのキャパシタ部分によっても実現されることができ、従って先端部の変位dの変化は、キャパシタ距離とこのようなキャパシタ素子のおアーバーラップするキャパシタ面積を変える。さらに、それ以外のキャパシタ素子を実現することも可能であり、このキャパシタ素子の効果的なキャパシタ面積が変わると共に、その効果的なキャパシタ距離が先端部の変位と共に変わる。
しかし、別の実施形態においては、アクティブ型のペンの遠位の側にある先端要素10に接続されているキャパシタ板と、アクティブ型のペンの近位の側にある固定されたキャパシて板とを備えた容量素子を実現することも可能であり、その結果、キャパシタ板間の距離は先端部の変位を増大させることをより小さくする。
第一および第二のキャパシタ板が板と呼ばれても、このことはキャパシタ板に関する線形キャパシタ板および/または平坦なキャパシタ板に対する板の形状を限定しない。一方または両方の板が、彎曲したキャパシタ面、円形のキャパシタ面、楕円形のキャパシタ面、三角形のキャパシタ面、多角形のキャパシタ面を有していてもよい。記載された全ての実施形態において、両板のキャパシタ面が平行に配置されたとしても、このことは限定的ではなく、さらに角度のついた配置を備えたキャパシタ板も可能かもしれない。
代替え的に、力検出機構9は、先端部の変位を知らせる電気信号に先端部の変位を変換するための他の変換手段、例えば先端部の変位に依存したインダクタンス値を用いた誘導性素子を使用してもよい。
力検出機構9の弾性要素は、あらゆる弾性要素、例えばいずれの種類のバネであってもよい。弾性要素は、力センサの力測定範囲にわたり先端部3に印加される力に抗して(補正するように)作用する先端要素10へ力を印加するように構成されている。従って、力センサにより検出された力は、検出時における先端要素10に働く弾性要素の力に等しいかあるいはこの力に少なくとも線形に比例している。言い換えれば、(先端部の、異なる変位に対応する)先端要素10に働く弾性要素の力が異なる場合、異なる力は力センサにより測定される。このことは力センサの力検出範囲全体にわたり有効である。
示された実施形態において、弾性要素は図4、9、10、11、12および13に示されたような板バネ15である。板バネ15はリング状の形を有しているのが好ましく、板バネ15の二つのリング部分は弾性的リーフ部分15.1を形成するが、他の二つのリング部分は、板バネ15のための固定部分15.2を形成するように平らなままである。固定部分15.2の一つの側から見られる板バネ15は、図12に示されるように、台形の脚部あるいは側面を形成している弾性リーフ部分15.1でもって台形を形成するのが好ましい。言い換えれば、弾性のリーフ部分15.1は、板バネ15が先端部の変位方向に弾性的挙動を有するように上向きに(先端部の変位方向に)曲げられているかあるいは形成されている。板バネ15は、例えば一つのバネ板からリングを打抜き、バネ板の面の法線(リング中心軸線)の方向に二つのリング部分を曲げるかあるいは形成することにより、一つのバネ板、例えば金属板から形成されるように構成されている。一実施形態において、弾性のバネ板部分15.1は、二つの固定部分15.2を通る線に対して対称である。すなわち弾性のバネ板部分は等脚台形に相当している。しかし、板バネ15は非対称であってもよい。板バネ15は、一つだけのあるいは二つ以上の弾性バネ板部分15.1を備えていてもよい。しかし、板バネ15は固定部分15.2を有していなくてもよく、および/また弾性のバネ板部分15.1は、他の側面形状、例えば(固定部分15.2以外が)三角形の弾性のバネ板部分、丸い弾性バネ板部分(例えば楕円形の、多角形の、多項式形状の(polynomial)、円形の、等)等を有していてもよい。示された実施形態におけるリング形状は円形であるが、楕円形、三角形、長方形、正方形、n角形等のような他のリング形状も可能である。代替え的に、板バネ15は、好ましくは二つあるいはそれより多くのバネ板部分を有する非リング形状であってもよい。バネ板部分は例えば複数のバネ板指状部あるいは複数の三角形部により形成されていてもよい。
固定部分15.2は、複数の固定要素15.3.によりハウジング9.1に固定されており、これらの固定要素は固定部分15.2に対して直角に曲げられたバネ板指状部により形成されている。固定要素15.3は、弾性のバネ板部分15.1および/または固定部分15.2と同じ一つのバネ板から形成されるように構成されていてもよい。それらの固定要素15.3はハウジング9.1の孔16に挿入される。孔16はハウジング9.1に形成された中空円筒の近位の基面に配置されている。したがって、固定部分15.2は、力検出機構9のハウジング9.1の近位の内部の基面により支持されている。バネ板部分15.1が初期位置で小さい初期力でもって先端要素10を押付けるように、バネ板部分15.1は、張力をかけながら第二のキャパシタ板12により支持される。先端部3への力が初期力を超えると、先端要素10は板バネ15の力に抗して変位方向に動く。初期力は極めて小さいかあるいはゼロである。板バネ15は導電性があり、例えば金属から作られており、かつハウジング9.1を介してプリント回路基板8に接続されている。このことは、固定要素15.3と接触している孔16により、あるいはハウジング9.1の内部の基面と固定部分を介して実現されることができる。しかし、他の接触方法も可能である。さらに第二のキャパシタ板12上で固定部分15.2を固定し、ハウジング9.1上で弾性のバネ板部分15.1を固定することも可能である。本解決手段は、弾性要素がペンの位置信号のための先端要素10への接触機構として、かつ同時に力検出機構のための弾性要素として使用されるという長所を有する。力検出機構9のハウジング9.1内で弾性要素を支持することにより、先端部分3への力は、力検出機構9のハウジング9.1に伝達され、この力検出機構はプリント回路基板8の遠位の側を越えておよび/またはペンハウジング6まで力を伝達する。従って、ペンの位置信号のプリント回路基板8の出力端子にだけでなく、プリント回路基板8の全面的側および/またはペンハウジング6にも力を伝達することなく、先端要素10をプリント回路基板8と接触させるように、この解決手段は、弾性要素を一方の側で使用する。従って、プリント回路基板8上の損傷は効果的になくなる。
ハウジング9.1は、遠位のハーフシェル9.11と近位のハーフシェル9.12で形成されているのが好ましい。図7と8に示された遠位のハーフシェル9.11は、第一のキャパシタ板14と先端要素10の棒状体11を備えている。弾性要素の力が先端要素10の先端部分の変位に対して作用するように、近位のハーフシェル9.12は弾性要素を支持する。遠位のハーフシェル9.11と近位のハーフシェル9.12は協働して中空円筒を形成する。遠位のハーフシェル9.11と近位のハーフシェル9.12は、プリント回路基板8のアーム8.2により一緒に保持されるのが好ましい。この配設により、力検出機構9を弾性要素および先端要素10と共に組立てるためのハウジング9.1を開けることができる。
弾性要素の剛性S(d)は、先端部の変位dと共に変化するのが好ましい。これにより力F=−S(d)×dの非線形弾性素子がもたらされる。剛性は先端部の変位が増大するとともに増大するのが好ましい。このことはだんだんと増える剛性の増加あるいは段階的増加、例えば、初期位置から第一の先端部の変位への低い剛性および第一の先端部の変位と第二あるいは最大の先端部の変位の間の第二の剛性、のどちらかを含んでいる。これによりより小さい力でより大きな先端部の変位を起こすことが可能になるが、より大きな力での先端部の変位は小さくなる。これにより同じ最大の先端部の変位が、小さい先端部の変位での感度を落とすことなく検出可能な力の範囲を広げることができる。しかし、力F=−S×dをもたらしている線形弾性要素による一定の剛性Sを使用することもできる。板バネ15の剛性は、板バネの様々なパラメータ、特にバネ板部分の長さあるいは半径、角度α、弾性のバネ板部分15.1の厚さtおよび/またはバネ板部分15.1の大きさに依存する。板バネ15が先端部の変位dに依存している剛性による非線形挙動を示すようにそれらのパラメータは選定されることができる。このことは、少なくとも二つのバネ板部分が組合わされた状態で非線形剛性にする異なる(一定の)剛性を有するように、バネ板部分にとって異なるそれらのパラメータを選定することにより達成されることができる。示された実施形態において、二つのバネ板部分の各々が別の角度αおよび/または別の長さまたは半径を有してもよい。従って、先端部3の初期位置において、大きい角度αおよび/または大きい長さあるいは半径を有する第一のバネ板部分だけは先端部3の力に抗して作用する。先端要素10が、第一の先端部の変位によりずらされた瞬間に、先端要素10は第二のバネ板部分にも接触し、両バネ板部分の剛性は増大された剛性に加算される。従って、このような配設は段差機能を有する剛性S(d)を実現することができる。第二のバネ板部分が先端要素に接触すると、先端部の変位にわたる段差のモーメントは板バネのパラメータにより調節されることができ、これらのパラメータは第一の先端部の変位に対する初期位置からの必要な先端部の変位を引き起こす。第一の先端部の変位よりも小さい先端部の変位のための剛性は、大きさおよび/または厚さtのような、第一のバネ板部分のパラメータにより制御されることができる。第一の先端部の変位よりも大きい先端部の変位のための剛性は、両バネ板部分の剛性を合わせたものであり、かつ大きさおよび/または厚さtのような、第二のバネ板部分のパラメータにより制御されることができる。第二のバネ板部分の大きさおよび/または厚さは、第一のバネ板部分におけるそれらよりも大きいのが好ましい。(1段よりも大きい)複合的な段差機能は、(2よりも大きい)複合的バネ板部分により実現されることができる。これは例えば、板バネにおいて、バネ板指状部分あるいは三角形のような、三つあるいはそれより多くのバネ板部分を配置することにより実現されることができる。先端要素10が各バネ板部分に接触すると、各バネ板部分は別々の接触の先端部の変位を有する。バネ板部分が三角形あるいは指状体であると、バネ板部分は星(リング)形状に設けることができる。しかし先端部の変位にわたる常に変化する剛性を備えた板バネを実現することも可能である。これは例えば、第一の接触領域から最終接触領域までのパラメータを確定している、増加しつつある大きさあるいは厚さあるいは別の剛性を有する螺旋状のバネ板部分により実現されることができる。
図13Aと13Bは弾性要素として板バネ21の代替え的実施形態を示しており、この弾性要素は前の図の板バネ15に取って代わることができる。この実施形態においても、板バネ21は、第一の平面におけるベース部分21.2と少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1を有する。少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1は、図13Cに示されたような第一の平面に配置された一つのバネ板材料から(曲げ縁部を除いて)切取られているのが好ましい。次いで少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1は曲げ縁部で曲げられ、その結果、少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1の面は、図13Aに示されたように、第一の平面あるいはベース部分21.2の表面に対して少なくとも一つの角度α未満で配置されている。従って少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1の(各々の)端部は、ベース部分21.2あるいは第一の平面を超えた一定の高さを有する。少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1の各々の端部とベース部分21.2は、先端要素10(ここではキャパシタ板12)とペンのハウジング(ここでは力検出機構のハウジング9)の間で、先端要素10上の板バネ21の力が先端部の各変位に関する力センサの範囲にわたり変化するように配置されている。少なくとも一つの弾性のバネ板部分は、複数の弾性のバネ板部分21.1(少なくとも二つ)を備えているのが好ましい。これにより極めて小さな高さで大きな力の範囲を備えたバネを実現することができる。第一の平面上での平面図から、板バネ21は中心Cと外周側面を有する。曲げ縁部が板バネ21の外周側面の方向にあり、(第一の平面を超えた上記の高さを有する)弾性のバネ板部分21.1の端部が、図13Aと13Bに示されたように中心Cを指し示すように、複数の弾性の各バネ板部分21.1は各々曲げられている。弾性のバネ板部分21.11は、図13に示されたように、バネ板材料から中心Cと曲げ縁部の間で切取られているのが好ましい。弾性のバネ板部分21.11の各々の形状は三角形である。このように、板バネ21の大きさdは、板バネ21の大きな力の範囲にもかかわらず極めて小さくすることができる。示された実施形態において、板バネ21は周囲のベース部分21.2を有しており、この周囲のベース部分において、弾性のバネ板部分21.1は曲げ縁部でもって配置されている。複数の弾性のバネ板部分21.1は、少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11と少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12を備えているのが好ましい。少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11の(各々の)端部は第一の高さh1を有しており、および/または少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11の(各々)は第一の剛性を有するのが好ましい。少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12の(各々の)端部は第二の高さh2を有しており、および/または少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12の(各々)は第二の剛性を有するのが好ましい。第一の高さh1は第二の高さh2よりも大きい。しかし必ずしもではないが、第一の剛性は第二の剛性よりも小さいのが好ましい。これにより、第一の圧縮範囲(<h1−h2)における第一のバネ剛性(第一の弾性のバネ板部分21.11の数×第一の剛性に等しい)と、第二のより大きな圧縮範囲(>h1−h2)における第二のより強いバネ剛性(第一の弾性のバネ板部分21.11の数×第一の剛性+第二の弾性のバネ板部分21.12の数×第二の剛性に等しい)を備えた板バネが実現されることができる。第二のバネ剛性はより強い。その理由は、少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11に加えて、少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12も先端要素10に作用することにある。これにより段差機能を有する先に記載されたような非線形板バネが実現されることができる。第一および第二の弾性のバネ板部分21.11および21.12の異なる剛性は、異なる形状、ここでは曲げ縁部a1とa2の異なる長さにより実現されることができる。バネ板材料は金属、例えば銅あるいはCuB2(EN1654)のような銅を含有している金属であるのが好ましい。
記載された板バネ21により、極めて小さい寸法を備えた、力センサの完全な力範囲にわたるバネが実現されることができる。バネ21は3mmよりも小さい、好ましくは2mmよりも小さい、好ましくは1.5mmよりも小さい高さ(h1)を有するのが好ましい。バネ21は好ましくは15mmよりも小さい、好ましくは10mmよりも小さい、好ましくは8mmよりも小さい大きさ(d)を有するのが好ましい。曲げ縁部と周囲縁部の間の周囲ベース部分21.2の大きさ(c)は、1mmよりも、好ましくは0.6mmよりも、好ましくは0.4mmよりも小さいのが好ましい。第一の高さh1と第二の高さh2の間の差は、0.3よりも、好ましくは0.2mmよりも、好ましくは0.15mmよりも小さいのが好ましい。
力検出機構9と力検出回路は一緒に力センサを形成する。
アクティブ型のペン15の圧力センサの記載された実施形態は、ペンの位置信号を連続的に出力している、すなわちここでは引用符号により採用されている特許文献1に開示されているような、タッチデバイスにより位相同期されていない、アクティブ型のペンにとっては特に有利である。このようなアクティブ型のペンは、静電容量式接触面上での受動的でありかつ連続的に出力する能動的な接触の位置を検出するタッチデバイスと組合せた状態では特に有利である。
この発明の好ましい特徴は、この特徴が本発明を行うために最良の方法であることを意味するが、前記特徴は特許請求の範囲を超えることなくその他の特徴によっても置換えられることができる。言い換えれば、保護の範囲は好ましい特徴によって制限されないが、その他の方法で行われることができる。
本発明の記載された実施形態に対する様々な変更および変形は、添付された請求項に規定された発明の範囲から外れることなく、当業者にとって明白である。本発明は特定の好まれる実施形態と関連して記載されてきたが、請求されているような本発明がこのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。
本発明は圧力センサを備えた、アクティブ型の位置指示器、特にアクティブ型のペンに関する。
タッチデバイスは様々な応用分野で使用されており、これらの分野において、物体の存在の検出は、限定されてはいないが、タッチパッド、タッチパネル、タッチスクリーン、あるいは投影型静電容量方式ディスプレーなどのような物体の存在の検出が含まれる。タッチデバイスは、タッチデバイスに接触している受動物体を検出し、かつ接触の位置を確定することができる。これにより例えばユーザーの制御ができる。接触の位置検出の品質が接触面の大きさと共に下がるのは不適当なことである。従って、ペンの先端部の位置検出の品質は、高い検出誤差によってだけに検出される恐れがある。従って、アクティブ型のペンのようなアクティブ型の位置指示器は、低い誤差でもってアクティブ型の位置指示器の位置を検出するために、タッチデバイスをサポートするための電気回路を備えている。これは例えば容量結合あるいは誘導結合により達せられることができる。ある種のタッチデバイス、例えば容量式タッチデバイスあるいは誘導式タッチデバイスを使用する際に、受動的接触を検出するための同じセンサは、能動的位置指示器の先端部から発せられる電気信号を検出するために使用されてもよい。異なるタイプの能動的位置指示器がある。電気信号を発信して特定の能動的位置指示器を検出するウィンドウと同期する能動的位置指示器がある。電気信号の連続的発信による、すなわちタッチデバイスに対して能動的位置指示器において如何なる同期をすることのない、他の能動的位置指示器がある。バッテリにより、もしくは環境からエネルギーを得るためのエネルギー取り入れ装置により、作動される能動的位置指示器がある。応答機信号から作動のために必要な電力を得るための応答機のように作動される電源のない能動的位置指示器もある。特許文献1は、例えば連続的に発信する能動的位置指示器を備えた容量式タッチデバイスを示しており、容量式タッチデバイスは受動的および能動的接触を検出するための同じ容量式検出センサを使用する。
タッチデバイスで書かれる相互作用の良好な検出に関する別の問題は、ペンにより印加される圧力をどう理解するかである。印加される圧力を直接検出することができるタッチデバイスも中にはある。しかしアクティブ型のペンによるほとんどの解決手段において、ペンは先端部に印加される圧力を検出する圧力センサを備えており、かつ検出された圧力をタッチデバイスに送り戻す。しかし、圧力センサに関する技術の解決手段の状況は幾つかの短所を有する。
圧力センサは可動な部品、バネそして多くはプリント回路基板への可動な部品の電気的接続部を必要とする。これによりペンの組立、構造の複雑さおよび頑丈さのために時間が増大する。
特に図あるいは字を書いている間、能動的ペンに印加される力は、とても小さな力から極めて高い力に変わる恐れがある。これにより高い精度で印加される先端部の力を検出するための困難性は増す。
一つの問題は、一定の剛性を有する渦巻バネあるいは他の弾性要素の通常の使用である。従って、先端部に印加される力の一定の変化は、弱い力と強い力に関して先端部の同じ変位をもたらす。先端部の変位は最小にすぎないので、従って実現は小さな力を高い精度で検出することはできるが、一定の閾値より上の大きな力を検出できないかあるいは高い印加力までの力の高い範囲を低い精度で検出する。代替え案は両方とも不十分なので、剛性の小さいバネが弱い力に関して支配的であり、剛性の高い第二のバネが圧力センサで検出可能な力の範囲を広げるために大きな力に関して支配的であるように、一部の解決手段は、異なる剛性を有する二つのバネを備えている。しかし、このような解決手段により圧力センサの複雑さ、大きさそして頑丈さが増大する。さらに渦巻バネは組立てるのが難しくかつ大きなスペースを必要とする問題を有する。
従って、本発明の課題は、上述の問題を克服する、圧力センサを備えたアクティブ型の位置指示器を提供することである。
本発明の課題はペンを組立てるための時間が短縮され、構造の複雑さが軽減され、かつ頑丈さが増した、圧力センサを備えたアクティブ型の位置指示器を提供することである。
小さい力の状態で高い精度の高い力検出範囲を有する複雑さの低い圧力センサを備えたアクティブ型の位置指示器を提供することが本発明の課題である。
一実施形態において、これらの課題は独立請求項によるアクティブ型の位置指示器、方法およびシステムにより達成される。
板バネは、一つのバネ板材料から製造されており、かつ先端部の変位に依存した形状、大きさ、剛性のような必要条件に高度に適応されることができるという大きな長所を有する。さらに、板バネは可動な先端部の変位に容易に接触することができる。
従属請求項はさらに有利な実施形態に関する。
一実施形態において、位置指示器は位置信号回路を備えており、この位置信号回路は前記可動な先端要素と接続されており、かつ先端部によりタッチデバイスと電気的に結合するための位置指示器の位置信号を発生させるように構成されており、弾性要素は電気的に導電性であり、位置信号回路は前記可動な先端要素と前記弾性要素を介して電気的に接続されている。
このことは、接触するための要素と先端部の力に抗して作用するための弾性要素が組合わされることができるという長所を有する。これにより場所が節約され、かつ可動な要素に接触するための問題は避けられる。
一実施形態において、弾性要素は先端部の変位に依存した剛性が非線形である。
非線形バネは、小さな力での力の一定の変化が、より大きな力での力の一定の変化に比べて先端部の変位のより大きな変化をもたらすことができるという長所を有する。
本発明は、例として与えられた実施例の記載によりより適切に理解されかつ図で示される。
アクティブ型のペンの実施例の三次元図を示す。
外側ハウジングのない、図1の実施形態の三次元図を示す。
アクティブ型のペンのための力センサの実施形態の三次元図を示す。
力センサの透明なハウジングによる図3の力センサの三次元図を示す。
図3の力センサの容量素子の第二のキャパシタ板の平面図を示す。
第一のキャパシタ板と第二のキャパシタ板を備えた、図3の力センサの容量素子の断面図を示す。
第一のキャパシタ板と第二のキャパシタ板が初期位置にある状態の、図3の力センサの容量素子の三次元図を示す。
第一のキャパシタ板と第二のキャパシタ板を備えた図3の力センサの容量素子の平面図を示す。
バネを備えた図3の力センサのハウジングの三次元図を示す。
バネを備えた図3の力センサのハウジングの平面図を示す。
図9のバネの三次元図を示す。
図9のバネの第一の側面図を示す。
図9のバネの第二の側面図を示す。
バネの代替え的実施形態の平面図を示す。
図13Aのバネの代替え的実施形態の側面図を示す。
図13Aのバネの代替え的実施形態の生産段階を示す図を示す。
先端部3に印加される力に対する異なる容量素子のキャパシタンス値を示す曲線を示す。
図1〜13はアクティブ型のペン5の実施形態を示す。以下に記載のアクティブ型のペンにより開示されたものはすべて、他のタイプのアクティブ型の位置指示器すべてに適用可能である。
アクティブ型のペン5は、ペンハウジング6、バッテリ7、プリント回路基板8、力センサおよび先端部3を有する先端要素10を備えている。
ペンハウジング6は、バッテリ7、プリント回路基板8および力センサの力検出機構9を密閉するのが好ましい。ペンハウジング6は、先端部3がペンハウジング6の外側に配置されており、かつ先端要素10の棒状体11を介してペンハウジング6の内部室と接続されるように、先端要素10を包含している開口部を備えているのが好ましい。ペンハウジング6の開口部は、先端要素10が変位方向に動かされることができるようにだけ先端要素10の棒状体11を案内するのが好ましい。しかし、異なる方向の力を検出することも可能である。ペンハウジング6は円筒形状を有し、変位方向は長手方向円筒軸線に対して平行であるのが好ましい。定義に従い、先端部3を備えたアクティブ型のペン5の側/端部は遠位の側/端部と名付けられ、変位方向におけるアクティブ型のペン5の対向した側/端部は近位の側/端部と呼ばれる。示された実施形態において、ペンハウジング6は、バッテリ7、プリント回路基板8および力検出機構9を有する筒状部6.1、前記開口部と先端要素を有する円錐部6.2およびキャップ6.3を備えている。さらに筒状部6.1は、プリント回路基板8上の電源スイッチ8.1と相互作用するように構成された電源ボタン6.4を備えている。円錐部6.2は、その近位の端部でもって筒状部6.1の遠位の端部に取付けられている。円錐部6.2の遠位の端部は、先端要素10のための開口部を備えている。円錐部6.2は、近位の端部から遠位の端部まで細くなっている円錐形を有するのが好ましい。筒状ハウジング6.1の近位の端部は、近位の端部でペンハウジング6を閉鎖しているキャップ6.3に取付けられている。好ましい実施形態において、キャップ6.3はバッテリ7を交換するための、例えば留め金具あるいはネジ切り機構により着脱可能であるべきである。加えて、キャップ6.3は、プリント回路基板8のバッテリ端子を電源端子に接続するための、必要な接触圧力を発生させるべきである。
アクティブ型のペン5の示された実施形態は、電源としてのバッテリ7により作動する。しかし、必要な電力を供給しているいずれの他の手段も代替え的に使用されてもよい。例えば、バッテリ7は周囲の状況から、例えば光、温度、(例えばタッチデバイスから与えられる)電磁波、(例えばタッチデバイスとの)電気的結合、ペンの動き、等からエネルギーを取入れるためのエネルギー取入れ機構により置換えられることができる。
プリント回路基板8は、この実施形態においては、アクティブ型のペン5の全てのあるいは少なくともほとんどの電子回路構成部分を備えている。プリント回路基板8は、アクティブ型のペン5のあるいはペンハウジング6の筒状部6.1の長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線を有する。プリント回路基板8の大きさは、一実施形態においては、ペンハウジング6、特に筒状ハウジング6.1の内径に相当する。示された実施形態において、プリント回路基板8は、力検出機構9の遠位の端部および/またはプリント回路基板8の電源端子8.3の近位の端部により保持されているかあるいはこれらを保持する。プリント回路基板8が、全半径方向において、力検出機構9のハウジング9.1を介して、および/または電源端子8.3を介して付加的に固定されるように、力検出機構のハウジング9.1および/または電源端子8.3は、ハウジング6により提供された中空円筒の内部形状に相当している円筒形状を有する。しかしプリント回路基板8は、例えばプリント回路基板8のためのレールにより、ハウジング6内に直接固定されていてもよい。プリント回路基板8は、力検出機構9のハウジング9.1を保持するために構成されたその遠位の端部に二つのアーム8.2を形成する。二つのアーム8.2間の最大距離を許容するために、アームは力検出機構のハウジング9.1上の予想される応力に対して抵抗すべき厚さを備えたプリント回路基板8の両側面に配置されている。力検出機構のハウジング9.1はプリント回路基板8の二つのアーム8.2を構成するために(図3〜5と図7〜10に示された)二つの凹部13を備えることができる。アーム8.2が凹部13を占めるようにアーム8.2と凹部13の寸法は設計されているのが好ましく、その結果として、ハウジング9.1は尖端部3の変位方向に対して半径方向に動くことはできない。力検出機構のハウジング9.1の側面(ハウジング6の長手方向軸線に対して通常半径方向の面)は、プリント回路基板8の側面と接触している。プリント回路基板8の長手方向に力検出機構のハウジング9.1を固定するために、かつスナップフィット固定を実現するために、アーム8.2の遠位の端部はフックを備えていてもよい。しかし他の固定も可能である。
プリント回路基板8は、ペンの位置信号を発生させかつ出力するための位置信号回路を備えているのが好ましい。ペンの位置信号は周期的な信号、例えば正弦波信号および/または余弦波信号であるのが好ましく、一定の周波数はタッチデバイスにおいて転送されかつ検出されるのに適している。このような位置信号回路は、例えば発振器と増幅器を備えている。位置信号回路の出力部は、プリント回路基板8の少なくとも一つの出力端子に接続されているのが好ましい。プリント回路基板8の出力部は、先端部3で発生されたペンの位置信号を供給するための先端部3に導電的に接続されているのが好ましい。先端部3に印加される信号は、タッチデバイスとの電気的結合を生む。このような結合は容量結合および/または誘導結合であるのが好ましいが、タッチデバイスで受けることができる随意の電磁波の放出であってもよい。出力端子は、その初期位置において先端要素10を保持している導電的な弾性要素、例えば先端要素10に導電的に接続されている金属製のバネに導電的に接続されているのが好ましい。これは固定されたプリント回路基板8に対する可動な先端要素10を接触させる問題を解決する。
プリント回路基板8は、力検出機構9から受ける電子帰還信号に基づいて先端部3に印加される力を検出するための力センサの力検出回路を備えているのが好ましい。力検出回路に入力部は、回路基板8の少なくとも一つの帰還入力端子に導電的に接続されているのが好ましい。回路基板8の少なくとも一つの帰還入力端子は、力検出機構9の帰還端子に接触するように構成された二つのアーム8.2の内の少なくとも一つ上に配置されているのが好ましい。従って、少なくとも一つの凹部13は導電面を備えており、この導電面は少なくとも一つの帰還入力端子を備えた少なくとも一つのアーム8.2の導電面と導電的に接触している。力検出機構9の帰還信号のための二つの入力端子が、プリント回路基板8の二つのアーム8.2の各々に一つあるのが好ましい。示された実施形態において、力検出機構9は(以下に記載された)先端部の変位に依存した容量値を有する可変の容量素子を備えている。示された実施形態において、ペンの位置信号は容量素子の第二のキャパシタ板12に送られ、帰還信号は容量素子の第一のキャパシタ板14から力検出回路に送られる。ペンの位置信号は固定された周波数かあるいは少なくとも公知の周波数を有するので、第二のキャパシタ板12から力検出回路への経路の複素抵抗は、容量素子の容量値に左右される。従って、帰還信号により、それ自体先端の変位にのみ依存する容量素子の容量値を確定することができる。力検出回路は複素抵抗のための値を測定し、この値は例えばルックアップテーブルにより、力に関する値に処理されることができる容量素子により提供される。複素抵抗を確定するための一例は、例えば帰還信号を整流しかつ帰還信号に低域フィルタをかけることにより確定されることができる。これにより複素抵抗のための測定を与える帰還信号の増幅のための値が得られる。ペンの位置信号の代わりに、容量値を検出するために、容量素子により印加される他の信号を使用することも可能である。しかし、容量値あるいは先端要素の変位に依存した他の電子的値のための他の測定方法も確定されおよび/または力検出回路内で力の値に変換される。
さらにプリント回路基板8は、タッチデバイスに先端部3を作用させている検出された力(力データ)を転送するための力データ転送回路を備えていてもよい。一実施形態において、力データ転送回路は、先端部3をタッチデバイスと電気的に結合することによりタッチデバイスに力データを転送するための先端部3に接続されている。力データはペンの位置信号の周期間に転送されることができおよび/または力データは連続的に変調されるかあるいはペンの位置信号に関するデータ転送窓において変調されてもよい。ここでは周波数、増幅あるいは変調の他のモードのような異なる変調が使用されてもよい。別の実施形態において、力データ転送回路は、タッチデバイスに力データを転送するための(先端部3ではなく)アンテナに接続されている。それ以外の実施形態において、力データはタッチデバイスに有線接続により転送されてもよい。
しかし、本発明はプリント回路基板8に限定されるものではない。他の回路基板あるいは電子回路の他の実現態様も、アクティブ型のペンの電子機能を満たすために使用されてもよい。
先端要素10は、遠位の端部に先端部3を備え、近位の端部に容量素子の第一のキャパシタ板12を備えている。第一のキャパシタ板12は、以後により詳細に記載される力検出機構9の部分でもある。先端部3と第一のキャパシタ板12は棒状体11により接続されている。先端部3は位置信号回路から受けたペンの位置信号を出すための導電材料を備えている。示された実施形態において、先端部3は導電性コア3’を、好ましくは図3および4に示されたような金属コアを備えており、この金属コアは保護キャップにより覆われており、この保護キャップは発信されるペンの位置信号を通過させるように構成され、および/またはタッチスクリーンのあらゆる損傷を避けるように構成されている。先端部3にペンの位置信号を導くために、棒状体11も導電性材料を、好ましくは金属を備えるか、あるいは導電性材料、好ましくは金属でできているのが好ましい。代替え的実施形態において、棒状体11は非導電性材料でできており、かつ位置信号回路から先端部3にペンの位置信号を導くための導体を備えている。このような導体は棒状体11の導電性コアであってもよい。第一のキャパシタ板12も導電性材料、好ましくは金属でできているのが好ましい。しかし、後に記載されている力検出機構9の容量素子の少なくとも一つのキャパシタ面のために、金属被覆部または金属面を備えた非導電性材料から第一のキャパシタ板12を作ることも可能である。先端要素10が少なくとも変位方向に動かされることができるように、先端要素10は可動に支持されている。支持はハウジング6により、例えばハウジング6の開口部により、および/または力検出機構9により行われることができる。先端部3に印加される力が無い場合、先端要素10は、初期位置にあるよぅに配置されている。さらに先端要素10は先端部3に印加される力に依存した先端部の変位により初期位置から動かされるように配置されている。アクティブ型のペン5は、最大の先端部の変位まで先端部の変位を制限している先端要素10のための最大限のストッパ要素を備えていてもよい。このような最大限のストッパ要素は、ハウジング6あるいは力検出機構9に設けられることができる。
力検出機構9は、先端部の変位に依存したキャパシタンス値を備えた容量素子と、初期位置で先端要素を保持するためのおよび/または変位方向に先端部3上に印加される力に抗して作用させるための弾性要素とを備えている。
示された実施形態において、容量素子は第一のキャパシタ板14と第二のキャパシタ板12を備えている。第一のキャパシタ板14はハウジング6および/または力検出機構9のハウジング9.1に対して固定されているのが好ましいが、第二のキャパシタ板12は先端部の変位に依存して動く。代替え的に、第一および第二のキャパシタ板14と12の、互いに関連する相対移動があることも逆に重要である。示された実施形態において、第2のキャパシタ板12が、第一のキャパシタ板14に対して最少距離をおいて先端要素10の初期位置に配置されているように、そして第一および第二のキャパシタ板14と12の距離が先端部の変位と共に線形に増すように第一のキャパシタ板14は配置されている。示された実施形態において、第一および第二のキャパシタ板14と12が導電的に接続されているように、そして先端要素10の初期位置が容易に検出可能であるように最小距離はゼロである。しかし、両キャパシタ板の間の最小距離がゼロと等しくないことも可能である。これにより電力消費が増大することによる短絡は回避される。これは容量素子のキャパシタンス値の挙動を調整するために使用されることもできる。その理由は、これにより先端部3の初期位置におけるキャパシタンス値の初期値が減少することにある(後に記載されている線形挙動を備えた別の容量部分がある場合に、このことは容量素子の線形挙動を増大させる)。第一のキャパシタ板14と第二のキャパシタ板12の間には、二つのキャパシタ板12と14の間のゼロではない初期位置を実現するための絶縁材料あるいは誘電材料が配置されている。これは絶縁体あるいは誘電体コーティングにより面12.1あるいは12.2を被覆することにより達せられる。一実施形態において、第一のキャパシタ板14は遠位の側(先端部3の近く)に配置されており、第二のキャパシタ板12は近位の側(先端部3の遠く)に配置されている。これは第一のキャパシタ板14を通して好ましくは中心で棒状体11を案内することにより達せられる。
一実施形態において、容量素子は先端部の変位dに依存した容量値を有する。容量素子の容量値Cは、容量素子のキャパシタ面積Aと容量素子のキャパシタ距離xに基づいて計算される。キャパシタンス成分がキャパシタ面積Aとキャパシタ距離xを備えた二つの平行な平面により与えられる場合、キャパシタンス値は、キャパシタ距離xにより除算されたキャパシタ面積A、すなわちA/xに比例している。
容量素子の第一の実施形態において、キャパシタ板は、法線が先端部3の変位方向に対して平行であり、キャパシタ距離x1が先端部の変位dに等しいかあるいは直接比例している状態で、板面A1上で対向しておりかつ重なり合っている金属面を有している。これにより先端部の変位の逆数1/dに直接比例しているキャパシタンス値C1が得られる。複素比抵抗Z1はキャパシタンス値の逆数に直接比例しているので、複素比抵抗はこの場合、dに対して線形に比例している。しかし、このことは、先端部の小さい変位dが先端部の大きい変位dと同じ絶対誤差でもって検出される恐れがあるという短所を有する。しかし、先端部の小さい変位のために高感度を有するように所望されるので、従って先端部の小さい変位dの場合、相対誤差は大きくなり、このような解決手段は所望されない。図14は、(一定の剛性を有する弾性要素を備えた)先端部3に印加される力に対する異なる容量素子のキャパシタンス値を示す。関数18と20は、外径D0と内径D1を備えたリングにより規定されたキャパシタ面A1を有する第一の実施形態による容量素子を示す。関数18はD1/D0=0.3の径の関係に相当し、関数20はD1/D0=0.9の径の関係に相当する。関数18と20は、小さい力に対する先端部の変位は急勾配を有しているが、これらの勾配は、大きな力のための検出誤差が相当大きくなるように、増加する力に対する先端部の変位のために常にもっと平坦になる。
容量素子の第二の実施形態において、法線が先端部3の変位方向に対して直角になっており、キャパシタ面A2が先端部の変位dに等しいかあるいは直接比例している状態で、キャパシタ板は板面上に対向している金属面を有している。重なり合うキャパシタ面積A2が、先端部の変位dと線形に増減するように、二つのキャパシタ板の二つの面は配置されているが、距離x2は一定のままである。これにより、先端部の変位dに直接比例しているキャパシタンス値C2が得られる。複素比抵抗Z2は、キャパシタンス値の逆数に直接比例しているので、複素比抵抗はこの場合、1/dに線形に比例している。従って、先端部の小さい変位での小さい変化は、より高いキャパシタンス値の変化のために、先端部の大きな変位での変化に比べてかなり正確に検出されることができる。しかし、この手法にも短所がある。その理由は、先端部の大きな変位での変化を検出するための特性は現在、キャパシタンス値のほぼフラットな挙動により、大きな誤差でもってしか検出されることができないことにある。
容量素子の第三の実施形態は、先端部の小さい変位において、先端部の大きい変位よりもより速く変化する先端部の変位dにわたるキャパシタンス値の挙動を達成するために、第一と第二の実施形態の両方の長所を組合せるが、これは容量素子の第二の実施形態の負の影響を有していない。これはそのキャパシタ面積とキャパシタ距離が両方とも先端部の変位dに依存して変化する容量素子により達せられる。このような達成はアクティブ型のペン5により証明される。従って、第一のキャパシタ板12は、面の法線が先端部の変位に対して直角である(アクティブ型のペンの外部に対する位置決め)状態での、側方の導電性板面12.2と、面の法線が好ましくは先端部3の方向(遠位の方向)で先端部の変位に対して平行な状態での、軸線方向の導電性板面12.1とを備えている。第二のキャパシタ板14は、グラウンドの内側面の導電性板面と中空円筒の側面を備えた中空円筒として形成されている。容量素子の第二のキャパシタ板14は、面の法線が変位方向に対して直角に延びている(アクティブ型のペン5の中心に対する位置決め、すなわち側方の導電性板面12.2に対向している)状態の側方板面14.2と、面の法線が、変位方向に対し平行である、好ましくは先端部3から離れた方向(近位方向)にある、すなわち第二のキャパシタ板の軸線方向板面12.1に対向している状態の軸線方向板面14.1とを備えている。示された実施形態において、第二のキャパシタ板14はハウジング9.1により形成されており、このハウジングは、キャパシタ面を達成するためにハウジング9.1の内壁に金属被覆を有する。容量素子は、第一のキャパシタ面A1と第一のキャパシタ距離x1を有する第一のキャパシタ部分と、第二のキャパシタ面A2と第二のキャパシタ距離x2を有する第二のキャパシタ部分とに分割されている。第一のキャパシタ部分は、第一のキャパシタ距離x1が先端部の変位dに依存している状態の第一の実施形態に記載されているような挙動を有する。第二のキャパシタ部分は、第二のキャパシタ面A2が先端部の変位dに依存している状態の第二の実施形態に記載されているような挙動を有する。第一のキャパシタ板の軸線方向の導電性板面14.1と側方の導電性板面14.2が同じ電位であり、第二のキャパシタ板12の軸線方向の導電性板面12.1と側方の導電性板面12.2が同じ電位であることを考慮すると、第一のキャパシタ部分と第二のキャパシタ部分は、C1=k1A1/x1(d)およびC2=k2A2(d)/x2の並列回路として考えることができる。ここで、k1とk2は、電気定数ε0に依存して一定であり、かつキャパシタ板12と14の間の材料の相対静的誘電率である。従って、容量素子はC=C1+C2=k1A1/x1(d)+k2A2(d)/x2の容量値を有する。容量素子は、先端部の変位に依存したキャパシタの距離を持つ容量素子と、先端部の変位に依存したキャパシタ面を備えた容量素子との挙動の長所を組合わせている。従って、示された実施形態のキャパシタ面は、第二のキャパシタ板14の軸方向の導電性板面12.1に重なり合う第一のキャパシタ板14の軸方向の導電性板面14.1((D0−Di)2π)に加えて、第二のキャパシタ板12の側方の導電性板面12.2に重なり合う第一のキャパシタ板12の側方の導電性板面14.2(円周2πD0(h−d))であり、後者だけは先端部の変位に依存しで変わる。容量素子のキャパシタ距離は、軸方向のキャパシタ距離x1(d)と側方のキャパシタ距離x2から構成されており、前者(だけ)は先端部の変位dに依存して変わる。第一のキャパシタ板14の側方の導電性板面14.2と第二のキャパシタ板12の側方の導電性板面12.2の間の距離は、先端部の変位dに関して一定のままである、および/または第二のキャパシタ板12の軸方向の導電性板面12.1に重なり合う第一のキャパシタ板14の軸方向の導電性板面に対して一定のままである。関数17と19は、外径D0と内径D1を備えたリングにより規定されたキャパシタ面A1を備えた第三の実施形態による容量素子を示す。関数17はDi/D0=0.3の径の関係に相当する。関数19はDi/D0=0.9の径の関係に相当する。関数17と19は両方とも同じ高さhに相当する。関数17と19は、小さい力に対する先端部の変位に関しては有利な急勾配を維持しているが、大きい力に対する先端部の変位に関しては、これらの勾配は線形になり、従って先端部の大きい変位の場合でも、先端部の変位はある程度の所望の一定の誤差により確定されることができる。
距離x1とx2は、それらの相当している距離ベクトルの方向に対して何の制限もない距離を指し示すにすぎない。示された実施形態において、距離ベクトルは互いに直角であるが、平行なあるいは他の角度の向きのような直角以外の配置も可能である。
示された実施形態は、そのキャパシタ面と先端部の変位dに関係したそのキャパシタ距離を変える容量素子のための一例にすぎない。さらに、例えばこのことは先端部の変位に対して、各々1°と89°の間の、あるいは91°と179°の間の角度を有している面法線を備えた(好ましくは平行な)二つの板面を有する一つのキャパシタ部分によっても実現されることができ、従って先端部の変位dの変化は、キャパシタ距離とこのようなキャパシタ素子のおアーバーラップするキャパシタ面積を変える。さらに、それ以外のキャパシタ素子を実現することも可能であり、このキャパシタ素子の効果的なキャパシタ面積が変わると共に、その効果的なキャパシタ距離が先端部の変位と共に変わる。
しかし、別の実施形態においては、アクティブ型のペンの遠位の側にある先端要素10に接続されているキャパシタ板と、アクティブ型のペンの近位の側にある固定されたキャパシて板とを備えた容量素子を実現することも可能であり、その結果、キャパシタ板間の距離は先端部の変位を増大させることをより小さくする。
第一および第二のキャパシタ板が板と呼ばれても、このことはキャパシタ板に関する線形キャパシタ板および/または平坦なキャパシタ板に対する板の形状を限定しない。一方または両方の板が、彎曲したキャパシタ面、円形のキャパシタ面、楕円形のキャパシタ面、三角形のキャパシタ面、多角形のキャパシタ面を有していてもよい。記載された全ての実施形態において、両板のキャパシタ面が平行に配置されたとしても、このことは限定的ではなく、さらに角度のついた配置を備えたキャパシタ板も可能かもしれない。
代替え的に、力検出機構9は、先端部の変位を知らせる電気信号に先端部の変位を変換するための他の変換手段、例えば先端部の変位に依存したインダクタンス値を用いた誘導性素子を使用してもよい。
力検出機構9の弾性要素は、あらゆる弾性要素、例えばいずれの種類のバネであってもよい。弾性要素は、力センサの力測定範囲にわたり先端部3に印加される力に抗して(補正するように)作用する先端要素10へ力を印加するように構成されている。従って、力センサにより検出された力は、検出時における先端要素10に働く弾性要素の力に等しいかあるいはこの力に少なくとも線形に比例している。言い換えれば、(先端部の、異なる変位に対応する)先端要素10に働く弾性要素の力が異なる場合、異なる力は力センサにより測定される。このことは力センサの力検出範囲全体にわたり有効である。
示された実施形態において、弾性要素は図4、9、10、11、12および13に示されたような板バネ15である。板バネ15はリング状の形を有しているのが好ましく、板バネ15の二つのリング部分は弾性的リーフ部分15.1を形成するが、他の二つのリング部分は、板バネ15のための固定部分15.2を形成するように平らなままである。固定部分15.2の一つの側から見られる板バネ15は、図12に示されるように、台形の脚部あるいは側面を形成している弾性リーフ部分15.1でもって台形を形成するのが好ましい。言い換えれば、弾性のリーフ部分15.1は、板バネ15が先端部の変位方向に弾性的挙動を有するように上向きに(先端部の変位方向に)曲げられているかあるいは形成されている。板バネ15は、例えば一つのバネ板からリングを打抜き、バネ板の面の法線(リング中心軸線)の方向に二つのリング部分を曲げるかあるいは形成することにより、一つのバネ板、例えば金属板から形成されるように構成されている。一実施形態において、弾性のバネ板部分15.1は、二つの固定部分15.2を通る線に対して対称である。すなわち弾性のバネ板部分は等脚台形に相当している。しかし、板バネ15は非対称であってもよい。板バネ15は、一つだけのあるいは二つ以上の弾性バネ板部分15.1を備えていてもよい。しかし、板バネ15は固定部分15.2を有していなくてもよく、および/また弾性のバネ板部分15.1は、他の側面形状、例えば(固定部分15.2以外が)三角形の弾性のバネ板部分、丸い弾性バネ板部分(例えば楕円形の、多角形の、多項式形状の(polynomial)、円形の、等)等を有していてもよい。示された実施形態におけるリング形状は円形であるが、楕円形、三角形、長方形、正方形、n角形等のような他のリング形状も可能である。代替え的に、板バネ15は、好ましくは二つあるいはそれより多くのバネ板部分を有する非リング形状であってもよい。バネ板部分は例えば複数のバネ板指状部あるいは複数の三角形部により形成されていてもよい。
固定部分15.2は、複数の固定要素15.3.によりハウジング9.1に固定されており、これらの固定要素は固定部分15.2に対して直角に曲げられたバネ板指状部により形成されている。固定要素15.3は、弾性のバネ板部分15.1および/または固定部分15.2と同じ一つのバネ板から形成されるように構成されていてもよい。それらの固定要素15.3はハウジング9.1の孔16に挿入される。孔16はハウジング9.1に形成された中空円筒の近位の基面に配置されている。したがって、固定部分15.2は、力検出機構9のハウジング9.1の近位の内部の基面により支持されている。バネ板部分15.1が初期位置で小さい初期力でもって先端要素10を押付けるように、バネ板部分15.1は、張力をかけながら第二のキャパシタ板12により支持される。先端部3への力が初期力を超えると、先端要素10は板バネ15の力に抗して変位方向に動く。初期力は極めて小さいかあるいはゼロである。板バネ15は導電性があり、例えば金属から作られており、かつハウジング9.1を介してプリント回路基板8に接続されている。このことは、固定要素15.3と接触している孔16により、あるいはハウジング9.1の内部の基面と固定部分を介して実現されることができる。しかし、他の接触方法も可能である。さらに第二のキャパシタ板12上で固定部分15.2を固定し、ハウジング9.1上で弾性のバネ板部分15.1を固定することも可能である。本解決手段は、弾性要素がペンの位置信号のための先端要素10への接触機構として、かつ同時に力検出機構のための弾性要素として使用されるという長所を有する。力検出機構9のハウジング9.1内で弾性要素を支持することにより、先端部分3への力は、力検出機構9のハウジング9.1に伝達され、この力検出機構はプリント回路基板8の遠位の側を越えておよび/またはペンハウジング6まで力を伝達する。従って、ペンの位置信号のプリント回路基板8の出力端子にだけでなく、プリント回路基板8の全面的側および/またはペンハウジング6にも力を伝達することなく、先端要素10をプリント回路基板8と接触させるように、この解決手段は、弾性要素を一方の側で使用する。従って、プリント回路基板8上の損傷は効果的になくなる。
ハウジング9.1は、遠位のハーフシェル9.11と近位のハーフシェル9.12で形成されているのが好ましい。図7と8に示された遠位のハーフシェル9.11は、第一のキャパシタ板14と先端要素10の棒状体11を備えている。弾性要素の力が先端要素10の先端部分の変位に対して作用するように、近位のハーフシェル9.12は弾性要素を支持する。遠位のハーフシェル9.11と近位のハーフシェル9.12は協働して中空円筒を形成する。遠位のハーフシェル9.11と近位のハーフシェル9.12は、プリント回路基板8のアーム8.2により一緒に保持されるのが好ましい。この配設により、力検出機構9を弾性要素および先端要素10と共に組立てるためのハウジング9.1を開けることができる。
弾性要素の剛性S(d)は、先端部の変位dと共に変化するのが好ましい。これにより力F=−S(d)×dの非線形弾性素子がもたらされる。剛性は先端部の変位が増大するとともに増大するのが好ましい。このことはだんだんと増える剛性の増加あるいは段階的増加、例えば、初期位置から第一の先端部の変位への低い剛性および第一の先端部の変位と第二あるいは最大の先端部の変位の間の第二の剛性、のどちらかを含んでいる。これによりより小さい力でより大きな先端部の変位を起こすことが可能になるが、より大きな力での先端部の変位は小さくなる。これにより同じ最大の先端部の変位が、小さい先端部の変位での感度を落とすことなく検出可能な力の範囲を広げることができる。しかし、力F=−S×dをもたらしている線形弾性要素による一定の剛性Sを使用することもできる。
板バネ15の剛性は、板バネの様々なパラメータ、特にバネ板部分の長さあるいは半径、角度α、弾性のバネ板部分15.1の厚さtおよび/またはバネ板部分15.1の大きさに依存する。板バネ15が先端部の変位dに依存している剛性による非線形挙動を示すようにそれらのパラメータは選定されることができる。このことは、少なくとも二つのバネ板部分が組合わされた状態で非線形剛性にする異なる(一定の)剛性を有するように、バネ板部分にとって異なるそれらのパラメータを選定することにより達成されることができる。示された実施形態において、二つのバネ板部分の各々が別の角度αおよび/または別の長さまたは半径を有してもよい。従って、先端部3の初期位置において、大きい角度αおよび/または大きい長さあるいは半径を有する第一のバネ板部分だけは先端部3の力に抗して作用する。先端要素10が、第一の先端部の変位によりずらされた瞬間に、先端要素10は第二のバネ板部分にも接触し、両バネ板部分の剛性は増大された剛性に加算される。従って、このような配設は段差機能を有する剛性S(d)を実現することができる。第二のバネ板部分が先端要素に接触すると、先端部の変位にわたる段差のモーメントは板バネのパラメータにより調節されることができ、これらのパラメータは第一の先端部の変位に対する初期位置からの必要な先端部の変位を引き起こす。第一の先端部の変位よりも小さい先端部の変位のための剛性は、大きさおよび/または厚さtのような、第一のバネ板部分のパラメータにより制御されることができる。第一の先端部の変位よりも大きい先端部の変位のための剛性は、両バネ板部分の剛性を合わせたものであり、かつ大きさおよび/または厚さtのような、第二のバネ板部分のパラメータにより制御されることができる。第二のバネ板部分の大きさおよび/または厚さは、第一のバネ板部分におけるそれらよりも大きいのが好ましい。(1段よりも大きい)複合的な段差機能は、(2よりも大きい)複合的バネ板部分により実現されることができる。これは例えば、板バネにおいて、バネ板指状部分あるいは三角形のような、三つあるいはそれより多くのバネ板部分を配置することにより実現されることができる。先端要素10が各バネ板部分に接触すると、各バネ板部分は別々の接触の先端部の変位を有する。バネ板部分が三角形あるいは指状体であると、バネ板部分は星(リング)形状に設けることができる。しかし先端部の変位にわたる常に変化する剛性を備えた板バネを実現することも可能である。これは例えば、第一の接触領域から最終接触領域までのパラメータを確定している、増加しつつある大きさあるいは厚さあるいは別の剛性を有する螺旋状のバネ板部分により実現されることができる。
図13Aと13Bは弾性要素として板バネ21の代替え的実施形態を示しており、この弾性要素は前の図の板バネ15に取って代わることができる。この実施形態においても、板バネ21は、第一の平面におけるベース部分21.2と少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1を有する。少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1は、図13Cに示されたような第一の平面に配置された一つのバネ板材料から(曲げ縁部を除いて)切取られているのが好ましい。次いで少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1は曲げ縁部で曲げられ、その結果、少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1の面は、図13Aに示されたように、第一の平面あるいはベース部分21.2の表面に対して少なくとも一つの角度α未満で配置されている。従って少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1の(各々の)端部は、ベース部分21.2あるいは第一の平面を超えた一定の高さを有する。少なくとも一つの弾性のバネ板部分21.1の各々の端部とベース部分21.2は、先端要素10(ここではキャパシタ板12)とペンのハウジング(ここでは力検出機構のハウジング9)の間で、先端要素10上の板バネ21の力が先端部の各変位に関する力センサの範囲にわたり変化するように配置されている。少なくとも一つの弾性のバネ板部分は、複数の弾性のバネ板部分21.1(少なくとも二つ)を備えているのが好ましい。これにより極めて小さな高さで大きな力の範囲を備えたバネを実現することができる。第一の平面上での平面図から、板バネ21は中心Cと外周側面を有する。曲げ縁部が板バネ21の外周側面の方向にあり、(第一の平面を超えた上記の高さを有する)弾性のバネ板部分21.1の端部が、図13Aと13Bに示されたように中心Cを指し示すように、複数の弾性の各バネ板部分21.1は各々曲げられている。弾性のバネ板部分21.11は、図13に示されたように、バネ板材料から中心Cと曲げ縁部の間で切取られているのが好ましい。弾性のバネ板部分21.11の各々の形状は三角形である。このように、板バネ21の大きさdは、板バネ21の大きな力の範囲にもかかわらず極めて小さくすることができる。示された実施形態において、板バネ21は周囲のベース部分21.2を有しており、この周囲のベース部分において、弾性のバネ板部分21.1は曲げ縁部でもって配置されている。複数の弾性のバネ板部分21.1は、少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11と少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12を備えているのが好ましい。少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11の(各々の)端部は第一の高さh1を有しており、および/または少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11の(各々)は第一の剛性を有するのが好ましい。少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12の(各々の)端部は第二の高さh2を有しており、および/または少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12の(各々)は第二の剛性を有するのが好ましい。第一の高さh1は第二の高さh2よりも大きい。しかし必ずしもではないが、第一の剛性は第二の剛性よりも小さいのが好ましい。これにより、第一の圧縮範囲(<h1−h2)における第一のバネ剛性(第一の弾性のバネ板部分21.11の数×第一の剛性に等しい)と、第二のより大きな圧縮範囲(>h1−h2)における第二のより強いバネ剛性(第一の弾性のバネ板部分21.11の数×第一の剛性+第二の弾性のバネ板部分21.12の数×第二の剛性に等しい)を備えた板バネが実現されることができる。第二のバネ剛性はより強い。その理由は、少なくとも一つの第一の弾性のバネ板部分21.11に加えて、少なくとも一つの第二の弾性のバネ板部分21.12も先端要素10に作用することにある。これにより段差機能を有する先に記載されたような非線形板バネが実現されることができる。第一および第二の弾性のバネ板部分21.11および21.12の異なる剛性は、異なる形状、ここでは曲げ縁部a1とa2の異なる長さにより実現されることができる。バネ板材料は金属、例えば銅あるいはCuB2(EN1654)のような銅を含有している金属であるのが好ましい。
記載された板バネ21により、極めて小さい寸法を備えた、力センサの完全な力範囲にわたるバネが実現されることができる。バネ21は3mmよりも小さい、好ましくは2mmよりも小さい、好ましくは1.5mmよりも小さい高さ(h1)を有するのが好ましい。バネ21は好ましくは15mmよりも小さい、好ましくは10mmよりも小さい、好ましくは8mmよりも小さい大きさ(d)を有するのが好ましい。曲げ縁部と周囲縁部の間の周囲ベース部分21.2の大きさ(c)は、1mmよりも、好ましくは0.6mmよりも、好ましくは0.4mmよりも小さいのが好ましい。第一の高さh1と第二の高さh2の間の差は、0.3よりも、好ましくは0.2mmよりも、好ましくは0.15mmよりも小さいのが好ましい。
力検出機構9と力検出回路は一緒に力センサを形成する。
アクティブ型のペン15の圧力センサの記載された実施形態は、ペンの位置信号を連続的に出力している、すなわちここでは引用符号により採用されている特許文献1に開示されているような、タッチデバイスにより位相同期されていない、アクティブ型のペンにとっては特に有利である。このようなアクティブ型のペンは、静電容量式接触面上での受動的でありかつ連続的に出力する能動的な接触の位置を検出するタッチデバイスと組合せた状態では特に有利である。このようなタッチデバイスは特許文献1に開示されており、参照により収められている。
この発明の好ましい特徴は、この特徴が本発明を行うために最良の方法であることを意味するが、前記特徴は特許請求の範囲を超えることなくその他の特徴によっても置換えられることができる。言い換えれば、保護の範囲は好ましい特徴によって制限されないが、その他の方法で行われることができる。
本発明の記載された実施形態に対する様々な変更および変形は、添付された請求項に規定された発明の範囲から外れることなく、当業者にとって明白である。本発明は特定の好まれる実施形態と関連して記載されてきたが、請求されているような本発明がこのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。