JP2016523829A - C5arアンタゴニストの使用 - Google Patents

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Abstract

C5a及びC5aRが炎症応答を刺激し、C5aRアンタゴニストはこの機能と対抗して抗炎症剤として働くことができる。この機能は、自己免疫性疾患を含む炎症性疾患の治療に有用と考えられる。更に、C5a及びC5aRは骨の恒常性及び再構築に関係する機能を有し、C5aRアンタゴニストは骨損傷、例えば、骨侵食及び骨密度の低下の治療のため、並びに骨損傷及び軟骨損傷の治療のために有用であることを発見した。

Description

本発明は、特に骨損傷並びにそれらに関連した疾患及び障害に関係する、C5aRアンタゴニストのさらなる治療的使用に関する。
C5aRは、補体因子5のA断片(C5a)の受容体である。この受容体は、白血球を含むいくつかの異なる細胞型で発現する。C5aRは、7回膜貫通型Gタンパク質結合受容体のファミリーに属し、C5aの高親和性受容体で、Kdは約1nMである。受容体の構造は、7回膜貫通型受容体ファミリーに合致し、細胞外N末端の次に細胞内及び細胞外ループとしてヘリックス間ドメインが交互に結合した7回膜貫通ヘリックスが続き、最後に細胞内C末端ドメインがある。
C5a応答をC5aRアンタゴニストで阻害すると、その他の補体成分に影響を及ぼすことなくC5aによって媒介される急性炎症応答が低下する。このために、C5aRペプチドアンタゴニスト及び抗C5a受容体抗体が、今までに報告されたことがある(Watanabe等、1995 Journal of Immunological Methods 185: 19〜29; Pellas等、1998; Konteatis等、1994; Kaneko等、1995; Morgan等、1993)。例えば、国際公開第95/00164号は、C5aRのN末端ペプチド(残基9〜29)に対する抗体について記載している。国際公開第03/062278号は、第2の細胞外ループと反応する抗体(7F3、6C12及び12D4と称するクローンを含む)について記載している。更に、C5aR抗体は、国際公開第022390号、最近では国際公開第2012/168199号に記載されている。データは全て、C5aがその受容体C5aRに結合するのを効果的にブロックすると、インビトロにおいてC5aが刺激する好中球の遊走を阻害することができ、動物モデルにおいて炎症を防御することができることを裏付けている。
C5aは関節リウマチの病理発生などの炎症性疾患に関与した炎症誘発タンパク質で、関節リウマチにおいてC5a及びC5aRが関連することは、関節炎が誘導されにくいC5aRが遺伝的に欠損したマウスにおいて裏付けられた(Ji等、(2002) Immunity 16: 157〜168; Grant等、(2002) J Exp Med 196: 1161〜1171、Lee等、2006、(Nat Biotechnol. 2006 Oct;24(10):1279〜84)及びHishimoto等2010、J Exp Med. 2010 Jun 7;207(6):1135〜43)。更に、低分子C5aRアンタゴニストで治療すると、環状ペプチドはラットの関節炎誘導後の炎症及び腫脹を軽減することができる(Woodruff等、(2002)Arthritis Rheum 46: 2476〜2485)。
関節リウマチ(RA)は、関節の炎症性疾患である。罹患した関節は通常腫脹、発熱し、次第に痛みが増し、時間が経つにつれて硬直するようになる。後期の症状には、患者の運動性に重大な影響を与える骨損傷を含む関節破壊が含まれ、骨の変形が含まれることもある。
このような炎症性疾患の治療に使用されるほとんどの薬物は主に抗炎症性であるが、RA及び関連疾患の治療はまた、関節及び骨の破壊に良い影響を及ぼすことが非常に重要で関心が持たれている。RAに加えて、骨損傷はその他の関節炎疾患に関連して生じることがあり、炎症性疾患とは関係なく生じることさえある。
骨芽細胞が骨形成を刺激し、それによって骨量及び/又は骨密度を増加させる間、破骨細胞は骨組織を継続的に破壊することができるので、骨芽細胞及び破骨細胞は協同して骨の維持を担っている。したがって、骨の恒常性及び再構築の調節に影響を与えることができる化合物が適切で、骨、特に骨侵食を含む骨損傷に影響を及ぼす疾患又は障害の治療に広く適用することができる。
国際公開第95/00164号 国際公開第03/062278号 国際公開第022390号 国際公開第2012/168199号 国際公開第2005040219号 米国特許出願公開第20050238646号 米国特許出願公開第20020161201号 国際公開第022390号 米国特許第4568649号
Watanabe等、1995 Journal of Immunological Methods 185: 19〜29 Ji等、(2002) Immunity 16: 157〜168 Grant等、(2002) J Exp Med 196: 1161〜1171 Lee等、2006、(Nat Biotechnol.2006 Oct;24(10):1279〜84) Hishimoto等2010、J Exp Med. 2010 Jun 7;207(6):1135〜43 Woodruff等、(2002)Arthritis Rheum 46: 2476〜2485 Ill等、Protein Eng 1997;10:949〜57 Holliger及びHudson、Nat Biotechnol 2005;2S:1126〜1136 Shushakova等、2002、Hycult biotech社
本出願の発明者等は、C5aRアンタゴニストが有用な適応症/症状に対してC5aRアンタゴニストが関節破壊、骨損傷の治療、特に骨侵食の阻害を加える幅広い機能を有することを発見した。
本発明の一態様は、骨損傷の治療又は予防のためのC5aRアンタゴニストの使用、例えば骨損傷の治療又は予防のための方法において使用するためのC5aRアンタゴニストに関する。骨損傷は、本明細書では骨侵食及び骨密度の低下を含むものと考えられる。更に、C5aRアンタゴニストは更に骨損傷及び軟骨分解の組み合わせ治療又は予防に有用であり得る。このような治療又は予防は、骨損傷の速度を低下させ、且つ/又は骨塩量を改善若しくは増加させるためであってもよい。骨損傷は、関節に影響を与える炎症性疾患、特に関節炎の少なくとも部分的な症状であり、したがってC5aRアンタゴニストは本発明によれば、様々な形態の関節炎の1つに罹患している対象における骨損傷の治療又は予防において使用することができる。
本発明者等は、驚くべきことに少ない投薬回数後に既に治療効果を認めることができたので、C5aRアンタゴニストを使用する治療の効果が迅速な応答をもたらすことを発見した。一実施形態では、本発明は、効果が4、3、2又は1回の投薬後に得られる骨損傷の治療又は予防の方法において使用するためのC5aRアンタゴニストに関する。
アンタゴニストの機能は、本発明によれば、C5aがC5aRに結合するのを阻害又は低下させることによって、並びに/又はa)C5a誘導性好中球活性化、b)C5a誘導性細胞遊走及び/又はc)C5a誘導性好中球成熟などの、C5aのC5aRによって媒介される生物学的効果を阻害又は低下させることによって、アンタゴニストがC5aRと拮抗する能力と関連すると考えることができる。
本発明によるC5aRアンタゴニストは、抗体及びペプチド分子を含む治療的投与に適したいかなる種類の化合物であってもよい。本発明によるC5aRアンタゴニストは、1つ又は複数の医薬賦形剤を場合によって含む医薬組成物の一部として投与する。一態様では、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のC5aRアンタゴニストを、必要とする個体に投与する工程を含む、骨損傷の治療又は予防のための方法に関する。
配列表
配列番号1:ヒトC5aR
2番目のループは、AA171〜206の下線によって示される。
配列番号2:マウスC5aR
2番目のループは、AA167〜203の下線によって示される。
ヒト/マウスキメラC5aRに対する抗C5aR mAbの結合を示した図である。この図は、マウス配列は太線で示し、ヒト配列は細線で示したように、C5a受容体タンパク質のどの領域がヒト及びマウスに由来するか示している。 Δ平均蛍光強度(FI)として定量したC5a誘導性CD11b発現を示した図である:所与の抗C5aR mAb濃度の平均FI値を、C5aを添加していない血液から得られた平均FI値から差し引く。mAb20/70の結果は、mAb濃度の関数として示す。点線は、IC50値を表しており、0.6μg/mlであると計算された。 抗C5aRがCIAマウスモデルにおいて組織学スコアを低下させることを示した図である。図は、抗C5aR、Enbrel(登録商標)(Etanercept社)及びアイソタイプ対照治療でそれぞれ治療したマウスにおける組織学スコア係数を示す。関節炎変化の組織病理エンドポイント評価は、各マウスの両後足で実施した。抗C5aRで治療すると、アイソタイプ対照治療と比較して、組織学スコア係数が有意に低下した。 抗C5aRがCIAマウスモデルにおいて骨侵食及び軟骨分解を阻害することを示した図である。骨侵食及び軟骨分解は、各マウスの最も冒されている後足のHE染色切片で評価した。抗C5aRで治療すると、抗TNP対照抗体で治療したマウスと比較して、骨侵食及び軟骨分解の両方が有意に軽減する。 抗C5aRによる治療は、片足の関節炎モデルにおける様々な関節炎パラメータを低下させることを示した図である。データは、ブロッキング抗C5aR抗体か、又はアイソタイプ対照抗体のいずれかで治療したDTH関節炎のマウスから得られた。抗C5aR治療は、滑膜炎、軟骨分解及び骨侵食を含む関節炎変化を有意に軽減する。更に、治療は炎症細胞の関節外浸潤を有意に軽減する。 抗C5aRの単回投与がCIAマウスモデルにおいて治療48時間後に関節炎を寛解させることを示した図である。図6A及び6Bはそれぞれ、経時的な群当たりの平均臨床スコア(±SEM)及びAUC(個々の臨床スコアの曲線下面積)を示している。黒い線は平均を表す。図6Cは、組織学スコア係数を示している。臨床及び組織病理学的評価の両方とも疾患の有意な軽減を示している。 DTHAモデルにおける疾患活性が、抗C5aR mAbを単回投与して60時間後に低下することを示した図である。7Aは、関節炎誘導後60時間に亘って測定した2つの治療群の足及び足首の腫脹の曲線下面積(AUC)を示す。平均±SEMを示す。n=10。*:p≦0.05; **:p≦0.01、スチューデントt検定。7Bは、2つの治療群における関節炎及び炎症パラメータの0〜3の尺度の半定量的組織病理学スコアを示す。抗C5aRで治療したマウスの滑膜炎、軟骨破壊及び骨侵食の程度は低かった。n=10。*:p≦0.05; **:p≦0.01; ***:p≦0.001、ウェルチによって修正されたスチューデントt検定。7Cは、Bにおける個々のスコアの合計(関節炎合計スコア)及びBにおける個々のスコアの合計マイナス関節外浸潤(関節炎スコア)を示す。可能な最大スコアはそれぞれ15及び9である。n=10。*:p≦0.05; **:p≦0.01、ウェルチによって修正されたスチューデントt検定。
C5aRアンタゴニストの使用
リガンド受容体相互作用によって通常惹起される生物学的応答を阻害又は低下させる化合物又は薬物は、受容体アンタゴニストと呼ばれる。このような受容体アンタゴニストは受容体に結合するものの相互作用の効力は発揮しない。したがって、アンタゴニストが存在すると受容体のリガンド(又は複数のリガンド)の生物学的効果は阻害され又は低下する。アンタゴニストの作用は、受容体の活性部位に結合することによって媒介され、それによってリガンド相互作用をブロックするか、又は中断することができる。或いは、アンタゴニストは受容体の異なる部位に結合して、リガンド結合又は受容体シグナル伝達も効果的に妨害することができる。
C5aRアンタゴニストは、特定の関節炎のいくつかの疾患モデルの結果に基づいて炎症性疾患及び障害の治療に適切であることがわかってきた。C5aの結合によってC5a受容体が媒介するシグナル伝達はこのように阻害されるか、又は低下することができ、進行中の炎症プロセスの阻害又は低下を引き起こし、したがって関節の腫脹を緩和する。更に、C5a及びC5aRは、骨の恒常性及び再構築に関連して機能を有することが発見された。本出願の発明者等は更に、C5aRアンタゴニストが骨損傷に対して有利な効果を有することを立証した。
本発明の一態様は、骨損傷の治療若しくは予防のため、又は骨損傷の治療若しくは予防のための方法において使用するためのC5aRアンタゴニストに関する。類似の態様において、本発明は、骨損傷の治療のための医薬品の製造におけるC5aRアンタゴニストの使用に関する。
C5aRアンタゴニストの骨損傷の発症に影響を及ぼす能力は、骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数に関連することができる。一般的に、治療とは非常に広範な用語で、骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数などの骨損傷に罹患している、又は発症するリスクがある患者に有利と思われるいかなる効果も含む多数の態様を含む。本発明の記載では、治療は骨損傷が認められた状況に関する際に使用され、一方予防は骨損傷がまだ認められない状況に関する際に使用される。本書類の実施例においては「治療」とは化合物の投与のみを意味しており、この投与によるいかなる治療効果とも無関係であることに注意されたい。
一実施形態では、C5aRアンタゴニストは、骨損傷(骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数)及び軟骨破壊を治療するための方法において使用する。
骨損傷は連続的なプロセスによって生じ、関節可動性に対して重大な影響を引き起こし得る。所与の患者における骨損傷は、その患者(又は医師)が骨損傷を発症するリスクがあることに気づく前に始まることがある。その他の症例では、C5aRアンタゴニストは、骨損傷を発症するリスクがある患者における骨損傷の予防に有用であり得る。一実施形態では、C5aRアンタゴニストは骨損傷の予防的治療の方法において使用することができる。
いくつかの実施形態では、C5aRアンタゴニストは骨損傷を回復又は軽減する、例えば、関節の骨物質を再生する治療において使用する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは、骨塩量を改善するための治療において使用する。
骨損傷を完全に予防又は完全に治療することは希なので、C5aRアンタゴニスト治療の目標は、より多く骨損傷の進行を遅らせるか、又は停止させるか、又は骨損傷のさらなる推移を予防することであってもよい。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは骨損傷を予防するためのものであり、骨損傷を軽減するためのものであり、且つ/又は骨損傷を阻害するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは骨損傷の進行を遅らせるか、又は停止させるためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは骨損傷の進行を阻害するためのものである。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは、哺乳類対象、特にヒト対象における骨損傷を治療するための方法において使用する。前記から明らかなように、本発明は、ヒト対象における骨損傷の治療の任意の態様、例えば、骨損傷の予防、阻害、停止及び回復に関する。同様に、本発明は、ヒト対象における骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数を含む骨損傷の治療に関する。
したがって、本発明は、対象における骨損傷を治療するための方法において使用するためのC5aRアンタゴニストであって、前記対象が、必要とする個体である、C5aRアンタゴニストに関する。したがって、必要とする個体は、骨損傷の治療が有益であり得る個体であり、例えば、骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数をこの場合も含む、骨損傷に罹患している、又は骨損傷を発症するリスクがある患者である。
さらなる実施形態では、治療の対象は関節炎に罹患した患者であってもよい。一実施形態では、対象は骨関節炎(変性関節疾患)を有する。さらなるこのような実施形態では、骨関節炎は関節の外傷、関節の感染によるものであるか、又は加齢性であってもよい。一実施形態では、対象は関節リウマチを有し、若年性関節リウマチ(JRA)としても知られている若年性突発性関節炎(JIA)を有する対象も含む。一実施形態では、対象は敗血症性関節炎を有する。一実施形態では対象は乾癬性関節炎を有する。
さらなる実施形態では、対象は痛風又は足部痛風を有していてもよい(侵襲領域が母指を含む場合)。さらなる実施形態では、対象は強直性脊椎炎(AS)及び乾癬性関節炎(PsA)を含むベヒテレフ病又はマリーシュトリュンペル病としても知られている脊椎関節障害(SpA)を有していてもよい。
関節炎の診断基準は時間と共に異なることがあり、関節炎及びその異なる形態を診断することができる専門家が所与の患者を調べる際の実践地域及び時点に左右される。一実施形態では、対象は、関節炎の1つ又は複数の症状、例えば関節リウマチの1つ又は複数の症状を有する。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは、迅速な応答を得るために骨損傷を阻害、停止及び/又は回復させるなどの骨損傷を治療するための方法において使用される。一実施形態では、C5aRアンタゴニストは、迅速な応答を得るために骨損傷を治療するための方法において使用される。このような一実施形態では、迅速な応答は、C5aRアンタゴニストの限定された投薬回数の後、例えば、多くても5回投薬後、例えば多くても3回投薬後、又は好ましくは2回若しくは1回という少ない投薬回数の後で検出可能であれば存在すると考えられる。使用したC5aRアンタゴニストに応じて、症例毎に様々な投与時期を予想して決定する。したがって、C5aRが迅速な応答を得るために使用できるかどうかを考慮すると、時期は薬物間で変動することがある。一実施形態では、迅速な応答は5回投薬を行う前に、例えば、4回、3回又は2回目の投薬を投与する前に検出できるか、又は検出可能である。一実施形態では、迅速な応答は2回目の投薬を投与する前に検出可能である。週1回の投与を想定するならば、応答は1回目の投与から1ヵ月以内、又は1回目の投与の4週間以内又は最初の投与の3週間以内又は1回目の投薬の2週間以内又は最初の投与の1週間以内に予想することができる。
迅速な応答は、疾患及び求める効果に適切であると見なされるならば、当業者に公知の様々な手段によって検出することができる。
骨損傷の治療は患者において容易に測定することはできないので、代わりとなる間接的な手段を使用してもよい。
したがって、応答は、関連する疾患バイオマーカー、例えば、疾患活性を表すマーカー、例えば、サイトカイン及び化学誘引物質を測定することによって検出することができる。特定の細胞型の存在を知らせるマーカー、例えば、好中球を検出するMPO並びに組織再構築及び/又は細胞外マトリクス恒常性のマーカーを使用して、早期応答を得られるかどうかを評価することができる。明確にするために、効果が実際に測定されない状況でも、例えば、適切な測定が実施されたならば応答が検出されるだろうという状況でも、迅速な応答は得られたと見なすことができることに留意されたい。
一実施形態では、迅速な応答は局所的な、又は周辺の適切なマーカーを測定することによって検出され(又は検出することができ)、この場合、周辺のシグナルは好ましくは血清試料中において検出することができる。
一実施形態では、C5aRアンタゴニストは、前述のような迅速な応答を追求する骨損傷又は骨侵食を治療する方法において使用され、サイトカインマーカー、化学誘引物質マーカー又は組織再構築マーカーのような好中球マーカーの関連変化を観察することができる。適切なマーカーの例は、Table 1(表2)に見いだすことができ、さらなるマーカーも当業者が利用可能であることは明らかである。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは経口投与用である。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは静脈内投与用である。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは皮下投与用である。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは毎日投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは隔週に投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは週に1回投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは2週間毎に投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは20日〜25日毎、又は例えば1ヵ月に1回の頻度で投与する。
治療方法
本発明の態様は、治療有効量のC5aRアンタゴニストを、必要とする個体に投与する工程を含む、骨損傷の治療又は予防のための方法に関する。本発明の範囲内で、この方法はC5aRアンタゴニストの使用に関連した前述の態様及び実施形態と同等の変種及び実施形態を含むことができる。それらの例は、個体に治療有効量のC5aRアンタゴニストを投与する工程を含む、骨損傷の進行の遅延、停止及び/又は阻害が前記個体に有益である疾患又は障害の治療のための実施形態である。一実施形態では、骨損傷の治療方法は治療有効量のC5aRアンタゴニストを必要とする個体に投与することを含み、前記C5aRアンタゴニストは経口的に投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは静脈内に投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは皮下に投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは1日1回投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは週2回投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは週1回投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは2週間毎に投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは20日〜25日毎、又は例えば1ヵ月に1回の頻度で投与する。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストは本明細書で以下に記載したように医薬組成物に含まれる。
一実施形態では、本発明は、治療有効量のC5aRアンタゴニストを必要とする個体に投与することを含み、迅速な応答が検出可能である、骨損傷又は骨侵食の治療方法に関する。本明細書で前述したように、迅速な応答とは、限定された投薬回数後、又は1回の投与から限定された時間後に、サイトカインマーカー、化学誘引物質マーカー又は組織再構築マーカーのような好中球マーカーの関連変化が観察できる状況を意味し得る。
このような一実施形態では、迅速な応答は、C5aRアンタゴニストの限定された投薬回数の後、例えば、多くても5回投薬後、例えば多くても3回投薬後、又は好ましくは2回若しくは1回という少ない投薬回数の後で検出可能であれば存在すると考えられる。
使用したC5aRアンタゴニストに応じて、症例毎に様々な投与時期を予想して決定する。したがって、C5aRが迅速な応答を得るために使用できるかどうかを考慮すると、時期は薬物間で変動することがある。一実施形態では、迅速な応答は5回投薬を行う前に、例えば、4回、3回又は2回目の投薬を投与する前に検出できるか、又は検出可能である。一実施形態では、迅速な応答は2回目の投薬を投与する前に検出可能である。週1回の投与を想定するならば、応答は1回目の投与から1ヵ月以内、又は1回目の投与の4週間以内又は最初の投与の3週間以内又は1回目の投薬の2週間以内又は最初の投与の1週間以内に予想することができる。
C5aRアンタゴニスト
補体因子5のA断片であるC5aは、その受容体C5aRに結合し、炎症応答を刺激する。C5a応答をC5aRアンタゴニストで阻害すると、その他の補体成分に影響を及ぼすことなくC5aによって媒介される急性炎症応答が低下する。環状ペプチドなどのペプチド分子及び抗C5a受容体抗体を含む様々な種類のC5aRアンタゴニストが既に記載されている(背景の項を参照のこと)。
C5aRアンタゴニストの重要な特徴は、(所与の種において)C5aRと特異的に相互作用するが、C5aの受容体でもあるC5L2などのその他の類似の受容体とは相互作用しないこの分子の能力である。本発明によれば、C5aRアンタゴニストはC5aRと特異的に相互作用する。この相互作用はC5aRに対するC5aの結合の阻害又は低下を引き起こす。
「結合する」、「特異的に結合する」及び「結合特異性」という用語は、本明細書ではC5aRアンタゴニストの選択性を記載するために使用される。
抗C5aRアンタゴニストの機能は、C5aのC5aRへの結合を顕著に阻害又は低下させる前記アンタゴニストの能力に左右される。一実施形態では、本発明は、C5aのC5aRへの結合を顕著に阻害又は低下させることができるC5aRアンタゴニストに関する。これは、本明細書の実施例2に記載した置換アッセイ(SPA)によって測定することができ、それによってIC50値を測定することができる。一実施形態では、IC50は50nM未満である。本発明のさらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストはSPAアッセイにおいてC5aと置換し、IC50は50nM未満、例えば、40nM未満、例えば30nM未満、例えば20nM未満、例えば、10nM未満、例えば、5nM未満又は更に4nM未満であり、又はIC50は3nM未満又は更に2.5nM若しくは2.0nM未満である。
結合「親和性」という用語は、1価の相互作用(本質的な活性)を表現するために使用される。1価の相互作用による2つの分子、例えばアンタゴニスト及び受容体の結合親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)法によって、複合体形成及び解離の反応速度を測定して解離定数(KD)を測定することによって定量することができる。1価複合体の結合及び解離に対応する速度定数は、それぞれ結合速度定数ka(又はkon)及び解離速度定数kd(又はkoff)と呼ばれる。KDは、式KD=kd/kaによってka及びkdに関係する。更に、「親和性」は、分子の単一の結合部位(例えば、アンタゴニスト)とリガンド(ここでは受容体)の間の結合の強度に関係する。分子XのリガンドYに対する親和性は、溶液中に存在するX分子の半分の結合部位を占有するために必要なYの濃度である解離定数(Kd)によって表される。Kdが小さければ小さいほど親和性が強いか又は高く、部位を占有するために必要なリガンドの濃度は低いことを示す。同様に、相互作用の特異性は、アンタゴニストと受容体の間の特異的な相互作用などの関心のある相互作用のKD値を測定し、関心の無い相互作用のKD値と比較することによって評価することができる。
「顕著である」という用語は、効果が生物学的に適切であること、例えば、少なくとも10若しくは20%の阻害、又は、例えば、少なくとも10若しくは20%の誘導を表現するために使用される。
C5aRアンタゴニストの親和性は、好中球を使用して実施した競合リガンド結合アッセイで代わりに測定することができる。この機能は、競合アッセイで測定したアンタゴニストの親和性と呼ばれるが、相互作用の結合力の測定と見なすこともできる。エキソビボアッセイは、インビトロ設定においてC5aRアンタゴニストがC5a媒介作用を中和する能力を測定する。一実施形態では、C5aRアンタゴニストは、好中球に対する競合リガンド結合アッセイによって測定すると1.0nM若しくは0.80nM未満、例えば、0.50nM若しくは0.35nM未満の親和性を有する。
C5aRアンタゴニストのさらなる機能的特性は、好中球のC5a依存性遊走を阻害する能力である。この機能は、本明細書の実施例2で記載したように評価することができる。この機能性を表す抗体の例は、国際公開第2012/168199号に記載されている。したがって、一実施形態では、本発明はC5aRアンタゴニストに関し、前記C5aRアンタゴニストはC5a誘導性細胞遊走を阻害する(インビトロ又はインビボにおいて)。
一実施形態では、本発明は、ヒト好中球の遊走を顕著に阻害することができるC5aRアンタゴニストに関する。
一実施形態では、C5aRアンタゴニストはインビトロにおける好中球の遊走を顕著に阻害する。
一実施形態では、抗体は、C5a 10nMの存在下及びC5aRアンタゴニストの非存在下で観察された遊走のレベルと比較して、遊走を50%未満、40%未満、30%未満、20%未満又は10%未満に阻害する。このような一実施形態では、遊走は、C5a 10nM及びC5aRアンタゴニストの存在下で30分後に測定し、C5a 10nMの存在下及びC5aRアンタゴニストの非存在下で30分後に観察された遊走のレベルと比較する。或いは、C5aRアンタゴニストが好中球遊走を阻害する能力は、同じ設定に基づいたIC50値を使用して表現することができる。このような一実施形態では、IC50は2.5μg/ml未満、例えば、2.5μg/ml未満、例えば、1.5μg/ml未満、例えば、1.2μg/ml未満又は更に1.0μg/ml未満である。
C5aRアンタゴニストの機能をインビトロで測定するさらなる方法はカルシウムフラックスアッセイで、これは実施例2で記載したように、C5aRアンタゴニストがエキソビボにおいてC5a誘導性好中球活性化を阻害する能力を測定する。さらなる実施形態では、本発明は、カルシウムフラックスアッセイで測定したIC50が7.0μg/ml未満、例えば、5.0μg/ml未満、例えば、2.5μg/ml未満であるC5aRアンタゴニストに関する。
更にエキソビボアッセイを使用して、CD11b及びCD62L発現などの2次効果に基づいてC5aRアンタゴニストがC5a誘導性好中球成熟を阻害又は中和する能力を測定することができる。CD11b及びCD62LはそれぞれC5a/C5aR相互作用によって活性化されると上方及び下方制御されるので、好中球の成熟マーカーである。
一実施形態では、本発明は、CD11b上方制御アッセイで測定したIC50が3.5μg/ml未満、例えば、3.0μg/ml、例えば、2.5μg/ml未満、例えば、2.0μg/ml未満、又は例えば1.5μg/ml又は更に1.0μg/ml未満であるC5aRアンタゴニストに関する。
同様に、CD62L下方制御アッセイにおけるC5aRアンタゴニストの効果を測定することができる。一実施形態では、本発明は、CD62L下方制御アッセイで測定したIC50が1.8μg/ml未満、例えば、1.5μg/ml未満、例えば、1.2μg/ml未満又は更に1.0μg/ml未満であるC5aRアンタゴニストに関する。
当業者であれば、所与の化合物が適切なC5aRアンタゴニストであるかどうかを測定するさらなる基準に気づき、したがって本発明の範囲内で好ましいアッセイを選択することができよう。
C5a及びC5aR分子は種を通じて類似性を共有しているが、C5aRアンタゴニストは種特異的で、例えば、ヒト複合体又はマウス複合体に特異的である。一実施形態では、アンタゴニストはヒトC5aRアンタゴニストである。一実施形態では、アンタゴニストはマウスC5aRアンタゴニストである。
様々な種類の分子は、C5aRアンタゴニスト機能を有することができる。一実施形態では、C5aRアンタゴニストは抗体である。
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗体全体及び対応する抗原、本明細書ではC5aRに特異的に結合する任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)又はそれらの1本鎖分子を表現するために使用される。抗原結合断片の例には、Fab、Fab'、F(ab)2、F(ab')2、F(ab)S、Fv(通常抗体の1腕のVL及びVHドメイン)、1本鎖Fv(scFv)、dsFv、Fd(通常VH及びCHIドメイン)及びdAb(通常VHドメイン)断片;VH、VL、VhH及びV-NARドメイン;1つのVH及び1つのVL鎖を含む1価分子;ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及びカッパボディ(例えば、Ill等、Protein Eng 1997;10:949〜57参照);ラクダIgG;IgNAR;並びに機能的抗体断片を形成するために単離されたCDR又は抗原結合残基又はポリペプチドが一緒に結合又は連結した1つ又は複数の単離されたCDR又は機能的パラトープが含まれる。様々な種類の抗体断片が、例えばHolliger及びHudson、Nat Biotechnol 2005;2S:1126〜1136;国際公開第2005040219号、並びに米国特許出願公開第20050238646号及び第20020161201号で記載され、検討されている。抗体、抗体全体又は抗原結合断片の生成方法は、当技術分野では公知である。マウスモノクローナル抗体は通常、ミエローマ細胞と所望する抗原で免疫したマウスの脾臓細胞とを融合させることによって作製する。ヒトモノクローナル抗体は、ヒト抗体をコードするトランスジェニック動物(例えば、マウス又はその他の適切な種)から得ることができる。或いは、組換えモノクローナル抗体は、レパートリークローニング又はファージディスプレイ/酵母ディスプレイと称する技術を使って作製することができる。組換え抗体操作には、マウスよりもウイルス又は酵母を使用して抗体を生成することが必要である。組換え技術はまた、配列、通常は少なくとも非ヒト生殖系列イムノグロブリン配列から得られた最小の相補性決定領域(CDR配列)を含有する、本明細書ではヒト/非ヒトキメラ抗体を意味する「ヒト化」抗体を作出するために使用される。したがって、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が所望する特異性、親和性及び能力を備えたマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
一実施形態では、C5aRアンタゴニストはC5aRの2番目のループに結合する抗体である。一実施形態では、C5aRアンタゴニストはヒトC5aRの2番目のループ(AA175〜206)に結合する抗体である。一実施形態では、C5aRアンタゴニストはAA179〜186(EEYFPPKV)に結合する抗体である。一実施形態では、C5aRアンタゴニストはマウスC5aRの対応する2番目のループに結合する抗体である。
このような実施形態では、抗体はモノクローナル抗体、例えば、国際公開第03/062278号、国際公開第022390号及び国際公開第2012/168199号のいずれか1つに記載された抗体の1つのCDR配列又は可変領域を有する抗体である。C5aRアンタゴニスト抗体は、抗体が天然の環境の別の/その他の成分から分離及び/又は回収され、且つ/又は天然の環境における成分の混合物から精製されたことを示すために、単離されたと記載することができる。
一実施形態では、C5aRアンタゴニスト抗体はIgGアイソタイプ、例えば、IgG1、IgG2又はIgG4である。
抗体は、Fcドメインを介して様々なFc受容体と相互作用するので、国際公開第2012/168199号において記載されたようにE233P、L234A又はV234A又はF234L又はF234V、L235E又はL235A、G236R又はG236A、G237A、S239D、S254W、N297Q、L328R、A330S、P331S及びI332Eから選択される1つ又は複数のFc変異を有する抗体など、このような相互作用が好ましいか又は好ましくないかを考慮することは適切である。一実施形態では、抗体Fcは、234A、L235E、G237A、A330S及びP331S変異を含むIgG1である。抗体は更にD327Q変異を含むことができる。
一実施形態では、本発明による抗体は、インビトロにおいて有意に好中球の食作用を誘導せず、食作用のレベルは抗C5aR抗体の非存在下で測定したバックグラウンドを有意に上回らないことを意味する。一実施形態では、抗体はいかなる食作用の検出可能な誘導も引き起こさない。食作用のレベルを評価するためのアッセイは、国際公開第2012/168199号の実施例4に記載されたようにヒト好中球を使用して実施することができる。
代わりのアッセイでは、抗hC5aR抗体が細胞枯渇を媒介する、例えば、ADCC(抗体依存性細胞傷害)及びCDC(補体依存性細胞傷害)を誘導する能力を評価してもよい。アッセイは、標的細胞としてのC5aR発現細胞及びエフェクター細胞(単球枯渇PMBC)又は応答を惹起するための補体含有血清に適用する。このアッセイは更に、国際公開第2012/168199号の実施例4に記載されている。
本出願の目的のために、抗体及びそれらの断片はこれらの用語は本明細書では低分子に関係して使用されているので、非ペプチド化合物と考えられる。一実施形態では、C5aRアンタゴニストは非ペプチド化合物である。
一実施形態では、C5aRアンタゴニストは、C5a又はC5aRから得られたペプチドなどのペプチド分子である。一実施形態では、C5aRアンタゴニストはC5aのPMN全体への結合を阻害すること、及び同様にPMN脱顆粒を阻害することが示された(Finch等、J Med Chem. 1999 Jun 3;42(11):1965〜74)Ornの側鎖及び末端カルボキシレートによって環状化した3D53(AcPHe-Orn-Pro-DCha-Trp-Arg)などの環状ペプチドである(Wong等、IDrugs. 1999 Jul;2(7):686〜93)。化合物3D53はまたPMX53としても知られている。更に、さらなる類似の化合物はPMX205(Woodruff TM: FASEB J、Vol. 20 (9)、1407〜1417、2006)である。
前述のPMX53及びPMX205に加えて、本発明で有用なさらなるC5aRアンタゴニストには、1つ又は複数のMP-435(Mitsubishi Tanabe/J&J社)、CCX-168(ChemoCentryx/GSK社)、MEDI7814(MedImmune社)、ARC1905(Ophtotech社)、NOX-D19(Noxxon Pharma社)、ADC-1004(Alligator Biosciences社)及びNGD 2000-1(Neurogen社)を含めることができる。
C5aRアンタゴニストの治療有効量を各化合物について決定しなければならないが、効力、生物学的利用率及びインビトロにおける半減期などの多数の要因に左右されるだろう。このように投与する投薬量は、化合物によって変わる。一実施形態では、C5aRアンタゴニストが抗体の場合、抗体は0.010mg/kgから最高6mg/kgまでの用量で投与することができる。
医薬製剤
本発明は更に、薬学的に許容される担体及び本発明によるC5aRアンタゴニストを含む医薬組成物及び/又は製剤を含む。
本発明によるC5aRアンタゴニストは、本発明の態様において医薬組成物の調製において使用することができる。このような医薬組成物は、薬局方又はRemingtonなどのこの分野の一般知識に基づいて調製することができる。
一実施形態では、本発明による医薬組成物は薬学的に許容される担体と組み合わせて本明細書で記載したような抗体を含む。製剤は、液体製剤又は投与前に水若しくは水性緩衝液組成物で再構成する乾燥製剤の形態であってもよい。製剤は、水性製剤の形態であってもよい。一実施形態では、製剤は、錠剤又はカプセルの形態の乾燥製剤であってもよい。一実施形態では、製剤は滅菌する。
本発明による抗体の医薬組成物、例えば、国際公開第2011/104381号で記載された組成物は、塩及び/又は緩衝液を含んでいてもよい。
さらなる実施形態では、本発明による抗体の医薬組成物、例えば、国際公開第2011/147921号で記載された組成物は多数使用に適切であることができる。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は静脈内投与用である。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は皮下投与用である。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は経口投与用である。
さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は毎日投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は隔週に投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は週に1回投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は2週間毎に投与するためのものである。さらなる実施形態では、C5aRアンタゴニストの医薬組成物は20日〜25日毎、又は例えば1ヵ月に1回の頻度で投与する。
本発明は更に、限定はしないが、本明細書の以下に記載した実施形態によって説明することができる。この発見はまた、本明細書に挙げた実施例によって例示される。
実施形態
1.骨損傷の治療又は予防において使用するためのC5aRアンタゴニスト。
2.骨損傷が、骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数を含む、骨損傷の治療又は予防において使用するためのC5aRアンタゴニスト。
3.骨損傷及び軟骨分解の治療又は予防において使用するためのC5aRアンタゴニスト。
4.治療が骨損傷及び/又は軟骨分解の速度を低下させるためである、実施形態1〜3のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
5.治療が骨びらんの進行を阻害又は停止させるためである、実施形態1〜3のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
6.治療が骨密度の増加させるためである、実施形態1〜3のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
7.治療が骨侵食を予防するためである、実施形態1〜3のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
8.C5aRアンタゴニストがヒト対象などの哺乳類の治療において使用するためである、実施形態1〜7のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
9.対象が骨侵食又は骨密度の減少に罹患している、実施形態8に記載のC5aRアンタゴニスト。
10.対象が関節炎の1つ又は複数の症状を有する、実施形態8に記載のC5aRアンタゴニスト。
11.対象が関節炎を有する、実施形態8に記載のC5aRアンタゴニスト。
12.対象が骨関節炎を有する、実施形態11に記載のC5aRアンタゴニスト。
13.対象が関節リウマチを有する、実施形態11に記載のC5aRアンタゴニスト。
14.対象が乾癬性関節炎を有する、実施形態11に記載のC5aRアンタゴニスト。
15.対象が敗血症性関節炎を有する、実施形態11に記載のC5aRアンタゴニスト。
16.C5aがC5aRに結合するのを阻害又は低下させる、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
17.C5aRアンタゴニストがSPAアッセイにおいてC5aと置換し、IC50が50nM未満である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
18.C5aRを介するC5aシグナル伝達を阻害する、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
19.好中球に対する競合結合リガンドアッセイにおいて測定されるC5aRアンタゴニストの親和性が0.80nM未満である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
20.C5aRアンタゴニストがエキソビボにおいてC5a誘導性好中球活性化を中和し、カルシウムフラックスアッセイにおいて測定されるIC50が7.0μg/m未満である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
21.C5aR誘導性細胞遊走を阻害する、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
22.インビトロにおいて好中球の遊走を顕著に阻害する、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
23.遊走を50%未満まで低下させる、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
24.遊走を低下させ、IC50は2.5μg/ml未満である、前記実施形態のいずれかによるC5aRアンタゴニスト。
25.エキソビボにおいてC5a誘導性好中球成熟を阻害する、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
26.C5aRアンタゴニストがエキソビボにおいてC5a誘導性好中球成熟を阻害し、
a.CD11b上方制御アッセイにおいて測定されるIC50が、3.5μg/ml未満、例えば、2.5μg/ml未満、例えば、1.5μg/ml未満又は更に1.0μg/m未満であるか、或いは
b.CD62L下方制御アッセイにおいて測定されるIC50が、1.8μg/ml未満、例えば、1.5μg/ml未満、例えば、1.2μg/ml未満、又は更に1.0μg/ml未満である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
27.C5aRアンタゴニストがマウスC5aR(mC5aR)又はヒトC5aR(hC5aR)アンタゴニストである、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
28.C5aRアンタゴニストが抗体である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
29.C5aRアンタゴニストがC5aRの2番目のループに結合する抗体である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
30.インビトロにおいて好中球の食作用を顕著に誘導しない抗体である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
31.インビトロにおいてADCCを顕著に誘導しない抗体である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
32.インビトロにおいてCDCを顕著に誘導しない抗体である、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
33.ペプチド、例えばC5a又はC5aRから得られたペプチドである、実施形態1〜27のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
34.ペプチド分子、例えばPMX53又はPMX205である、実施形態1〜27のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
35.迅速な応答を得るための、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
36.応答を得るために骨損傷又は骨侵食の治療において使用するための、前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
37.迅速な応答が多くても3回投薬後に検出可能である、骨損傷又は骨侵食の治療において使用するための、前記実施形態35又は36のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
38.迅速な応答が多くても3回投薬後に血清試料中で検出可能である、骨損傷又は骨侵食の治療において使用するための、前記実施形態35又は36のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
39.1つ又は複数のバイオマーカーの関連変化が多くても3回投薬後に検出可能である、前記実施形態35又は36のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
40.1つ又は複数のバイオマーカーの関連変化を多くても3回投薬後に検出可能である、骨損傷又は骨侵食の治療において使用するための、前記実施形態35〜39のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
41.組織再構築又は化学誘引物質マーカーから選択される1つ又は複数のバイオマーカーの関連変化が検出可能である、骨損傷又は骨侵食の治療において使用するための、前記実施形態35〜40のいずれかに記載のC5aRアンタゴニスト。
42.前記実施形態のいずれかに記載のC5aRアンタゴニストを含む医薬組成物。
43.薬学的に許容される担体を更に含む、実施形態42に記載の医薬組成物。
44.製剤が液体製剤である、実施形態42に記載の医薬組成物。
45.製剤が乾燥製剤である、実施形態42に記載の医薬組成物。
46.製剤が静脈内投与用である、実施形態42〜45に記載の医薬組成物。
47.製剤が皮下投与用である、実施形態42〜45に記載の医薬組成物。
48.製剤が経口投与用である、実施形態42〜45に記載の医薬組成物。
49.製剤が毎日投与するためのものである、実施形態42〜48のいずれか1つに記載の医薬組成物。
50.製剤が隔週に投与するためのものである、実施形態42〜48のいずれか1つに記載の医薬組成物。
51.製剤が週に1回投与するためのものである、実施形態42〜48のいずれか1つに記載の医薬組成物。
52.製剤が2週間毎に投与するためのものである、実施形態42〜48のいずれか1つに記載の医薬組成物。
53.製剤が20日〜25日毎、又は例えば1ヵ月に1回の頻度で投与するためのものである、実施形態42〜48のいずれか1つに記載の医薬組成物。
54.治療有効量のC5aRアンタゴニストを、必要とする個体に投与する工程を含む、骨損傷の治療又は予防のための方法。
55.治療有効量のC5aRアンタゴニストを、必要とする個体に投与する工程を含む、骨損傷の進行を遅延、停止又は阻害するための方法。
56.治療有効量のC5aRアンタゴニストを、必要とする個体に投与する工程を含む、骨密度を増加させるための方法。
57.前記C5aRアンタゴニストが実施形態16〜42のいずれかの通り定義される、実施形態54、55又は56に記載の方法。
58.前記C5aRアンタゴニストが経口投与される、実施形態57に記載の方法。
59.前記C5aRアンタゴニストが静脈内に投与される、実施形態57に記載の方法。
60.前記C5aRアンタゴニストが皮下に投与される、実施形態57に記載の方法。
61.前記C5aRアンタゴニストが1日1回投与される、実施形態57〜60のいずれかに記載の方法。
62.前記C5aRアンタゴニストが週2回投与される、実施形態57〜60のいずれかに記載の方法。
63.前記C5aRアンタゴニストが週1回投与される、実施形態57〜60のいずれかに記載の方法。
64.前記C5aRアンタゴニストが20日〜25日毎、又は例えば1ヵ月に1回の頻度で投与される、実施形態57〜60のいずれかに記載の方法。
65.必要とする前記個体が、骨損傷の治療が有益であり得る個体、例えば、骨損傷に罹患している、又は骨損傷を発症するリスクがある個体であり、骨損傷が骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数を含む、実施形態57〜60のいずれかに記載の方法。
66.必要とする前記個体が、関節炎、例えば、骨関節炎、関節リウマチ、敗血症性関節炎又は乾癬性関節炎に罹患している、実施形態57〜60のいずれかに記載の方法。
67.必要とする前記個体が、関節炎の1つ又は複数の症状、例えば、関節リウマチの1つ又は複数の症状を有する、実施形態57〜66のいずれかに記載の方法。
68.実施形態の42〜54のいずれかに記載の医薬組成物が投与される、実施形態57〜67のいずれかに記載の方法。
69.迅速な応答を得るためのものである、実施形態57〜68のいずれかに記載の方法。
70.多くても3回投薬後に応答を得るために骨損傷又は骨侵食を治療するためのものである、実施形態57〜68のいずれかに記載の方法。
71.方法が骨損傷又は骨侵食を治療するためのものであり、迅速な応答が多くても3回投薬後に検出可能である、実施形態57〜68のいずれかに記載の方法。
72.方法が骨損傷又は骨侵食を治療するためのものであり、迅速な応答が多くても3回投薬後に血清試料中で検出可能である、実施形態57〜68のいずれかに記載の方法。
73.方法が骨損傷又は骨侵食を治療するためのものであり、1つ又は複数のバイオマーカーの関連変化が多くても3回投薬後に検出可能である、実施形態57〜68のいずれかに記載の方法。
74.1つ又は複数のバイオマーカーの関連変化が多くても3回投薬後に検出可能である、実施形態57〜68のいずれかに記載の方法。
75.方法が骨損傷又は骨侵食の治療のためのものであり、組織再構築又は化学誘引物質マーカーから選択される1つ又は複数のバイオマーカーの関連変化が検出可能である、実施形態57〜68のいずれかに記載の方法。
(実施例1)
20/70(マウス抗mC5aR)及び7F3(マウス抗hC5aR)の結合領域
7F3及びmAb20/70のヒト及びマウスC5aRへの結合領域はそれぞれ決定され、記載されている(Lee等、(2006) Nat Biotech 24 (10) 1279〜1284)。簡単に説明すると、キメラヒト/マウスC5a受容体は、重複伸長PCRを使用して構築した。合成オリゴヌクレオチドプライマーは、ヒト又はマウスC5aR遺伝子の領域を増幅するために使用した。必要なヒト及びマウス遺伝子セグメントを結合して、C5aRの完全なコーディング配列及びウシロドプシンの10個のアミノ酸のC末端タグを形成した。各DNA配列を哺乳類細胞発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)の構成的CMVプロモーターの下流に挿入した。リポフェクタミン2000(Invitrogen社)を使用し、製造者の指示に従って、発現ベクターをマウスL1.2細胞にトランスフェクトした。約1.6μgスーパーコイルプラスミドDNAを8×105個の細胞に添加した。トランスフェクトしたL1.2細胞は、10%ウシ血清(Hyclone社)を補給したRPMI1640(Gibco社)中において増殖させた。
トランスフェクトして1日後、約6×104個の細胞を1,500rpmで5分間遠心分離して、PBSで1回洗浄し、2%(wt/vol)BSA及び0.1%(wt/vol)アジ化ナトリウム(染色緩衝液)及び精製した20/70抗体(5μg/ml)を含有するPBS 100μlに再懸濁した。4℃で30分後、細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、染色緩衝液で1:200に希釈したFITCコンジュゲートロバ抗ラットIgG(Jackson Laboratories社)50μlに再懸濁した。4℃で20分間インキュベートした後、細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、FACSCalibur(Becton-Dickinson社)で分析して、表面発現のレベルを測定した。
抗体20/70が結合したC5a受容体の領域を同定するために、マウス及びヒトC5aRのセグメントを含む一連のキメラ受容体を構築した。各受容体構築物は、マウスC5aR細胞外ドメインは全く含有しないか、1個、2個、3個又は4個全部含有し、ヒトC5aR配列であるドメインは有さなかった。各構築物の4個の細胞外ドメイン(N末端、1番目、2番目及び3番目の細胞外ループ)の由来をFACSデータの概要と共に図1に概略的に示す。
図1は、抗C5aR mAb20/70がマウスC5aRの2番目の細胞外ループに結合し、7F3がヒトC5aRにおける対応する2番目のループに結合することを示唆している。20/70は、構築物4、5、7、9及び10に結合し、それらは全てマウスC5aRの2番目の細胞外ループを含有する。実際に、構築物#7は、マウスC5aRである2番目のループ以外はヒトC5aR全てを含む。更に、20/70は、構築物#1に対する結合が欠如していることによって証明されるようにヒトC5aRと交差反応しない。FITCコンジュゲート2次抗体のみの存在下で(すなわち、一次抗体無し)インキュベートしたトランスフェクタントは、染色を全く示さなかった(データは示さず)。
(実施例2)
C5aRアンタゴニストのインビトロ試験
CD11b受容体上方制御
抗C5aR mAb(m20/70)がC5aに応答したCD11b発現の上方制御を阻害する能力。
アッセイ設定
以下の設定は、CD11b発現における変化を測定することによってC5aRアンタゴニストがC5a誘導性好中球成熟を中和する能力を判定するために考案した。
材料及び方法:
血液は、顎下神経叢を穿刺することによって未処理のC57BL/6マウス(Taconic社、Denmark)からEDTAをコーティングしたチューブに採取した。採取後、血液をプールし、様々な濃度(表参照)の抗C5aR mAb(m20/70、Shushakova等、2002、Hycult biotech社)10μlを小分けした11個のプール血液90μlに添加し、20分間室温(RT)でインキュベートした。インキュベーション後、0.1% BSA(Miltenyi Biotech社、130-091-376)を含むPBSに溶かした組換えマウスC5a(Hycult Biotech社、HC1101)10μg/ml 9μlを試験管1以外の各試験管に添加し、20分間RTでインキュベートした。その後、各試料をフローサイトメトリーのためにCellwash(BD Biosciences社、349524)及び0.2% BSA(Miltenyi Biotech社、130-091-376)を含有する染色緩衝液中に飽和濃度の抗Ly6G-PE(BD Biosciences社、55161)及び抗CD11b-AF700(eBiosciences社、56-0112-82)を含有するマスターミックス50μlを使用して染色した。死細胞を染色するために、Fixable Near IR死細胞染色キット(Invitrogen社、L10119)を製造者の指示に従って染色カクテルに添加した。4℃で20分間インキュベーション後、FACS溶解溶液(BD Biosciences社、349202)を添加して、暗所でRTで15分間インキュベートすることによって赤血球を溶解した。細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、その後LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences社)でFACS Divaソフトウェアを使用して分析した。
結果:
好中球におけるC5a誘導性CD11b発現(生Ly6G+細胞として定義した)は、C5aを添加しない血液から得られた値から差し引いた所与の抗C5aR mAb濃度のAF700の平均蛍光強度(FI)として定量した(図2)。抗C5aR mAbのIC50値は、GraphPad Prismソフトウェア(v. 5.03)において非線形カーブフィッティングを使用して0.6μg/mlと算出された。
したがって、アッセイをその他の化合物の試験に適応して、C5aRアンタゴニストとしての適切性を評価することができる。
CD62L受容体下方制御
アッセイ設定
以下の設定は、CD62L発現における変化を測定することによってC5aRアンタゴニストがC5a誘導性好中球活性化を中和する能力を判定するために考案した。
前記CD11bアッセイは、CD62Lを認識するコンジュゲート抗体(BD Biosciences社、カタログ番号559772)を使用することによってCD62Lを検出するために適応する。CD62Lに特異的な実験の詳細を以下に挙げる。
FACS及びデータ分析
FACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences社)は、チャンネルFL-4用にコンペンセーションパラメータを定めて設定する。試料は、死細胞及び残骸を排除するようにゲーティングする。好中球は、高いFSC及びSSCを有するものとして同定し、ゲーティングする。FL-4(CD62L-APC)チャンネルにおいてゲーティングした好中球の平均蛍光強度(MFI)を算出する。
結果は、バックグラウンドを差し引いた最大CD62L発現のパーセントとして表す。最大CD62L発現(MaxCD62L)は、C5aもC5aRアンタゴニストも含めずにインキュベートした好中球の平均MFIである。最小(バックグラウンド)CD62L発現(MinCD62L)は、C5aは含めるがC5aRアンタゴニストは含めずにインキュベートした好中球の平均MFIである。各試料の最大CD62L発現の%を計算するために使用した式は、
%Max試料=(MFI試料-MFIMin)/(MFIMax-MFIMin)×100
であった。
データはおそらくGraphPad Prism(v4.0)に入力し、EC50を計算するために非線形回帰を使用して、シグモイド用量反応曲線(可変の勾配)、すなわち、パラメータ4つのロジスティック方程式に当てはめた。
置換アッセイ
C5aRアンタゴニストがC5aRに結合するC5aと置換する効力を測定するために、シンチレーション近接アッセイ(SPA)を適用することができる。SPAの詳細な説明は、米国特許第4568649号に記載されており、手順は製造者によって提供されている(Amersham Biosciences社)。簡単に説明すると、RBL-hC5aR細胞から精製した受容体を有する膜断片をコムギ胚芽凝集素(WGA)でコーティングしたシンチレーティング微小粒子に結合させる。放射標識hC5a(125I)トレーサーを添加した後、受容体に結合すると、粒子から光の放射が生じる。SPAの原理に特異的であるが、互いに非常に近接した放射性同位元素と粒子のみが光を放射し、すなわち、受容体に結合した放射標識hC5aのみがWGA粒子に十分近接して光を発生する。したがって、放射した光の量は、受容体結合125I-hC5aの量を表す。アッセイは競合アッセイで、抗hC5aR/非標識hC5aは受容体の結合に際してトレーサーと競合する。このアッセイでは、固定量の125I標識C5aをWGA粒子及びC5aR受容体に添加し、1分当たりのカウント(cpm)で測定されるある特定量の光の放出を引き起こす。非標識C5a又は抗C5aRを添加した場合、受容体へのそれらの結合は125I C5aの置換によってcpmの低下の原因となる。%置換は以下の通り算出する。
S:試料
Smax:非特異的結合。特異的に結合した125I-hC5aに取って代わるために十分な量の非標識hC5aを添加することによって測定。
S0:最大結合。非標識hC5aは添加しない。
IC50値は、C5aの50%と置換する濃度と定義される。cpmは実験間で一定に維持され、したがってIC50値は時間と共にトレーサーが崩壊するのと関連する。化合物が125I-hC5aと置換する効力(IC50)は、C5aRアンタゴニストを同定するために使用することができる。
好中球遊走(化学走性)アッセイ
C5aRアンタゴニストがhC5a(又はmC5a)依存性好中球遊走を阻害する効力は、ボイデンチャンバーにおいて分析することができる。ヒト又は動物血液から単離した好中球をカルセインで染色し、ボイデンチャンバーの上部区画に添加し、抗体と混合する。hC5a又はmC5aはボイデンチャンバーの下部区画に入れると好中球に対して化学誘引物質として作用する。好中球が下部チャンバーに遊走する能力は、3又は5μmのfluoroblok膜を通過するカルセイン染色好中球の数をカウントすることによって測定する。
ヒトPMN(多形核白血球;顆粒球)は、EDTAを含有するバイアルに採集したヒト血液試料から得る。血液細胞は、室温で30分間(400×g)Ficoll-Paque PLUS(GE Health Care社)勾配(3部)で血液(4部)を遠心分離することによって分離する。PMNを含有する層は、混入する赤血球を除去するためにデキストラン-500(Sigma社)を含有するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に1時間懸濁する。上清を室温で5分間(250×g)遠心分離して、残存する赤血球は0.2% NaClを使用して55秒間浸透圧によって溶解した。溶液は、1.2% NaCl+PBSによって等張にして、250×gで5分間遠心分離してから浸透圧溶解を繰り返す。遠心分離後、PMNを反応混合物(RM)に再懸濁する:HBSS(カタログ番号14175 Gibco社)はNaCl 137mM、KCl 5.3mM、Na2HPO4 0.33mM、NaHCO3 4mM、KH2PO4 0.44mM、グルコース5mMを含有し、MgSO4・7H2O 0.4mM、MgCl2 0.5mM、CaCl2 0.5mM、HEPES 20mMを補給する。細胞密度はNucleoCounter(Chemometec社)によって測定する。PMN懸濁液は、ギムザ染色試料を顕微鏡によって評価すると、>95%の好中球を含有するはずである。
PMNの添加:カルセイン、AM(Fluka社)をDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、細胞(1ml当たり2x106個)を含むRMで1000倍に希釈して濃度を10μMとした。懸濁液をインキュベータ中で37℃で30分間インキュベートして、次いで過剰なカルセインを除去するためにRMで3回洗浄する。最後に、細胞をRMに再懸濁する(4x106個/ml)。
遊走は、ボイデンチャンバー技術によってFluoroBlok(登録商標)3μm孔径96ウェル(カタログ番号351161.BD Falcon社(VWR))を使用して評価する。上部チャンバー、すなわちFluoroblok膜を含有する挿入部は、ヒトフィブリノーゲン(カタログ番号F3879-1G、Sigma社)1mg/ml PBSで37℃で2時間コーティングする。洗浄後、この膜をPBS中に2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する溶液でブロックする。RMを使用して更に洗浄した後、105個カルセイン添加PMNをC5aRアンタゴニストと一緒に、又は一緒にせずに各ウェルに添加し、対照溶液又は化学誘引物質hC5a(Sigma社、C5788)を含有するレシーバープレート(下部チャンバー)に入れる。各群は少なくとも6個のウェルから構成された。その後プレートをプレートリーダー(SpectraMax、Molecular devices社又はFluoroscan、Thermo Labsystems社)で485/538nm、37℃で5分毎に60分間測定する。30分後の相対的蛍光単位の値を遊走の測定値として使用する。
カーブフィッティング。C5aRアンタゴニストが遊走を阻害する能力は、GraphPad Prism 5(GraphPad Software, Inc.社)を使用して測定したIC50によって表すことができる。
エキソビボにおける親和性の測定
アッセイによって、インビトロ設定においてC5aRアンタゴニストがC5a媒介作用を中和する能力を測定する。
新鮮なヒト血液からの好中球の単離
血液は、PBS+2% FBSで1:1に希釈し、Ficoll-Paque PLUS(GE Healthcare社#17-1440-03)にFicoll 3部及び血液4部の割合で積層し(50mlチューブ中Ficoll 15ml及び血液20ml)、その後、RTで400×gで30分間遠心分離することによって層別化する。吸引することによって中間のPBMCバンドを丁寧に除去する。濃縮赤血球上に層別化した顆粒球をプラスティック製のパスツールピペットで吸引する。顆粒球及び赤血球を新たな50mlチューブに移し、ペレットにする。ペレットは、1×PBS 40mlで希釈し、4% DEXTRAN 500(sigma社、31392)のPBS溶液10mlを添加し(1:5の割合)、反転によって丁寧に混合する。20〜30分後、得られた顆粒球に富んだ上清を新たなチューブに移し、RTで250×gで5分間回転させる。混入する赤血球は、細胞ペレットを0.2% NaCl 7.5mlに再懸濁し、55〜60秒間丁寧に混合することによって浸透圧溶解で除去する。その後、1.2% NaCl 17.5mlを添加し、次にPBSで50mlに希釈し、250×gで5分間回転させる。この工程を1回繰り返す。細胞ペレットをその後反応混合物(dPBS/RPMI)1mlに再懸濁する。生存能及び細胞数は、NucleoCounter(登録商標)を使用してモニターする。
好中球に対する競合リガンド結合アッセイ
ヒト好中球を精製し、洗浄し、結合緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、CaCl2 1mM、MgCl2 5mM及び0.5%ウシ血清アルブミン(画分V IgGを含まない))中に約5×106個/mlで再懸濁する。各試料について細胞懸濁液40μl(1×105個/ウェル)を96ウェルV型プレート(Greiner社、カタログ番号651101)に接種する。競合試験は、最高濃度として1μMから開始したハーフログ希釈の12濃度の競合非標識リガンドを使用して実施する。最終アッセイ体積120μlを考慮してC5aRアンタゴニスト40μlを添加する。放射性リガンド[125I]-hC5a(Perkin Elmer社、カタログ番号NEX250)40μlをバックグラウンド対照以外の全試料に添加する。アッセイにおける放射性リガンドの最終濃度は1nMで、最終体積は120μLである。全試料は3連で実施し、4℃で4時間インキュベートする。次に細胞を4℃で1200rpmで2分間遠心分離して採取し、洗浄緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、CaCl2 1mM、MgCl2 5mM、NaCl 150mM及び0.5%ウシ血清アルブミン(画分V IgGを含まない))100μlで3回洗浄する。最後に、細胞を洗浄緩衝液30μlに再懸濁し、OptiPlate(Perkin Elmer社、カタログ番号6005290)に移し、MicroScint 20(Perkin Elmer社、カタログ番号6013621)150μlを各ウェルに添加する。プレートを覆い、よく混合して、1時間後に調整された実験台でカウントする。アッセイに添加した放射性リガンドの全量は、それぞれのプレートで測定する。各試料中のカウントの数は、[125I]-hC5a 1nMを添加し、冷却C5aRアンタゴニストを添加しない際のカウントの最大レベルを100%とし、冷却C5a 1μMの存在下で測定した非特異的結合を0%とした場合の正規化したパーセントの値として表す。データは、非線形回帰によってPRISM(GraphPad社)を使用して分析する。
カルシウムフラックスアッセイ
ヒト好中球のFluo-4 AM細胞色素による染色
好中球を遠心分離し、PBSで洗浄し、次いで細胞色素中に1×107個/mlで再懸濁し、暗所で室温で40分間インキュベートする。細胞を遠心分離し洗浄して(過剰な色素を除去するため)、再度遠心分離し、細胞緩衝液中に2×106個/mlで再懸濁する。細胞(0.5ml)を滅菌していないFACSガラスチューブに分注し、各試料につきチューブ1本で、室温で保存し、2時間以内に使用する。各試料に1×106個の好中球を使用した。
アッセイ
カルシウムフラックスアッセイは以下の通りに実施する。簡単に説明すると、細胞緩衝液0.5ml中でFluo-4 AMを添加した1×106個の好中球をFACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences社)で、x軸FSC対y軸SSCを使用して好中球にゲーティングして分析する。FL-1(FITC)チャンネルを使用して様々な試薬(例えば、C5aRアンタゴニスト、C5a、イオノマイシン-I-MGB又はC-MGBではなく細胞緩衝液に最終濃度の10倍で溶解)をチューブに添加した後の好中球蛍光を測定する。試料蛍光は1秒毎に獲得した平均蛍光強度(MFI)値によって連続的に測定する。このデータをCellQuest(BD Biosciences社)ファイルに保存し、更に処理し分析するためにExcel(Microsoft社)及びPrism(v4.0c、GraphPad Software Inc.社)に移す。好中球に試薬を添加する順番及びインキュベート時間は、実施するアッセイの種類によって変化し得る。
C5a中和アッセイ
C5aRアンタゴニストの10×3倍系列希釈を1000μg/mlから1.37μg/mlまでの濃度範囲で調製する。Fluo-4 AMを添加した好中球(細胞緩衝液0.5ml中に1×106個)を10×C5aRアンタゴニスト溶液(チューブ内の最終C5aRアンタゴニスト濃度:100〜0.137μg/ml)50μlと共に室温で10分間インキュベートする。ベースライン蛍光を確立するために細胞及びC5aRアンタゴニストをFACSによって約60秒間分析する。次に、C5a 10nM 50μlを添加して最終濃度を約1nMとし、蛍光測定は更に約60秒間継続する。C5aRアンタゴニストがC5a誘導性Ca2+放出をブロックするならば、蛍光のスパイクはない。C5aRアンタゴニストがC5aを中和しないならば、蛍光にスパイクがある。最後に、イオノマイシン1μg/ml 50μlを添加して最終濃度を0.1μg/mlとし、細胞がまだ応答性であることを確かめるために蛍光測定は更に約60秒間継続する。
(実施例3)
コラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルにおける抗C5aRの効果
マウス
雄DBA/1マウス(10〜11週齢)をTaconic(Denmark)から入手し、実験を開始する前に1週間休養させた。マウスは標準的条件下で収容し(10匹/ケージ)、標準的食餌及び水を与えた。
CIAを誘導するための免疫
マウスは0日目に尾の基部に完全フロイントアジュバント(2mg/ml、Arthrogen-CIA(登録商標)アジュバント、Chondrex社、USA)で1:1エマルジョンにしたウシII型コラーゲン(bCII、2mg/ml、Chondrex社、USA)100μlを皮内(i.d.)免疫した。21日目にマウスの尾の基部に不完全フロイントアジュバント(Chondrex社、USA)で1:1エマルジョンにしたbCII(1mg/ml、Chondrex社、USA)100μlをi.d.で追加免疫した。マウスはイソフルラン/O2/N2Oを使用して麻酔下で免疫した。
関節炎の臨床スコアリング
マウスは、実験の21日目から最後まで1週間当たり5回(週末以外は毎日)以下のスコアリング方法に従ってスコア付けした:目に見える臨床症状がない場合は0ポイント、1ポイント/足指の腫脹(1つ又は2つの関節を含むかどうかにかかわらず)(-前足の指I)、指関節、中足骨/中手骨の併発1ポイント、手首、足根/手根の併発1ポイント。最大スコア6は、前足で得られることがあり、最大スコア7は後足で得られることがあった。実験終了前に10を上回る臨床スコアを得たマウスは、デンマーク当局によるヒトのエンドポイントの定義に従って屠殺した。
抗マウスC5aR mAb(m20/70)
HC及びLCの可変領域は、ラット抗マウスC5aR mAb20/70から得られた(Shushakova等、2002、Hycult biotech社)。LCの定常領域は、マウスカッパで、HCの定常領域は、FC領域に6つの変異を設計したマウスIgG2aで、mIgG2a.1を生じた。操作された変異L234A、L235E、G237A(ADCC不活性化)、D327Q、A330S及びP331S(CDC不活性化)は、ADCC又はCDCエフェクター機構を低下させるように形成された。マウスFc-ガンマ受容体I〜IVへの結合の欠如は、表面プラズモン共鳴分析によって測定した(データは示さず)。
試験化合物及びマウスの治療
マウスの個々の治療的療法は、マウスのスコアが2〜7(治療開始時ほとんどのマウスのスコアは2〜4であった)になった際に開始した。治療を開始することが適格になった最初のマウスには化合物1を与え、治療を開始することが適格になった2番目のマウスには化合物2を与えるなどとするように、治療に従ってマウスを無作為化した。この手順を使用すると全ケージに全化合物が表示され、早期及び後期に関節炎を発症したマウスの両方が全投与群において表示された。マウスはどれも2週間に亘って6回の投与を受けた(週末の間は治療を行わなかったので、治療の間隔は1〜2日である)。マウスは以下の化合物の1つで腹腔内(i.p.)治療を受けた。
20/70抗C5aR(マウスIgG2a.1)エンドトキシンレベル<0.10EU/mg、0.5mg/マウス
抗TNP(マウスIgG2a.1)抗体、エンドトキシンレベル0.001EU/mg、0.5mg/マウス
Etanercept(登録商標)10mg/kg
抗TNP(hzIgG1)抗体、エンドトキシンレベル<0.10EU/mg、10mg/kg
血清試料
マウスは、治療開始及び終了時にイソフルラン/O2/N2Oによって麻酔し目から採血した(約150μl、推定全血量の最大7.5%)。血液は、凝血促進化物質(BD Microtainer社)を含む0.5ml血清管に採取し、4℃で15000Gで2分間遠心分離(20分以内)するまで室温で維持した。血清を1.4ml micronicチューブに移し、標準的ELISAアッセイ(R&D Systems社)を使用してマトリクスメタロプロテイナーゼ-3(MMP3)レベルを更に分析するまで-80℃で保存した。血清試料は、R&D systems社製造のマトリクスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)ELISAによって記載されたアッセイ手順を使用して分析した。血清試料は、標準希釈液で1:20に希釈する必要があった。さらなる炎症マーカーは58-バイオマーカーマルチアナライトプロファイル(RodentMAP(登録商標)、Myriad, RBM社、Austin、USA)を使用して評価した。
組織学検査用の足の調製
屠殺時、足を切断し、最適に固定し、カルシウム除去するために第3指と第4指の間から踵骨に向かって矢状に分割した。足を4%パラホルムアルデヒドによって室温で48時間固定し、70%エタノール中に入れた。足をImmunocal中で7日間カルシウム除去し、ASP300組織処理装置でパラフィン包埋用に処理し、切断面を下にして包埋した。パラフィン切片は3μmで切断し、組織病理学的評価用に標準的HE染色で染色した。
組織病理スコアリングシステム
後足の遠位指節間関節(DIP)、近位指節間関節(PIP)、中足骨及び足根関節における関節炎変化は、スコアリングシステム(Sumariwalla等、2004の変法)を使用して評価し、0=正常な関節構造、1=軽度の変化、2、3の離散した軟骨限局性のびらんの前の滑膜炎及びパンヌス、2=中等度の変化、付随する軟骨細胞核破壊、軟骨の広い領域の消失、いくつかの骨侵食の前のパンヌスの侵食並びに単核細胞及び多形核細胞が浸潤した滑膜過形成、並びに3=重度の骨侵食及び関節構造の破壊である。組織学スコア係数は、マウス当たりスコア付けされた関節領域の全数(マウス当たり6つから8つの関節領域)によって除したマウス当たりの全合計スコアとして計算した。
足の破壊的な変化のより特異的なスコアのために、骨侵食及び軟骨分解を後足の最も冒されたHE染色切片でそれぞれスコア付けした。最も冒された状態は、最高の組織学スコア係数を有する足(スコア付けした関節領域の全数によって除した足当たりの全合計スコア)と定義した。2本の足が同じ組織学スコアであるならば、右足を選択した。骨侵食及び軟骨分解の重症度は0〜3でスコア付けし、平均を採用した(スコア付けした関節領域の数によって除した合計スコア)。
統計
臨床スコアリングによる試験化合物の統計学的に有意な効果は、マンホイットニー両側検定を使用して試験化合物群と対照群を比較することによって計算した。計算は、個々のマウスについてGraphPad Prismソフトウェアを使用して臨床スコアの全実験時間に亘って曲線下面積(AUC)を評価して実施した。実験終了前に(6回治療投与後)屠殺したマウスは、最後に観察したスコアと共に計算に含めた。
組織学データは、GraphPad Prism 5を使用して分析し、治療群の組織学スコア係数における差の統計学的有意性の評価は、ウェルチによって修正された対応のないスチューデントt検定を使用して実施した。
結果
治療的抗C5aR療法は、CIAモデルにおいて疾患の進行を停止することができた。臨床スコアにおける有意な(p<0.0001)差は、抗C5aR治療とアイソタイプ対照治療を比較した際に観察された。更に、全身骨破壊マーカーMMP-3のレベルの有意な(p=0.0002)低下は臨床的治療の効果を裏付けた。エタネルセプト治療後に臨床スコア及びMMP3レベルの同程度の阻害が見いだされた。
関節炎変化の組織病理エンドポイント評価は、各マウスの両後足で実施した。組織学スコア係数は、各マウスについて計算した。抗C5aRで処理すると(n=18)、アイソタイプ対照治療(n=15)と比較して、組織学スコア係数が有意に低下した(図3)。屠殺時に組織学スコア係数(治療群はプールした)と臨床スコアの間に有意な相関があった(p<0.0001)。
骨侵食及び軟骨分解は、各マウスの最も冒されている後足のHE染色切片で評価した(抗C5aR n=18、抗TNP n=15)。図4に示したように、抗C5aRで治療すると、抗TNP対照抗体(IgG2a.1)で治療したマウスと比較して、骨侵食及び軟骨分解の両方が有意に低下する。
(実施例4)
マウスの片足の関節炎モデルにおける抗C5aR治療の効果
C57BL/6マウスにおけるDTH関節炎の誘導
DTH-関節炎は、片足にメチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)で古典的DTH反応を惹起し、II型コラーゲンモノクローナル抗体のカクテルを免疫と曝露工程の間に投与するという変更を加えて誘導した(Atkinson SA等、(2012) Arthritis Res Ther 14(3):R134)。簡単に説明すると、7日目に雌C57BL/6マウス(8〜10週齢)の尾の基部の皮内に完全フロイントアジュバント(CFA)(Difco社、Detroit、MI)でエマルジョンにしたmBSA(Sigma社、St. Louis、MO)で免疫した。4日後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)200μlに溶かしたクローンA2-10(IgG2a)、F10-21(IgG2a)、D8-6(IgG2a)、D1-2G(IgG2b)及びD2-112(IgG2b)を含有するII型コラーゲン(CII)マウス抗体5-クローンカクテル(Chondrex社、Redmond、WA)1000μg(約50mg/kg)を静脈内に投与した。0日目に、マウスの右足蹠の皮下にPBS 20μlに溶かしたmBSA 200μgで曝露した。左足蹠にはPBS 20μlのみを投与して対照とした。足蹠曝露後、マウスはmBSAを曝露した右足蹠に関節炎を発症した。
抗C5aR抗体による治療
関節炎スコアに対する抗C5aR治療の効果を調べるために、マウス(n=10/群)にブロッキング抗C5aR抗体(前述のように6つのFc変異を含むm20/70 mIgG2a.1)又はアイソタイプ対照抗体(抗TNP-IgG2a.1)のいずれか500μgをi.p.で週2回、関節炎誘導の日(すなわち、0日目)から全部で4回投与して治療した。
関節炎の定量的測定
主要な効力としてΔ足の腫脹の読出曲線下面積(AUC)を関節炎誘導後0〜11日目から計算し、足の腫脹の変化(Δ)は関節炎誘導後の右足の厚さマイナス関節炎誘導前の右足の厚さとして計算した。
組織学用の足の調製
関節炎を誘導して11日後の屠殺時、後足を切断し、最適に固定し、カルシウム除去するために第3指と第4指の間から踵骨に向かって矢状に分割した。足を4%パラホルムアルデヒドで室温で48時間固定し、70%エタノール中に入れた。足をImmunocal中で7日間カルシウム除去し、ASP300組織処理装置でパラフィン包埋用に処理し、切断面を下にして包埋した。パラフィン切片は3μmで切断した。
組織病理学的変化の評価
足における組織病理学的変化は、従来のヘマトキシリン及びエオジン(HE)全体染色、骨侵食を評価するための破骨細胞酵素、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色並びに軟骨プロテオグリカン損失を示すためのサフラニンOそれぞれで染色した各足の3つの部分で評価した。炎症細胞の関節外浸潤(0〜3の尺度で評価した)及び関節炎変化は、別々に評価した。関節炎変化は、中足骨及び足根関節で評価し、滑膜炎(炎症細胞の浸潤及び滑膜の過形成)、軟骨分解及び骨侵食は別々に0〜3の尺度でスコア付けした。関節炎変化の3つのパラメータのそれぞれについて、2つの関節領域の間の平均を計算した。組織学的評価は、n=10の抗C5aR治療マウス及びn=10の対照抗体治療マウスで実施した。
統計
組織学的スコアの統計解析のために、ウェルチによって修正された対応のないスチューデントt検定を使用した。群間の差は、p≦0.05の場合有意と見なし、有意のレベルに*:p≦0.05、**:p≦0.01及び***:p≦0.001を割り当てた。
結果
関節炎誘導の日から抗C5aR抗体治療するとアイソタイプ対照抗体と比較して足の腫脹の有意な軽減が示された(P<0.01、対応のない両側スチューデントt検定、データは示さず)。組織病理学的評価によって、関節炎変化(滑膜炎、軟骨分解及び骨侵食)及び関節外浸潤に対する抗C5aR治療の極めて大きな効果が示された(図5)。これらの発見と共に、抗C5aR治療が関節における関節炎変化を予防することができることを示し、関節リウマチ(RA)を治療するため、更に骨侵食及び骨密度の低下を含む骨損傷を治療するための治療薬としての抗C5aRの適合性を示唆している。
本発明のある特定の特徴を本明細書では例示し記載しているが、当業者であらば多くの変更形態、置換形態、変化形態及び均等物を想起するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は本発明の本質的精神内にあるこのような変更及び変化を全て含むものと理解されたい。
(実施例5)
コラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルにおける抗C5aRの単回投与治療
抗C5aR治療の迅速な作用発現効果の有望性を研究するために、単回投与による治療的療法を評価した。マウスを前述のように(実施例3)治療し分析した。簡単に説明すると、関節炎誘導のためにマウス(n=22〜26/群A〜C)又は(n=15〜16/群D)を0日目に免疫し、21日目に追加免疫した。マウスがスコア1日目に対応する臨床スコア2〜7に達した際に、抗C5aR又は抗TNP(IgG2a.1)による単回投与治療(0.5mg/マウス)をそれぞれ開始した。マウスは治療して48時間後に殺処分した。炎症マーカーは58-バイオマーカーマルチアナライトプロファイル(RodentMAP(登録商標)、Myriad, RBM社、Austin、USA)を使用して足のホモジェネートで評価した。足のホモジェネートは、全マウスの後足を脚の毛皮のすぐ下から切断することによって調製した。次に、足は常時冷却を維持し、0.9%生理食塩水(最高50ml)中にコンプリート(Roche社)1錠、Triton X-100(Sigma社)5μl及びFUT-175(Calbiochem社)500μlを含有する緩衝液中でホモジェナイズした。ホモジェネートを4℃で10,000Gで15分間2回遠心分離し、上清を分析するまで-80℃で保存した。
結果
抗C5aRで単回投与治療すると24時間後にもう疾患の進行の停止が示され、48時間後には更により明白となった(図6A)。臨床スコアのAUCは、抗C5aR単回投与治療を受けたマウスでは有意に低下した(p=0.0003)(図6B)。
さらなる研究では、単回投与治療の48時間後に組織病理学並びに好中球及びマクロファージの浸潤も評価した。上記のように、組織学スコア係数の有意な低下(p=0.0006)が認められた(図6C)。更に、好中球及びマクロファージの浸潤が48時間で有意に軽減することが見いだされた(示さず)。総合すると、これらのデータは、組織病理学スコアの迅速な作用発現効果による単回投与治療の顕著な影響を示唆した。
抗C5aRによる単回投与治療は、炎症バイオマーカーの迅速な変化を引き起こす。
炎症に関与する一群の可溶性分析物を、抗C5aRを投与して48時間後の単回投与治療マウスから得られた足のホモジェネート及び血清試料で調べた。多くの炎症マーカーが、アイソタイプ(抗TNP-IgG2a.1)治療マウスと比較して抗C5aR治療を受けたマウスで有意に低下していることが見いだされた(Table 1(表2))。
足における局所的な応答に加えて、いくつかの炎症性分析物が抗C5aR治療後の末梢で有意に減少していることが示された(Table 1(表2))。
マトリクスメタロプロテイナーゼMMP-3及びMMP-9はいずれも末梢において有意に低下しており(それぞれp=0.0028及びp=0.0006)、35〜45%の低下に相当した。更に、TIMP-1の47%の低下に相当する有意な(p=0.0015)低下が見いだされた(Table 1(表2))。これは、組織再構築及び骨破壊に対する単回投与抗C5aR治療の迅速な作用発現効果は末梢において検出できることを示唆している。足のホモジェネートで見いだされたように、化学誘引物質KC(CXCL1)、MCP-1(CCL2)及びMCP-5(CCL12)はまた、抗C5aR単回投与治療後に有意に(それぞれp=0.0078、p=0.0028、p=0.021)低下した(20〜50%阻害)(Table 1(表2))。
(実施例6)
遅延型過敏関節炎(DTHA)モデルにおける抗C5aRの単回投与治療
C5aRアンタゴニストの迅速な作用発現の有望性を更に研究するために、単回投与研究において前述のDTHAモデル(実施例4)で更に効果を評価した。
抗mC5aR又は抗TNP(mIgG2a.1)による単回投与治療(0.5mg/マウス)はi.p.投与であった。実験は治療開始して60時間後に終了した。
結果
関節炎を誘導した時点で抗C5aRを単回投与すると、60時間後に測定時の足及び足首の腫脹の軽減が導かれた(図7A)。組織病理学的評価によって、滑膜炎、軟骨破壊及び骨侵食は減衰するが、炎症細胞の関節外浸潤は影響を受けないことが明らかになった(図7B)。関節炎表現型と関係する個々の評価パラメータ全部の合計として定義した全体的な組織病理学スコアも、関節炎スコアのように低下した(図7C)。
総合すると、これらのデータは、抗C5aRの単回投与はDTHAにおいて疾患の進行及び関節炎変化を有意に軽減する能力を有することを示唆する。
C5aRの遮断によって影響を受けた経路を更に調べるため、及び抗C5aRが炎症細胞の活性化の低下を引き起こすかどうかを調べるために、関節炎誘導60時間後に採取した足全体のホモジェネートの様々なサイトカイン及びケモカインのタンパク質レベルを分析した。
簡単に説明すると、足のホモジェネートは、足を0.9%生理食塩水49.995ml、コンプリートEDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche社、Switzerland)1錠及びTriton X-100(Sigma社、St. Louis、MO)5μlを含有する氷冷したホモジェナイズ用緩衝液1.25ml中でホモジェナイズすることによって生成した。足は、T25 Ultraturrax(登録商標)ホモジェナイザー(IKA社、Staufen、Germany)を使用してホモジェナイズした後、10,000gで15分間遠心分離した。上清を傾瀉し、もう一度10,000gで15分間遠心分離した。得られた上清を分析した。ホモジェネート上清は希釈せずに、炎症マーカーのレベルをビーズをベースにしたLuminex(登録商標)xMAP(登録商標)技術をMillipore社(Billerica、MA、USA)製のMilliplexキットと共に使用して製造者の指示に従って分析した。統計解析のために、検出限界を下回るいかなる値も問題の分析物の検出限界に設定し、検出限界を上回るいかなる値も問題の分析物の上部検出限界に設定した。VCAM-1、FGF(基準)及びリンホタクチンの場合、解析は58-バイオマーカーマルチアナライトプロファイル(RodentMAP(登録商標)、Myriad RBM社、Austin、USA)を使用して実施した。
炎症性サイトカインIL-6は、抗C5aRで治療したマウスの足において有意に減少したが、一方IL-1β又はIL-10には変化は認められなかった。更に、化学誘引物質CXCL1/KC、CXCL2/MIP-2、CXCL5/LIX及びリンホタクチンは、G-CSFのように抗C5aRで治療した動物の足では有意に低下した。最後に、血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)及び血管細胞接着分子1(VCAM-1)はまた、抗C5aRで治療したマウスの足において有意に低下した(Table 2(表3))。結論として、抗C5aRの単回投与は、様々な炎症細胞サブセットの活性化及び浸潤並びに内皮活性化のマーカーであり、重要である局所的な炎症媒介物の迅速な変化を媒介することができた。
足全体のホモジェネート上清の一連の炎症マーカーのタンパク質レベルは多重解析を使用して解析した。詳細は材料及び方法を参照のこと。結果は平均±SEMで示し、n=10/群である。群間の差は、p≦0.05の場合有意と見なし、スチューデントt検定を使用して有意のレベルに*:p≦0.05、**:p≦0.01及び***:p≦0.001を割り当てた。

Claims (15)

  1. 関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷の治療又は予防において使用するためのC5aRアンタゴニストであって、抗体であるC5aRアンタゴニスト。
  2. 骨損傷が、骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数を含む、請求項1に記載のC5aRアンタゴニスト。
  3. 骨損傷及び軟骨分解の治療又は予防において使用するための、請求項1又は請求項2に記載のC5aRアンタゴニスト。
  4. 治療が骨損傷の速度及び/又は軟骨分解の速度を低下させるためである、請求項2又は請求項3に記載のC5aRアンタゴニスト。
  5. 治療が骨侵食の進行を阻害又は停止させるため、又は骨密度を増加させるためである、請求項2から4のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  6. 対象が骨侵食又は骨密度の減少に罹患している、請求項1から5のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  7. 対象が関節炎、例えば、骨関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎又は敗血症性関節炎を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  8. 対象がヒトなどの哺乳類である、請求項1から7のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  9. 治療が迅速な応答を得るためである、請求項1から8のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  10. C5aがC5aRに結合するのを阻害又は低下させる、請求項1から9のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  11. C5aRアンタゴニストが、
    a. C5a誘導性好中球活性化、
    b. C5a誘導性細胞遊走、及び/又は
    c. C5a誘導性好中球成熟
    などの、C5aのC5aRによって媒介される生物学的効果を阻害又は低下させる、請求項1から10のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  12. C5aRの2番目のループに結合する抗体である、請求項1から11のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニスト。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のC5aRアンタゴニストを含む医薬組成物。
  14. 治療有効量のC5aRアンタゴニストを、必要とする個体に投与する工程を含む、骨損傷の治療又は予防のための方法。
  15. 請求項1〜11のいずれか一項に記載されている、請求項14に記載の方法。
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