本発明の目的は、使いやすさおよび取扱いが改善された薬物送達デバイスを提供することである。さらなる目的は、好ましくは用量設定中に構成要素がハウジングの外へ並進運動することなく、薬物送達デバイスを小型化することである。
この目的は、請求項1に記載のデバイスによって解決される。
本発明の第1の実施形態によれば、手持ち式の注射デバイスは、ハウジングと、ピストンロッドと、ドライバと、用量設定手段と、好ましくはパワーリザーバおよび/または解放クラッチ(release clutch)とを含む。ピストンロッドは、第1の長手方向軸を画成し、ハウジング内に位置する。ドライバは、ピストンロッドに連結される。用量設定手段は、少なくとも用量設定中に第2の長手方向軸周りで回転可能である。任意選択のパワーリザーバは、用量投薬中にドライバを駆動する。任意選択の解放クラッチは、用量設定中にはドライバの回転を防止し、用量投薬中にはドライバの回転を可能にするように配置される。第1の長手方向軸は、第2の長手方向軸から隔置され、すなわち2つの軸間にはずれが位置し、このずれ上にデバイスの構成要素部材が配置される。好ましくは、第1の長手方向軸は、第2の長手方向軸に対して平行である。代替手段として、2つの軸は先細りすることもできるが、やはりデバイス内で軸間にずれが位置する。構成要素部材のいくつかが、従来の同心円状の配置ではなく、互いに隣接しているため、デバイスの横断面は、通常の円形のペン形状ではなく細長くなる。これにより、少なくとも一部の使用者にとってデバイスの取扱いが改善される。さらに、デバイスは、より短くすることができ、この場合も、取扱いおよび利便性が改善される。ドライバを駆動するパワーリザーバを提供することで、用量投薬中に使用者に必要とされる力が低減させる。これは、器用さを損なった使用者にとって特に役立つ。
パワーリザーバは、ばねを含むことができ、このばねは、予圧がかけられた(事前チャージされた)ばね、または用量設定中に使用者によって負荷がかけられるべきばね、たとえばねじりばねである。好ましくは、ばねは、デバイスの予想寿命に対して完全に事前チャージされ(デバイスを使用するのに必要とされる労力を低減させる)、すなわち使用者は、いかなるときもばねを再チャージしたり歪ませたりする必要がない。適したばねタイプには、圧縮ばねおよびねじりばねが含まれる。本発明の好ましい実施形態によれば、ばねは、逆巻きのゼンマイばねであり、これは、チャージ状態で、応力を受けない巻き方向とは反対に巻き上げられる帯状のばねである。好ましくは、ばねの第1の端部は、第1の長手方向軸上に位置することができる第1のスプールに取り付けられ、ばねの第2の端部は、第2の長手方向軸上に位置することができる第2のスプールに取り付けられる。ドライバを駆動するために、スプールの一方は、たとえば直接スプライン連結によって、ドライバに連結することができる。代替手段として、解放可能な連結、たとえば1対の歯付リング(teeth ring)を使用することもできる。
ドライバは、ピストンロッドに連結された管状要素を含むことができる。好ましくは、この管状要素は、ピストンロッドを少なくとも部分的に取り囲む。連結は、解放可能な連結とすることができるが、ドライバは、たとえばスプラインインターフェースまたはねじインターフェースを介して、ピストンロッドに恒久的に連結されることが好ましい。ドライバの構成要素部材である駆動管は、好ましくは、第1の長手方向軸周りで回転可能に配置され、ピストンロッドに直接連結される。
ドライバは、少なくとも1つのさらなる構成要素部材、たとえば第2の長手方向軸周りで回転可能な駆動スリーブをさらに含むことができる。したがって、ドライバの2つの構成要素部材は、ずれを有するように平行な軸上に配置することができる。好ましくは、ドライバの構成要素部材は、互いに恒久的に連結され、したがって一方の構成要素の回転が、他方の構成要素の回転を引き起こす。たとえば、2つのドライバ構成要素のそれぞれに、噛合歯車を設けることができる。駆動スリーブは、パワーリザーバに連結することができ、したがってパワーリザーバは、たとえばスプラインインターフェースを介して、ドライバ構成要素を駆動する。製造または組立て上の理由のため、駆動スリーブは、2つまたはそれ以上の構成要素部材を含むことができ、これらの構成要素部材は、デバイス内で1つの構成要素として作用するように、組立て中に互いに堅く連結される。
さらに好ましい実施形態によれば、用量設定手段は、第2の長手方向軸周りで回転可能なダイヤルアセンブリおよびダイヤルスリーブを含む。好ましくは、ダイヤルアセンブリは、用量設定中にドライバからデカップリングされ、たとえば数字スリーブ(number sleeve)または用量インジケータのようなダイヤルアセンブリの部材が、用量投薬中にドライバに連結される。しかし、本発明の一実施形態によれば、ダイヤル部材のようなダイヤルアセンブリのさらなる部材は、用量投薬中にドライバに連結されるべきではない。ダイヤルアセンブリは、ハウジングから少なくとも部分的に延びるダイヤルグリップを含むことができ、ダイヤルグリップは、使用者がダイヤルグリップを回転させることによって用量を選択または選択解除することを可能にする。ダイヤルグリップは、用量投薬を開始するためのトリガまたは解放ボタンとしてさらに使用することができる。ダイヤルアセンブリは、さらなる構成要素と相互作用するスリーブ状部材をさらに含むことができる。製造または組立て上の理由のため、ダイヤルグリップおよびスリーブ状部材は、2つまたはそれ以上の構成要素部材を含むことができ、これらの構成要素部材は、デバイス内で1つの構成要素として作用するように、組立て中に互いに堅く連結される。好ましくは、ダイヤルスリーブは、ダイヤルアセンブリと回転方向に連結およびデカップリングすることができる。たとえば、用量設定および/または用量訂正中には、ダイヤルグリップの回転がダイヤルスリーブに伝達され、用量投薬中には、ダイヤルスリーブの回転がダイヤルグリップを同伴しないことが好ましい。
注射デバイスは通常、現在の設定用量を示すディスプレイを有する。これは、機械ディスプレイおよび電子ディスプレイを含むことができる。好ましくは、デバイスは、一連の数字および/または記号をその外側に有する数字スリーブをさらに含む。典型的には、ハウジング内の窓により、現在の設定用量に対応する数字または記号のみをデバイスの外側から見ることが可能になる。数字スリーブがハウジングとねじ係合し、用量設定手段にスプライン連結される場合、数字スリーブは、用量設定中(および用量訂正)および用量投薬中にダイヤルスリーブとともに回転することができる。ハウジングとのねじインターフェースのため、数字スリーブは、数字スリーブの回転時にハウジング内で軸方向に進む。好ましくは、数字スリーブは、第2の長手方向軸周りで回転可能である。
ピストンロッドがねじ付の親ねじであり、ハウジングがピストンロッドのねじ付外面と協働するねじ付部分を有する場合、用量投薬中のピストンロッドの回転の結果、ピストンロッドの軸方向運動が生じる。代替手段として、ピストンロッドは、ドライバとねじ係合し、ハウジングにスプライン連結することができる。
好ましい実施形態によれば、薬物送達デバイスは、最大設定可能用量および最小設定可能用量を画成するリミッタ機構を含む。典型的には、最小設定可能用量はゼロ(インスリン製剤の0IU)であり、したがってリミッタは、用量投薬の終了時にデバイスを止める。最大設定可能用量、たとえばインスリン製剤の60、80、または120IUは、過量投与を回避するために制限することができる。好ましくは、最小用量および最大用量に対する制限は、強制止め具機能(hard stop feature)によって提供される。
リミッタ機構は、最小用量(ゼロ)位置で当接する数字スリーブ上の第1の回転止め具(rotational stop)およびハウジング上の第1の逆止め具(counter stop)と、最大用量位置で当接する数字スリーブ上の第2の回転止め具およびハウジング上の第2の逆止め具とを含むことができる。数字スリーブが用量設定中および用量投薬中にハウジングに対して回転するため、これらの2つの構成要素は、信頼性が高い頑丈なリミッタ機構を形成するのに適している。
投与不足または動作不良を防止するために、薬物送達デバイスは、カートリッジ内に残っている液体の量を超過する用量の設定を防止する最終用量保護機構(last dose protection mechanism)を含むことができる。たとえば、最終用量保護機構は、ドライバ(または用量投薬中にのみ回転する任意の他の構成要素)と、ダイヤルスリーブまたは用量設定および用量投薬中に回転する任意の他の構成要素との間に介在するように位置するナット部材を含む。好ましい実施形態では、ダイヤルスリーブは、用量設定中および用量投薬中に回転し、ドライバは、用量投薬中にのみダイヤルスリーブとともに回転する。したがって、この実施形態では、ナット部材は、用量設定中にのみ動き、用量投薬中にはこれらの構成要素に対して静止したままである。好ましくは、ナット部材は、ダイヤルスリーブにねじ連結され、ドライバにスプライン連結される。代替手段として、ナット部材は、ドライバにねじ連結することができ、ダイヤルスリーブにスプライン連結することができる。ナット部材は、完全なナットまたはナットの一部、たとえば半割りナットとすることができる。
通常、用量投薬を開始するには、使用者がボタンまたはトリガを押す必要がある。好ましくは、用量設定手段および/またはドライバの少なくとも1つの構成要素部材は、用量設定手段がハウジングおよびドライバに対して回転可能な用量設定位置と、ドライバがハウジングに対して回転可能な用量投薬位置との間で軸方向に変位可能である。軸方向に変位可能な用量設定手段は、用量設定に使用されるダイヤルグリップとすることができる。好ましくは、軸方向に変位可能な構成要素は、その用量設定位置と用量投薬位置との間を第2の長手方向軸に沿って進む。
通常、この一続きの用量設定および用量投薬には、用量設定中および/または用量投薬中に構成要素のいくつかの相対的な動きが必要である。この結果を実現する様々な異なる実施形態が可能であり、そのいくつかは、上記の従来技術に記載されている。本発明の好ましい例によれば、注射デバイスは、駆動部材と数字スリーブとの間に配置されたクラッチをさらに含むことができ、クラッチは、用量設定中には駆動部材および数字スリーブの相対的な回転を可能にし、用量投薬中には駆動部材および数字スリーブを回転方向に拘束する。この実施形態は、用量設定中に相対的な軸方向運動を含むことができる。
本発明のさらなる実施形態によれば、手持ち式の注射デバイスは、カートリッジを収容することができるハウジングと、投薬すべき所望の用量を設定するように第1の方向に動作可能、たとえば回転可能な用量設定手段と、ピストンまたは栓と協働して設定用量をカートリッジから注射させるように適用されたピストンロッドと、第1および第2のクリッカ構成要素とを含む。第1のクリッカ構成要素は、ハウジングに回転方向に拘束することができ、第2のクリッカ構成要素は、用量投薬中にハウジングに対して回転可能とすることができる。設定用量の投薬の終了に近い使用者にのみ、視覚以外の、すなわち可聴および/または触覚の第1のフィードバックを提供するために、クリッカ構成要素は、互いに接触するように適用される。第1のクリッカ構成要素が近位用量設定位置と遠位用量投薬位置との間でハウジングに対して軸方向に変位可能である場合、第1のフィードバックは、デバイスがその用量投薬モードにあり、第1のクリッカ構成要素がその遠位用量投薬位置にある場合にのみ生成される。しかし、デバイスがその用量設定モードにあり、第1のクリッカ構成要素がその近位用量設定位置にある場合、2つのクリッカ構成要素は互いに係合せず、したがって信号またはフィードバックが生成されるのを防止する。したがって、ゼロの最小用量からダイヤル選択する場合、クリッカ構成要素間で接触が生じないため、クリッカ配置のいかなるリセット工程も必要としない。
第1のクリッカ構成要素が近位用量設定位置と遠位用量投薬位置との間でハウジングに対して軸方向に変位可能であるさらなる利点は、設定用量を取り消すには用量設定手段を第1の方向とは反対の第2の方向に動作可能、たとえば回転可能であり、第1および第2のクリッカ構成要素は互いに接触せず、したがって「用量終了」フィードバックを生み出さないことである。これにより、使用者の混乱が回避される。
好ましくは、注射デバイスは、用量設定中および/もしくは用量訂正(投薬しないで設定用量を取り消す)中、ならびに/または用量投薬中に、可聴および/または触覚のフィードバックを生じさせる少なくとも1つのクリッカをさらに含む。これらのフィードバック信号を区別するために、設定用量の投薬の終了時にのみ生成される第1のフィードバック(用量投薬終了フィードバック)は、さらなるフィードバック(複数可)とは別個である。たとえば、異なる音を生成することができる。
本発明の一実施形態によれば、第2のクリッカ構成要素は、数字スリーブ、たとえば、デバイスの外側からたとえばハウジング内の窓または開口部を通って見ることができる数字、記号などをその外面上に有する管状要素である。数字スリーブは、好ましくは、ハウジングとねじ係合され、用量設定手段にスプライン連結される。
たとえばねじ付部分のピッチを変化させることによって、または非回転部分と回転部分とを係合させ、それによって非回転部分が回転し始めるようにすることによって、少なくとも1つの部材の回転速度の変化のような、視覚以外の、すなわち可聴および/または触覚のフィードバック信号(複数可)を生成する様々な適当な方法がある。フィードバックは、別法として、張力を蓄積および解放することによって生成することができる。好ましくは、第1のクリッカ構成要素は、径方向に内向きの突起、たとえば傾斜を有し、第2のクリッカ構成要素は、第2のクリッカ構成要素から径方向に外方へ延びるばねアームまたはフィンガのような可撓性要素を有する。第2のクリッカ構成要素が軸方向に可動であるため、第2のクリッカ構成要素は、用量投薬中に第1のクリッカ構成要素の突起が第2のクリッカ構成要素の可撓性要素に接触するように位置することができる。たとえば、傾斜は、ばねアームを曲げることができ、ばねアームは、傾斜との係合解除後、応力を受けない位置に戻ってカチッと留まり、フィードバック信号を生成する。
デバイスの取扱いを改善するために、用量設定前後のデバイスの長さは、好ましくは同じである。言い換えれば、用量設定中に構成要素がハウジングから出るため、ダイヤル延長はない。好ましくは、用量設定手段およびドライバは、用量設定中および用量投薬中に長手方向軸の1つに沿って軸方向に変位しないように、ハウジング内に配置される。しかし、デバイスの用量設定位置と用量投薬位置との間を切り替えるために、用量設定と用量投薬との間の構成要素の少なくともいくつかの軸方向運動を可能とすることができる。
好ましい実施形態によれば、用量設定手段は、第2の長手方向軸に沿って軸方向に変位可能な解放ボタンを含み、デバイスは、解放ボタンの位置に応じてドライバを減速させる摩擦手段をさらに含む。言い換えれば、速度制御が提供され、使用者は、デバイスの投薬速度を変更することが可能になる。摩擦手段は、デバイスの1つまたはそれ以上のクラッチ板または他の構成要素部材を含むことができ、これらの板または構成要素は、たとえばばねによって互いに押し当てられる。これらの板または構成要素の1つは、用量投薬中に回転し、これらの板または構成要素のもう1つは、用量投薬中に静止したまま保持される。したがって、これらの構成要素の相対的な動きによって摩擦が引き起こされ、デバイスを減速させる。解放ボタンを押すことで、たとえばばね力を下げることによって摩擦が減少し、したがって投薬速度の増大を招く。解放ボタンは、用量設定手段のダイヤルグリップとすることができる。
薬物送達デバイスは、薬剤を収容するカートリッジを含むことができる。さらに、カートリッジ内に可動栓を設けることができる。
通常、注射デバイスは、カートリッジ栓とピストンロッドとの間に生じ得る間隙を閉じてデバイス内の公差に打ち勝つために、最初の使用前にいわゆるプライミングを必要とする。このプライミング工程のため、使用者は、小さい用量を設定して、この用量を投薬しながら、たとえば流体がデバイスを離れるかどうかを監視しなければならない。この行動は、たとえば流体が実際にデバイスを離れるまで繰り返さなければならない。好ましい実施形態によれば、ピストンロッドは、その端部に栓に面する支承部または先端部を含み、デバイスの未使用の送達状態で、支承部は栓に当接する。言い換えれば、プライミングは必要でなくなる。このプライミングの排除は、ピストンロッドがカートリッジ栓に当接する(場合によって、はわずかな力を加える)位置へ動かされるまで組立てプロセス中にドライバを回転させることによってドライバがピストンロッドに連結されるデバイス内で実現することができる。この位置は、ドライバを回転させるのに必要とされる力またはトルクの増大によって決定することができる。代替手段として、ハウジングまたはドライバに対するピストンロッドの軸方向位置を感知することもできる。
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、アンチハウジングもしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各アンチハウジングの基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類によりアンチハウジングのアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各アンチハウジングは、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各アンチハウジングにつき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
「アンチハウジングフラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全アンチハウジングと本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
本発明は、カートリッジから針を介して薬剤の複数の使用者変更可能な用量を送達するように動作させることができる医療デバイスで使用するための機構を提供する。デバイスは使い捨てであり、すぐに使用できる完全に組み立てられた状態で使用者へ届けられる。
この機構は、エネルギーを蓄積するモータばねを使用する。これは、事前チャージ状態で使用者へ供給され、デバイスの寿命全体にわたって後の再チャージは必要でない。使用者は、機構内に組み込まれている入力ダイヤルおよび設定用量ディスプレイを使用して、必要な用量を選択する。ばねエネルギーは、デバイスが投薬のためにトリガされるまで蓄積され、トリガされた時点で、ある割合の蓄積されたエネルギーを使用して、薬剤をカートリッジから使用者へ送達する。
ゼロと事前に画成された最大値との間で、1単位刻みで、任意の用量寸法を選択することができる。この機構では、用量を選択するときとは反対の方向に用量選択ダイヤル(ダイヤルグリップ)を回転させることによって、いかなる薬剤も投薬されることなく、用量を取り消すことが可能である。
トリガは、デバイスの近位端の方に位置し、起動時に、選択された用量がゼロより大きい場合、薬剤を投薬する。
このデバイスでは、ばねが事前チャージされているため、用量を設定するためのトルク要件が低く、また薬剤の投薬をトリガするための力要件が低い。このデバイスは部材数が比較的少なく、コストに敏感なデバイス適用分野にとって特に魅力的である。
この機構は、いくつかの主要な構成要素が歯車配置によって駆動されるように平行に配置されるという追加の利点を有する。これにより、デバイスの全体的な長さが低減される。
本発明の非限定的で例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら次に説明する:
図1および図2は、注射ペンの形の薬物送達デバイスを示す。このデバイスは、遠位端(図2で左の端部)と、近位端(図2で右の端部)とを有する。薬物送達デバイスの構成要素部材が、図1に示されている。薬物送達デバイスは、ハウジング10と、カートリッジ20と、親ねじ(ピストンロッド)30と、ドライバ40と、ナット50と、ダイヤルスリーブ60と、ダイヤルアセンブリ70と、数字スリーブ80と、パワーリザーバ(モータばね)90と、クリッカ100と、ばね110とを含む。ニードルハブおよびニードルカバーを有するニードル配置(needle arrangement)(図示せず)を、上記のように交換することができる追加の構成要素として設けることができる。
ハウジング10または本体は、主ハウジング11と、近位ハウジング12と、遠位ハウジングまたはカートリッジホルダ13とを含む。主ハウジング11は、長円形の横断面を有する略管状の要素であり、図1では上側と比較すると下側が広くなっている。主ハウジング11内には、窓14または開口部が設けられる。主ハウジング11、近位ハウジング12、およびカートリッジホルダ13は、組立て中にともに挿し込まれ、またはカチッと留められて、主ハウジング11の両方の開端部を閉じることができる。さらに、ハウジング構成要素は、ともに接着または溶接して、剛性の恒久的に取り付けられたハウジングユニットを形成することができる。カートリッジホルダ13は、図2でその上部領域内に遠位開口部を有し、遠位開口部は、ニードル配置の取付けのための外側のねじ山などを有することができる。近位ハウジング12は、図2でその下部領域内に近位開口部を有する。さらに、近位ハウジング12は、その内側で近位開口部付近に、ドライバ40とのクラッチの一部を形成する歯15のリング(図9の実施形態でより詳細に示す)を有する。カートリッジホルダ13は、クリッカ100およびばね110を案内するスプラインピン16をその下側に有する。ハウジング10は、主ハウジング11の上部部分(図1)およびカートリッジホルダ13内に保持される薬液カートリッジ20に対する場所を提供する。
主ハウジングは、ピストンロッド30に係合するねじ付区間17を有する内壁を有する。さらに、クリッカアーム18が主ハウジング11の近位端付近に位置し、用量投薬中にドライバ40と相互作用する。
カートリッジ20は、ガラスのアンプルであり、可動のゴム栓21がその近位開口部に位置する。
親ねじ30は細長い部材であり、外側のねじ山31は、スプラインインターフェースを介してドライバ40に回転方向に拘束される。インターフェースは、少なくとも1つの長手方向の溝またはトラック32と、ドライバ40の対応する突起またはスプライン44とを含む。親ねじ30は、回転させられると、ハウジング10とのそのねじインターフェース17によって、ドライバ40に対して軸方向に強制的に動かされる。ピストンロッド30の遠位端は、支承部33を備え、支承部33は、カートリッジ栓21に当接することができる。
ドライバ40は、製造上の理由のために駆動スリーブ下部部分41および駆動スリーブ上部部分42を有する駆動スリーブと、駆動管43とを含む。駆動スリーブ下部部分41および駆動スリーブ上部部分42は、堅く連結されて、使用時にユニットを形成する。駆動管43は、第1の長手方向軸I上に配置され、駆動スリーブは、第1の軸Iに対して平行でありかつ第1の軸Iから隔置された第2の長手方向軸II上に配置される。
駆動管43の内側には、ピストンロッド30の対応する溝32に係合するスプライン44が設けられる。駆動管43は、駆動管43に対して軸方向に変位可能なピストンロッド30を取り囲む。図1〜4に示すように、駆動スリーブ上部部分42と駆動管43はそれぞれ、その近位端にピニオン45、46を有し、ピニオン45、46は、駆動スリーブ41、42の回転が駆動管43へ伝送されるように噛合する。駆動スリーブ41、42は、ピニオン45がハウジング10の歯15にさらに係合する近位位置(用量設定および訂正中、図3参照)と、ピニオン45が歯15から係合解除される遠位位置(用量投薬位置、図4参照)との間を、第2の軸IIに沿って軸方向に可動である。しかし、どちらの軸方向位置でも、ピニオン45、46は、少なくとも部分的に係合したままである。
駆動スリーブ41、42は、その外面上に、駆動スリーブをパワーリザーバ90に回転方向に拘束するスプライン47a、47bを有する。さらに、駆動スリーブ41、42の内面上に、駆動スリーブ41、42をナット50に回転方向に拘束するスプライン48が設けられる。
ナット50は、最終用量リミッタ機構の一部である。最終用量ナット50は、ダイヤルスリーブ60と駆動スリーブ41、42との間に位置する。最終用量ナット50は、ダイヤル選択中、すなわち用量設定または用量訂正中にダイヤルスリーブ60と駆動スリーブとの間に相対的な回転が生じたとき、ねじインターフェース61を介してダイヤルスリーブ60に対して螺旋経路に沿って動く。図1〜11の実施形態では、ナット50は半割りナットであり、すなわちデバイスの第2の軸II周りで約180°延びる構成要素である。
ダイヤルスリーブ60は、第2の軸II上に回転可能に配置された管状要素である。ダイヤルスリーブ60の近位区間は、ナット50を案内するねじ山61を備える。隣接する遠位区間は、数字スリーブ80との係合のための外側スプライン62を備える。さらに、ダイヤルスリーブ60は、中間の階段状部分に、ダイヤルスリーブ60をダイヤルアセンブリ70に解放可能に回転方向に連結する内側の歯63のリングを有する。近位端には、用量投薬中にドライバ40の対応する内側スプラインに係合する外側スプライン64が設けられる。
ダイヤルアセンブリ70は、ダイヤルグリップ71と、ダイヤルグリップ71に堅く取り付けられた管状要素72とを含む。ダイヤルグリップ71および管状要素72は、本実施形態では、製造上の理由のために別個の構成要素であるが、同様に単一の構成要素とすることもできる。ダイヤルアセンブリ70は、第2の軸II上に配置され、近位開口部を通って近位ハウジング部材12内を延びる。ダイヤルアセンブリは、その遠位端では、その遠位面上に、クリッカ100と相互作用する制止歯(detent teeth)73のリングを備える。さらに、管状要素72の遠位端付近に、用量設定位置でスプライン63に係合するスプライン74が設けられる。ダイヤルアセンブリ70は、近位位置(用量設定および訂正中、図3参照)と、遠位位置(用量投薬位置、図4参照)との間で、第2の軸IIに沿って軸方向に可動である。ダイヤルグリップ71は、駆動スリーブ41、42に当接し、したがってダイヤルグリップ71の遠位方向の軸方向運動が駆動スリーブ41、42を同伴し、駆動スリーブ41、42の近位方向の軸方向運動がダイヤルグリップ71を同伴する。
数字スリーブ80は、第2の軸II上に配置された管状要素である。数字スリーブ80の外面は、螺旋経路上に配置された一続きの数字を備える。さらに、数字スリーブは、その外面上に、主ハウジング11の対応するねじ山に係合するねじ山81を有する。数字スリーブ80は、その遠位端では、クリッカ100と相互作用する内向きの突起82を備える。さらに、数字スリーブ80上の回転強制止め具(rotational hard stop)、および主ハウジング11上の対応する要素が、ねじインターフェースによって画成されたその螺旋経路上で、ハウジングに対する数字スリーブの回転運動を制限する。
パワーリザーバは、逆巻きのゼンマイばね90を含み、ばね90は、応力を受けない状態で渦巻きの形を有し、ばねに張力をかけるには、応力を受けない渦巻き方向とは反対に巻かれる帯状のばねである。ばね90の第1の端部は、第1の長手方向軸I上に位置して駆動管43を取り囲む第1のスプール91に取り付けられる。ばね90の第2の端部は、第2の長手方向軸II上に位置する第2のスプール92に取り付けられ、第2のスプール92は、スプライン47a、47bおよび第2のスプール92内側の対応する溝93によって、駆動スリーブ41、42に回転方向に拘束される。ばね90は、デバイスの組立て中に、スプール92上にばねを巻くことによって完全にチャージされる(張力がかけられる)が、このばねは、スプール91上に再びに巻き付く傾向がある。パワーリザーバは、ばね90がピストンロッド30を、図2〜4に示すその後退位置から、カートリッジ栓がその最も遠位の方向に押された位置へ、駆動することが可能になるように寸法設定される。言い換えれば、カートリッジ20を空にするためにばね90を再チャージする必要はない。
クリッカ100は、軸方向に変位可能に位置するがカートリッジホルダ13のスプラインピン16上に回転方向に拘束される管状要素である。図8a〜8cに見ることができるように、クリッカ100は、その内面上に、スプラインピン16と係合する溝101を有する。さらに、クリッカ100の近位端上の制止歯102が、ダイヤルアセンブリ70の歯73と嵌合する。制止歯102付近には、数字スリーブの突起82と相互作用するフィンガ103が設けられる。
ばね110は、スプラインピン16上でクリッカ100の内側に位置する圧縮ばねであり、クリッカ100を近位方向に付勢する。クリッカ100とダイヤルアセンブリ70との間の接触およびダイヤルアセンブリ70と駆動スリーブ41、42との間の接触のため、ばね110は、図3に示すように、これらの構成要素を近位方向に押すが、使用者は、ばね110の力に打ち勝って、これらの構成要素を図4に示す遠位位置に押し込むことができる。
以下、使い捨ての薬物送達デバイスおよびその構成要素の機能について、より詳細に説明する。
ダイヤルグリップ71の回転により、数字スリーブ80は、ハウジング10内で0Uの止め具と120Uの止め具との間を進む。クリッカ100とダイヤルアセンブリ70の管状要素との間の軸方向制止歯インターフェース(ばね110によってともに押し付けられる)が、制止用量位置および使用者フィードバックを生成する。駆動スリーブ41、42は、ダイヤル選択中、スプラインインターフェースを介して、ハウジング10に回転方向に抑制される。
ダイヤル選択中の主要なインターフェースは:ダイヤルスリーブ60がダイヤルグリップ71にスプライン連結され、数字スリーブ80がダイヤルスリーブ60にスプライン連結され、数字スリーブ80がハウジング10にねじ連結され、クリッカ100がカートリッジホルダ13にスプライン連結され、駆動スリーブ41、42がスプラインピン16にスプライン連結され、ナット50がダイヤルスリーブ60にねじ連結され、ナット50が駆動スリーブ41、42にスプライン連結されることである。
ゼロの止め具および最大用量の止め具は、数字スリーブ80とハウジング10との間の当接部によって生成される。当接部が係合されたとき、ダイヤルグリップ71に印加される使用者入力トルクは、ダイヤルスリーブ60および数字スリーブ80を介して再びハウジング10へ作用させられる。
ナット50は、ダイヤルスリーブ60と駆動スリーブ41、42との間の相対的な回転がある状態で、ダイヤルスリーブ60の近位端での回転当接部の方へ前進する。当接部に到達したとき、ダイヤルトルクは、ダイヤルグリップ71、ダイヤルスリーブ60、ナット50、および駆動スリーブ41、42を通って、ハウジング10とのスプラインインターフェースに作用させられる。
用量を投薬するには、ダイヤルグリップ71が使用者によって押される。次いで、ダイヤルグリップ71は、ダイヤルスリーブ60から係合解除され、クリッカ100の制止歯係合(ダイヤルアセンブリ70の管状要素72とクリッカ100との間)によって回転方向に拘束される。使用者によって印加される軸方向の力は、ばね110およびダイヤルグリップ71とハウジング10との間の直接当接部によって作用させられる。ダイヤルグリップ71が投薬中に機構から回転方向にデカップリングされると、使用者は、投薬機構へ誤用トルクを入力したり用量を調整したりすることができなくなる。
駆動スリーブ41、42は軸方向に動かされ、したがってまず、スプライン機能64をダイヤルスリーブ60と係合させ、次いで、ハウジング10とのそのスプラインインターフェース45、15を係合解除する。次いで、ばね90は、駆動スリーブ41、42を回転させる。駆動スリーブ41、42と駆動管43との間の歯車インターフェースを介して、駆動管43は回転させられ、次いでハウジング10を通って栓21内へピストンロッド30を駆動する。駆動スリーブ41、42は、ダイヤルスリーブ60を介して数字スリーブ80を再び0U位置の方へ回転させる。
投薬中の主要なインターフェースは:駆動スリーブ41、42がダイヤルグリップ71に軸方向に拘束されてデバイスの遠位端の方へ変位され、ダイヤルグリップ71がダイヤルスリーブ60から係合解除され、駆動スリーブ41、42がダイヤルスリーブ60上のスプラインと係合し、駆動スリーブ41、42がハウジング10から係合解除されることである。
用量の投薬は、数字スリーブ80がハウジング10との0U当接部に到達するまで、または使用者がダイヤルグリップ71を解放するまで継続する。0U当接部が係合したとき、ばね90からのトルクは、ダイヤルスリーブ60および数字スリーブ80を介してハウジング10内へ作用させられる。使用者がダイヤルグリップを解放した場合、ばね110の作用は、駆動スリーブ41、42とハウジング10との間のスプラインインターフェース15、45を再係合させるように作用する。
用量設定中のフィードバックは、ダイヤルアセンブリ70の管状要素とクリッカ100との間の相互作用によって提供される。クリッカ100は、カートリッジホルダ13のスプラインピン16にスプライン連結され、ばね110は、クリッカ100を押してダイヤルアセンブリ70の管状要素と軸方向に係合させる。制止歯73、102は、構成要素間の軸方向制止歯インターフェースを提供し、クリッカ100は、ダイヤルグリップ71が回転されると軸方向に往復して、ダイヤルグリップに対する制止位置を提供する。これは、図5により詳細に示されており、管状要素72のスプライン74は、ダイヤルスリーブ60のスプライン63の内側リングから係合解除された状態で示されており、すなわちデバイスは用量投薬位置にある。さらに、歯73および歯102が示されている。
用量投薬中、駆動管43およびハウジング10の相互作用によって、触覚および可聴フィードバックが生み出される。図6に示すように、駆動管43上の歯車46の回転によって変位される柔軟なクリッカアーム18が、主ハウジング11内へ組み込まれる。クリッカアーム18は、歯車46がクリッカアーム18上を通ると、近位ハウジング12の表面に接触し、投薬された各用量単位に対するフィードバックを生成する。
用量の送達が完了すると、数字スリーブ80がその0U位置に戻るため、数字スリーブ80およびクリッカ100の相互作用によって、追加の可聴フィードバックが生み出される。図8a〜8cに示すように、この相互作用は、クリッカ100の軸方向位置に依存し、投薬中に、クリッカ100が遠位位置にあり、ダイヤルグリップ71が使用者によって押し下げられたときにのみ生じる。ダイヤルグリップの軸方向位置を利用してこの相互作用を生み出すことによって、用量終了機能は、用量のダイヤル選択(図8c参照)中に使用者によって緩められる必要がなくなる。
この実施形態では、径方向フィンガ103がクリッカ100から延び、傾斜したボス82の形の突起が数字スリーブ80の内面に追加されており、したがって、数字スリーブ80が1U位置(図8aに示す)から0U位置(図8bに示す)へ再び回転すると、数字スリーブ80上のボスは径方向フィンガ103を撓ませる。数字スリーブ80が0U位置へ戻ると、径方向フィンガ103は解放されて休止状態にはね返り、使用者に対する可聴フィードバックを生み出す。クリッカ100がダイヤルアセンブリに直接接触すると、ダイヤルグリップが使用者によって押し下げられた状態で保持されているため、触覚フィードバックも提供される。
ダイヤルグリップ71に入力する行程範囲によって使用者が投薬速度を制御することを可能にする機構を組み込むことが可能である。図9〜10bに示す第2の実施形態では、多板クラッチシステム120がデバイス内に組み込まれて、ハウジング10と駆動スリーブ41、42との間で作用する。このシステムは、上部駆動スリーブ42にスプライン連結される第1のクラッチ板121と、ケージ123にスプライン連結される第2のクラッチ板122とを含む。ケージ123は、近位ハウジング12内で対応する溝と係合してケージ123を回転方向に拘束する外側スプライン124を有する。近位ハウジング12とケージ123内のクラッチ板121、122との間に、クラッチばね125が介在する。
複数のクラッチ板は、所与のクラッチばね力に対するクラッチのトルク容量を増大させる。図9に示す実施形態の場合、ダイヤルグリップ71が押し下げられると、上部駆動スリーブ42がダイヤルグリップ71によってケージ123とともに遠位方向に近位ハウジング12から離れる方へ押されるため(図10b)、クラッチばね125からクラッチパック121、122に印加される力(図10a)は低減する。
この実施形態では、全体的なダイヤルグリップ71の行程は、たとえば5mm、機構を係合解除して投薬を開始する場合は2.5mm、使用者変更可能な速度制御の場合は2.5mmに増大する。ダイヤルグリップ71が押し下げられると、クラッチばね125によって印加される力が低減するため、クラッチパック121、122によって駆動スリーブ41、42に印加される摩擦トルクも低減する。摩擦トルクの値は、ダイヤルグリップ71の軸方向位置に依存する。ばね90から利用可能なトルクは、クラッチパックの摩擦トルクに打ち勝たなければならず、それによって、用量を投薬するために機構に印加されるトルクが低減する。したがって、使用者が係合解除位置と完全に進んだ位置との間でダイヤルグリップ71を引き続き押し下げると、投薬速度は増大する。ダイヤルグリップ71を押し下げるのに必要とされる力は、ばね110の作用とクラッチばね125の作用が組み合わさるため、その行程とともに増大し、弱い方のばね125の抵抗が低減するにもかかわらず、ばね110は抵抗を増大させる。
最初の使用時に使用者がデバイスをプライミングする必要性をなくすための設備も提供される。これは、組み立てられたときに支承部33が栓21に接触し、または栓21に軽負荷を加えるように、製造中のカートリッジ栓21と支承部33との間の可変距離(構成要素およびカートリッジの公差に依存)を除去することを伴う。
この「プライミングの排除」は、次の方法を使用して実現される:プライミングの排除のために、駆動スリーブ41、42に関係なく、駆動管43の回転によってピストンロッド30を前進させる。したがって、近位ハウジング12が嵌合される前に、駆動管43はデバイスの近位端の方へ変位させられ、したがって、駆動スリーブ41、42の歯車45(図11参照)に係合しなくなる。次いで、駆動管43を回転させて、ピストンロッド30、したがってその支承部33を、カートリッジ栓21の方へ前進させる。栓21との接触は、駆動管を回転させるのに必要とされるトルクの測定を使用して感知することができ、またはハウジング10内のねじ山17に対するピストンロッド30の軸方向位置の測定によって感知することができる。ピストンロッド30がハウジング10とのねじ係合の反対の側へ動く点は、栓21との接触を示す。
第3の代替実施形態が図12〜14に示されている。適当な場合、類似の構成要素には第1の実施形態と同じ参照番号が与えられる。このデバイスの設計および機能は、概して、第1の実施形態のものに非常に類似している。さらに、このデバイスは、第2の実施形態の速度制御に適しており、上記のプライミングの排除を可能にする。
第1の実施形態に対する主な変更は、駆動スリーブ41、42、ダイヤルスリーブ60、および最終用量機構のナット50に関する。この場合も、駆動スリーブは、製造上の理由のため、ともにカチッと留められて単一の構成要素として挙動する2つの構成要素部材41、42を含む。しかし、駆動スリーブ41、42は、ねじ付区間49を有する長い遠位部材41を有する。他方では、ダイヤルスリーブ60はより短く、第1の実施形態のねじ付区間61をもたない。ナット50は、この実施形態では完全なナットであり、このねじ付区間49上をその内側のねじ山とともに進む。さらに、ナット50は、ダイヤルスリーブ60の内面上の溝の中を軸方向に変位可能に案内されるスプライン付外面を有する。
この場合も、使用者が用量を設定すると、ダイヤルスリーブ60は、ダイヤルアセンブリ70とともに回転し、駆動スリーブ41、42は、歯15、45を介してハウジング10に連結される。したがって、ナット50はねじ付区間49上を進む。用量投薬中、駆動スリーブ41、42は、ハウジングからデカップリングされ、ダイヤルスリーブ60とともに回転し、したがってナット50は、駆動スリーブ上のその相対的な位置を維持する。
第4の実施形態が図15〜18に示されている。図15は、注射ペンの形の薬物送達デバイスを示す。このデバイスは、遠位端(図15の左下端部)と、近位端(図15の右上端部)とを有する。薬物送達デバイスの構成要素部材が、図16に示されている。薬物送達デバイスは、ハウジング210と、カートリッジホルダ220と、親ねじ(ピストンロッド)230と、ドライバ241、242と、ナット250と、ダイヤルスリーブ260と、ボタン270と、用量セレクタ(dose selector)280と、ねじりばね290と、ロックアーム300と、ゲージ要素310と、用量インジケータ(数字スリーブ)320と、クラッチ板330と、クラッチばね340と、クリックアクティベータ(click activator)350と、駆動ばねリテーナ360と、カートリッジ370とを含む。ニードルハブおよびニードルカバーを有するニードル配置(図示せず)を、上記のように交換することができる追加の構成要素として設けることができる。
ハウジング210または本体は、細長い横断面を有する略管状の要素である。この実施形態では、すべての構成要素が、主ハウジング210構成要素内に位置し、機構の2つの平行な軸I、IIの一方の周りに同心円状に取り付けられる。主ハウジング210の近位端上へ、本体キャップ211がカチッと留められ、プレス嵌めされ、かつ/または接着もしくは溶接される。さらに、主ハウジング210の細長い開口部内にレンズ212が挿入される。主ハウジング210は、ピストンロッド230を受けるためのねじ付内壁213(ウェブ)を有する。加えて、ハウジング210は、薬液カートリッジ370およびカートリッジホルダ220、ハウジングキャップ(図示せず)、駆動ばねリテーナ360、ロックアーム300を回転方向に拘束するインターフェース、ならびにダイヤルグリップ280を軸方向に保持する外面上の機能に対する場所を提供する。
カートリッジホルダ220は、ハウジングの遠位部材であり、主ハウジング210の遠位端上へカチッと留め、プレス嵌めし、かつ/または接着もしくは溶接することができる。カートリッジホルダ220は、カートリッジ370を受け、針の取付けのための遠位開口部と、使用者がカートリッジを見ることを可能にする窓または開口部とを有する。
ピストンロッド230は、その遠位端に支承部231を有し、支承部231は、ピストンロッド230に軸方向に拘束することができ、薬液カートリッジ370内の栓に作用する。ピストンロッド230は、ねじ付内壁213との係合のための外側のねじ山232を有する親ねじであり、スプラインインターフェースを介して駆動管242に回転方向に拘束される。回転されると、ピストンロッド230は、ハウジング210とのそのねじインターフェース213、232によって、駆動管242に対して軸方向に強制的に動かされる。
例示的な実施形態では、ドライバは、ずれた平行な軸I、II上に位置する2つの構成要素、すなわち駆動スリーブ241および駆動管242を含む。駆動スリーブ241は、ダイヤルスリーブ260を有するインターフェース(近位面の歯)から(クラッチ板330を介して)、駆動管242への歯車係合部(ピニオン243、244)まで延び、ロックアーム300とのスプライン歯インターフェース245を組み込む。さらに、駆動スリーブ241は、その内面上に、ナット250に係合するためのスプラインを含む。駆動管242は、その内面上で、駆動スリーブ241に歯車係合しており、スプライン247を介してピストンロッド230にスプライン連結される。駆動管242は、ハウジング10と駆動スリーブ241の両方に対して軸方向に固定される。
最終用量ナット250は、ダイヤルスリーブ260と駆動スリーブ241との間に位置する。最終用量ナット250は、スプラインインターフェースを介して駆動スリーブ241に回転方向に拘束される。最終用量ナット250は、ダイヤルスリーブ260と駆動スリーブ241との間に相対的な回転が生じたとき(すなわち、ダイヤル選択中)、ねじインターフェースを介してダイヤルスリーブ260に対して螺旋経路に沿って動く。
ダイヤルスリーブ260は、管状の形の用量ダイヤル部材であり、ナット250に係合する外部のねじ山261と、用量ボタン270との係合のためのその近位端に位置する1組のクラッチスプライン歯262と、クラッチ板530との係合のためのスプライン263とを有する。さらなるスプライン264が、数字スリーブ320の対応する溝と相互作用する。
用量ボタン270は、外側の歯272を介してダイヤルグリップ280に恒久的にスプライン連結され、用量ボタン270が押されていないときはダイヤルスリーブ260にスプライン連結される。ダイヤルスリーブ260とのこのスプラインインターフェースは、用量ボタン270が押されると切断される。
ダイヤルグリップ280は、ハウジング210に軸方向に拘束されるが、回転方向には拘束されない。ダイヤルグリップ280は、スプラインインターフェースを介して用量ボタンに回転方向に拘束される。
駆動ばね290は、一方の端部で駆動ばねリテーナ360(主ハウジング210を有するハウジングの一部を形成する)に取り付けられ、他方の端部で数字スリーブ320に取り付けられる。駆動ばね290は、組立て時に事前に巻かれたねじりばねであり、したがって、この機構でゼロ単位がダイヤル選択されると、数字スリーブ320にトルクを印加する。用量を設定するためにダイヤルグリップ280を回転させる作用は、ハウジング210に対して数字スリーブ320を回転させ、駆動ばね290をさらにチャージする。
ロックアーム300は、ハウジング210に回転方向に固定されるが、軸方向に並進運動することが可能である。用量ボタン270が押されると、ロックアーム300のスプライン歯301は、駆動スリーブ241から係合解除され、駆動スリーブ241が回転することを可能にする。
ゲージ要素310は、スプラインインターフェースを介して、ハウジング210に対する回転を防止するが軸方向の並進運動を可能にするように拘束される。ゲージ要素310はまた、数字スリーブ320にねじ係合しており、したがって数字スリーブ320の回転が、ゲージ要素310の軸方向の並進運動を引き起こす。ゲージ要素内に窓が設けられ、ゲージ要素の遠位部材および近位部材が、この窓のそれぞれの方向に延びる。これらの部材の外面は異なるデザインを有し、たとえば図16の実施形態では、遠位部材上に三角形が印刷されている。
数字スリーブ320は、スプラインインターフェースを介してダイヤルスリーブ260に回転方向に拘束される。どちらの構成要素も、回転を可能にするが並進運動を可能にしないように、ハウジング210に拘束される。数字スリーブ320には、ダイヤル選択された薬剤の用量を示すために、一続きの数字が記されおり、これらの数字は、ハウジング210内のスロット内に位置するゲージ要素310およびレンズ212を通して見ることができる。回転強制止め具として、ゼロ用量当接機能(zero dose abutment feature)および最大用量当接機能(maximum dose abutment feature)が設けられる。さらに、数字スリーブ320の遠位端には用量終了クリッカアームが位置する。
クラッチ板330は、ダイヤルスリーブ260にスプライン連結される。クラッチ板330はまた、ラチェットインターフェースを介して(歯331を介して)駆動スリーブ241に連結される。これは、軸方向の当接部上で生じる。ラチェットは、ダイヤルスリーブ260と駆動スリーブ241との間に、各用量単位に対応する制止位置を提供し、時計回りおよび反時計回りの相対的な回転中に異なる傾斜歯角度に係合する。
クラッチばね340は、クラッチ板330とロックアーム300との間で作用し、スプライン歯を駆動スリーブ241に係合させ、クラッチ板330と駆動スリーブ241との間でラチェットを押し合せる。ロックアーム300、クラッチ板330、および用量ボタン270の軸方向位置は、クラッチばね340の作用によって画成される。「休止」位置では、用量ボタン270のスプラインがダイヤルスリーブ260に係合され、駆動スリーブ241のスプライン歯がロックアーム300に係合されることが確実になる。
クリックアクティベータ350は、ボタンキャップ271に軸方向に拘束され、用量ボタン270が押し下げられると、用量終了クリッカアームを径方向に外方へ動かす。
駆動ばねリテーナ360は、ハウジング210内に保持され、駆動ばね290の遠位端を受ける。図16の実施形態では、リテーナは別個の構成要素部材として示されているが、リテーナは、ハウジング210の一体部材とすることもできる。
デバイスが「休止」状態にあるとき、数字スリーブ320のゼロ用量当接機能は、ゲージ要素310の対応するゼロ用量当接止め具(zero dose abutment stop)に当たり、用量ボタン270は押し下げられない。数字スリーブ320上の用量表示「0」は、ハウジング210の窓(レンズ212)およびゲージ要素310の窓を通して見ることができる。デバイスの組立て中に事前に数回転巻かれた駆動ばね290は、数字スリーブ320にトルクを印加するが、ゼロ用量当接部によってさらなる回転が防止される。また、ゼロ用量止め具との間のずれおよび駆動スリーブ241のスプライン歯の角度のずれのため、機構をわずかに「逆巻き」にすることも可能である。これには、用量がダイヤル選択されてゼロ用量当接部が係合解除されたときに起こり得る薬剤の漏れを防止する効果がある。
使用者は、ダイヤルグリップ280を時計回りに回転させることによって、薬液の可変用量を選択し、これにより、ダイヤルスリーブ260、したがって数字スリーブ320内に同一の回転を生じさせる。数字スリーブ320の回転は、駆動ばね290のチャージを引き起こし、駆動ばね290内に蓄積されるエネルギーを増大させる。数字スリーブ320が回転すると、ゲージ要素310は、そのねじ係合のために軸方向に並進運動し、それによってダイヤル選択された用量の値を示す。ゲージ要素310は、窓領域の両側にフランジを有し、フランジは、ダイヤル選択/送達された用量値に関する追加のフィードバックを提供するための視覚的な区別を有することができ、本体スロット内に見えるはずの数字のうち、ダイヤル選択された用量表示に対応しない数字を隠す。ダイヤルグリップ280は、ハウジング210に対して増大された直径を有し、それによってダイヤル選択を支援する。これは、蓄積エネルギー源が用量設定中にチャージされる自動注射機構にとって特に重要である。
駆動スリーブ241は、そのスプライン歯とロックアーム300との係合のため、回転が防止される。したがって、ダイヤル選択ラチェットインターフェースを介して、クラッチ板330と駆動スリーブ241との間で相対的な回転が生じるはずである。
ダイヤルグリップ280を回転させるのに必要とされる使用者トルクは、駆動ばね290を巻き上げるのに必要とされるトルクと、ダイヤル選択ラチェット機能を緩めるのに必要とされるトルクとの和である。クラッチばね340は、ラチェット機能に軸方向の力を提供し、クラッチ板330を駆動スリーブ241に対して付勢するように設計される。この軸方向の負荷は、クラッチ板330と駆動スリーブ241とのラチェット歯係合(歯331)を維持するように作用する。ラチェットを緩めるのに必要とされるトルクは、クラッチばね340によって印加される軸方向の負荷、ラチェットの時計回りの傾斜角度、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェット機能の平均半径の結果として得られる。
使用者が機構を1単位増分させるのに十分なほどダイヤルグリップ280を回転させると、ダイヤルスリーブ260は、駆動スリーブ241に対して1ラチェット歯だけ回転する。この時点で、ラチェット歯331は次の制止位置へ再係合する。ラチェットの再係合によって可聴クリックが生成され、必要とされるトルク入力の変化によって触覚フィードバックが与えられる。
また、ダイヤルスリーブ260および駆動スリーブ241の相対的な回転により、最終用量ナット250は、そのねじ付経路に沿ってダイヤルスリーブ260上の最終用量当接部の方へ進む。
使用者トルクがダイヤルグリップ280に印加されない場合、ダイヤルスリーブ260はこのとき、単にクラッチ板330と駆動スリーブ241との間のラチェット係合(歯331)によって、駆動ばね290によって印加されるトルクの作用による回転が防止される。反時計回り方向にラチェットを緩めるのに必要なトルクは、クラッチばね340によって印加される軸方向の負荷、ラチェットの反時計回りの傾斜角度、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェット機能の平均半径の結果として得られる。ラチェットを緩めるのに必要なトルクは、駆動ばね290によってダイヤルスリーブ260(したがって、クラッチ板330)に印加されるトルクより大きいはずである。したがって、ラチェット傾斜角度を反時計回り方向に増大させて、ダイヤルアップトルクを可能な限り低くしながら、これが当てはまることを確実にする。
使用者はこのとき、ダイヤルグリップ280を時計回り方向に引き続き回転させることによって、選択用量を増大させることを選ぶことができる。ダイヤルスリーブ260と駆動スリーブ241との間のラチェットインターフェースを緩めるプロセスは、各用量単位に対して繰り返される。各用量単位に対して駆動ばね90内に追加のエネルギーが蓄積され、ラチェット歯の再係合によってダイヤル選択された各単位に対して可聴および触覚のフィードバックが提供される。ダイヤルグリップ280を回転させるのに必要とされるトルクは、駆動ばね290を巻き上げるのに必要とされるトルクが増大するにつれて増大する。したがって、ラチェットを反時計回り方向に緩めるのに必要とされるトルクは、最大用量に到達したときに駆動ばね290によってダイヤルスリーブ260に印加されるトルクより大きいはずである。
最大用量限界に到達するまで使用者が選択用量を引き続き増大させた場合、数字スリーブ320はゲージ要素310上のその最大用量当接部に係合し、数字スリーブ320、ダイヤルスリーブ260、クラッチ板330、およびダイヤルグリップ280のさらなる回転を防止する。
用量の選択中にどれだけ多くの単位が機構によってすでに送達されたかに応じて、最終用量ナット250は、その最終用量当接部をダイヤルスリーブ260に接触させることができる。これは、ダイヤルスリーブ260上のねじ山261とスプライン263との間の接合部として図18に示されている。この当接部は、ダイヤルスリーブ260および駆動スリーブ241のさらなる相対的な回転を防止し、したがって選択することができる用量寸法を制限する。最終用量ナット250の位置は、使用者が用量を設定するたびに生じたダイヤルスリーブ260と駆動スリーブ241との間の相対的な回転の総数によって決まる。
機構が用量を選択した状態である場合、使用者は、任意の数の単位をこの用量から選択解除することが可能である。用量の選択解除は、使用者がダイヤルグリップ280を反時計回りに回転させることによって実現される。
駆動ばね290によって機構上に印加されるトルクは反時計回り方向であり、したがって用量を選択解除するために使用者からダイヤルグリップ280上に必要とされるトルクは、クラッチ板330と駆動スリーブ241との間でラチェットを反時計回り方向に緩めるためのトルクから、その特定の数字スリーブ320の回転位置における駆動ばね290のトルクを引いた値である。
ラチェットが緩められたとき、ダイヤルスリーブ260内に(クラッチ板330を介して)反時計回りの回転が生じ、これにより数字スリーブ320がゼロ用量位置の方へ戻り、駆動ばね290が解かれる。ダイヤルスリーブ260と駆動スリーブ241との間の相対的な回転により、最終用量ナット250は、その螺旋経路に沿って、ダイヤルスリーブ260上の最終用量当接部から離れる方へ戻る。
機構が用量を選択した状態にある場合、使用者は、機構を起動して用量の送達を始めることが可能である。用量の送達は、使用者がデバイスの頂部上の用量ボタン270を押し下げることによって開始される。
用量ボタン270が押し下げられたとき、ダイヤルスリーブ260とのそのスプライン係合が係合解除され、ダイヤルグリップ280が投薬中に回転しないように、用量ボタン270、したがってダイヤルグリップ280を、送達機構から回転方向に切断する。用量ボタン270はロックアーム300に作用し、ロックアーム300は軸方向に進んで、駆動スリーブ241に対するスプライン歯係合を切断する。このとき、駆動スリーブ241は回転することができ、数字スリーブ320、ダイヤルスリーブ260、およびクラッチ板330を介して駆動ばね290によって駆動される。駆動スリーブ241の回転により駆動管242を回転させ、駆動管242は、スプライン係合によりピストンロッド230を回転させる。次いでピストンロッド230は、ハウジング210に対するそのねじ係合のために前進する。また、数字スリーブ320の回転により、ゲージ要素310を再びそのゼロ位置へ軸方向に横断させ、それによって、図17に示すように、ゼロ用量当接部は機構を止める。
ロックアーム300内に組み込まれた柔軟なカンチレバー式の投薬クリッカアーム302を介して、送達中の可聴フィードバックが提供される。投薬クリッカアーム302は、駆動スリーブ241のスプライン歯245と軸方向にインターフェース連結される。スプライン歯の間隔は、単一の投薬単位に必要とされる駆動スリーブ241の回転に対応する。投薬中、駆動スリーブ241が回転すると、スプライン機能245は、各用量単位が送達されると投薬クリッカアーム302に係合して可聴クリックを生じさせる。
用量の送達は、使用者がボタン270を引き続き押し下げている間、上記の機械的相互作用を介して継続される。使用者が用量ボタン270を解放した場合、クラッチばね340は、ロックアーム300およびクラッチ板330を介して用量ボタン270を「休止」位置へ戻し、駆動スリーブ241、したがって駆動管242は、回転方向に拘束され、用量の送達が停止される。
用量の送達中、駆動スリーブ241およびダイヤルスリーブ260はともに回転し、したがって最終用量ナット250内の相対的な運動は生じない。したがって、最終用量ナット250は、ダイヤル選択中のみ、ダイヤルスリーブ260上の当接部の方へ進む。
数字スリーブ320がゼロ用量当接部に戻ることによって用量の送達が止められた後、使用者は、用量ボタン270を解放することができ、用量ボタン270は、ロックアーム300のスプライン歯301を駆動スリーブ241の歯245に再係合させる。この機構はこのとき、「休止」状態に戻される。
駆動スリーブ241および/またはロックアーム300上のスプライン歯245、301に角度を付けることが可能であり、したがって、用量ボタン270が解放されたとき、スプライン歯の再係合により駆動スリーブ241をごくわずかに「逆巻き」にし、それによってゲージ要素310のゼロ用量止め具当接部に対する数字スリーブ320の係合を除去する。これにより、機構内の隙間(たとえば、公差による)の影響が除去される。機構内の隙間は、普通なら、デバイスが後の用量のためにダイヤル選択されるとき、ピストンロッド230のわずかな前進および薬剤の投薬を招く可能性がある(数字スリーブ320のゼロ用量止め具が機構を抑制しなくなり、逆に抑制が駆動スリーブ241とゲージ要素310との間のスプラインに戻るため)。
用量終了時、3つの構成要素:すなわち数字スリーブ320、ゲージ要素310、およびクリックアクティベータ350の相互作用を介して、投薬機構がゼロ位置へ戻ったことを使用者に通知する追加の可聴フィードバックが、クリックの形で提供される(投薬クリックとは別個)。この実施形態により、デバイスがゼロ位置内へまたはゼロ位置から離れる方へダイヤル選択されているときではなく、用量終了送達時(用量ボタン270が押し下げられたとき)のみフィードバックを生じさせることが可能になる。
用量ボタン270が押し下げられていないとき(すなわち、ダイヤル選択中)、用量終了クリッカアームは、数字スリーブ320の外面より低く、したがってデバイスがゼロ位置内へまたはゼロ位置から離れる方へダイヤル選択されるときにゲージ要素310がなく、したがって用量終了クリックを生じさせる可能性がなくなる。用量ボタン270が押し下げられたとき(すなわち、投薬中)、クリックアクティベータ350は軸方向に動かされ、したがって用量終了クリッカアームを径方向に外方へ押す。
通常、ゲージ要素310は、数字スリーブ320およびそのアームを少なくとも部分的に隠すはずである。数字スリーブ320が投薬中にゼロ位置の方へ回転すると、撓んだ用量終了クリッカアームが、約6つの単位でゲージ要素310に接触する。これにより、クリッカアーム内で径方向に予圧が生成される。駆動ばね290は、ゲージ要素310と用量終了クリッカアーム先端部との間の干渉によって引き起こされる追加の摩擦に打ち勝つのに十分なほど強い。この予圧は、用量終了クリッカアームの先端部がゲージ要素310に接触しているときは、ゼロ単位位置直前の時点まで維持される。この時点で、用量終了クリッカアームの先端部は、ゲージ要素310の後縁部に局所的に形成された機能(図示せず)から滑り落ち、可聴の「クリック」を生じさせる。普通ならクリックは数字スリーブ320のすべての回転時に生じるはずであるため、用量終了クリックはゲージ要素310上に局所的機能を必要とする。
デバイスをゼロ単位位置から離れる方へダイヤル選択できるようにする前に用量ボタン270を解放する必要があるとき、クリックアクティベータ350が用量ボタン270とともに後方へ動くと、用量終了クリッカアームは径方向に内方へ動き、したがってダイヤル選択中にゲージ要素310に干渉する可能性がなくなる。これにより、用量終了クリックは、1単位と0単位との間で投薬中にのみ生じることが確実になる。
上記で詳述した実施形態にかかわらず、本発明は、カートリッジからたとえば針を介して薬剤の使用者選択可能な可変用量を送達するように動作させることができる医療デバイスで使用するための機構に関する。このデバイスは、好ましくは使い捨てである。デバイスは、すぐに最初に使用できる完全に組み立てられた状態で使用者へ届けられる。
この機構は、用量の設定および送達のための別個のユーザインターフェースを提供する。用量は、ハウジング210の端部に位置するダイヤルグリップ280を回転させることによって設定される。用量の送達は、ダイヤルグリップ280の端部上の用量ボタン270を押すことによって開始される。用量送達は、用量ボタン270が押し下げられたままである間、完全な設定用量が送達されるまで継続される。この機構は、各用量の設定時と送達時の両方で、可聴、視覚、および触覚のフィードバックを提供する。
この機構は、用量の設定中に使用者がダイヤルグリップ280を回転させる行動によってチャージされるエネルギーを蓄積するための螺旋駆動ばね290を収容する。ばねエネルギーは、機構が投薬のためにトリガされるまで蓄積され、トリガされた時点で、蓄積されたエネルギーを使用して、薬剤をカートリッジから使用者へ送達する。
ゼロと事前に画成された最大値との間で、薬剤および使用者プロファイルに適した刻みで、任意の用量寸法を選択することができる。この機構では、用量を選択するときとは反対の方向にダイヤルグリップ280を回転させることによって、いかなる薬剤も投薬されることなく、用量を取り消すことが可能である。
注射デバイス1の代替の第5の実施形態が、図19の分解図に示されている。注射デバイスは、薬液カートリッジを除いて、19個の構成要素を含む。より詳細には、デバイスは、主ハウジング411、近位キャップ412、およびカートリッジホルダ413を含むハウジング410と、ダイヤルグリップ420と、投薬ボタン430と、ダイヤル管440と、最終用量ナット450と、スリーブ状のクリッカ460と、投薬ばね470と、用量インジケータ(ダイヤルスリーブ)480と、摺動ゲージ490と、駆動スリーブ501および駆動管502を含む駆動部材500と、モータばね510と、収納スプール520と、支承部531を有するピストンロッド(親ねじ)530と、レンズ(図示せず)と、キャップ(図示せず)とを含む。構成要素の大部分は、図20に示すように、機構の2つの基本軸IおよびIIの一方の周りに同心円状に位置する。
ピストンロッド530は、ハウジング510内に位置する。駆動部材500は、ピストンロッド530に恒久的に連結され、駆動部材500は、駆動部材500がハウジング410に回転方向に拘束される用量設定位置と、駆動部材500がハウジング410から回転方向にデカップリングされる用量投薬位置との間を軸方向に可動である。駆動部材500を駆動するパワーリザーバ510は、第1のスプール520に取り付けられた第1の端部と、第2のスプールに取り付けられ、駆動部材500に軸方向および回転方向に拘束された第2の端部とを有するパワーリザーバとして、逆巻きのゼンマイばねを含む。たとえば、第2のスプールは、駆動スリーブ501の一体部材である。これらの図に示す実施形態では、ばね510の第2の端部は、幅が低減された部分と、幅が低減された部分と比較すると幅が増大された自由端部部分とを含み、駆動部材500、より詳細には駆動スリーブ501は、軸方向のスロット503と隣接する狭い凹部とを有する円筒形のスプール部分を含む。
好ましくは、用量インジケータ480は、ハウジング410に軸方向に拘束され、用量設定中には、ハウジングに対して第1の方向(用量を増大させる)または第2の反対の方向(用量を減少させる)に回転し、用量投薬中には、ハウジングに対して第2の反対の方向に回転する。ゲージ要素490は、ハウジング410と用量インジケータ480との間に少なくとも部分的に介在し、ハウジング410の少なくとも1つの開口部または窓を通して少なくとも部分的に見ることができる。さらに、ゲージ要素490は、ハウジング410内で軸方向に案内され、用量インジケータ480とねじ係合しており、したがって用量インジケータ480の回転は、ゲージ要素490の軸方向の変位を引き起こす。ハウジング410は、開口部または窓を有し、ゲージ要素490は、さらなる開口部または窓を有し、さらなる開口部または窓は、開口部または窓を通して用量インジケータ480の少なくとも一部を見ることができるように、ハウジングの開口部または窓に対して位置する。
具体的には、開口部は、主ハウジング411上で、用量の投薬中に使用者に見える場所に位置することができる。これは、デバイスの遠位端付近とすることができる。具体的には、これは、用量インジケータ480の数字表示が実行可能に位置し得ない場所とすることができる。また、複数のゲージ開口部を設けることができる。具体的には、2つのゲージ開口部が、デバイスの両側に位置することができる。これにより、左利きの動作を好む使用者、またはデバイスを代替のグリップで保持することを好む使用者にとって、アナログゲージ機能の視認性が増大する。アナログゲージは、用量の投薬中のデバイスの用量位置のインジケータとして特に有益である。用量の投薬中、数字表示は、個々の用量位置マークを判読できないほど急速に変化することがある。したがって、用量が投薬される速度およびまだ投薬すべき薬剤の量を使用者が理解するのが困難になることがある。用量が投薬されるにつれてさらなる表面をますます覆うアナログゲージの軸方向運動は、投薬イベント中に投薬速度およびまだ投薬すべき薬剤の量の簡単な可視インジケータを与える。
注射デバイスは、最大設定可能用量および最小設定可能用量を画成するリミッタ機構を含む。リミッタ機構は、最小用量(ゼロ)位置に当接する用量インジケータ480上の第1の回転止め具およびゲージ要素490上の第1の逆止め具と、最大用量位置に当接する用量インジケータ480上の第2の回転止め具およびゲージ要素490上の第2の逆止め具とを含むことができる。
投薬ボタン430は、軸方向に変位可能であり、ハウジング410に軸方向に拘束されるダイヤルグリップ420によって取り囲まれるように位置する。クリッカスリーブ460は、ハウジング410に回転方向に拘束され、近位用量設定位置と遠位用量投薬位置との間でハウジングに対して軸方向に変位可能である。さらに、クリッカスリーブ460は、用量設定中に回転可能なダイヤルスリーブ440の対応する歯に解放可能に係合する歯を含む。用量インジケータ480は、可撓性クリッカアームを含むことができ、このクリッカアームは、クリッカスリーブ460によって第1の方向に変位可能であり、用量投薬中でデバイスが最小用量(ゼロ)位置に到達したときのみ、ゲージ要素490の突出区間によって第2の反対の方向に変位可能である。
注射デバイスは、カートリッジ内に残っている液体の量を超過する用量の設定を防止する最終用量保護機構をさらに含むことができる。この最終用量保護機構は、クリッカスリーブ460とダイヤルスリーブ440との間に介在するように位置するナット部材450を含む。
注射デバイス内では、第1のスプール520が、第1の長手方向軸I上のピストンロッド530と同心円状に位置し、第2のスプール、すなわち駆動スリーブ501が、第2の長手方向軸II上に位置し、第1の長手方向軸Iは、第2の長手方向軸IIに対して平行であり、第2の長手方向軸IIから隔置される。上記のように、駆動部材500は、第1の長手方向軸Iの周りを回転可能な駆動管502と、第2の長手方向軸IIの周りを回転可能な駆動スリーブ501とを含むことができる。駆動スリーブ501は、駆動スリーブ501がハウジング410に回転方向に拘束される用量設定位置と、駆動スリーブ501がハウジング410から回転方向にデカップリングされる用量投薬位置との間を軸方向に可動である。駆動管502は、恒久的に、または少なくとも駆動スリーブ501がその用量投薬位置にある場合、駆動スリーブ501に回転方向に連結することができる。
用量インジケータ480と駆動部材500との間に介在するように、クラッチ483、505が設けられ、クラッチ483、505は、用量設定中には、用量インジケータ480と駆動部材500との間の相対的な回転運動を可能にし、用量投薬中には、用量インジケータ480と駆動部材500との間の相対的な回転運動を防止する。図19に示すように、クラッチは、駆動スリーブ501の遠位の歯505のリングと、用量インジケータ上の内側スプライン483とを含む。駆動スリーブ501は、その近位端に、駆動管502上の対応する歯と噛合する歯506のリングをさらに有する。加えて、歯506は、駆動スリーブ501の(近位)用量設定位置で駆動スリーブ501をハウジングに回転方向に連結する。