JP2016512285A - 高純度リグニン、リグニン組成物、及びより高次構造のリグニン - Google Patents

高純度リグニン、リグニン組成物、及びより高次構造のリグニン Download PDF

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Abstract

高純度を有するリグニン及びリグニン組成物が開示される。従来のリグニンよりも少ない構造分解を含む、固有の構造特性を有するリグニンもまた開示される。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日に出願された米国特許出願第61/802,087号の利益を主張し、該特許の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、概して高純度を有するリグニン及びリグニン組成物に関する。本発明は、概して、従来のリグニンよりも少ない構造分解を含む、固有の構造特性を有するリグニンにも関する。
天然リグニンは、地球上で2番目に最も豊富な天然ポリマーである。これは、不規則な不均一ポリマーである。リグニン構造は、三次元であると広く考えられている。しかしながら、具体的な証拠が不足しており、これにより一部の科学者は、その構造が本当に三次元であるかどうかに疑問を持っている(Ralph et al.(2004))。リグニンは光学不活性である。リグニンにおける反復可能(単量体)単位は、p−ヒドロキシフェニル(H)、グアヤシル(G)、及びシリンギル(S)型のフェニルプロパン単位(またはいわゆるC9単位)である(図1)。針葉樹リグニンは、主にG型である。硬材リグニンは、G単位及びS単位の両方を含む。木質リグニンのH単位含量は大抵少ない。しかしながら、H単位含量は、非木質リグニン(例えば一年生繊維に由来するリグニン)の構造に著しく寄与し得る。さらに、一年生繊維リグニンは、主にC9単位のガンマヒドロキシルとのエステル結合によってリグニンに結合した、かなりの量の桂皮酸及びフェルラ酸誘導体を含有する(Ralph et al.(2004)、Adler(1977)、及びSakakibara(1991))。
リグニンC9単位は、異なる官能基を含有する。最も一般的な官能基は、芳香族メトキシル基及びフェノール性ヒドロキシル基、脂肪族第1及び第2ヒドロキシル基、少量のカルボニル基(アルデヒド及びケトン型)、ならびにカルボキシル基である。単量体C9リグニン単位は、一緒に結合されて、C−O−C及びC−C結合を介してリグニンのポリマー構造を形成する。最も豊富なリグニン単位間結合は、β−O−4型の結合である(図1の構造1〜4及び7を参照)。これらは、リグニンにおける単位間結合の約50%(軟材においては約45%、及び硬材において最大60〜65%)を構成する。他の一般的なリグニン単位間結合は、レジノール(β−β)(構造6)、フェニルクマラン(β−5)(構造5)、5−5(構造12)、及び4−O−5(構造11)部分である。これらの数は、異なるリグニンにおいて変化するが、典型的に総リグニン部分の10%を超えない。他のリグニン部分の数は、大抵5%未満である(Adler(1977)、Sakakibara(1991)、Balakshin et al.(2008))。
リグニン凝縮度(「DC」)は、多くの場合リグニン反応性と負に相関するため、重要なリグニン特性である。凝縮リグニン部分の定義は常に明確であるわけではない。最も一般的には、凝縮リグニン構造は、芳香族環の2、5、または6位を介して(H単位においてはC−3位もまた介して)他のリグニン単位に結合されるリグニン部分である。最も一般的な凝縮構造は、5−5’、β−5、及び4−O−5’構造である。シリンギル芳香族環のC−5位は、メトキシル基によって占有され、したがってこれは凝縮に関与し得ないため、硬材リグニンは典型的に軟材リグニンよりも凝縮していない。
当分野における現在の理解によると、典型的に軟材及び軟材パルプ中のほとんどのリグニンは、多糖類、主にヘミセルロースに連結(すなわち化学的に結合)される(Lawoko et al.(2005))。木におけるリグニン−炭水化物(「LC」)結合の主な型は、フェニルグリコシド結合(構造A)、エステル(構造B)、及びベンジルエーテル(構造C)(図1を参照)である(Koshijima et al.(2003)、Helm(2000)、及びBalakshin et al.(2007))。安定的LC結合の発生は、バイオ精製プロセスにおける木の成分の選択的分離を妨げる主な理由の1つである。
工業リグニンは、リグノセルロースバイオマス処理の結果として得られる。工業リグニンは、バイオマス処理の間に生じる複数の反応の組み合わせの結果として、自然界で見られるその天然の、自然形態におけるリグニン(いわゆる「天然リグニン」)とは劇的に異なる。これらの反応は、触媒バイオマス加水分解、抽出リグニン断片の凝縮、天然リグニン官能基の除去、新しい官能基の形成等を含み得る。工業リグニンは、天然リグニンよりも目に見えて不均一である(化学構造及び分子量に関して)。工業リグニンは、典型的にかなり少量で存在する多種多様な構造部分を有する(Balakshin et al.(2003)及びLiitia et al.(2003))。
化学構造に関しては、天然リグニンは、バイオマス処理の間著しい分解及び/または改変を受ける。リグニン分解は、主に、フェノール性ヒドロキシルの量の増加及びリグニンの分子量の減少をもたらす、β−O−4結合の開裂(しかしこの機構は典型的に異なるプロセスについて異なる)を介して生じる。リグニン分解は、脂肪族ヒドロキシル、酸素化脂肪族の量の減少、ならびにカルボキシル基及び飽和脂肪族構造の形成ももたらす。リグニン分解とは対照的に、典型的に、リグニン再重合及び/または再凝縮等のいくつかの逆反応が、ある程度生じる。これらの逆反応は、典型的に、リグニンの分子量の増加及びその反応性の低下をもたらす。これらの変化は、ほとんどの工業リグニンについて共通であるが、変換の程度は、処理条件(温度、時間、pH等)、原料の起源、及び原料の固有性に応じて著しく異なり得る。
それぞれのプロセスは、典型的に、リグニンにいくつかの特異的な化学特性を提供する。まず、反応機構は、酸性媒質及び塩基媒質において、かなり異なり得る。アルカリ性条件下でのβ−O−4結合の開裂は、キノンメチド中間体を介して生じ、一次反応生成物としてコニフェリルアルコール型部分の形成をもたらす(図2)。しかしながら、これらはリグニン内で蓄積されず、さらなる二次転位反応を経て様々な(アリール)脂肪族酸を形成する。天然リグニンにおけるβ−5及びβ−1型の結合は、典型的に、そのプロセスの間開裂され得ず、スチルベン型構造(構造30、図1)に変換される。後者は、安定であり、アルカリ性リグニン内で蓄積される。さらに、かなりの量のビニルエーテル構造(構造29、図1及び2)が、ソーダパルプ化の間に形成されてリグニン内に蓄積され、これはクラフトリグニンと対照的である。反応機構の違いの結果としての、ソーダリグニンとクラフトリグニンとの間の別の構造的違いは、ソーダリグニン内のアリールグリセロール型構造(構造20、図1)の存在である。一方で、リグニンは、脱メチル化反応を受け、クラフトパルプ化の間に(ソーダパルプ化の間ではなく)o−キノン構造の形成をもたらす。さらに、クラフトリグニンは、典型的に、チオール化合物の形態である可能性が高い、数パーセントの有機的に結合した硫黄を含む(Balakshin et al.(2003)、Gellerstedt(1996)、Marton(1971)、及びGeirer(1980))。クラフト及びソーダリグニンは、対応する天然リグニンよりも、著しく高い凝縮度を有する。しかしながら、これは、典型的に、パルプ化の間の広範な凝縮反応ではなくて、原型の天然リグニンの凝縮部分の蓄積の結果である(Balakshin et al.(2003))。クラフト及びソーダリグニンは、数パーセントの炭水化物及び灰不純物を含む。これらの汚染物質の量もまた原料の起源に依存し、汚染物質の量は、典型的に一年生繊維リグニン中で、木質リグニン中よりも著しく高い。
可能性のある酸塩基バイオ精製プロセスに由来し得る、多岐にわたるリグニンがある(Glasser et al.(1983))。酸塩基プロセスは、鉱酸または有機酸の添加(触媒量から最大で反応媒質としての有機酸の使用までの任意の量)によって、または酸の添加を伴わずに(例えば自己加水分解)リグノセルロースバイオマス内に含まれるアセチル基の開裂によって有機酸が生成されて、行われ得る。自己加水分解は、酸性反応生成物の形成に起因してもまた生じ得る。可能性のあるバイオ精製プロセスに由来する工業リグニンは、クラフトリグニンよりもはるかに調査されていない。
酸性条件下でのリグニン分解の主な経路は、β−O−4結合の酸性加水分解である(図3)。この反応の主な生成物は、いわゆるHibbertのケトンである(Wallis(1971))。リグニン内のこれらの部分の蓄積は、アルカリ性リグニンと比較して、カルボニル基及び対応する飽和脂肪族構造の相対的に高い含量をもたらす(Berlin et al.(2006))。酸性条件下のリグニンの分解は典型的にビニルエーテル中間体を介して生じるが、ビニルエーテル構造は典型的に酸性媒質において非常に不安定であるため、これらのビニルエーテル中間体は典型的にリグニン内で蓄積しない。酸性条件下で得られたリグニン中でかなりの量のオレフィン部分が観察されたが、これらの本質は、クラフト及びソーダリグニンのオレフィン構造とは異なる。これらの正確な構造はまだ十分に理解されていない(Berlin et al.(2006))。
さらに、酸性条件下で生じるリグニン凝縮は、典型的に、アルカリ性処理で生じるものよりも顕著である。芳香族環のC−5位で主に生じるアルカリ性凝縮と対照的に、酸性リグニン凝縮は、芳香族環の2,6位を介して主に生じる(Glasser et al.(1983))。リグニン凝縮度は、反応媒質の酸性(pH及び用いられる溶媒)ならびに処理の程度(温度、時間、圧力)に依存する。極端な例として、既知の最も改変された工業リグニンは、1%のHSOを用いて170〜190℃で2〜3時間の間で得られる、ロシアで生成された工業酸加水分解リグニンである。この改変された工業リグニンは、処理の間の強い凝縮/重合反応により、極性有機溶媒及びNaOH溶液において非常に不溶性である。これは、フェノール性ヒドロキシル基及びオレフィン構造の相対的に高い含量もまた有する。さらに、この改変された工業リグニンは、10〜30%の残留炭水化物及び最大20%の親油性抽出物を含む(Chudakov(1983))。対照的に、非常に高い反応温度(2200℃を超える)であるが短い反応時間(1分未満)で得られた酸加水分解リグニンのかなりの画分(70〜90%)は、1NのNaOHにおける50%ジオキサンの溶液内で可溶であった。これらの可溶性リグニンにおける炭水化物含量は、2〜4%で顕著により少ない(Glasser et al.(1983)、及びLora et al.(2002))。β−O−4結合の開裂に関して、蒸気爆発リグニンもまたかなり分解されるが、典型的に酸加水分解リグニンよりもはるかに凝縮されない(Glasser et al.(1983)、Robert et al.(1988)、及びLi et al.(2009))。異なるプロセスによって得られるリグニンにおける構造的変形(「プロセス間」変形)に加え、同じ種類のプロセスリグニン内で得られるリグニン間にもいくつかの構造的違いがある(「プロセス内」変動)。例えば、プロセス内変動におけるより重要な要因の1つは、原料の起源である。これは、直接、典型的に、S、G、及びH単位間の比、ならびに凝縮度等の構造特性に影響を及ぼす。様々な硬材リグニンは、クラフトパルプ化の間に異なる様に分解し得、これは典型的に異なるヒドロキシル基及びカルボキシル基含量、ならびに異なるβ−O−4、β−β、及びβ−5結合をもたらすということが示されている(Capanema et al.(2005))。
固有の構造を有するリグニンは固有の特性も有し、これらの構造的に固有のリグニンは、例えば、接着剤及びプラスチックを含む、多くの異なる分野及び応用における用途を有する。よって、当該技術分野において固有の構造及び特性を有する高純度のリグニン及びリグニン組成物の必要性が残る。本出願は、これら及び他の重要な必要性に向けられる。
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成するが、本発明の態様を例示し、説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
様々な種類のリグニンの構造部分を例示する。 アルカリ性パルプ化の間に生じる主要のリグニン反応を例示する。 酸分解条件下でのリグニン分解間に生じる主反応を例示する。β−O−4結合でのリグニンの開裂は主反応であり、遊離フェノール性部分及びHibbertケトンの形成をもたらす。 ジオキサンで抽出された、本発明のリグニンの2D H−13C HSQC NMRスペクトルを例示する。 アルカリ性溶液で抽出された、本発明のリグニンの定量13C NMRスペクトルを例示する。 様々な抽出溶媒を使用した、リグニン抽出収率を例示する。 実施例7に記載される、本発明のリグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの芳香族及びオレフィン領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの芳香族及びオレフィン領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの芳香族及びオレフィン領域を例示する。 実施例7に記載される、本発明のリグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの酸素化脂肪族領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの酸素化脂肪族領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの酸素化脂肪族領域を例示する。 実施例7に記載される、本発明のリグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの飽和脂肪族領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの飽和脂肪族領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの飽和脂肪族領域を例示する。 実施例7に記載される、本発明のリグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルのアルデヒド領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルのアルデヒド領域を例示する。 実施例7に記載される、比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルのアルデヒド領域を例示する。
上記及び本開示を通して用いられる、以下の用語は、別様に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
本明細書で使用される場合、「実質的にない」という句は、成分を含有する任意の組成物の総重量に基づき、約1重量%を超えない、好ましくは約0.5重量%未満、より好ましくは約0.1重量%未満の該成分を有することを意味する。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上、別様の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
本発明は、様々な形態で実施されることが可能であるが、いくつかの実施形態の以下の説明は、本開示は本発明の例示として考えられるべきであり、本発明を例示される具体的な実施形態に限定することを意図されないという理解のもとで作成される。見出しは利便性のみのために提供され、いかなる様式でも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。任意の見出しの下で例示される実施形態は、任意の他の見出しの下で例示される実施形態と組み合わされ得る。
本出願において特定される様々な量的値における数値の使用は、別途明白に示されない限り、述べられる範囲内の最小値及び最大値が両方「約」という語に先行されるかのように、近似値として述べられる。このように、述べられる値からのわずかな変形は、述べられる値と実質的に同じ結果を達成するために使用され得る。さらに、範囲の開示は、記載される最小値と最大値との間の全ての値、ならびにかかる値によって形成され得る任意の範囲を含む連続的範囲として意図される。さらに、記載される数値を任意の他の記載される数値に分割することによって形成され得る、任意の及びすべての比(及び任意のかかる比の範囲)も本明細書で開示される。したがって、当業者は、多くのかかる比、範囲、及び比の範囲が、本明細書に提示される数値から明白に導かれ得、全ての場合において、かかる比、範囲、及び比の範囲が本発明の様々な実施形態を表すことを理解するだろう。
本明細書で使用される場合、「より高次構造のリグニン」は、従来のリグニンと比較してより分解されていない構造を有するリグニンを示す。例えば、より分解された構造を有するリグニン(すなわち従来のリグニン)は、(1)脂肪族OH基(特に二次のもの)、β−O−4及びβ−β結合の量、ならびに酸素化脂肪族部分全体における減少(及び分子量における減少)、ならびに、(2)フェノール性OH、COOR、及びCO官能基の量、飽和脂肪族部分、ならびに典型的に芳香族環におけるC−C結合の形成及び蓄積から生じる凝縮度の増加によって特徴付けられる。反対に、より分解されていない構造を有するリグニン(すなわち本発明のリグニン)は、(1)脂肪族OH基(特に二次のもの)、β−O−4及びβ−β結合の量、ならびに酸素化脂肪族部分全体の増加(及び分子量の減少)、ならびに(2)フェノール性OH、COOR、及びCO官能基の量、飽和脂肪族部分、ならびに典型的に芳香族環におけるC−C結合の形成及び蓄積から生じる凝縮度の低下によって特徴付けられる。
超臨界流体は、その臨界温度を超える温度かつその臨界圧力を超える圧力にある流体である。超臨界流体は、液体及び蒸気(気体)層が互いと並行して存在し得る最高温度及び圧力の点である、その「臨界点」以上で存在する。臨界圧力及び臨界温度を超えると、液体相と気体相との間の区別は消失する。超臨界流体は、液体の溶媒特性と同時に気体の浸透特性をおよそ有する。したがって、超臨界流体抽出は、高い浸透性及び良好な溶媒和の利益を有する。
報告される臨界温度及び圧力には、水については、臨床温度約374.2℃及び臨界圧力約221バール、二酸化炭素については、臨床温度約31℃及び臨床圧力約72.9気圧(約1072psig)が挙げられる。近臨界水は、約300℃以上でかつ水の臨界温度(374.2℃)未満の温度、及びすべての流体が液体相にあることを保証するのに十分に高い圧力を有する。亜臨界水は、約300℃未満の温度及びすべての流体が液体相にあることを保証するのに十分に高い圧力を有する。亜臨界水の温度は、約250℃よりも高く約300℃未満であり得、多くの場合、亜臨界水は約250℃〜約280℃の温度を有する。「高温圧縮水」という用語は、本明細書において、その臨界状態以上の、または本明細書で近臨界または亜臨界と定義される、または約50℃を超える(好ましくは少なくとも約100℃)が亜臨界よりも低い任意の他の温度でかつ水が液体相であるような圧力にある水と交換可能に使用される。
バイオマスは、炭素系の生物物質を一般的に含む、近年生存している有機体に由来する再生可能なエネルギー源である。該有機体は、植物、動物、真菌等であった可能性がある。バイオマスの例には、木、リグノセルロースバイオマス、公共固形廃棄物、製造廃棄物(製材及び製紙廃棄物等の木残渣)、農業残渣(トウモロコシ茎葉、サトウキビバガス、もみ殻、カラスムギ殻等を含む)、食品廃棄物、黒液(木パルプ化処理の副生成物)等が挙げられるがこれらに限定されない。木は、例えば、硬材、軟材、一年生繊維、及びそれらの組み合わせであり得る。バイオマスは、典型的に、セルロース、ヘミセルロース、及びリグニンを含む。任意の好適な種類のバイオマスが、本明細書に記載される発明のリグニンのための原料として使用され得る。化石燃料は、完全に炭素系生物物質に由来するにもかかわらず、一般的にバイオマスとは考えられない。「バイオマス」という用語は、本明細書で使用される場合、化学燃料源を含まない。
本明細書で使用される場合、「ガラス転移温度」または「Tg」は、非晶質物質が脆性のガラス質状態からプラスチック状態に変化する温度を意味する。これは、含水量、焼鈍しの程度、及び物質に与えられる圧力等を含む、試験される物質の組成に依存する。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定、熱機械分析、動的機械分析等によって、測定され得る。
本明細書で使用される場合、「蒸気爆発」は、蒸気の形態の熱(熱)、水分の拡張によるせん断力(機械)、及びグリコシド結合の加水分解(化学)によって支援される、バイオマスの構造成分を分解するために使用される熱機械化学プロセスを意味する。例えば、反応器において、蒸気は高圧力下で、拡散によってリグノセルロース構造に浸透する。蒸気は高圧力下で凝縮し、それにより物質を「湿らせる」。「湿った」バイオマスは、反応器内の圧力が解放されると「爆発」させられる。いくつかの現象がこの時点で生じる。まず、構造内の凝縮された水分は、圧力の急な低下により、即時に蒸発する。水蒸気の拡張は、周りの構造にせん断力を与える。このせん断力が十分に高い場合、蒸気はリグノセルロース構造の機械的分解を引き起こし得る。
本発明のリグニンは、任意の好適な技術によって調製され得る。好ましいプロセスは反応性流体を用い、好ましくは、反応性流体は亜臨界、近臨界、または超臨界水を含む。反応性流体は、二酸化炭素、二酸化硫黄、C〜Cアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びペンタノール等)、ならびにこれらの組み合わせを、さらに含み得る。いくつかの実施形態では、反応性流体は二酸化炭素を含まない。いくつかの実施形態では、反応性流体は1つ以上のC〜Cアルコールを含まない。いくつかの実施形態では、反応性流体は外来性酸を含まない。いくつかの実施形態では、反応性流体は、亜臨界、近臨界、または超臨界状態の水から成る。
プロセスは、前処理ステップを含み得、そこではバイオマスが第1の温度及び第1の圧力下で第1の時間前処理され、それにより前処理バイオマスを形成する。前処理ステップは、本明細書で使用される場合、セルロース(存在する場合)及びリグニンを残しながら、バイオマスからヘミセルロース(存在する場合)を抽出することを典型的に含む(すなわち、前処理ステップの生成物は本明細書において「前処理バイオマス」という用語で表現される)。かかる前処理ステップは当業者に既知である。プロセスは、処理ステップをさらに含み得、そこでは前処理バイオマスが、第2の温度及び第2の圧力で第2の時間処理される。いくつかの実施形態では、プロセスは処理ステップを含み前処理ステップを含まない。換言すれば、本明細書で定義される前処理ステップを経ないバイオマスが、反応性流体を含む処理ステップを経る。しかしながら、処理ステップの前に、バイオマスは粉砕され(例えば、押しつぶし、すりつぶし、衝突製粉等のような機械的手段によって大きさが縮小され)得、この粉砕は本明細書において使用される前処理ステップとはみなされない。超臨界水を含む反応性流体を使用する場合、プロセスは、本明細書に定義される前処理ステップを用いずに超臨界水を使用してバイオマスを処理することを含み得る。好適な温度、圧力、及び滞留時間、ならびにバイオマスを処理するための他の好適な条件は、米国特許出願公開2012/02961774において開示され、ここでその全体が参照により組み込まれる。本発明のリグニンを調製するために好適な他のプロセスもまた用いられ得る。
本発明のリグニンは、典型的に、好適な溶媒を使用することによって、上記の処理ステップにおいて生成される固体から抽出される。好適な溶媒を用いる抽出は、本明細書で「抽出ステップ」または「抽出」と称される。例えば、溶媒は、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液であり得る。アルカリ性水溶液における塩基の量は約0.1重量%以上であり得、最大量は具体的に限定されない。アルカリ性水溶液における塩基の量は、約3重量%以下であり得、最小量は具体的に限定されない。溶液の残りは、典型的に水を含むまたは水から成る。例えば、塩基の量は、約0.1重量%以上、例えば約0.3重量%以上、約0.5重量%以上、約0.7重量%以上、約0.9重量%以上、約1重量%以上、約1.2重量%以上、約1.4重量%以上、約1.6重量%以上、約1.8重量%以上、約2重量%以上、約2.2重量%以上、約2.4重量%以上、約2.6重量%以上、または約2.8重量%以上であり得る。あるいは、またはさらに、アルカリ性水溶液における塩基の量は、約3重量%以下、例えば、約2.8重量%以下、約2.6重量%以下、約2.4重量%以下、約2.2重量%以下、約2重量%以下、約1.8重量%以下、約1.6重量%以下、約1.4重量%以下、約1.2重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.7重量%以下、約0.5重量%以下、または約0.3重量%以下であり得る。アルカリ性水溶液における塩基の量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、塩基の量は、約0.9重量%以上、約1.7重量%〜約2.6重量%、約2.8重量%〜約3重量%、または約0.9重量%〜約1.2重量%であり得る。好ましくは、アルカリ性水溶液は約1重量%である。
他の好適な抽出溶媒は、水中のジオキサン、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、またはブタノールのうちの少なくとも1つ等の、水性有機溶媒を含む。水性有機溶媒中の有機溶媒(水中のジオキサン、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、またはそれらの組み合わせ)の量は、約80体積%以上であり得、上限は具体的に限定されない。有機溶媒の量は、約99.5体積%以下であり得、最小量は具体的に限定されない。残りは、水を含むかまたは水から成る。例えば、水性有機溶媒中の有機溶媒の量は、約80体積%以上、例えば約82体積%以上、約84体積%以上、約86体積%以上、約88体積%以上、約90体積%以上、約92体積%以上、約94体積%以上、約96体積%以上、約98体積%以上、または約99体積%以上であり得る。あるいは、またはさらに、水性有機溶媒中の有機溶媒の量は、約99.5体積%以下、例えば約99体積%以下、約98体積%以下、約96体積%以下、約94体積%以下、約92体積%以下、約90体積%以下、約88体積%以下、約86体積%以下、約84体積%以下、または約82体積%以下であり得る。水性有機溶媒中の有機溶媒の量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、水性有機溶媒中の有機溶媒の量は、約86体積%以下、約88体積%〜約94体積%、約90体積%〜約92体積%、または約94〜約96体積%であり得る。水中の有機溶媒の好ましい量は、約90体積%〜約96体積%である。
本発明のリグニンまたはリグニン組成物は、典型的に少ない量の不純物を含有する。例えば、抽出の前に、バイオマス処理から生じる固体は、かなりの量の、キシラン、グルカン、またはそれらの組み合わせ等の炭水化物を含有し得る。炭水化物の総量は、典型的に、約10重量%以上、例えば約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、または約50重量%以上である。
しかしながら、本明細書に記載される抽出の後、発明のリグニンまたはリグニン組成物は、少量の、キシラン、グルカン、またはキシラン及びグルカンの両方等の炭水化物を含有する。本明細書の以下に記載される量は、炭水化物の総量を指し得るか、または、キシランまたはグルカンのいずれかを具体的に指し得る。例えば、炭水化物の量は、典型的に、約5重量%以下、例えば、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.8重量%以下、約1.6重量%以下、約1.4重量%以下、約1.2重量%以下、約1重量%以下、約0.8重量%以下、約0.6重量%以下、約0.4重量%以下、約0.2重量%以下、または約0重量%であり得る。最小量は具体的に限定されない。あるいは、またはさらに、抽出後の炭水化物の量は、典型的に、約0重量%以上、例えば約0.2重量%以上、約0.4重量%以上、約0.6重量%以上、約0.8重量%以上、約1重量%以上、約1.2重量%以上、約1.4重量%以上、約1.6重量%以上、約1.8重量%以上、約2重量%以上、約2.5重量%以上、約3重量%以上、約3.5重量%以上、約4重量%以上、または約4.5重量%以上である。最大量は具体的に限定されない。抽出ステップの後の炭水化物の量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、抽出後の炭水化物の量は、約1重量%以上、約0重量%〜約0.2重量%、約0.2重量%〜約1重量%、または約0.8重量%〜約1.2重量%であり得る。
処理ステップの後だが抽出ステップの前に存在するリグニンの量は、本明細書に記載される処理ステップにおいて得られる固体の重量に基づき、典型的に、約40重量%以上であり、最大量は具体的に限定されない。処理ステップの後に存在するリグニンの量は約60重量%以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、抽出ステップの前のリグニンの量は、約40重量%以上、約44重量%以上、約48重量%以上、約52重量%以上、または約56重量%以上であり得る。あるいはまたはさらに、リグニンの量は、典型的に約60重量%以下、例えば約56重量%以下、約52重量%以下、約48重量%以下、または約44重量%以下である。処理ステップの後だが抽出ステップの前に存在するリグニンの量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、リグニンの量は、約48重量%以上、約44重量%〜約56重量%、約48重量%〜約52重量%、または約52重量%〜約56重量%であり得る。
抽出ステップの後に存在するリグニンの量は、抽出後の固体の重量に基づき、典型的に約80重量%以上、例えば約85重量%以上、約88重量%以上、約90重量%以上、約92重量%以上、約94重量%以上、約96重量%以上、約98重量%以上、または約99重量%以上であり、最大量は具体的に限定されない。
本明細書に定義されるリグニンの抽出収率は、典型的に約50%以上、例えば約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約80%以上、約82%以上、約84%以上、約86%以上、約88%以上、約90%以上、約92%以上、約94%以上、約96%以上、約98%以上、または約99%以上であり、最大収率は具体的に限定されない。一実施形態では、上限は100%未満である。これらの抽出収率は、本明細書に開示される抽出溶媒のいずれにも当てはまる。これらの抽出収率値は、表3で述べられる抽出収率の種類のいずれにも当てはまる。
本発明のリグニンは固有の構造特性を有する。例えば、本発明のリグニンは、従来のリグニンとは異なる固有の部分及び部分の量を有する。例えば本明細書の表4及び5を参照されたい。部分の量は、100芳香族単位当たりの部分の単位(「100Ar当たりの単位」)として表現され、モル%とみなすことができる。13Cスペクトルにおける芳香族領域(約100〜162ppm)が積分され、この積分が600の値に設定される。この同じスペクトルにおける目的とする部分または領域の後続の積分は、次に「100Ar当たり」の単位になり得る。測定「100Ar当たりの単位」の単位は当業者には公知であり、リグニンの部分を説明するための従来の方法である。本明細書に記載される100Ar当たりの単位での部分の識別及び量は、本明細書に開示される抽出溶媒のいずれかを使用して得られるリグニンまたはリグニン組成物に適用される。測定は、定量13C NMRスペクトル測定法等の定量核磁気共鳴スペクトル測定法(NMR)によって行われ得る。リグニンにおける部分の量の計算に関するさらなる情報については、例えば、Capanema and Jameel et al.(2005)及びCapanema and Kadla et al.(2005)を参照されたい。13C及び/またはH NMRスペクトル測定法によるリグニン内に存在する様々な部分の量の定量は、典型的に13C及び/またはH NMRスペクトラムの積分を必要とする。13C及び/またはHスペクトルにおいて様々なリグニン部分または目的とする他の領域が位置付けられ得る化学シフト範囲は、本明細書において、これらの様々な部分の測定の決定に役立つと報告されている。しかしながら、当業者が確かに理解し得るように、実際の積分はわずかに異なる化学シフト範囲内に位置付けられ得、当業者は、この事実を認識することが可能であり得、かつ適切な化学シフト範囲における適切なピークを積分して、目的とする様々な部分または領域の積分をできるだけ正確に決定することが可能であり得る。
いくつかの構造部分の測定において、分析目的のためにリグニンをアセチル化することが有用であることがある。具体的に、アセチル化は、リグニンの様々なOH基を定量するために使用される。さらに、リグニンアセチル化は、アセチル化しなければ重複する、NMRスペクトルにおけるいくつかの信号の分離をもたらすことができ、それによってより正確な積分及び定量を可能にする。リグニンアセチル化は、Adler(1987)において開示される方法によって行うことができる。
異なる型のカルボニル(「CO」)部分は、13C NMRスペクトルにおいて、約200〜210ppm及び190〜200ppmの領域から、それぞれ非共役及び共役COについて測定され得る。典型的に、総CO含量、非共役CO含量、及び共役CO含量が、アセチル化リグニン及び非アセチル化リグニンについて測定され、2つの値が平均化される。総CO含量は共役CO及び非共役COの合計である。
本発明のリグニンの総カルボニル(「CO」)含量は、100Ar当たり約10単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの総CO含量は、100Ar当たり約25単位以上であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば総CO含量は、100Ar当たり約10単位以上、例えば約11単位以上、約12単位以上、約13単位以上、約14単位以上、約15単位以上、約16単位以上、約17単位以上、約18単位以上、約19単位以上、約20単位以上、約21単位以上、約22単位以上、約23単位以上、または約24単位以上である。あるいはまたはさらに、総CO含量は、100Ar当たり約25単位以下、例えば約24単位以下、約23単位以下、約22単位以下、約21単位以下、約20単位以下、約19単位以下、約18単位以下、約17単位以下、約16単位以下、約15単位以下、約14単位以下、約13単位以下、約12単位以下、または約11単位以下であり得る。総CO含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、総CO含量は、100Ar当たり約10単位以上、約20〜約25単位、約23単位以下、約11〜約14単位、または約14〜約17単位であり得る。
本発明のリグニンの非共役カルボニル(「CO」)含量は、100Ar当たり約3単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。非共役CO含量は、100Ar当たり約15単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、非共役CO含量は、100Ar当たり約3単位以上、例えば約4単位以上、約5単位以上、約6単位以上、約7単位以上、約8単位以上、約9単位以上、約10単位以上、約11単位以上、約12単位以上、約13単位以上、または約14単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、非共役CO含量は、100Ar当たり約15単位以下、例えば約14単位以下、約約13単位以下、約12単位以下、約11単位以下、約10単位以下、約9単位以下、約8単位以下、約7単位以下、約6単位以下、約5単位以下、または約4単位以下であり得る。非共役CO含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、非共役CO含量は、100Ar当たり約7単位以上、約5〜約6単位、約6〜約10単位、約11以下、または約8〜約11単位であり得る。
本発明のリグニンの共役カルボニル(「CO」)含量は、100Ar当たり約5単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの共役CO含量は、100Ar当たり約20単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、共役CO含量は、100Ar当たり約5単位以上、例えば,約6単位以上、約7単位以上、約8単位以上、約9単位以上、約10単位以上、約11単位以上、約12単位以上、約13単位以上、約4単位以上、約15単位以上、約16単位以上、約17単位以上、約18単位以上、または約19単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、共役CO含量は100Ar当たり約20単位以下、例えば約19単位以下、約18単位以下、約17単位以下、約16単位以下、約15単位以下、約14単位以下、約13単位以下、約12単位以下、約11単位以下、約10単位以下、約9単位以下、約8単位以下、約7単位以下、または約6単位以下であり得る。共役CO含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、共役CO含量は、100Ar当たり約9〜約11単位、約14単位以上、約11〜約14単位、または約12〜約18単位であり得る。
カルボキシル及びエステル部分(「COOR」)は、非アセチル化リグニンの13C NMRスペクトルにおける約167〜180ppm及び約165〜167ppmの領域から測定され得る。総COOR含量は、脂肪族COOR及び共役COORの合計である。
本発明のリグニンの総カルボキシル及びエステル(「COOR」)含量は、100Ar当たり約5単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの総COOR含量は100Ar当たり約25単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、総COOR含量は、100Ar当たり約5単位以上、例えば約6単位以上、約7単位以上、約8単位以上、約9単位以上、約10単位以上、約11単位以上、約12単位以上、約13単位以上、約14単位以上、約15単位以上、約16単位以上、約17単位以上、約18単位以上、約19単位以上、約20単位以上、約21単位以上、約22単位以上、約23単位以上、または約24単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、総COOR含量は100Ar当たり約25単位以下、例えば約24単位以下、約23単位以下、約22単位以下、約21単位以下、約20単位以下、約19単位以下、約18単位以下、約17単位以下、約16単位以下、約15単位以下、約14単位以下、約13単位以下、約12単位以下、約11単位以下、約10単位以下、約9単位以下、約8単位以下、約7単位以下、または約6単位以下であり得る。総COOR含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、総COOR含量は、100Ar当たり約7〜約11単位、約10〜約12単位、約5単位以上、または約18〜約19単位であり得る。
本発明のリグニンの脂肪族カルボキシル及びエステル(「COOR」)含量は、100Ar当たり約3単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。脂肪族COOR含量は100Ar当たり約20単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、脂肪族COOR含量は、100Ar当たり約3単位以上、例えば約4単位以上、約5単位以上、約6単位以上、約7単位以上、約8単位以上、約9単位以上、約10単位以上、約11単位以上、約12単位以上、約13単位以上、約14単位以上、約15単位以上、約16単位以上、約17単位以上、約18単位以上、または約19単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、脂肪族COOR含量は、100Ar当たり約20単位以下、例えば約19単位以下、約18単位以下、約17単位以下、約16単位以下、約15単位以下、約14単位以下、約13単位以下、約12単位以下、約11単位以下、約10単位以下、約9単位以下、約8単位以下、約7単位以下、約6単位以下、約5単位以下、または約4単位以下であり得る。脂肪族COOR含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、脂肪族COOR含量は、100Ar当たり約6〜約9単位、約10単位以下、約14〜約15単位、または約8〜約16単位であり得る。
本発明のリグニンの共役カルボキシル及びエステル(「COOR」)含量は、100Ar当たり約1単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの共役COOR含量は、100Ar当たり約8単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、共役COOR含量は100Ar当たり約1単位以上、例えば約2単位以上、約3単位以上、約4単位以上、約5単位以上、約6単位以上、または約7単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、共役COOR含量は、100Ar当たり約8単位以下、例えば約7単位以下、約6単位以下、約5単位以下、約4単位以下、約3単位以下、または約2単位以下であり得る。共役COOR含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、共役COOR含量は、100Ar当たり約8単位以下、約1〜約4単位、約3〜約5単位、または約2〜約8単位であり得る。
ヒドロキシル(「OH」)部分は、アセチル化リグニン調製物の13C NMRスペクトルにおける約165〜171.5ppmでの共鳴から測定され得る。しかしながらアセチル基の共鳴は、特に一次OH基について、COOR基の共鳴と多少重複し得る。したがって、より正確な値については、非アセチル化リグニンのスペクトルにおける信号の共鳴は、それぞれ一次OH基、二次OH基、及びフェノール性OH基について、約169.7〜171.5ppm、約169〜169.7ppm、及び約165〜169ppmの範囲のアセチル化リグニンのスペクトルにおける対応する共鳴から差し引かれる。一次OH、二次OH、及びフェノール性OH含量は、以下の等式に従って計算することができる。
一次OH含量=I(171.5〜169.7)ac−I(171.5〜169.7)na
二次OH含量=I(169.7〜169.0)ac−I(169.7〜169.0)na
フェノール性OH含量=I(169.0〜165.0)ac−I(169.0〜165.0)na
式中I(xx〜xx)ac及びI(xx〜xx)ncは、それぞれアセチル化(「ac」)及び非アセチル化リグニン(「na」)の13C NMRスペクトルにおけるxx〜xx ppmの範囲における積分である。
脂肪族OHは、一次OH及び二次OHの合計である。総OHは、脂肪族OH及びフェノール性OHの合計である。13C NMRスペクトルにおける様々なOH基の合計は、典型的に、約18〜22ppmでの総アセチル基信号と上手く相関し、本計算方法の実現可能性を証明する。
本発明のリグニンの総ヒドロキシル(「OH」)含量は、100Ar当たり100単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの総OH含量は、100Ar当たり約150単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、総OH含量は、100Ar当たり約100単位以上、例えば約102単位以上、約104単位以上、約106単位以上、約108単位以上、約110単位以上、約112単位以上、約114単位以上、約116単位以上、約118単位以上、約120単位以上、約122単位以上、約124単位以上、約126単位以上、約128単位以上、約130単位以上、約132単位以上、約134単位以上、約136単位以上、約138単位以上、約140単位以上、約142単位以上、約144単位以上、約146単位以上、または約148単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、総OH含量は、100Ar当たり約150単位以下、例えば約148単位以下、約146単位以下、約144単位以下、約142単位以下、約140単位以下、約138単位以下、約136単位以下、約134単位以下、約132単位以下、約130単位以下、約128単位以下、約126単位以下、約124単位以下、約122単位以下、約120単位以下、約118単位以下、約116単位以下、約112単位以下、約110単位以下、約108単位以下、約106単位以下、約104単位以下、または約102単位以下であり得る。総OH含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、総OH含量は、100Ar当たり約114〜約122単位、約120単位以下、約106〜約144単位、または約136〜約150単位であり得る。
本発明のリグニンの脂肪族ヒドロキシル(「OH」)含量は、100Ar当たり約35単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの脂肪族OH含量は、100Ar当たり約70単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、脂肪族OH含量は、100Ar当たり約35単位以上、例えば約38単位以上、約40単位以上、約42単位以上、約44単位以上、約46単位以上、約48単位以上、約50単位以上、約52単位以上、約54単位以上、約56単位以上、約58単位以上、約60単位以上、約62単位以上、約64単位以上、約66単位以上、または約68単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、脂肪族OH含量は、100Ar当たり約70単位以下、例えば約68単位以下、約66単位以下、約64単位以下、約62単位以下、約60単位以下、約58単位以下、約56単位以下、約54単位以下、約52単位以下、約50単位以下、約40単位以下、約46単位以下、約44単位以下、約42単位以下、約40単位以下、約38単位以下、または約36単位以下であり得る。脂肪族OH含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、脂肪族OH含量は、100Ar当たり約70単位以下、約40〜約50単位、約56〜約62単位、または約46〜約52単位であり得る。
本発明のリグニンの一次ヒドロキシル(「OH」)含量は、100Ar当たり約20単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの一次OH含量は100Ar当たり約40単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、一次OH含量は、100Ar当たり約20単位以上、例えば約22単位以上、約24単位以上、約26単位以上、約28単位以上、約30単位以上、約32単位以上、約34単位以上、約36単位以上、または約38単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、一次OH含量は、100Ar当たり約40単位以下、例えば約38単位以下、約36単位以下、約34単位以下、約32単位以下、約30単位以下、約28単位以下、約26単位以下、約24単位以下、または約22単位以下であり得る。一次OH含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、一次OH含量は、100Ar当たり約38単位以上、約26〜約30単位、約32〜約36単位、または約28〜約40単位であり得る。
本発明のリグニンの二次ヒドロキシル(「OH」)含量は、100Ar当たり10単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの二次OH含量は、100Ar当たり約45単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば二次OH含量は、100Ar当たり約10単位以上、例えば約12単位以上、約14単位以上、約16単位以上、約18単位以上、約20単位以上、約22単位以上、約24単位以上、約26単位以上、約28単位以上、約30単位以上、約32単位以上、約34単位以上、約36単位以上、約38単位以上、約40単位以上、約42単位以上、または約44単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、二次OH含量は、100Ar当たり約45単位以下、例えば約44単位以下、約42単位以下、約40単位以下、約38単位以下、約36単位以下、約34単位以下、約32単位以下、約30単位以下、約28単位以下、約26単位以下、約24単位以下、約22単位以下、約20単位以下、約18単位以下、約16単位以下、約14単位以下、または約12単位以下であり得る。二次OH含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、二次OH含量は100Ar当たり約12単位以下、約18〜約28単位、約20〜約22単位、または約28〜約34単位であり得る。
本発明のリグニンのフェノール性ヒドロキシル(「OH」)含量は、100Ar当たり約30単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンのフェノール性OH含量は、100Ar当たり約100単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。
例えば、フェノール性OH含量は、100Ar当たり約30単位以上、例えば約32単位以上、約34単位以上、約36単位以上、約38単位以上、約40単位以上、約42単位以上、約44単位以上、約46単位以上、約48単位以上、約50単位以上、約52単位以上、約54単位以上、約56単位以上、約58単位以上、約60単位以上、約62単位以上、約64単位以上、約68単位以上、約70単位以上、約72単位以上、約74単位以上、約76単位以上、約78単位以上、約80単位以上、約82単位以上、約84単位以上、約86単位以上、約88単位以上、約90単位以上、約92単位以上、約94単位以上、約96単位以上、または約98単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、フェノール性OH含量は、100Ar当たり約100単位以下、例えば約98単位以下、約96単位以下、約94単位以下、約92単位以下、約90単位以下、約88単位以下、約86単位以下、約84単位以下、約82単位以下、約80単位以下、約78単位以下、約76単位以下、約74単位以下、約72単位以下、約70単位以下、約68単位以下、約66単位以下、約64単位以下、約62単位以下、約60単位以下、約58単位以下、約56単位以下、約54単位以下、約52単位以下、約50単位以下、約48単位以下、約46単位以下、約44単位以下、約42単位以下、約40単位以下、約38単位以下、約36単位以下、約34単位以下、または約32単位以下であり得る。フェノール性OH含量は前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、フェノール性OH含量は、100Ar当たり約68単位以上、約60〜約70単位、約30以上、約66以下、約74〜約80単位、約70単位以下、または約62〜約98単位であり得る。
シリンギルのグアヤシルに対する比(「S/G比」)は、アセチル化リグニンを使用して13C NMRによって測定することができる。シリンギル(S)の量は、約100〜108.6ppmの化学シフト範囲内のシリンギル単位の2及び6位に対応する信号(すなわちS2,6)を積分して、その積分を2で割る(すなわちS2,6/2)することによって測定することができる。グアヤシルの量は、約108.6〜114.6ppmの化学シフト範囲内のグアヤシルの2位(すなわちG)を積分することによって測定することができる。S/G比はそこで次のように計算することができる:S/G比=(S2,6/G)/2。
本発明のリグニンのシリンギルのグアヤシルに対する比(「S/G比」)は、約1.0以上であり得、最大比は具体的に限定されない。S/G比は約1.5以下であり得、最小比は具体的に限定されない。例えばS/G比は約1.0以上、例えば約1.05以上、約1.1以上、約1.15以上、約1.2以上、約1.25以上、約1.3以上、約1.35以上、約1.4以上、または約1.45以上であり得る。あるいはまたはさらに、S/G比は約1.5以下、例えば約1.45以下、約1.4以下、約1.35以下、約1.3以下、約1.25以下、約1.2以下、約1.15以下、約1.1以下、または約1.05以下であり得る。S/G比は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、S/G比は、約1.0以上、1.1〜約1.3、約1.25〜約1.4、約1.5以下、または約1.2〜約1.35であり得る。
芳香族プロトン(「ArH」)の量は、アセチル化リグニンのスペクトルにおける約100〜125ppmでの積分(「I100〜125」)から測定することができる。
本発明のリグニンのアリールプロトン(「ArH」)含量は、100Ar当たり約190単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンのArH含量は100Ar当たり約220単位以下であり得、最小量は具体的に限定されない。例えば、ArH含量は100Ar当たり約190単位以上、約195単位以上、約200単位以上、約205単位以上、約210単位以上、または約215単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、ArH含量は、100Ar当たり約220単位以下、例えば約215単位以下、約210単位以下、約205単位以下、約200単位以下、または約195単位以下であり得る。ArH含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、ArH含量は、100Ar当たり約195単位以下、約200〜約210単位、約195〜約205単位、約220単位以下、または約210〜約220単位であり得る。
本発明のリグニンの凝縮度(「DC」図1の構造11、12、及び21〜26を参照)は、非アセチル化リグニン及び式:DC=[300−(S+H)/(S+G+H)×100]−I100〜125を使用して、13C NMRによって測定することができる。この式中のS及びGは、S/G比の計算において定義されるものと同じである。Hは、約156〜161ppmの化学シフト範囲において積分することによって決定される。DCは、総計部分(すべてのC9単位)に対する凝縮部分(凝縮C9単位)の割合として考えられ得る。本発明のリグニンのDCは約30以上であり得、最大DCは具体的に限定されない。本発明のリグニンのDCは約50以下であり得、最小DCは具体的に限定されない。例えば凝縮度は、約30以上、例えば約32以上、約34以上、約36以上、約38以上、約40以上、約42以上、約44以上、約46以上、または約48以上であり得る。あるいはまたはさらに、凝縮度は約50以下、例えば約48以下、約46以下、約44以下、約42以下、約40以下、約38以下、約36以下、約34以下、例えば約32以下であり得る。凝縮度は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば凝縮度は、約30以上、約38〜約42、約40〜約46、または約32〜約42であり得る。
様々な型のβ−O−4結合(例えば図1の構造1〜4を参照)は、アセチル化リグニンの13C NMRスペクトルにおける約83〜90ppmでの共鳴を、対応する非アセチル化リグニンのスペクトルにおける同じ領域における共鳴から引くことで測定することができる。
本発明のリグニンのβ−O−4結合の含量は、100Ar当たり約4単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンのβ−O−4結合の含量は、100Ar当たり約26単位以下であり得、最小量は具体的に制限されない。例えばβ−O−4結合の含量は、100Ar当たり約4単位以上、例えば約6単位以上、約8単位以上、約10単位以上、約12単位以上、約14単位以上、約16単位以上、約18単位以上、約20単位以上、約22単位以上、または約24単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、β−O−4結合の含量は、100Ar当たり約26単位以下、例えば約24単位以下、約22単位以下、約20単位以下、約18単位以下、約16単位以下、約14単位以下、約12単位以下、約10単位以下、約8単位以下、または約6単位以下であり得る。β−O−4結合の含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えばβ−O−4結合の含量は、100Ar当たり約10単位以上、約10〜約26単位、約14〜約18単位、または約16〜約22単位であり得る。
β−5及びβ−β結合(例えばそれぞれ図1の構造5及び構造6を参照)は、アセチル化リグニンの13C NMRスペクトルにおける、それぞれ約86〜88ppm及び84〜86ppmでの積分を使用して測定することができる。
本発明のリグニンのβ−β結合の含量は100Ar当たり約1単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンのβ−β結合の含量は100Ar当たり約10単位以下であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、β−β結合の含量は100Ar当たり約1単位以上、例えば約2単位以上、約3単位以上、約4単位以上、約5単位以上、約6単位以上、約7単位以上、約8単位以上、または約9単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、β−β結合の含量は100Ar当たり約10単位以下、例えば約9単位以下、約8単位以下、約7単位以下、約6単位以下、約5単位以下、約4単位以下、約3単位以下、または約2単位以下であり得る。β−β結合の含量は前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えばβ−β結合の含量は100Ar当たり約3単位以上、約4〜約5単位、約2〜約8単位、または約6〜約10単位であり得る。
本発明のリグニンのβ−5結合の含量は約1単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンのβ−5結合の含量は100Ar当たり約10単位以下であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、β−5結合の含量は、100Ar当たり約1単位以上、例えば約2単位以上、約3単位以上、約4単位以上、約5単位以上、約6単位以上、約7単位以上、約8単位以上、または約9単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、β−5結合の含量は、100Ar当たり約10単位以下、例えば約9単位以下、約8単位以下、約7単位以下、約6単位以下、約5単位以下、約4単位以下、約3単位以下、または約2単位以下であり得る。β−5結合の含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、β−5結合の含量は、100Ar当たり約4単位以上、約2〜約4単位、約3〜約7単位、または約5〜約9単位であり得る。
メトキシル(「OCH」)含量は、13Cスペクトルにおける約54.3〜58.5の積分を使用して測定することができる。典型的に、OCH含量は、アセチル化リグニン及び非アセチル化リグニンの両方について測定され、2つの値が平均化される。本発明のリグニンのメトキシル(「OCH」)含量は、100Ar当たり約100単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンのOCH含量は、100Ar当たり約140単位以下であり得、最小量は具体的に制限されない。例えばOCH含量は、100Ar当たり約100単位以上、例えば約102単位以上、約104単位以上、約106単位以上、約108単位以上、約110単位以上、約112単位以上、約114単位以上、約116単位以上、約118単位以上、約120単位以上、約122単位以上、約124単位以上、約126単位以上、約128単位以上、約130単位以上、約132単位以上、約134単位以上、約136単位以上、または約138単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、OCH含量は、100Ar当たり約140単位以下、例えば約138単位以下、約136単位以下、約134単位以下、約132単位以下、約130単位以下、約128単位以下、約126単位以下、約124単位以下、約122単位以下、約120単位以下、約118単位以下、約116単位以下、約114単位以下、約112単位以下、約110単位以下、約108単位以下、約106単位以下、約104単位以下、または約102単位以下であり得る。OCH含量は前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、OCH含量は100Ar当たり約122単位以下、約110〜約120単位、約128単位以下、約100〜約128単位、約116単位以下、または約112〜約140単位であり得る。
酸素化脂肪族含量は、アセチル化リグニン及び非アセチル化リグニンの両方のスペクトルにおける約58.5〜90.0ppmでの積分を使用して測定することができ、結果は平均化される。典型的に、酸素化脂肪族含量は、糖含量が100Ar当たり少なくとも約2単位である場合、実施例4において報告される方法に従って糖含量について修正される。本発明のリグニンの酸素化脂肪族は、100Ar当たり約80単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの酸素化脂肪族含量は、100Ar当たり約300単位以下であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、酸素化脂肪族含量は、100Ar当たり約80単位以上、例えば約85単位以上、約90単位以上、約95単位以上、約100単位以上、約102単位以上、約104単位以上、約106単位以上、約108単位以上、約110単位以上、約112単位以上、約114単位以上、約116単位以上、約118単位以上、約120単位以上、約125単位以上、約130単位以上、約135単位以上、約140単位以上、約145単位以上、約150単位以上、約160単位以上、約170単位以上、約180単位以上、約190単位以上、約200単位以上、約210単位以上、約220単位以上、約230単位以上、約240単位以上、約250単位以上、約260単位以上、約270単位以上、約280単位以上、または約290単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、酸素化脂肪族含量は、100Ar当たり約300単位以下、例えば290単位以下、約280単位以下、約270単位以下、約260単位以下、約250単位以下、約240単位以下、約230単位以下、約220単位以下、約210単位以下、約200単位以下、約190単位以下、約180単位以下、約170単位以下、約160単位以下、約150単位以下、約145単位以下、約140単位以下、約135単位以下、約130単位以下、約125単位以下、約120単位以下、約118単位以下、約116単位以下、約114単位以下、約112単位以下、約110単位以下、約108単位以下、約106単位以下、約104単位以下、約102単位以下、約100単位以下、約95単位以下、約90単位以下、または約85単位以下であり得る。酸素化脂肪族含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、酸素化脂肪族含量は、100Ar当たり約300単位以下、116単位以上、約95〜約150単位、約95〜約220単位、約95単位以上、約120単位以下、約112〜約150単位、または約110〜約136単位であり得る。
本発明のリグニンの飽和脂肪族含量は、100Ar当たり約30単位以上であり得、最大量は具体的に限定されない。本発明のリグニンの飽和脂肪族含量は100Ar当たり約100単位であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、飽和脂肪族含量は、100Ar当たり約30単位以上、例えば約32単位以上、約34単位以上、約36単位以上、約38単位以上、約40単位以上、約42単位以上、約44単位以上、約46単位以上、約48単位以上、約50単位以上、約52単位以上、約54単位以上、約56単位以上、約58単位以上、約60単位以上、約62単位以上、約64単位以上、約68単位以上、約70単位以上、約72単位以上、約74単位以上、約76単位以上、約78単位以上、約80単位以上、約82単位以上、約84単位以上、約86単位以上、約88単位以上、約90単位以上、約92単位以上、約94単位以上、約96単位以上、または約98単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、飽和脂肪族含量は、100Ar当たり約100単位以下、例えば約98単位以下、約96単位以下、約94単位以下、約92単位以下、約90単位以下、約88単位以下、約86単位以下、約84単位以下、約82単位以下、約80単位以下、約78単位以下、約76単位以下、約74単位以下、約72単位以下、約70単位以下、約68単位以下、約66単位以下、約64単位以下、約62単位以下、約60単位以下、約58単位以下、約56単位以下、約54単位以下、約52単位以下、約50単位以下、約48単位以下、約46単位以下、約44単位以下、約42単位以下、約40単位以下、約38単位以下、約36単位以下、約34単位以下、約32単位以下であり得る。飽和脂肪族含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、飽和脂肪族含量は、100Ar当たり約50〜約56単位、約40〜約94単位、約90単位以下、または約52〜約76単位であり得る。
本発明のリグニンの糖含量は具体的に限定されず、100Ar当たり少なくとも約0単位であり得、最大量は具体的に限定されない。糖含量は100Ar当たり約20単位未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば糖含量は、100Ar当たり少なくとも約0単位、例えば、少なくとも約1単位、少なくとも約2単位、少なくとも約3単位、少なくとも約4単位、少なくとも約5単位、少なくとも約6単位、少なくとも約8単位、少なくとも約10単位、少なくとも約12単位、少なくとも約14単位、少なくとも約16単位、少なくとも約18単位以上であり得る。あるいはまたはさらに、糖含量は、100Ar当たり約20単位未満、例えば約18単位未満、約16単位未満、約14単位未満、約12単位未満、約10単位未満、約8単位未満、約6単位未満、約5単位未満、約4単位未満、約3単位未満、約2単位未満、または約1単位未満であり得る。糖含量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、糖含量は少なくとも約2単位、約1単位〜約4単位、または約10単位未満であり得る。いくつかの実施形態では、糖含量は100Ar当たり約0単位または100Ar当たり約1単位であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、図4に示される、二次元プロトン−炭素異核種単一量子コヒーレンス核磁気共鳴(2D H−13C HSQC NMR)スペクトルを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、図4に示される交差ピークを含む2D H−13C HSQC NMRスペクトルを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、図4に示される交差ピークのうちの少なくとも1つを含む2D H−13C HSQC NMRスペクトルを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、図7、10、13、及び16のうちの少なくとも1つで示されるスペクトルを含む、2D H−13C HSQC NMRスペクトルを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、図7、10、13、及び16のうちの少なくとも1つに示される交差ピークを含む2D H−13C HSQC NMRスペクトルを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、図7、10、13、及び16のうちの少なくとも1つに示される交差ピークのうちの少なくとも1つを含む、2D H−13C HSQC NMRスペクトルを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、図5に示されるスペクトルを含む13C NMRスペクトルを有し得る。
いくつかの実施形態では、本発明のリグニンは、2D H−13C HSQC NMRスペクトルの1つ以上の化学シフト領域において交差ピークを有し得る(+)または有し得ない(−)。信号が2Dスペクトルにおいて存在するか不在であるかを判断するために、2D NMRスペクトルの強度は、典型的に、真の信号及び背景雑音を区別することができるレベルに設定される。雑音は交差ピークと見なさない。2D H−13C HSQC NMRスペクトルにおける化学シフト領域は、典型的な二次元グラフのx及びy座標に類似して、13C次元における13C化学シフト範囲(ppm単位)及びH次元におけるH化学シフト範囲(ppm単位)によって画定され得る。例えば、実施例1の実行2からの本発明のリグニンは、106.9〜107.45ppmの13C化学シフト範囲及び5.74〜5.84ppmのH化学シフト範囲によって画定される化学シフト領域の2D H−13C HSQC NMRスペクトルにおいて交差ピークを有する(実施例7の表10を参照)。対照的に、実施例7に記載される2つの比較リグニンは、この化学シフト領域にて交差ピークを有せず、よって示される本発明のリグニンはこの理由のためだけに固有である。概して、本発明のリグニンは、実施例7の表10に示される化学シフト領域のいずれかにて交差ピークを有し得(+)、または交差ピークを有し得ない(−)。さらに、本発明のリグニンは、実施例7の表10に示される化学シフト領域の任意の組み合わせで、交差ピークを有し得る(+)または有し得ない(−)。例えば、本発明のリグニンは、24.75〜25.25ppmの13C化学シフト範囲及び2.7〜2.8ppmのH化学シフト範囲によって画定される化学シフト領域の2D H−13C HSQC NMRスペクトルにおいて交差ピークを有し得(+)、さらに、本発明のリグニンは、46.5〜47ppmの13C化学シフト範囲及び2.86〜2.96ppmのH化学シフト範囲によって画定される化学シフト領域における交差ピークを有し得ない(−)。交差ピークの存在(+)または不在(−)を説明する、実施例7の表10における化学シフト領域の任意の好適な組み合わせが、本発明のリグニンを説明するために使用され得る。
本発明のリグニンのガラス転移温度(「Tg」)は、約40℃以上であり得、最大Tgは具体的に限定されない。本発明のリグニンのTgは約120℃以下であり得、最小Tgは具体的に限定されない。例えば、Tgは、約40℃以上、例えば約45℃以上、約50℃以上、約55℃以上、約60℃以上、約65℃以上、約70℃以上、約75℃以上、約80℃以上、約85℃以上、約90℃以上、約95℃以上、約100℃以上、約105℃以上、または約110℃以上、約115℃以上であり得る。あるいはまたはさらに、Tgは約120℃以下、例えば約115℃以下、約110℃以下、約105℃以下、約100℃以下、約95℃以下、約90℃以下、約85℃以下、約80℃以下、約75℃以下、約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、または約45℃以下であり得る。Tgは前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、Tgは、約65℃〜約75℃、約55℃〜約80℃、または約75℃〜約95℃であり得る。
本発明のリグニンの数平均分子量(「M」)は、少なくとも約600g/モルであり得、最大Mは具体的に限定されない。本発明のリグニンのMは約1300g/モル未満であり得、最小Mは具体的に限定されない。例えば、Mは、少なくとも約600g/モル、例えば少なくとも約650g/モル、少なくとも約700g/モル、少なくとも約750g/モル、少なくとも約800g/モル、少なくとも約850g/モル、少なくとも約900g/モル、少なくとも約950g/モル、少なくとも約1000g/モル、少なくとも約1050g/モル、少なくとも約1100g/モル、少なくとも約1150g/モル、少なくとも約1200g/モル、または少なくとも約1250g/モルであり得る。あるいはまたはさらに、Mは、約1300g/モル未満、例えば約1250g/モル未満、約1200g/モル未満、約1150g/モル未満、約1100g/モル未満、約1050g/モル未満、約1000g/モル未満、約950g/モル未満、約900g/モル未満、約850g/モル未満、約800g/モル未満、約750g/モル未満、約700g/モル未満、または約650g/モル未満であり得る。Mは、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、Mは、少なくとも約700g/モル、約800g/モル〜約1100g/モル、または約950g/モル以下であり得る。
本発明のリグニンの重量平均分子量(「M」)は、少なくとも約1500g/モルであり得、最大Mは具体的に限定されない。本発明のリグニンのMは、約4300g/モル未満であり得、最小Mは具体的に限定されない。例えば、Mは少なくとも約1500g/モル、例えば少なくとも約1700g/モル、少なくとも約1900g/モル、少なくとも約2100g/モル、少なくとも約2300g/モル、少なくとも約2500g/モル、少なくとも約2700g/モル、少なくとも約2900g/モル、少なくとも約3100g/モル、少なくとも約3300g/モル、少なくとも約3500g/モル、少なくとも約3700g/モル、少なくとも約3900g/モル、または少なくとも約4100g/モルであり得る。あるいはまたはさらに、Mは約4300g/モル未満、例えば約4100g/モル未満、約3900g/モル未満、約3700g/モル未満、約3500g/モル未満、約3300g/モル未満、約3100g/モル未満、約2900g/モル未満、約2700g/モル未満、約2500g/モル未満、約2300g/モル未満、約2100g/モル未満、約1900g/モル未満、または約1700g/モル未満であり得る。Mは前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、Mは、少なくとも約1700g/モル、約2300g/モル〜約3100g/モル、または約3900g/モル未満であり得る。
本発明のリグニンのZ平均(「M」)分子量は少なくとも約6500g/モルであり得、最大Mは具体的に限定されない。本発明のリグニンのMは、約25000g/モル未満であり得、最小Mは具体的に限定されない。例えば、Mは、少なくとも約6500g/モル、例えば少なくとも約7000g/モル、少なくとも約7500g/モル、少なくとも約8000g/モル、少なくとも約8500g/モル、少なくとも約9000g/モル、少なくとも約9500g/モル、少なくとも約10000g/モル、少なくとも約10500g/モル、少なくとも約11000g/モル、少なくとも約11500g/モル、少なくとも約12000g/モル、少なくとも約14000g/モル、少なくとも約16000g/モル、少なくとも約18000g/モル、少なくとも約18500g/モル、少なくとも約19000g/モル、少なくとも約19500g/モル、少なくとも約20000g/モル、少なくとも約20500g/モル、少なくとも約21000g/モル、少なくとも約21500g/モル、少なくとも約22000g/モル、少なくとも約22500g/モル、少なくとも約23000g/モル、少なくとも約23500g/モル、少なくとも約24000g/モル、または少なくとも約24500g/モルであり得る。あるいはまたはさらに、Mzは、約25000g/モル未満、例えば約24500g/モル未満、約24000g/モル未満、約23500g/モル未満、約23000g/モル未満、約22500g/モル未満、約22000g/モル未満、約21500g/モル未満、約21000g/モル未満、約20500g/モル未満、約20000g/モル未満、約19500g/モル未満、約19000g/モル未満、約18500g/モル未満、約18000g/モル未満、約16000g/モル未満、約14000g/モル未満、約12000g/モル未満、約11500g/モル未満、約11000g/モル未満、約10500g/モル未満、約10000g/モル未満、約9500g/モル未満、約9000g/モル未満、約8500g/モル未満、約8000g/モル未満、約7500g/モル未満、または約7000g/モル未満であり得る。Mは前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、Mは、少なくとも約7500g/モル、約19000g/モル〜約21500g/モル、または約10000g/モル未満であり得る。
本発明のリグニンの多分散性指数(「PDI」)は、少なくとも約1であり得、最大PDIは具体的に限定されない。本発明のリグニンのPDIは、約4未満であり得、最小PDIは典型的に約1よりも大きい。例えば、PDIは、少なくとも約1、例えば少なくとも約1.3、少なくとも約1.5、少なくとも約1.8、少なくとも約2、少なくとも約2.2、少なくとも約2.4、少なくとも約2.6、少なくとも約2.8、少なくとも約3、少なくとも約3.2、少なくとも約3.4、少なくとも約3.6、または少なくとも約3.8であり得る。あるいはまたはさらに、PDIは約4未満、例えば約3.8未満、約3.6未満、約3.4未満、約3.2未満、約3未満、約2.8未満、約2.6未満、約2.4未満、約2.2未満、約2未満、約1.8未満、約1.5未満、約1.3.d未満であり得る。PDIは前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、PDIは少なくとも約2.2、約2〜約3.6、または約2.2以下であり得る。
本発明のリグニンは、本明細書に開示される手順に従い、熱分解GC/MSによって特性評価することができる。開示される熱分解条件を受けると、リグニンの少なくとも一部が、GC/MSによって特定され得る、より単純な分子に分解し得る。この様式で熱分解GC/MSを受けるとき、本発明のリグニンの固有の特性のいくつかが実証され得る。例えば、本明細書の実施例、特に実施例6及び表8を参照されたい。本発明のリグニンが、本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、様々な化合物が形成し検出され得る。これらの化合物の量は、約1分〜約48分(例えば約1.5分〜約47.5分)の保持時間内のGCクロマトグラムにおける積分ピーク総面積の割合として表現される。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、シリンゴールが形成し検出され得る(約20.5分〜約21.5分の開示条件下で保持時間を有する)。シリンゴールの量は少なくとも約2%であり得、最大量は具体的に限定されない。シリンゴールの量は約20%以下であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、シリンゴールの量は、約2%以上、例えば約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約16%以上、約17%以上、約18%以上、または約19%以上であり得る。あるいはまたはさらに、シリンゴールの量は約20%以下、例えば約19%以下、約18%以下、約17%以下、約16%以下、約15%以下、約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、または約3%以下であり得る。シリンゴールの量は前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えばシリンゴールの量は約8%以上、約7%〜約10%、または約21%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、4−メチルシリンゴールが形成し検出され得る(約23.5分〜約24.5分の開示条件下で保持時間を有する)。4−メチルシリンゴールの量は少なくとも約4%であり得、最大量は具体的に限定されない。4−メチルシリンゴールの量は約15%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、4−メチルシリンゴールの量は約4%以上、例えば約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、または約14%以上であり得る。あるいはまたはさらに、4−メチルシリンゴールの量は約15%以下、例えば約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、または約5%以下であり得る。4−メチルシリンゴールの量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば4−メチルシリンゴールの量は、約11%以下、約9%〜約12%、または約14%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、4−ビニルシリンゴールが形成し検出され得る(約27分〜約28分の開示条件下の保持時間を有する)。4−ビニルシリンゴールの量は、少なくとも約0.5%であり得、最大量は具体的に限定されない。4−ビニルシリンゴールの量は、約16%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、4−ビニルシリンゴールの量は、少なくとも約0.5%、例えば少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約7.5%、少なくとも約8%、少なくとも約8.5%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、または少なくとも約15%であり得る。あるいはまたはさらに、4−ビニルシリンゴールの量は、約16%未満、例えば約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8.5%未満、約8%未満、約7.5%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1.5%未満、または約1%未満であり得る。4−ビニルシリンゴールの量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば4−ビニルシリンゴールの量は、約3%以上、約4%〜約7%、または約14%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、4−アリルシリンゴールが形成し検出され得る(約27.5分〜約28.5分の開示条件下の保持時間を有する)。4−アリルシリンゴールの量は少なくとも約0.5%であり得、最大量は具体的に限定されない。4−アリルシリンゴールの量は約8%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、4−アリルシリンゴールの量は少なくとも約0.5%、例えば少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、少なくとも約2.5%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%、少なくとも約5.5%、少なくとも約6%、少なくとも約6.5%、少なくとも約7%、または少なくとも約7.5%であり得る。あるいはまたはさらに、4−アリルシリンゴールの量は約8%未満、例えば約7.5%未満、約7%未満、約6.5%未満、約6%未満、約5.5%未満、約5%未満、約4.5%未満、約4%未満、約3.5%未満、約3%未満、約2.5%未満、約2%未満、約1.5%未満、または約1%未満であり得る。4−アリルシリンゴールの量は、前述の範囲のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、4−アリルシリンゴールの量は約2.5%以上、約2%〜約4%、または約7%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、シス−プロペニルシリンゴールが形成して検出され得る(約29分〜約30分の開示条件下の保持時間を有する)。シス−プロペニルシリンゴールの量は少なくとも約0.25%であり得、最大量は具体的に限定されない。シス−プロペニルシリンゴールの量は約3%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、シス−プロペニルシリンゴールの量は少なくとも約0.25%、例えば少なくとも約0.5%、少なくとも約0.75%、少なくとも約1%、少なくとも約1.25%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.75%、少なくとも約2%、少なくとも約2.25%、少なくとも約2.5%、または少なくとも約2.75%であり得る。あるいはまたはさらに、シス−プロペニルシリンゴールの量は約3%未満、例えば約2.75%未満、約2.5%未満、約2.25%未満、約2%未満、約1.75%未満、約1.5%未満、約1.25%未満、約1%未満、約0.75%未満、または約0.5%未満であり得る。シス−プロペニルシリンゴールの量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、シス−プロペニルシリンゴールの量は、約1%以上、約0.75%〜約1.75%、または約1.5%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、トランス−プロペニルシリンゴールが形成して検出され得る(約31分〜約32分の開示条件下の保持時間を有する)。トランス−プロペニルシリンゴールの量は少なくとも約3%であり得、最大量は具体的に限定されない。トランス−プロペニルシリンゴールの量は約12%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、トランス−プロペニルシリンゴールの量は少なくとも約3%、例えば少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、または少なくとも約11%であり得る。あるいはまたはさらに、トランス−プロペニルシリンゴールの量は約12%未満、例えば約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、または約4%未満であり得る。トランス−プロペニルシリンゴールの量は前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、トランス−プロペニルシリンゴールの量は少なくとも約5%、約4%〜約11%、約9%未満であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、シリンギルビニルケトンが形成して検出され得る(約35.9分〜約36.3分の開示条件下の保持時間を有する)。シリンギルビニルケトンの量は少なくとも約0.25%であり得、最大量は具体的に限定されない。シリンギルビニルケトンの量は約5%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えばシリンギルビニルケトンの量は少なくとも約0.25%、例えば少なくとも約0.5%、少なくとも約0.75%、少なくとも約1%、少なくとも約1.25%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.75%、少なくとも約2%、少なくとも約2.25%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.75%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%であり得る。あるいはまたはさらに、シリンギルビニルケトンの量は約5%未満、例えば約4.5%未満、約4%未満、約3.5%未満、約3%未満、約2.75%未満、約2.5%未満、約2.25%未満、約2%未満、約1.75%未満、約1.5%未満、約1.25%未満、約1%未満、約0.75%未満、または約0.5%未満であり得る。シリンギルビニルケトンの量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えばシリンギルビニルケトンの量は、約0.5%以上、約0.75%〜約2%、または約1.5%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、ジヒドロシナピルアルコールが形成して検出され得る(約37.5分〜約38.5分の開示条件下の保持時間を有する)。ジヒドロシナピルアルコールの量は少なくとも約0.1%であり得、最大量は具体的に限定されない。ジヒドロシナピルアルコールの量は約2%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えばジヒドロシナピルアルコールの量は少なくとも約0.1%、例えば少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.6%、または少なくとも約1.8%であり得る。あるいはまたはさらに、ジヒドロシナピルアルコールの量は、約2%未満、例えば約1.8%未満、約1.6%未満、約1.4%未満、約1.2%未満、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.7%未満、約0.6%未満、約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満、または約0.2%未満であり得る。ジヒドロシナピルアルコールの量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、ジヒドロシナピルアルコールの量は、約0.2%以上、約1%〜約2%、または約0.7%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、シナピルアルデヒドが形成して検出され得る(約41.1分〜約42.1分の開示条件下の保持時間を有する)。シナピルアルデヒドの量は少なくとも約0.25%であり得、最大量は具体的に限定されない。シナピルアルデヒドの量は約5%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば、シナピルアルデヒドの量は少なくとも約0.25%、例えば少なくとも約0.5%、少なくとも約0.75%、少なくとも約1%、少なくとも約1.25%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.75%、少なくとも約2%、少なくとも約2.25%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.75%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、または少なくとも約4.5%であり得る。あるいはまたはさらに、シナピルアルデヒドの量は約5%未満、例えば約4.5%未満、約4%未満、約3.5%未満、約3%未満、約2.75%未満、約2.5%未満、約2.25%未満、約2%未満、約1.75%未満、約1.5%未満、約1.25%未満、約1%未満、約0.75%未満、または約0.5%未満であり得る。シリンギルビニルケトンの量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、シナピルアルデヒドの量は約1%以上、約1.25%〜約2.25%、または約1.75%以下であり得る。
本発明のリグニンが本明細書に開示される熱分解GC/MS分析を受けると、m/z値107、77、及び152の質量スペクトルにおいて主イオンを有するGCクロマトグラムにおける未特定化合物(「107+77+152」)が形成して検出され得る(この未特定化合物は、約16分〜約17分の開示条件下の保持時間を有する)。未特定化合物107+77+152の量は少なくとも約0.01%であり得、最大量は具体的に限定されない。未特定化合物107+77+152の量は約5%未満であり得、最小量は具体的に制限されない。例えば未特定化合物107+77+152の量は、少なくとも約0.01%、例えば少なくとも約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.11%、少なくとも約0.12%、少なくとも約0.13%、少なくとも約0.14%、少なくとも約0.15%、少なくとも約0.16%、少なくとも約0.17%、少なくとも約0.18%、少なくとも約0.19%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.8%、少なくとも約1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.8%、または少なくとも約2%であり得る。あるいはまたはさらに、未特定化合物107+77+152の量は約2%未満、例えば約1.8%未満、約1.6%未満、約1.4%未満、約1.2%未満、約1%未満、約0.8%未満、約0.6%未満、約0.4%未満、約0.2%未満、約0.19%未満、約0.18%未満、約0.17%未満、約0.16%未満、約0.15%未満、約0.14%未満、約0.13%未満、約0.12%未満、約0.11%未満、約0.1%未満、約0.09%未満、約0.08%未満、約0.07%未満、約0.06%未満、約0.05%未満、約0.04%未満、約0.03%未満、または約0.02%未満であり得る。未特定化合物107+77+152の量は、前述の端点のうちの任意の2つによって拘束され得るか、または無制限範囲であり得る。例えば、未特定化合物107+77+152の量は少なくとも約0.02%、約0.05%〜約0.12%、または約0.2%以下であり得る。
本発明のリグニン及びリグニン組成物は、燃料、粘着付与剤、削片板及び合板の製造におけるフェノールホルムアルデヒド樹脂増量剤、成形化合物の製造において、ウレタン及びエポキシ樹脂、抗酸化物質、徐放剤、流れ制御剤、セメント/コンクリート混練、石膏ボード生成、石油掘削、一般的分散、革なめし、道路被覆、バニリン生成、硫化ジメチル及びジメチルスルホキシド生成、フェノール性樹脂におけるフェノール代用品、ポリオレフィン混合物への組み込み、芳香族(フェノール)モノマー、追加の様々なモノマー、炭素繊維、溶液内の金属隔離、ゲル形成の基礎、ポリウレタンコポリマーとして、またはこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、様々な用途において使用することができる。
本発明は、以下の実施例によってさらに例示され、別様に述べられない限り全ての部分及び割合は重量によるものである。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のみの目的で与えられるものであり、いかなる様式でも限定するものと解釈されるべきではないということが理解されるものである。上記の考察及びこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的特性を突き止めることができ、その精神及び範囲から逸脱することなく、様々な用途及び条件に適合させるために本発明に様々な変更及び修正をなすことができる。
NMRスペクトルが、DMSO−dにおいて25℃で取得された。定量13C NMRスペクトルが、逆ゲート式プロトンデカップリングシーケンスを使用して、5mmのQNPプローブを備えるBruker AVANCE 500MHz分光計を用いて得られた。(Capanema et al.(2004)、及びCapanema and Jameel et al.(2005))。試料濃度は約25%であった。すべての原子核の完全な緩和を提供するために、定量13CNMR獲得の前にクロム(III)アセチルアセトネート(0.016M)がNMR管に加えられた。獲得パラメータは、90°のパルス幅、1.7秒の緩和遅延、及び1.2秒の獲得時間を含んだ。総計20,000の走査が採取された。スペクトルは処理され、データはCapanema et al.(2004)及びCapanema and Jameel et al.(2005)に従って計算された。
2D HSQC NMRスペクトルは、凍結プラットホームを備えるBruker AVANCE III 950MHz分光計及びZ−Axis Gradient分光計を備えるBruker 5mmID CPTCI(H/13C/15N/D)凍結プローブで、約10%の試料濃度で得られた。獲得パラメータは以下の通りであった:72ミリ秒の獲得時間についてはF2(H)次元内の2Kデータポイントを使用して、ならびに5.36ミリ秒の獲得時間について及び4時間20分の総実験時間についてはF1(13C)次元内の512データポイントを使用して、24過渡(1ブロックあたりの走査)が得られた。2Dデータセットは、両方の次元でQsine関数を使用して、2K×2Kデータポイントで処理された。
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(Py−GC/MS)測定がOhra−aho et al.(2013)に従って行われたが、これは、GC/MS計器(Varian3800GC/2000MS)に接続されるフィラメントパルス熱分解装置(Pyrola2000、PyrolAB、Sweden)を使用する。約100μgの試料が自動超微量天秤(CHAN 29 Instruments Inc.Cerritos、USA)で正確に計量され、小さい空洞を含むフィラメント上に直接配置された。熱分解生成物を、スプリットライナーを含む(Restek,3.4mm×5.0×54)ガスクロマトグラフィーインジェクターに導くために、熱分解チャンバは、約175℃で維持されヘリウム22.7ml/分でパージされた。スプリット比1:18を使用して約280℃に維持されたスプリットインジェクターが使用された。約580℃の最終熱分解温度までの温度上昇時間は8ミリ秒に設定され、総熱分解時間は2秒であった。熱分解生成物は、毛管カラム(J&W、DB−1701、30m×0.25mm、フィルム1μm)を使用して、以下の温度プログラムを使用して分離された:初期温度100℃(1分)、265℃まで上昇率4℃/分、その温度で7.75分間保持。ヘリウムが、約1ml/lの一定流量を使用して、キャリヤガスとして使用された。イオントラップ質量分光計が、質量走査範囲m/z46〜399(EI70eV)を伴い、化合物検出のために使用された。イオントラップ及び移動ライン温度は、それぞれ約180度及び約250度に設定された。GCクロマトグラムは、積分されたピークの総面積を得るために、約1分〜約48分の保持時間区域内で積分された。GCクロマトグラムにおけるこの保持時間内の目的とする特異的なピークが、次いで個々に積分され、そのデータはGCクロマトグラムにおける約1分〜約48分の積分総面積の割合(%)として表現された。換言すれば、データは、積分ピーク総面積が100%を表す、積分ピーク総面積に正規化された。それぞれの試料について2つの並行測定が行われた(すなわち二連で実行された)。形成された熱分解生成物は、文献及び商用NIST05ライブラリからのデータを使用して特定された。質量分析によって特定されなかったGCクロマトグラムにおけるピークは、主イオンについてのm/z値として本明細書に報告される。例えば「166+135」と標識される未特定化合物は、GCクロマトグラムにおける対応するピークが、m/z166で1つ及びm/z135で1つの、2つの主イオンピークを有することを意味する。
糖(例えば、キシロース、グルコース等)及びリグニンについての組成分析は、NREL/TP−510−42618に従って実行され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ガラス転移温度(Tg)測定を、示差走査熱量測定(DSC)を以下のように使用して行った。リグニン試料(約5mg)を、計量して、予め計量された蓋つき鍋に二連で入れ、40℃の真空オーブン内に一晩配置した。オーブンから鍋を取り除く際に、これらをすぐに試料圧迫で密封し、置いて冷却させた。リグニンを含む鍋の重量が記録され、鍋の風袋重量がこれから減じ、密封された鍋内の乾燥リグニンの重量を提供する。鍋は充填され、次のステップからなるプログラムが行われる。(1)105℃まで5℃/分で勾配、(2)105℃で40分間等温、(3)200℃まで50℃/分で勾配、(4)250℃まで10℃/分で勾配。
分子量(Mw、Mn、Mz)及び多分散性指数(PDI)を、Baumberger et al.(2007)に見られる一般手順に従って、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定した。より具体的には、SEC分析を、Agilent屈折率(RI)及び紫外線(UV)検出器を備えるAgilent1260超HPLC上で、UVを280nmに設定して、実行した。カラムセットは、全てPolymer Standards Serviceから入手可能である、3つのスルホン化ポリスチレン−ジビニルベンゼンPSS MCXカラム(プレカラム、1000Åカラム、及び100 000Åカラム)を用いた。移動相はアルカリ性水溶液(0.1M NaOH)であり、流量は約0.4〜1mL/分であった。本方法は、891g/モル〜65,400g/モルの範囲の、6つの異なるポリスチレン標準を用いた。それぞれの注入は、約1mg/mLの濃度で行われた。
本実施例は、本発明のリグニンを抽出するために使用される技術を示す。
硬材を含むバイオマスを、水と混合しスラリーを形成した。スラリーを、約170〜245度の温度で、約35〜62バールの圧力で、約1〜120分間反応させた。反応混合物を100度未満まで冷却し、10バール未満まで減圧した。冷却及び減圧された反応混合物を、次いでフィルター圧迫を使用してろ過した。固体を採取し、水で再スラリー化した。スラリーの一部を次いで、ある組の条件に従ってさらに処理し(「実行1」)、スラリーの別の部分をその後、異なる組の条件に従ってさらに処理した(「実行2」)。
実行1において、スラリーを周囲条件で約230kg/時間〜約270kg/時間の速度でポンプでくみ上げ、同時に約360℃〜約600℃の温度及び約200バール〜約600バールの圧力を有する、亜臨界、近臨界、または超臨界水を、535kg/時間〜約570kg/時間の速度でスラリーと接触させた。
実行2において、スラリーを周囲条件で約160kg/時間〜約200kg/時間の速度でポンプでくみ上げ、同時に約360℃〜約600℃の温度及び約200バール〜約600バールの圧力を有する、亜臨界、近臨界、または超臨界水を、485kg/時間〜約505kg/時間の速度でスラリーと接触させた。
実行1及び2の両方において、結果として生じた反応混合物を周囲条件まで冷却し、混合物にフィルター圧縮を供し、固体を次いで空気乾燥及び粉砕した(サイズ縮小)。実行1及び2の固体の組成物を表1に報告する。
Figure 2016512285
実行1及び2からの乾燥及び粉砕固体を、その後4つの異なる抽出溶媒のうちのそれぞれを用いて抽出した。
1.水酸化ナトリウム水溶液(1重量%のNaOH)
2.ジオキサン/水溶液(96体積%のジオキサン)
3.ジオキサン/水溶液(90体積%のジオキサン)
4.アセトン/水溶液(90体積%のアセトン)
実行1及び2からの固体の抽出を、以下のとおり行った:アルカリ性溶液1については、固体を3時間絶え間なく攪拌し、水性有機溶液2〜4については、固体を徹底的に抽出した。全ての抽出は周囲条件(約1atmで約20℃)で行われ、固体の溶媒に対する比は約1〜10に一定に保たれた。抽出の後、結果として生じた混合物を遠心分離によって分離した。アルカリ性溶液1をpH約2まで酸性化してリグニンを沈殿させ、沈殿したリグニンを洗浄して酸を除去し、約45℃で真空下で一定重量まで乾燥した。水性有機溶媒2〜4によって抽出したリグニンは、真空化で約40度で溶媒を乾燥状態まで蒸発させることによって、回収した。
実験は、ジオキサン/水(90%)で抽出した試料が、典型的にジオキサン:水(96%)よりも高い抽出収率を有することを示し、したがってジオキサン/水(90%)溶媒を、表2に記載される結果を得るために使用した。抽出後の実行1及び2の固体の組成を表2に報告される。
Figure 2016512285
表1及び2で提示される特定化合物の合計は、総計100%にならないことに留意することが重要である。しかしながら、この現象は、多くのリグニン調製物にとって(天然のものにとってさえ)典型的であるが、典型的に科学文献において取り上げられない。1つの可能性のある説明は、Klasonリグニンの核磁気共鳴(NMR)スペクトル(図4及び5、実施例2を参照)が、湿式化学データに非常に類似する量で、糖以外のいかなる不純物も示さないために、Klasonリグニンの量がなぜか少なく見積もられることであり得る。したがって、我々は、少なくとも硬材種については、リグニンの純度を等式1に従って評価することを提案する。
リグニン純度=100−灰−炭水化物(等式1)
表3は、実行1及び2のリグニン抽出収率を例示する。抽出収率は次のように定義される。
Figure 2016512285
さらに表3に示されるのは、試料内に含まれるリグニンの量に基づく、リグニンの抽出収率である(「SHR中のリグニン当たり」として示される):
Figure 2016512285
Figure 2016512285
物質収支結果は、有機溶媒抽出の場合において固体について非常に良好な閉鎖を示す。抽出された物質の一部は酸性化によって沈殿しない可能性があるため、閉鎖は、NaOH抽出についてわずかにより低い。しかしながらこの量は多くない。さらに、リグニンについての物質収支は、リグニン純度が等式1によって見積もられる場合かなり良好でもある(物質収支は、Klasonリグニン値が抽出リグニン純度のために使用された場合、より低かった)。さらに、これは、NaOH溶液によって抽出されたが酸によって沈殿しなかった有機物質が、主に糖由来(例えば、未洗浄単量体及び/またはオリゴマー糖)であることを示す。
本実施例は、本発明のリグニンの核磁気共鳴スペクトル測定法を示す。この実施例は、本発明のリグニンを従来のリグニンと比較もする。
実施例1で調製されたジオキサン抽出リグニンを、2D H−13C HSQC NMRで分析し(図4)、実施例1の実行2のNaOH抽出リグニンを、定量13C NMR技術で測定した(図5)。二次元NMR(例えばHSQC)は、良好な信号分散を提供し、かつ、検出された信号の、他のNMR技術よりも信頼できる割り当てを可能にするので、複合リグニン試料内の様々なリグニン部分を特定するための、非常に強力な道具である。しかしながら、規定通りのHSQC方法は典型的に定量的でなく、従って、包括的なリグニン特性評価のために、定量13C NMR分析によって補足された。
ジオキサン及びNaOH抽出リグニンのHSQCスペクトルは、かなりの量の天然リグニンサブ単位の存在を示した(図4及び5)。湿式化学方法による糖分析に従い(例えば表2を参照)、抽出したリグニンにおける糖の量は非常に少なかった。注目すべきことに、末端還元糖部分の量は、内部糖単位の量と同等であった。糖断片は、おそらくベンジルエーテル結合によってリグニンに結合した。
重要なことに、ほんの少量のコニフェリルアルコール型構造、及び少量のまたは無ビニルエーテル構造(構造29、図1)が検出された。これらの部分は、モデル化合物を使用する実験(Ehara et al.(2002))に基づいて、超臨界水加水分解下のリグニン分解の生成物であると推測された。少量のコニフェリルアルコール構造及び少量または無ビニルエーテル構造は、これらの部分は、形成される場合、用いられる反応条件化で不安定であり得、さらなる転換を経験する可能性があり得るということを暗示する。
新しく形成されたリグニン部分の信号を、2Dスペクトルにおいて検出し、該信号を、現在既知である最良の情報に従って割り当てた。いくつかの信号は、凝縮アルキル−アリール構造及びスチルベン部分として割り当てられた。さらに、かなりの量の、酸素化脂肪族、オレフィン性、及び芳香族型の、新しく形成されたリグニン構造があった。これらの信号のうちのいくつかは元のバイオマス原料(例えば樹皮または他の木廃棄物)の不純物または他の成分に由来し得ることが考えられるが、信号は、得られたリグニンに由来し得る。全ての信号が全ての場合において決定的に割り当てられ得るわけではないが、抽出されたリグニンのHSQCスペクトル(図5)の、他の工業リグニンのスペクトル(Capanema et al.(2001))との比較は、注目すべき差異を示す。
表4は、他の典型的硬材工業リグニン(クラフト及びオルガノソルブ)ならびにカンバ材磨砕リグニン(MWL)との比較における、本発明のリグニンの主要な官能性を報告する。カンバ材MWLは天然硬材リグニンのモデルとして使用することができる。
Figure 2016512285
表4に示されるように、(1)脂肪族OH基(特に二次のもの)、β−O−4及びβ−β結合の量、ならびに酸素化脂肪族部分全体における減少(及び分子量における減少)、ならびに(2)フェノール性OH、COOR、及びCO官能基の量、飽和脂肪族部分、ならびに凝縮度(典型的に芳香族環におけるC−C結合の形成及び蓄積に起因する)の増加によって例示されるように、多くの技術プロセスが、天然リグニンの構造を著しく分解及び改変する。さらに、異なる硬材種から得られたクラフトリグニン内の顕著な構造的変形が観察され得る。したがって、工業リグニンの構造は典型的に、プロセスの種類だけでなく原料由来にも依存する。
本発明のリグニンは、他の工業リグニン(最も分解されない参照工業リグニンであるユーカリグロブルスクラフトリグニンでさえ)よりも、著しく分解されなかった。この分解のより低いレベルは、2D NMRデータに基づく本発明のリグニンと従来の工業リグニンとの間の質的差異と共に、本発明のリグニンが特別で固有の種類の工業リグニンであることを示す。より低いリグニン分解度、及びよってより低いリグニン不均一性は、典型的に、相対的に高いリグニン反応性を示唆する。実施例1の実行1及び2の固体(類似するが異なる処理条件)から抽出したリグニンの間の差異は、非常にわずかである。ジオキサン抽出リグニンは、NaOH抽出リグニンにかなり類似するが、90%アセトンで抽出したリグニンは、NaOH抽出リグニン及びジオキサン抽出リグニンよりも、分解されたリグニン画分を提示する。
本実施例は、様々な抽出溶媒を使用するリグニン抽出収率を実証する。抽出手順は実施例1において記載されるものに類似する。
実施例1の実行2の湿潤固体を、乾燥または粉砕を伴わず、水で洗浄し(「実行2湿潤」)、その後、図6に示される溶媒、すなわち水中の40%エタノール、水中の50%エタノール、水中の60%エタノール、水中の99%メタノール、水中の90%アセトン、及び水中の1重量%水酸化ナトリウム(別様が示されない限り全て体積%である)で、抽出した。
実行2の乾燥及びサイズ縮小未洗浄固体(「実行2乾燥」)を、図6に示される溶媒、すなわち、水中の70%エタノール、水中の90%アセトン、水中の1重量%水酸化ナトリウム、及び水中の90%ジオキサン(別様が示されない限り全て体積%である)で抽出した。
異なる溶媒抽出の収率を図6に報告する。
本実施例は、異なる溶媒を使用して抽出された本発明のリグニンの構造特性を例示する。抽出手順は実施例1において記載されるものに類似する。
表5は、異なる溶媒を使用して抽出される本発明のリグニンの主要な官能基を報告する。「NaOH」と題される縦列は、実施例1の実行2に対応し、表4で報告されるデータと比較してほとんど同じデータを報告する。
Figure 2016512285
工業リグニンは、NMRスペクトルにおいて顕著な量の炭水化物を含む場合があり、これらの信号は、ある特定の官能基(例えば、様々な型のOH部分及び酸素化脂肪族部分)についての信号と、多少重複し得る。したがって、この糖含量について修正することが望ましいことがある。非アセチル化リグニンのスペクトルでは、糖信号は、S−2,6の強い信号と部分的に重複する。しかしながら、アセチル化の後、炭水化物のC−1信号は高磁場にシフトされ、リグニン信号から分離することができる。糖の総量は、アセチル化リグニンの13C NMRスペクトルにおける約99〜102ppmでの積分から見積もることができる。これらの値は、湿式化学方法を使用して糖分析によって得られる値とかなり良好に一致する。糖含量についての修正は以下の通りなされ得る。
OH一次修正=OH一次−糖×%ヘキソース/100
OH二次修正=OH二次−2糖
酸素化脂肪族=I(90〜58)修正=I(90〜58)−糖×(4%Xyl+5%ヘキソース)/100
式中、「OH一次修正」は糖含量について修正された一次脂肪族OH基の量であり、「OH一次」は糖含量について修正されていない一次脂肪族OH基の量であり、「糖」は100Ar当たりのリグニン試料内の糖の量であり、「%ヘキソース」は総糖含量当たりの糖中のヘキソースの割合であり、「%Xyl」は総糖含量当たりの糖中のキシランの割合であり、「OH二次修正」は糖含量について修正された二次脂肪族OH基の量であり、「OH二次」は糖含量について修正されていない二次脂肪族OH基の量であり、「酸素化脂肪族」はリグニン中の酸素化脂肪族炭素の量であり、「I(90〜58)修正」は糖含量について修正された約90〜58ppmでの積分であり、「I(90〜58)」は糖含量について修正されていない90〜58ppmでの積分である。
本実施例は、比較リグニンの核磁気共鳴スペクトル測定法を示す。
表6及び7は、比較リグニン中に存在する様々な部分の量を報告する。ある特定のデータは、表6及び7で示される出版物から得られた。Curanリグニン及びソーダバガスリグニンは、スイス、ローザンヌに本部があるInternational Lignin Institute(ILI)から得、アルカリ性リグニンはSigma−Aldrichから購入した。NMR測定は、本明細書に開示される実験技術を使用して、Curan、ソーダバガス、及びアルカリ性リグニン上で行われた。
Figure 2016512285
Figure 2016512285
本実施例は、発明及び比較リグニンに熱分解を供し、続いて結果として生じた化合物をGC/MSによって分析することから得られたデータを示す。
GCクロマトグラムにおける全ての積分されたピークについてのピーク面積の合計は、100%に正規化された。それぞれの個々の積分されたピークに帰属する総面積の割合を、表8及び9に報告する。表8はGC/MSによる特定化合物についてのデータを報告し、表9は未特定化合物についての主イオンを報告する。値はパーセント単位である。表8及び9におけるリグニンは、次のように短縮される:RT−GCクロマトグラムにおける保持時間;実行2−実施例1における実行2のNaOH抽出リグニン;AKL−アスペンクラフトリグニン;ASL−アスペンソーダリグニン;SE−水蒸気爆発リグニン(ILIから);LS−リグニンスルホン酸(Sigma/Aldrich);PSL−マツソーダリグニン;RAHL−Russian Industrial Acid Hydrolysisリグニン。標準偏差は、全てのリグニン型をわたる、それぞれの特定化合物または未特定化合物の、報告値についての平均標準偏差である。
Figure 2016512285
Figure 2016512285
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Figure 2016512285
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本実施例は、発明リグニン及び2つの比較リグニンについての2D H−13C HSQC NMRスペクトルの間の差異を実証する。
AKLはアスペンクラフトリグニンであり、Alcellはオルガノソルブ型リグニン(混合硬材)である。実行2は、実施例1の実行2のNaOH抽出リグニンである。NMR測定は、本明細書に記載される実験手順に従って行われた。2D NMRスペクトルを、図7〜18に示す。図7、10、13、及び16は、発明実行2リグニンについての2D NMRスペクトルの、(a)芳香族及びオレフィン領域、(b)酸素化脂肪族領域、(c)飽和脂肪族領域、及び(d)アルデヒド領域、をそれぞれ例示する。図8、11、14、及び17は、Alcell比較リグニンについての、これらの同じ領域をそれぞれ例示する。図9、12、15、及び18は、AKL比較リグニンについての、これらの同じ領域をそれぞれ例示する。発明及び比較リグニンについての2D NMRスペクトルにおけるある特定の化学シフト領域(すなわち座標)での信号(例えば交差ピーク)の存在(+)または不在(−)は、表10に示される。
Figure 2016512285
Figure 2016512285
Figure 2016512285
この表は、本発明の「実行2」リグニンならびに比較Alcell及びAKLリグニンの2D NMRスペクトルの間の多くの差異を明確に示す。例えば、本発明のリグニンは、13C次元における106.9〜107.45ppm及びH次元(+)における5.74〜5.84ppmの座標によって画定される化学シフトにおいて、2D NMRスペクトルにおける交差ピーク信号を有し、一方で2つの比較リグニンはこの化学シフト領域においてあらゆる信号を有しない(−)。さらに、本発明のリグニンは、13C次元における105.25〜106ppm及びH次元における5.25〜5.4ppm、ならびに13C次元における127.2〜127.7ppm及びH次元における5.27〜5.37ppmの座標によって画定される化学シフト領域の両方において、2D NMRスペクトルにおける交差ピークを有し、一方で比較リグニンは両方ともこれらの2つの化学シフト領域の両方における交差ピークを有しない。
本明細書において、分子量等の物理的特性、または化学式等の化学特性について範囲が使用される場合、本明細書内の実施形態に特定の範囲の、全ての組み合わせ及び部分的組み合わせが、含まれることが意図されかつ含まれる。
本書面に列挙または記載される、それぞれの特許、特許出願、及び出版物の開示は、ここで、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
当業者は、本発明の好ましい実施形態に多数の変更及び修正がなされ得ること、及びかかる変更及び修正は本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。
参照文献一覧
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(10)Liitia,T.M.et al.(2003)J.Agric Food Chem.51:2136−2143,“Analysis of technical lignins by two− and three−dimensional NMR spectroscopy”ここで参照によりその全体が組み込まれる。
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(21)Capanema,E.A.;Jameel,H.et al.(2005)Proc.13th ISWFPC,Auckland,New Zealand,v.III,57−64.“Isolation and characterization of residual lignins from hardwood pulps:Method improvements”ここで参照によりその全体が組み込まれる。
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(23)Capanema,E.C.,et al.(2001)Holzforschung55:3,302−308,“Structural Analysis of Residual and Technical Lignins by H−13C Correlation 2D NMR−Spectroscopy”ここで参照によりその全体が組み込まれる。
(24)Berlin,A.;Balakshin M.(2014),pp.315−336,“Industrial lignins:Analysis,properties and applications”in Bioenergy Research:Advances and Applications.Ed.Gupta V.K.;Kubicek,C.P.;Saddler,J.;Xu,F.;Tuohy,M.Elsevier,ここで参照によりその全体が組み込まれる。
(25)Capanema,E.A.et al.(2004)J.Agric.Food Chem.,52,1850−1860.“A comprehensive approach for quantitative lignin characterization by NMR spectroscopy”ここで参照によりその全体が組み込まれる。
(26)Capanema,E.A.;Kadla,J.F.et al.(2005)J.Agric.Food Chem.53,9639−9649“Quantitative Characterization of a Hardwood Milled Wood Lignin by NMR Spectroscopy”ここで参照によりその全体が組み込まれる。
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(28)Adler,E.et al.(1987),Holzforschung,41,199−207,“Investigation of the acidcatalyzed alkylation of lignin by means of NMR spectroscopic methods”ここで参照によりその全体が組み込まれる。
(29)Baumberger,S.et al.(2007),Holzforschung,61,459−468,“Molar mass determination of lignins by size−exclusion chromatography:towards standardisation of the method”参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (21)

  1. 100芳香族単位当たり約122単位以下のメトキシル含量と、
    100芳香族単位当たり約116単位以上の酸素化脂肪族含量と、を含む、工業リグニン。
  2. 100芳香族単位当たり約128単位以下のメトキシル含量と、
    100芳香族単位当たり約10単位〜約26単位のβ−O−4含量と、を含む、工業リグニン。
  3. 100芳香族単位当たり約100〜約128単位のメトキシル含量と、
    100芳香族単位当たり約10単位以上のβ−O−4含量と、を含む、工業リグニン。
  4. 100芳香族単位当たり約116単位以上の酸素化脂肪族含量と、
    100芳香族単位当たり約68単位以上のフェノール性ヒドロキシル含量と、を含む、工業リグニン。
  5. 100芳香族単位当たり約95単位〜約150単位の酸素化脂肪族含量と、
    100芳香族単位当たり約66単位以下のフェノール性ヒドロキシル含量と、を含む、工業リグニン。
  6. 前記工業リグニンが硬材バイオマスに由来する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  7. 前記工業リグニンが、軟材バイオマス、一年生繊維、都市固形廃棄物、農業残渣、製造廃棄物、及びそれらの任意の組み合わせから選択されるバイオマスに由来する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  8. 100芳香族単位当たり約122単位以下のメトキシル含量と、
    100芳香族単位当たり約95単位以上の酸素化脂肪族含量と、を含み、
    硬材バイオマスに由来する、工業リグニン。
  9. 100芳香族単位当たり約116単位以下のメトキシル含量と、
    100芳香族単位当たり約150単位以下の酸素化脂肪族含量と、を含み、
    硬材バイオマスに由来する、工業リグニン。
  10. 100芳香族単位当たり約128単位以下のメトキシル含量と、
    100芳香族単位当たり約10単位以上のβ−O−4含量と、を含み、
    硬材バイオマスに由来する、工業リグニン。
  11. 100芳香族単位当たり約120単位以下の酸素化脂肪族含量と、
    100芳香族単位当たり約70単位以下のフェノール性ヒドロキシル含量と、を含み、
    硬材バイオマスに由来する、工業リグニン。
  12. 図4に示される交差ピークを含むH−13C HSQC NMRスペクトルを有する、工業リグニン。
  13. 図5に示されるスペクトルを含む13C NMRスペクトルを有する、工業リグニン。
  14. 約30以上の凝縮度をさらに含む、請求項1〜5及び8〜13のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  15. 約1以上のシリンギルのグアイシルに対する比をさらに含む、請求項1〜5及び8〜13のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  16. 約1.5以下のシリンギルのグアイシルに対する比をさらに含む、請求項1〜5及び8〜13のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  17. 100芳香族単位当たり約30単位以上のフェノール性ヒドロキシル含量をさらに含む、請求項1〜5及び8〜13のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  18. 100芳香族単位当たり約70単位以下の脂肪族ヒドロキシル含量をさらに含む、請求項1〜5及び8〜13のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  19. 100芳香族単位当たり約5以上の総COOR含量をさらに含む、請求項1〜5及び8〜13のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  20. 100芳香族単位当たり約10以上の総カルボニル含量をさらに含む、請求項1〜5及び8〜13のいずれか一項に記載の前記工業リグニン。
  21. 請求項1〜20のうちの少なくとも2つの任意の組み合わせを含む、工業リグニン。
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