JP2016502847A - たばこの煙中に存在している毒性及び発癌性化合物を低減するための添加剤としてのアルミノシリケートsab−15 - Google Patents

たばこの煙中に存在している毒性及び発癌性化合物を低減するための添加剤としてのアルミノシリケートsab−15 Download PDF

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Abstract

本発明は、Fe、Na、K、Ca、Ce、Zr;Fe、Na、K、Ca、Ce、Zrの酸化物;及びそれらの混合物で交換した、アルミノシリケートSAB−15又はその酸性若しくはナトリウム型の、たばこ煙中に存在している毒性及び発癌性物質を減少させるための使用に関する。

Description

発明の分野
本発明は、たばこ煙中に存在している毒性及び発癌性化合物を低減するための添加剤としてのアルミノシリケート、特にはSAB−15の使用に関する。
最新技術
喫煙の習慣は、過去から現在まで、ヒトの健康に対して非常に良くない結果を伴う世界的な問題である。それは公衆衛生省庁にとって非常に重大である。たばこ及びそれを燃焼させた時に生じる煙の中には4000を超える様々な化合物が特定されており(R.R. Baker, Progress in Energy and Combustion Science, 32 (2006), 373)、それらの中で少なくとも60は毒性及び発癌性として認識されている。これら化合物は、タール、一酸化炭素及び二酸化炭素、アセトアデヒド、フェノール類、アセトン、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トルエン並びにニコチンを含んでいる。ニコチンは、たばこ中に存在している主な中毒性の成分であり、人体においてコチニンと呼ばれるメタボライトへと転化され、たばこ煙への暴露の程度を測定するための指標として使用される。
シガレットを喫煙するプロセスは、2つのタイプの煙の流れ、所謂、主流及び副流の発生を引き起こす。主流は、たばこを燃焼させた時に生じ、シガレット中に着火端から流れ込みフィルタ端から流出する。
特許文献EP2092838は、或るゼオライトと他のアルミノシリケートとメソ孔質の固体とを、異なる形態で及び様々な組成で、粉末の形態のたばこに添加及び混合し、どのようなタイプの特別な技術又は添加剤をも使用する必要なしに、喫煙時に生じ、たばこ主流煙及び副流煙中に見出される毒性及び/又は発がん性化合物の量を劇的に低減するたばこ添加剤として使用することを記載している。
特許出願US2005133052は、アミノアルキルシリル基で修飾されたメソ孔質アルミノシリケートモレキュラシーブを、特定の化合物を保持するべく、フィルタにおいて使用することを記載している。
特許出願US20050133051は、吸着剤として活性炭及びゼオライト粒子を含有した多孔質アルミナ又はアルミノシリケートマトリックスから形成された材料を含んだフィルタを、たばこ煙から特定の化合物を選択的に除去するべく使用することを提案している。
特許出願WO2004110183 A2は、触媒が分散した多孔質アルミノシリケートマトリックスを含んだフィルタを、たばこ煙中のCOをCOへ転化させる目的で使用することを記載している。
特許出願WO2004086888は、煙流から成分を選択的に除去することが可能な少なくとも2つの多孔質モノリシック吸着剤セグメントと、それらの間の混合セグメントとを含んだフィルタを記載している。
特許出願CN102242527は、たばこ煙中の毒性物質の含有量を低減させ得る、マイクロカプセル化した吸着剤を含有したシガレットペーパの使用を提案している。使用される各種吸着材料は、とりわけ、Cu、Mn、Zn、Fe、Al、Tiなどの1以上の酸化物、及び、それら酸化物が、ゼオライト、MCM−48又はSBA−15によって担持された複合材料を含んでいる。
Zhuら(Zhou, F.N. Gu, L. Gao, J.Y. Yang, W.G. Lin, J., Yang, Y.,Wang, J. H. Zhu, Catalysis Today, 166(1), (2011), 39及びZhou, Gao, Gu, Yang, Yang, Wei, Wang and Zhu, Weinheiman der Bergstrasse, Germany, 15(27), (2009), 6748)は、SBA−15を、たばこ煙中におけるたばこ特異的ニトロソアミン(TSNA)の濃度を選択的に低減させるために使用することを記載しているが、これら文献は、SBA−15の合成、キャラクタリゼーション、吸着及び触媒活性に焦点を当てており、モフォロジー制御によって、環境用途での吸着剤/触媒としてのその効率を高めることを可能とする新規な道筋を調査している。
特許出願WO2011015861は、たばこ煙からフェノールを除去することが可能な吸着材料を含有したフィルタの使用を提案している。この材料は、親水性有機プロトンドナー又はアクセプタ物質である吸着促進剤を含有した多孔質固体(ミクロ又はメソ孔を有する)によって形成されている。
特許出願CN101433818は、たばこ主流煙中の粒子状物質、タール、フェノール及びニトロソアミン類を吸着するための、SBA−15のみからなるメソ孔質材料の使用をクレームしている。
特許出願US2006130855−A1及びUS2005133047−A1は、SBA−15系物質を使用する可能性を明示的に言及している。
酸性及びナトリウム型のゼオライトベータを使用した場合のタール又はニコチンの発生について特許文献EP0740907に記載された結果は、添加剤なしで喫煙した参照シガレットに対する最小の差異を明確に示している。
添加剤のたばこ刻みへの混和を促進し、更に改善し得る様々なタイプの機器、例えば、スピードミキサ又はオービタルミキサ、流動床及び噴流床、とりわけ、たばこ繊維に付着しない添加剤を分離し再循環させるための篩が、シガレットの製造に使用され得る。
発明の簡単な説明
それ故、第1側面では、本発明は、たばこ主流煙及び副流煙の双方のたばこ煙中に存在している毒性及び発癌性物質、特には、タール、一酸化炭素及びニコチン、並びに、喫煙プロセスにおいてたばこを燃焼させたときに発生する液体及び気体の成分を低減するための添加剤としての、Fe、Na、K、Ca、Ce、Zr;Fe、Na、K、Ca、Ce、Zrの酸化物;及びそれらの混合物で交換した、アルミノシリケートSAB−15又はその酸性若しくはナトリウム型に関する。
本発明の更に特定の側面では、アルミノシリケートSAB−15は、球状のモフォロジック形状(morphological shape)、管状のモフォロジック形状若しくは棒状の形状、又は、攪拌又は静置下及び異なる温度での還流下にある加圧オートクレーブ中で、アルミニウムをその構造中へと組み入れ、そこで、それを、金属:Fe、Na、K、Ca、Ce、Zrのカチオンと交換することによって得られる、各種合成プロセス及び程度が異なる酸性度によって得られる他のあらゆる形状を有する。
本発明の更に特定の側面では、アルミノシリケートSAB−15は、4乃至10nmの細孔径と、2.2cm/gを超えるメソ孔容積(メソ孔容積はより小さくてもよい)とを有する。
第2側面では、本発明は、乾燥たばこと、添加剤としての、Fe、Na、K、Ca、Ce、Zr;Fe、Na、K、Ca、Ce、Zrの酸化物;及びそれらの混合物で交換した、アルミノシリケートSAB−15又はその酸性若しくはナトリウム型とを含んでいるが、接着剤を含んでいない混合物に関する。乾燥たばこは、ブライトたばこ、ダークたばこ、ファインカットたばこ、ロール・ユア・オウンたばこ、パイプたばこ、及び喫煙可能な他のあらゆるタイプのたばこを指している。
本発明では、薬剤としての接着剤は、たばこ、又は、それに組み入れられる物質、例えば、ガーゴム、アルギネート、若しくは類似の特徴を有している他の化合物に結合又は接着する能力を有している化合物を指している。
本発明の更に特定の側面では、添加剤は、乾燥たばこに対して0.5乃至10重量%の濃度であり、他の更に特定の側面では、添加剤は、乾燥たばこに対して2乃至7重量%の濃度である。
図1は、繊維状SBA−15のSEM像(A)と球状SBA−15のSEM像(B)とを示している。 図2は、異なる方法で合成したSBA−15材料について得られたN吸着等温線を示している。
実施形態及び実施例の詳細な説明
例1:異なる材料を合成する方法
SBA−15を以下の方法に従って合成した。先ず、プルロニックP123の酸性溶媒溶液を調製し、それに、或る量のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を添加した。得られた溶液を、攪拌下、38℃で20時間に亘ってエージングした。次いで、それを、テフロン(登録商標)製のライナーを備えたオートクレーブへと移し、100℃に24時間維持した。得られたサスペンションを水で洗浄し、100℃で一晩乾燥させ、最後に、550℃で5時間に亘って焼成した(F. Zhang, Y. Yan, H. Yang, Y. Meng, C. Yu, B. Tu, D. Zhao, Journal of Physical Chemistry B.109 (18), (2005), 8723)。
SBA−15球状を、以下の条件下で得た。或る量のプルロニックP123をHClに溶解させた。CTABrと水とを含んだ第2のサスペンションを調製し、これを第1のサスペンションに添加した。次に、少量のエタノールを添加し、次いで、TEOSを添加した。得られた溶液を、35℃で45分間に亘ってエージングした。次いで、それを、テフロン(登録商標)製のライナーを備えたオートクレーブへと移し、75℃で数時間維持し、最後に105℃で処理した。得られたサスペンションを水で洗浄し、100℃で一晩乾燥させ、最後に、550℃で5時間に亘って焼成した(A. Katiyar, S. Yadav, PG. Smirniotis, NG. Pinto, Journal of Chromatography A, 1122 (1-2), (2006), 13)。
SBA−15還流材料を、最終工程において、得られたサスペンションを収容し、還流凝縮器に接続された100℃のフラスコを使用したこと以外は、SBA−15と同様の条件下で得た。得られた固体を水で洗浄し、100℃で一晩乾燥させ、最後に、550℃で焼成した。
SBA−15材料(125℃)を、プロセスの最終温度に亘って維持する温度を100℃とする代わりに125℃としたこと以外は、SBA−15と同様に調製した。
AISBA−15材料を、1(TEOS):0.02(Al):0.016(P123):0.46(HCl):190(HO)のモル組成を有するゲルを用い、Vinu A., Hartmann M., Devassy B.M., Halligudi S.B., Bohlmann W., Applied Catalysis A: General, 281, (2005), 207が記載する方法に従って調製した。
Na−AISBA−15材料を、AISBA−15材料からのイオン交換によって調製した。ここでは、1gの材料を1MのNaCl溶液とともに24時間に亘って攪拌した。得られた材料を濾過し、水で洗浄し、100℃のオーブン中で乾燥させた。
FeNa−AISBA−15材料を、Na−AISBA−15からのイオン交換によって調製した。ここでは、1リットルの蒸留水中に、1.26gのFe(NO)9HOと4.5のNa−AISBA−15とを添加した。得られた溶液を、24時間に亘って攪拌し、次いで、濾過し、水で洗浄し、100℃のオーブン中で乾燥させた。
表1は、異なる合成条件下で調製したか又は合成後の修飾に供したSBA−15に対応した、この出願において検討している添加剤の代表例としての幾つかについて、化学的及び構造的特徴を示している。図2は、77Kでの対応するN吸着等温線を示している。
Figure 2016502847
本発明において提案している添加剤の役割を示す目的で、以下のシガレット:
a)ケンタッキー大学からの参照用の市販のシガレット3R4F、及び
b)添加剤を組み入れたシガレット
を、以下の操作変数に従って運転される喫煙マシンを用いて喫煙した。
シガレットの喫煙条件及び生じた生成物の分析を以下に詳細に示す。
・15本のシガレットを、以下のISO3308標準規格(2秒吸引、35mLの吸入体積、60秒の吸入頻度、及び300Pa未満の吸入圧損失)に従って喫煙した。
・喫煙前に、シガレットを室温及び60%の相対湿度条件下におき、それらを、飽和硝酸ナトリウム溶液が提供された乾燥機中に少なくとも48時間保持した。
・喫煙プロセスの間、CO、CO、及び他の非凝縮性生成物を含んだ煙は、シガレットフィルタと、ガス捕集バッグの前段に位置したトラップ(ガラスファイバフィルタ)とに通過させた。これら非凝縮性生成物はテドラー(登録商標)ガスバッグ中に捕集し、これをガスクロマトグラフィ(GC)による次の分析のために保管し、凝縮性生成物はフィルタ及び次のトラップ中に捕集し、そこに、喫煙者が直接吸入するこれら凝縮性生成物を留めさせた。
・フィルタの前段に位置したトラップに留めさせた凝縮性生成物は2−プロパノール抽出し、トラップ中に留めさせた全ての化合物を確実に回収した。次に、抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、GCによる次の分析のために保管した。
・非凝縮性画分のCO及びCO含有量は、熱伝導度検出器を用いたGC(GC−TCD)と、O、N及びCHの分析にも使用したCTRI同心カラムとにより、SHIMADZU社製GC−14A装置において、外部標準による較正を用いて測定した。これら化合物のレスポンスファクタ(化合物のグラム/ピーク面積)を、異なる注入体積(0.5乃至2.5mL)の、対応する標準(一酸化炭素、二酸化炭素、水素、メタン及び酸素)によって計算することにより、定量化を行った。
・分析条件は、
キャリアガス:He
注入温度:28℃
検出温度:110℃
注入体積:2.5mL
一定カラム流量:40mL/分
オーブン温度プログラム:110℃で等温
分析時間:20分間
であった。
・非凝縮性化合物の残りは、水素炎イオン化検出器を備えたGC(GC−FID)により、GAS−PROカラムを用い、以下の条件で分析した。
注入器温度:150℃
検出器温度:210℃
キャリアガス:ヘリウム
注入したサンプルの体積:150μL
一定カラム流量:2mL/分
オーブン温度プログラム:
10分間は35℃の初期カラム温度
5℃/分の勾配で100℃まで加熱
15℃/分の勾配で200℃まで加熱
最後の時間:10分間
・凝縮性化合物(シガレットフィルタ及び煙トラップから2−プロパノールで抽出した)を、質量分析法を用いた検出器を有するGC(GC−MS)により、HP−5MSカラム及び以下の条件を用いて分析した。
注入器温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム
注入したサンプルの体積:1μL
一定カラム流量:2mL/分
オーブン温度プログラム:
5分間は40℃の初期カラム温度
12℃/分の勾配で320℃まで加熱
最後の時間:25分間
異なる濃度(5乃至300ppm)のニコチン標準を、たばこ煙の凝縮相中に存在する化合物を定量するために調製した。それらを装置中に注入し、対応するレスポンスファクタの値を、注入した化合物の量対ピーク面積を表すグラフから得られる直線の傾きから得た。ニコチンは主な化合物であるので、ニコチンについて得られたレスポンスファクタを、分析するの頃の化合物に対して使用した。ガスについて同様の方法で定量化を実行し、そこでは、対応するレスポンスファクタを利用できない場合には、平均レスポンスファクタを使用した。
シガレット製造条件
全ての試験を実行するうえで、数滴のエタノールを補助的に用いてたばこ繊維を触媒と手で混合したシガレットを製造した。この操作は、最初に計量した触媒の量に対応した、公称混合物における触媒のパーセンテージと、サンプルによって保持された実際のパーセンテージとが得られるように、たばこに付着しなかった触媒を分離することを可能とする篩上で行った。たばこと触媒とを混合するプロセスにおいて補助的に使用し得る、エタノール以外の薬剤は、たばこ試料中に一般に存在し、比較的容易に蒸発する、水、グリセリン、及び他の類似の化合物である。それにも拘らず、混合は、これら物質の何れも使用する必要なしに十分に実行できる。
ここに示した添加剤を使用して達成することが可能な結果を例示可能とする幾つかのサンプルに対応した特徴を以下に示す。各タイプの添加剤の公称パーセンテージを示す。使用したたばこは、参照シガレット及び添加剤を有する各種混合物の双方において、ケンタッキー大学から入手した参照たばこ3R4Fであった。
実施試験用のたばこ−添加剤混合物
全ての場合で、4〜6重量%の公称パーセンテージの添加剤を使用した。シガレットは、「シガレット製造条件」に記載した方法を用い、以下に示す添加剤を使用して製造した。表2は、実施した各種試験において作成した混合物を示している。
Figure 2016502847
表3、4、5及び6は、シガレット製造条件、喫煙条件、及び生じた生成物の分析条件を用いてシガレットを喫煙したときに得られた結果と、各種たばこ−添加剤混合物に対応した例とを示している。以下について得られた値は、
・CO及びCOについては、化合物のmg/シガレットを示し、
・幾つかの毒性生成物の量については、化合物のmg/シガレットを示し、
・全粒子状物質(TPM)については、
Figure 2016502847
として計算され、ここで、mは、フィルタの前段に位置したトラップの喫煙前におけるmgで表した質量であり、mは、フィルタの前段に位置したトラップのq本のシガレットを喫煙した後におけるmgで表した質量である、化合物のmg/シガレットを示している。
Figure 2016502847
Figure 2016502847
Figure 2016502847
Figure 2016502847
Figure 2016502847
表3乃至6は、一般には、上記の割合でたばこと混合した、提示した添加剤は、たばこ煙中の殆どの毒性化合物の量を顕著に減少させたことを明確に示している。この減少は、ひいては、たばこの官能的性質、味及びコンシステンシーに顕著な変化を生じさせることなしに、並びに、他の不所望な化合物の明らかな発生なしに、たばこ煙が喫煙者に及ぼす潜在的な負の影響を必然的に低減させる。他方、毒性化合物が低減されるだけでなく、シガレットを喫煙したときに生じるガス及び液体の合計量(全粒子状物質TPM+フィルタに保持された液体)も一般には顕著に減少し、これに対し、固体残留物及び灰は増加する。シガレットを喫煙するプロセスを終了したとき、添加剤は、灰又は喫煙していないたばこ中に保持されていた。
表3は、上述した混合物を用いて製造したシガレットを喫煙したときに、CO及びCOについて得られた発生量を示している。ここに見られるように、ほぼ全ての検討している材料の結果として、たばこ主流煙中に存在しているCOの量が減少している。以下に見られるように、これらの減少は、SBA−15と称される添加剤を6及び8%の公称割合で使用するときに特に興味深い。SBA−15球状、並びに125℃でのSBA−15球状及びSBA−15材料も、COの顕著な減少を提供している。これは、COは市販のシガレットに適用され得る法によって規制される物質の1つであるため特に興味深い。残りの添加剤も、唯一、僅かな増加を生じたFeNa−SBA−15を除き、より少ないが、COの減少を提供している。検討した全ての場合でCOの減少が得られることも見て取れる。表4に示す結果は、提示した添加剤を用いた結果として、全粒子状物質(TPM)の顕著な減少を示していることを指摘しなければならない。これら減少は、SBA−15の場合の最大値66%乃至AISBA−15(オートクレーブ)に対応した最低の場合の最小減少52%に及ぶ。また、これは、TPMはシガレットを喫煙したときに発生するタールと密接に関連しており、タールは他の規制物質であるので、これら材料の重要な特徴である。事実、タールの量は、喫煙時に発生する毒性及び有害な物質の量の、それら全ての全体としての良好な測定を提供すると考えられている。それ故、これら添加剤が前記毒性物質の生成を低減させる能力は、非常に重要である。
表5は、例として、たばこ煙中における幾つかの毒性及び発癌性化合物の生成について得られた結果を示している。ここに見られるように、全ての添加剤が、参照シガレットに対して、プロピオンアルデヒドの低減を提供した。唯一、僅かな増加を生じたNaFe−SBA−15材料を除き、トルエンの場合に興味深い減少が観察された。ベンゼン及びアセトアルデヒドについて、同様の考察がなされ得る。僅かな増加を生じたSBA−15球状及び125℃でのSBA−15球状を除く全ての場合で、ベンゼンについて減少が観察されている。アセトアルデヒドの場合、参照シガレットに対する減少を生じている唯一の添加剤はSBA−15である。それ故、SBA−15材料のサンプルは、たばこ主流煙の毒性を低減させるための添加剤として応用するという観点で優れた挙動を有していると結論付けることができる。というのは、それは、CO及びTPMの発生を低減するのに加え、分析した毒性化合物の全てを個々に低減するからである。
表6は、参照たばこの場合にたばこ煙中に存在している他の化合物について、検討している4つの添加剤を用いて得られた結果を示している。SBA−15サンプルが示す優れた挙動を再度確認することができ、その減少は、フェノールについての95%乃至ニコチンについての39%に及んでいる。SBA−15球状材料も、検討している7つの化合物の減少を生じさせたが、これに対し、FeNa−SBA−15は、ベンズアルデヒドを除く前記化合物の全ての増加を生じさせた。
上述した全ての混合物は、スピードミキサ、流動床又は噴流床、及び、タバコ繊維と添加剤との混合に有利な他のあらゆるタイプの装置を用いて製造することもできる。篩も、たばこ繊維に付着していない添加剤を分離及び再循環するのに使用することができる。他方、たばこ−添加剤混合物を喫煙者自身が手作業で製造しなければならない、他の従来の各種シガレット製造については、適当な量の触媒を提供するディスペンサを、ブライトたばこ、ダークたばこ、ファインカットたばこ、ロール・ユア・オウンたばこ、パイプたばこ、及び喫煙可能な他のあらゆるタイプのたばこの製造に使用することができる。このディスペンサは、各キャビティが選ばれた量(たばこに対して0.5乃至7%が得られるように、約1gのたばこに対する割合で通常消費される5乃至70mg)を収容したブリスタ、個々が前記量を収容したカプセル、目盛り付き(calibrated or graduated)スプーンを含んだ容器、又は他のあらゆる目盛り付きディスペンサで構成することができる。レディ・トゥ・スモーク製品(MYO、RYO、パイプ又は他の形態)を製造するには、目盛り付きディスペンサの内容物をタバコフィルタ上へと注ぎ、手作業で注意深く混合する。この方法は、表3乃至6に示すのと同等の優れた結果を保証する。
添加剤濃度が異なるたばこ−添加剤混合物
全ての場合で、使用した添加剤はSBA−15であった。触媒の質量パーセンテージを示す。シガレットは、「シガレット製造条件」に記載した方法を用い、4.6及び8%の公称濃度(質量パーセンテージ)を用いて製造した。
添加剤濃度が異なるたばこ−添加剤混合物に対応して得られた結果
添加剤濃度が添加剤−たばこ混合物に及ぼす影響も検討した。そのために、触媒の公称パーセンテージが4乃至8%の混合物を、上述した方法を用いて製造した。例として、表7及び8は、添加剤としてSBA−15を用いた場合に得られた結果を示している。ここに見られるように、最良の結果は、添加剤を最大濃度で使用したときに達成され、優れた結果は、毒性化合物の所望の減少に応じて調整可能であり、中間の濃度を有している混合物において得られている。
Figure 2016502847
Figure 2016502847
Figure 2016502847
Figure 2016502847
この観点から、SBA−15を8%の公称濃度で使用することは特に興味深く、これは、以下の減少:42%のCO、90%のTPM、51%のプロピオンアルデヒド、62%のトルエン、58%のベンゼン、53%のアセトアルデヒド、83%のニコチン、66%のベンゼンアルデヒド、及び他の化合物の事実上の消失を生じさせることを指摘しなければならない。

Claims (6)

  1. Fe、Na、K、Ca、Ce、Zr;Fe、Na、K、Ca、Ce、Zrの酸化物;及びそれらの混合物で交換した、アルミノシリケートSAB−15又はその酸性若しくはナトリウム型の、たばこ煙中に存在している毒性及び発癌性物質を減少させるための使用。
  2. 前記アルミノシリケートSAB−15は、球状のモフォロジカル形状、管状のモフォロジカル形状、又は棒状の形状を有している請求項1に記載の使用。
  3. 前記アルミノシリケートSAB−15は、4〜10nmの細孔径と、好ましくは2.2cm/gを超えるメソ孔容積とを有している請求項1又は2に記載の使用。
  4. 乾燥たばこと、添加剤としての、Fe、Na、K、Ca、Ce、Zr;Fe、Na、K、Ca、Ce、Zrの酸化物;及びそれらの混合物で交換した、アルミノシリケートSAB−15又はその酸性若しくはナトリウム型とを含んでいるが、接着剤を含んでいない混合物。
  5. 前記添加剤は、前記乾燥たばこに対して0.5〜10重量%の濃度である請求項4に記載の混合物。
  6. 前記添加剤は、前記乾燥たばこに対して2〜7重量%の濃度である請求項4に記載の混合物。
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