JP2016218880A - 経路算出装置、経路算出プログラムおよび経路算出方法 - Google Patents

経路算出装置、経路算出プログラムおよび経路算出方法 Download PDF

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Abstract

【構成】 移動体10は経路算出装置としても機能するコンピュータ12を含み、移動体はコンピュータの指示に従って環境内を自動走行する。具体的には、コンピュータにスタート位置とゴール位置が入力されると、経験的に得た安心感のレベル、および移動体からの見通し(可視率のレベル)を各セルに割り当てた上記の環境についてのグリッドマップを参照して、移動距離が短い、安心感のレベルが高い、かつ可視率のレベルが高い経路が算出される。【効果】 移動距離が短く、直線通路において安心かつ安全な領域を走行し、かつ曲がり角または交差点等、見通しの悪い場所においても安心かつ安全な領域を走行する経路を算出できる。【選択図】 図1

Description

この発明は経路算出装置、経路算出プログラムおよび経路算出方法に関し、特にたとえば、自動走行する移動体の移動経路を算出する、経路算出装置、経路算出プログラムおよび経路算出方法に関する。
この発明の背景技術の一例が特許文献1に開示される。この特許文献1の自律移動のための経路生成装置では、始点終点ノードの選択、アルゴリズムA*による両ノード間の経路の探索、および始点終点ノードの見直しによって走行コスト最小の経路が生成される。
特開2005−50105[G05D 1/02, G05B 13/02]
しかし、この背景技術では、単に走行コストが最小になるように経路を生成するだけであり、経路を生成する段階では、見通しが良く、安心かつ安全な領域を走行するかどうかは全く考慮されていない。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、経路算出装置、経路算出プログラムおよび経路算出方法を提供することである。
この発明の他の目的は、移動距離が短く、見通しの良い場所のみならず、見通しの悪い場所においても安心かつ安全な領域を走行する経路を算出できる、経路算出装置、経路算出プログラムおよび経路算出方法を提供することである。
第1の発明は、人間を乗せて自動走行する移動体の移動経路を算出する経路算出装置であって、この経路算出装置は記憶手段および算出手段を備える。記憶手段は、移動体からの見通し(可視率のレベル)および経験的に得た安心感のレベルを各セルに割り当てたグリッドマップを記憶する。算出手段は、移動距離が短い、安心感のレベルが高い、かつ可視率のレベルが高い経路を算出する。可視率のレベルは、移動体を走行させる環境のうち、走行可能であって視認可能な領域である第1視認可能領域、走行不可能であって視認可能な領域である第2視認可能領域、および、走行不可能であり視認不可能である視認不可能領域を示す経路情報、および予め設定された移動体の仮想視界領域を示す仮想視界領域情報に基づいて算出される。算出手段は、スタート位置とゴール位置が入力されると、所定のアルゴリズムを用いて、経験的に得た安心感のレベル、および可視率のレベルを各セルに割り当てたグリッドマップを参照して、経路を算出する。
第1の発明によれば、移動距離が短いだけでなく、安心感のレベルおよび可視率のレベルが高くなるように移動体の移動経路を算出するので、見通しの良い場所のみならず、見通しの悪い場所においても安心かつ安全な領域を走行する経路を算出することができる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、グリッドマップの各セルに割り当てられた移動体からの可視率のレベルは、当該各セルに対する進入方向毎にレベルが設定されている。
第2の発明によれば、移動体の進行方向に対応した可視率のレベルに応じて、適切に可視率のレベルが高い経路を算出できる。
第3の発明は、第2の発明に従属し、各セルの4つの辺に垂直な直線方向および当該4つの辺に対して斜めの方向である。
第3の発明によれば、移動体から見た前後左右に加え、斜め方向を含む移動体の進行方向に対応することができ、より適切に可視率のレベルが高い経路を算出できる。
第4の発明は、第1ないし第3の発明に従属し、算出手段は、移動距離、安心感のレベル、および可視率のレベルのそれぞれに、経験的に得た重み付けをして経路を算出する。
第4の発明によれば、移動距離、安心感のレベル、および可視率のレベルのそれぞれの重みは実験によって経験的に得られるため、被験者が受けた安心感に基づいて、移動体に乗る人間の安心感を考慮した移動経路を算出することができる。
第5の発明は、第1ないし第4の発明に従属し、グリッドマップにおいて、移動体を走行させる環境のうち、走行可能な領域は、予め測定した形状地図から幾何的な直線通路を抽出し、当該幾何的な直線通路に所定の幅を与えることによって作成される。
第5の発明によれば、グリッドマップにおける走行可能な領域は、幾何的な直線通路に所定の幅を与えることによって作成されるので、移動経路の算出にあたって不要な領域を除外することができ、現実の通路の形状に近似した単純な形状にし、よりスムーズな経路を算出することができるので、移動体の乗り心地を向上させ、経路を算出する算出手段の負荷を軽減させることができる。
第6の発明は、移動体を走行させる環境についてのマップであって、走行可能領域および走行不可能領域を示す経路情報、および予め設定された移動体の仮想視界領域を示す仮想視界領域情報に基づいて算出される移動体からの可視率のレベルと、経験的に得た安心感のレベルとを各セルに割り当てたグリッドマップを記憶した記憶手段を備え、人間を乗せて自動走行する移動体の移動経路を算出する経路算出プログラムであって、コンピュータに、移動体のスタート位置とゴール位置を設定する設定ステップ、および設定したスタート位置からゴール位置まで移動体を移動させる場合に、グリッドマップの各セルに割り当てられた移動体からの可視率のレベルおよび安心感のレベルを参照して、移動距離が短い、安心感のレベルが高い、かつ可視率のレベルが高い経路を算出する算出ステップを実行させる。
第7の発明は、移動体を走行させる環境についてのマップであって、走行可能領域および走行不可能領域を示す経路情報、および予め設定された移動体の仮想視界領域を示す仮想視界領域情報に基づいて算出される移動体からの可視率のレベルと、経験的に得た安心感のレベルとを各セルに割り当てたグリッドマップを記憶した記憶手段を備え、人間を乗せて自動走行する移動体の移動経路を算出するコンピュータの経路算出方法であって、コンピュータは、移動体のスタート位置とゴール位置を設定し、そして設定したスタート位置からゴール位置まで移動体を移動させる場合に、グリッドマップの各セルに割り当てられた移動体からの可視率のレベルおよび安心感のレベルを参照して、移動距離が短い、安心感のレベルが高い、かつ可視率のレベルが高い経路を算出する。
第6および第7の発明においても、第1の発明と同様に、移動距離が短いだけでなく、安心感のレベルおよび可視率のレベルが高くなるように移動体の移動経路を算出するので、直線通路において安心かつ安全な領域を走行し、かつ曲がり角または交差点等、見通しの悪い場所においても安心かつ安全な領域を走行する経路を算出することができる。
この発明によれば、移動距離が短く、見通しの良い場所のみならず、見通しの悪い場所においても安心かつ安全な領域を走行する経路を算出することができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1はこの発明の一実施例の経路算出装置として機能するコンピュータを含む移動体の電気的な構成の一例を示すブロック図である。 図2は図1に示す移動体の外観構成の一例を示す図解図である。 図3は図1および図2に示す距離センサの検出範囲を説明するための図解図である。 図4は図1および図2に示す距離センサの検出範囲を説明するための図解図である。 図5は実験の際の移動体の中心と壁との距離を説明するための図解図である。 図6は被験者を乗せた移動体の速度および壁からの距離を可変的に設定した場合における当該被験者の安心感の数値を示すグラフである。 図7は被験者を乗せた移動体の移動速度および壁からの距離に対応する安心感を示す3次元のグラフである。 図8は移動経路を探索するためのグリッドマップの一例およびその一部のグリッドマップの一例を示す図解図である。 図9は安心感を考慮したグリッドマップの一例を示す図解図である。 図10は安心感を考慮したグリッドマップの他の例を示す図解図である。 図11は算出された経路の一例を示す図解図である。 図12は算出された経路の他の例を示す図解図である。 図13は移動体が走行する曲がり角のグリッドマップの一例を示す図解図である。 図14は移動体が走行する曲がり角のグリッドマップに仮想視界領域を重畳した場合の一例を示す図解図である。 図15は移動体が走行する直線部のグリッドマップに仮想視界領域を重畳した場合の一例を示す図解図である。 図16は移動体が走行する交差点のグリッドマップに仮想視界領域を重畳した場合の一例を示す図解図である。 図17は移動体が走行する曲がり角のグリッドマップに仮想視界領域を重畳した場合の一例を示す図解図である。 図18は被験者を乗せた移動体からの可視率の異なる箇所毎に当該被験者が不安感を感じた回数の数値を示すグラフである。 図18は被験者を乗せた移動体からの可視率の異なる箇所毎に当該被験者が不安感を感じた割合の数値を示すグラフである。 図20は安心感を考慮したグリッドマップの一例を示す図解図である。 図21は安心感を考慮したグリッドマップの一例を示す図解図である。 図22は各セルの進入方向の各々の可視率を考慮したグリッドマップの一例を示す図解図である。 図23は各セルの進入方向の各々の可視率の平均値を用いた周回経路の一部のグリッドマップを示す図解図である。 図24(A)は従来の手法で算出された経路の一例を示す図解図である。図24(B)は実施例の手法で算出された経路の一例を示す図解図である。 図25はグリッドマップの作成過程を示す図解図である。 図26(A)は実施例の手法で作成されたグリッドマップの一例を示す図解図である。図26(B)は形状地図の一例を示す図解図である。 図27(A)は従来の手法および実施例の手法で算出された時計回りの経路の一例を示す図解図である。図27(B)は従来の手法および実施例で算出された反時計回りの経路の一例を示す図解図である。 図28(A)は被験者を乗せた移動体が経路を走行した場合における当該被験者の安心感の数値を示すグラフである。図28(B)は被験者を乗せた移動体が経路を走行した場合における当該被験者の快適性の数値を示すグラフである。 図29は図1に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。 図30は図1に示すCPUの経路算出処理を示すフロー図である。
図1はこの実施例の移動体10の電気的な構成を示すブロック図であり、移動体10は経路算出装置としても機能するコンピュータ12を含む。コンピュータ12は、汎用のパーソナルコンピュータまたはワークステーションなどのコンピュータであり、CPU12a、RAM12bおよびHDD12cなどのコンポーネントを備える。
また、コンピュータ12には、入出力インターフェイス(以下、単に「インターフェイス」という。)14、操作レバー16および距離センサ18a、18b、18cが接続される。インターフェイス14には、モータドライバ20aを介してモータ22aが接続されるとともに、モータドライバ20bを介してモータ22bが接続される。さらに、インターフェイス14には、エンコーダ24aおよび24bが接続される。
なお、モータ22aの回転軸と左の後輪34a(図2参照)の回転軸がギアを用いて連結され、モータ22bの回転軸と右の後輪34b(図2参照)の回転軸がギアを用いて連結される。
ここで、図2(A)を参照して、この実施例の移動体10は、電気車いすのような移動体であり、その下部に、左右の前輪(キャスター)32a、32bおよび左右の後輪34a、34bを備えている。また、移動体10の左側の枠の上部に、上述した操作レバー16が設けられる。さらに、移動体10の左側の枠であり、ユーザが左足を置くステップ36aの左側に、上述した距離センサ18aが取り付けられる。ただし、距離センサ18aは、移動体10の右側の枠であり、ユーザが右足を置くステップ36bの右側に取り付けてもよい。また、移動体10を上方から見た模式図である図2(B)に示すように、移動体10の後方下部に、上述した距離センサ18bが設けられる。さらに、移動体10の後方上部に距離センサ18cが設けられており、この距離センサ18cは、移動体10に乗っているユーザの視点と同じ高さかそれより高い位置に設けられている。
なお、この実施例では、距離センサ18a、18bおよび18cを移動体10の前後に取り付けるようにしてあるが、移動体10の左右に取り付けるようにしてもよい。このように3つの距離センサ18a、18bおよび18cを移動体10の前後または左右に設けるのは、移動体10の周りを全周(360°)に渡って、距離を検出(計測)するためである。ただし、これは単なる一例であり、距離センサは2つでもよく、または4つ以上設けてもよい。
また、この実施例では、距離センサ18a、18bおよび18cは、或る環境内の壁、柱のような固定物(静的な障害物)のみならず、人間のような移動物(動的な障害物)との距離を計測(検出)する。
図2(A)に戻って、移動体10の座席シートの下側であり、左の後輪34aと右の後輪34bの間には、ボックス40が設けられる。この中に、上述したコンピュータ12、インターフェイス14、モータドライバ20a、20b、モータ22a、22bおよびエンコーダ24a、24bが設けられる。ただし、コンピュータ12およびインターフェイス14は、ボックス40の外に設けるようにしてもよい。
コンピュータ12は、この実施例の移動体10の全体的な制御を司る。この実施例では、CPU12aは、移動体10の移動経路を算出する。また、CPU12aは、自動的に、または、操作レバー16からの操作入力に応じてモータ22a、22bの駆動を制御する。つまり、CPU12aは、移動体10の移動を制御する。さらに、CPU12aは、距離センサ18a、18b、18cおよびエンコーダ24a、24bで検出された距離データまたは回転数データを取得および記憶する。そして、CPU12aは、検出したデータに従って、障害物までの距離を計測したり、移動体10の位置を推定(決定)したりする。
操作レバー16は、移動体10に乗っているユーザによって操作され、操作に応じた信号(操作入力)がコンピュータ12に与えられる。たとえば、前進、後退、停止、左折、右折および旋回などの操作を行うことができる。
ただし、リモートコントローラ(図示せず)を用いて、遠隔操作によって、操作入力をコンピュータ12に与えることもできる。また、この実施例では、移動体10を自動走行させるため、操作レバー16は設けなくてもよい。
距離センサ18a、18b、18cは、たとえば、汎用のレーザレンジファインダ(LRF)であり、レーザーを照射し、物体に反射して戻ってくるまでの時間から当該物体との距離を計測するものである。たとえば、LRFは、トランスミッタ(図示せず)から照射したレーザーを回転ミラー(図示せず)で反射させて、扇状に一定角度(たとえば、0.25度)ずつスキャンする。また、この実施例では、検出範囲(図3参照)の全体をスキャンする周期は、25msecである。
図3は、距離センサ18a〜18cの水平方向(左右方向)における検出範囲(計測範囲)を説明するための図解図である。距離センサ18a、18bの計測範囲は、半径R1(R1≒10〜15m)の扇形状であり、扇の角度は、正面方向を中心として左側および右側のそれぞれに135°である。つまり、正面を中心とする270°の範囲について距離を検出することができる。また、この実施例の距離センサ18cの計測範囲は、半径R2(R2≒8m)の扇形状で示される。扇の角度は、正面方向を中心として左側および右側のそれぞれに90°である。つまり、正面を中心とする180°の範囲について距離を検出することができる。また、図4に示すように、距離センサ18cの垂直方向(上下方向)における計測範囲は、上下方向においても扇形状をなす。上下方向における扇の角度は、正面方向を中心として上側および下側のそれぞれに20°である。つまり、正面を中心とする40°の範囲について距離を検出することができる。そして、この距離センサ18cの水平方向および垂直方向における計測範囲が、移動体10(または、移動体10に乗っているユーザ)の仮想的な視界の範囲ないし領域(後述する仮想視界領域)となる。
図1に戻って、モータドライバ20a、20bは、コンピュータ12からの指示に従って、モータ22a、22bを駆動する。エンコーダ24aは、モータ22aの回転数(rps)を検出し、回転数についてのデータ(回転数データ)を、インターフェイス14を介してコンピュータ12に入力する。同様に、エンコーダ24bは、モータ22bの回転数を検出し、回転数についての回転数データを、インターフェイス14を介してコンピュータ12に入力する。
コンピュータ12は、距離センサ18a、18b、18cで検出される距離データと、エンコーダ24a、24bで検出される回転数データを取得して、RAM12b(HDD12cでもよい。)に記憶する。ただし、距離センサ18aで検出される距離データ、距離センサ18bで検出される距離データ、および距離センサ18cで検出される距離データは区別されるとともに、同じ時点において検出された距離データと回転数データは互いに関連付けられる。
このような構成の移動体10は、上述したように、操作レバー16を操作することによって、移動(走行)することができるが、スタート地点とゴール地点を入力(設定)することによって、移動経路を算出して、自動走行(自律移動)することもできる。
たとえば、通常の移動経路計画は、最短距離または最短時間経路を求める手法である。しかし、最短距離は障害物(壁、柱など)の近くを通る経路が選択される場合があるため、移動体10に乗っているユーザに恐怖心を与えやすい。また、移動速度を速くすれば、所要時間を短縮することができるが、移動体10に乗っているユーザにとって移動における予測がつき難くなるため、恐怖心が増大する。さらに、移動体10の速度がとても遅い場合には、安全ではあるが、移動体10に乗っているユーザをいらいらさせると考えられる。つまり、移動体10に乗っているユーザの安心感(快適さ)は、移動経路における障害物との距離または速度に関係すると考えられる。
このため、移動体10と障害物との距離および移動体10の速度と、移動体10に乗っているユーザの安心感との関係を定量化するための実験を行った。自動走行する移動体10に被験者が乗り、障害物(ここでは、壁)から移動体10(の中心)までの距離dを3段階(遠い、中くらい、近い)で変化させ、移動体10の速度vを3段階(速い、中くらい、遅い)で変化させ、合計9回試行した。
ただし、壁からの距離dは、廊下の幅をL(2.4m)とした場合の割合で表し、図5に示すように、遠い(F)場合には、L×0.5(1.20m)に設定され、中くらい(M)の場合には、L×0.35(0.84m)に設定され、そして、近い(C)場合には、L×0.2(0.48m)に設定される。また、速度vは、速い(F)場合には、1.6m/secに設定され、中くらい(M)の場合には、1.2m/secに設定され、そして、遅い(L)場合には、0.8m/secに設定される。
また、被験者は、男性11名と女性11名の計22名であり、平均年齢は23.53歳である。また、被験者は、試行毎に、安心感を5段階で評価した。ただし、安心感が最も大きい場合を「5」とし、安心感が最も小さい(不安感が最も大きい)場合を「1」とした。その集計結果(実験結果)が図6に示される。この図6に示す集計結果は、各試行における安心感の数値を全被験者で平均化した棒グラフである。
図6を参照して分かるように、実験結果によれば、速度vが上がると安心感が低下する傾向にあり、壁からの距離dについては、中くらい(M)付近に安心感のピークが存在する。実験前においては、壁から離れるに連れて安心感が増大することが予想されていたが、通路の中央よりも壁側が好まれる傾向があることが分かった。また、壁からの距離dが中くらい(M)である場合には、速度vが中くらい(M)および遅い(L)である場合に、安心感の数値が高かった。
また、実験結果に応じて、安心感をモデル化すると、移動体10の速度v(m/sec)、障害物からの距離d(m)および安心感Uは、図7に示すような楕円球の表面の一部の形状で表される。図7からも分かるように、速度vが中くらい(M)であり、距離dhが中くらい(M)である場合に安心感Uが最大となる。たとえば、図7を参照すると、障害物に接近し過ぎたり衝突したりすることのない距離d(m)またはユーザを不安にさせることのない速度v(m/sec)で決定される領域は安全な領域であり、その安全な領域の中の一部に安心感の得られる領域が存在すると言える。ただし、図7においては、安心感Uは0〜1に正規化されている。安心感Uが最も大きい場合を「1」とし、安心感が最も小さい場合を「0」としてある。また、図7では(後述する図9および図10も同様)、安心感が最も小さい場合を黒色とし、安心感が最も高い場合を白色として、安心感の大きさ(レベル)をグレースケールで示してある。
この安心感のモデルを経路算出(経路計画)に反映させるために、数1に示す2次関数で安心感が近似される。ただし、数1において、U(d,x)は安心感であり、dは壁からの移動体10の距離であり、xは移動体10の速度であり、Vは安心感が最大値になる場合の移動体10の速度であり、そして、kLは安心感が最大値になる場合の壁から移動体10の中心までの距離である。ただし、速度Vおよび距離kLは実験によって求められた値である。具体的には、この実施例では、幅L=2.4mであり、このとき、速度V=0.8m/secであり、距離kL=0.84mである。なお、表記の都合上、数式以外においては、“・”を“x”の右上に表示するが、実際には、数1に示すように“x”の上側に表示され、この“・”は微分を意味する。以下、同じ。
なお、最小自乗法(回帰分析)で数1を図7に示す安心感のモデルに近似した結果、定数c=0.04,c=1.08、c=0.679が得られた。
ただし、実際に移動体10を走行させる場合には、移動体10の速度xを安心感のモデルに従って決定すると、乗っているユーザに不安感を与えてしまう虞がある。これは、移動体10が実際に走行している位置と算出(生成)した移動経路上の位置とにずれが生じている場合があるからである。また、グリッドマップ上に無い障害物との距離が考慮されていないため、実際の走行中にグリッドマップ上に無い障害物を検知した場合に、移動体10が適切な速度xで走行されない可能性があるからでもある。
なお、グリッドマップ上に無い障害物とは、柱または壁以外の物、または人間(通行人)などを意味する。
そこで、この実施例では、速度xの成分を無視して、安心感を求めるようにしてある。そして、移動体10が移動している場合には、壁などの障害物との実際の距離dを距離センサ18a、18bを用いて計測し、その距離dに応じて安心感モデルから速度xが決定される。
したがって、数1は数2のように変形される。ただし、速度xを考慮しないで、最小自乗法(回帰分析)で数2を図7に示した安心感のモデルに近似した結果、定数g=0.009,g=0.363が得られた。
図8(A)は、この実施例の移動体10を走行させる環境の一部を上方(真上)から見たグリッドマップである。図8(A)に示す例では、斜線で示す部分が壁等の障害物であり、白色で示す部分が通路である。以下、図9−図12において同じである。図8(B)は、図8(A)において点線で囲む範囲についてのグリッドマップを示す。図8(B)に示す例では、グリッドマップの各セルの大きさは30cm×30cmに設定されるが、実際には、5cm×5cm程度の大きさに設定される。このセルの大きさは一例であり、限定されるべきでない。また、図8(B)において、斜線を付したセルは障害物(ここでは、壁)を示し、白色のセルは通路を示す。
図9には、一部において、安心感のモデルを適用した場合のグリッドマップが示される。ただし、数2に従って各セルの安心感U(d)が算出され、算出された安心感U(d)の数値(レベル)が各セルに対応して記憶される。上述したように、図9に示すグリッドマップでは、安心感U(d)の数値の大小を分かり易く示すために、各セルについて算出された安心感U(d)の数値がグレースケールで示される。ただし、図9に示す例では、グリッドマップの略中央に記載される直線状の通路の部分に安心感のモデルが適用される。図9の一部拡大図からも分かるように、通路の中央から少し壁側に寄った位置において安心感U(d)が最も大きくなっている。
図10には、図9に示す安心感のモデルを適用した部分に対応する通路に障害物を置いた場合のグリッドマップが示される。図10の一部拡大図からも分かるように、通路の一部に、この通路と並行に板が設置される。板は、廊下の中央よりも一方の壁側(図面では下側)に少し寄った位置に設置される。したがって、板を設置した部分においては、板によって廊下の幅Lが分断され、壁との距離および板との距離が考慮されるため、安心感が低下される。
このような場合に、安心感を考慮せずに(後述する数3においてk=1)、図11に示すように、スタート位置SPとゴール位置GPを設定し、最短距離となる移動経路を算出すると、板で分断された通路のうち、板と壁との距離が短く、移動体10がぎりぎり通ることができる側を通る直線的な移動経路が算出される。
一方、この実施例のように、移動距離のみならず安心感を考慮した場合には(たとえば、後述する数3においてk=0.5)、図12に示すように、板を設置した部分において、板と壁との距離が長い側を通る移動経路が算出される。つまり、移動経路が短い、かつ安心感の高い移動経路が算出される。
このように、安心感を考慮した経路計画は、A*(エースター)探索アルゴリズムを用いて行われる。具体的には、安心感を考慮するため、コスト関数f(x)を数3のように定義した。ただし、g(x)は出発地点(スタート位置SP)から或る地点xまでの距離であり、h(x)は地点xから目標地点(ゴール位置GP)までの距離であり、mdisc(x)は地点xを通る経路の不安感(1−安心感)である。ただし、数3においては、地点xにおける安心感はmcomfort(x)である。また、kは最短経路に対する安心感の重みであり、重みkが1のとき最短経路が算出され、重みkが0のとき安心感が最も大きくなる経路が算出される。ただし、グリッドマップでは、セル単位で経路が算出されるため、地点xは或るセルを意味する。
また、通常の移動経路計画は、前述したように最短距離または最短時間経路を求める手法である。しかし、最短距離は障害物(壁、柱など)の近くを通る経路が選択される場合が多く、特に曲がり角において最短距離を通る経路は壁の近くを通ることになり、見通しが悪い経路となり、移動体10に乗っているユーザに恐怖心を与えやすい。また、曲がり角に限らず、交差点等の見通しの悪い場所においては、他の移動体または歩行者の存在が分からず、移動体10に乗っているユーザにとって移動における予測がつき難くなるため、恐怖心が増大する。つまり、移動体10に乗っているユーザの安心感(快適さ)は、移動経路における見通しの良し悪しにも関係すると考えられる。
そこで、この実施例では、この見通しの良し悪し(可視率)に基づく安心感のモデルを経路算出(経路計画)に反映させるようにしてある。ただし、可視率Vindexは、数4に従って算出される。
この数4における各要素を、図13および図14に示す移動体10の移動する環境を用いて説明する。図13および図14に示す環境の例は、高い壁によって仕切られた通路であり、右に曲がる曲がり角が示される。ただし、図13および図14に示す例では、通路以外の領域では、移動体10が走行できないものとする。また、この実施例で、高い壁とは、移動体10に乗るユーザの視線を遮る高さをいう。さらに、低い壁とは、移動体10に乗るユーザの視界を遮らない高さをいう。
一例として、移動体10が電動車いすである場合では、JIS規格に適合する寸法の電動車いすに乗るユーザの目線の高さは1.0m〜1.1m程度である。したがって、移動体10が一般的な寸法の電動車いすであれば、当該電動車いすに乗るユーザの視線を遮るか否かのしきい値を、1.0m〜1.1mの間に設定することが考えられる。
なお、移動体10に乗るユーザの視界を遮るか否かのしきい値については、上記の高さに限られず、移動体10の座席の高さまたはユーザの体格等、使用条件に合わせて適宜設定されることが望ましい。
図13に示すように、移動体10が配置ないし移動される環境(実空間)が高い壁のような静的な障害物で仕切られることによって、通路が設けられる。この実施例では、通路が移動体10の走行可能な領域であり、この走行可能な領域において、移動体10の移動経路が算出される。
数4におけるRVTは、移動体10(または、移動体10に乗っているユーザ)の可視領域の大きさ(面積)であり、RNTは、移動体10(または、移動体10に乗っているユーザ)の不可視領域の面積である。ただし、この明細書においては、移動体10が可視であるまたは視認可能であるというのは、移動体10の距離センサ18cで何らかのオブジェクトとの距離を検出できることを意味する。
したがって、図3および図4に示した距離センサ18cの水平方向および垂直方向の計測範囲(以下、「仮想視界領域」ということがある。)において、距離を計測可能な領域が可視領域であり、距離を計測不可能な領域が不可視領域である。
つまり、可視領域は、移動体10が移動経路に従って走行(移動)する場合に、当該移動体10に乗っているユーザが仮想視界領域において視認可能な範囲ないし領域(以下、「視認可能領域」という。)を意味する。この実施例では、視認可能領域のうち、移動体10の走行可能な領域(走行可能領域)と重なる領域を第1視認可能領域と呼び、移動体10の走行不可能な領域(走行不可能領域)と重なる領域を第2視認可能領域と呼ぶことにする(図17参照)。また、不可視領域は、仮想視界領域において、ユーザが視認できない範囲ないし領域(以下、「視認不可能領域」という。)を意味する。
また、不可視領域のうち、移動体10が走行不可能な領域は、視認不可能領域と呼び、この視認不可能領域については、数4の可視率Vindexの計算からは除外される。
なお、不可視領域であり、かつ走行可能領域であっても、一定時間(たとえば、5秒)以上先に走行すると考えられる領域については、数4の可視率Vindexからは除外される。かかる領域は、現在の移動体10の位置において移動経路を計算する際には関係のない領域だからである。
また、数4からも分かるように、不可視領域の面積RNTが大きければ可視率Vindexは低くなり(最小値0)、不可視領域の面積RNTが小さければ可視率Vindexは高くなる(最大値1)。
さらに、上述したように、数4には、視認不可能領域は算入しない。したがって、図15に示すように、移動体10が、両側が高い壁で仕切られた直線の通路を走行する場合には、距離センサ18cの計測範囲(仮想視界領域)においては、視認不可能領域を除くと、第1視認可能領域だけが含まれる。つまり、図15に示すように、直線の通路においては、可視領域の面積RVTだけを有することになる。かかる場合には、数4に従って算出される可視率Vindexは1である。
また、曲がり角以外であっても、図16に示すように、高い壁で仕切られた交差点に近づくように、移動体10が通路を図面の下から上向きに走行する場合には、仮想視界領域内においては、視認不可能領域に遮られる左右前方に不可視領域が生じる。つまり、交差点では、不可視領域の面積RNTを有することになるため、図15に示したような直線の通路を走行する場合に比べて、可視率Vindexが低くなる。
ここで、上記の走行可能領域および走行不可能領域、並びにそれらにおける視認可能領域または視認不可能領域を示す経路情報としてのデータ(経路情報データ)は、予め移動体10が経路を自動走行し、距離センサ18a、18b、18cで検出される距離データに従って生成され、グリッドマップの各セルに対応してRAM12b(HDD12cでもよい。)に記憶されている。また、この実施例では、経路情報データは、グリッドマップの各セルに走行可能領域と走行不可能領域とを仕切る静的な障害物(例えば壁)の高さについてのデータも含んでいる。したがって、たとえば、静的な障害物の高さを示すデータが2.0mであるセルと、0.3mであるセルがあった場合、高さ2.0mの障害物で仕切られる領域は視認不可能領域となり、高さ0.3mの障害物で仕切られる領域は移動体10に乗っているユーザの視界を阻害しないので、走行不可能であって視認可能な領域である第2視認可能領域となる(図17参照)。
なお、移動体10に乗っているユーザの視界を阻害しない障害物の高さの閾値の設定によって、経路の同じ箇所であっても視認不可能領域となるか第2視認可能領域となるかが変化する場合がある。この視認可能かどうかの閾値の設定は、移動体10に乗っているユーザの視点を基準に設定される。したがって、上記の閾値は、移動体10におけるシートの高さまたはユーザの体格によって変化するので、適宜設定されればよい。
上記のように構成しているので、たとえば、図17に示すように、右に曲がる曲がり角であって、曲がり角の一部が低い壁(高さ0.3m)で構成されている場合には、低い壁で仕切られた領域が視認不可能領域とはならず、高い壁によって仕切られた領域のみが視認不可能領域となる。したがって、視認不可能領域が減少し視界を遮る範囲が少なくなるので、第1視認可能領域が拡大する。また、低い壁に仕切られた領域のうち、高い壁に遮られない領域は走行不可能であって視認可能な領域である第2視認可能領域となる。ただし、第2視認可能領域は、図17において、移動体10の右斜め前方にある、横向きにした台形で囲まれる領域である。このため、一部が低い壁で構成されている曲がり角では、図13および図14に示したような高い壁だけで仕切られた曲がり角よりも、可視領域の面積RVTが拡大し、可視率Vindexは高くなる。
また、数4を用いて算出した可視率Vindex(見通しの良し悪し)と、実際に移動体10に乗るユーザの安心感との関係を定量化するための実験を行った。
実験においては、自動走行する移動体10に被験者が乗り、直線または低い壁によって仕切られた曲がり角等の可視率Vindexの高い箇所と、高い壁によって仕切られた曲がり角または交差点等の可視率Vindexの低い箇所との両方を含む複合的な周回経路において、移動体10を走行させた。一人の被験者につき、時計回りに4回走行させるとともに、反時計回りにも4回走行させ、合計8回試行した。
また、被験者は、男性15名と女性15名の計30名であり、平均年齢は21.5歳である。なお、この被験者は、上記の移動体10と障害物との距離および移動体10の速度と、移動体10に乗っているユーザの安心化との関係を定量化するための実験における被験者とは一部異なる。また、被験者には、危険または不安感を感じた場合にリモコンのボタンを押すように指示した。その集計結果(実験結果)が図18に示される。この図18に示す集計結果は、周回経路における可視率Vindexの異なる複数の位置(場所)において、全被験者によって上記のリモコンのボタンが押された回数(ボタンクリック数)の合計値を示す棒グラフである。また、図19には、図18で示したボタンクリック数を、全被験者が各位置を通過した回数で割ったボタンクリック率を示す。
なお、この実験における周回経路には可視率Vindexが0.3未満になる位置が存在しないため、図18および図19には可視率Vindexが0.3以上の位置についての実験結果を示す。
図18および図19を参照して分かるように、実験結果によれば、可視率Vindexが低下すると、不安感が増大する傾向にある。また、可視率Vindexの値が最も低い(0.3)付近では、ボタンクリック率が50%弱であり、可視率Vindexの低い箇所では不安感を覚えるという結果が得られた。
図20および図21には、可視率Vindexも考慮した安心感のモデルを適用した場合のグリッドマップが示される。この場合、数4に従って各セルに移動体10が位置する場合における可視率Vindexが算出され、算出された可視率Vindexの数値(レベル)が各セルに対応して記憶される。ただし、この実施例では、可視率Vindexの数値が、可視率Vindexに基づく安心感の数値である。また、移動体10の走行方向(たとえば、周回経路を時計回りに走行する場合と反時計回りに走行する場合の各方向)に応じた可視率Vindexの数値が計算され、記憶される。図20および図21に示す例では、時計回りに移動体10が走行する場合についての可視率Vindexを用いて安心感が算出される。つまり、この実施例では、グリッドマップの各セルに対応して、上述の安心感mcomfort(x)に加えて、移動体10の走行方向に応じた可視率vindex(x)の値が記憶される。
図20および図21に示すグリッドマップでは、可視率Vindexも考慮した安心感の大小を分かり易く示すために、各セルについて算出された安心感の大きさ(レベル)がグレースケールで示される。この図20および図21においても、安心感が最も低い場合を黒色とし、安心感が最も高い場合を白色としてある。
図20は、高い壁によって仕切られた右に曲がる曲がり角の場合(図14と同様)のグリッドマップを示している。この場合においては、直線状の通路の部分には上述した壁からの移動体10の距離、および移動体10の速度に基づいた安心感のモデルが適用される。そして、曲がり角付近においては、可視率Vindexを考慮した安心感のモデルが適用される。図20からも分かるように、曲がり角付近においては、曲がり角を少し膨らんで右に曲がるように移動する経路において安心感が高く、曲がり角の内側に向かうに従って安心感が低くなる。
図21は、右に曲がる曲がり角であって、曲がり角の一部(内側の一部)が低い壁(高さ0.3m)で構成されている場合(図17と同様)のグリッドマップを示している。この場合、上述したように、低い壁で仕切られた領域は視認不可能領域とはならず、高い壁によって仕切られた領域のみが視認不可能領域となる。このため、図20に示した場合と異なり、曲がり角の内側を通る経路においても安心感の高い部分が存在する。したがって、曲がり角であっても、直線状の通路の部分と同様に、壁からの移動体10の距離、および移動体10の速度に基づいた安心感のモデルに基づき、通路の中央から少し壁側に寄った位置の安心感が最も大きくなっている。
以上のように、可視率Vindexも考慮した安心感のモデルを適用した場合のグリッドマップに従って、移動体10の移動経路が算出される。
上述したように、安心感を考慮した経路計画は、A*(エースター)探索アルゴリズムを用いて行われる。具体的には、可視率Vindexも考慮するため、コスト関数f(x)は数5のように定義される。数3と同様に、g(x)は出発地点(スタート位置SP)から或る地点xまでの距離であり、h(x)は地点xから目標地点(ゴール位置GP)までの距離であり、mdisc(x)は地点xを通る経路の不安感(1−安心感)である。また、壁からの移動体10の距離、および移動体10の速度に基づいた地点xにおける安心感はmcomfort(x)である。さらに、数5においては、可視率Vindexに基づいた地点xにおける可視率はvindex(x)である。
また、kは最短経路に対する重みであり、重みkが1のとき最短経路が算出され、kは壁からの移動体10の距離、および移動体10の速度に基づいた安心感mcomfort(x)の重みであり、重みkが1のとき壁からの移動体10の距離、および移動体10の速度に基づいた安心感mcomfort(x)が最も大きくなる経路が算出される。さらに、kは可視率Vindexに基づいた可視率vindex(x)の重みであり、重みkが1のとき可視率Vindexに基づいた可視率vindex(x)が最も大きくなる経路が算出される。
ここで、たとえば移動体10が直線状の通路の部分を走行している場合には、この通路に障害物がない限り、図15を用いて説明した場合のように、仮想視界領域には、第1視認可能領域と視認不可能領域しか含まれないため、可視率Vindexに基づいた可視率vindex(x)は最大値になる。このように、可視率Vindexに基づいた可視率vindex(x)が最大値である場合には、経路算出にあたって可視率Vindexを考慮する必要がないため、可視率vindex(x)の重みkを自動的に0にするように制御してもよい。
また、曲がり角または交差点等の見通しの悪い部分のみ可視率Vindexに基づいた可視率vindex(x)を考慮し、それ以外の部分については最短経路を通りたい場合には、重みkを常に0になるように制御してもよい。
また、上述したように、直線状の通路の部分と、曲がり角または交差点等の見通しの悪い部分とを含む複合的な経路を算出する場合には、適切な経路を算出しようとすると、走行する部分に応じて、移動距離、安心感および可視率の重みを制御する必要がある。
そこで、この実施例では、直線状の通路、および曲がり角または交差点を含む複合的な経路を算出する移動経路計画に走行中の重みの制御を不要にすることができる安心感のモデルを反映させるようにしてある。
ここで、数4に従って算出される可視率Vindexは、同じ位置であっても移動体10の進行方向によって変化する。したがって、走行中の重みの制御を不要にするためには、予めグリッドマップの各セルにおいて、移動体10の進行方向に応じた可視率Vindexを設定しておく必要がある。
図22は、各セルの進入方向の各々の可視率を考慮したグリッドマップの一例を示す図解図である。図22に示すように、移動経路計画に走行中の重みの制御を不要にすることができる安心感のモデルを反映させるにあたって、グリッドマップの各セルには、各セルの縦方向、横方向および斜め方向の8つの方向の各々について、数4に従って算出される可視率Vindexのデータが対応づけられる。
なお、可視率Vindexのデータが対応づけられる方向は、8つに限定されない。たとえば、グリッドマップの各セルに、各セルの縦方向および横方向の4つの方向の各々の可視率Vindexのデータが対応づけられていてもよい。
図23は周回経路の一部のグリッドマップを示す図解図である。図23に示すグリッドマップでは、各セルの8つの方向の各々の可視率Vindexの大きさ(レベル)の平均値を示す。このグリッドマップでは、各セルの8つの方向の各々の可視率Vindexのレベルの平均値の大小を分かり易く示すために、各セルについて算出された可視率Vindexのレベルがグレースケールで示される。この図23においても、可視率Vindexのレベルが最も低い場合を黒色とし、可視率Vindexのレベルが最も高い場合を白色としてある。
図23からも分かるように、図面左下の曲がり角P1は、見通しが悪い、つまり可視率Vindexが低い。一方、図面右下の曲がり角P2は、見通しが良い、つまり可視率Vindexが高い。これは、図面左下の曲がり角P1は、図20に示したように、高い壁によって仕切られているのに対し、図面右下の曲がり角P2は、図21に示したように、低い壁によって仕切られているからである。
また、図面左下の曲がり角P1付近においては、通路の外側に比べて、通路の内側の可視率Vindexのレベルがより低い。したがって、図面左下の曲がり角P1においては、曲がり角を少し膨らんで曲がるように移動する経路についての安心感よりも、経路が曲がり角の内側に近づくに従って安心感が低くなる。
以上のように、各セルの8つの方向の各々の可視率Vindexのレベルも考慮した安心感のモデルを適用した場合のグリッドマップに従って、移動体10の移動経路が算出される。
上述したように、安心感を考慮した経路計画は、A*(エースター)探索アルゴリズムを用いて行われる。具体的には、移動距離、安心感mcomfort(x)、および可視率vindex(x)も考慮するため、コスト関数f(x)は数6のように定義される。数5と同様に、g(x)は出発地点(スタート位置SP)から或る地点xまでの距離であり、h(x)は地点xから目標地点(ゴール位置GP)までの距離である。この第1要素は、移動距離に関する要素である。また、m(x)は、或る地点xにおける不安感(1−安心感)であり、n(x)は、次に通る地点x´における不安感であり、それぞれ数3に従って算出される。この第2要素は、安心感(不安感)に関する要素である。さらに、p(x)は出発地点(スタート位置SP)から或る地点xまでの遮蔽率(1−vindex(x,θ)/0.5)の和であり、q(x)は次に通る地点x´における遮蔽率である。ただし、各地点x(グリッドマップの各セル)における遮蔽率は、各地点xに進入する方向に応じた可視率Vindexのデータに従って算出される。この第3要素は、可視率(見通し)に関する要素である。k、k、kは重み係数であり、たとえば、k=1、k=0、k=0の場合、移動距離が最も短い経路が算出される。
図24(A)には、一例として、それぞれの重み係数をk=0.9、k=0.019、k=1.5として実施例の手法(数6)に従って算出した経路が示される。この重み係数は、被験者が手動で走行した実験で得られた平均的な経路に、実施例の手法に従って算出した経路が一致ないし近似する経路になるようにしてある。なお、被験者は、男性14名と女性16名の計30名であり、平均年齢は21.5歳である。また、図24(B)には、比較対象として、従来の最短距離または最短時間経路を求める移動経路計画に従って算出された経路が示される。図24(A)および(B)からも分かるように、数6に従って算出された経路は、従来の手法で算出された経路に比べて、曲がり角を少し膨らんで曲がることがわかる。
また、本実施例の手法を用いて経路を算出するにあたって、よりスムーズな経路が算出されるグリッドマップの作成方法を説明する。具体的には、本実施例の手法で用いられるグリッドマップの形状が、現実の通路の形状に応じた単純な形状にされる。
現実の通路の形状は、ドアがあったり、通路の壁に凹凸があったり、通路の幅が変化したりして、幅が一定ではない。このような現実の通路の形状に合わせて算出された経路は、通路の幅の変化に合わせて変化してしまう。これは、上述したように、移動経路を算出する場合には、安心感mcomfort(x)が考慮され、移動経路は移動体10と壁の距離が一定距離となるように算出されるからである。このように経路が変化すると、それに従って移動体10も左右の方向に移動する(蛇行する)ため、移動体10の乗り心地が悪くなることに加え、経路を算出するコンピュータ12の負荷が増大するなどの弊害がある。
このような不都合を回避するために、この実施例では、通路の幅が一定になるように、グリッドマップを調整(補正)してある。
たとえば、移動体10が環境内を自動走行し、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)の手法を用いることにより、距離センサ18a、18b、18cで検出される距離データに従って現実の通路を測定した地図(以下、「形状地図」という。)が生成される。この形状地図では、図25に示すように、現実の通路のままであるので、通路の幅が細かく変化している。ただし、形状地図は、安心感のモデルを適用していないグリッドマップである。
この現実の形状地図から拡張ボロノイグラフを利用して、位相幾何的地図が作成される。この位相幾何的地図から直線通路が抽出され、直線通路の進行方向の垂直と壁が交差する幅が通路の幅に決定される。つまり、通路が一定の幅に近似される。
このように通路の幅が一定の幅に近似された形状地図(グリッドマップ)において、各セルに壁との距離に基づく安心感および可視率に基づく安心感のモデルを適用したグリッドマップが作成される。
ただし、図25では、安心感の大きさ(レベル)については図示を省略してある。
図26(A)に示すように、このように作成された安心感モデルを適用したグリッドマップは、図26(B)に示す形状地図と比較して、通路の凹凸などによって通路の幅が変化する領域を除外することにより、直線部分のみで構成され、かつ各直線の通路の幅が一定にされるので、単純な形状になる。
たとえば、図26(A)からも分かるように、図面右下の曲がり角における現実の形状は、図面の上から下向きに走行する場合に、通路の幅が広くなるように変化する。一方、安心感モデルを適用したグリッドマップでは、図面右下の曲がり角において通路の幅が広くなる部分が除外される。また、図面中央の直線部分における現実の形状は、通路の壁に凹凸があり通路の幅が細かく変化する。一方、安心感モデルを適用したグリッドマップでは、図面中央の直線部分において通路の幅が細かく変化する部分が除外される。
そして、数6を用いて算出した経路を実際に走行する移動体10に乗るユーザの安心感および快適性との関係を定量化するための実験を行った。
実験においては、自動走行する移動体10に被験者が乗り、図27に示すような2つの曲がり角を含む通路において、移動体10を走行させた。実験で走行する経路は、従来の手法に従って算出された最短経路と、本実施例の手法に従って算出された経路(数6に従って算出された経路)との2種類である。また、従来の手法に従って算出された最短経路は、上述した形状地図(安心感モデルを適用していないグリッドマップ)が用いられており、本実施例の手法に従って算出された経路は、上述したように、壁との距離に基づく安心感および可視率に基づく安心感のモデルを適用したグリッドマップが用いられている。
そして、実験では、一人の被験者につき、時計回りにそれぞれの経路を1回ずつ走行させるとともに、反時計回りにもそれぞれの経路を1回ずつ走行させ、合計4回試行した。なお、図27(A)および(B)では、破線で示されるのが従来の手法に従って算出された最短経路であり、実線で示されるのが本実施例の手法に従って算出された経路である。図27(A)および(B)からも分かるように、本実施例の手法に従って算出された経路は、従来の経路に比べて、見通しの良し悪しに関わらず、少し膨らんで曲がり角を曲がるように算出される。
また、被験者は、男性14名と女性16名の計30名であり、平均年齢は21.5歳である。さらに、被験者は、試行毎に、それぞれの経路で感じた安心感および快適性を5段階で評価した。ただし、安心感については、安心感が最も大きい(恐怖感が小さい)場合を「5」とし、安心感が最も小さい(恐怖感が大きい)場合を「1」とした。また、快適性については、快適性が最も大きい場合を「5」とし、快適性が最も小さい場合を「1」とした。その集計結果(実験結果)が図26に示される。図28(A)に示す集計結果は、全被験者の各試行における安心感の数値を示す棒グラフである。また、図28(B)に示す集計結果は、全被験者の各試行における快適性の数値を示す棒グラフである。
図28(A)および(B)を参照して分かるように、実験結果によれば、本実施例の手法に従って算出された経路は、従来の経路に比べて、安心感が大きいことがわかる。また、「4」以上を安心だと感じるとすると、従来の経路は、30名のうち15名、つまり50%の人が安心だと感じたにとどまる。一方、本実施例の手法に従って算出された経路は、30名のうち22名、つまり73%の人が安心だと感じている。
さらに、実験結果によれば、本実施例の手法に従って算出された経路は、従来の経路に比べて、快適性が高いことがわかる。また、「4」以上を快適だと感じるとすると、従来の経路は、30名のうち13名、つまり43%の人が快適だと感じたにとどまる。一方、本実施例の手法に従って算出された経路は、30名のうち19名、つまり63%の人が快適だと感じている。
図29は図1に示したRAM12bのメモリマップ300の一例を示す図解図である。図29に示すように、RAM12bは、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302には、情報処理プログラムが記憶され、この情報処理プログラムは、メイン処理プログラム302a、経路算出プログラム302bおよび移動制御プログラム302cなどを含む。
メイン処理プログラム302aは、移動体10を制御するためのメインルーチンを処理するためのプログラムである。経路算出プログラム302bは、移動体10の移動経路を算出するためのプログラムである。たとえば、この経路算出プログラム302bが実行されると、数6に示した数式に従って、移動距離が短く、高い安心感を得られ、かつ見通しの良いセルが順次選択されて、スタート位置SPからゴール位置GPまでの移動経路が算出される。移動制御プログラム302cは、移動経路に従って移動体10を移動させるためのプログラムである。ただし、移動制御プログラム302cに従えば、障害物を検出したことに応じて、当該障害物を回避するように、移動体10が移動される場合もある。
なお、図示および詳細な説明は省略するが、プログラム記憶領域302には、他のコンピュータと通信するためのプログラム、障害物を検出するためのプログラム、移動体10の位置を推定するためのプログラムなども記憶される。
また、データ記憶領域304には、マップデータ304a、スタート位置データ304b、ゴール位置データ304cおよび経路データ304dなどが記憶される。
マップデータ304aは、移動体10を走行させる環境についてのグリッドマップのデータであり、各セル(地点x)に対応して、安心感mcomfort(x)および8つの方向の各々の可視率vindex(x)が割り当てられている。本実施例では、マップデータ304aは、壁との距離に基づく安心感および可視率に基づく安心感のモデルを適用したグリッドマップのデータである。このマップデータ304aは、予め生成されてコンピュータ12に入力されたり、コンピュータ12内部のHDD12cに予め記憶されたりして、RAM12bに読み込まれる。
スタート位置データ304bは、移動経路を算出する場合のスタート位置SPについてのデータ(2次元座標データ)である。ゴール位置データ304cは、移動経路を算出する場合のゴール位置GPについての2次元座標データである。たとえば、スタート位置SPおよびゴール位置GPは、他のコンピュータ(ホストコンピュータ)からコンピュータ12に入力される。ただし、ユーザがスタート位置SPおよびゴール位置GPをコンピュータ12に入力してもよい。経路データ304dは、経路算出プログラム302bに従って算出された移動経路についてのデータである。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、情報処理のために必要な他のデータ(距離データまたは回転数データなど)が記憶されたり、カウンタ(タイマ)またはフラグが設けられたりする。
図30は、図1に示したCPU12aの経路算出処理のフロー図である。スタート位置SPおよびゴール位置GPが入力されるとともに、移動経路の算出が指示されると、CPU12aは、図30に示すように、経路算出処理を開始し、ステップS1で、スタート位置SPおよびゴール位置GPを設定する。ここでは、CPU12aは、スタート位置SPとして設定されたセルを記憶するとともに、ゴール位置GPとして設定されたセルを記憶する。つまり、スタート位置SPとして決定されたセルの2次元座標データおよびゴール位置GPとして決定されたセルの2次元座標データが記憶される。これらの2次元座標データは、経路データ304dに含まれる。
次のステップS3では、次に移動体10が進むべきセルを決定する。ここでは、CPU12aは、直前に選択されたセルの近傍にある複数のセルの各々について数6に従ってコスト関数f(x)を算出し、コスト関数f(x)が最小になるセルを、次に移動体10が進むべきセルとして決定する。つまり、移動距離が短く、見通しの良い場所のみならず、見通しの悪い場所においても安心かつ安全な領域を走行する経路が算出される。このとき、グリッドマップのセル(地点x)に対応して記憶された安心感mcomfort(x)および進入方向に応じた可視率vindex(x)の値が取得される。ただし、重みk、k、kは予め設定されている。
なお、この実施例ではコスト関数f(x)が最小になるセルが複数存在する場合には、安心感mcomfort(x)の値が大きい方のセルが選択されるように設定してある。ただし、コスト関数f(x)が最小になるセルが複数存在する場合に、可視率vindex(x)の値が大きい方のセルが選択されるように設定しても良いし、ユーザの操作によって優先する値を切り替え可能にしていても良い。また、複数のセルの安心感mcomfort(x)または可視率vindex(x)の値が同じ場合には、最短距離になるセルが選択されても良いし、その複数のセルの中からランダムに1つのセルが選択されても良い。
続いて、ステップS5では、ステップS3で決定されたセルを記憶する。つまり、CPU12aは、スタート位置SPとゴール位置GPとの間で、時系列に並ぶように、今回決定されたセルの2次元座標データを記憶する。この2次元座標データも経路データ304dに含まれる。
そして、ステップS7では、経路の算出を終了したかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、ゴール位置GPまでの経路を算出したかどうかを判断する。ステップS7で“NO”であれば、つまり経路の算出を終了していなければ、ステップS3に戻る。一方、ステップS7で“YES”であれば、つまり経路の算出を終了すれば、経路算出処理を終了する。
この実施例によれば、移動距離が短く、見通しの良い場所のみならず、見通しの悪い場所においても安心かつ安全な領域を走行する経路を算出できる。
また、この実施例によれば、グリッドマップにおける通路の形状を、現実の通路の形状に応じた単純な形状にし、よりスムーズな経路を算出することができるので、移動体10の乗り心地を向上させ、経路を算出するコンピュータ12の負荷を軽減させることができる。
なお、上述した実施例では、移動体の例として電気車いすを示したが、これに限定される必要はない。人を乗せて自動走行可能であれば、他の移動体であっても構わない。
また、上述した実施例では、複数の被験者が回答して得られた安心感と、可視率との関係から安心感のモデルを生成して、これを経路算出に反映させたが、実際に移動体に乗るユーザの安心感を反映させるようにしてもよい。また、移動体の速度または障害物からの距離または一義的な可視率に拘わらず、たとえば、移動体に乗っているユーザの脳波、心拍数(脈拍数)、皮膚コンダクタンス(発汗量)、単位時間における瞬きの回数などの少なくとも1つを計測して、計測結果から安心感を求めるようにしてもよい。
さらに、上述した実施例では、A*探索アルゴリズムを用いるようにしたが、これに限定される必要はない。D*アルゴリズム、D*LiteアルゴリズムまたはDijkstra(ダイクストラ)アルゴリズムを用いることもできる。D*アルゴリズムまたはD*Liteアルゴリズムを用いる場合には、たとえば扉が開閉されることによって、環境が変化し、移動経路を再計算する際の効率が高いという利点がある。
加えて、実際の走行中に移動体10からの可視率を算出して、当該可視率が低い箇所を通過する場合に、移動体10の移動速度を低速にする速度制御手段を備える構成にしてもよい。かかる場合には、動的に変化する障害物も考慮した可視率を算出して、移動速度を制御することができると考えられる。
さらにまた、上述した実施例で示した具体的な数値は単なる一例であり、限定されるべきではなく、実施される製品等に応じて適宜変更可能である。
10 …移動体
12 …コンピュータ
12a …CPU
12b …RAM
12c …HDD
16 …操作レバー
18a、18b …距離センサ
20a、20b …モータドライバ
22a、22b …モータ
24a、24b …エンコーダ
32a、32b …前輪
34a、34b …後輪

Claims (7)

  1. 人間を乗せて自動走行する移動体の移動経路を算出する経路算出装置であって、
    前記移動体を走行させる環境のうち、走行可能であって視認可能な領域である第1視認可能領域、走行不可能であって視認可能な領域である第2視認可能領域、および走行不可能であり視認不可能である視認不可能領域を示す経路情報、および予め設定された前記移動体の仮想視界領域を示す仮想視界領域情報に基づいて算出される前記移動体からの可視率のレベルと、経験的に得た安心感のレベルとを各セルに割り当てたグリッドマップを記憶した記憶手段、および
    前記移動体をスタート位置からゴール位置まで移動させる場合に、前記グリッドマップの各セルに割り当てられた前記移動体からの前記可視率のレベルおよび前記安心感のレベルを参照して、移動距離が短い、前記安心感のレベルが高い、かつ前記可視率のレベルが高い経路を算出する算出手段を備える、経路算出装置。
  2. 前記グリッドマップの各セルに割り当てられた前記移動体からの可視率のレベルは、当該各セルに対する進入方向毎にレベルが設定されている、請求項1記載の経路算出装置。
  3. 前記進入方向は、前記各セルの4つの辺に垂直な直線方向および当該4つの辺に対して斜めの方向である、請求項2記載の経路算出装置。
  4. 前記算出手段は、前記移動距離、前記安心感のレベル、および前記可視率のレベルのそれぞれに、経験的に得た重み付けをして経路を算出する、請求項1ないし3のいずれかに記載の経路算出装置。
  5. 前記グリッドマップにおいて、前記移動体を走行させる環境のうち、走行可能な領域は、予め測定した形状地図から幾何的な直線通路を抽出し、当該幾何的な直線通路に所定の幅を与えることによって作成される、請求項1ないし4のいずれかに記載の経路算出装置。
  6. 移動体を走行させる環境についてのマップであって、走行可能領域および走行不可能領域を示す経路情報、および予め設定された前記移動体の仮想視界領域を示す仮想視界領域情報に基づいて算出される前記移動体からの可視率のレベルと、経験的に得た安心感のレベルとを各セルに割り当てたグリッドマップを記憶した記憶手段を備え、人間を乗せて自動走行する移動体の移動経路を算出する経路算出プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記移動体のスタート位置とゴール位置を設定する設定ステップ、および
    設定した前記スタート位置から前記ゴール位置まで前記移動体を移動させる場合に、前記グリッドマップの各セルに割り当てられた前記移動体からの前記可視率のレベルおよび前記安心感のレベルを参照して、移動距離が短い、前記安心感のレベルが高い、かつ前記可視率のレベルが高い経路を算出する算出ステップを実行させる、経路算出プログラム。
  7. 移動体を走行させる環境についてのマップであって、走行可能領域および走行不可能領域を示す経路情報、および予め設定された前記移動体の仮想視界領域を示す仮想視界領域情報に基づいて算出される前記移動体からの可視率のレベルと、経験的に得た安心感のレベルとを各セルに割り当てたグリッドマップを記憶した記憶手段を備え、人間を乗せて自動走行する移動体の移動経路を算出するコンピュータの経路算出方法であって、
    前記コンピュータは、
    前記移動体のスタート位置とゴール位置を設定し、そして
    設定した前記スタート位置から前記ゴール位置まで前記移動体を移動させる場合に、前記グリッドマップの各セルに割り当てられた前記移動体からの前記可視率のレベルおよび前記安心感のレベルを参照して、移動距離が短い、前記安心感のレベルが高い、かつ前記可視率のレベルが高い経路を算出する、経路算出方法。
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