JP2016216810A - 被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
C :0.10〜0.40%、
Si:0.01〜0.30%、
Mn:0.30〜1.00%、
P :0.0001〜0.020%、
S :0.010〜0.10%、
Al:0.001〜0.10%、
N :0.0001〜0.020%、
O :0.0001〜0.020%
Ti:0.0001〜0.010%、
B :0〜0.0005%
を含み、残部がFe及び不純物からなり、
フェライト粒内の炭化物の個数に対するフェライト粒界の炭化物の個数の比率が1を超え、
フェライト粒径が5.0μm以上であり、
ビッカース硬さが100HV以上180HV以下である
ことを特徴とする被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板。
Cr:0.001〜0.50%、
Mo:0.001〜0.50%、
Nb:0.001〜0.10%、
V :0.001〜0.10%、
Cu:0.001〜0.10%、
W :0.001〜0.10%、
Ta:0.001〜0.10%、
Ni:0.001〜0.10%、
Sn:0.001〜0.050%、
Sb:0.001〜0.050%、
As:0.001〜0.050%、
Mg:0.0001〜0.050%、
Ca:0.001〜0.050%、
Y :0.001〜0.050%、
Zr:0.001〜0.050%、
La:0.001〜0.050%、
Ce:0.001〜0.050%の1種又は2種以上を含む
ことを特徴とする前記(1)に記載の被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板。
前記(1)又は(2)に記載の成分組成の鋼片を、直接、又は、一旦冷却後加熱して、熱間圧延に供し、650℃以上950℃以下の温度域で仕上げ熱延を完了し、400℃以上600℃以下で巻き取った熱延鋼板に、酸洗後、2つの温度域で保持する2段ステップ型の箱焼鈍を施す際、
(i-1)1段目の焼鈍において、熱延鋼板に、焼鈍温度まで30℃/時間以上150℃/時間以下の加熱速度で加熱し、650℃以上720℃以下の温度域に3時間以上60時間以下保持する焼鈍を施し、
(i-2)2段目の焼鈍において、熱延鋼板に、焼鈍温度まで1℃/時間以上80℃/時間以下の加熱速度で加熱し、725℃以上790℃以下の温度域に3時間以上50時間以下保持する焼鈍を施し、次いで、
(ii)焼鈍後の熱延鋼板を、650℃まで、冷却速度1℃/時間以上100℃/時間以下で冷却し、その後、室温まで冷却する
ことを特徴とする被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板の製造方法。
C :0.10〜0.40%、
Si:0.01〜0.30%、
Mn:0.30〜1.00%、
P :0.0001〜0.020%、
S :0.010〜0.10%、
Al:0.001〜0.10%、
N :0.0001〜0.020%、
O :0.0001〜0.020%
Ti:0.0001〜0.010%、
B :0〜0.0005%
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
フェライト粒内の炭化物の個数に対するフェライト粒界の炭化物の個数の比率が1を超え、
フェライト粒径が5.0μm以上であり、
ビッカース硬さが100HV以上180HV以下である
ことを特徴とする。
本発明鋼板の成分組成の鋼片を、直接、又は、一旦冷却後加熱して、熱間圧延に供し、650℃以上950℃以下の温度域で仕上げ熱延を完了し、400℃以上600℃以下で巻き取った熱延鋼板に、酸洗後、2つの温度域で保持する2段ステップ型の箱焼鈍を施す際、
(i-1)1段目の焼鈍において、熱延鋼板に、焼鈍温度まで30℃/時間以上150℃/時間以下の加熱速度で加熱し、650℃以上720℃以下の温度域に3時間以上60時間以下保持する焼鈍を施し、
(i-2)2段目の焼鈍において、熱延鋼板に、焼鈍温度まで1℃/時間以上80℃/時間以下の加熱速度で加熱し、725℃以上790℃以下の温度域に3時間以上50時間以下保持する焼鈍を施し、次いで、
(ii)焼鈍後の熱延鋼板を、650℃まで、冷却速度1℃/時間以上100℃/時間以下で冷却し、その後、室温まで冷却する
ことを特徴とする。
Cは、鋼中で炭化物を形成し、鋼の強化及びフェライト粒の微細化に有効な元素である。冷間加工における梨地の発生を抑制し、冷間鍛造部品の表面美観を確保するためには、フェライト粒径の粗大化を抑制することが必須である。0.10%未満では、炭化物の体積率が不足し、箱焼鈍中のフェライトの粗大化を抑制することができないので、Cは0.10%以上とする。好ましくは0.11%以上である。
Siは、脱酸剤として作用し、また、炭化物の形態に影響を及ぼす元素である。フェライト粒内の炭化物の個数を減らし、フェライト粒界上の炭化物の個数を増やすためには、2段ステップ型の箱焼鈍により、焼鈍中に、オーステナイト相を生成させ、一旦、炭化物を溶解させた後、徐冷し、フェライト粒界への炭化物の生成を促進する必要がある。
Mnは、2段ステップ型の箱焼鈍において、炭化物の形態を制御する元素である。0.30%未満では、2段目の焼鈍後の徐冷において、フェライト粒界上に炭化物を生成させることが困難となるので、Mnは0.30%以上とする。好ましくは0.33%以上である。一方、1.00%を超えると、焼入れ焼戻し後の靭性が低下するので、Mnは1.00%以下とする。好ましくは0.96%以下である。
Pは、フェライト粒界に偏析し、粒界炭化物の生成を抑制する元素である。少ないほど好ましいが、精錬工程にて0.0001%未満に高純度化すると、精錬時間が長くなり、精錬コストが大幅に増加するので、Pは0.0001%以上とする。好ましくは0.0013%以上である。
Sは、鋼の被切削性と耐摩耗性に大きな影響を及ぼす元素である。被切削性への影響については、Sは、フェライトとセメンタイトの界面に濃化して、その界面の剥離を促す元素であり、この界面剥離の効果によって、被切削性が向上する。
Alは、鋼の脱酸剤として作用し、フェライトを安定化する元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Alは0.001%以上とする。好ましくは0.004%以上である。一方、0.10%を超えると、粒界上の炭化物の個数割合が低下し、被切削性が低下するので、Alは0.10%以下とする。好ましくは0.09%以下である。
Nは、フェライト粒界に偏析し、粒界上の炭化物の生成を抑制する元素である。少ないほど好ましいが、0.0001%未満に低減すると、精錬コストが大幅に増加するので、Nは0.0001%以上とする。好ましくは0.0006%以上である。
Oは、鋼中に酸化物の生成を促す元素である。フェライト粒内に存在する酸化物は炭化物の生成サイトとなるので、Oは少ないほうが好ましいが、0.0001%未満に低減すると、精錬コストが大幅に増加するので、Oは0.0001%以上とする。好ましくは0.0006%以上である。
Tiは、炭化物の形態の制御に重要な元素であり、多量の添加で、フェライト粒内の炭化物の生成を促す元素である。Tiは、少ないほど好ましいが、0.0001%未満に低減すると、精錬コストが大幅に増加するので、Tiは0.0001%以上とする。好ましくは0.0006%以上である。
Bは、フェライトと炭化物の界面に濃化し、フェライトと炭化物の界面へのSの偏析を抑制する元素である。Bは、少ないほど好ましいが、0.0001%未満の同定には分析に細心の注意を払う必要があるとともに、分析装置によっては検出下限に至るので、0%を下限とする。好ましくは0.0001%以上である。
Crは、2相域焼鈍時における炭化物の安定化に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Crは0.001%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、0.50%を超えると、摩耗環境に鋼部品を投じた際に、潤滑油/鋼表面へのSを主体としたトライボフィルムの生成が抑制され、耐摩耗性が低下するので、Crは0.50%以下とする。好ましくは0.30%以下である。
Moは、Crと同様に、2相域焼鈍時における炭化物の安定化に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Moは0.001%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、0.50%を超えると、炭化物中へのMoの濃化により炭化物の硬さが増加し、被切削性が低下するので、Moは0.50%以下とする。好ましくは0.30%以下である。
Nbは、炭化物の形態制御に有効な元素であり、その添加により、組織を微細化し、靭性の向上に寄与する元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Nbは0.001%以上とする。好ましくは0.002%以上である。
Vも、Nbと同様に、炭化物の形態制御に有効な元素であり、その添加により、組織を微細化し、靭性の向上に寄与する元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Vは0.001%以上とする。好ましくは0.004%以上である。
Cuは、フェライトの結晶粒界に偏析する元素であるとともに、微細な析出物を形成し、強度の向上に寄与する元素である。0.001%未満では、強度向上効果が十分に得られないので、Cuは0.001%以上とする。好ましくは0.008%以上である。一方、0.10%を超えると、赤熱脆性を招き、熱延での生産性が低下するので、Cuは0.10%以下とする。好ましくは0.09%以下である。
Wも、Nb、Vと同様に、炭化物の形態制御に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Wは0.001%以上とする。好ましくは0.003%以上である。一方、0.10%を超えると、微細なW炭化物が多数析出し、強度が上昇しすぎるとともに、粒界炭化物の個数比率が低下し、被切削性が低下するので、Wは0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下である。
Taも、Nb、V、Wと同様に、炭化物の形態制御に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Taは0.001%以上とする。好ましくは0.007%以上である。一方、0.10%を超えると、微細なW炭化物が多数析出し、強度が上昇しすぎるとともに、粒界炭化物の個数比率が低下し、被切削性が低下するので、Taは0.10%以下とする。好ましくは0.09%以下である。
Niは、部品の耐摩耗特性の向上に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Niは0.001%以上とする。好ましくは0.002%以上である。一方、0.10%を超えると、粒界炭化物の個数比率が低下し、被切削性が低下するので、Niは0.10%以下とする。好ましくは0.09%以下である。
Snは、鋼原料(スクラップ)から鋼中に混入して粒界に偏析し、粒界炭化物の個数比率を低下させる元素である。少ないほど好ましいが、0.001%未満へ低減すると、精錬コストが大幅に増加するので、Snは0.001%以上とする。好ましくは0.002%以上である。一方、0.050%を超えると、フェライトが脆化し、耐摩耗性が低下するので、Snは0.050%以下とする。好ましくは0.048%以下である。
Sbは、Snと同様に、鋼原料(スクラップ)から鋼中に混入して粒界に偏析し、粒界炭化物の個数比率を低下させる元素である。少ないほど好ましいが、0.001%未満へ低減すると、精錬コストが大幅に増加するので、Sbは0.001%以上とする。好ましくは0.002%以上である。一方、0.050%を超えると、フェライトが脆化し、耐摩耗性が低下するので、Sbは0.050%以下とする。好ましくは0.048%以下である。
Asは、Sn、Sbと同様に、鋼原料(スクラップ)から鋼中に混入して粒界に偏析し、粒界炭化物の個数比率を低下させる元素である。少ないほど好ましいが、0.001%未満へ低減すると、精錬コストが大幅に増加するので、Asは0.001%以上とする。好ましくは0.002%以上である。一方、0.050%を超えると、粒界炭化物の個数比率が低下し、被切削性が低下するので、Asは0.050%以下とする。好ましくは0.045%以下である。
Mgは、微量の添加で硫化物の形態を制御できる元素である。0.0001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Mgは0.0001%以上とする。好ましくは0.0008%以上である。一方、0.050%を超えると、粗大な介在物が生成し、耐摩耗性が低下するので、Mgは0.050%以下とする。好ましくは0.049%以下である。
Caは、Mgと同様に、微量の添加で硫化物の形態を制御できる元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Caは0.001%以上とする。好ましくは0.003%以上である。一方、0.050%を超えると、粗大なCa酸化物が生成し、摩耗環境下で割れ発生の起点となるので、Caは0.050%以下とする。好ましくは0.043%以下である。
Yは、Mg、Caと同様に、微量の添加で硫化物の形態を制御できる元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Yは0.001%以上とする。好ましくは0.003%以上である。一方、0.050%を超えると、粗大なY酸化物が生成し、耐摩耗性が低下するので、Yは0.050%以下とする。好ましくは0.031%以下である。
Zrは、Mg、Ca、Yと同様に、微量の添加で硫化物の形態を制御できる元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、Zrは0.001%以上とする。好ましくは0.004%以上である。一方、0.050%を超えると、粗大なZr酸化物が生成し、耐摩耗性が低下するので、Zrは0.050%以下とする。好ましくは0.045%以下である。
Laは、微量の添加で硫化物の形態制御に有効な元素であるが、粒界に偏析し、粒界炭化物の個数比率を低下させる元素でもある。0.001%未満では、形態制御効果が十分に得られないので、Laは0.001%以上とする。好ましくは0.003%以上である。一方、0.050%を超えると、粒界炭化物の個数比率が低下し、被切削性が低下するので、Laは0.050%以下とする。好ましくは0.047%以下である。
Ceは、Laと同様に、微量の添加で硫化物の形態を制御できる元素であるが、粒界に偏析し、粒界炭化物の個数比率を低下させる元素でもある。0.001%未満では、形態制御効果が十分に得られないので、Ceは0.001%以上とする。好ましくは0.004%以上である。一方、0.050%を超えると、粒界炭化物の個数比率が低下し、被切削性が低下するので、Ceは0.050%以下とする。好ましくは0.046%以下である。
所定の成分組成を有する連続鋳造スラブを、そのまま、又は、一旦冷却後加熱して、熱間圧延に供し、650℃以上950℃未以下の温度域で仕上げ熱延を完了し、熱延鋼板を、400℃以上600℃以下の温度域で巻き取る。
焼鈍温度への加熱速度:30℃/時間以上150℃/時間以下
焼鈍温度:650℃以上720℃以下
保持時時:3時間以上60時間以下
焼鈍温度までの加熱速度:1℃/時間以上80℃/時間以下
焼鈍温度:725℃以上790℃以下
保持時間:3時間以上50時間以下
冷却停止温度:650℃
冷却速度:1℃/時間以上100℃/時間以下
2段目の焼鈍における保持が完了した後、650℃まで冷却速度1℃/時間以上100℃/時間以下で冷却する。
Claims (3)
- 成分組成が、質量%で、
C :0.10〜0.40%、
Si:0.01〜0.30%、
Mn:0.30〜1.00%、
P :0.0001〜0.020%、
S :0.010〜0.10%、
Al:0.001〜0.10%、
N :0.0001〜0.020%、
O :0.0001〜0.020%、
Ti:0.0001〜0.010%、
B :0〜0.0005%
を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
フェライト粒内の炭化物の個数に対するフェライト粒界の炭化物の個数の比率が1を超え、
フェライト粒径が5.0μm以上であり、
ビッカース硬さが100HV以上180HV以下である
ことを特徴とする被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板。 - 前記成分組成が、さらに、質量%で、
Cr:0.001〜0.50%、
Mo:0.001〜0.50%、
Nb:0.001〜0.10%、
V :0.001〜0.10%、
Cu:0.001〜0.10%、
W :0.001〜0.10%、
Ta:0.001〜0.10%、
Ni:0.001〜0.10%、
Sn:0.001〜0.050%、
Sb:0.001〜0.050%、
As:0.001〜0.050%、
Mg:0.0001〜0.050%、
Ca:0.001〜0.050%、
Y :0.001〜0.050%、
Zr:0.001〜0.050%、
La:0.001〜0.050%、
Ce:0.001〜0.050%の1種又は2種以上を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板。 - 請求項1又は2に記載の被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板を製造する製造方法であって、
請求項1又は請求項2に記載の成分組成の鋼片を、直接、又は、一旦冷却後加熱して、熱間圧延に供し、650℃以上950℃以下の温度域で仕上げ熱延を完了し、400℃以上600℃以下で巻き取った熱延鋼板に、酸洗後、2つの温度域で保持する2段ステップ型の箱焼鈍を施す際、
(i-1)1段目の焼鈍において、熱延鋼板に、焼鈍温度まで30℃/時間以上150℃/時間以下の加熱速度で加熱し、650℃以上720℃以下の温度域に3時間以上60時間以下保持する焼鈍を施し、
(i-2)2段目の焼鈍において、熱延鋼板に、焼鈍温度まで1℃/時間以上80℃/時間以下の加熱速度で加熱し、725℃以上790℃以下の温度域に3時間以上50時間以下保持する焼鈍を施し、次いで、
(ii)焼鈍後の熱延鋼板を、650℃まで、冷却速度1℃/時間以上100℃/時間以下で冷却し、その後、室温まで冷却する
ことを特徴とする被切削性及び焼入れ焼戻し後の耐摩耗特性に優れる低炭素鋼板の製造方法。
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