JP2016206164A - フィルタベント装置 - Google Patents

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Takanobu Sugo
高信 須郷
鈴木 晃一
Koichi Suzuki
晃一 鈴木
藤原 邦夫
Kunio Fujiwara
邦夫 藤原
斎藤 恭一
Kyoichi Saito
恭一 斎藤
佳苗 高橋
Kanae Takahashi
佳苗 高橋
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Abstract

【課題】シビアアクシデント時に環境中に放出される放射性物質を低減できるフィルタベント装置を提供する。
【解決手段】フィルタベント装置1の中にイオン交換機能、キレート機能又はこれら官能基を利用して無機化合物を担持した吸着機能を有する有機系化学吸着材5を搭載し、ベントされたガス中に含まれる微粒子やガス状の放射性物質を極力低減する。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
本発明は原子炉格納容器内で事故が発生したとき、格納容器の破損を防止するために、原子炉格納容器に接続され、原子炉格納容器から外部に放出される蒸気を含むガスに含まれる放射性物質を除去する放射性物質除去用フィルタを搭載したベント装置に関するものである。
原子炉では、シビアアクシデントが発生した際、原子炉格納容器内の蒸気を含むガスを外部に放出するベントによって、原子炉格納容器の内圧を低下させる。このベントにおいて、原子炉格納容器内から放出されるガスには放射性物質が含まれるため、これを除去しないと環境中に放射性物質が放出される。放射性物質を環境中に放出することは極力避けねばならない。
そのため、ベント装置には放射性物質を除去するための装置が付設されている。例えば、特許文献1では、原子炉格納容器から放出された気体を洗浄水中に通し、さらに繊維層に通すことによって、水分を凝縮させる。この処理によって、微粒子状の放射性物質を除去している。
特許文献1のように、容器の内部にフィルタを設けたベント装置(以下、フィルタベント装置)によれば、従来のベント装置よりも効率的に微小なエアロゾル(粒子として扱われる場合がある)や微粒子を捕捉することができるものの、特許文献1の構成であると、放射性物質の捕捉性能には限界がある。特に、化学的な機能を有していないため、微粒子以外のガス成分に対する除去性能が十分でなく、改良の余地があった。
特許文献2においては、原子炉格納容器からの気体を洗浄水に通す際、気体の吹きだし口に微細気泡を発生させるノズルを取り付けて、水との接触面積を増やし、粒子状放射性物質の洗浄除去効果を高めている。しかしながら、特許文献2の方法においても、エアロゾルや粒子状放射性物質の除去に着目したものであり、粒子もガスも含む放射性物質の除去には十分とは言えない。
特許文献3には、気体の放射性ヨウ素を除去しやすくするため、洗浄水のpHをアルカリ性にすることが提案されている。しかし、代表的な放射性ヨウ素の中でヨウ素や次亜ヨウ素酸に対しては効果があるものの、ヨウ化メチルのような非水溶性の気体を洗浄除去することは難しい。また、周辺から溶け込む硝酸や炭酸ガスによってpHが酸性側に変わるため、ヨウ素を揮発させやすくする状況も想定される。
福島第1原子力発電所におけるシビアアクシデント以降、フィルタベント装置には更なる捕捉性能の向上が求められている。しかしながら、特許文献1、2及び3の方法についても、文献中に記載がある通り、エアロゾルや微粒子を効率よく除去するために提案された技術であることや、放射性ヨウ素の一部しか除去できないため、ガス成分の除去が不十分である。
特開平8−15488 特開2015−45518 特開昭63−253295
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、放射性微粒子の捕捉性能の更なる向上を図り、ベントガスに含まれる放射性微粒子のみならず、放射性ヨウ素をはじめとするガス成分を大幅に低減することが可能なフィルタベント装置を提供することを目的とする。
本発明は次の特徴を有するフィルタベント装置を提供することによって、原子炉格納容器からベントされるガス中の放射性物質を除去し、環境の汚染を極力低減させることを目的とする。
(1)原子炉格納容器が圧力上昇した場合に、圧力を下げるために設置されるフィルタベント装置において、放射性物質を除去できる官能基が導入された有機系化学吸着材が搭載されたフィルタベント装置。
(2)前記、有機系化学吸着材がビーズ状イオン交換樹脂、ビーズ状キレート樹脂、放射線グラフト重合法を利用したイオン交換材料又はキレート吸着材料、さらにそれら吸着材の官能基を利用して無機化合物が担持された吸着材より選択された(1)記載のフィルタベント装置
(3)前記、有機系化学吸着材の官能基が強酸性カチオン交換基であるスルホン酸基、弱酸性カチオン交換基であるカルボキシル基、強塩基性アニオン交換基である4級アンモニウム基、弱塩基性アニオン交換基である3級以下のアミノ基、キレート基がイミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミノリン酸基、アミドキシム基、アミノ酸基より選択されたものである(1)又は(2)記載のフィルタベント装置
(4)前記、官能基を利用して担持させる無機化合物が不溶性フェロシアン酸金属塩、銀又は銀化合物より選択されたものである(1)、(2)又は(3)記載のフィルタベント装置
前記、有機系化学吸着材がガス系統及び/又はガス洗浄液系統に搭載された(1)、(2)、(3)又は(4)記載のフィルタベント装置
原子炉格納容器から放出される放射性物質を含むガスは高温であるため、先ず洗浄水中に通すことにより温度を下げ、かつエアロゾルや微粒子及びガス中の水溶性の放射性物質を除去する。ここで、エアロゾルや微粒子状の放射性物質及びガス成分のうち水に溶解する成分は除去できるが、ヨウ化メチルなどの非水溶性成分は除去が不十分である。
既存の吸着材を利用して放射性物質の除去効率を向上させる試みもあるが、活性炭やゼオライトは水分が多量に存在する環境下では吸着性能が極端に低下する。微細孔を水蒸気又は水が覆うためである。ベント装置では、ベントから放出される高温のガスやエアロゾルを先ず、洗浄水に導入し洗浄する必要があるため、洗浄操作の後段に設置したフィルタや吸着材は常に湿度の高い環境に曝され、水分の凝縮も起こる。このような状況では、吸着サイトが凝縮水や水蒸気で覆われ、吸着性能が低下する。
イオン交換基やキレート基は水の存在下で解離するため、ベントガスのように極めて水分の多いガスをイオン交換やキレート作用により化学吸着することが可能である。活性炭などと異なり、水分が多いほど高い吸着性能が得られる。イオン交換樹脂はイオン交換基を有する有機系化学吸着材を代表するものであり、本発明の有機系化学吸着材として利用できる。また、有機系化学吸着材は減容化が容易であり、廃棄物処理上有利である。
イオン交換樹脂は平均粒径0.5mm程度のビーズ形状のため、水処理においては充填塔方式での吸着が一般的に行われている。フィルタベント装置のフィルタとして使用する場合は、圧力損失が高くなるため、異なる使用方法が好ましい。例えば、スポンジ状の空隙材料にイオン交換樹脂を接着させたものや、粉末イオン交換樹脂を繊維や不織布に接着したもの、練りこませたものや複数のシートに挟み込んだものなどを利用することができる。圧力損失を増大させない使用方法であれば、いかなる方法も利用できる。
イオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有する強酸性カチオン交換樹脂、カルボキシル基を有する弱酸性カチオン交換樹脂、4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換樹脂、3級以下のアミノ基を有する弱塩基性アニオン交換樹脂などを利用できる。
また、キレート基を有する有機系化学吸着材もイオン交換基と同様に考え、利用することができる。イミノジ酢酸基のようなアミノ酸基、エチレンジアミン基やポリエチレンイミンのようなポリアミン、アミノリン酸基、アミドキシム基などを有する吸着樹脂はイオン交換樹脂と同様の方法で使用することができる。
放射線グラフト重合法は既存の高分子材料の形状を生かし、イオン交換基やキレート基のような官能基を導入できるため、本発明のフィルタベント装置に搭載する有機系化学吸着材の製法として最も適している。例えば、繊維や繊維の集合体である撚糸や不織布又は織布などの繊維集合体は気体や液体のフィルタとして既に用いられており、これらを放射線グラフト重合法の基材として使用すれば、粒子とガス成分の両方を除去できる有機系化学吸着材フィルタに成型可能である。
繊維状吸着材は成型加工が容易であるため、吸着機能を導入した撚糸をワインドフィルタに成型加工することによって、微粒子のろ過機能とイオンやガス成分の吸着機能を併せ持たせることができる。吸着機能を有する不織布をプリーツ折りすることによっても同様の機能の複合化ができる。モール状(組みひも状)に加工し、液相中に浮遊させることもできる。
福島第1原子力発電所で見られるように、放出される放射性物質は主として放射性ヨウ素と放射性セシウムである。いずれの放射性物質も、シビアアクシデントにおいては、洗浄水を通過したガス中にも含まれることを前提として対策を立てる必要がある。
放射性ヨウ素の存在形態はヨウ素(I)、次亜ヨウ素酸(HIO)、ヨウ化メチル(CHI)、微粒子に付着したものが主である。この中で、ヨウ化メチルは非水溶性ガスであるため、単なるイオン交換では除去しづらいが、3級アミンを有する弱塩基性アニオン交換体との反応やイオン交換材料に銀化合物担持したもので除去可能であるため、吸着材の親・疎水性や雰囲気中の湿度に影響を受けるが、本発明で利用する有機系化学吸着材の応用で除去できる。
放射性セシウムはセシウムイオンとして存在する場合、カチオン交換体で除去できる。また、微粒子に付着した状態では水分の凝縮、ろ過作用、静電吸着などにより除去される。また、セシウムイオンに対して選択性の大きい不溶性フェロシアン酸金属塩を担持させたものも好適に利用できる。
本発明は洗浄水層を通過したガス成分の除去だけでなく、洗浄水の浄化にも適用できる。洗浄水の水質は一定ではなく、放射性物質の取り込みによる濃度上昇、炭酸ガスなどの酸性ガスの溶解によるpH低下とそれに伴う放射性ヨウ素の再揮散の危険性がある。洗浄水の水質を安定させることで、放射性物質を安定的に除去できる。また、pH低下による放射性ヨウ素再飛散の危険を回避できる。
本発明により、シビアアクシデントにより原子炉格納容器の内圧が高くなることを防止するために、原子炉格納容器の外に付設されたフィルタベント装置の放射性物質除去性能を極めて高くすることができ、環境中への放射性物質の拡散を小さく抑えることができる。しかも、有機系化学吸着材を利用するため、放射性廃棄物の減容も可能である。
本発明の基本思想を示す有機系化学吸着材を搭載したフィルタベント装置の概略図 既存の金属フィルタと有機系化学吸着材を併用したフィルタベント装置の概略図 有機系化学吸着材をガス系統及び洗浄水系統に搭載したフィルタベント装置の概略図 有機系化学吸着材を洗浄水中に浸漬させたフィルタベント装置の概略図 フィルタベント装置に搭載する放射線グラフト重合法を利用した有機系化学吸着材の製造方法(一例) 吸着繊維を利用したワインドフィルタ 吸着繊維を用いたモール状吸着材
本発明の実施形態を図に示しながらさらに詳細に説明する。なお、図は本発明の基本思想を示す図であり、簡素化を図っている。
図1は有機系化学吸着材5がフィルタベント装置1の上部に設置された本発明のフィルタベント装置の概略図である。原子炉格納容器から放出されるベントガスは導入管2より、フィルタベント装置に入る。ベントされたガスは先ず洗浄水層3に入り、エアロゾルや微粒子、さらに水溶性ガス成分が洗浄除去される。洗浄後のガスはフィルタベント装置の上部に設置された吸着材層5を通過し、ここでさらに放射性物質が除去された後、排気される。
吸着材層5には、イオン交換樹脂やイオン交換繊維、キレート樹脂やキレート繊維、これらの吸着機能を利用してフェロシアン酸金属塩不溶化物や塩化銀などの無機化合物を担持した無機化合物から選択された有機系化学吸着材が搭載されている。放出される放射性物質の種類に応じて吸着材を選択できる。代表的な放射性物質である放射性ヨウ素の存在形態はヨウ素(I)、次亜ヨウ素酸(HIO)、ヨウ化メチル(CHI)、エアロゾルや微粒子に付着したものが主といわれているが、水層を通過する段階で水溶性のヨウ素やエアロゾル、微粒子に付着したものは多くが除去される。ヨウ化メチルは水層での洗浄除去が難しいため、一部が洗浄水層を通過し吸着材層に入る。また、水層で除去されなかった水溶性の放射性ヨウ素や水層で除去されたが、pH等の変化によって再放出されたヨウ素が吸着材層5に入る。
吸着材層5を構成する吸着材の構成成分は、ヨウ素(I)や次亜ヨウ素酸(HIO)に対して吸着能力が高い4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換体が適している。また3級アミンのような弱塩基性アニオン交換体も好適に利用できる。窒素原子に非共有電子対を有する3級アミンは、ヨウ化メチルの吸着に利用できる。また、塩化銀などの銀化合物を担持したものも好適に利用できる。
また、放射性セシウム除去用に強酸性カチオン交換体からなる吸着材層を形成しておくことも重要である。放射性ヨウ素の半減期が8日間と短期間であるのに対し、放射性セシウムは約30年と長く、もし放出された場合に長期間の放射性セシウムによる環境汚染が続く。フィルタ部は水分が多く、フィルタ部に捕捉されたセシウムはイオンとして移動する可能性がある。セシウムイオンは強酸性カチオン交換体を再生型にしておくことでほぼ完全に捕捉できる。吸着材層5での強酸性カチオン交換体の配置は混合しても良いし、層状に他の吸着材と重ねても良い。
吸着材層5の入口付近には、水蒸気が多量に凝縮することが考えられるため、非常に親水性の高い4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換体やスルホン酸基を有する強酸性カチオン交換体などの吸着材が好ましい。吸着材層の出口付近にはヨウ化メチルを除去できる3級アミノ基を有する弱塩基性アニオン交換体を配置することが好ましい。また、銀化合物を担持した吸着材はヨウ化メチルを除去できるため、吸着材層の出口側に配置することが好ましい。さらに、これら有機系化学吸着材に加え、従来公知の無機系化学吸着材を併用することも可能である。例えば、活性炭にトリエチレンジアミンを担持したものや、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを添着したものも化学吸着材として吸着材層5の中に併用できる。
吸着材形状として市販のイオン交換樹脂は圧力損失が大きいため、充填塔方式での使用が難しい。スポンジや不織布のような空隙性の材料に接着剤を利用してイオン交換樹脂を接着したものなどが利用できる。複数の不織布シートにイオン交換樹脂を挟んだものも利用できる。イオン交換繊維やキレート繊維であれば、圧力損失が小さいばかりでなく、成型加工が容易であるため、さらに好適である。
放射線グラフト重合法を利用してイオン交換基やキレート基を導入した吸着材料はさらに好適に利用できる。放射線グラフト重合法は基材として市販の有機高分子成形体を自由に選択できるという特徴を有している。例えば、繊維、不織布、織布、撚糸、膜、多孔性膜など、用途に応じて自由に選択することができる。これらの中でも繊維は表面積が大きいため、放射性物質の捕集材料として利用した場合に、大きな吸着速度と低い圧力損失を見込むことができる。また、繊維は、繊維集合体である撚糸、不織布、織布などのシート状にも容易に成形加工することができるので、本発明の用途には好適である。放射線グラフト重合によらない繊維状吸着材があれば、利用できることは言うまでもない。
本発明のフィルタベント装置に搭載する有機系化学吸着材には放射線グラフト重合法で製造したものが好ましい。基材となる有機高分子成形体は、市販品のものから自由に選択でき、中でも繊維が好ましい。有用な繊維素材として、合成繊維の他、綿などのセルロース系繊維、動物性繊維若しくは再生繊維、またはそれらの混合繊維が挙げられる。合成繊維にはポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、フッ素系等が含まれる。セルロース系繊維には、綿、麻等の天然セルロース系繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニア法レーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維、テンセル等の精製セルロース繊維、アセテート、ジアセテート等の半合成繊維が含まれる。動物性繊維には、羊毛等の獣毛繊維、絹等が含まれる。再生繊維には、キチン・キトサン繊維、コラーゲン繊維などが含まれる。これら繊維素材の混紡を用いることもまた可能である。
放射線グラフト重合法とは、γ線や電子線等の電離性放射線を基材に照射し、基材表面あるいは基材内部に生成したラジカルを利用して重合性単量体(以下、「モノマー」と称する。)を重合させ、基材からグラフト鎖を成長させる方法である。放射線グラフト重合法の特徴として、放射線の照射により、基材の表面のみならず基材の内部にまでラジカルを容易に発生させることが可能な点が挙げられる。よって、基材表面だけではなく基材内部にまでモノマーを重合させることができるので、基材に導入されるグラフト鎖の数が多くなり、したがって基材に導入される官能基の数も多くなる。
カチオン交換基やアニオン交換基を導入する場合、カチオン交換基又はアニオン交換基を有するモノマーをグラフト重合により容易に導入できる。カチオン交換基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、アリルスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩が挙げられるキレート基を有するモノマーとして、マレイン酸、ビニルイミダゾールなどが挙げられる。
アニオン交換基を有するモノマーとして、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アリールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。
モノマー自体では、イオン交換基やキレート基をもたないが、二次反応でイオン交換基やキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーとして、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、グリシジルソルベート、グリシジルメタイタコナート、グリシジルビニルスルホナート、エチルグリシジルマレアート、2−ビニルピロリドン、ジビニルベンゼン、1−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−N−メチルアセタミドやこれらの誘導体が挙げられる。メタクリル酸グリシジルは、スルホン酸基やアミノ基をはじめキレート基など各種官能基導入が容易であるため、特に好適に利用できる。スチレンやクロロメチルスチレンも、イオン交換基およびキレート基の導入が容易であり、好適に利用できる。例えば、有機高分子成形体にメタクリル酸グリシジルをグラフト重合させ、次いで亜硫酸ナトリウムを反応させると、グラフト鎖中に存在するエポキシ基にスルホン酸基(カチオン交換基)が導入される。スチレンやクロロメチルスチレンも、イオン交換基およびキレート基の導入が容易であり、好適に利用できる。例えば、有機高分子成形体にクロロメチルスチレンをグラフト重合させ、次いでトリメチルアミンを反応させると、グラフト鎖中に存在するクロロメチル基が4級アンモニウム基(アニオン交換基)に転換される。
これらイオン交換体は、再生型ばかりでなく塩型も利用できる。例えば、カルボキシル基を有する弱酸性カチオン交換体はナトリウム塩型やカリウム塩型に変換することでヨウ素と塩を形成し、繊維上に固定化し除去できる。強酸性カチオン交換体も同様に使用できる。また、アニオン交換体の塩型も利用できる。
イオン交換基の他、イミノジ酢酸基に代表されるキレート基を有する材料についても同様に考えられる。また、無機化合物を担持したものも利用できる。例えば、フェロシアン酸金属塩不溶化物はセシウムを選択的に捕捉することができ、本発明に利用できる。
これら官能基を利用して、フェロシアン酸金属塩不溶化物を担持する方法は、アニオン交換体に先ずフェロシアン化物イオンをイオン交換させ、次に塩化鉄、塩化コバルトや塩化ニッケル水溶液を接触させることで容易にフェロシアン化鉄やフェロシアン化コバルトの沈殿物を繊維に析出固定できる。
また、銀化合物を担持した材料はヨウ素の各形態を除去できる。特に、イオン交換吸着で除去できないヨウ化メチルの除去に利用できる。例えば、銀化合物を放射線グラフト重合法を利用して製造したイオン交換繊維に担持する方法については、次の通りである。ポリエチレン繊維やナイロン繊維など既存の繊維に、ガンマ線を照射し、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)とn−ビニルピロリドン(NVP)の混合モノマー溶液をグラフト重合する。VBTACは4級アンモニウム基を有しているため、強塩基性アニオン交換繊維が製造できる。NVPを加える理由は、VBTACのグラフト重合を促進するためである。次いで、硝酸銀水溶液に浸漬することにより、VBTACの4級アンモニウム基(Cl型)が硝酸銀と反応し、難溶性の沈殿である塩化銀がイオン交換基の近傍に生成される。この塩化銀は放射性ヨウ素を除去できる。また、補助的に加えたNVPも窒素原子に非共有電子対を有しているため、ヨウ化メチルの除去に有効である。
さらに、放射線グラフト重合法による別のアニオン交換繊維の製造方法について説明する。放射線を照射した後、メタクリル酸グリシジル(GMA)をグラフト重合する。次いで、トリエチレンジアミン(TEDA)を導入することによって、4級アンモニウム基と3級アミンが同時に導入できる。図5に示すようにGMAのエポキシ基に反応した部位が4級アンモニウム基、他の部位が3級アミンとなる。このTEDA導入繊維に対して、先に説明した銀化合物の担持方法を適用すれば、銀化合物を担持できる。
TEDAは3級アミンの非共有電子対が外に露出した化学構造であるため、ヨウ化メチルと反応しやく、活性炭など既存の吸着材に添着し、ヨウ化メチルの除去用に使用されている。放射線グラフト重合法を利用してTEDAを導入した繊維は、グラフト鎖と共有結合を介して結合しているため、薬品を添着したものと異なり、水中で使用してもTEDAの溶解・欠落の危険がない。
イオン交換樹脂や放射線グラフト重合法を利用してイオン交換基やキレート基を導入した有機系化学吸着材においては、これら官能基を利用して無機化合物を吸着材の内部にまで担持することができ、本発明に適している。
図2は従来公知の金属フィルタ6を有機系化学吸着材と併用したものである。ここでは、水分の凝縮が目的であるため、その目的に適した材料を選択できる。例えば、エキスパンドメタルや金属繊維などを加工し、使用することができる。金属フィルタ6では水分の凝縮と同時に放射性ヨウ素などが沈着するとされている。水分や放射性物質の一部が金属除去フィルタ6で除去された後、吸着材層5を通過するため、さらに放射性物質の除去効果が高くなると考えられる。
本発明はガス成分の除去だけでなく、洗浄水の浄化にも適用できる。図3は洗浄水層の浄化に有機系化学吸着材料を使用する例である。ここでは、ベントされたガスの洗浄水を浄化する装置7をフィルタベント装置の外側に付設したものである。ベントされたガスは洗浄水層を通過し、ここでエアロゾルや微粒子、さらに水溶性ガスが除去される。そのため、洗浄水中には放射性ヨウ素や放射性セシウムが蓄積する。また、硝酸や炭酸などの混入によるpH低下も懸念される。配管によって洗浄水の一部を抜き出し、ポンプ駆動で有機系化学吸着材と接触させ、洗浄水中に含まれる放射性セシウムや放射性ヨウ素を吸着固定化し、酸性ガス成分を吸着除去すれば、洗浄水の水質が安定化し、高いベントガス洗浄効果が期待できる。
洗浄水浄化装置7には、イオン交換樹脂やキレート樹脂を充填塔方式で使用できる。また、吸着繊維をカットして充填することもできる。カチオン交換体及びアニオン交換体の充填比率は任意に決めることができる。炭酸や硝酸などの混入が起き、pH低下によるヨウ素の再揮散の可能性が考えられる場合は、アニオン交換体の充填比率を大きくする必要がある。
放射線グラフト重合法による吸着繊維の場合はビーズ状の樹脂と比較し、装置7をさらに簡素化できる。図6に示すワインドフィルタは撚糸を穴あきコアに巻き回したものである。ワインドフィルタは水処理の前処理用フィルタとして懸濁物のろ過によく用いられる。吸着繊維によるワインドフィルタは粒子とイオン成分の同時除去が可能である。基材形状が不織布であれば、プリーツ加工を施し、プリーツフィルタとして利用できる。また、のり巻き状に巻いてもよい。これら、フィルタはカートリッジフィルタとして、市販のハウジングに装填して利用できるため、簡便である。
洗浄水中の放射性セシウムは微粒子に吸着したものやイオン状が主と考えられる。アルカリ金属であるセシウムはカチオン交換体で除去しづらい。そのため、セシウムに対して非常に選択性の高いフェロシアン酸金属塩不溶化物を担持した吸着材料を好適に利用できる。ゼオライトやゼオライトを加工したものも利用できる。放射線グラフト重合法を利用した吸着材、特にアニオン交換繊維は微粒子に対する除去性能がよく洗浄水の浄化に最適である。浄化した水は循環ラインに取り付けたシャワーノズル8から噴霧することによりさらに放射性物質の除去効率を高めることができる。
図4は吸着材9をフィルタベント装置の洗浄水層に浮遊又は固定する方法である。シビアアクシデントにおいては、全交流電源喪失などが起こるため、単純に吸着材を洗浄水層に浮かべる方法でも、放射性物質を吸着することができることが好ましい。図7に示すモール状吸着材は一端を固定しておけば、使用後手繰り寄せることができ、取り扱いが容易である。また、モール状での使用に限らず、網目の籠や袋に繊維塊を入れ、洗浄水中に固定しておいてもよい。また、モール状吸着材は圧力損失が極めて小さいため、ガス放出口に吊るしてもよい。
以上述べたように、有機系化学吸着材をガス系統に使用することで、放出される放射性物質量を極めて少なくできる。また、洗浄水浄化系統に使用することで、洗浄水の水質を安定化させ、再揮散のない効果的なベントガスの洗浄浄化が実施できる。また、放射性物質は吸着材に固定化されるため、取り扱いが容易であり、作業環境の汚染を防止することができる。これら有機系化学吸着材は、汚染の程度にもよるが、軽量であるため、使用後の放射性廃棄物処理が容易である。
原子力発電所の原子炉格納容器の安全装置としてフィルタベント装置は不可欠の設備である。本発明はベントされたガス中に含まれる放射性物質を効率よく除去することができる。したがって、今後の原子力発電所の運用にとって極めて重要である。
1 フィルタベント装置
2 ベントガス導入管
3 洗浄水層
4 ベントガス分散管
5 有機系化学吸着材
6 金属フィルタ
7 洗浄水浄化装置
8 シャワー
9 洗浄水中に浸漬させた有機系化学吸着材
10 繊維状有機系化学吸着材
11 穴あきコア

Claims (5)

  1. 原子炉格納容器の圧力が上昇した場合に、圧力を下げるために設置されるフィルタベント装置において、放射性物質を除去できる官能基が導入された有機系化学吸着材が搭載されたフィルタベント装置。
  2. 前記、有機系化学吸着材がビーズ状イオン交換樹脂、ビーズ状キレート樹脂、放射線グラフト重合法を利用したイオン交換材料又はキレート吸着材料、さらにそれら吸着材の官能基を利用して無機化合物が担持された吸着材より選択された請求項1記載のフィルタベント装置。
  3. 前記、有機系化学吸着材の官能基が強酸性カチオン交換基であるスルホン酸基、弱酸性カチオン交換基であるカルボキシル基、強塩基性アニオン交換基である4級アンモニウム基、弱塩基性アニオン交換基である▲3▼級以下のアミノ基、キレート基がイミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミノリン酸基、アミドキシム基、アミノ酸基より選択されたものである請求項1又は2記載のフィルタベント装置
  4. 前記、官能基を利用して担持させる無機化合物が不溶性フェロシアン酸金属塩、銀又は銀化合物より選択されたものである請求項1、2又は3記載のフィルタベント装置
  5. 前記、有機系化学吸着材がガス系統及び/又はガス洗浄液系統に搭載された請求項1、2、3又は4記載のフィルタベント装置
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