JP2016199500A - 抗菌剤を含有する併用医薬 - Google Patents

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威一郎 高田
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Abstract

【課題】強い抗菌活性を有し副作用を低減する抗菌剤の提供。【解決手段】(A)式[1]で表される2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、(B)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤、との組み合わせとする医薬。【選択図】なし

Description

本発明は、細菌感染症の治療に有用な医薬に関するものである。さらに詳しくは、本発明はLpxC阻害剤と1種以上の抗菌剤を組み合わせてなる医薬に関するものである。
グラム陰性菌には、グラム陽性菌には存在しない脂質二重層からなる外膜が存在するため、薬剤透過性の問題からグラム陽性菌と比較して薬剤抵抗性が強い傾向にある。また、グラム陰性菌は複数の薬剤排出蛋白を持つことが知られており、これも薬剤抵抗性に関与していることが知られている(非特許文献1)。更に、外膜の主要な構成成分の一つであるリポポリサッカライド(LPS)は、エンドトキシンとして毒性に大きく関与している。
グラム陰性菌の中でも、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は各種の抗菌薬に自然耐性を示す傾向が強いことが知られている。緑膿菌は自然環境や生活環境中に広く常在するが、健常者には通常病原性を示さない弱毒細菌である。しかし、重篤な基礎疾患を持つ患者や、移植等により免疫抑制剤を使用するいわゆるコンプロマイズドホストといわれる患者、医療用カテーテルや気管挿管、外科手術等の医療行為を行っている患者に対しては、敗血症等の重篤な急性感染症を引き起こす病原菌となるため、緑膿菌は日和見感染症や院内感染症の重要な起因細菌の一つである。さらに近年は、医療現場において、本来緑膿菌に効果が期待される第3世代セフェム系薬、カルバペネム系薬、あるいはアミノ配糖体系薬等に耐性を獲得した緑膿菌がしばしば臨床分離されており(非特許文献2)、さらに前記3系薬全てに耐性を獲得した多剤耐性緑膿菌も分離されている(非特許文献3)。多剤耐性緑膿菌に感染すると有用な治療剤が殆どないことから、難治性の感染症疾患として世界的に大きな問題となっており、新規作用機序を有する薬剤の開発が切望されている。
UDP−3−O−アシル−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)は、リピドA(外膜の構成成分であるLPSの疎水性アンカー)の合成を担う酵素である。リピドA生合成は10段階の反応からなるが、LpxCはその生合成反応の第2段階を触媒し、UDP−3−O−アシル−N−アセチルグルコサミンのアセチル基を離脱させる(非特許文献4)。リピドAは外膜形成に必須な成分であり、結果的にグラム陰性菌の生存に必須である(非特許文献5)。LpxCは、リピドA生合成過程において律速となる重要な酵素の一つであり、リピドA生合成に必須な酵素である。従って、LpxCの活性を阻害する薬剤は、緑膿菌を含むグラム陰性菌、特に従来薬剤と異なる作用機序を有することから薬剤耐性緑膿菌に対して有効な抗菌剤になり得ることが強く期待される。
LpxC阻害剤と1種以上の抗菌化合物を組み合わせてなる医薬に関する発明は、報告されている。(特許文献1〜3)腸炎エルシニア、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌においてLpxC阻害剤およびバンコマイシン、テイコプラニン、ダプトマイシン、リネゾリド、クリンダマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、リファンピシン、オキサシリン、レボフロキサシン、セフトビプロール、セフォタキシム、ゲンタマイシン、ノボビオシン、テラバンシン、イミペネムからなる群から選ばれる1種の抗菌剤との組み合わせによるインビトロにおける併用効果について述べている。さらに、肺炎桿菌または緑膿菌大腿感染モデルにおけるLpxC阻害剤およびバンコマイシン、リファンピシン、エリスロマイシンからなる群から選ばれる1種の抗菌剤との組み合わせによるインビボにおける併用効果、肺炎桿菌大腿感染モデルにおけるLpxC阻害剤およびバンコマイシンとの組み合わせによる耐性出現抑制についても述べている。
大腸菌においてLpxC阻害剤およびエリスロマイシンとの組み合わせによるインビトロにおける併用効果についての発明も報告されている。(特許文献4)
さらに、特許文献5〜7においてLpxC阻害剤と既存抗菌薬との併用および配合剤についての請求項に記載があるが、いずれも明細書中には具体的な組み合わせに関する実施例は何ら示されていない。
LpxC阻害剤はアシネトバクター・バウマニーに対する抗菌作用が弱く、LpxC阻害剤と既存抗菌薬との併用効果に関する報告もなされていない。
セフェム系抗菌薬は、単独で緑膿菌に対する抗菌活性を持たないか、若しくは抗菌活性が弱いところ、セフェム系抗菌薬とLpxC阻害剤との併用効果に関する報告もなされていない。
国際公開第2011/005355号 米国特許出願公開第2010/033910号明細書 米国特許出願公開第2012/0283175号明細書 国際公開第2004/062601号 国際公開第2010/031750号 国際公開第2008/154642号 国際公開第2009/158369号
Antimicrobial Resistance(2002)Mar 1,34,p.634−640. J.Antimicrob.Chemother.(2003)Jan 14,51,p.347−352. Jpn.J.Antibiotics(2006),59(5),p.355−363. J.Biol.Chem.(1995)Dec 22,270,p.30384−30391. J.Bacteriol.(1987),169,p.5408−5415 塩野義製薬株式会社 医薬情報センター、医薬品インタビューフォーム、カルバペネム系抗生物質製剤、注射用ドリペネム水和物、2013年4月改訂(改訂第13版)P.40
本発明の課題は、複数の医薬を組み合わせてなる、緑膿菌、アシネトバクターをはじめとするグラム陰性細菌及びその薬剤耐性菌に対して強い抗菌活性を有し、耐性菌出現を抑制する新規で有用な医薬を提供することである。
本発明の課題はまた、複数の医薬を組み合わせることで、感染症患者への投与量を軽減したり、副作用を低減したり、抗菌スペクトルを広げる効果を有する新規で有用な医薬を提供することである。
本発明者らは、ジエチニル末端部分にアキラルな置換基である1−アミノシクロプロピル基を有する、下記式[1]
Figure 2016199500
で表される2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物、及び/又は下記式[2]
Figure 2016199500
で表される2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物に対して、1種以上の抗菌活性を有する医薬を組み合わせることで、強い抗菌活性を有し、副作用を低減する新規で有用な医薬が、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
ここで、本発明で用いる化合物を、以下化合物Aと記載することもある。化合物Aは、式[2]で表される化合物又はそれらの薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物である場合を含む意味で用いる。
本発明は、以下のとおりである。
(1)(A)式[1]
Figure 2016199500
で表される2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
(B)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシン
からなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤、
との組み合わせを特徴とする医薬。
(2)(C)式[2]
Figure 2016199500
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
(D)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシン
からなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤、
との組み合わせを特徴とする医薬。
(3)前記(B)、(D)のカルバペネム系抗菌剤がイミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネムからなる群より選ばれる1種以上である(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(4)前記(B)、(D)のセファロスポリン系抗菌剤がセフタジジム、セフェピム、セフォゾプラン、セフトリアキソン、セフトロザン、セフタロリンからなる群より選ばれる1種以上である(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(5)前記(B)、(D)のペニシリン系抗菌剤がペニシリン、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリンからなる群より選ばれる1種以上である(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(6)前記(B)、(D)のキノロン系抗菌剤がシプロフロキサシン、パズフロキサシン、レボフロキサシンからなる群より選ばれる1種以上である(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(7)前記(B)、(D)のアミノグリコシド系抗菌剤がアミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アルベカシンからなる群より選ばれる1種以上である(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(8)前記(B)、(D)の抗菌剤がメロペネムである、(1)又は(2)のいずれかに載の医薬。
(9)前記(B)、(D)の抗菌剤がピペラシリンである、(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(10)前記(B)、(D)の抗菌剤がセフタジジム、セフェピム、セフトリアキソンからなる群より選ばれる1種以上である、(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(11)前記(B)、(D)の抗菌剤がシプロフロキサシンである、(1)又は(2)のいずれかに記載の医薬。
(12)前記(B)、(D)の抗菌剤がアミカシンである、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
(13)(A)式[1]
Figure 2016199500
で表される2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
(B)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、
同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬。
(14)(C)式[2]
Figure 2016199500
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
(D)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシン
からなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、
同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬。
(15)
メロペネムと併用するための、
式[2]
Figure 2016199500
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物を含む、細菌感染症の予防又は治療用医薬。
(16)
ピペラシリンと併用するための、
式[2]
Figure 2016199500
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物を含む、細菌感染症の予防又は治療用医薬。
本発明の前記式[1]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物、及び/又は前記式[2]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物に対して、1種以上の抗菌活性を有する医薬を組み合わせてなる医薬は、それぞれ単剤と比較して優れた抗菌活性が示された。また、併用により少なくともどちらか一方の薬剤の効果を上げることが示された。
以下、本発明を実施するための形態について以下詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明において、「薬学的に許容される塩」とは、細菌感染症の化学療法及び予防において使用される塩を意味する。
「薬学的に許容される塩」としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ステアリン酸、コハク酸、エチルコハク酸、マロン酸、ラクトビオン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸(トシル酸)、ラウリル硫酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、システイン、N−アセチルシステイン、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、ヨウ化水素酸、ニコチン酸、シュウ酸、ピクリン酸、チオシアン酸、ウンデカン酸、アクリル酸ポリマー及びカルボキシビニルポリマー等の酸との塩、モルホリン及びピペリジン等の有機アミンとの塩、並びにアミノ酸との塩などが挙げられる。
「薬学的に許容される塩」としては、無機塩基との塩であってもよい。無機塩基との塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩などが挙げられる。
本発明において、「抗菌剤」とは、グラム陽性細菌やグラム陰性細菌といった細菌に作用してその生育を抑制又は殺菌する能力を持つ物質を意味する。菌の繁殖を抑えたり、一部の菌を殺してその数を減少させたりするようなものでもよい。
グラム陽性細菌としては、例えば、ブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌等)、連鎖球菌属(化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌及び肺炎球菌等)、腸球菌属(エンテロコッカス・フェカーリス及びエンテロコッカス・フェシウム等)などが挙げられる。
グラム陰性細菌としては、例えば、シュードモナス属(緑膿菌等)、大腸菌属(大腸菌等)、クレブシエラ属(肺炎桿菌及びクレブシエラ・オキシトカ等)、ヘモフィルス属(インフルエンザ菌及びパラインフルエンザ菌等)、ボルデテラ属(百日咳菌及び気管支敗血症菌等)、セラチア属(セラチア・マルセッセンス等)、プロテウス属(プロテウス・ブルガリス及びプロテウス・ミラビリス等)、エンテロバクター属(エンテロバクター・エアロジェネシス及びエンテロバクター・クロアカ等)、カンピロバクター属(カンピロバクター・ジェジュニ等)、シトロバクター属(シトロバクター・フレウンディ等)、プロビデンシア属(プロビデンシア・スチュアーティ等)、ステノトロフォモナス属(ステノトロフォモナス・マルトフィリア等)、ビブリオ属(腸炎ビブリオ及びコレラ菌等)、モルガネラ属(モルガネラ・モルガニ等)、サルモネラ属(チフス菌及びパラチフス菌等)、シゲラ属(赤痢菌等)、アシネトバクター属(アシネトバクター・バウマニー及びアシネトバクター・カルコアセチカス等)、レジオネラ属(レジオネラ・ニューモフィラ等)、バクテロイデス属(バクテロイデス・フラジリス等)、ナイセリア属(淋菌及び髄膜炎菌等)、モラキセラ属(モラキセラ・カタラーリス等)、クラミジア属(クラミジア・トラコマティス及びクラミジア・シッタシー等)及びヘリコバクター属(ヘリコバクター・ピロリ等)などが挙げられる。
本発明の前記式[1]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物、及び/又は前記式[2]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物は、グラム陰性細菌への抗菌剤として好ましく使用することができる。
本発明においては、前記式[1]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物、及び/又は前記式[2]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物が、それぞれ単剤では抗菌活性を有さないアシネトバクター属(アシネトバクター・バウマニー、及びアシネトバクター・カルコアセチカス等)に対しても、前記式[1]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物、及び/又は前記式[2]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と他の1種以上の抗菌剤とを組み合わせて使用することができる。
本発明の前記式[1]で表される化合物には光学異性体が存在しうるが、それら光学異性体及び光学異性体の混合物が含まれる。医薬組成物や抗菌剤は、特定の光学異性体を含有してもよいし、光学異性体の混合物、とりわけラセミ体を含有してもよい。
本発明の医薬に用いる化合物として、前記式[1]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物、前記式[2]で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物について説明する。
式[1]で表される化合物及びその薬学的に許容される塩並びにそれらの各種水和物及び溶媒和物には、これらの結晶多形も含まれる。
本発明の医薬に用いる式[1]で表される化合物の好ましい光学異性体は、下記式[2]
Figure 2016199500
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである。
本発明の医薬には、式[2]で表される化合物及びその薬学的に許容される塩の各種水和物及び溶媒和物が含まれ、式[2]で表される化合物及びその薬学的に許容される塩並びにそれらの各種水和物及び溶媒和物には、これらの結晶多形も含まれる。
以下に、化合物Aの製造方法を説明する。また製造方法は、適宜、変化させてもよい。
MS(マススペクトル)はLCMS−IT−TOF(島津製作所製)の装置にて測定した。イオン化法としては、ESI(Electrospray Ionization、エレクトロスプレーイオン化)法又は、ESIとAPCI(Atmospheric Pressure Chemical Ionization、大気圧化学イオン化)法とのデュアルイオン化法を用いた。データは実測値(found)を記載した。通常、分子イオンピークが観測されるが、水酸基(−OH)を有する化合物の場合、フラグメントピークとしてHOが脱離したピークが観測されることもある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピーク若しくはフラグメントイオンピークが観測される。
高速液体クロマトグラフィーマススペクトル(LCMS)は、以下の条件を用いた。
測定機械:Agilent社製 Agilent1290及びAgilent社製 Agilent6130
カラム:Waters社製 Acquity UPLC(登録商標) CSH(登録商標)C18 1.7μm 2.1x50mm
イオン化法:電子衝撃イオン化法(Electron Spray Ionization: ESI)
溶媒:A液;0.1%ぎ酸含有水、B液;0.1%ぎ酸含有アセトニトリル
(条件1)
流速:0.8mL/min
グラジエント:0分(A液/B液=80/20)、1.2分(A液/B液=80/20)、1.4分(A液/B液=1/99)
(条件2)
流速:0.8mL/min(0分−1.2分)、1.0mL/min(1.2分−1.38分)
グラジエント:0分(A液/B液=95/5)、1.2分(A液/B液=50/50)、1.38分(A液/B液=3/97)
NMRスペクトルはプロトンNMRを示し、内部基準としてテトラメチルシランを用いて、δ値をppmで示した。
元素分析はvario MICRO cube(elementar製)の装置にて測定した。
OH型シリカゲルクロマトグラフィー及びNH型シリカゲルクロマトグラフィーにおける担体は、グレースジャパン株式会社製のREVELERIS(登録商標)などのパックドカラムを用いた。フェーズセパレーターは、バイオタージ株式会社製のものを用いた。
実施例中の略号を以下に示す。
AcOEt:酢酸エチル
APCI:大気圧化学イオン化法
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N、N−ヂメチルホルムアミド
ESI:エレクトロスプレーイオン化法
IPE:ジイソプロピルエーテル
LC:液体クロマトグラフィー
MeI:ヨウ化メチル
MeNH:メチルアミン
MeOH:メタノール
n−BuNH:ノルマルブチルアミン
p−TsOH・HO:p−トルエンスルホン酸一水和物
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
s:シングレット
br.s.:ブロードシングレット(幅広いシングレット)
d:ダブレット
dd:ダブルダブレット
m:マルチプレット
t:トリプレット
q:カルテット
br.q.:ブロードカルテット(幅広いカルテット)
本発明において、「p−」は、パラを意味する。「n−」はノルマルを、「t−」はターシャリーを意味する。また、室温とは10〜30度を意味し、場合によっては1〜30度を意味する。
化合物Aの製造方法
(スキーム1)
Figure 2016199500
参考例に記載の方法で得られた(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N,2−ジメチル−N’−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンジアミド(中間体1、22.6g)をMeOH(226mL)に溶かして氷浴攪拌した。そこへp−トルエンスルホン酸一水和物(13.9g)を5分かけて分割投入して、室温で45分攪拌した。反応液に対し、別途に炭酸水素ナトリウム(6.51g)と水(69mL)で調製した炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルム(1L)で2回、クロロホルム(400mL)とメタノール(100mL)の混媒で1回、抽出を行った。有機層をフェーズセパレーターに通して、溶媒を減圧下留去した。得られた残留物を珪藻土に吸着させて、OH型シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0→80/20)にて精製して、カラムフラクションを濃縮した。溶媒が少なくなったところにアセトニトリル(60mL)を加えて更に濃縮した。50mLくらい留去したところで析出し始めたので濃縮を止め、アセトニトリル(60mL)を追加した。そこへイソプロピルエーテル(140mL)を1時間以上かけてゆっくり滴下しながら終夜攪拌した。析出物をろ過して、イソプロピルエーテル(80mL)でケーキ洗浄して乾燥して、(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A、12.2g、肌色固体、66%)の結晶を得た。
LCMS保持時間:0.58分(条件2)
MS(ESI):m/z=381(M−H)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.85 - 0.89 (m, 2 H) 0.95 - 1.00 (m, 2 H) 1.61 (s, 3 H) 2.62 - 2.65 (m, 3 H) 2.98 (s, 3 H) 7.47 - 7.68 (m, 4 H) 8.50 (d, J=4.5 Hz, 1 H) 8.96 (br. s., 1 H) 10.95 (br. s., 1 H)
ここで、中間体1は、以下の参考例で示される方法によって合成する事が可能である。
(参考例1)
(スキーム2)
Figure 2016199500
(1)2−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)マロン酸ジエチル(25・7g)のDMF(250mL)溶液に、炭酸セシウム122gを加えた後、水浴下でヨウ化メチル(23.2mL)を滴下した。滴下終了後、反応系を密閉系にして室温で5日間攪拌した。反応液に水を加え、n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1溶液(700mL)を加えて抽出後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウム及び活性炭(2g)を加えて1時間攪拌し、セライト(登録商標)濾過した。濾液を減圧下濃縮して、2−((t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−2−メチルマロン酸ジエチルを得た(25.0g、淡黄色油状物、88%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=326(M+Na)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.27 (6H, t, J=7.0 Hz), 1.38 - 1.47 (9H, m), 1.68 (3H, s), 2.87 (3H, s) 4.22 (4H, q, J=7.0 Hz)
(スキーム3)
Figure 2016199500
(2)参考例1−(1)で得られた化合物(22.8g)に、リン酸バッファー水溶液(680mL)を加え、これにPLE(Pig Liver Esterase、豚肝臓エステラーゼ)(342mg)を加えて室温で26時間攪拌した。リン酸バッファー水溶液は、0.2mol/Lのリン酸二水素ナトリウム水溶液(65mL)及び0.2mol/Lのリン酸水素二ナトリウム水溶液(435mL)の混合物を水で希釈して1000mLにしたものを用いた。反応液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(75mL)を加えてpH8〜9に調整した後、トルエン(0.5L)を用いて抽出した。この際に混合液が泡状になったため、セライト(登録商標)濾過を2度実施した。抽出後得られた水層にリン酸(20mL)を加えてpH2〜3に調整し、酢酸エチル(1L)を用いて抽出した。この際にも混合液が泡状になったため、セライト(登録商標)濾過を実施した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。残留物を酢酸エチル(0.2L)に溶かして活性炭(1.8g)を加えて1時間攪拌した。活性炭を濾別し溶媒を減圧下留去して、(R)−2−((t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−3−エトキシ−2−メチル−3−オキソプロパン酸を得た(18.0g、淡黄色シロップ状物、87%、ee>99%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=298(M+Na)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.11 - 1.19 (3H, m), 1.32 (9H, br. s.), 1.54 (3H, s), 2.73 (3H, s), 4.02 - 4.13 (2H, m)
参考例1−(2)で得られた化合物のキラル分析は、以下の要領で実施した。
測定機器は、島津製作所製高速液体クロマトグラフィーを用いた。各機器の型番は以下の通りである。
ポンプ:LC−30AD、オートサンプラー:SIL−30AC、カラムオーブン:CTO−20AC、光ダイオードアレイ検出器:SPD−M20A、デガッサー:DGO−20A5R。
キラルカラムは、株式会社ダイセル製AD3を、4.6×150mmと4.6×250mmを直列連結して用いた。展開溶媒はn−ヘキサン/エタノール=98/2、流速は1.0mL/毎分であった。
210nmにおける吸収波長で検出し、2−((t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−3−エトキシ−2−メチル−3−オキソプロパン酸のラセミ体のピークの保持時間は、(S)体が26.5分、(R)体が37.9分であった。
上記条件のもとで実施例1−(7)で得られた化合物の分析を実施した結果、(R)体のみが検出され、(S)体は検出限界以下であった。鏡像体過剰率(ee)は>99%であった。
(スキーム4)
Figure 2016199500
(3)参考例1−(2)で得られた化合物(13.3g)のトルエン(121mL)溶液に氷冷下で塩化チオニル(10.5mL)を滴下し、室温に昇温して16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して(S)−3−クロロ−2−メチル−2−(メチルアミノ)−3−オキソプロパン酸エチルを粗精製物として得た(9.37g、褐色固体)。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.30 (3H, t, J=7.8 Hz), 1.72 (3H, s), 2.93 (3H, s), 4.23 - 4.33 (2H, m)
Anal.cald for C7H12ClNO3 : C, 43.42; H, 6.25; N, 7.23;
Found : C, 45.49; H, 6.09; N, 6.75;
(スキーム5)
Figure 2016199500
(4)O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(1.00g)をトルエンで2回共沸乾燥後、トルエン(5.0mL)を加えた溶液にTEA(3.57mL)を加え、氷冷下で参考例1−(3)で得られた化合物(1.95g)のトルエン(25mL)/THF(5.0mL)混合物を5分間かけて滴下し、室温に昇温して16時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(10mL)を加えた懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮して得られた粗精製物をOH型シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50→0/100)にて精製して、(2R)−2−メチル−2−(メチルアミノ)−3−オキソ−3−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)アミノ)プロパン酸エチルを得た(1.78g、淡褐色油状物、76%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=275(M+H),273(M−H)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.25 - 1.30 (3H, m), 1.43 - 1.90 (6H, m), 1.53 (3H, s), 2.30 (3H, s), 3.58 - 3.67 (1H, m), 3.88 - 4.00 (1H, m), 4.13 - 4.34 (2H, m), 4.82 - 5.02 (1H, m), 9.68 (1H, br. s.)
(スキーム6)
Figure 2016199500
(5)参考例1−(4)で得られた化合物(540mg)に、40%のメチルアミンメタノール溶液(6.0mL)を室温で加え、49時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をOH型シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50→0/100→クロロホルム/メタノール=19/1)にて精製して、(2S)−N,2−ジメチル−2−(メチルアミノ)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミドを得た(433mg、淡黄色油状物、85%)。
LCMS保持時間:0.28分(条件2)
MS(ESI):m/z=260(M+H)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.48 - 1.94 (6H, m), [1.529] 1.532 (3H, s), 2.29 (3H, d, J=4.5 Hz), 2.84 (3H, dd, J=5.0, 1.2 Hz), 3.62 - 3.70 (1H, m), 3.93 - 4.06 (1H, m), 4.93 - 5.03 (1H, m), 7.60 - 7.91 (1H, m), 10.72 (1H, br. s.)
(スキーム7)
Figure 2016199500
(6)1−エチニルシクロプロピルアミン塩酸塩(10.0g)のメタノール(100mL)溶液に、TEA(14.2mL)を室温で加え、5分撹拌した。反応液にエチルトリフルオロアセテート(11.2mL)を室温で加えて終夜撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、水を加えて酢酸エチルにて2回抽出した。得られた有機層を合わせて、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。残渣よりN−(1−エチニルシクロプロピル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミドを得た(14.9g、淡黄色固体、99%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=200(M+Na)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.19 - 1.23 (2H, m), 1.35 - 1.43 (2H, m), 2.23 (1H, s), 6.74 (1H, br. s.)
(スキーム8)
Figure 2016199500
(7)塩化銅(I)(44mg)を30%ブチルアミン水溶液(74mL)に溶解し、ヒドロキシルアミン塩酸塩(36.7mg)を加えた。反応液に、参考例1−(6)で得られたN−(1−エチニルシクロプロピル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(4.3g)を加えた後、直ちに反応液を氷冷し、5分撹拌した。反応液に4−ブロモエチニル安息香酸(5.0g)を加えて室温に昇温したのち、ヒドロキシルアミン塩酸塩(22.0mg)を加えて30分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。得られた淡黄色固体をIPEで洗浄、乾燥して4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)安息香酸を得た(1.8g、淡紫色固体、25%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=344(M+Na)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.18 - 1.29 (2H, m), 1.32 - 1.43 (2H, m), 7.62 (2H, d, J=8.3 Hz), 7.83 - 7.97 (2H, m), 10.23 (1H, s)
(スキーム9)
Figure 2016199500
(8)参考例1−(7)で得られた4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)安息香酸(2.0g)のテトラヒドロフラン(16mL)溶液に、氷冷下、塩化オキサリル(590μL)、DMF(15μL)を加えて、氷冷下で3時間撹拌した。反応液にトルエン(20mL)を加えて、10mLまで減圧濃縮し、更にトルエン(15mL)を加えて15mLまで減圧濃縮した。得られた懸濁液に、ノルマルヘプタン(15mL)を加えて、室温で2時間撹拌した。得られた固体を濾別して、塩化 4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンゾイルを得た(2.0g、淡茶色固体、93%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=338(M−H)
1H NMR (500 MHz, ACETONE-d6) δ ppm 1.32 - 1.53 (4 H, m) 7.77 (2 H, d, J=8.9 Hz) 8.15 (2 H, d, J=8.9 Hz) 9.24 (1 H, br. s.)
(スキーム10)
Figure 2016199500
(9)参考例1−(8)で得られた塩化4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンゾイル(2.00g)の酢酸エチル(40mL)溶液に、参考例1−(5)で得られた(2S)−N,2−ジメチル−2−(メチルアミノ)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミド(1.75g)、DIPEA(1.23mL)の酢酸エチル(20mL)溶液を15分かけて滴下して、室温で2時間撹拌した。反応液に水(50mL)を加えて、分層した後、有機層を0.2mol/Lクエン酸水溶液(50mL)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で順次洗浄した。得られた有機層を、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を酢酸エチル(60mL)に溶解し、アミノシリカゲル(6.0g)を加えて、室温で2時間撹拌した。これを濾別し、酢酸エチル(80mL)で洗浄した。得られた溶液を減圧留去し、酢酸イソプロピル(6mL)に溶解させ、メチル−t−ブチルエーテル(32mL)とノルマルヘプタン(8mL)の混液に滴下して、室温で3時間撹拌した。得られた固体を濾取し、(2S)−N,2−ジメチル−2−(N−メチル−4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンズアミド)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミドを得た(2.66g、淡黄色固体、80%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=585(M+Na)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.27 - 1.34 (2H, m), 1.41 - 1.51 (2H, m), 1.49 - 1.90 (9H, m), 2.84 (3H, m), 3.15 (3H, m), 3.50 - 3.74 (1H, m), 3.83 - 4.09 (1H, m), 4.86 - 5.06 (1H, m), 6.94 - 7.62 (6H, m), 9.98 - 10.57 (1H, m)
(スキーム11)
Figure 2016199500
(10)参考例1−(9)で得られた(2S)−N,2−ジメチル−2−(N−メチル−4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンズアミド)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミド(2.85g)のメタノール溶液(29mL)に1mol/L炭酸カリウム水溶液(29mL)を室温で加えて17時間室温で撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてpH7〜8に調製し、クロロホルムで抽出した。有機層をフェーズセパレーターに通し、濾液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過により除去した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣の酢酸エチル溶液をクエン酸水溶液(pH3〜4)で4回抽出し、水層を酢酸エチル/n−ヘキサンで洗浄した。水層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてpH7〜8に調整後、酢酸エチルで4回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過により除去した後、濾液を減圧下濃縮して得た残渣を酢酸エチルに溶かし、NH型シリカゲル(3.0g)を加え5分間室温で撹拌した。混合物をろ過し、濾液を減圧下濃縮して、(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N,2−ジメチル−N’−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンジアミド(中間体1、1.84g、淡黄色固体、78%)を得た。
MS(ESI):m/z=467(M+H),465(M−H)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.00 - 1.02 (2H, m), 1.06 - 1.08 (2H, m), 1.39 - 2.13 (6H, m), [1.79], 1.80 (3H, s), 2.83 - 2.85 (3H, m), [3.13], 3.16 (3H, s), 3.55 - 3.66 (1H, m), 3.84 - 4.02 (1H, m), 4.89 - 5.00 (1H, m), 7.41 - 7.55 (4H, m), [6.97], 7.61 (1H, br. s.), [10.07], 10.48 (1H, br. s.)
本発明の1つの態様は、化合物Aと1種以上の抗菌剤とを組み合わせてなる医薬である。当該医薬は、感染症の予防又は治療のための医薬、好ましくは薬剤耐性菌による感染症の予防又は治療のための医薬である。
化合物Aと組み合わせる抗菌剤としては、カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシンが挙げられる。
本発明のカルバペネム系抗菌剤としては、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネムが挙げられる。好ましくは、メロペネムが挙げられる。
本発明のセファロスポリン系抗菌剤としては、セフタジジム、セフェピム、セフォゾプラン、セフトリアキソン、セフトロザン、セフタロリンが挙げられる。好ましくは、セフタジジム、セフェピム、セフトリアキソンが挙げられる。さらに好ましくはセフェピムが挙げられる。
本発明のペニシリン系抗菌剤としては、ペニシリン、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリンが挙げられる。好ましくは、ピペラシリンが挙げられる。
本発明のキノロン系抗菌剤としては、シプロフロキサシン、パズフロキサシン、レボフロキサシンが挙げられる。好ましくは、シプロフロキサシンが挙げられる。
本発明のアミノグリコシド系抗菌剤としては、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アルベカシンが挙げられる。好ましくは、アミカシンが挙げられる。
本発明のマクロライド系抗菌剤としては、アジスロマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシンが挙げられる。好ましくは、クラリスロマイシンが挙げられる。
本発明のテトラサイクリン系抗菌剤としては、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、チゲサイクリンが挙げられる。
本発明のグリコペプチド系抗菌剤としては、テイコプラニン、テラバンシン、バンコマイシンが挙げられる。
本発明の好ましい態様は、化合物Aと、抗菌剤としてイミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、セフタジジム、セフェピム、セフォゾプラン、セフトリアキソン、セフトロザン、セフタロリン、ペニシリン、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリン、シプロフロキサシン、パズフロキサシン、レボフロキサシン、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アルベカシン、クラリスロマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、バンコマイシン、ダプトマイシン、リネゾリドからなる群から選ばれる1種類以上を組み合わせた医薬である。
本発明の特に好ましい態様は、化合物Aと、抗菌剤としてメロペネム、ピペラシリン、セフェピムからなる群から選ばれる1種類以上を組み合わせた医薬である。
本発明は、一つ又は二つ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組み合せて医薬組成物とすることができる。
上記担体、賦形剤及び希釈剤として、例えば、水、乳糖、デキストロース、フラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、デンプン、ガム、ゼラチン、アルギネート、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、セルロース、水シロップ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルキルパラヒドロキシベンゾソルベート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリン及び各種油(ゴマ油、オリーブ油及び大豆油等)などが挙げられる。
医薬組成物には、上記担体、賦形剤又は希釈剤に加えて、必要に応じて一般に使用される増量剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、溶解剤及び着香剤等の添加剤を混合してもよい。
医薬組成物は、常用の製剤技術によって錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、液剤、乳剤、懸濁剤、軟膏剤、注射剤(筋肉内注射剤及び静脈内注射剤を含む)、点滴静注剤及び皮膚貼付剤などの経口又は非経口用医薬として調製することができる。
特に、水性組成物とする際には、pH調節剤としては、特に制限されないが、例えば塩酸、硫酸、クエン酸、酢酸、リン酸、コハク酸、乳酸、酒石酸、安息香酸等の酸性物質、また必要に応じて水酸化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等の塩基性物質を用いることができる。pH調節剤は、好ましくは、塩酸、クエン酸である。
注射剤に用いられる容器としては、ガラス製、プラスチック製が好ましく、プラスチック製の具体例としては、環状ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
特に、注射剤とする際には、無菌充填にて容器に注射液を充填する他、加熱滅菌、高圧蒸気滅菌等、注射液に対する種々の公知の滅菌方法を採用することができる。
注射剤として液体組成物等(水性組成物を含む)の溶液を調製する際には、例えば滅菌蒸留水を用い滅菌状態の溶液とすることもできるし、メンブランフィルターろ過等の滅菌処理を行う等の操作を行うこともできる。
一度、液体組成物とした溶液を各種の乾燥手段により、乾燥物とする方法等が挙げられる。乾燥手段としては、凍結乾燥法、スプレードライ法、減圧乾燥法等があるが、特に凍結乾燥法が好ましい。このようにして得られた液体組成物又は乾燥組成物は、注射剤、経口剤、坐剤、経粘膜投与剤及び外用剤等の製剤として使用できる。
特に注射剤とする場合には、注射液でも注射用凍結乾燥製剤でもよく、これら有効成分を単一の製剤として配合剤とすることもできるし、または別々に製剤化して得られる2種以上の製剤とすることができる。
注射剤とする場合の好ましい投与形態は、点滴静脈内注射又は静脈内注射であり、より好ましい投与形態は点滴静脈内注射である。投与量は治療対象となる疾病の種類、患者の年齢、体重及び症状などに応じて、適宜増減することが可能である。
別々に製剤化して2種以上の製剤とした場合には、個々の製剤を同時または一定の時間間隔を空けて投与することが可能である。当該2種以上の製剤は、1日にそれぞれ異なる回数で投与することもできる。本発明に係る医薬は、全身的または局所的に、経口投与または非経口投与することができる。これらの有効成分を別々に製剤化して2種以上の製剤とした場合には、個々の製剤を異なる経路で投与することもできる。
本発明の1つの態様は、化合物Aとカルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとカルバペネム系抗菌剤がイミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネムからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとセファロスポリン系抗菌剤がセフタジジム、セフェピム、セフォゾプラン、セフトリアキソン、セフトロザン、セフタロリンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとペニシリン系抗菌剤がペニシリン、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとキノロン系抗菌剤がシプロフロキサシン、パズフロキサシン、レボフロキサシンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとアミノグリコシド系抗菌剤がアミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アルベカシンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとメロペネムとが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとピペラシリンとが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとセフタジジム、セフェピム、セフトリアキソンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとシプロフロキサシンとが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
本発明の1つの態様は、化合物Aとアミカシンとが、同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬である。
化合物Aに対して、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、セフタジジム、セフェピム、セフォゾプラン、セフトリアキソン、セフトロザン、セフタロリン、ペニシリン、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリン、シプロフロキサシン、パズフロキサシン、レボフロキサシン、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アルベカシン、クラリスロマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、バンコマイシン、ダプトマイシン、リネゾリドからなる群より選ばれる1種以上を組み合わせて、それぞれ含む製剤からなるキットとするのも好ましい。
本発明の医薬の投与量は投与対象、投与方法等により異なるが、例えば注射剤として感染症患者に対して1日に、化合物Aを1種以上の抗菌剤と同時または一定の時間間隔を空けて、化合物Aと抗菌剤を1:0.125〜8として投与することができる。また、この一般的な配合比とは別に、個別の抗菌剤については次のような配合比率で投与することもできる。
(1)化合物Aとメロペネムを1:0.015〜33
(2)化合物Aとピペラシリンを1:0.5〜128
(3)化合物Aとセフトリアキソンを1:0.5〜2133、好ましくは1:0.5〜1067
(4)化合物Aとセフォタキシムを1:1〜1067、好ましくは1:1〜533
(5)化合物Aとセフェピムを1:0.125〜267
(6)化合物Aとセフタジジムを1:0.25〜64
(7)化合物Aとシプロフロキサシンを1:0.03〜8
(8)化合物Aとアミカシンを1:0.25〜33
以下に、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
MIC測定
CLSIに準じた微量液体希釈法にて実施した。ハートインフュージョン寒天培地で一晩培養した菌株を掻き取り、カチオン調整ミューラーヒントン培地に懸濁してマクファーランド0.5相当となるように調製した。得られた懸濁液をカチオン調整ミューラーヒントン培地で10倍希釈し、接種用菌液とした。調製した試験物質含有カチオン調整ミューラーヒントン培地及び試験物質不含有カチオン調整ミューラーヒントン培地を90μL/ウェル分注した96ウェルプレートに、接種用菌液を5μL/ウェル接種した。試験物質不含有カチオン調整ミューラーヒントン培地と接種用菌液を含むウェルを発育コントロールとした。プレートを35℃、18時間好気培養した後、目視判定により培養終了時に菌の発育が認められない最小の薬剤濃度をMIC(最小発育阻止濃度)とした。
<試験例1>インビトロ抗菌作用における併用効果
化合物Aおよびメロペネム、ピペラシリン、セフタジジム、セフトリアキソン、セフォタキシム、セフェピム、シプロフロキサシン、アミカシンからなる群から選ばれる1種の抗菌剤との組み合わせで、CLSIに準じた微量液体希釈法によるチェッカーボードアッセイを行った。単独および併用時のMICからFICインデックス(Fractional Inhibitory Concentration index)を算出した。
計算式;
FIC index=a/a0+b/b0
a:併用時の化合物AのMIC
a0:化合物A単独のMIC
b:併用時の各抗菌剤のMIC
b0:各抗菌剤単独のMIC
併用による相乗効果の有無を判定するための基準;
FIC index>1:拮抗作用
1≧FIC index>0.5:相加作用
FIC index≦0.5:相乗作用
表20および21に最小FICインデックスを提供する。
アシネトバクター・バウマニー 7363および7397(臨床分離株)に対し、化合物Aとメロペネムおよびピペラシリンのいずれかとの組み合わせは、FICインデックスによれば、インビトロで相乗的であった(表1〜4および20)。
ステノトロフォモナス・マルトフィリア ATCC13636に対し、化合物Aとメロペネムおよびピペラシリンのいずれかとの組み合わせは、FICインデックスによれば、インビトロで相加的であった(表5、6および21)。
緑膿菌 TS88(臨床分離株)に対し、化合物Aとメロペネム、ピペラシリン、セフタジジム、セフトリアキソン、セフォタキシム、セフェピム、シプロフロキサシンおよびアミカシンからなる群から選ばれる1種の抗菌剤との組み合わせは、FICインデックスによれば、インビトロで相加的であった(表7〜14および21)。
緑膿菌 ATCC27853に対し、化合物Aとメロペネムおよびセフェピムのいずれかとの組み合わせはインビトロで相乗的であり、セフタジジム、セフトリアキソンおよびセフォタキシムからなる群から選ばれる1種の抗菌剤との組み合わせでは、FICインデックスによれば、インビトロで相加的であった(表15〜19および21)。
以下の表1〜21における略号は以下のように定義する。
MEPM:メロペネム
PIPC:ピペラシリン
CAZ:セフタジジム
CTRX:セフトリアキソン
CTX:セフォタキシム
CFPM:セフェピム
CPFX:シプロフロキサシン
AMK:アミカシン
n.d.:not−determined
Figure 2016199500
Figure 2016199500
Figure 2016199500
Figure 2016199500
Figure 2016199500
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Figure 2016199500
<試験例2>インビトロ殺菌作用における併用効果
化合物Aとメロペネムを組み合わせた場合の増殖曲線に対する影響について検討した。細菌として、緑膿菌 TS88(臨床分離株)を用いた。ハートインフュージョン寒天培地で一晩培養した菌株を掻き取り、カチオン調整ミューラーヒントン培地に懸濁してマクファーランド0.5相当となるように調製した。得られた懸濁液をカチオン調整ミューラーヒントン培地で更に200倍に希釈し、35℃にて2時間振盪培養を行った。菌培養液に抗菌剤またはvehicle単独(陰性対照として)を添加し、再び35℃で振盪培養を開始した。抗菌剤添加後、1、2、4、6および8時間経過時の培養液中の生菌数を測定した。
図1において示すように、1/2xMIC(0.12μg/mL)の化合物Aおよび1/4xMIC(0.12μg/mL)のメロペネムを単独で作用させた培養液中の8時間後の生菌数は、7.0log CFU/mLおよび6.4log CFU/mLであり、抗菌剤添加時(経過時間0)の生菌数(6.2log CFU/mL)からほとんど菌量を減少させなかったのに対し、化合物Aおよびメロペネムを併用した培養液中の8時間後の生菌数は3.2log CFU/mLであり、抗菌剤の単独作用時の生菌数と比較して大幅な生菌数減少が認められた。また、化合物Aおよびメロペネムを併用した培養液中の8時間後の生菌数は抗菌剤添加時(経過時間0)の生菌数(6.2log CFU/mL)に比べ3.0log以上減少しており、併用により殺菌効果が認められた。
(図1)
Figure 2016199500
脚注:vehicle;カチオン調整ミューラーヒントン培地
<試験例3>全身感染動物試験における併用効果
化合物Aとメロペネム/シラスタチンを組み合わせた場合、および化合物Aとピペラシリンを組み合わせた場合について、マウス全身感染モデルを用いて検討した。尚、メロペネムは、マウスにおいてデヒドロペプチダーゼ(DHP−I)に対して不安定であることから、DHP−I阻害剤であるシラスタチンを併用した(非特許文献6)。細菌として、緑膿菌TS88(臨床分離株)を用いた。ハートインフュージョン寒天培地で一晩培養した菌体を掻き取り、生理食塩液に懸濁してマクファーランド4.0相当となるように調製した。得られた懸濁液を3w/v%ムチン含有生理食塩液にて約1x10^6CFU/mLとなるよう希釈し、接種菌液とした。マウス(ICR系、雄性、4週齢)に接種菌液0.5mLを腹腔内接種して感染させ、接種1時間後に化合物Aおよび抗菌剤を単独または共投与(皮下投与)した。
化合物Aの3.13mg/kg単独投与、メロペネム/シラスタチンの0.625mg/kg単独投与およびシラスタチン1000mg/kg単独投与の生存率は0%であるのに対し、化合物A(3.13mg/kg)+メロペネム/シラスタチン(0.625mg/kg)共投与および化合物A(3.13mg/kg)+ピペラシリン(1000mg/kg)共投与の生存率は100%となり、化合物Aは抗菌剤との共投与によりインビボ併用効果を示した(表22および23)。
Figure 2016199500
Figure 2016199500
本発明により、緑膿菌をはじめとするグラム陰性細菌及びその薬剤耐性菌に強い抗菌活性を有する、LpxC阻害剤と他の1種以上の抗菌剤との組み合わせを特徴とする感染症の予防又は治療用である医薬を得ることができる。

Claims (16)

  1. (A)式[1]
    Figure 2016199500
    で表される2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
    (B)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシン
    からなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤、
    との組み合わせを特徴とする医薬。
  2. (C)式[2]
    Figure 2016199500
    で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
    (D)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシン
    からなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤、
    との組み合わせを特徴とする医薬。
  3. 前記(B)、(D)のカルバペネム系抗菌剤がイミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネムからなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  4. 前記(B)、(D)のセファロスポリン系抗菌剤がセフタジジム、セフェピム、セフォゾプラン、セフトリアキソン、セフトロザン、セフタロリンからなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  5. 前記(B)、(D)のペニシリン系抗菌剤がペニシリン、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリンからなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  6. 前記(B)、(D)のキノロン系抗菌剤がシプロフロキサシン、パズフロキサシン、レボフロキサシンからなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  7. 前記(B)、(D)のアミノグリコシド系抗菌剤がアミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アルベカシンからなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  8. 前記(B)、(D)の抗菌剤がメロペネムである、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  9. 前記(B)、(D)の抗菌剤がピペラシリンである、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  10. 前記(B)、(D)の抗菌剤がセフタジジム、セフェピム、セフトリアキソンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  11. 前記(B)、(D)の抗菌剤がシプロフロキサシンである、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  12. 前記(B)、(D)の抗菌剤がアミカシンである、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の医薬。
  13. (A)式[1]
    Figure 2016199500
    で表される2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
    (B)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシンからなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、
    同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬。
  14. (C)式[2]
    Figure 2016199500
    で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物と、
    (D)カルバペネム系抗菌剤、セファロスポリン系抗菌剤、ペニシリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ホスホマイシン、コリスチン、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピシン
    からなる群より選ばれる1種以上の抗菌剤とが、
    同時又は別々に患者に投与されることを特徴とする細菌感染症の予防又は治療用である医薬。
  15. メロペネムと併用するための、
    式[2]
    Figure 2016199500
    で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物を含む、細菌感染症の予防又は治療用医薬。
  16. ピペラシリンと併用するための、
    式[2]
    Figure 2016199500
    で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドである化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくはそれらの溶媒和物を含む、細菌感染症の予防又は治療用医薬。
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