JP2016196939A - 自動変速機の制御システム - Google Patents

Abstract

【課題】非常用スイッチがオンになった状態でも、ドライブレンジが選択されたときには、所定のギヤ段に確実にギヤ入れして、車両を走行可能な状態にすることができる自動変速機の制御システムを提供する。【解決手段】ＴＣＭ７は、ＡＭＴ３でドライブレンジ又はリバースレンジが選択された後に、非常用スイッチ６がオンになった状態でシフトレバー装置１でニュートラルポジションが選択されたときには、ＡＭＴ３においてニュートラルレンジを選択せずに、ディーゼルエンジン２とのＡＭＴ３との間に介設された湿式多板クラッチ４を断状態にする制御を行う。【選択図】図１

Description

本発明は自動変速機の制御システムに関し、更に詳しくは、非常用スイッチがオンになった状態でも、ドライブレンジが選択されたときには、所定のギヤ段に確実にギヤ入れすることができる自動変速機の制御システムに関する。

近年の車両では、内燃機関から入力された回転動力を、自動的に決定された所定の変速比で増速又は減速して出力する自動変速機（ＡＭＴ）を搭載することが一般的になっている。このＡＭＴでは、パーキング、リバース、ニュートラル及びドライブの各シフトポジションを選択可能なシフトレバー装置の操作に応じて、変速レンジが自動的に選択される。車両が通常走行する際には、シフトレバー装置でドライブポジションを選択することでドライブレンジ（Ｄレンジ）が選択されて、車両の運転状態と予め設定されたマップデータとに基づいて決定された目標変速段へ自動的に変速するようになっている（例えば、特許文献１を参照）。

この変速操作を制御する変速段制御装置（ＴＣＭ）は、車両に設置された各種のセンサ類からの検出信号に基づいて車両の運転状態を把握するが、それらのセンサ類が故障するなどのトラブルが発生した場合には、自動変速機が制御不能となり、車両の走行に支障を来すおそれがある。

そのような事態に対処するために、車両の運転席には非常用スイッチが設置されている。この非常用スイッチをドライバーがオンにすると、シフトレバー装置でドライブポジションが選択された場合には低速の前進ギヤ段（例えば、１速）に、リバースポジションが選択された場合には後進ギヤ段に、それぞれ強制的に変速されるようになっている。これにより、ドライバーは故障した車両を路肩等に移動させることが可能となる。なお、非常用スイッチがオンになった状態で、ニュートラルポジションが選択された場合には、通常のギヤ抜き制御が行われるようになっている。

しかしながら、トラブルの種類や程度によっては、変速操作自体が困難になってしまう場合がある。そのような場合において、ドライバーがシフトレバー装置でニュートラルポジションを一旦選択してギヤ抜きしてしまうと、次にドライブポジションやリバースポジションを選択したときに、低速の前進ギヤ段や後進ギヤ段にギヤ入れすることができなくなって、走行不能になってしまうおそれがある。

特開２０１４−１６３４６２号公報

本発明の目的は、非常用スイッチがオンになった状態でも、ドライブレンジが選択されたときには、所定のギヤ段に確実にギヤ入れして、車両を走行可能な状態にすることができる自動変速機の制御システムを提供することにある。

上記の目的を達成する本発明の自動変速機の制御システムは、少なくともニュートラル、ドライブ及びリバースを含む複数のシフトポジションの１つを選択可能なシフトレバー装置と、前記シフトレバー装置の操作に応じて変速レンジが自動的に選択される自動変速機と、前記自動変速機へ伝達される回転動力を断接するクラッチ装置と、非常用スイッチがオンになった状態で前記シフトレバー装置でドライブポジションが選択されたときには、予め設定されたギヤ段へ変速する制御を行う制御手段と、を備えた自動変速機の制御システムにおいて、前記制御手段は、前記自動変速機でドライブレンジ又はリバースレンジが選択された後に、前記非常用スイッチがオンになった状態で前記シフトレバー装置でニュートラルポジションが選択されたときには、ニュートラルレンジを選択せずに、前記クラッチ装置を断状態にする制御を行うことを特徴とするものである。

本発明の自動変速機の制御システムによれば、ギヤ入りが困難となるようなトラブルが発生して非常用スイッチがオンになった状態でも、自動変速機においてギヤ抜きされることがないので、ドライブレンジが選択されたときには、所定のギヤ段に確実にギヤ入れして、車両を走行可能な状態にすることができる。

本発明の実施形態からなる自動変速機の制御システムの構成図である。

以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図１は、本発明の実施形態からなる自動変速機の制御システムを示す。

この自動変速機の制御システム（以下、「制御システム」という）は、車両の運転席に設置されたシフトレバー装置１と、ディーゼルエンジン２から入力された回転動力を所定の変速比で増速又は減速して出力する自動変速機３（ＡＭＴ）と、それらのディーゼルエンジン２とＡＭＴ３との間に順に介設されたトルクコンバータ４及び湿式多板クラッチ５と、シフトレバー装置１の近傍に配置された非常用スイッチ６と、制御手段である変速段制御装置７（ＴＣＭ）とを主に備えている。

シフトレバー装置１、ディーゼルエンジン２、ＡＭＴ３、湿式多板クラッチ５及び非常用スイッチ６は、信号線（一点鎖線で示す）を通じて、ＴＣＭ７に接続されている。

シフトレバー装置１には、パーキング、リバース、ニュートラル及びドライブからなるシフトポジションが設定されており、ドライバーが選択したいずれかのシフトポジションに応じて、ＴＣＭ７によりＡＭＴ３において自動的に変速レンジが選択される。

ドライバーがパーキングポジションを選択したときには、ＴＣＭ７はパーキングレンジ（Ｐレンジ）を選択して、ＡＭＴ３の駆動系８を固定する制御を行う。リバースポジションが選択されたときには、ＴＣＭ７はリバースレンジ（Ｒレンジ）を選択して、ＡＭＴ３において後進ギヤ９に切り換える制御を行う。ニュートラルポジションが選択されたときには、ＴＣＭ７はニュートラルレンジ（Ｎレンジ）を選択して、ＡＭＴ３においてギヤ抜きして駆動系８をフリーにする制御を行う。

そして、ドライバーがドライブポジションを選択したときには、ＴＣＭ７はドライブレンジ（Ｄレンジ）を選択して、ＡＭＴ３において車両の運転状態と予め設定されたマップデータとに基づいて決定された目標変速段へ変速する制御を行う。この変速操作の間には、湿式多板クラッチ５が断状態になって、ディーゼルエンジン２とＡＭＴ３とが切り離される。

非常用スイッチ６は、ＡＭＴ３においてなんらかのトラブルが発生した場合に、ドライバーによりオンにされる。非常用スイッチ６がオンになった状態では、シフトレバー装置１でドライブポジションが選択されると、ＴＣＭ７はＤレンジを選択せずに、ＡＭＴ３において予め設定されたギヤ段に強制的に変速する制御を行うようになっている。通常、この予め設定されたギヤ段は、低速の前進ギヤ段１０（例えば、１速）となる。また、リバースポジションが選択されると、予め設定されたギヤ段は後進ギヤ段９となる。

このような制御システムにおいて、ＴＣＭ７は、ＡＭＴ３においてＤレンジ又はＲレンジが選択された後に、非常用スイッチ６がオンになった状態で、シフトレバー装置１によってニュートラルポジションが選択されたときには、Ｎレンジを選択せずに湿式多板クラッチ５を断状態にする制御を行う。

そのような制御を行うことにより、ギヤ入りが困難となるようなトラブルが発生して非常用スイッチ６がオンになった状態でも、ＡＭＴ３においてギヤ抜きされることがないので、次にドライバーがドライブポジションを選択してＤレンジが選択されたときには、又はリバースポジションを選択してＲレンジが選択されたときには、予め設定されたギヤ段に確実にギヤ入れすることで、あるいはトラブル発生時のギヤ段が維持されることで、車両を走行可能な状態にすることができるのである。

１ シフトレバー装置
２ ディーゼルエンジン
３ ＡＭＴ
４ トルクコンバーター
５ 湿式多板クラッチ
６ 非常用スイッチ
７ ＴＣＭ
８ 駆動系
９ 後進ギヤ
１０ 低速の前進ギヤ

Claims (1)

1. 少なくともニュートラル、ドライブ及びリバースを含む複数のシフトポジションの１つを選択可能なシフトレバー装置と、前記シフトレバー装置の操作に応じて変速レンジが自動的に選択される自動変速機と、前記自動変速機へ伝達される回転動力を断接するクラッチ装置と、非常用スイッチがオンになった状態で前記シフトレバー装置でドライブポジションが選択されたときには、予め設定されたギヤ段へ変速する制御を行う制御手段と、を備えた自動変速機の制御システムにおいて、
   前記制御手段は、前記自動変速機でドライブレンジ又はリバースレンジが選択された後に、前記非常用スイッチがオンになった状態で前記シフトレバー装置でニュートラルポジションが選択されたときには、ニュートラルレンジを選択せずに、前記クラッチ装置を断状態にする制御を行うことを特徴とする自動変速機の制御システム。

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