JP2016196602A - 被転写シートおよび意匠シート - Google Patents
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Abstract
【課題】被着体への高い粘着力を有し、剥離除去する際には、糊残りが生じることなく、容易に剥離除去することができる被転写シートおよび意匠シートを提供することを目的とする。【解決手段】本発明による被転写シートは、剥離フィルムと、粘着層と、基材と、受容層と、をこの順に備え、前記粘着層が、アクリル系ポリマーと、活性光線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、架橋剤とを含んでなることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は被転写シートおよび意匠シートに関する。
ショッピングモールなどにおいて、フロアの壁などの被着体には、季節や、イベントなどに応じて、様々な画像やイベントの内容が記載されたシートが貼着される。
これらシートには、イベントなどが開催されている間には、被着体から剥離しない高い粘着力が要求される。その一方で、季節の変わり目、イベントの終了後などには、被着体から容易に剥離除去することができることおよび被着体に糊残りが生じないことが求められていた。
ところで、電子部品の製造工程などで用いられる粘着テープなどに使用するための粘着剤組成物として、特開2012−12506号公報には、アクリル系ポリマーと、エネルギー線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、架橋剤とを含有するエネルギー線易剥離型粘着組成物が開示されている。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、被着体への高い粘着力を有し、剥離除去する際には、糊残りが生じることなく、容易に剥離除去することができる被転写シートおよび意匠シートを提供することを目的とする。
本発明による被転写シートは、剥離フィルムと、粘着層と、基材と、受容層と、をこの順に備え、前記粘着層が、アクリル系ポリマーと、活性光線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、架橋剤とを含んでなることを特徴とする。
本発明の態様においては、前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸エステルと、前記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル酸エステルと、前記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとの共重合体であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記水酸基含有モノマーと前記カルボキシル基含有モノマーとの質量比が51:49〜100:0であることが好ましい。
本発明の態様においては、粘着層に含まれる前記活性光線重合性オリゴマーの量が、前記アクリル系ポリマー100質量部に対して、10質量部以上、60質量部以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記活性光線重合性オリゴマーの質量平均分子量(Mw)が、10万以上、110万以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記重合開始剤は、昇温温度10℃/minで、30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であることが好ましい。
本発明による意匠シートは、上記被転写シートを備え、前記被転写シートが受容層上に印画物が形成されていることを特徴とする。
本発明の他の態様においては、前記印画物が形成された前記受容層上に、さらに保護層を備えることが好ましい。
本発明の被転写シートおよび意匠シートによれば、被着体への高い粘着力を有し、剥離除去する際には、糊残りが生じることなく、容易に剥離除去することができる。
<定義>
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。また、活性光線硬化性樹脂とは活性光線を照射する前の前駆体または組成物を意味し、活性光線線を照射して活性光線硬化性樹脂を硬化させたものを活性光線硬化樹脂というものとする。
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。また、活性光線硬化性樹脂とは活性光線を照射する前の前駆体または組成物を意味し、活性光線線を照射して活性光線硬化性樹脂を硬化させたものを活性光線硬化樹脂というものとする。
また、本明細書において、活性光線とは、活性光線硬化性樹脂に対して化学的に作用させて重合を促進せしめる放射線を意味し、具体的には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線などを意味する。
<被転写シート>
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による被転写シートの断面模式図を示したものである。一実施形態において、被転写シート1は、剥離フィルム10と、粘着層20と、基材30と、受容層40と、をこの順で備えている(図1参照)。以下、本発明による被転写シートを構成する各層について、説明する。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による被転写シートの断面模式図を示したものである。一実施形態において、被転写シート1は、剥離フィルム10と、粘着層20と、基材30と、受容層40と、をこの順で備えている(図1参照)。以下、本発明による被転写シートを構成する各層について、説明する。
<剥離フィルム>
剥離フィルムは、粘着層の表面に剥離可能に設けられ、粘着層を保護することができる程度の強度や柔軟性を有するものであれば特に限定されず、各種のフィルムを用いることができる。剥離フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂などの公知の樹脂を挙げることができる。これらの中でも、透明性、耐熱性、寸法安定性、剛性、柔軟性、積層適性、コストなどの観点から、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
剥離フィルムは、粘着層の表面に剥離可能に設けられ、粘着層を保護することができる程度の強度や柔軟性を有するものであれば特に限定されず、各種のフィルムを用いることができる。剥離フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂などの公知の樹脂を挙げることができる。これらの中でも、透明性、耐熱性、寸法安定性、剛性、柔軟性、積層適性、コストなどの観点から、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどを挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは、取り扱い易さ、コストなどの観点から好ましい。
なお、剥離フィルムは、上記樹脂を単独で用いた合成樹脂フィルムであってもよいし、2種以上の樹脂を組み合わせて用いた合成樹脂フィルムであってもよいし、単独または組み合わせて用いた合成樹脂フィルムを積層した複合フィルムであってもよい。
また、剥離フィルムの粘着層側の表面は、易剥離処理が施されていることが好ましい。易剥離処理としては、例えば、剥離フィルムと粘着層との間に易剥離層(図示しない)を設けることなどを挙げることができる。易剥離層は、剥離剤を塗布することにより形成させることができる。剥離剤は、特に限定されず、例えば、水溶性樹脂、親水性樹脂、ワックス類、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アミノアルキド系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などを使用することができる。剥離剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、グラビアコート、スプレーコートなどの塗布方法を挙げることができる。
剥離フィルム表面は、易剥離層との粘着性を高めるための易粘着処理が予め施されていることが好ましい。易粘着処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理などを挙げることができる。
剥離フィルムの厚さは、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
剥離フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法などの方法で剥離フィルムを製造できる。なお、剥離フィルムは市販品を用いてもよい。
<粘着層>
粘着層は、アクリル系ポリマーと、活性光線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、架橋剤とを含んでなる。本発明に係る被転写シートが備える粘着層は、活性光線照射前は、高い粘着力を有するものであり、また、活性光線を照射することにより、粘着層が有する粘着力を低減することができ、被着体から容易に剥離することができる。
粘着層は、アクリル系ポリマーと、活性光線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、架橋剤とを含んでなる。本発明に係る被転写シートが備える粘着層は、活性光線照射前は、高い粘着力を有するものであり、また、活性光線を照射することにより、粘着層が有する粘着力を低減することができ、被着体から容易に剥離することができる。
(アクリル系ポリマー)
アクリル系ポリマーは、特に限定されず、例えば、アクリル酸エステルと他のモノマーとを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
アクリル系ポリマーは、特に限定されず、例えば、アクリル酸エステルと他のモノマーとを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記アクリル酸エステルの中でも、特に、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが、透明性、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、塗工適性等に優れ、また、低コストである点において好ましい。
他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸−n−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記モノマーの中でも、メタクリル酸−n−エチルヘキシルが好ましい。
アクリル系ポリマーがアクリル酸エステル共重合体の場合、該アクリル酸エステル共重合体の質量平均分子量(Mw)は、所望の粘着力を発揮するものであれば、特に限定されないが、10万以上、110万以下であることが好ましく、20万以上、90万以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、十分な粘着力を発揮することができ、また、十分な強度の粘着剤層とすることができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
一実施形態において、アクリル系ポリマーは、アクリル酸エステルと、このアクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合により得られたものである。また、一実施形態において、アクリル系ポリマーは、アクリル酸エステルと、このアクリル酸エステルと共重合可能な、水酸基含有モノマーと、カルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られたものである。この場合、水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比は51:49〜100:0であることが好ましく、75:25〜100:0であることがより好ましい。アクリル系ポリマー中の水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比を上記範囲内とすることにより、エッチング処理を施した被着体に貼り付けた被転写シートを剥離する際に糊残りが生じるのを防止することができる。なお、上記2つの場合において、主成分はともにアクリル酸エステルであることが好ましく、ここで、主成分とは、共重合割合が51質量%以上であることを意味する。
共重合可能な水酸基含有モノマーは、その構造中に、共重合可能な重合性基と、水酸基とを有していれば、特に限定されず、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
共重合可能なカルボキシル基含有モノマーは、その構造中に、共重合可能な重合性基と、カルボキシル基とを有していれば、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等が挙げられる。
なお、アクリル酸エステルと、共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合比(質量比)は、アクリル酸エステルが主成分であれば、特に限定されず、所望の粘着強度を示すように、適宜、設定することができる。
(活性光線重合性オリゴマー)
活性光線重合性オリゴマーは、活性光線の照射により重合し得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、光ラジカル重合性、光カチオン重合性、光アニオン重合性等のオリゴマーが挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合性オリゴマーが好ましい。硬化速度が速く、また、多種多様な化合物から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に所望のものに制御することができるからである。光ラジカル重合性のオリゴマーとしては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性光線重合性オリゴマーは、活性光線の照射により重合し得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、光ラジカル重合性、光カチオン重合性、光アニオン重合性等のオリゴマーが挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合性オリゴマーが好ましい。硬化速度が速く、また、多種多様な化合物から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に所望のものに制御することができるからである。光ラジカル重合性のオリゴマーとしては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性光線重合性オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、10万以上、110万以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、活性光線照射前には所望の粘着力を示し、また、活性光線照射後には糊残りすることなく、容易に剥離することができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
粘着層に含まれる活性光線重合性オリゴマーの量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、10質量部以上、60質量部以下であることが好ましく、20質量部以上、50質量部以下であることがより好ましい。活性光線重合性オリゴマーの量を調整することにより、活性光線照射後の粘着力の制御が可能となる。上記範囲内であれば、活性光線照射後の架橋密度が十分なものとなるので、適正な剥離性を実現することができる。また、凝集力の低下による被着体への糊残りが生じ難い。
なお、粘着層は、上記活性光線重合性オリゴマー以外に、活性光線の照射により重合し得る活性光線重合性モノマーを含有してもよい。このようなモノマーとしては、多官能性アクリレートや多官能性メタクリレートが好ましく、例えば、一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有するトリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、それらのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。粘着層が、これらのモノマーを含んでなることにより、活性光線照射後の架橋密度が十分なものとなるので、適正な剥離性を実現することができる。また、凝集力の低下による被着体への糊残りが生じ難い。
粘着層が、活性光線重合性オリゴマーおよび活性光線重合性モノマーを含んでなる場合、その合計含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、10質量部以上、60質量部以下であることが好ましく、20質量部以上、50質量部以下であることがより好ましい。これらの合計含有量が上記数値範囲内であれば、活性光線照射後の架橋密度が十分なものとなるので、適正な剥離性を実現することができる。また、凝集力の低下による被着体への糊残りが生じ難い。
(重合開始剤)
粘着層が、重合開始剤を含んでなることにより、活性光線重合性オリゴマーの感応性を増進させることができ、活性光線による重合硬化時間や活性光線照射量を低減することができる。
粘着層が、重合開始剤を含んでなることにより、活性光線重合性オリゴマーの感応性を増進させることができ、活性光線による重合硬化時間や活性光線照射量を低減することができる。
また、本発明に係る被転写シートの粘着層に含まれる重合開始剤は、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下である。重量減少率は好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下である。被転写シートの粘着層が、このような重合開始剤を含んでなることにより、被転写シートを被着体へ貼付した状態で、被着体を高温にさらしても、被転写シートの粘着力低下を防止することができる。
重量減少率は、市販の熱重量測定装置、例えば、島津製作所社製のDTG−60Aを用いて測定した重量から算出することができる。具体的には、上記重合開始剤を分析(雰囲気ガス:窒素,ガス流量:50ml/min,温度範囲:30〜190℃,昇温条件:10℃/min)し、30℃における上記重合開始剤の重量(W1)と、190℃に到達してから30分経過後における上記重合開始剤の重量(W2)とを測定し、下記式にあてはめて算出することができる。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア754(BASF ジャパン社製)やイルガキュア2959(BASF ジャパン社製)などが挙げられる。
粘着層に含まれる重合開始剤の量は、アクリル系ポリマーおよび活性光線重合性オリゴマーの合計100質量部に対して、0.01質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上、3質量部以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば、活性光線重合性オリゴマーを十分に硬化させることができ、適正な剥離性を実現することができる。なお、粘着層が、活性光線重合性オリゴマーおよび活性光線重合性モノマーを含んでなる場合、重合開始剤の含有量は、アクリル系ポリマー、活性光線重合性オリゴマーおよび活性光線重合性モノマーの合計100質量部に対して、0.01質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上、3質量部以下であることがより好ましい。
(架橋剤)
架橋剤は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などを用いることができる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの3量体などが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが挙げられる。
架橋剤は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などを用いることができる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの3量体などが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが挙げられる。
また、エポキシ系架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテルなどの多官能エポキシ系化合物が挙げられる。
上記架橋剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができ、アクリル系ポリマーの種類などに応じて、適宜選択することができる。
なお、上記イソシアネート系架橋剤の市販品としては、例えば、L45(綜研化学株式会社製)、TD75(綜研化学株式会社製)、BXX5627(東洋インキ製造株式会社製)、X−301−422SK(サイデン化学株式会社製)等を好適に用いることができる。また、上記エポキシ系架橋剤の市販品としては、例えば、E−5XM(綜研化学株式会社製)、E−5C(綜研化学株式会社製)等を好適に用いることができる。
粘着層に含まれる架橋剤の量は、架橋剤の種類によっても異なるが、例えば、イソシアネート系架橋剤の場合、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01質量部以上、20質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上、10質量部以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、粘着剤層と基材との密着性を向上させることができる。
また、エポキシ系架橋剤の場合、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01質量部以上、20質量部以下であること好ましく、0.01質量部以上、10質量部以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、活性光線照射前における粘着力や凝集力を所望の強度に制御することができる。
(その他)
粘着層は、その他、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、シランカップリング剤、粘着付与剤、金属キレート剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、着色剤、耐電防止剤、防腐剤、消泡剤、ぬれ性調整剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
粘着層は、その他、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、シランカップリング剤、粘着付与剤、金属キレート剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、着色剤、耐電防止剤、防腐剤、消泡剤、ぬれ性調整剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
<基材>
基材としては、転写シートなどから被転写体の受容層へ印画物を転写する際の熱エネルギー(例えば、サーマルヘッドの熱)に耐え得る耐熱性を有しているものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、テレフタル酸− シクロヘキサンジメタノール− エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルムなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのポリビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレートなどのポリアクリル系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどのポリイミド系樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルファイトなどのエンジニアリング系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂を用いて作成したフィルム、などを用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂からなるフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂からなるフィルムは、耐熱性、機械的強度に優れるため好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムは、透明性が高く、被転写シート、意匠シートを被着体から剥離する際の粘着層に対する紫外線照射の妨げとならないため、好ましい。なお、基材は上記したようなフィルムに限られず、上質紙、コート紙、レジンコート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等を使用することもできる。また、これらを2以上積層した複合シートも使用することができる。
基材としては、転写シートなどから被転写体の受容層へ印画物を転写する際の熱エネルギー(例えば、サーマルヘッドの熱)に耐え得る耐熱性を有しているものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、テレフタル酸− シクロヘキサンジメタノール− エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルムなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのポリビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレートなどのポリアクリル系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどのポリイミド系樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルファイトなどのエンジニアリング系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂を用いて作成したフィルム、などを用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂からなるフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂からなるフィルムは、耐熱性、機械的強度に優れるため好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムは、透明性が高く、被転写シート、意匠シートを被着体から剥離する際の粘着層に対する紫外線照射の妨げとならないため、好ましい。なお、基材は上記したようなフィルムに限られず、上質紙、コート紙、レジンコート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等を使用することもできる。また、これらを2以上積層した複合シートも使用することができる。
また、一実施形態において、基材は、微細空隙(ミクロボイド)を有する多孔質フィルムとすることが好ましい。基材を多孔質フィルムとすることにより、後述する意匠フィルムとした場合に、受容層上の印画物の視認性がより向上する。
基材は、上記した樹脂を主成分とする共重合樹脂若しくは混合体(アロイを含む)、または複数層からなる積層体であっても良い。また、基材は、延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであってもよいが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムが好ましい。また、基材と受容層、基材と粘着層との密着力を向上させるため、基材の表面に、コロナ処理、プライマー処理などの表面処理が施されることが好ましい。
基材の厚さは、1μm以上、300μm以下が好ましく、20μm以上、100μm以下がより好ましい。基材の厚さが上記数値範囲内であれば、十分な耐熱性を担保することができるとともに、活性光線照射の妨げとならない。
<受容層>
受容層を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキなどの熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリルレートなどのポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレンなどのオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどを使用することができ、これらの中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、またはポリ塩化ビニルが好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
受容層を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキなどの熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリルレートなどのポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレンなどのオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどを使用することができ、これらの中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、またはポリ塩化ビニルが好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
受容層の厚みは、特に限定はされないが、受容層の形成に際し、受容層用塗工液の塗工量が乾燥状態で0.5g/m2以上、10g/m2以下であることが好ましい。
受容層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤などを加え、水または有機溶剤などの適当な溶剤に溶解または分散させて受容層塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法などの手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
<断熱層>
被転写シートは、所望により、受容層と、基材との間に断熱層を備えていてもよい。断熱層は、受容層上への熱転写による印画物形成時加えられた熱が、基材などへの伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。断熱層は、中空層または多孔質層であることが好ましい。
被転写シートは、所望により、受容層と、基材との間に断熱層を備えていてもよい。断熱層は、受容層上への熱転写による印画物形成時加えられた熱が、基材などへの伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。断熱層は、中空層または多孔質層であることが好ましい。
中空層は、中空粒子を含むものであり、親水性バインダーやその他の添加剤をさらに含んでいてもよい。多孔質層が中空粒子を含んでなることにより、多孔質層のクッション性が向上する。多孔質層のクッション性の程度は、多孔質層の厚みを変更することなどにより変更することができる。多孔質層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上、100μm以下とすることができる。また、多孔質層の密度は、0.1g/cm3以上、0.8g/cm3以下であることが好ましく、0.2g/cm3以上、0.7g/cm3以下であることがより好ましい。
中空粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、10μm以下が好ましく、0.3μm以上、5μm以下がより好ましい。中空粒子の平均粒子径が上記数値範囲内であれば、多孔質層の断熱性およびクッション性を向上させることができる。また、中空粒子の平均中空率は、20%以上が好ましく、30%以上であることがより好ましい。また、70%以下であることが好ましい。さらに中空粒子は、樹脂などから構成される有機系中空粒子、ガラスなどから構成される無機系中空粒子、架橋中空粒子のいずれであってもよい。
多孔質層は、多孔質フィルムからなるものである。多孔質フィルムの厚さは、10μm以上、100μm以下であることが好ましく、15μm以上、80μm以下であることがより好ましく、20μm以上、50μm以下であることがさらに好ましい。また、好ましい態様では、多孔質フィルムは、ベースとなる樹脂としてポリプロピレン樹脂を含む微細空隙(ミクロボイド)を有する多孔質フィルムが好ましい。
<意匠シート>
意匠シートは、上記被転写シートが備える受容層上に、熱転写シートが備える色材層から色材を熱転写させ、印画物を形成させることにより得ることができる。
意匠シートは、上記被転写シートが備える受容層上に、熱転写シートが備える色材層から色材を熱転写させ、印画物を形成させることにより得ることができる。
<保護層>
次に、意匠シートが所望により備える保護層について説明する。
保護層は、意匠シートが備える受容層上の印画物の保護を担うものである。
次に、意匠シートが所望により備える保護層について説明する。
保護層は、意匠シートが備える受容層上の印画物の保護を担うものである。
保護層は、その構成要素として、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニル系樹脂、これら樹脂をシリコーン変性させた樹脂、活性光線硬化性樹脂、紫外線吸収性樹脂およびこれらの混合物などを含んでなる。
一実施形態において、保護層は、数平均分子量(Mn)の異なる2種以上の樹脂を含んでなることが好ましい。より好ましくは、保護層に含まれる樹脂のMnを各樹脂の含有比率(質量基準)で積算した値を加算したときの総和(Σ)が、3000以上、17000以下であることが好ましい。総和(Σ)が上記数値範囲内であれば、保護層の耐久性を向上させることができる。
また、保護層は、総和(Σ)が上記数値範囲内であり、かつMnが2000以上、10000以下のポリエステル系樹脂AおよびMnが10000より大きく、25000以下のポリエステル系樹脂Bを含んでなることが好ましい。保護層が上記樹脂を含んでなることにより、保護層の耐久性をさらに向上することができる。保護層におけるポリエステル系樹脂Aの含有量は、ポリエステル系樹脂Aとポリエステル系樹脂Bとの合計量に対して、10質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上、70質量%以下であることがより好ましい。
また、保護層は、上記ポリエステル系樹脂Aとして、Mnが2000以上、4000以下のポリエステル系樹脂A1およびMnが4000より大きく、10000以下のポリエステル系樹脂A2を含んでなることが好ましい。保護層におけるポリエステル系樹脂A1の含有量は、ポリエステル系樹脂A1と、ポリエステル系樹脂A2と、ポリエステル系樹脂Bとの合計量に対して5質量%以上、65質量%以下が好ましい。また、保護層におけるポリエステル系樹脂A2の含有量は、ポリエステル系樹脂A1と、ポリエステル系樹脂A2と、ポリエステル系樹脂Bとの合計量に対して5質量%以上、65質量%以下が好ましい。
一実施形態において、保護層は、耐久性の観点から、活性光線硬化性樹脂を含んでなることが好ましい。活性光線硬化性樹脂は、重合成分として、分子中に(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基などの重合性不飽和結合、またはエポキシ基を有するポリマー、プレポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを適宜混合した組成物などを含んでなる。
プレポリマー、としては、例えば、アジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステル(メタ)アクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシ(メタ)アクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタン(メタ)アクリレート、例えば、ポリシロキサン(メタ)アクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性(メタ)アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等が挙げられる。
モノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリド(メタ)アクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、1,3−ジオキソラン(メタ)アクリレート等、単官能の(メタ)アクリレート類、あるいはこれらの(メタ)アクリレートを、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えた、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロール(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート等2官能の(メタ)アクリレート類、あるいはこれらの(メタ)アクリレートを、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたイタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等多官能の(メタ)アクリレート、あるいはこれらの(メタ)アクリレートを、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたイタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプ(メタ)アクリル酸変性、ウレタン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、保護層は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラーおよび有機−無機のハイブリッド型のフィラーが挙げられる。また、フィラーは、粉体であっても、ゾル状のものであってもよい。分散性という観点からは、上記したフィラーの中でも無機粒子が好ましい。
保護層に含有されるフィラーは、平均粒子径が1nm以上、200nm以下であることが好ましく、1nm以上、50nm以下であることがより好ましく、7nm以上、25nm以下であることがさらに好ましい。フィラーの平均粒子径を上記数値範囲内とすることによって、保護層の透明性を維持しつつ、分散性を維持することができ、保護層塗工液の安定性が低下することを防止することができる。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子(コロダイルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカなど)、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、酸化亜鉛粒子などの金属酸化物粒子が挙げられ、耐摩耗性向上という観点から、シリカ粒子を用いることが好ましい。さらに、無機粒子は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤などを用いて表面処理が施されたものであることが好ましい。
上記フィラーは、保護層中の固形分総量に対し、10質量%以上、60質量%以下含まれていることが好ましく、10質量%以上、45質量%以下含まれていることがより好ましく、20質量%以上、40質量%以下含まれていることがさらに好ましい。
また、保護層の厚さは、好ましくは1μm以上、8μm以下であり、より好ましくは2μm以上、6μm以下である。保護層の厚さが上記数値範囲内であれば、箔切れ、尾引きやバリといった転写不良を防止しつつ、十分なハードコート性能および耐可塑剤性能を付与でき、また、保護層の転写時に紙むけや欠けといった転写不良を防止することができる。
保護層が活性光線硬化性樹脂を含んでいない場合、上記樹脂を含む塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコートなどの公知の手段により、受容層上に塗布、乾燥して形成することができる。活性光線硬化性樹脂を含んでなる場合、上記したような活性光線硬化性樹脂を含む塗工液を、上記手段により、受容層上に塗布して塗膜を形成させ、活性光線により、上記した、重合可能な共重合体などの重合成分を、架橋・硬化させることにより形成することができる。例えば、紫外線の照射は、従来公知の紫外線照射装置を用いることができ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ、無電極紫外線ランプ、LED等、種々のものを制限なく使用することができる。また、電子線の照射は、100keV以上、300keV以下のエネルギーで電子線を照射する高エネルギー型電子線照射装置や100keV以下のエネルギーで電子線を照射する低エネルギー型電子線照射装置のいずれを用いてもよく、また、照射方式も、走査型やカーテン型いずれの方式の照射装置であってもよい。なお、塗工液に重合開始剤を添加してもよい。また、保護層は、予め基材などの上に形成させ、転写シートとしておき、これを受容層上に転写することによっても形成させることができる。
<パッチ>
意匠シートは、所望により、保護層に代えパッチを備えていてもよく、保護層上に更にパッチを設けてもよい。被転写シートが保護層に代えまたは保護層上に、パッチを備えてなることにより、耐久性がさらに向上する。パッチとしては、透明であり、受容層上の印画物の視認性に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート製やポリエステル製のものを用いることができる。これらパッチは、受容層または保護層へラミネートすることにより設けることができる。
意匠シートは、所望により、保護層に代えパッチを備えていてもよく、保護層上に更にパッチを設けてもよい。被転写シートが保護層に代えまたは保護層上に、パッチを備えてなることにより、耐久性がさらに向上する。パッチとしては、透明であり、受容層上の印画物の視認性に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート製やポリエステル製のものを用いることができる。これらパッチは、受容層または保護層へラミネートすることにより設けることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(FOS−BT#30、フタムラ化学(株)製)を基材として用い、基材上に、下記の組成からなる受容層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥状態で2.0g/m2の塗工量となるように塗工した後、乾燥し、受容層を形成させた。
<受容層塗工液組成>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 95部
(日信化学工業(株)製、商品名:CNL)
・エポキシ変性シリコーンオイル 5部
(信越化学工業(株)製、商品名:KP−1800U)
・トルエン 200部
・MEK 200部
厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(FOS−BT#30、フタムラ化学(株)製)を基材として用い、基材上に、下記の組成からなる受容層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥状態で2.0g/m2の塗工量となるように塗工した後、乾燥し、受容層を形成させた。
<受容層塗工液組成>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 95部
(日信化学工業(株)製、商品名:CNL)
・エポキシ変性シリコーンオイル 5部
(信越化学工業(株)製、商品名:KP−1800U)
・トルエン 200部
・MEK 200部
次いで、受容層を形成されていない基材の面上に、下記の組成からなる粘着層塗工液Aをアプリケーターにより、乾燥後の膜厚が10μmとなるよう、全面塗工した後、乾燥させ、粘着層を形成させた。次いで、この粘着層に、厚さ100μmのポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、商品名:クリスパーG1212)を剥離フィルムとしてラミネートし、被転写シートを得た。
<粘着層塗工液A>
・紫外線硬化型アクリル系粘着剤 100部
(固形分:40%、日本合成化学社製、商品名:N−4498、アクリル系ポリマー+活性光線重合性オリゴマー、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万、活性光線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレート、アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:30/1、)
・重合開始剤 1.4部
(光ラジカル発生剤、固形分:100%、BASF ジャパン社製、商品名:イルガキュア754)
・架橋剤 1.5部
(イソシアネート系架橋剤、固形分75%、日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)
・トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒 180部
(質量比1:1、DICグラフィックス株式会社製、商品名:KT11)
<粘着層塗工液A>
・紫外線硬化型アクリル系粘着剤 100部
(固形分:40%、日本合成化学社製、商品名:N−4498、アクリル系ポリマー+活性光線重合性オリゴマー、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万、活性光線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレート、アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:30/1、)
・重合開始剤 1.4部
(光ラジカル発生剤、固形分:100%、BASF ジャパン社製、商品名:イルガキュア754)
・架橋剤 1.5部
(イソシアネート系架橋剤、固形分75%、日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)
・トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒 180部
(質量比1:1、DICグラフィックス株式会社製、商品名:KT11)
次いで、受容層上に、下記のようにして作成した熱転写シートAと保護層転写シートAを下記テストプリンターを用いて転写して意匠シートを作成した
(テストプリンター)
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印画電圧:18(V)
1ライン周期:1.5(msec.)
印字開始温度:35(℃)
パルスDuty比:85%
(テストプリンター)
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印画電圧:18(V)
1ライン周期:1.5(msec.)
印字開始温度:35(℃)
パルスDuty比:85%
<熱転写シートAの作成>
基材として厚さ4.5μmの易粘着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.8g/m2になるように塗工し、背面層を形成した。次いで、基材の他方の面に、下記組成のイエロー染料層用塗工液1、下記組成のマゼンタ染料層用塗工液1、上記組成のシアン染料層用塗工液1をそれぞれ、乾燥時塗工量が0.6g/m2となるように面順次に塗工して、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層を形成することで熱転写シートを作成した。
基材として厚さ4.5μmの易粘着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.8g/m2になるように塗工し、背面層を形成した。次いで、基材の他方の面に、下記組成のイエロー染料層用塗工液1、下記組成のマゼンタ染料層用塗工液1、上記組成のシアン染料層用塗工液1をそれぞれ、乾燥時塗工量が0.6g/m2となるように面順次に塗工して、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層を形成することで熱転写シートを作成した。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂 2.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBX−1)
・ポリイソシアネート 9.2部
(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:バーノック D750)
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3部
(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA208N)
・タルク 0.3部
(日本タルク工業(株)製、商品名:ミクロエースP−3)
・トルエン 43.6部
・メチルエチルケトン 43.6部
・ポリビニルブチラール樹脂 2.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBX−1)
・ポリイソシアネート 9.2部
(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:バーノック D750)
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3部
(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA208N)
・タルク 0.3部
(日本タルク工業(株)製、商品名:ミクロエースP−3)
・トルエン 43.6部
・メチルエチルケトン 43.6部
<イエロー染料層用塗工液1>
・ソルベントイエロー93 6.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 0.1部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
・ソルベントイエロー93 6.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 0.1部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
<マゼンタ染料層用塗工液1>
・ディスパースレッド60 3.5部
・ディスパースバイオレット26 3.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 7.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 1.4部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
・ディスパースレッド60 3.5部
・ディスパースバイオレット26 3.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 7.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 1.4部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
<シアン染料層用塗工液1>
・ソルベントブルー63 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 5.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 0.1部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
・ソルベントブルー63 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 5.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 0.1部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
<保護層転写シートAの作成>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方面にメラミン系樹脂の離型層が塗布されたフィルムを基材として用い、その離型層上に、下記の組成からなる保護層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥後の厚みが6μmになるように塗布し乾燥させた後に、UV露光器(Hバルブ使用、反射鏡はコールドタイプ、LH10ランプ、フージョンUVシステムズジャパン社製、商品名:F600V)を用いて紫外線を照射し、保護層転写シートを作成した。
<保護層塗工液組成A>
・多官能アクリレート 40部
(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルA−9300)
・ウレタンアクリレート 25部
(2官能、新中村化学工業(株)製、商品名:NKオリゴマーUA122−P)
・アクリル共重合体 30部
・光重合開始剤 5部
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:イルガキュア907)
・フィラー(架橋ポリメタクリル酸メチル) 5部
(平均粒径5μm、積水化成品工業(株)製、商品名:MBX−5)
・トルエン 200部
・MEK 200部
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方面にメラミン系樹脂の離型層が塗布されたフィルムを基材として用い、その離型層上に、下記の組成からなる保護層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥後の厚みが6μmになるように塗布し乾燥させた後に、UV露光器(Hバルブ使用、反射鏡はコールドタイプ、LH10ランプ、フージョンUVシステムズジャパン社製、商品名:F600V)を用いて紫外線を照射し、保護層転写シートを作成した。
<保護層塗工液組成A>
・多官能アクリレート 40部
(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルA−9300)
・ウレタンアクリレート 25部
(2官能、新中村化学工業(株)製、商品名:NKオリゴマーUA122−P)
・アクリル共重合体 30部
・光重合開始剤 5部
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:イルガキュア907)
・フィラー(架橋ポリメタクリル酸メチル) 5部
(平均粒径5μm、積水化成品工業(株)製、商品名:MBX−5)
・トルエン 200部
・MEK 200部
(実施例2)
下記保護層塗工液b1〜b3を、各バインダー樹脂の含有比率(質量基準)が、b1:b2:b3を0.25:0.25:0.5となるように混練した保護層塗工液Bを使用し、乾燥状態で4.5g/m2の塗工量となるように塗工することにより保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、被転写シートおよび意匠シートを作成した。
<保護層塗工液b1>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:3000、Tg=53℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロン220)
・トルエン 40部
・MEK 40部
<保護層塗工液b2>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:10000、Tg=60℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロンGK−250)
・トルエン 40部
・MEK 40部
<保護層塗工液b3>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:3000、Tg=53℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロン220)
・トルエン 40部
・MEK 40部
下記保護層塗工液b1〜b3を、各バインダー樹脂の含有比率(質量基準)が、b1:b2:b3を0.25:0.25:0.5となるように混練した保護層塗工液Bを使用し、乾燥状態で4.5g/m2の塗工量となるように塗工することにより保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、被転写シートおよび意匠シートを作成した。
<保護層塗工液b1>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:3000、Tg=53℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロン220)
・トルエン 40部
・MEK 40部
<保護層塗工液b2>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:10000、Tg=60℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロンGK−250)
・トルエン 40部
・MEK 40部
<保護層塗工液b3>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:3000、Tg=53℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロン220)
・トルエン 40部
・MEK 40部
(実施例3)
保護層を転写する代わりに、印画物を形成した受容層上に、パッチ(JVC社製、商品名:CY−R10FC−60)をラミネートした以外は、実施例1と同様にして、被転写シートおよび意匠シートを作成した。
保護層を転写する代わりに、印画物を形成した受容層上に、パッチ(JVC社製、商品名:CY−R10FC−60)をラミネートした以外は、実施例1と同様にして、被転写シートおよび意匠シートを作成した。
(実施例4)
粘着層塗工液の組成を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして被転写シートおよび意匠シートを作成した。
<粘着層塗工液B>
・紫外線硬化型アクリル系粘着剤 100部
(固形分:41%、日本合成化学社製、商品名:N−7257、アクリル系ポリマー+活性光線重合性オリゴマー、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万、活性光線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレート、アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:3/1)
・重合開始剤 1.4部
(光ラジカル発生剤、固形分:100質量部、BASF ジャパン社製、商品名:イルガキュア754)
・架橋剤 1.5部
(イソシアネート系架橋剤、固形分75%、日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)
・トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒 180部
(質量比1:1、DICグラフィックス株式会社製、商品名:KT11)
粘着層塗工液の組成を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして被転写シートおよび意匠シートを作成した。
<粘着層塗工液B>
・紫外線硬化型アクリル系粘着剤 100部
(固形分:41%、日本合成化学社製、商品名:N−7257、アクリル系ポリマー+活性光線重合性オリゴマー、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万、活性光線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレート、アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:3/1)
・重合開始剤 1.4部
(光ラジカル発生剤、固形分:100質量部、BASF ジャパン社製、商品名:イルガキュア754)
・架橋剤 1.5部
(イソシアネート系架橋剤、固形分75%、日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)
・トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒 180部
(質量比1:1、DICグラフィックス株式会社製、商品名:KT11)
(実施例5)
基材を、厚さ60μmのポリプロピレンフィルム(FOS−BT#60、フタムラ化学(株)製)、剥離フィルムを、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:S100−38)に変更した以外は実施例1と同様にして被転写シートおよび意匠シートを作成した。
基材を、厚さ60μmのポリプロピレンフィルム(FOS−BT#60、フタムラ化学(株)製)、剥離フィルムを、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:S100−38)に変更した以外は実施例1と同様にして被転写シートおよび意匠シートを作成した。
(比較例1)
実施例1の粘着層塗工液Aに含まれる紫外線硬化型アクリル系粘着剤を、アクリル樹脂(エチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、Tg:18℃、根上工業株式会社製、商品名:W−197C)に変更した以外は、実施例1と同様にして被転写シートおよび意匠シートを作成した。
実施例1の粘着層塗工液Aに含まれる紫外線硬化型アクリル系粘着剤を、アクリル樹脂(エチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、Tg:18℃、根上工業株式会社製、商品名:W−197C)に変更した以外は、実施例1と同様にして被転写シートおよび意匠シートを作成した。
実施例1〜7および比較例1で得られた意匠シートについて以下の試験を行い、評価した。各試験の評価結果は表1に示される通りであった。
<初期粘着力試験>
実施例1〜7および比較例1で得られた意匠シートを幅25mm×長さ100mmに切断し、試験片を作成した。また、ポリイミドフィルム(膜厚:50μm、東レ・デュポン社製、商品名:カプトン 200H)を60℃の塩化第二鉄溶液に2分間浸漬させた後、蒸留水で30秒間、2回洗浄し、風乾させ、貼付対象(エッチング処理したポリイミドフィルム)を作成した。
試験片の剥離フィルムを剥がし、上記エッチング処理したポリイミドフィルム面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した。その後、万能材料試験機(5565型,インストロン・ジャパン社製)を用いて、粘着力を測定し(JIS Z0237準拠、剥離速度:300mm/min、剥離距離:50mm、剥離角:180°)、以下の評価基準で評価試験を行った。
○: 粘着力が、0.8N/25mm以上15N/25mm以下であった。
×: 粘着力が、0.8N/25mm未満、または15N/25mm超であった。
実施例1〜7および比較例1で得られた意匠シートを幅25mm×長さ100mmに切断し、試験片を作成した。また、ポリイミドフィルム(膜厚:50μm、東レ・デュポン社製、商品名:カプトン 200H)を60℃の塩化第二鉄溶液に2分間浸漬させた後、蒸留水で30秒間、2回洗浄し、風乾させ、貼付対象(エッチング処理したポリイミドフィルム)を作成した。
試験片の剥離フィルムを剥がし、上記エッチング処理したポリイミドフィルム面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した。その後、万能材料試験機(5565型,インストロン・ジャパン社製)を用いて、粘着力を測定し(JIS Z0237準拠、剥離速度:300mm/min、剥離距離:50mm、剥離角:180°)、以下の評価基準で評価試験を行った。
○: 粘着力が、0.8N/25mm以上15N/25mm以下であった。
×: 粘着力が、0.8N/25mm未満、または15N/25mm超であった。
<加熱処理後の粘着力測定>
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミド樹脂面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した。次いで、150℃にて90分間加熱した後、常温常湿下にて1時間放置し、万能材料試験機(5565型、インストロン・ジャパン社製)を用いて、加熱処理後の粘着力を測定し(JIS Z0237準拠、剥離速度:300mm/min、剥離距離:50mm、剥離角:180°)、以下の評価基準で評価試験を行った。
○: 粘着力が、0.8N/25mm以上20N/25mm以下であった。
×: 粘着力が、0.8N/25mm未満、または20N/25mm超であった。
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミド樹脂面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した。次いで、150℃にて90分間加熱した後、常温常湿下にて1時間放置し、万能材料試験機(5565型、インストロン・ジャパン社製)を用いて、加熱処理後の粘着力を測定し(JIS Z0237準拠、剥離速度:300mm/min、剥離距離:50mm、剥離角:180°)、以下の評価基準で評価試験を行った。
○: 粘着力が、0.8N/25mm以上20N/25mm以下であった。
×: 粘着力が、0.8N/25mm未満、または20N/25mm超であった。
<糊残り試験>
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミドフィルムに2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した後、(150℃にて90分間加熱した。)次いで、基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量:200mj/cm2)した後、ポリイミドフィルムから試験片を剥離した。試験片を剥離した後のポリイミドフィルム表面における糊残りの有無を光学顕微鏡(キーエンス社製、倍率200倍、VHS−600)にて確認した。
○: 糊残りがない。
×: 糊残りがある。
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミドフィルムに2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した後、(150℃にて90分間加熱した。)次いで、基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量:200mj/cm2)した後、ポリイミドフィルムから試験片を剥離した。試験片を剥離した後のポリイミドフィルム表面における糊残りの有無を光学顕微鏡(キーエンス社製、倍率200倍、VHS−600)にて確認した。
○: 糊残りがない。
×: 糊残りがある。
<耐久性試験(Taber試験)>
実施例1〜8および比較例1で得られた意匠シートが備える受容層上の印画物に、テーバー摩耗試験機で、摩耗輪:CS−10Fを用い、荷重:500gfで250回毎に摩耗輪を研磨し、合計1000回研磨した。研磨後に表面の状態を目視にて観察し、以下の評価基準で評価試験を行った。
◎:1000サイクル実施後の画像が良好である
○:1000サイクル実施後の画像が良好である
△:1000サイクル実施後の画像が良好ではないが実用上問題がない
×:1000サイクル実施後の画像が不良である
実施例1〜8および比較例1で得られた意匠シートが備える受容層上の印画物に、テーバー摩耗試験機で、摩耗輪:CS−10Fを用い、荷重:500gfで250回毎に摩耗輪を研磨し、合計1000回研磨した。研磨後に表面の状態を目視にて観察し、以下の評価基準で評価試験を行った。
◎:1000サイクル実施後の画像が良好である
○:1000サイクル実施後の画像が良好である
△:1000サイクル実施後の画像が良好ではないが実用上問題がない
×:1000サイクル実施後の画像が不良である
1 被転写シート
10 剥離フィルム
20 粘着層
30 基材
40 受容層
10 剥離フィルム
20 粘着層
30 基材
40 受容層
Claims (9)
- 剥離フィルムと、粘着層と、基材と、受容層と、をこの順に備え、
前記粘着層が、アクリル系ポリマーと、活性光線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、架橋剤とを含んでなることを特徴とする、被転写シート。 - 前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸エステルと、前記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合である、請求項1に記載の被転写シート。
- 前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル酸エステルと、前記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとの共重合体である請求項1に記載の被転写シート。
- 前記水酸基含有モノマーと前記カルボキシル基含有モノマーとの質量比が51:49〜100:0である、請求項3に記載の被転写シート。
- 粘着層に含まれる前記活性光線重合性オリゴマーの量が、前記アクリル系ポリマー100質量部に対して、10質量部以上、60質量部以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の被転写シート。
- 前記活性光線重合性オリゴマーの質量平均分子量(Mw)が、10万以上、110万以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の被転写シート。
- 前記重合開始剤は、昇温温度10℃/minで、30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の被転写シート。
- 請求億1〜7のいずれか一項に記載の被転写シートを備え、
前記被転写シートが備える受容層上に印画物が形成されたことを特徴とする、意匠シート。 - 前記印画物が形成された前記受容層上に、さらに保護層を備える請求項8に記載の意匠シート。
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JP2015077774A JP2016196602A (ja) | 2015-04-06 | 2015-04-06 | 被転写シートおよび意匠シート |
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