以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各図において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、筐体の深さ方向をZ方向、Z方向に直交する筐体の厚み方向(回路基板の厚み方向)をX方向、Z方向及びX方向の両方向に直交する筐体の幅方向をY方向と示す。また、以下においては、Y方向を横方向、Z方向を縦方向、X方向を高さ方向とも称する。
先ず、図1及び図2に基づき、本実施形態の電子制御装置20の搭載環境の一例について説明する。図1に示すように、車両10は、フロントウインドシールド11よりも前方に、ボンネット12を有している。ボンネット12は、フードとも称される。車両の左右方向において、ボンネット12の両サイドには、図示しないタイヤや、タイヤによる石、泥、水などのはねから乗員を保護するために、フロントフェンダ13が取り付けられている。また、車両10の前方には、左右両側にヘッドライト14が設けられている。ヘッドライト14の間には、外部から空気を取り入れるためのフロントグリル15が設けられている。
図2に示すように、隔壁16により、乗員が搭乗する車室内(キャビン)と隔てられたボンネット12の下のエンジンコンパートメント17には、エンジン18や車両補機などが配置されている。エンジンコンパートメント17は、エンジンルームとも称される。エンジンコンパートメント17は区画室、ボンネット12は区画室上の蓋とも言える。エンジンコンパートメント17は、フロントフェンダ13、フロントグリル15、及び隔壁16などによって区画形成されている。
エンジンコンパートメント17には、エンジン18以外にも、バッテリ19、電子制御装置20、及びリレーボックス21などが配置されている。電子制御装置20は、エンジンECU(Electric Control Unit)として構成されている。バッテリ19は、箱状部材とも言える。電子制御装置20は、エンジン18が出力すべき目標トルクの算出などを実行する。また、電子制御装置20は、エンジン18が要求される目標トルクを生じるために、ワイヤハーネス22を通じて、スロットルバルブの開度、燃料噴射量、及び点火タイミングなどを制御する。
リレーボックス21は、車内の電装品に対してバッテリ19の電力を分配するために、多数のリレーやヒューズなどを備えて構成されている。このリレーボックス21には、ワイヤハーネス23の一部を通じて、電子制御装置20へ電力を供給したり、電子制御装置20から制御信号が入力されたりする。電子制御装置20は、この制御信号により、車両10に搭載された電装品への電力の供給を制御する。また、ワイヤハーネス23の残りは、隔壁16に設けられた貫通孔16aを通じて、図示しないボディ系の各種ECU、メータ、各種スイッチなどに接続されている。これにより、電子制御装置20とボディの各種ECUや制御対象との間で信号のやりとりが可能となっている。なお、ワイヤハーネス22とワイヤハーネス23は、互いを区別するために、ワイヤハーネス22をエンジン側ハーネスと称し、ワイヤハーネス23をリレー側ハーネスと称することができる。
次に、図3〜図16に基づき、バッテリ19及び該バッテリ19の隣に配置される電子制御装置20について説明する。
バッテリ19は、各種の電気機器、電子機器の制御を行うために充放電する。図3及び図4に示すように、バッテリ19は、略直方体形状をなしており、外表面として、図示しない端子などが形成された上面19aと、側面である長側面19b及び短側面19cと、上面19aと反対の図示しない底面と、を有している。長側面19bは、略長方形をなす上面19aの長辺に連結された側面であり、短側面19cは、上面19aの短辺に連結された側面である。一対の長側面19b及び一対の短側面19cは、いずれもほぼ全面が平坦な面、すなわち平面部19dとなっている。バッテリ19は、後述するブラケット33のトレイ部54を構成する底板部55上に配置されている。
バッテリ19は、トレイ部54、ひいては車両10に固定されている。バッテリ19の上面19aには、バッテリ19をクランプするクランプ部材24が配置されている。クランプ部材24は、長辺の中央付近において短辺方向に沿って上面19aを跨ぐように配置されている。図3及び図5などに示すように、クランプ部材24の両端は、上面19aよりも外側に延設されている。クランプ部材24の両端には、J型のフック部材25が連結されている。フック部材25において、クランプ部材24との連結端と反対の下端部は、J字状に屈曲されている。上記したトレイ部54を構成する横板部56,57のうち、バッテリ19の長側面19bに対向配置された横板部57に掛け止め部59が形成されており、この掛け止め部59にフック部材25の下端部が掛け止めされている。このように、バッテリ19は、底板部55とクランプ部材24によって挟持されている。
電子制御装置20は、図12などに示すように、第1回路基板30aと、第2回路基板30bと、筐体31と、コネクタ32とを有している。第1回路基板30aや第2回路基板30bは、電子部品が実装されている。第1回路基板30aに実装された電子部品は、回路素子30cを含むものである。つまり、電子制御装置20は、上記構成要素30a,30b,31,32に加えて、回路素子30cを備えていると言える。さらに、本実施形態では、筐体31内にポッティング材70が充填された電子制御装置20を採用している。なお、以下においては、第1回路基板30aと第2回路基板30bとを区別する必要がない場合、回路基板30a,30bとも記載する。
回路基板30a,30bは、絶縁基材に導体パターンなどが形成されたものである。回路基板30a,30bとしては、プリント基板やセラミック基板を採用できる。また、第1回路基板30aと第2回路基板30bは、例えば平板形状の基板である。
第1回路基板30aは、図12、図13、及び図14に示すように、位置決め穴30a1やスルーホール30a2が形成されている。なお、図13では、筐体31やポッティング材70などを省略している。
位置決め穴30a1は、特許請求の範囲における第1穴部に相当する。位置決め穴30a1は、絶縁基材の厚み方向に貫通した穴であり、後程説明する回路素子30cの位置を規定するための穴である。言い換えると、位置決め穴30a1は、第1回路基板30aに実装された回路素子30cの位置ずれを抑制するための穴である。また、この位置決め穴30a1は、図12や図13に示すように、回路素子30cの一部が挿入(埋設)される部位である。
さらに、位置決め穴30a1は、回路素子30cの一部が挿入(埋設)されることで、回路素子30cの位置ずれを抑制する。このために、位置決め穴30a1は、図14、図15に示すように、回路素子30cにおける胴体部の直径よりも、幅が狭い穴となっている。なお、位置決め穴30a1の長さは、図14に示すように、回路素子30cにおける胴体部の長さと同等である。
スルーホール30a2は、絶縁基材の厚み方向に貫通した穴であり、回路素子30cの端子である素子側端子30c1が挿入される穴である。スルーホール30a2は、絶縁基材の厚み方向に貫通した穴の表面に、銅めっきなどの導電性部材が形成されている。スルーホール30a2は、自身に挿入された素子側端子30c1と、はんだ60によって電気的及び機械的に接続される。素子側端子30c1とはんだ60は、第1回路基板30aと回路素子30cとの接続部とも言える。
なお、本実施形態では、素子側端子30c1がスルーホール30a2に挿入されて、素子側端子30c1と第1回路基板30aとが電気的及び機械的に接続されている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。後程説明するが、本発明は、表面実装構造の回路素子30hでも採用できる。
一方、第2回路基板30bは、第1回路基板30aの実装面に対向配置されている。第2回路基板30bは、特許請求の範囲における押さえ部材に相当する。第2回路基板30bは、回路素子30cと一部接触している。そして、第2回路基板30bは、実装面に垂直な方向において、回路素子30cを第1回路基板30aに押し付ける。また、第2回路基板30bは、図示は省略するが、回路素子30cとは異なる電子部品が実装されている。なお、電子制御装置20は、後程説明するが、ポッティング材70で第1回路基板30aに回路素子30cを固定できる。よって、第2回路基板30bは、少なくとも、筐体31内にポッティング材70が注入される際に、回路素子30cを第1回路基板30aに押し付けるものであってもよい。つまり、第2回路基板30bは、筐体31内にポッティング材70が注入される際に、回路素子30cが位置ずれしないようにするための仮押さえ部材と言うこともできる。
第1回路基板30aと第2回路基板30bは、図12などに示すように、筐体31内に収容されており、ポッティング材70により、筐体31に固定されている。なお、第1回路基板30aと第2回路基板30bは、ポッティング材70に加えて、図示しない固定手段により、筐体31に固定されていてもよい。第1回路基板30aと第2回路基板30bには、コネクタ32も実装されている。例えば、第1回路基板30aと第2回路基板30bとは、一つのコネクタ32に固定されることで、互いの間隔を保持できる。なお、コネクタ32に関しては、後程説明する。
回路素子30cは、特許請求の範囲における電子部品に相当し、一例としてアルミ電解コンデンサを採用する。回路素子30cは、素子側端子30c1を有し、はんだ60を介して素子側端子30c1と第1回路基板30aとが電気的及び機械的に接続され、第1回路基板30aの実装面側に実装されている。はんだ60は、特許請求の範囲における接続部材に相当する。本発明は、はんだ60のかわりに、導電性の接着剤などを採用できる。
回路素子30cは、例えば、図12、図13に示すように、円柱形状の胴体部と、胴体部から突出した二つの素子側端子30c1とを有している。つまり、回路素子30cの胴体部は、筒状部と、筒状部の両端に形成された円形壁部とを含む形状である。そして、回路素子30cは、二つの円形壁部の一方から各素子側端子30c1が突出して形成されている。各素子側端子30c1は、例えば、円形壁部から突出した突出部と、突出部の先端から曲げられた屈曲部とを含み、L字形状をなしていると言える。本実施形態では、平坦な円形壁部と、円形壁部に垂直に設けられた突出部と、突出部の先端に円形壁部に平行に設けられた屈曲部とを含む素子側端子30c1を採用している。このように、本実施形態では、回路素子30cとして、THD(Through Hole Device)のアルミ電解コンデンサを採用している。
回路素子30cは、筒状部が実装面と平行で、円形壁部が実装面と垂直となるように第1回路基板30aに配置されている。また、回路素子30cは、屈曲部が第1回路基板30aのスルーホール30a2に挿入された状態で、第1回路基板30aに実装されている。また、回路素子30cは、自身の長手方向が実装面と平行となり、自身の短手方向が実装面と垂直になるように、第1回路基板30aに実装されているため、横置き実装されていると言うこともできる。
さらに、回路素子30cは、図12、図13、図15自身の一部のみが位置決め穴30a1内に配置されている。詳述すると、回路素子30cは、図12、図13に示すように、胴体部の高さ方向の一部及び胴体部の長さ方向の全体のみが位置決め穴30a1内に配置されると言える。また、上記のように、回路素子30cは、第2回路基板30bから第1回路基板30aに押し付けられているため、第1回路基板30aと第2回路基板30bとで挟み込まれた状態で筐体31内に収容されていると言える。
電子制御装置20は、回路素子30cが位置決め穴30a1内に配置されているため、回路素子30cが横方向(Y方向)に位置ずれすることを抑制できる。また、電子制御装置20は、回路素子30cが位置決め穴30a1内に配置され、スルーホール30a2に素子側端子30c1が挿入されてはんだ60で固定されているため、回路素子30cが縦方向(Z方向)に位置ずれすることを抑制できる。さらに、電子制御装置20は、回路素子30cが第2回路基板30bから第1回路基板30aに押し付けられているため、回路素子30cが高さ方向(X方向)に位置ずれすることを抑制できる。このように、電子制御装置20は、回路素子30cが横方向、縦方向、高さ方向の3方向に位置ずれすることを抑制できる。
筐体31は、金属材料を用いて形成されている。これにより、筐体31は、回路基板30a,30bが発した熱を筐体31の外部に放熱する機能を果たす。筐体31は、図12に示すように、袋形状をなしており、自身の深さ方向であるZ方向の一端側に底部40を有し、底部40と反対の他端側に開口部41を有している。また、筐体31は、底部40に連結され、底部40とともに回路基板30a,30bなどを収容する空間を形成する側壁部42を有している。つまり、側壁部42は、環状に設けられている。なお、底部40は、側壁部42とともに筐体31の壁部の一部をなすものであるため、底壁部40と言うこともできる。
上記のように、ポッティング材70は、筐体31内に設けられている。このポッティング材70は、特許請求の範囲における封止樹脂に相当する。そして、ポッティング材70は、第1回路基板30a及び回路素子30cを覆い、第1回路基板30aに回路素子30cを固定している。さらに、ポッティング材70は、第2回路基板30bを覆い、第1回路基板30a及び回路素子30cに対して、第2回路基板30bを固定している。このように、ポッティング材70は、筐体31内を一体的に封止して、筐体31内に配置された構成要素を固定していると言える。
このような袋形状をなす筐体31は、単一部材により構成することもできるし、複数の部材を組み付けることで構成することもできる。本実施形態では、パンチを用いたインパクト加工法を採用することで、筐体31が単一部材で構成されている。インパクト加工法を採用すると、アルミダイカスト法を用いた単一部材や複数部材の組み付けに較べて、筐体31のX方向の長さ、すなわち厚みを薄くすることができる。
筐体31は、図9、図10、図11及び図12に示すように、その外表面として、底部40の外面である底面43aと、バッテリ19の平面部19dに対向配置される対向面43bと、対向面43bと反対の裏面43cと、対向面43b及び裏面43cにおけるY方向の両端をそれぞれ連結する一対の連結面43dと、有している。そして、一対の連結面43dが、Z方向の少なくとも一部であってX方向の所定範囲に、裏面43cに近づくほどY方向における一対の連結面43dの間隔が狭くなるように傾斜した斜面部43eをそれぞれ有している。一対の斜面部43eは、対向面43bから裏面43cに近づくにつれて、互いの間隔が徐々に短くなるように傾斜していると言うこともできる。一対の斜面部43eは、互いに対向するように設けられている。なお、一対の連結面43dの間隔とは、一方の連結面43dから他方の連結面43dまでのY方向の距離である。
本実施形態では、対向面43b及び裏面43cがほぼ平坦な面となっている。そして、連結面43dは、対向面43b及び裏面43cとの連結部分である屈曲部を除いて、斜面部43eとなっている。すなわち、連結面43dのほぼ全面が斜面部43eとなっている。連結面43dと対向面43bとのなす角度は鋭角とされ、連結面43dと裏面43cとのなす角度は鈍角となっている。このため、図10に示すように、Z方向からみて、筐体31は略台形状をなしている。したがって、Y方向において、一対の連結面43dの間に裏面43cが位置している。また、底部40には、図9に示すように、底面43aに開口する所定深さのねじ穴44が形成されている。
このように構成される筐体31は、図3及び図4に示すように、バッテリ19における一方の短側面19cの隣(横)に配置されている。詳述すると、筐体31は、短側面19cに対し、対向面43bが対向配置されている。筐体31は、開口部41が底部40に対して上方となるように、短側面19c(平面部19d)の横に配置されている。すなわち、コネクタ32が、底部40に対して上方となるように配置されている。なお、Z方向が車両10における上下方向に略一致する。上方とは、車両上方である。
コネクタ32は、第1回路基板30aと第2回路基板30bに実装されており、第1回路基板30a及び第2回路基板30bと外部機器とを電気的に中継する。コネクタ32の一部は、図9などに示すように、筐体31に収容され、残りの部分は、筐体31から外部に露出されている。コネクタ32には、外部機器側のコネクタ(メスコネクタ)が嵌合され、コネクタ32及びメスコネクタを介して、回路基板30a,30bなどが上記したワイヤハーネス22,23と電気的に接続される。例えば、電子制御装置20は、コネクタ32、メスコネクタ、及びワイヤハーネス22を介して、回路基板30a,30bとエンジン18とが電気的に接続されている。また、電子制御装置20は、コネクタ32、メスコネクタ、及びワイヤハーネス23を介して、回路基板30a,30bとリレーボックス21などが電気的に接続されている。
コネクタ32は、図9、図11、図16などに示すように、樹脂などの電気絶縁性材料を用いて形成されたハウジング32aと、導電性材料を用いて形成され、ハウジング32aに保持された複数の第1端子32bと複数の第2端子32cと、を有している。複数の第1端子32bは、例えば、ハウジング32aに対してY方向に配列されるとともに、X方向に多段に配置されている。複数の第2端子32cに関しても同様である。なお、段数は、特に限定されない。第1端子32bは、第1回路基板30aに電気的及び機械的に接続されている。一方、第2端子32cは、第2回路基板30bに電気的及び機械的に接続されている。
コネクタ32は、筐体31の開口部41及びその周辺に配置され、開口部41を閉塞している。ハウジング32aと筐体31とは、開口部41の周辺において嵌合している。また、ハウジング32aと側壁部42における開口部41の周囲部分との間には、図示しない防水用のシール材が配置されている。これにより、電子制御装置20は、筐体31の内部空間が防水空間となっている。図12では、第1端子32bが第1回路基板30aに対して挿入実装されており、第2端子32cが第2回路基板30bに対して挿入実装されているが、表面実装構造を採用することもできる。
図3、図7、図9、及び図11などに示すように、コネクタ32のハウジング32aは3つのポート(言い換えると、嵌合口)を有している。コネクタ32は、3つのポートの一部が、エンジン18を駆動させるためのワイヤハーネス22との接続に供せられるエンジンブロックとされている。また、コネクタ32は、残りのポートが、リレーボックス21及びボディECUに対応するワイヤハーネス23との接続に供せられるボディブロックとされている。そして、コネクタ32は、図2に示した配置において、エンジンブロックがエンジン18に近い側、ボディブロックがリレーボックス21や貫通孔16aに近い側となるように、ワイヤハーネス22,23の配索を考慮して、各ブロックの配置が決定されている。なお、コネクタ32のポート数は特に限定されない。
さらに、図6、図11、図16に示すように、ハウジング32aは、筐体31内にポッティング材70を注入するための注入口32a1が設けられている。つまり、ハウジング32aは、自身の厚み方向(Z方向)に貫通した注入口32a1が設けられている。そして、電子制御装置20は、筐体31の開口部41をコネクタ32で閉塞した状態で、注入口32a1から筐体31内にポッティング材70が注入される。例えば、電子制御装置20は、注入口32a1が底部40よりも上方に配置された状態で、注入口32a1からポッティング材70を注入する。
電子制御装置20は、ブラケット33に固定されている。このブラケット33は、回路基板30a,30bが収容された筐体31を、車両10に取り付けるための部材である。言い換えると、ブラケット33は、電子制御装置20を車両に取り付けための部材である。つまり、電子制御装置20は、ブラケット33を介して車両10に取り付けられている。また、電子制御装置20は、自身の熱を筐体31からブラケット33に放熱するために、筐体31とブラケット33との間に伝熱部材が設けられていてもよい。
ブラケット33は、金属製の介在部50と、金属製の一対の板ばね部51を少なくとも有している。一対の板ばね部51が、一対の折り返し部に相当する。
介在部50は、バッテリ19の平面部19d(短側面19c)と筐体31の対向面43bとの間に介在する。介在部50は、一対の板ばね部51を連結するものであるため、連結部と称することもできる。また、介在部50は、自身のY方向両端に板ばね部51がそれぞれ連結されているため、基部(ベース)と称することもできる。
板ばね部51は、介在部50のY方向両端からX方向において裏面43c側に延びるとともに、X方向において介在部50と対向するように、介在部50に対して折り返されている。このように折り返された板ばね部51は、X方向にばね変形可能となっている。一対の板ばね部51は、上記折り返し構造により、一対の連結面43dの斜面部43eにそれぞれ接触して、対応する斜面部43eにばね変形による反力を付与する。ばね変形は、弾性変形とも称される。斜面部43eは、ブラケット33の板ばね部51が接触する部分であり、その接触位置は、X方向において、裏面43cと対向面43bの間の位置とされる。したがって、斜面部43eは、筐体31のうち、板ばね部51を受ける受け部に相当する。
板ばね部51と介在部50との連結方法は特に限定されない。介在部50と板ばね部51とを別部材で構成し、たとえば溶接により連結してもよい。本実施形態では、図8に示すように、平板状の金属板を所定形状に加工することで、ブラケット33が構成される。すなわち、板ばね部51と介在部50とが、同一金属板の一部同士として一体的に連結されている。図8では、介在部50と板ばね部51との境界(連結部分)を破線で示している。また、その他の境界についても破線で示している。
板ばね部51は、介在部50のY方向両端にそれぞれ設けられており、介在部50に対してバッテリ19とは反対側に折曲されている。詳述すると、板ばね部51は、筐体31の斜面部43eに接触するように、介在部50とのなす角度が鋭角となっている。板ばね部51は、介在部50との連結端に屈曲部(折曲部)を有しており、これにより対応する斜面部43eに接触するとともに、該斜面部43eにばね変形による反力を付与することができる。つまり、板ばね部51は、斜面部43eを押圧できるように、介在部50に対して屈曲されている。一対の斜面部43eは、一対の板ばね部51によって押圧されている。このため、筐体31は、板ばね部51によって固定されている。言い換えると、電子制御装置20は、斜面部43eが板ばね部51によって押圧されることで、ブラケット33に保持(固定)されている。なお、板ばね部51は、固定部51と称することもできる。
本実施形態では、図3及び図4などに示すように、板ばね部51が、Z方向において、介在部50の一部のみに連結されている。詳しくは、Z方向において、介在部50の上端から下端までのうち、上端から所定範囲の部分にのみ板ばね部51が連結され、下端から上方への一部の範囲には連結されていない。しかしながら、介在部50の上端から下端に亘って、板ばね部51が連結される構成としてもよい。板ばね部51の介在部50に対する曲げ角度は、Z方向においてほぼ一定となっている。
また、ブラケット33は、板ばね部51における斜面部43eとの対向部分にたとえば突起を設け、この突起が斜面部43eに接触する構成とすることもできる。これによれば、板ばね部51と斜面部43eとの接触面積を減らし、ブラケット33に対して、回路基板30a,30b及びコネクタ32を含む筐体31を取り付けやすくすることができる。なお、筐体31とブラケット33とを固定する際には、筐体31には回路基板30a,30bが収容されており、回路基板30a,30bにはコネクタ32が実装されている。したがって、厳密には、回路基板30a,30b及びコネクタ32を含む筐体31と、ブラケット33とを固定する。しかしながら、以下においては、単に、筐体31とブラケット33とを固定すると示す。また、電子制御装置20とブラケット33とを固定するとも言える。
さらに本実施形態では、図3や図7などに示すように、ブラケット33が、支持部52と、トレイ部54と、を有している。支持部52及びトレイ部54は、ブラケット33を構成する他の部分と連結されている。支持部52及びトレイ部54の構成材料としては、金属材料及び樹脂材料の少なくとも一方を採用することができる。ブラケット33は、支持部52及びトレイ部54を樹脂材料により一体的に成形し、成形された部材に対して、介在部50及び板ばね部51を有する金属部材を、たとえば圧入により固定することで連結してもよい。また、ブラケット33は、金属材料を用いて形成された支持部52を、介在部50及び板ばね部51のいずれかに連結させ、介在部50、板ばね部51、及び支持部52を有する金属部材を、樹脂成形されたトレイ部54に対して圧入固定してもよい。また、ブラケット33は、金属材料を用いて形成された支持部52と、金属材料を用いて形成されたトレイ部54を、たとえば溶接により連結してもよい。さらに、ブラケット33は、金属材料を用いて形成された支持部52及びトレイ部54を、溶接などによって、介在部50や板ばね部51に連結してもよい。
本実施形態では、上記したように、平板状の金属板を所定形状に加工することで、ブラケット33が構成されている。すなわち、介在部50と板ばね部51だけでなく、支持部52やトレイ部54も、同一の金属板の一部として構成されている。
図3、図5、図7、及び図11に示すように、支持部52は、筐体31の底部40を支持する。本実施形態では、この支持部52に、筐体31をねじ締結するための貫通孔53が形成されている。そして、筐体31は、図5に示すねじ34が、貫通孔53を挿通し、自身の底部40に形成されたねじ穴44にねじ込まれて支持部52に固定されている。
また、支持部52は、図5及び図11に示すように、トレイ部54を構成する底板部55に連結されている。図5では、支持部52と底板部55との境界を破線で示している。支持部52は、底板部55のX方向の端部であって、Y方向の両端付近にそれぞれ連結されている。支持部52は、Z方向からの投影視において、筐体31の底部40におけるY方向の両端付近と重なっている。
トレイ部54は、ブラケット33のうち、バッテリ19が配置される部分である。このトレイ部54は、底板部55と、横板部56,57と、を有している。底板部55は支持部、横板部57は補強部とも言える。本実施形態では、底板部55及び横板部56,57も、介在部50、板ばね部51、及び支持部52を構成する金属板の一部として構成されている。すなわち、本実施形態では、底板部55と横板部56,57が、同一の金属板の一部として構成されている。しかしながら、底板部55と横板部56,57とは、別部材とすることもできる。さらには、横板部56と横板部57は、別部材とすることもできる。
底板部55は、バッテリ19を支持する。底板部55は、XY平面の形状が、バッテリ19に対応して矩形状(長方形)をなしている。上記したように、底板部55のX方向における一端、すなわちバッテリ19の短側面19cに対応する端部の一方には、支持部52が連結されている。また、底板部55は、支持部52が連結された端部において、2つの支持部52の間に介在部50の下端が連結されている。支持部52は、底板部55と同一平面に位置するとともに、底板部55からX方向に延設されている。すなわち、支持部52は、底板部55に対して折曲されていない。一方、介在部50は、底板部55とのなす角度が略90度となるように、底板部55に対して折曲されている。
底板部55は、中心付近に貫通形成された固定孔58を有している。この固定孔58により、ブラケット33、すなわち電子制御装置20は、車両10のボディ、又は、該ボディに固定された取り付け部に、ねじ締結される。なお、電子制御装置20の車両10への固定部位は、底板部55に限定されない。電子制御装置20は、ブラケット33の他の部分での固定も可能である。また、電子制御装置20は、クランプ部材24を介して、ラジエータサポートなどの取り付け部に固定することもできる。
横板部56は、底板部55に対して、介在部50及び支持部52が連結された端部と反対の端部に連結されている。横板部56は、YZ平面の形状が矩形状(長方形)をなしており、Y方向において、底板部55と同じ長さを有している。この横板部56は、底板部55とのなす角度が略90度となるように、底板部55に対して折曲されている。図7に示すように、介在部50と横板部56とは、互いに対向している。
一対の横板部57は、底板部55におけるY方向の端部、すなわちバッテリ19の長側面19bに対応する端部に、それぞれ連結されている。一対の横板部57は、底板部55とのなす角度が略90度となるように、底板部55に対して折曲されている。一対の横板部57は、互いに対向している。横板部57におけるX方向の一端は、たとえば溶接により、横板部56におけるY方向の端部に連結されている。
また、図7に示すように、横板部57におけるX方向の他端は、たとえば溶接により、介在部50におけるY方向の端部に連結されている。すなわち、横板部57は、介在部50に対し、X方向において板ばね部51と反対側に延設されている。一対の横板部57の対向間隔は、介在部50及び横板部56によって保持されている。ブラケット33は、底板部55の周囲を、介在部50及び横板部56,57が取り囲んでいるため、バッテリ19の位置決めが容易であり、バッテリ19の位置ずれも抑制できる。
しかしながら、横板部57は、たとえば溶接によって、板ばね部51に連結することもできる。この場合には、図7に示す構成よりも、横板部57の板厚の分、X方向において電子制御装置20の厚みをより薄くすることができる。
横板部57のZ方向の高さは、横板部56との連結端からX方向に所定の範囲、具体的には、X方向の中央付近までの範囲において、横板部56とほぼ同じ高さとなっている。一方、介在部50側の端部において、横板部57の高さは、介在部50とほぼ同じ高さとなっている。そして、横板部57の高さは、X方向の中央付近から介在部50側の端部に向けて、徐々に高くなっている。このように、横板部57の高さは、X方向において回路基板30a,30bに近い側の方が高くなっている。また、横板部57には、X方向における中央付近に、フック部材25のJ字状の下端部が掛け止めされる掛け止め部59が形成されている。
次に、図2に基づき、上記した電子制御装置20の車両10への組み付け手順について説明する。
先ず、エンジンコンパートメント17内に、リレーボックス21や、ワイヤハーネス23を含むメインワイヤを配置する。
次いで、エンジンモジュールを、車両10の下側からエンジンコンパートメント17内に取り付ける。エンジンモジュールとは、エンジン18に、スタータ、オルタネータ、コンプレッサ等の補機、トランスミッションやドライブシャフト等の駆動系、ショックアブソーバ、ブレーキロータ等の制動系、エアクリーナを除く吸排気系を組み付けてなるものである。さらに、エンジンモジュールは、これらの他にも、エンジンマウンティング部品、アンダーカバー、及びワイヤハーネス22を組み付けられていてもよい。
次いで、メインワイヤ及びワイヤハーネス22を除く残りのワイヤハーネス、エアクリーナ、電子制御装置20、バッテリ19などの残りの部品を組み付ける。すなわち、エンジン18とリレーボックス21がすでに配置された状態で、エンジン18とリレーボックス21との間に、バッテリ19及び電子制御装置20を組み付ける。
その際、コネクタ32が、筐体31の底部40に対して上方に位置するように、筐体31を、バッテリ19の短側面19cの横に配置する。そして、車両10のボディ、又は、該ボディに固定された取り付け部に電子制御装置20(ブラケット33)を組み付け、その後に、ブラケット33の底板部55にバッテリ19を配置する。また、コネクタ32に、外部機器側のメスコネクタを嵌合させる。これにより、ワイヤハーネス22,23が回路基板30a,30bに接続される。なお、メスコネクタの嵌合は、バッテリ19の配置前に実施することもできる。
次に、上記した電子制御装置20の効果について説明する。
本実施形態では、筐体31の連結面43dをX方向に沿う面とするのではなく、連結面43dの少なくとも一部を、裏面43cに近づくほどY方向における一対の連結面43dの間隔が狭くなるように傾斜する斜面部43eとしている。すなわち、本実施形態では、Z方向から見て筐体31を略矩形状とするのではなく、連結面43dの少なくとも一部を、裏面43cに近づくほどY方向における一対の連結面43dの間隔が狭くなるように傾斜する斜面部43eとしている。
それとともに、本実施形態では、ブラケット33に、一対の連結面43dの斜面部43eにそれぞれ接触して、ばね変形による反力を斜面部43eに付与する金属製の板ばね部51を設けている。ばね変形による反力が斜面部43eに作用すると、斜面部43eはY方向であって反対側の斜面部43e側に押されるとともに、X方向において介在部50側に押される。すなわち、筐体31におけるY方向の両端が、X方向において介在部50側に押される。そして、板ばね部51と介在部50とにより、X方向において筐体31が挟持される。このようにして、筐体31をブラケット33に固定できる。したがって、従来構造、たとえばX方向においてブラケットを筐体にねじ締結する構造や、連結面を斜面でなく厚み方向に沿う面として、ブラケットにより対向面と裏面とを挟み込んで固定する構造に較べ、X方向において電子制御装置20を薄くできる。また、狭持によって固定するため、固定構造を簡素化できる。
上記のように電子制御装置20を薄くできるため、搭載スペースが限られるエンジンコンパートメント17において、バッテリ19における平面部19dの隣、すなわちバッテリ19の横の狭いスペースに、電子制御装置20を配置できる。これにより、バッテリの下に電子制御装置を配置する構成に較べ、エンジンコンパートメント17の上方に位置するボンネット12の位置を低くすることができる。したがって、車両10の重心位置を低くすることができる。また、ボンネット12の形状自由度が向上するため、ボンネット12の形状を変えやすくなり、意匠性も向上することができる。本実施形態では、電子制御装置20がエンジンコンパートメント17に配置されるため、さらにドライバの視認性(見切り)を向上することもできる。
また、筐体31の開口部41、換言すればコネクタ32が、底部40に対して上方となるように配置される。したがって、バッテリの下に電子制御装置を配置する構成のように、下側から上方へワイヤハーネスを配索しなくともよい。さらに、ワイヤハーネス22,23の長さを短くできる。
このように、本実施形態によれば、バッテリ19の隣に配置される電子制御装置20において、ワイヤハーネス22,23が長くなるのを抑制しつつエンジンコンパートメント17上のボンネット12の位置が高くなるのを抑制できる。
また、回路基板30a,30bの熱が、金属製の筐体31を通じて、介在部50及び板ばね部51に伝わる。したがって、金属製の介在部50及び板ばね部51により、回路基板30a,30bの熱を効率よく放熱させることができる。また、エンジンコンパートメント17の下部は、トランスミッションや排気系部品が配置されていること、走行安定性を向上させるためのアンダーカバーで風が流れにくいことから、熱がこもりやすく、上部よりも温度が高い。したがって、バッテリの下に電子制御装置を配置する構成よりも、回路基板30a,30bの熱を効率よく放熱させることができる。
また、電子制御装置20は、第1回路基板30aに位置決め穴30a1が設けられている。電子制御装置20は、位置決め穴30a1に回路素子30cの一部が挿入されることで、回路素子30cの位置ずれを抑制できる。また、電子制御装置20は、第1回路基板30aの位置決め穴30a1に配置された回路素子30cを第1回路基板30aに押し付ける第2回路基板30bを備えている。つまり、電子制御装置は、位置決め穴30a1と第2回路基板30bで、回路素子30cの位置ずれを抑制している。したがって、電子制御装置20は、回路素子30cに外力が印加された場合であっても、回路素子30cが位置ずれしにくい。このように、電子制御装置20は、回路素子30cが位置ずれしにくいため、回路素子30cと第1回路基板30aとの接続部である素子側端子30c1やはんだ60の耐久性を向上できる。さらに、電子制御装置20は、回路素子30cの一部が位置決め穴30a1に挿入されているので、その分だけ、厚みを薄くできる。よって、電子制御装置20は、バッテリ19の横の狭いスペースに配置しやすい。なお、電子制御装置20は、筐体31及びコネクタ32を備えていなくても、この効果を達成できる。また、電子制御装置20は、ポッティング材70が設けられていなくても、この効果を達成できる。
また、電子制御装置20は、筐体31内に、第1回路基板30a及び回路素子30cを覆うポッティング材70が設けられている。このポッティング材70は、筐体31内に設ける際に、筐体31内に流し込むことが考えられる。この場合、回路素子30cには、筐体31内に流れ込んでくるポッティング材70が当たるため、ポッティング材70によって外力が印加されることになる。しかしながら、電子制御装置20は、上記のように、位置決め穴30a1と第2回路基板30bで、電子部品の位置ずれを抑制しているため、筐体31内にポッティング材70を流し込む際にも回路素子30cが位置ずれしにくい。よって、電子制御装置20は、回路素子30cが位置ずれした状態で、ポッティング材70で封止されることを抑制できる。
例えば、回路素子30cは、位置ずれした場合、素子側端子30c1やはんだ60に応力が印加されることがある。よって、回路素子30cは、位置ずれしたままポッティング材70で封止されると、素子側端子30c1やはんだ60に応力が印加された状態で第1回路基板30aに固定されることになる。このため、素子側端子30c1やはんだ60は、素子側端子30c1が折れたり、はんだ60にクラックが入ったりしやすい。しかしながら、電子制御装置20は、回路素子30cが位置ずれした状態で固定されることを抑制できるため、ポッティング材70が設けられる場合であっても、素子側端子30c1やはんだ60の耐久性を向上できる。
このように、電子制御装置20は、第1回路基板30aと第2回路基板30bとを備えている。第2回路基板30bは、筐体31内に収容されるとともに第1回路基板30aの実装面に対向配置され、且つ、ポッティング材70で覆われている。このように、第2回路基板30bは、第1回路基板30aの実装面に対向配置されている。そこで、本実施形態では、第2回路基板30bを押さえ部材として採用する。このため、第2回路基板30bは、回路素子30cを第1回路基板30aに押し付けるように設けられている。本実施形態では、電子制御装置20に設けられている部品である第2回路基板30bを押さえ部材として採用しているため、部品点数を増やすことなく回路素子30cを第1回路基板30aに押し付けることができる。
また、回路素子30cは、円柱形状の胴体部を有しており、筒状部が実装面と平行で、円形壁部が実装面と垂直となるように配置されている。通常、このような回路素子30cは、素子側端子30c1が第1回路基板30aに挿入されているだけでは、外力が印加されると位置ずれしやすい。しかしながら、電子制御装置20は、位置決め穴30a1と第2回路基板30bで、回路素子30cの位置ずれを抑制しているため、このような回路素子30cであっても位置ずれを抑制できる。
さらに本実施形態では、Z方向からみて、筐体31の形状を台形状としている。すなわち、連結面43dのほぼ全面を斜面部43eとしている。このような構成によれば、筐体31とブラケット33とを固定しやすい。たとえば外力を印加して一対の板ばね部51を少し開いた状態で、筐体31をZ方向に所定位置まで移動させた後、外力の印加を解除することで、筐体31とブラケット33とを固定することができる。また、連結面43dが、一部のみに斜面部43eを有し、残りの部分がX方向に沿う(すなわち斜面部43eを有さない)構成に較べて、筐体31を形成しやすい。なお、板ばね部51のうち、上端から所定の範囲で、下端に向かうほど介在部50とのなす角度が小さくなるようにしておくと、外力を印加せずとも、筐体31を所定位置まで移動させることができる。また、上記したように、板ばね部51の接触面側に楔状や半球状など突起を設けておいても、外力の印加により板ばね部51を開くことをせずに、筐体31を所定位置まで移動させることができる。
さらに本実施形態では、ブラケット33が支持部52を有しており、この支持部52により、筐体31が支持されている。したがって、車両振動の印加にともなって、筐体31が下方に位置ずれするのを抑制できる。すなわち、筐体31をより安定して固定することができる。特に本実施形態では、支持部52に、貫通孔53が形成されており、この貫通孔53を通じて、筐体31が支持部52にねじ締結される。このように、筐体31における底部40の下でねじ締結されているため、ブラケット33、すなわち車両10から筐体31を取り外しにくい。したがって、エンジンコンパートメント17から回路基板30a,30bを含む筐体31が取り出される(たとえば盗難される)のを抑制できる。特に本実施形態では、支持部52が金属材料を用いて形成されているため、回路基板30a,30bの熱が、金属製の筐体31の底部40を通じて、支持部52にも伝わる。したがって、回路基板30a,30bの熱を効率よく放熱できる。
さらに本実施形態では、ブラケット33が横板部57を有している。横板部57は、介在部50又は板ばね部51に連結されて、介在部50から板ばね部51が延びる方向と反対の方向に延設されている。したがって、回路基板30a,30bや筐体31などの重みで、板ばね部51及び介在部50が倒れるのを抑制できる。すなわち、回路基板30a,30bを含む筐体31を、バッテリ19の横により安定的に保持できる。特に本実施形態では、横板部57が金属材料を用いて形成されているため、回路基板30a,30bの熱が横板部57にも伝わる。このように、ブラケット33全体の熱マスが増加し、回路基板30a,30bの熱をより効果的に放熱させることができる。なお、熱マスとは、熱を吸収できる容積を示す。
さらに本実施形態では、ブラケット33が底板部55を有しており、バッテリ19を支持することができる。特に本実施形態では、底板部55が金属材料を用いて形成されているため、回路基板30a,30bの熱が底板部55にも伝わる。このように、ブラケット33全体の熱マスが増加し、回路基板30a,30bの熱をより効果的に放熱させることができる。言い換えると、本実施形態では、ブラケット33に伝搬した熱の放熱経路として横板部57や底板部55を用いることができる。
本実施形態では、底板部55及び横板部57を含んでトレイ部54が構成されており、ブラケット33により、筐体31に加えてバッテリ19も支持することができる。特に本実施形態では、介在部50、板ばね部51、及び支持部52と、バッテリ19を支持するトレイ部54の構成要素(底板部55、横板部56,57)が、同一の金属板の一部として構成されている。したがって、トレイ部54を含めたブラケット33の構成を簡素化することができる。また、回路基板30a,30bの熱をトレイ部54全体に放熱させることができる。言い換えると、本実施形態では、ブラケット33に伝搬した熱の放熱経路としてトレイ部54を用いることができる。
さらに本実施形態では、箱状部材としてのバッテリ19の横に電子制御装置20の筐体31を配置している。エンジンコンパートメント17において、バッテリ19は、エンジン18の周辺ではなく、フロントグリル15からの風が通る温度の低い場所に配置される。したがって、バッテリ19の横に回路基板30a,30bを配置することで、回路基板30a,30bの温度上昇を効果的に抑制することもできる。
ところで、バッテリ19の側面のうち、長側面19bの隣に筐体31を配置することも可能である。しかしながら、長側面19bの隣に配置すると、フック部材25を避けるように、ワイヤハーネス22,23を配索しなければならない。このため、ワイヤハーネス22,23の長さが長くなる。また、配索のためのスペースも必要となる。これに対し、本実施形態では、バッテリ19の短側面19cの隣に、筐体31が配置するため、これによってもワイヤハーネス22,23の長さを短くすることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本発明の変形例に関して説明する。上記の実施形態及び変形例は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本発明は、発明を実施するための形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(変形例1)
本変形例において、上記実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
図17に示すように、変形例1の電子制御装置は、第1回路基板30aだけではなく、第2回路基板30dにも位置決め穴30d1が設けられている。第2回路基板30dは、自身の厚み方向に貫通した位置決め穴30d1が設けられている。第2回路基板30dは、位置決め穴30a1に対向する位置に、位置決め穴30d1が設けられている。この位置決め穴30d1は、特許請求の範囲における第2穴部に相当する。また、図17は、図13に相当する図面である。
変形例1の電子制御装置は、電子制御装置20と同様の効果を奏することができる。さらに、変形例1の電子制御装置は、回路素子30cの一部が第1回路基板30aに埋設されるだけでなく、回路素子30cの他の一部が第2回路基板30dに埋設されるため、電子制御装置20よりも厚みを薄くできる。また、変形例1の電子制御装置は、回路素子30cが、両位置決め穴30a1,30d1に埋設されているため、電子制御装置20よりも固定強度を向上できる。
なお、位置決め穴30d1は、第2回路基板30dの厚み方向に貫通した部位ではなく、周辺よりも窪んだ凹状の部位であってもよい。同様に、位置決め穴30a1は、第1回路基板30aの厚み方向に貫通した部位ではなく、周辺よりも窪んだ凹状の部位であってもよい。
(変形例2)
本変形例において、上記実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
図18に示すように、変形例2の電子制御装置20aは、電子制御装置20と異なり、第2回路基板30bが設けられていない。このため、コネクタ321は、コネクタ32と同様に第1端子32bを有しているが、コネクタ32と異なり第2端子32cを有していない。つまり、ハウジング321aには、第1端子32bが設けられており、第2端子32cが設けられていない。
そして、電子制御装置20aは、筐体31aにおける第1回路基板30aの実装面に対向する部位が、回路素子30cに接触している。つまり、電子制御装置20aは、筐体31aが、回路素子30cを第1回路基板30aに押し付けている。このように、筐体31aは、特許請求の範囲における押さえ部材に相当する部位を備えている。つまり、筐体31aにおける第1回路基板30aの実装面に対向する部位は、特許請求の範囲における押さえ部材に相当する。電子制御装置20aは、電子制御装置20と同様の効果を奏することができる。
(変形例3)
本変形例において、上記実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
図19、図20に示すように、変形例3の電子制御装置20bは、第1回路基板30eの構成と、回路素子30fの構成が電子制御装置20と異なる。図20は、図19をZ方向から見た図である。
第1回路基板30eは、周辺よりも窪んだ位置決め穴30e1が設けられている。このように、第1回路基板30eは、位置決め穴30e1の形状が第1回路基板30aと異なる。つまり、位置決め穴30e1は、第1回路基板30eの厚み方向に貫通した部位ではなく、周辺よりも窪んだ凹状の部位である。なお、第1回路基板30eは、第1回路基板30aと同様に、素子側端子30f1が挿入されるスルーホール30e2が形成されている。
また、回路素子30fは、はんだ60を介して素子側端子30f1と第1回路基板30eとが電気的及び機械的に接続され、第1回路基板30eの実装面側に実装されている。回路素子30fは、回路素子30cと異なり立方体形状である。本変形例では、回路素子30fとしてTHDのインダクタを採用している。詳述すると、回路素子30fは、立方体形状の胴体部と、胴体部から突出した二つの素子側端子30f1とを有している。つまり、回路素子30fの胴体部は、筒状部と、筒状部の両端に形成された矩形壁部とを含む形状である。そして、回路素子30fは、二つの矩形壁部の一方から各素子側端子30f1が突出して形成されている。各素子側端子30f1は、各素子側端子30c1と同様にL字形状である。回路素子30fは、回路素子30cと同様に、第1回路基板30eに対して横置き実装されている。
電子制御装置20bは、電子制御装置20と同様の効果を奏することができる。なお、電子制御装置20bは、回路素子30fのかわりに回路素子30cを備えていてもよい。
(変形例4)
本変形例において、上記実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
図21、図22に示すように、変形例4の電子制御装置は、第1回路基板30gの構成と、回路素子30hの構成が電子制御装置と異なる。
第1回路基板30gは、図21に示すように、第1回路基板30eと同様に、周辺よりも窪んだ位置決め穴30g1が設けられている。また、第1回路基板30gは、図22に示すように、位置決め穴30g1の表面に、導電性のランド30g2が形成されている。ここでは、二つのランド30g2が形成された第1回路基板30gを採用している。また、第1回路基板30gは、自身の実装面に沿う平面において、二つのランド30g2の対向方向に直交する方向に、回路素子30hが位置ずれすることを抑制するための位置決め穴30g1が設けられている。
回路素子30hは、回路素子30cと同様に、円柱形状の胴体部を備えている。しかしながら、回路素子30hは、回路素子30cと異なり、SMD(Surface Mount Device)構造である。例えば、回路素子30hは、SMDのアルミ電解コンデンサである。回路素子30hは、図22に示すように、円形壁部に二つの電極30h1が形成されている。そして、回路素子30hは、円形壁部が第1回路基板30gの実装面と対向して、第1回路基板30gに実装されている。また、回路素子30hは、電極30h1とランド30g2とがはんだ60(図示せず)を介して電気的及び機械的に接続された状態で、第1回路基板30gに実装されている。
なお、変形例4の電子制御装置は、図示は省略しているが、第2回路基板30bや筐体31aで回路素子30hを第1回路基板30gに押し付けている。さらに、変形例4の電子制御装置は、円形壁部に垂直に端子が突出したTHD構造の回路素子30hでも採用できる。変形例4の電子制御装置は、電子制御装置20と同様の効果を奏することができる。
(変形例5)
本変形例において、上記実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。図23に示すように、電子制御装置20cのコネクタ32や筐体31は、電子制御装置20におけるものと形状が異なるが、便宜上、同じ符号を付与している。
図23に示すように、変形例5の電子制御装置20cは、押さえ部材としてコンポーネントキャリア35を採用している。コンポーネントキャリア35は、樹脂製ハウジング35aに配線パターンと発熱素子35bが内蔵され、ピン35cを用いて第1回路基板30aと電気的に接続されている。また、発熱素子35bは、放熱ゲル80で筐体31と接触させてもよい。なお、コンポーネントキャリア35に関しては、特開2005−333077号公報を参照されたい。
このように、電子制御装置20cは、コンポーネントキャリア35が回路素子30cを第1回路基板30aに押し付けている。電子制御装置20cは、電子制御装置20と同様の効果を奏することができる。
(変形例6)
本変形例は、先行実施形態及びや先行変形例を参照できる。このため、先行実施形態やや先行変形例に示した電子制御装置20などと共通する部分についての説明は省略する。
先ず、図24〜図27に基づき、変形例6の電子制御装置20d、特に第1回路基板30a及びコネクタ32を含む筐体31bについて説明する。図26及び図27では、便宜上、コネクタ32の端子32bを省略している。
本変形例の筐体31bは、中間ケース81と、中間ケース81に対してX方向の一面側に配置される上ケース82と、中間ケース81に対して上ケース82と反対側に配置される下ケース83と、を有している。すなわち、複数の部材により、筐体31bが構成されている。これら中間ケース81、上ケース82、及び下ケース83が、筐体構成部材に相当する。中間ケース81、上ケース82、及び下ケース83は、垂直な方向に分割可能に構成されている。さらに筐体31bは、板ばね部51が接触する部分である一対の受け部84を有している。
中間ケース81は、樹脂成形体である。本変形例では、中間ケース81が、熱可塑性樹脂を用いて形成されている。熱可塑性樹脂としては、耐熱性に優れるもの、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT)を採用することができる。
中間ケース81は環状をなしており、X方向に沿う貫通孔81aを有している。このため、中間ケース81を枠体と称することもできる。具体的には、図25及び図26に示すように、中間ケース81は略矩形環状をなしている。この中間ケース81には、図24に示すように、コネクタ32のハウジング32aが一体化されている。換言すれば、ハウジング32aが、中間ケース81の一部分として一体的に成形されている。しかしながら、中間ケース81の形状は上記例に限定されない。たとえば略C字状(換言すれば略コの字状)の中間ケース81を採用し、中間ケース81のC字の開口部(間隙部)にハウジング32aが配置された構成を採用することもできる。この場合、溶着により、中間ケース81とハウジング32aとをシールすることもできる。
中間ケース81は、図25及び図26に示すように、略矩形環状をなす枠部85と、枠部85の内周側の四隅部にそれぞれ設けられた台座部86と、を有している。なお、図25では、中間ケース81の内周端81bを破線で示し、図26では、台座部86を破線で示している。枠部85は、X方向の厚みが全周においてほぼ一定となっている。台座部86は、上ケース82側において枠部85に略面一で連なっており、下ケース83側において枠部85よりも一段下がった位置に設けられている。すなわち、台座部86の厚みは、枠部85の厚みよりも薄くされている。これにより、台座部86と下ケース83との間に、所定の隙間が設けられている。
図24及び図26に示すように、第1回路基板30aは、台座部86における下ケース83側の面上に配置され、台座部86(中間ケース81)に固定されている。に第1回路基板30aの固定方法は特に限定されない。たとえば接着やねじ締結などを採用することができる。に第1回路基板30aが中間ケース81に固定された状態で、に第1回路基板30aと下ケース83との間に、所定の隙間が設けられている。
上ケース82は、金属材料を用いて形成されている。本変形例では、上ケース82が平板状をなしている。上ケース82は、貫通孔81aの一方の開口端を閉塞するように、枠部85及び台座部86に固定されている。上ケース82の外形輪郭は、X方向からの投影視において、中間ケース81の外周端とほぼ一致する。したがって、上ケース82により、裏面43c側の側壁部42が構成されている。すなわち、上ケース82における中間ケース81とは反対の面が、裏面43cをなしている。
上ケース82の固定方法は特に限定されない。本変形例では、上ケース82が中間ケース81に溶着されている。溶着を用いると、上ケース82と中間ケース81との間のシール材を不要とすることができる。上ケース82として、中間ケース81側の面の少なくとも溶着される部分が、エッチングなどにより粗化(凹凸化)されたものを採用すると、アンカー効果が期待できる。また、リークパスも長くなり、防水性も向上することができる。
上ケース82は、図24に示すように、回路素子30cに接触して、回路素子30cを第1回路基板30aに押し付けている。つまり、電子制御装置20dは、筐体31bにおける第1回路基板30aの実装面に対向する部位である上ケース82が、回路素子30cに接触していると言える。よって、電子制御装置20dは、筐体31bが、回路素子30cを第1回路基板30aに押し付けている。このように、上ケース82は、特許請求の範囲における押さえ部材に相当する。
下ケース83も、上ケース82同様、金属材料を用いて形成されている。下ケース83は、図24、図25及び図27に示すように、貫通孔81aの一方の開口端を閉塞する本体部87と、本体部87から延びる延設部88と、を有している。
本体部87は、平板状をなしている。本体部87は、貫通孔81aにおける上ケース82とは反対側の開口端を閉塞するように、枠部85に固定されている。本体部87の外形輪郭は、X方向からの投影視において、中間ケース81の外周端とほぼ一致する。本体部87(下ケース83)の固定方法も特に限定されない。本体部87も中間ケース81に溶着されている。したがって、下ケース83として、中間ケース81側の面の少なくとも溶着される部分が粗化されたものを採用するとよい。
延設部88は、本体部87におけるY方向の両端から、Y方向に沿って本体部87よりも外側に延設された部分である。延設部88は、Y方向において本体部87の両側に設けられている。延設部88は、本体部87と別部材で構成されており、たとえば溶接により本体部87に連結されてもよい。本変形例では、本体部87及び延設部88が、所定厚みの金属板の一部同士として一体的に連結されており、延設部88が、本体部87と同じ厚みを有しつつ、本体部87と同一面内に位置している。延設部88上に受け部84が設けられるため、延設部88のZ方向の長さは、受け部84のZ方向の長さに応じて決定される。
本体部87及び延設部88、すなわち下ケース83により、対向面43b側の側壁部42が構成されている。したがって、下ケース83における中間ケース81と反対の面が、対向面43bをなしている。また、中間ケース81、上ケース82、及び下ケース83により、底壁部40が構成されている。
一対の受け部84は、筐体31bのうち、ブラケット33の板ばね部51が接触する部分である。換言すれば、受け部84は、筐体31bのうち、板ばね部51を受ける部分である。受け部84は、下ケース83における対向面43bと反対の面のうち、延設部88の部分に設けられている。このため、受け部84は、下ケース83の一部分とも言える。受け部84は、延設部88からX方向に突出しているため、凸部とも称される。受け部84の突出先端は、X方向において対向面43bと裏面43cとの間の位置とされている。受け部84は、本体部87を挟んで両側に位置する一対の延設部88のそれぞれに設けられている。このため、Y方向において、一対の受け部84の間に裏面43cが位置している。
本変形例では、受け部84が、延設部88と別部材で構成されており、たとえば溶接により延設部88に固定されている。受け部84は略角柱状をなしており、Z方向に所定の長さを有している。本変形例では、Z方向において、本体部87よりも若干短い長さとされている。なお、異形条の金属板を採用し、受け部84と延設部88とが、同じ金属板の一部同士として一体的に連結された構成を採用することもできる。
次に、図28〜図31に基づき、ブラケット33、及び、ブラケット33への筐体31bの固定構造について説明する。なお、図29及び図31では、便宜上、ブラケット33のトレイ部54を省略している。また、図29では、便宜上、コネクタ32の端子32bを省略している。
ブラケット33は、上記実施形態同様、介在部50と、一対の板ばね部51と、を有している。本実施形態でも、板ばね部51が折り返し部に相当する。板ばね部51は、介在部50のY方向両端からX方向において裏面43c側に延びるとともに、X方向において介在部50と対向するように、介在部50に対して折り返されている。具体的には、図29及び図30に示すように、板ばね部51が介在部50と略平行となるように、折り返されている。このため、介在部50と板ばね部51とが、略コの字状(換言すれば略C字状)をなしている。このように折り返された板ばね部51は、X方向にばね変形可能となっている。
また、筐体31bが配置されない状態で、板ばね部51と介在部50との対向距離が、下ケース83の板厚と受け部84の高さとの合計長さよりも短くなっている。このため、板ばね部51は、受け部84の突出先端に接触した状態、すなわち板ばね部51と介在部50との間で受け部84を挟んだ状態で、図29及び図30に破線矢印で示すように、対応する受け部84にばね変形(弾性変形)による反力を付与する。なお、板ばね部51は、受け部84に対応して、Z方向に所定の長さを有して設けられている。また、組み付け性向上のために、上記したように板ばね部51の接触面側に楔状や半球状など突起を設けてもよい。なお、受け部84の突出先端面に、楔状や半球状など突起を設けてもよい。さらには、受け部84の一部を突出高さが徐々に変化するテーパ状とし、ブラケット33に組み付けやすくしてもよい。
ブラケット33は、図28、図29及び図31に示すように、支持部52も有している。支持部52は、Z方向からの投影視において、受け部84と重なるように設けられている。そして、ねじ(図示略)が、支持部52に設けられた貫通孔53(図示略)を挿通し、受け部84に設けられたねじ穴(図示略)にねじ込まれて、筐体31bが支持部52に固定されている。
上記した構成によれば、上記実施形態に示した電子制御装置20と同等の効果を奏することができる。具体的には、受け部84において板ばね部51が接触する突出先端が、X方向において対向面43bと裏面43cとの間の位置とされている。また、一対の板ばね部51がX方向において弾性変形可能に設けられており、一対の板ばね部51により、筐体31bのY方向両端付近に位置する一対の受け部84に、弾性変形による反力を付与することができる。したがって、上記した反力により、受け部84が固定された下ケース83、すなわち筐体31bを、X方向において介在部50側に押しつけ、ブラケット33に固定することができる。さらに、X方向においてブラケットを筐体にねじ締結する構造や、ブラケットにより対向面と裏面とを挟み込んで固定する構造に較べ、X方向において電子制御装置20dを薄くすることができる。
これにより、上記実施形態同様、エンジンコンパートメント17において、バッテリ19の横の狭いスペースに、電子制御装置20dを配置することができる。すなわち、ボンネット12の位置を低くすることができる。また、コネクタ32が、底壁部40に対して上方となるように配置されるため、ワイヤハーネス22,23の長さを短くすることができる。なお、板ばね部51が金属製の受け部84に接触するため、に第1回路基板30aの熱を、受け部84及び板ばね部51を介して、ブラケット33側に効率よく放熱させることもできる。
また、本変形例では、筐体31bをX方向において3分割構造とし、中間ケース81を樹脂成形体とし、中間ケース81に上ケース82及び下ケース83がそれぞれ溶着される構成を採用している。したがって、中間ケース81と上ケース82との間、及び、中間ケース81と下ケース83との間において、シール材を不要とすることができる。これにより、X方向において筐体31b、ひいては電子制御装置20dを薄くすることができる。また、筐体31bのうち、金属製の筐体構成部材、すなわち上ケース82及び下ケース83の構造を簡素化することもできる。
なお、筐体31bは3分割構造に限定されるものではない。たとえば2分割構造の筐体31bに対して適用することもできる。この場合、2つの筐体構成部材の一方に受け部84が設けられることとなる。また、受け部84が設けられる位置も、下ケース83における対向面43bと反対の面上に限定されない。一対の受け部84は、Y方向において間に裏面43cが位置し、且つ、X方向において対向面43bと裏面43cの間の位置に設けられれば良い。たとえば、筐体31bの連結面43dに段差部を設け、この段差部を受け部84とすることもできる。本変形例では、に第1回路基板30aが固定される中間ケース81に対して受け部84が離れて配置されているため、狭持により受け部84に作用する応力が、に第1回路基板30aに伝達され難い。
本変形例に構成に断熱部材を組み合わせることもできる。
(変形例7)
本変形例は、先行実施形態や先行変形例を参照できる。このため、先行実施形態や先行変形例に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は省略する。
変形例6では、一対の板ばね部51が、対応する受け部84に弾性変形による反力を付与する例を示した。これに対し、本変形例の電子制御装置では、一対の受け部89が、対応する折り返し部90に弾性変形による反力を付与する。図32は、図30に対応している。
図32に示すように、介在部50と折り返し部90との間で受け部89が挟まれた状態で、一対の受け部89は、弾性変形による反力を介在部50及び折り返し部90に付与するように設けられている。それ以外の構成は、変形例6と同じである。したがって、本変形例においても、変形例6で示した変形態様を適用することができる。
一対の折り返し部90は、弾性変形機能を有していない点を除けば、変形例6の板ばね部51と基本的に同じ構成となっている。すなわち、折り返し部90は、介在部50のY方向両端からX方向において裏面43c側に延びるとともに、X方向において介在部50と対向するように、介在部50に対して折り返されている。具体的には、折り返し部90が介在部50と略平行となるように、折り返されている。このため、介在部50と折り返し部90とが、略コの字状(換言すれば略C字状)をなしている。また、折り返し部90と介在部50との対向距離は、所定距離とされている。この対向距離は、Z方向においてほぼ一定となっている。
一対の受け部89は、ゴムに、熱伝導性を高めるためのフィラーを混入してなる。ゴムとしては、たとえばシリコーンゴムを採用することができる。シリコーンゴムは、シリコンゴムとも称される。フィラーとしては、黒鉛、アルミニウム、銅、銀などの金属フィラー、酸化アルミニウムなどの酸化物や窒化物などの無機フィラー、表面が金属めっきされたフィラーなどを採用することができる。このように、受け部89は、ゴムを用いて形成されており、弾性変形機能を有している。
受け部89のX方向の高さは、延設部88の厚みとの長さの総和が、狭持前の状態で、折り返し部90と介在部50との対向距離よりも長くなるように設定されている。このため、折り返し部90が、受け部89の突出先端に接触した状態、すなわち折り返し部90と介在部50との間で受け部89を挟んだ状態で、受け部89は、図32に破線矢印で示すように、対応する折り返し部90と介在部50に弾性変形による反力を付与する。なお、組み付け性向上のために、折り返し部90の接触面側に楔状や半球状など突起を設けてもよい。この場合、介在部50との対向距離は突起先端からの距離となる。また、受け部89の一部を突出高さが徐々に変化するテーパ状とし、ブラケット33に組み付けやすくしてもよい。
上記した構成によれば、変形例6に示した電子制御装置20dと同等の効果を奏することができる。なお、受け部89を構成するゴムには、熱伝導性を高めるためのフィラーが混入されているため、に第1回路基板30aの熱を、受け部89及び折り返し部90を介して、ブラケット33側に効率よく放熱させることもできる。
弾性変形可能な受け部89としては、ゴムを用いたものに限定されない。金属ばねを用いることもできる。たとえば下ケース83上に金属ばねを固定し、金属ばねの突出先端に、たとえば樹脂製の接触部を設け、この接触部が折り返し部90と接触するようにしてもよい。また、ねじ34により、受け部89を支持部52に固定する場合、ねじ穴44が形成される固定部分を金属で構成し、固定部分上にゴムの弾性変形部を固定して、受け部89としてもよい。また、変形例6に示したように、筐体31bの連結面43dに段差部を設け、この段差部をゴムを用いて形成された部材を固定することで、この部材を受け部89とすることもできる。
(その他変形例)
筐体31が、バッテリ19の短側面19cの横に配置される例を示したが、これに限定されない。長側面19bの横に配置されてもよい。
箱状部材としてバッテリ19の例を示したが、これに限定されない。それ以外にも、側面の一部に平面部を有し、車室内と隔壁16により隔てられた区画室に配置されるものであれば採用することができる。たとえば、エンジン18、リレーボックス21、エアクリーナなどを箱状部材とすることもできる。
区画室として、エンジン18が配置されるエンジンコンパートメント17の例を示し、区画室上の蓋としてボンネット12の例を示したが、これに限定されない。エンジン18が配置されない区画室を採用することもできる。たとえば燃料電池車や電気自動車のように、駆動源としてエンジン18を備えない場合、たとえば燃料電池や駆動源としてのモータが配置される区画室に適用することができる。エンジン18を備えない場合、区画室上の蓋はリッドとも称される。
また、車室内よりも前方にエンジン18が配置される構成に限らず、車室内よりも後方にエンジン18が配置される構成においても適用することができる。すなわち、車室内よりも後方に位置するエンジンコンパートメント17を区画室としてもよい。
電子制御装置20としてエンジンECUの例を示したが、これに限定されるものではない。それ以外の電子制御装置にも適用することができる。
ブラケット33が、介在部50と、板ばね部51(折り返し部90)と、支持部52と、底板部55と、横板部56,57と、を有する例を示した。しかしながら、ブラケット33は、少なくとも介在部50と板ばね部51(折り返し部90)を有すればよい。たとえば、介在部50、板ばね部51(折り返し部90)、及び横板部57のみを有する構成を採用することもできる。また、介在部50、板ばね部51(折り返し部90)、及び底板部55のみを有する構成を採用することもできる。さらには、トレイ部54のうち、横板部56のみを無くした構成を採用することもできる。
上記実施形態などでは、電子制御装置20を車両10に搭載する例を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。同様に、本発明は、バッテリ19に隣り合う位置に配置されていなくても目的を達成できる。
上記実施形態などでは、ブラケット33を備えた電子制御装置20を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。電子制御装置20は、ブラケット33を備えていなくてもよい。