JP2016191128A - 銅製錬スラグの処理方法 - Google Patents

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照祥 平岡
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昌宏 清田
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泰弘 水田
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Abstract

【課題】銅製錬スラグから鉄を回収するのに好適な銅製錬スラグの処理方法を提供する。
【解決手段】銅熔錬炉で発生した銅製錬スラグの処理方法であって、当該銅製錬スラグを酸化鉄還元回収炉へ装入してスラグ中の酸化鉄を還元して炉底に沈降させた後、酸化鉄の含有量が低下したスラグと炉底に滞留する鉄を主体とする溶融金属とを分離回収する工程を含み、酸化鉄還元回収炉における酸化鉄の還元は、酸化鉄還元回収炉の炉底部から炭素を吹き込み、かつ、還元によって生じた金属鉄に十分な炭素が溶解するのに必要な炭素を供給して行う方法。
【選択図】図1

Description

本発明は銅製錬スラグの処理方法に関する。とりわけ、本発明は銅製錬スラグを有効利用するための銅製錬スラグの処理方法に関する。
銅製錬の一般的なプロセスは以下の(1)〜(3)を含む。
(1)銅精鉱を溶鉱炉、反射炉及び自溶炉などの溶錬炉中で溶解及び酸化し、銅分をマット(Cu2S−FeS系の硫化物)に濃縮する一方で、脈石成分は主にケイ素及び鉄の酸化物からなるスラグへ移行させる溶錬工程
(2)マットとスラグを比重差により分離する分離工程
(3)マットに富酸素空気などの酸化剤を供給し、マット中の硫黄分をSO2として除去し、マット中の鉄分は酸化鉄スラグとして分離除去し、粗銅を回収する製銅工程
近年、銅製錬において原料鉱石中の銅品位低下が進むことで、スラグ中へ銅分が溶解等して混入することによって生じる銅ロス(スラグロス)を低減することの重要性が高まっている。また、スラグ中のAs、Pb、Sb及びZn等の有害元素の濃化も問題視されている。このような背景から、これまでに銅製錬各社からスラグの浄化技術及び銅のスラグロス低減に関する各種特許が申請されている。
特許文献1(特開平11−140554号公報)では、銅製錬プロセスの溶錬炉中にフッ化物(CaF2)や氷晶石(3NaF/AlF3)及びそれらの混合物を添加して、スラグの粘性を下げると同時にスラグ中の銅の活量を上げることでマットの銅品位を60wt%以上に保ちつつスラグ中の銅濃度を0.2wt%〜0.5wt%に低減する方法を提示している。この特許ではスラグに対して0.5〜10wt%のフッ化物を添加することを規定している。
この特許ではフラックス添加によって溶融スラグ中のCu2Oの活量係数が上がることで、銅がスラグ層からマット層へ移行することを述べている。さらに、スラグ中に浮遊する金属銅はスラグの粘度が低下することで沈降してスラグ層からマット層に移行すると述べている。
特許文献2(特開2008−95127号公報)では、銅製錬スラグ中の有害元素であるAs、Pb、Zn、Sbを、スラグと共存させる溶融金属銅に吸収除去させることによる銅製錬スラグの浄化技術を提示している。
この特許では、銅製錬スラグの浄化炉のような容器を設置し、その炉内に溶融スラグを装入した後に、金属銅を添加し、炉底部に形成される溶融金属銅層にランスを浸漬し、ランス先端から重油、天然ガス、微粉炭などの加熱用燃料と酸素含有ガスを噴出することで、銅製錬スラグを撹拌すると同時に溶融スラグ中の有害金属酸化物及び銅酸化物を還元して金属化し、炉底に滞留する溶融金属銅層に吸収させることでスラグ中から除去する方法を提示している。As、Pb、Zn、Sbなどの酸化物が金属化されると、一部は揮発して排ガスとともに炉外へ出てダストとして回収される。しかし、最も有害な砒素は溶融金属銅により多く吸収されるとしている。このスラグの粘性制御はスラグ温度を1150℃〜1450℃に規定することで行うとしている。
さらにスラグ雰囲気の還元性を規定する目的で、スラグ中の酸素分圧を、1400℃換算で10-8.5>Po2>10-11.0とすることを規定している。さらに、金属銅の添加割合をスラグに対して5〜40wt%に規定している。さらに、溶融スラグをガスバブリングで撹拌することを規定している。
特許文献3(特開平9−87762号公報)では、主として銅転炉スラグを対象に、銅製錬スラグ中に還元剤を吹き込んで、銅製錬スラグの粘性増加成分である溶融スラグ中の固相析出マグネタイト含有量を1%以下になるまで還元することでスラグの粘性を低下させ、銅製錬スラグ中の銅分を回収する方法を提示している。
この特許では、銅転炉スラグ中の銅含有量が銅転炉スラグ中のマグネタイト含有量と正相関があるという周知の事実を述べ、銅回収にはスラグ中のマグネタイトを還元することの必要性を述べ、実例として特公昭45−36105号が銅転炉スラグ中に硫黄を含む物質を高速で吹き込みスラグ中の銅微粒子を硫化物層に吸収し回収する方法においてパイライトなどの硫化剤でマグネタイトを還元していることを述べている。さらに、チリのCodelco社、Caletones製錬所において、溶融状態の銅転炉スラグ中へ微粉炭を吹き込んでスラグ中のマグネタイトを還元してスラグ中の銅分回収を実施していることを述べている。
これらの過去の知見に対して、スラグ中のマグネタイト含有量の中で、特に溶融スラグ中の固相析出マグネタイト含有量の重要性を新たに認識したことを述べ、溶融スラグ中の固相析出マグネタイト含有量を1%以下に還元すること、さらに1%に達したことを磁性体量測定器で測定して判定する技術を特許としている。この技術により、銅製錬スラグ中の銅含有量を約4%から0.8%まで低減できた、と述べている。この特許の実施例において、プロパンガス吹き込みで還元した場合に、処理途中で磁性体量測定を行って終点予測をした場合と、処理途中で磁性体量測定を行わなかった場合とを比較して、銅メタル中の鉄分が2.3%から20.0%まで大きく変化したことを述べ、固相析出マグネタイト含有量を制御することの有効性を述べている。
特許文献4(特開2002−146448号公報)では、銅製錬工程での銅のスラグロス低減方法について開示されており、これにより銅のスラグロスを低減すると述べている。その特徴として、T.Fe/SiO2(モル比)を1.0〜1.5に規定し、Al23含有量を4〜8wt%とし、粘度を300mPa・s以下にすること、その好ましい領域としてT.Fe/SiO2(モル比)を1.1〜1.4に規定し、Al23含有量を5〜7wt%と規定している。更に、スラグサンプリングを行い、スラグ成分分析を行い、1250℃の粘度測定を行い、スラグ成分と粘度測定値から別途作成した回帰式によって溶剤を適量添加する方法を述べている。
特開平11−140554号公報 特開2008−95127号公報 特開平9−87762号公報 特開2002−146448号公報
このように、銅製錬におけるスラグロス低減、スラグからの銅回収、更にはスラグ浄化に関する技術は多数検討されている。しかしながら、これらの先行技術文献においては銅製錬スラグを有効利用するという観点からは検討が不十分であり、未だ改善の余地が残されている。銅製錬スラグにはAs、Pb、Sb及びZn等の有害金属が不純物として含まれる一方で、Cu、Fe及びSi等の有価金属が多く含まれることから、適切に処理することで有価金属の回収率を向上させたりスラグの付加価値を高めたりすることができるはずである。特に、銅製錬スラグから鉄を回収するという思想は何れの文献にも提示されていない。
具体的には、特許文献1に記載の技術は、溶錬炉中に蛍石(CaF2)や氷晶石(3NaF/AlF3)及びそれらの混合物等のフッ化物をスラグに対して0.5〜10wt%添加して、スラグの粘性を下げることを特徴とするものである。そのため、その使用条件は、マットとスラグが共存状態である溶錬炉中であることを規定している。その理由として、フッ化物がスラグ中の酸化銅の活量係数を増大させるためにスラグ層からマット層へ酸化銅が移行するため、併せて、スラグ中の金属銅の沈降速度が上がるためにスラグ層からマット層へ金属銅が移行するため、としている。そのため、溶錬炉から排出されたスラグを処理する方法ではないし、スラグ中の有価金属の回収を図る技術でもない。
特許文献2はスラグの浄化を目的として、スラグ中の有害金属酸化物を還元処理によって金属化し、溶融金属銅を共存させて溶融金属銅に吸収させている。この特許の意味するところは、炉底部にかなり大量の(対スラグ重量比5〜40wt%)の溶融銅を存在させ、該溶銅層へ還元剤を吹き込むことによって溶銅層近傍でスラグ中酸化物の還元反応を起こさせ、炉底からのガスバブリングによって該溶融銅と該還元反応で生じた金属とを接触させて、還元反応で金属化した有害元素を溶融銅中へ吸収させる、ということである。従って、添加する金属銅の形状・種類にはこだわりは無く、銅スクラップや銅製錬途中で得られる粗銅でもよい、としている。すなわち、特許文献2では、炉底部の溶銅層の近傍で還元反応を起こさせることに重要な意味がある。還元反応が、炉底部の溶銅層から離れた場所で起こった場合は、還元反応で生じた金属が溶銅層と接触する機会が大きく減じられるからである。また、当該文献に記載の技術においては、スラグ中の鉄分回収は全く考慮されていない。
特許文献3に記載の技術は、銅転炉スラグを対象に、銅製錬スラグ中に還元剤を吹き込んで、銅製錬スラグの粘性増加成分である溶融スラグ中の固相析出マグネタイト含有量を1%以下になるまで還元することで銅製錬スラグ中の銅分の回収方法を提示している。しかし、この方法で銅製錬スラグ中の銅含有量を約4%から0.8%まで低減できたと述べているが、なおスラグ中に0.8%の銅が存在している。また、当該文献にはスラグ中の鉄分回収は示唆されていない。
特許文献4に記載の技術はスラグ自体を処理する方法ではなく、スラグから有価金属を回収する方法でもない。そして、スラグ中の鉄分回収は念頭においておらず、溶錬炉中のスラグの粘度制御に使用するフラックスとしてAl23に限定し、Al23量を決定するための詳細条件を述べているに過ぎない。
そこで、本発明は銅製錬スラグから鉄を回収するのに好適な銅製錬スラグの処理方法を提供することを課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、還元炉内で十分な量の炭素を炉底部から吹き込みながら銅製錬スラグ中の酸化鉄を還元することが有効であることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、銅熔錬炉で発生した銅製錬スラグの処理方法であって、当該銅製錬スラグを酸化鉄還元回収炉へ装入してスラグ中の酸化鉄を還元して炉底に沈降させた後、酸化鉄の含有量が低下したスラグと炉底に滞留する鉄を主体とする溶融金属とを分離回収する工程を含み、酸化鉄還元回収炉における酸化鉄の還元は、酸化鉄還元回収炉の炉底部から炭素を吹き込み、かつ、還元によって生じた金属鉄に十分な炭素が溶解するのに必要な炭素を供給して行う方法である。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の一実施形態においては、酸化鉄の還元は、分離回収後のスラグ中に含まれるFeOが5質量%以下になるまで実施する。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の別の一実施形態においては、酸化鉄還元回収炉上部から燃料ガスと酸素ガスの混合ガスをスラグ中へ吹き込んで燃焼させることで加熱することを伴う。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、酸化鉄還元回収炉へスラグの粘性を下げるためのフラックスを添加することを伴う。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、炉上部から炭素含有溶鉄のシャワーをスラグ上面に浴びせることを伴う。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、炭素含有溶鉄中の炭素含有量が2〜4.5質量%である。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、スラグ上面へ浴びせる炭素含有溶鉄の温度は1200〜1500℃である。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、微粉炭の吹き込みは非酸化性ガスをキャリアーとして使用する。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、前記銅製錬スラグは、熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する工程(a)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入される。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、前記銅製錬スラグは、以下の工程(b)及び(c)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入される。
(b)熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に金属銅の粒子及び/又は液滴を添加し、当該金属銅に由来する金属溶銅滴を該スラグ中に浮遊させた状態で、該スラグ中に還元ガスを供給することで該スラグ中の金属酸化物を金属に還元し、還元された金属を金属溶銅滴に吸収させ、還元された金属を吸収した金属溶銅滴を沈降させる工程
(c)工程(b)を経たスラグを、還元され沈降した溶融金属から分離する工程
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、前記銅製錬スラグは、熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する工程(a)を経た後、更に、以下の工程(b)及び(c)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入される。
(b)熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に金属銅の粒子及び/又は液滴を添加し、当該金属銅に由来する金属溶銅滴を該スラグ中に浮遊させた状態で、該スラグ中に還元ガスを供給することで該スラグ中の金属酸化物を金属に還元し、還元された金属を金属溶銅滴に吸収させ、還元された金属を吸収した金属溶銅滴を沈降させる工程
(c)工程(b)を経たスラグを、還元され沈降した溶融金属から分離する工程
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、酸化鉄の還元はスラグ温度を1150℃以上として実施する。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の更に別の一実施形態においては、酸化鉄還元回収炉の炉底部から、銅製錬スラグ中に含まれる鉄酸化物をすべて金属化するのに必要な当量の1〜1.3倍の炭素を添加する。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法によれば、銅製錬スラグから鉄を回収することができる。原料鉱石中の銅品位が低下しつつある現状において、副産物であるスラグの経済的価値を高めることのできる本発明は、銅製錬工場の収益改善に貢献することのできる有望な技術である。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の工程例を示すフローチャートである。
本発明に係る銅製錬スラグの処理方法の一実施形態においては、銅熔錬炉で発生した銅製錬スラグを酸化鉄還元回収炉へ装入してスラグ中の酸化鉄を還元して炉底に沈降させた後、酸化鉄の含有量が低下したスラグと炉底に滞留する鉄を主体とする溶融金属とを分離回収する工程を含み、酸化鉄還元回収炉における酸化鉄の還元は、酸化鉄還元回収炉の炉底部から炭素を吹き込みながら行う。
本発明において、銅熔錬炉というのは溶鉱炉、電気炉、反射炉及び自溶炉など銅精鉱を溶解及び酸化してマットとスラグを発生させる炉を指す。銅製錬スラグは一般に、Fe、Si及びCu等の有価金属を含有する一方で、As、Pb、Sb及びZn等の有害元素も少量含有する。銅製錬スラグ中のFe濃度は典型的には20〜60質量%であり、より典型的には35〜45質量%である。銅製錬スラグ中のSi濃度は典型的には20〜60質量%であり、より典型的には30〜40質量%である。銅製錬スラグ中のCu濃度は典型的には0.5〜5質量%であり、より典型的には0.6〜1.2質量%である。銅製錬スラグ中のAs濃度は典型的には0.1〜5質量%であり、より典型的には0.1〜0.5質量%である。銅製錬スラグ中のPb濃度は典型的には5質量%以下であり、より典型的には1質量%以下である。銅製錬スラグ中のSb濃度は典型的には0.01〜0.2質量%であり、より典型的には0.02〜0.06質量%である。銅製錬スラグ中のZn濃度は典型的には5質量%以下であり、より典型的には1質量%以下である。
銅製錬スラグを酸化鉄還元回収炉に装入する前に、熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する工程(a)を実施しておくことが、回収される金属鉄の収率を高める観点で好ましい。また、回収される金属鉄の品位を高めるために、銅製錬スラグは、以下の工程(b)及び(c)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入されることが好ましい。より好ましい実施形態においては、銅製錬スラグは、熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する工程(a)を経た後、更に、工程(b)及び(c)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入される。
(b)熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に金属銅の粒子及び/又は液滴を添加し、当該金属銅に由来する金属溶銅滴を該スラグ中に浮遊させた状態で、該スラグ中に還元ガスを供給することで該スラグ中の金属酸化物を金属に還元し、還元された金属を金属溶銅滴に吸収させ、還元された金属を吸収した金属溶銅滴を沈降させる工程
(c)工程(b)を経たスラグを、還元され沈降した溶融金属から分離する工程
以下、工程(a)、工程(b)及び工程(c)の実施形態について説明し、その後、酸化鉄還元回収炉における還元処理について説明することとする。
<工程(a):酸化処理工程>
工程(a)においては、銅熔錬炉で発生した銅製錬スラグを、該熔錬炉から独立したスラグ処理炉において該スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する。最初に銅製錬スラグ中の金属硫化物を酸化物化する工程を経ることで、スラグ中から有価金属を効率的に回収することができるようになる。
該熔錬炉から独立したスラグ処理炉に受ける理由は、不純物の除去や所要の成分の最終調整が可能となり、処理後のスラグの品質が向上可能な為である。またスラグ処理炉としては、限定的ではないが、鉄鋼製錬におけるLF(Ladle Furnace)のような構造をもつものが好適である。LFは電極加熱装置をもち、取鍋中のスラグをアーク放電で加熱することを可能にする取鍋加熱炉である。スラグ処理炉は炉底部に滞留する溶融金属を排出するための開閉可能な孔を有することが好ましい。
次いで、該スラグ処理炉において該スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する。予め硫化物を酸化しておかないと、次工程において高効率に金属を還元して金属化することができず、スラグ中に有害金属及び有価金属が残留してしまう。酸素含有ガスとしては、例えば酸素ガス、空気が挙げられ、これらの中でも反応性が高く、熱ロスが少ないといった理由により酸素ガスが好ましい。
酸化処理は硫化物を効果的に酸化する観点から、スラグ温度を銅の融点より少し高い1150℃以上として実施することが好ましく、スラグ温度を1250℃以上として実施することがより好ましく、スラグ温度を1350℃以上として実施することが更により好ましい。一方で、炉体保護、経済性の観点からはスラグ温度を純鉄の融点である1535℃以下として実施することが好ましく、スラグ温度を1500℃以下として実施することがより好ましく、スラグ温度を1400℃以下として実施することが更により好ましい。
効率的な酸化処理のためには、銅製錬スラグをスラグ処理炉に装入した後、天然ガス及び/又はプロパンガス等の燃料ガスと酸素ガスとを混合したガスジェットを形成し、該混合ガスをランスを使ってスラグ中へ吹き込むことが好ましい。この時に、完全燃焼比率のガス組成に対して酸素過剰状態の混合割合で吹き込むことで、極めて高温度の酸素ガスをスラグ中へ供給することができる。例えば、天然ガスと酸素ガスの燃焼によって発生する燃焼ガスの温度は完全燃焼比率の場合に約2400℃である。従って、この混合ガスを酸素過剰状態にすることで2000℃近辺の高温度酸素ガスを得ることができる。この処理により、スラグ温度が上昇するとともに硫化物がほぼ完全に酸化物化する。
次工程の還元工程では還元反応による吸熱によってスラグ温度低下が起こる。従って、酸化処理工程の終了時点でこれらの温度低下を補償しうるスラグ温度を確保しておくことが好ましい。そこで、酸化処理工程の終了時のスラグ温度は、次工程で還元反応を行うことを勘案して銅の融点より少し高い1150℃以上であることが好ましく、1250℃以上であることがより好ましく、1350℃以上であることが更により好ましく、1450℃以上であることが最も好ましい。但し、酸化処理工程の終了時のスラグ温度は、高くし過ぎると耐火物の溶損等が発生し易くなり、更には次工程の一次還元処理によってFeOが還元されて金属鉄が生成した場合にもFeが固体であれば後述する金属溶銅滴に取り込まれにくいので、純鉄の融点である1535℃以下であることが好ましく、1500℃以下であることがより好ましい。すなわち、炉体保護、経済性の観点からは酸化処理最中のスラグ温度は上述した1150〜1535℃の範囲の中で比較的低い温度で実施するほうが好ましいのであるが、酸化処理終点においては還元工程でのスラグ温度低下を見越してスラグ温度を1150〜1535℃の範囲の中で比較的高い温度とすることが望ましい。そのため、酸化処理の末期においてスラグ温度を上昇させるという操作、例えば酸化処理の末期においてスラグ温度を50℃以上、典型的には100〜200℃上昇させるという
操作を行うことが好ましいのである。
<工程(b)及び工程(c):一次還元処理>
酸化鉄還元回収炉へ装入する前に、銅製錬スラグ中の鉄以外の金属酸化物を還元して炉底に沈降させて分離しておくことで、酸化鉄還元回収炉から回収される鉄中の不純物濃度を低減することができる。ここでの還元処理は有害金属を除去するとともに銅を主体とする金属を回収することを目的とした一次還元処理であり、鉄を主体とする金属を回収することを目的とした酸化鉄還元回収炉での二次還元処理の前処理としての役割を果たす。
(工程(b))
一次還元処理においては、還元剤を使用して該スラグが含有する鉄以外の金属の酸化物を還元して金属化することを目的とする。鉄以外の金属としては、限定的ではないが、典型的にはAs、Pb、Sb、Zn及びCuが挙げられる。これらの元素は一般に銅製錬スラグ中に含まれる量が少ないため一括して分離することが好適である。一方、鉄は銅製錬スラグ中に含まれる量が多いことから、独立して分離回収することで、回収された鉄の利用可能性を高めることができる。そのため、一次還元処理では鉄以外の金属の酸化物を還元することを目的としている。従って、一次還元処理では酸化鉄の還元は極小に止めておくことが望ましい。具体的には、スラグ中の酸素ポテンシャルを2FeO=2Fe+O2の反応が起きない酸素ポテンシャルに管理する。当該反応が起きない酸素ポテンシャルの範囲は温度によって変化するが、エリンガム図から容易に読み取ることが可能である(例 1200℃の場合:10-12atm、1400℃の場合:10-10atm)。
ただし、一次還元処理においては上述した鉄以外の金属の酸化物、とりわけ銅酸化物の還元反応を十分に行うことが好ましい。具体的には、95質量%以上の鉄以外の金属酸化物(とりわけ銅酸化物)を金属銅に還元することがより好ましく、100質量%の鉄以外の金属酸化物(とりわけ銅酸化物)を金属銅に還元することが更により好ましい。そのため、鉄以外の金属酸化物の還元を確実に行うためにスラグ中に存在する鉄分がある程度還元されることは許容される。例えば、スラグ中の鉄分の10質量%以下程度は還元されてもよい。
好適な還元ガスの例としては、限定的ではないが、水素、天然ガス(メタンガス)、プロパンガス、石油系物質、炭素含有物質などが挙げられる。還元ガスをガス吹き込みランスを通してスラグ中に吹き込むことで、酸化物の還元を行うことができる。還元ガスとしては、価格、入手しやすさ及び扱いやすさの点から、水素及び炭化水素系ガスが好ましく、中でもFeOの還元を抑制できる一方で銅酸化物や有害金属酸化物を還元できることから水素が最適である。水素や炭化水素系ガスを還元ガスとして使用する場合は、一つのガス吹き込みランスを使って、温度制御が可能であり、さらに酸素が過剰ならば酸化、酸素が不足ならば還元と、酸化と還元を制御出来るという利点が得られる。炭化水素系ガスを使用する場合、FeOの還元も進行することから、炭化水素系ガスを使用する場合は、一分子中の炭素数の小さな炭化水素系ガスが好ましい。具体的には炭素数が4以下であるブタンガス、プロパンガス、エタンガス、メタンガスから選択される1種以上が好ましく、炭素数が3以下であるプロパンガス、エタンガス、メタンガスから選択される1種以上がより好ましく、炭素数が2以下であるエタンガス、メタンガスから選択される1種以上が更により好ましく、炭素数が1であるメタンガスが最も好ましい。
一次還元処理時にスラグ温度が下がるのを防ぐために、ガス吹き込みランス中に酸素ガスを添加し、使用される還元ガスの一部を燃焼させることで、加温と還元を同時に行うこともできる。
天然ガス等の燃料ガスから発生する炭素の量は、吹き込んだ未燃焼燃料ガス量から容易に計算されるので、炭素によってFeOが金属鉄に還元されることを防ぐように未燃焼燃料ガス量を制御する。具体的には、スラグ中に含まれるFeよりも還元されやすい金属(例:As、Pb、Sb、Zn及びCu)の酸化物を金属へ還元するのに必要な未燃焼燃料ガス量の総量を1当量とすると、還元ガスの反応効率も考慮すると、1〜2当量が好ましく、1.1〜1.5当量が好ましい。有害金属の内、As(昇華点615℃)、Zn(沸点907℃)は気化し、蒸気圧の高いSb、Pbの一部は気化して還元性の排ガスと共に炉外へ排出することができる。
発生した排ガスは、銅製錬の既存の排ガス処理設備で処理可能である。
一次還元処理は、工程(a)を経た後の銅製錬スラグ中に金属銅の粒子及び/又は液滴を添加し、当該金属銅に由来する金属溶銅滴を該スラグ中に浮遊させた状態で実施することが好ましい。特に、一次還元処理中に、炉上部からスラグ中へ金属銅の粒子及び/又は液滴を撒布することが好ましい。スラグ中へ撒布された金属銅の粒子は直ちに溶融して銅滴(液体)となってスラグ中を浮遊する。
スラグ中を浮遊する金属溶銅滴は、還元反応で生じた金属類を吸収することが可能である。金属銅の粒子及び/又は液滴をスラグに浮遊させておくことで、還元された有害金属元素や銅との接触確率が高まり、金属酸化物の還元反応がスラグ内のどこの場所で起ころうとも、還元反応で生じた金属類が効率よく溶銅へ吸収されるという利点が得られる。本発明における「金属銅の粒子及び/又は液滴」というのは、本発明の趣旨を損なわない範囲で銅以外の成分が含まれている場合が包含される概念である。好ましくは酸化銅に対する還元性を有する元素、例えばFeを含むことができる。
よって、一次還元処理では、工程(a)を経た後の銅製錬スラグ中に金属銅の粒子及び/又は液滴を添加し、当該金属銅に由来する金属溶銅滴を該スラグ中に浮遊させた状態で、該スラグ中に還元ガスを供給することで該スラグ中の金属酸化物を金属に還元し、還元された金属を金属溶銅滴に吸収させ、還元された金属を吸収した金属溶銅滴を沈降させることが好ましい。
還元反応を効率よく進行させるためにはスラグを撹拌することが有効である。還元ガスの吹き込みによってスラグの攪拌は自然と行われ、金属溶銅滴の浮遊も維持可能であるが、還元反応を促進するために機械攪拌を補助的に付加してもよい。
一次還元処理は鉄以外の酸化物を効果的に還元する観点から、スラグ温度を銅の融点より少し高い1150℃以上として実施することが好ましく、スラグ温度を1250℃以上として実施することがより好ましく、スラグ温度を1350℃以上として実施することが更により好ましい。一方で、炉体保護、経済性の観点からはスラグ温度を純鉄の融点である1535℃以下として実施することが好ましく、スラグ温度を1500℃以下として実施することがより好ましく、スラグ温度を1400℃以下として実施することが更により好ましい。
更に、一次還元処理を実施中に、所望される時間内で全ての金属溶銅滴がスラグ中を沈降・分離することを可能にするために、スラグ上方から溶銅シャワーを浴びせる、及び/又は、十分な大きさの金属銅粒子をスラグ上部からスラグ中へ添加することが好ましい。これにより、スラグ中に存在する還元反応で生じた各種金属微粒子の金属溶銅滴への吸収及び沈降分離を促進することができる。この時に使用する溶銅は、当工程で得られた還元された金属を吸収した金属溶銅でも良いし、新たに銅製錬工程で得られる溶融粗銅でも良い。
一次還元処理により還元された金属を吸収した金属溶銅滴がスラグ中を沈降して底部へと分離しやすくするため、工程(b)の実施中に以下の(1)及び(2)の何れか又は両方の操作を実施することが好ましく、両方の操作を実施することがより好ましい。
(1)スラグ中に粘性低下用フラックスを添加する。
(2)スラグ温度を1150℃以上とする。
(1)に関して、スラグに添加されるフラックスとしてはCaF2を代表とするフッ化物系、CaO、Al23、MgO、Na2Oなどの酸化物系の二種類が代表的である。予めスラグ中のFeOが1wt%以下になってもスラグハンドリングが可能なように、スラグ粘性を低下させることが好ましい。
(2)に関して、金属溶銅滴がスラグ中を迅速に沈降するように、スラグ温度は1150℃以上とするのが好ましく、1250℃以上とするのがより好ましく、1350℃以上とするのが更により好ましい。但し、還元処理工程の終了時のスラグ温度は、高くし過ぎると炉体の溶損や、熱ロスの増大が懸念される為、純鉄の融点である1535℃以下であることが好ましく、1500℃以下であることがより好ましく、1400℃以下であることが更により好ましい。そして、還元された金属を吸収した金属溶銅滴がスラグ中を沈降させている間はスラグ温度が、上述した温度範囲にあることが好ましい。
(工程(c))
一次還元処理を実施後は、スラグと底部に滞留する溶融金属とを分離し、回収することができる。沈降はスラグ処理炉内で実施してもよいし、一次還元処理の実施後、速やかにスラグ処理炉からスラグ及び溶融金属を取り出して、別の沈降用設備に移してから当該設備内で溶融金属を沈降させてもよい。金属溶銅滴が完全に底部に沈降した後に、底部から溶融金属を排出することが好ましい。一次還元処理後のスラグを排出した後のスラグ処理炉へは、新たな未処理スラグを装入し、酸化処理及び一次還元処理を行うことができる。スラグは取鍋に受けて次の酸化鉄還元回収炉へ装入することができる。
一方、スラグから分離された銅を主体とする溶融金属にはCu、As、Pb、Zn、Sb等の金属が含まれている。このため、これらを更に分離回収することができる。具体的な方法としては、電解精製、溶媒抽出、硫化処理等が挙げられる。回収された銅を主体とする溶融金属は、必要により銅を分離回収した後、先述した「金属銅の粒子及び/又は液滴」の原料として使用してもよい。
<酸化鉄還元回収炉における還元処理>
銅熔錬炉で発生した銅製錬スラグは、工程(a)、(b)及び(c)を必要に応じて経た後、酸化鉄還元回収炉に装入されて還元処理を受ける。先述した一次還元処理と区別するため、酸化鉄還元回収炉における還元処理を二次還元処理と呼ぶこととする。
当該スラグ中の酸化鉄を還元する方法としては、特に制限はないが、経済的な理由、また、生成した金属鉄を銑鉄とする為に、還元剤として炭素を使用することが好ましい。酸化鉄還元工程で添加する炭素量は、鉄酸化物を金属化するに必要な量を基本とし、工業的な炭素ロスを加味して決定する。具体的には、銅製錬スラグ中に含まれる鉄酸化物をすべて金属化するのに必要な当量の1〜1.3倍、好ましくは1〜1.2倍、より好ましくは1〜1.1倍の還元剤(典型的には炭素)を添加することが望ましい。
炉底には、微粉炭吹き込み装置を設置し、スラグ中の有価物である鉄を効率良く回収するという理由により、炭素(例えば微粉炭)を吹き込むことが好ましい。
スラグ中のすべての酸化鉄を金属化するのに必要な炭素量以上の炭素が吹き込まれることが好ましく、還元されて得られる金属鉄を炭素濃度2質量%以上の高炭素含有鉄にするのに必要な炭素量以上の炭素が吹き込まれることがより好ましく、更には、還元されて得られる金属鉄を炭素飽和状態(鋳鉄)にするのに必要な炭素量が吹き込まれることが更により好ましい。炉底部に微粉炭の吹き込み装置を設置することで、炭素不足で炉底メタルが生成した場合に鋳鉄として溶解出来るという利点が得られる。炉底から吹き込まれる微粉炭は、窒素ガスや希ガス等の不活性ガスや、LPGやLNG等の還元性ガスといった非酸化性ガスをキャリアーガスとして使用することが好ましい。スラグと炭素飽和銑鉄の混合はキャリアーガスの吹き込みによって自然と撹拌が行われるが、還元反応を促進するために機械攪拌を補助的に付加してもよい。
二次還元処理は鉄酸化物を効果的に還元する観点から、スラグ温度を1150℃以上として実施することが好ましく、スラグ温度を1250℃以上として実施することがより好ましく、スラグ温度を1350℃以上として実施することが更により好ましい。一方で、炉体保護、経済性の観点からはスラグ温度を純鉄の融点である1535℃以下として実施することが好ましく、スラグ温度を1500℃以下として実施することがより好ましく、スラグ温度を1400℃以下として実施することが更により好ましい。還元処理は、有価物(鉄)の回収の観点から、分離回収後のスラグ中の酸化鉄(FeO)が5質量%以下になるまで実施することが好ましく、3質量%以下になるまで実施することがより好ましく、1質量%以下になるまで実施することが更により好ましい。
炉上部には、温度制御用に天然ガス及び/又はプロパンガス等の燃料ガスと酸素ガスとの混合ガスをスラグ層内部へ吹き込むためのランスを設置することができる。スラグ中の酸化鉄の還元工程は吸熱反応であるために、スラグ温度が下がりやすい。この温度補償のために燃料ガスと酸素ガスの混合ガスの燃焼を利用する。例えば天然ガスと酸素ガスの混合ガスの燃焼によって発生する燃焼ガス温度は約2400℃であり、所望の温度に極めて容易に制御できる。酸化鉄の還元反応によってスラグの温度が低下した場合に、炉上部から燃料ガスと酸素ガスの混合ガスをスラグ中へ吹き込んで燃焼させることで加熱するという使い方も可能である。この際、スラグの酸化を防止する為に、燃料ガスの燃焼に要する酸素の当量よりも酸素を少なくすることが望ましい。
二次還元処理が進行すると、スラグの粘性が上昇してくる。これはスラグ中の酸化鉄が減少し、SiO2の占める割合が多くなるからである。しかしながら、粘性が高くなると酸化鉄の還元反応が進行しなくなるという不都合が生じる。このような状態のスラグは次の工程でファイバー化する際にも操業不能となる。そこで、二次還元処理の開始前及び/又は実施中に粘性を低下させるためのフラックスをスラグへ添加することが好ましい。
スラグ中に添加するフラックスの種類及び量は、スラグ中のFeOが1質量%以下になった時に操業に支障を来たさないスラグ粘度であることを予め想定して決めればよい。スラグに添加されるフラックスとしてはCaF2を代表とするフッ化物系、CaO、Al23、MgO、Na2Oなどの酸化物系の二種類が代表的である。
スラグ中の酸化鉄は、炉内に吹き込まれる炭素と反応してCOガスを発生させながら金属鉄となり、更には高炭素含有状態の銑鉄になることができる。
還元によって発生するCOガスにより、スラグが膨張する所謂フォーミング現象が発生ことがある。これを防ぐため、炉上部から炭素含有溶鉄のシャワーをスラグ上面に浴びせることが好ましい。当該溶鉄シャワーには、スラグを還元反応を促進するという効果のみならず、スラグの膨張を防止する効果が期待できる。すなわち、溶鉄シャワーによって、スラグ中を上昇してきたCO気泡は上面で破壊されるためにスラグの膨張を防ぐことが可能となる。また、炉外で溶鉄の温度制御をしたり、炭素含有量を制御したりすることは極めて簡単なので、実用性の高い方法である。この溶鉄シャワーは、鉄回収還元炉の炉底から抽出して炉内を循環させてもよい。
シャワーにより供給する炭素含有溶鉄の温度は流動性の確保の理由により1200℃以上であることが好ましく、1250℃以上であることがより好ましく、1350℃以上であることが更により好ましい。炭素含有溶鉄の温度は経済性、並びに使用機器の保護の理由により1600℃以下であることが好ましく、1500℃以下であることがより好ましく、1450℃以下であることが更により好ましい。
シャワーにより供給する炭素含有溶鉄中の炭素濃度は融点を下げて流動性を確保する為に2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることが更により好ましい。但し、高炭素含有溶鉄中の炭素濃度を高くし過ぎるとスラグ温度が低下したときに固体のキッシュグラファイトという炭素結晶が発生し、これが飛散すると周囲環境を汚染することから、炭素含有溶鉄の炭素濃度は6質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、4.5質量%以下であることが更により好ましい。
好ましい実施形態においては、二次還元処理後に分離回収されたスラグ中にはAs、Zn、Pb及びSb等の有害元素はほとんど含まれない。典型的には、二次還元処理後に分離回収されたスラグはSiO2が40質量%以上であり、より典型的にはSiO2が50質量%以上であり、更により典型的にはSiO2が55質量%以上である。また、典型的には、二次還元処理後に分離回収されたスラグはSiO2が70質量%以下であり、より典型的にはSiO2が65質量%以下であり、更により典型的にはSiO2が60質量%以下である。
二次還元処理後に分離回収されたスラグはCu濃度0.1質量%以下とすることができ、好ましくは0.05質量%以下とすることができ、より好ましくは0.01質量%以下とすることができる。二次還元処理後に分離回収されたスラグはFe濃度を5質量%以下とすることができ、好ましくは3質量%以下とすることができ、より好ましくは1質量%以下とすることができる。
二次還元処理後に分離回収されたスラグはAs濃度を0.1質量%以下とすることができ、好ましくは0.05質量%以下とすることができ、より好ましくは0.01質量%以下とすることができる。
二次還元処理後に分離回収されたスラグはZn濃度を0.5質量%以下とすることができ、好ましくは0.1質量%以下とすることができ、より好ましくは0.01質量%以下とすることができる。
二次還元処理後に分離回収されたスラグはPb濃度を0.1質量%以下とすることができ、好ましくは0.05質量%以下とすることができ、より好ましくは0.01質量%以下とすることができる。
二次還元処理後に分離回収されたスラグはSb濃度を0.02質量%以下とすることができ、好ましくは0.01質量%以下とすることができる。
このように、本発明に係るスラグ処理を受けた後の残留スラグは軽量で有害元素も含まれないようにすることが可能である。

Claims (13)

  1. 銅熔錬炉で発生した銅製錬スラグの処理方法であって、当該銅製錬スラグを酸化鉄還元回収炉へ装入してスラグ中の酸化鉄を還元して炉底に沈降させた後、酸化鉄の含有量が低下したスラグと炉底に滞留する鉄を主体とする溶融金属とを分離回収する工程を含み、酸化鉄還元回収炉における酸化鉄の還元は、酸化鉄還元回収炉の炉底部から炭素を吹き込み、かつ、還元によって生じた金属鉄に十分な炭素が溶解するのに必要な炭素を供給して行う方法。
  2. 酸化鉄の還元は、分離回収後のスラグ中に含まれるFeOが5質量%以下になるまで実施する請求項1に記載の方法。
  3. 酸化鉄還元回収炉上部から燃料ガスと酸素ガスの混合ガスをスラグ中へ吹き込んで燃焼させることで加熱することを伴う請求項1又は2に記載の方法。
  4. 酸化鉄還元回収炉へスラグの粘性を下げるためのフラックスを添加することを伴う請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 炉上部から炭素含有溶鉄のシャワーをスラグ上面に浴びせることを伴う請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 炭素含有溶鉄中の炭素含有量が2〜4.5質量%である請求項5に記載の方法。
  7. スラグ上面へ浴びせる炭素含有溶鉄の温度は1200〜1500℃である請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 微粉炭の吹き込みは非酸化性ガスをキャリアーとして使用する請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記銅製錬スラグは、熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する工程(a)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入される請求項1〜8の何れか一項に記載の処理方法。
  10. 前記銅製錬スラグは、以下の工程(b)及び(c)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入される請求項1〜8の何れか一項に記載の処理方法。
    (b)熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に金属銅の粒子及び/又は液滴を添加し、当該金属銅に由来する金属溶銅滴を該スラグ中に浮遊させた状態で、該スラグ中に還元ガスを供給することで該スラグ中の金属酸化物を金属に還元し、還元された金属を金属溶銅滴に吸収させ、還元された金属を吸収した金属溶銅滴を沈降させる工程
    (c)工程(b)を経たスラグを、還元され沈降した溶融金属から分離する工程
  11. 前記銅製錬スラグは、熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に残留する硫化物を酸素含有ガスにより酸化物化する工程(a)を経た後、更に、以下の工程(b)及び(c)を経た後に、酸化鉄還元回収炉へ装入される請求項1〜8の何れか一項に記載の処理方法。
    (b)熔錬炉から独立したスラグ処理炉内において銅製錬スラグ中に金属銅の粒子及び/又は液滴を添加し、当該金属銅に由来する金属溶銅滴を該スラグ中に浮遊させた状態で、該スラグ中に還元ガスを供給することで該スラグ中の金属酸化物を金属に還元し、還元された金属を金属溶銅滴に吸収させ、還元された金属を吸収した金属溶銅滴を沈降させる工程
    (c)工程(b)を経たスラグを、還元され沈降した溶融金属から分離する工程
  12. 酸化鉄の還元はスラグ温度を1150℃以上として実施する請求項1〜11の何れか一項に記載の処理方法。
  13. 酸化鉄還元回収炉の炉底部から、銅製錬スラグ中に含まれる鉄酸化物をすべて金属化するのに必要な当量の1〜1.3倍の炭素を添加する請求項1〜12の何れか一項に記載の処理方法。
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