JP2016186534A - 吸音天井膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場などの天井面積構成部材、天井面積構成部材付帯物として、反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、しかも高周波融着による縫製の簡便性を兼備する吸音天井膜の提供。【解決手段】厚さ0.5〜2.0mmの可撓性積層体の全面に孔径0.5〜1.5φmmの通気孔を散在して多数形成、配置し、通気孔の内壁断面の層構造を、熱可塑性樹脂層/繊維布帛層/熱可塑性樹脂層、とし、少なくとも互いに隣接する通気孔同士が繊維布帛層を介在して通気連続するようにする。【選択図】図1
Description
本発明は屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場などの天井、さらに駅舎ロビー、空港ロビー、ショッピングモールなどの吹き抜けに設置される天井面積構成部材、または天井面積構成部材付帯物として、何れも反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、しかも高周波融着による縫製の簡便性を兼備する吸音天井膜に関する。
吸音内装材として、ガラス長繊維を嵩高に膨らませた嵩高加工糸を、少なくとも1部に用いて製織してなることにより、吸音特性および不燃性を有する吸音クロス、およびこの吸音クロスを用いた吸音カーテン(特許文献1)、建築内装工事用の天井材や壁材として、比較的薄い表層被覆シート材を基板(多数の小径貫通孔が穿孔されてなる)の表面に貼着することで貫通孔の表面側開口を閉塞した有孔吸音板(特許文献2)、建築物の壁面、天井面、床面またはパーティション等に貼り付ける吸音装飾シートとして、微小な穴を多数有する装飾フィルム層と不燃性連続発泡体層、及び接着層とからなる吸音装飾シート(特許文献3)、貫通微細孔及び少なくとも1mmの直径を備える開口を備えるフィルム層と、このフィルム層上に配置される繊維性材料層とを備えてなる多層吸音シート(特許文献4)、など様々な吸音構造材料が開示されている。しかしこれらの吸音構造材料では大型施設の大面積天井膜を施工するための材料同士の接合による広幅化、長尺化の作業工程において、シート端部に特別な細工を施したり、特別なジョイント器具やフレームを必要とするなど、手間や面倒を有するものであった。
本発明は、建築物の天井に設置される天井面積構成部材、または天井面積構成部材付帯物として反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、しかも高周波融着による縫製の簡便性を兼備するので、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎ロビー、空港ロビー、ショッピングモール吹き抜けなどの大型施設の大面積天井膜を施工するために行う、材料同士の接合による広幅化、長尺化の作業を容易とし、しかも接合部強度にも優れる利点を有する吸音天井膜の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、特定の厚さの可撓性積層体の全面に特定孔径の通気孔が散在して多数形成、配置され、この通気孔の内壁断面の層構造が、熱可塑性樹脂層/繊維布帛層/熱可塑性樹脂層、を有し、各通気孔の配置において、少なくとも互いに隣接する通気孔同士が通気性の繊維布帛層を介在して通気することによって、反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、しかも高周波融着による縫製の簡便性を兼備するので、大型施設の大面積天井膜を施工するために行う、材料同士の接合による広幅化、長尺化の作業を容易とし、しかも接合部強度にも優れる利点を見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の吸音天井膜は、厚さ0.5〜2.0mmの可撓性積層体の全面に孔径0.5〜1.5φmmの通気孔が散在して多数形成、配置され、前記通気孔の内壁断面の層構造が、熱可塑性樹脂層/繊維布帛層/熱可塑性樹脂層、を有し、前記通気孔の配置において、少なくとも互いに隣接する通気孔同士が前記繊維布帛層を介在して通気連続することが好ましい。これによって反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、高周波融着による縫製の簡便性を兼備する吸音天井膜を得ることができる。
本発明の吸音天井膜は、前記通気孔の面積総和が前記積層体の単位面積当たりに占める開孔率2.5〜12.5%を有していることが好ましい。これによって反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、高周波融着による縫製の簡便性を兼備する吸音天井膜を得ることができる。
本発明の吸音天井膜は、前繊維布帛層を成す繊維布帛が、マルチフィラメント嵩高糸条を含んでいることが好ましい。これによってより反響抑止効果と音響減衰効果とに優れた吸音天井膜を得ることができる。
本発明の吸音天井膜は、前記熱可塑性樹脂層が軟質塩化ビニル樹脂を含み、かつ前記通気性布帛層がガラス繊維糸条、またはポリエステル繊維糸条を含むことが好ましい。これによって反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、高周波融着による縫製の簡便性を兼備する吸音天井膜を得ることができる。
本発明の吸音天井膜は、前記可撓性積層体の片面に、通気性不織布層または通気性発泡層が形成されていることが好ましい。これによってより反響抑止効果と音響減衰効果とに優れた吸音天井膜を得ることができる。
本発明によれば、建築物の天井に設置される天井面積構成部材、または天井面積構成部材付帯物としての膜材料に適し、反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、しかも高周波融着による縫製の簡便性を兼備するので、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎ロビー、空港ロビー、ショッピングモール吹き抜けなどの大型施設の大面積天井膜を施工するために行う、材料同士の接合による広幅化、長尺化の作業を容易とし、しかも接合部強度にも優れる利点を有するものとした。
本発明の吸音天井膜は、厚さ0.5〜2.0mmの可撓性積層体の全面に孔径0.5〜1.5φmmの通気孔が散在して多数形成、配置され、この通気孔の内壁断面の層構造を、熱可塑性樹脂層/繊維布帛層/熱可塑性樹脂層とし、これら各通気孔の配置において、少なくとも互いに隣接する通気孔同士が通気性の繊維布帛層を介在して通気連続するよう設計したものである。可撓性積層体は、繊維布帛層を基材としてその両面に熱可塑性樹脂層(熱可塑性樹フィルム、または熱可塑性樹シート)を積層一体化し、その厚さを0.5〜2.0mmの範囲としたものである。可撓性積層体の厚さが0.5mm未満では反響抑止効果及び音響減衰効果ともに不十分となることがあり、また2.0mmを超えると天井膜として重量超過傾向となり、施工取り扱いに難を生じると共に、地震による天井崩落事故の際の人身事故の危険性を増すことがある。
可撓性積層体の全面に散在(千鳥や角の規則的整列、またはランダム)して多数(3〜400個/inch2)形成、配置される通気孔(形態は円径、略円径、楕円径)の孔径は0.5〜1.5φmmの範囲、特に1.0φmmが好ましく、孔径が0.5φmm未満、及び1.5φmmを越えると、通気孔が共鳴孔として作用することによる反響抑止効果、音響減衰効果などの吸音効果を不十分とすることがある。また、可撓性積層体の単位面積に対する全通気孔の面積総和の占有率としての開孔率は2.5〜12.5%、特に5.0〜10%が好ましい。開孔率が2.5%未満、及び12.5%を超えると得られる膜材の反響抑止効果、音響減衰効果などの吸音効果が満足に得られないことがある。また、通気孔の体積は孔径と可撓性積層体の厚さ0.5〜2.0mmとから0.098〜3.53mm3/個である。さらにこれらの通気孔の内壁断面の層構造は、熱可塑性樹脂層/繊維布帛層/熱可塑性樹脂層として、通気孔の配置(千鳥や角の規則的整列、またはランダム)において、少なくとも互いに隣接する通気孔同士が繊維布帛層を介在して通気連続することが音響の拡散による減衰効果のために効果的に作用する。
具体的に通気孔の孔径0.5φmmの場合、例えば、最少孔数90(タテ列9×ヨコ列10)個/inch2、最小開孔率2.73%〜最多孔数400(タテ列20×ヨコ列20)個/inch2、最大開孔率12.15%の範囲が好ましく、また通気孔の孔径1.5φmmの場合、例えば、最少孔数10個/inch2、開孔率2.73%〜最多孔数42個(タテ列6×ヨコ列7)/inch2、開孔率11.5%の範囲が好ましく、さらに孔径0.5φmmの通気孔と孔径1.5φmmの通気孔の併用、孔径0.5φmm、1.0φmm、1.5φmmの通気孔の併用であってもよい。このようにして通気孔が設けられた積層体は、通気孔が共鳴孔として反響減衰効果に働くと同時に、共鳴孔の断層構造を、熱可塑性樹脂層/繊維布帛(通気性)/熱可塑性樹脂層、とすることによって、通気孔に入射した音波が繊維布帛内部に伝播すること、さらに隣接する通気孔と通気連続することによって、より音響減衰効果を大きいものとする。通気度(JIS L1096:フラジール法)1〜50cc/cm2/秒を満たすことが反響抑止効果及び音響減衰効果に優れ好ましい。通気度が1cc/cm2/秒未満だと反響抑止効果を悪くすることがあり、50cc/cm2/秒を超えると吸音効果を悪くすることがある。
これらの通気孔は、その立体形状が円筒状〜略円筒形の空間で、1つの通気孔の体積を0.098〜3.53mm3とし、その円筒形空間側部、すなわち通気孔形成による可撓性積層体の断層構造を、熱可塑性樹脂層/繊維布帛(通気性)/熱可塑性樹脂層、とする手段は、繊維布帛の両面に熱可塑性樹脂フィルム(シート)を積層一体化した後に、機械的な(熱)針突刺、ポンチ(punch)窄孔加工など、及び炭酸ガスレーザーによる窄孔加工が挙げられ、窄孔加工がなされた後、繊維布帛の繊維の一部が物理的にほつれ戻りを生じて通気孔の一部を塞ぐものであっても本発明の吸音天井膜において吸音効果を阻害するものではない。
本発明の吸音天井膜に用いる繊維布帛の繊維種は、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、バサルト繊維、炭素繊維などの無機繊維を含む糸条が不燃性付与目的に使用でき、不燃性に及ばないものの、より高度の難燃化、高耐熱性付与の目的には、アラミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラベンズアミド繊維、パラフェニレンオキシジフェニレンテレフタルアミド共重合体繊維などの全芳香族ポリアミド繊維)、ポリアリレート繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリベンゾチアゾール繊維及びポリエーテルエーテルケトン繊維などの耐熱性高分子繊維を用いることができ、これらは前述の無機繊維と混紡または混織して用いてもよい。また綿などセルロース系繊維の水酸基に対して、ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化などの化学変性処理を施した不燃化セルロース紡績糸を用いることもできるが、汎用的には、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維(PET、PBT、PNT)、ナイロン繊維、ビニロン繊維などが使用できる。
本発明の吸音天井膜に用いる繊維布帛の織り組織は、平織物(経糸と緯糸とも最少2本ずつ用いた最小構成単位)、綾織物(経糸と緯糸とも最少3本ずつ用いた最小構成単位:3枚斜文、4枚斜文、5枚斜文、6枚斜文、8枚斜文など)、朱子織物(経糸と緯糸とも最少5本ずつ用いた最小構成単位:2飛び、3飛び、4飛び、5飛びなどの正則朱子)、変化平織物(斜子織:七子、魚子、並子、バスケット織、パナマ織)・(畝織:畦織、リブ織)、変化綾織物(急斜文、緩斜文、山形斜文、破れ斜文、曲がり斜文、杉綾、飾斜文、昼夜斜文、飛び斜文)、変化朱子織物(不規則朱子、重ね朱子、拡げ朱子、昼夜朱子)、もじり織物(模紗織物、絽織物)、三軸織物(斜子織:七子、魚子、並子、バスケット織、パナマ織)、四軸織物(斜子織:七子、魚子、並子、バスケット織、パナマ織)などを任意に使用できる。
上述の繊維布帛を構成する糸条要素には、フィラメント直径が1〜10μm、フィラメント単糸0.1〜10デニール、マルチフィラメント繊度69〜2223dtex(62〜2000デニール)、特に138〜1112dtex(124〜1000デニール)のマルチフィラメントで、フィラメント数50〜500本、特に100〜300本で集束して10〜40回/mの弱撚糸、または41〜200回/mの普通撚糸に束ねた糸条が通気拡散性に優れ、さらに嵩高糸条だとより通気拡散性に優れ、それによって効果的な吸音性を発現する。嵩高糸条は、空気加工糸(タスラン加工糸、インターレース加工糸、空気精紡糸など)またはウーリー加工糸が挙げられる。より具体的には、マルチフィラメント糸条の製造時に、フィラメントの開繊(解繊)混繊をタスランノズルによるエアージェット交絡により行ない、乱過流の渦中で巻き込みと絡みを強制することでランダムルーズに絡め、ループ、渦巻きコイル、や結び目を多数形成することで嵩高化したタスラン加工糸が好ましい。マルチフィラメント芯糸の開繊に、マルチフィラメント鞘糸の開繊を立体的に絡めてルーズな絡みを多数形成したコアヤーン形態であってもよい。また、嵩高マルチフィラメント糸条として、合成繊維によるマルチフィラメント糸条を加撚(仮撚または交仮撚)した状態でヒートセットし、これを解撚して得られる捲縮性のウーリー加工糸(仮撚・交仮撚加工糸)でもよい。これらタスラン加工糸やウーリー加工糸は2種以上の供給糸を用い、供給糸の特性(異繊度、異形、異収縮、異捲縮)とフィード率の制御によって、任意に嵩高性をコントロールすることができる。本発明において嵩高糸はタスラン加工糸が特に好ましい。また嵩高糸は、上記嵩高糸1本と、非嵩高マルチフィラメントヤーン(汎用のマルチフィラメントヤーン)1本とを束ねて10〜100回/mの撚りを掛けたタスラン合撚糸(双糸)、あるいは上記嵩高糸2本と、非嵩高マルチフィラメントヤーン(汎用のマルチフィラメントヤーン)1本とを束ねて10〜100回/mの撚りを掛けたタスラン合撚糸(三子撚糸)であってもよい。
上述の繊維布帛は、これらマルチフィラメント嵩高糸条を、経糸及び緯糸として各々1インチ間18〜46本打込んで得られる質量100〜300g/m2の織物、経糸及びバイアス糸として各々1インチ間16〜42本打込んで得られる質量125〜350g/m2の三軸織物、経糸、緯糸、バイアス糸として各々1インチ間16〜42本打込んで得られる質量150〜400g/m2の四軸織物で、目抜け空隙率0〜5%の織物仕様が不燃性に優れている。嵩高糸条は繊維布帛を形成する経糸条、及び緯糸条の両方に用いた平織物、綾織物、朱子織物、二重織物、三重織物など、経糸条、または緯糸条の一方のみを嵩高糸条で構成した平織物、綾織物、朱子織物など、及び二重織物や三重織物などの多重織物が使用できる。さらに三軸嵩高織物において、経糸条、及びバイアス糸条の少なくとも一方に嵩高糸条を用いたもの、同様に四軸嵩高織物において、経糸条、緯糸条及びバイアス糸条の少なくとも一方に嵩高糸条を用いたものであってもよい。これらの嵩高織物は単位体積(見掛け体積)当たり空気を5〜20%(0.05〜0.2cc/cm3)含む通気拡散性のものが本発明の吸音天井膜の吸音性向上のために好ましい。空気含有率は水中に特定体積(例えば1cm3)の嵩高織物を沈めた時に浮上する気泡を水上置換法で捕集し、特定体積(例えば1cm3)に対する気泡総和体積の占有率として求めることができる。
繊維布帛を被覆する熱可塑性樹脂層に用いる熱可塑性樹脂は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂(塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーの単独重合体の他、塩化ビニルモノマーと共重合し得る他のモノマー類との共重合体、及びグラフト重合体を含む)、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエステル系共重合体樹脂、フッ素樹脂、フッ素系共重合体樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。特に塩化ビニル樹脂に可塑剤を含み、さらに難燃剤粒子を含み、比重1.3以上、比重2.5以下として構成した熱可塑性樹脂層だと防炎性が付与され、かつ防音減衰効果が発現されるので好ましい。可塑剤成分として、アジピン酸ジアルキルエステル類、セバシン酸ジアルキルエステル類、フタル酸ジアルキルエステル類、イソフタル酸ジアルキルエステル類、テレフタル酸ジアルキルエステル類,シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル類、芳香族リン酸エステル類、塩素化パラフィン類、ポリエステルオリゴマー類などを、塩化ビニル樹脂100質量部に対して30〜100質量部配合して得た軟質塩化ビニル樹脂層が好ましい。
熱可塑性樹脂層に用いる難燃剤粒子は、a).金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体(リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類)、ポリリン酸アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウム誘導体化合物などのリン原子含有化合物、b).(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及び、これらの誘導体化合物などの窒素原子含有化合物(メラミンシアヌレート)、c).ケイ素化合物、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、及び無機系化合物複合体などの無機系化合物、d).臭素置換有機化合物、塩素置換有機化合物などの公知の難燃剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂層の厚さは1層あたり0.1mm〜0.5mm、特に0.12mm〜0.25mm、質量150〜750g/m2が好ましい。これらの熱可塑性樹脂層はカレンダー成型、Tダイ押出成型による0.1mm〜0.5mmのフィルムまたはシートが使用でき、必要に応じて顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、遮熱顔料、光拡散ビーズ、紫外線吸収剤、耐光安定剤、防黴剤、抗菌剤、防虫剤、帯電防止剤、消臭剤、香料など公知の添加剤を任意の量で含むことができる。
本発明の吸音天井膜において、その片面には厚さ1〜5mmの、1).通気性不織布層、または2).通気性発泡層が形成されたものであってもよく、この通気性発泡層及び通気性発泡層の形成によって更に吸音性を向上させることができる。1).通気性不織布には、段落〔0017〕に記載したマルチフィラメントのカットファイバー(繊度1.5〜121dtex、繊維長10〜150mm)を、スパンボンド法、乾式法、湿式法などによってウエブ(紡毛)化したフリ−スを、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、サーマルボンド法などの方法により繊維間結合させてプレスしたものが使用できる。特に防炎性の強化の目的で、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などを使用した不織布、ポリエステル繊維、ナイロン繊維など汎用合成繊維を難燃化した不織布が好ましく、さらに天然繊維のセルロースの水酸基を化学変性処理した難燃化和紙を使用することもできる。2).通気性発泡層は、厚さ1〜5mm、密度0.35〜0.75g/cm3に形成された通気度(JIS L1096:フラジール法)0.1〜10cc/cm2/秒を有し、吸音天井膜本体の有する通気孔の一部と連続することでの更なる通気性を有することが反響減衰効果向上の附帯層として好ましい。通気性発泡層の形成後に完全貫通の機械的な(熱)針窄孔加工、パンチ(punch)窄孔加工、または炭酸ガスレーザーによる完全貫通の窄孔加工を施しての通気孔の形成であってもよい。通気性発泡層には段落〔0022〕に記載の難燃剤粒子を配合したものが防炎規格適合のために好ましい。通気性発泡層は、可塑剤を含む軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾルを用い、これに整泡剤としてシリコーンオイルを1〜5質量部含有する粘重なゾル組成物を攪拌機(ステンレスや金属を数本組み合わせて茶筅形にしたブレードを装着)により機械攪拌して気泡を強制的に巻き込んだホイップをコーティングして形成するか、化学発泡剤含有組成物形成層(コーティング層、またはフィルム層)を熱分解ガス化させ、ガス発生痕として生成した気泡を含ませたものなどが例示できる。
本発明の吸音天井膜の施工は、幅1m〜3mの任意、長さ1m〜50mの任意の規格シートを自在に組み合わせ、通気孔形成面側を音響の入射面として内装施工する。特に1).1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜5m程度の吸音天井膜は、四角形、長方形、三角形、菱形、などの形態でアルミフレーム(押材)により吸音天井膜全周を固定したパネル同士の組み合わせで、天井梁システムに固定することや、吊り下げることでフラット天井や幾何学立体天井に使用でき、2).また1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜10m程度の長尺吸音天井膜は幅方向の2辺を天井梁やアルミ押材に固定し、張力を掛けずにを長尺吸音天井膜の自重で弛んだ半円弧状態に懸垂し、多数の長尺吸音天井膜を連ねて半円弧の並びを表現したデザインアート天井に使用でき、3).また1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜5m程度の吸音天井膜は、四角形、長方形、三角形、菱形、などの形態で吸音天井膜の外周のポイント毎にハトメ、ターンバックル、取付金具、ジョイントナットなどを設け、ロープやバネを用いて天井梁システムにサスペンジョン固定することで張力をコントロールして得たドレープを利用するデザインアート天井に使用することができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。先ずは本発明の吸音天井膜の作製及び評価方法を述べる。
〈吸音率〉
JIS A1409(残響反射法)によるNoise Reduction Coefficient(NRC値)を250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hzの各吸音率の算術平均値を求めた。
〈通気度〉
JIS L1096 8.27.1 A法に定めるフラジール形法により求めた。
〈高周波溶着接合性〉
2枚の膜材の端部同士を3cm幅平行に重ね合わせ、この重ね合わせ部に3cm幅×30cm長のウエルドバー(平刃)を装着した高周波ウエルダー融着機(出力7KW)を用い、陽極電流1.0Aで高周波融着接合を行い接合体とした。これより融着接合部を重ね合わせ幅3cmを試験片中央に含む、3cm幅×30cm長の試験片を採取し、JIS L1096の引張試験を行い、接合部の破壊強度を測定し、本体破壊による強度に対する百分率を求め、75%以上を適合とした。
〈吸音率〉
JIS A1409(残響反射法)によるNoise Reduction Coefficient(NRC値)を250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hzの各吸音率の算術平均値を求めた。
〈通気度〉
JIS L1096 8.27.1 A法に定めるフラジール形法により求めた。
〈高周波溶着接合性〉
2枚の膜材の端部同士を3cm幅平行に重ね合わせ、この重ね合わせ部に3cm幅×30cm長のウエルドバー(平刃)を装着した高周波ウエルダー融着機(出力7KW)を用い、陽極電流1.0Aで高周波融着接合を行い接合体とした。これより融着接合部を重ね合わせ幅3cmを試験片中央に含む、3cm幅×30cm長の試験片を採取し、JIS L1096の引張試験を行い、接合部の破壊強度を測定し、本体破壊による強度に対する百分率を求め、75%以上を適合とした。
〔実施例1〕
〈繊維布帛1〉
ポリエステルマルチフィラメント糸条(フィラメント数192本:750デニール)を経糸条群、及び緯糸条群として、経糸条群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸条群は1インチ間30本の織組織とする平織物を用いた。この繊維布帛1は質量160g/m2、目抜け空隙率1.5%、空気含有率2.2%であった。
〈積層体〉
下記配合1の軟質塩化ビニル樹脂組成物を175℃の2本ロールで熱溶融混練し、180℃設定の逆L型カレンダーロールを通過させて厚さ0.15mmの圧延フィルムを得た。このフィルムを熱可塑性樹脂層として繊維布帛1の両面に175℃で熱ラミネートして積層体シートを得た。この積層体シートに熱針による通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施し、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.56mm、質量610g/m2、通気度16cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.60の積層体シートを得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(比重1.48)
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 55質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合化合物(安定剤) 2質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(難燃剤) 5質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
酸化チタン(白顔料) 2質量部
〈繊維布帛1〉
ポリエステルマルチフィラメント糸条(フィラメント数192本:750デニール)を経糸条群、及び緯糸条群として、経糸条群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸条群は1インチ間30本の織組織とする平織物を用いた。この繊維布帛1は質量160g/m2、目抜け空隙率1.5%、空気含有率2.2%であった。
〈積層体〉
下記配合1の軟質塩化ビニル樹脂組成物を175℃の2本ロールで熱溶融混練し、180℃設定の逆L型カレンダーロールを通過させて厚さ0.15mmの圧延フィルムを得た。このフィルムを熱可塑性樹脂層として繊維布帛1の両面に175℃で熱ラミネートして積層体シートを得た。この積層体シートに熱針による通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施し、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.56mm、質量610g/m2、通気度16cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.60の積層体シートを得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(比重1.48)
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 55質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合化合物(安定剤) 2質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(難燃剤) 5質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
酸化チタン(白顔料) 2質量部
〔実施例2〕
実施例1で用いた繊維布帛1を下記繊維布帛2に変更した以外は、実施例1と同様として通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.58mm、質量610g/m2、通気度20cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.63の積層体シートを得た。
〈繊維布帛2〉
ポリエステルマルチフィラメント(フィラメント数192本:750デニール)で、フィラメント同士がルーズに交絡した状態でZ撚25回/mを施した嵩高(タスラン)糸を経糸条群、及び緯糸条群として、経糸条群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸条群は1インチ間30本の織組織とする嵩高平織物を用いた。この繊維布帛2は質量160g/m2、目抜け空隙率0.5%、空気含有率8.3%であった。
実施例1で用いた繊維布帛1を下記繊維布帛2に変更した以外は、実施例1と同様として通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.58mm、質量610g/m2、通気度20cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.63の積層体シートを得た。
〈繊維布帛2〉
ポリエステルマルチフィラメント(フィラメント数192本:750デニール)で、フィラメント同士がルーズに交絡した状態でZ撚25回/mを施した嵩高(タスラン)糸を経糸条群、及び緯糸条群として、経糸条群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸条群は1インチ間30本の織組織とする嵩高平織物を用いた。この繊維布帛2は質量160g/m2、目抜け空隙率0.5%、空気含有率8.3%であった。
〔実施例3〕
実施例1で用いた繊維布帛1を下記繊維布帛3に変更した以外は、実施例1と同様として通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.55mm、質量770g/m2、通気度14cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.63の積層体シートを得た。
〈繊維布帛3〉
無アルカリガラス繊維(9μmフィラメント数400本)にZ撚25回/mを施した糸条75番手(687dtex)単糸を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸群は1インチ間30本の織組織とする平織物を用いた。この繊維布帛3の質量は320g/m2、目抜け空隙率は0.5%、空気含有率1.3%であった。
実施例1で用いた繊維布帛1を下記繊維布帛3に変更した以外は、実施例1と同様として通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.55mm、質量770g/m2、通気度14cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.63の積層体シートを得た。
〈繊維布帛3〉
無アルカリガラス繊維(9μmフィラメント数400本)にZ撚25回/mを施した糸条75番手(687dtex)単糸を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸群は1インチ間30本の織組織とする平織物を用いた。この繊維布帛3の質量は320g/m2、目抜け空隙率は0.5%、空気含有率1.3%であった。
〔実施例4〕
実施例1で用いた繊維布帛1を下記繊維布帛4に変更した以外は、実施例1と同様として通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.57mm、質量770g/m2、通気度20cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.65の積層体シートを得た。
〈繊維布帛4〉
無アルカリガラス繊維(9μmフィラメント数400本)からなり、フィラメント同士がルーズに交絡した状態でZ撚25回/mを施した嵩高(タスラン)糸75番手(687dtex)単糸を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸群は1インチ間30本の織組織とする嵩高平織物を用いた。この繊維布帛4の質量は320g/m2、目抜け空隙率は0%、空気含有率7.4%であった。
実施例1で用いた繊維布帛1を下記繊維布帛4に変更した以外は、実施例1と同様として通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.57mm、質量770g/m2、通気度20cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.65の積層体シートを得た。
〈繊維布帛4〉
無アルカリガラス繊維(9μmフィラメント数400本)からなり、フィラメント同士がルーズに交絡した状態でZ撚25回/mを施した嵩高(タスラン)糸75番手(687dtex)単糸を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸群は1インチ間30本の織組織とする嵩高平織物を用いた。この繊維布帛4の質量は320g/m2、目抜け空隙率は0%、空気含有率7.4%であった。
〔実施例5〕
実施例2の通気孔(完全貫通)の窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8)個/inch2、開孔率7.79%)を、窄孔(孔径0.6φmm、孔数196(タテ列14×ヨコ列14の等間隔配置)個/inch2、開孔率8.57%)に変更した以外は実施例2と同様として、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.56mm、質量610g/m2、通気度10cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.61の積層体シートを得た。
実施例2の通気孔(完全貫通)の窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8)個/inch2、開孔率7.79%)を、窄孔(孔径0.6φmm、孔数196(タテ列14×ヨコ列14の等間隔配置)個/inch2、開孔率8.57%)に変更した以外は実施例2と同様として、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.56mm、質量610g/m2、通気度10cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.61の積層体シートを得た。
〔実施例6〕
実施例4の通気孔(完全貫通)の窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を、窄孔1(孔径0.6φmm、孔数81(タテ列9×ヨコ列9の等間隔配置)個/inch2)と窄孔2(孔径1.5φmm、孔数25(タテ列5×ヨコ列5の等間隔配置)個/inch2)との混成配置(開孔率10.38%)に変更した以外は実施例4と同様として、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.57mm、質量770g/m2、通気度24cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.66の積層体シートを得た。
実施例4の通気孔(完全貫通)の窄孔(孔径1.0φmm、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を、窄孔1(孔径0.6φmm、孔数81(タテ列9×ヨコ列9の等間隔配置)個/inch2)と窄孔2(孔径1.5φmm、孔数25(タテ列5×ヨコ列5の等間隔配置)個/inch2)との混成配置(開孔率10.38%)に変更した以外は実施例4と同様として、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層とする、厚さ0.57mm、質量770g/m2、通気度24cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.66の積層体シートを得た。
〔実施例7〕
実施例2の積層体の片面に、下記不織布を熱接着し、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス不織布層とする、厚さ2.58mm、質量910g/m2、通気度14cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.70の積層体シートを得た。
〈不織布〉
Eガラスからなるガラス繊維チョップドストランド(ガラス繊維集束本数300本、繊維径15.8μm、繊維長25mm、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)1質量%酢酸水溶液サイジング)を湿式抄造し、エポキシ樹脂をバインダーとして10質量%を含むガラス不織布(目付:300g/m2、厚さ:2mm)を使用した。
実施例2の積層体の片面に、下記不織布を熱接着し、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ポリエステル繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス不織布層とする、厚さ2.58mm、質量910g/m2、通気度14cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.70の積層体シートを得た。
〈不織布〉
Eガラスからなるガラス繊維チョップドストランド(ガラス繊維集束本数300本、繊維径15.8μm、繊維長25mm、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)1質量%酢酸水溶液サイジング)を湿式抄造し、エポキシ樹脂をバインダーとして10質量%を含むガラス不織布(目付:300g/m2、厚さ:2mm)を使用した。
〔実施例8〕
実施例4の積層体の片面に、下記通気性発泡層を形成し、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層/通気性発泡層とする、厚さ3.57mm、質量995g/m2、通気度20cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.72の積層体シートを得た。
〈通気性発泡層〉
下記配合3の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を機械攪拌して得たフォームを3mm厚に塗布し、185℃の電気炉内で1分間ゲル化処理を施して、実施例4の積層体の片面に通気性発泡層(密度0.33g/cm3)が225g/m2設けられた質量995g/m2の積層体を得た。次に実施例1と同様にして、この積層体に熱針による通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0mmφ、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した。
〔配合3〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物
乳化重合塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 65質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(安定剤) 5質量部
酸化アンチモン(難燃剤) 15質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(難燃剤) 5質量部
バリウム亜鉛複合化合物(安定剤) 2質量部
ジメチルシリコーンオイル(整泡剤) 2質量部
酸化チタン(白顔料) 2質量部
イソシアヌレート変性トリイソシアネート(TDIの3量体) 3質量部
ジエチレングリコール(ポリオール) 3質量部
※イソシアヌレート変性トリイソシアネートの付加反応により積層体との密着性を向上
すると同時に、ジエチレングリコールとの重合により軟質塩化ビニル樹脂内部にポリウ
レタン架橋構造を生成することで、通気性発泡層の樹脂強度と形状保持性を強固とする。
実施例4の積層体の片面に、下記通気性発泡層を形成し、通気孔の内壁断面の層構造を、軟質塩化ビニル樹脂層/ガラス繊維布帛層/軟質塩化ビニル樹脂層/通気性発泡層とする、厚さ3.57mm、質量995g/m2、通気度20cc/cm2/秒、残響反射法によるNRC値0.72の積層体シートを得た。
〈通気性発泡層〉
下記配合3の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を機械攪拌して得たフォームを3mm厚に塗布し、185℃の電気炉内で1分間ゲル化処理を施して、実施例4の積層体の片面に通気性発泡層(密度0.33g/cm3)が225g/m2設けられた質量995g/m2の積層体を得た。次に実施例1と同様にして、この積層体に熱針による通気孔(完全貫通)の機械的窄孔(孔径1.0mmφ、孔数64(タテ列8×ヨコ列8の等間隔配置)個/inch2、開孔率7.79%)を施した。
〔配合3〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物
乳化重合塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 65質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(安定剤) 5質量部
酸化アンチモン(難燃剤) 15質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(難燃剤) 5質量部
バリウム亜鉛複合化合物(安定剤) 2質量部
ジメチルシリコーンオイル(整泡剤) 2質量部
酸化チタン(白顔料) 2質量部
イソシアヌレート変性トリイソシアネート(TDIの3量体) 3質量部
ジエチレングリコール(ポリオール) 3質量部
※イソシアヌレート変性トリイソシアネートの付加反応により積層体との密着性を向上
すると同時に、ジエチレングリコールとの重合により軟質塩化ビニル樹脂内部にポリウ
レタン架橋構造を生成することで、通気性発泡層の樹脂強度と形状保持性を強固とする。
実施例1〜6の積層体は、いずれも厚さ0.55〜0.58mm程度の可撓性積層体の全面に孔径0.6、1.0、1.5φmm程度の通気孔を多数有し、通気孔の内壁断面の層構造を、熱可塑性樹脂層/繊維布帛層/熱可塑性樹脂層として、これら互いに隣接する通気孔同士が繊維布帛層を介在して通気連続したものとすることで、通気孔を共鳴孔とする反響減衰作用としながら、繊維布帛を通気拡散層として作用させて音響減衰させるという吸音の相乗効果の発現が明らかとなった。さらに実施例2の天井膜では繊維布帛層にマルチフィラメント嵩高糸条を含むことによって通気拡散性が向上したことで、実施例1の天井膜よりも吸音効果に優れ、同様に実施例4の天井膜では繊維布帛層にマルチフィラメント嵩高糸条を含むことによって通気拡散性が向上したことで、実施例3の天井膜よりも吸音効果に優れていた。また実施例7の天井膜は、実施例2の積層体(厚さ0.58mm)の片面に不織布層(厚さ2.0mm)を追加したことで、さらに吸音効果が向上し、同様に実施例8の天井膜は、実施例4の積層体(厚さ0.57mm)の片面に通気発泡層(厚さ3.0mm)を追加したことで、さらに吸音効果が向上することを確認した。
〔比較例1〕
実施例1の積層体(未窄孔)に対する熱針による通気孔(完全貫通)の窄孔を、(孔径0.25φmm、孔数625(タテ列25×ヨコ列25の等間隔配置)個/inch2、開孔率4.75%)に変更した以外は実施例1と同様として、質量610g/m2、通気度3cc/cm2/秒の積層体を得た。通気孔の孔径を1.0φmmから0.25φmmにサイズダウンしたことで吸音効果に劣り、残響反射法によるNRC値が0.60から0.21に低減した。
実施例1の積層体(未窄孔)に対する熱針による通気孔(完全貫通)の窄孔を、(孔径0.25φmm、孔数625(タテ列25×ヨコ列25の等間隔配置)個/inch2、開孔率4.75%)に変更した以外は実施例1と同様として、質量610g/m2、通気度3cc/cm2/秒の積層体を得た。通気孔の孔径を1.0φmmから0.25φmmにサイズダウンしたことで吸音効果に劣り、残響反射法によるNRC値が0.60から0.21に低減した。
〔比較例2〕
実施例1の積層体(未窄孔)に対する熱針による通気孔(完全貫通)の窄孔を、(孔径5.0φmm、孔数4(タテ列2×ヨコ列2の等間隔配置)個/inch2、開孔率12.1%)に変更した以外は実施例1と同様として、質量610g/m2、通気度85cc/cm2/秒の積層体を得た。通気孔の孔径を1.0φmmから5.0φmmにサイズアップしたことで吸音効果に劣り、残響反射法によるNRC値が0.60から0.13に低減した。
実施例1の積層体(未窄孔)に対する熱針による通気孔(完全貫通)の窄孔を、(孔径5.0φmm、孔数4(タテ列2×ヨコ列2の等間隔配置)個/inch2、開孔率12.1%)に変更した以外は実施例1と同様として、質量610g/m2、通気度85cc/cm2/秒の積層体を得た。通気孔の孔径を1.0φmmから5.0φmmにサイズアップしたことで吸音効果に劣り、残響反射法によるNRC値が0.60から0.13に低減した。
〔比較例3〕
実施例1の積層体から繊維布帛1を省略し、配合1の軟質塩化ビニル樹脂組成物による厚さ0.15mmの圧延フィルム4枚からなる熱溶着積層体(厚さ0.6mm、質量900g/m2)とし、実施例1と同様の機械的窄孔を施して、通気度13cc/cm2/秒の積層体シートを得た。音響拡散効果を担う繊維布帛1を省略したことで残響反射法によるNRC値が0.60から0.16に低減した。
実施例1の積層体から繊維布帛1を省略し、配合1の軟質塩化ビニル樹脂組成物による厚さ0.15mmの圧延フィルム4枚からなる熱溶着積層体(厚さ0.6mm、質量900g/m2)とし、実施例1と同様の機械的窄孔を施して、通気度13cc/cm2/秒の積層体シートを得た。音響拡散効果を担う繊維布帛1を省略したことで残響反射法によるNRC値が0.60から0.16に低減した。
〔比較例4〕
実施例1に用いた繊維布帛1を下記繊維布帛5に変更した以外は実施例1と同様として、実施例1と同様の機械的窄孔を施してなる、厚さ0.56mm、質量640g/m2、通気度13cc/cm2/秒の積層体を得た。音響拡散効果を担う繊維布帛1の有する空気層(通気層)をウレタン樹脂で置換して空気層(通気性)を排除したことで残響反射法によるNRC値が0.60から0.18に低減した。
〈繊維布帛5〉
繊維布帛1を下記配合4のウレタンエマルジョン溶液組成物の液浴中に浸漬し、液浴から引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、120℃の電熱炉で1分間乾燥させて質量190g/m2、目抜け空隙率は0.5%、空気含有率0.2%の繊維布帛5を得た。
〔配合4〕ウレタン樹脂組成物
ウレタン樹脂エマルジョン(固形分40質量%) 100質量部
水性ブロックイソシアネート(HDIのイソシアヌレート3量体) 2質量部
実施例1に用いた繊維布帛1を下記繊維布帛5に変更した以外は実施例1と同様として、実施例1と同様の機械的窄孔を施してなる、厚さ0.56mm、質量640g/m2、通気度13cc/cm2/秒の積層体を得た。音響拡散効果を担う繊維布帛1の有する空気層(通気層)をウレタン樹脂で置換して空気層(通気性)を排除したことで残響反射法によるNRC値が0.60から0.18に低減した。
〈繊維布帛5〉
繊維布帛1を下記配合4のウレタンエマルジョン溶液組成物の液浴中に浸漬し、液浴から引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、120℃の電熱炉で1分間乾燥させて質量190g/m2、目抜け空隙率は0.5%、空気含有率0.2%の繊維布帛5を得た。
〔配合4〕ウレタン樹脂組成物
ウレタン樹脂エマルジョン(固形分40質量%) 100質量部
水性ブロックイソシアネート(HDIのイソシアヌレート3量体) 2質量部
本発明によれば、建築物の天井に設置される天井面積構成部材、または天井面積構成部材付帯物としての膜材料に適し、反響抑止効果と音響減衰効果とに優れ、しかも高周波融着による縫製の簡便性を兼備するので、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎ロビー、空港ロビー、ショッピングモール吹き抜けなどの大型施設の大面積天井膜を施工するために行う、材料同士の接合による広幅化、長尺化の作業を容易とし、しかも接合部強度にも優れる利点を有するものであった。
1:可撓性積層体(吸音天井膜)
2:通気孔
2−1:熱可塑性樹脂層
2−2:繊維布帛(通気拡散層)
3:通気性不織布層または通気性発泡層
2:通気孔
2−1:熱可塑性樹脂層
2−2:繊維布帛(通気拡散層)
3:通気性不織布層または通気性発泡層
Claims (5)
- 厚さ0.5〜2.0mmの可撓性積層体の全面に孔径0.5〜1.5φmmの通気孔が散在して多数形成、配置され、前記通気孔の内壁断面の層構造が、熱可塑性樹脂層/繊維布帛層/熱可塑性樹脂層、を有し、前記通気孔の配置において、少なくとも互いに隣接する通気孔同士が前記繊維布帛層を介在して通気連続することを特徴とする吸音天井膜。
- 前記通気孔の面積総和が前記積層体の単位面積当たりに占める開孔率2.5〜12.5%を有している請求項1に記載の吸音天井膜。
- 前繊維布帛層を成す繊維布帛が、マルチフィラメント嵩高糸条を含んでいる請求項1または2に記載の吸音天井膜。
- 前記熱可塑性樹脂層が軟質塩化ビニル樹脂を含み、かつ前記通気性布帛層がガラス繊維糸条、またはポリエステル繊維糸条を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の吸音天井膜。
- 前記可撓性積層体の片面に、通気性不織布層または通気性発泡層が形成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の吸音天井膜。
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JP (1) | JP2016186534A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019040137A (ja) * | 2017-08-28 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | 防音構造、光学デバイス、及び電子デバイス |
JP2020055251A (ja) * | 2018-10-03 | 2020-04-09 | ユニチカ株式会社 | シート、膜天井、光膜天井 |
JP7395441B2 (ja) | 2020-07-31 | 2023-12-11 | フクビ化学工業株式会社 | 多孔質透水シート |
JP7412014B2 (ja) | 2021-07-27 | 2024-01-12 | 平岡織染株式会社 | 産業用複合シート |
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2015
- 2015-03-27 JP JP2015066155A patent/JP2016186534A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019040137A (ja) * | 2017-08-28 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | 防音構造、光学デバイス、及び電子デバイス |
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JP7223394B2 (ja) | 2018-10-03 | 2023-02-16 | ユニチカ株式会社 | シート、膜天井、光膜天井 |
JP7395441B2 (ja) | 2020-07-31 | 2023-12-11 | フクビ化学工業株式会社 | 多孔質透水シート |
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