JP2016182307A - 医療用複室容器 - Google Patents
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Abstract
Description
医療用プラスチック容器を用いる医療用容器は、Tダイ法やインフレーション法でシート状やチューブ状にされた後、熱融着等によって袋状の容器本体を形成し、開口部より薬液を充填した後、開口部を密封シールし、高圧蒸気滅菌等により滅菌されることによって製造される。
そして、近年では、オートクレーブ滅菌法として、121℃の滅菌温度にて行うオーバーキル法が推奨されるようになった。
本発明の目的は、3層構造を有する熱可塑性オレフィン系樹脂製のシートを用い、透明性、柔軟性、良好な耐低温衝撃性、ヒートシール特性を有し、かつ、オーバーキル法を用いた高温高圧蒸気滅菌を行っても、ヒートシール部における中間層と内面層間剥離および中間層内における層内破断、それによる破袋を原因とした収納する薬液の液漏れが生じることが極めて少ない医療用複室容器を提供するものである。
(1) 熱可塑性樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、前記薬剤室の下端部と連通するように前記容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有し、さらに、前記薬剤室は、剥離可能な仕切部により内部空間が第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分され、かつ、前記排出ポートが、前記容器本体に前記第1の薬剤室の下端部と連通するように固定されている医療用複室容器であって、
前記シートは、内面層と、外面層と、前記内面層と前記外面層間に位置する中間層とを備える熱可塑性オレフィン系樹脂製の多層構造シートであり、
前記内面層は、溶融温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、溶融温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されており、
前記外面層は、メタロセン系触媒を用いて重合された第1のエチレン系重合体により形成されており、
前記中間層は、前記外面層形成材料および前記内面層の形成材料より曲げ弾性率が低いメタロセン系触媒を用いて重合された第2のエチレン系重合体により形成されており、
前記容器本体は、前記シートを前記内面層が向かい合うように積層し、周縁部をヒートシールすることにより形成され、かつ、周縁部に2つの前記内面層からなる内面層融着部を有しており、
そして、前記ヒートシールされた周縁部における前記内面層融着部の肉厚と各前記シートにおける前記中間層の肉厚との比が、1:14〜2:1である医療用複室容器。
(3) 前記第1のエチレン系重合体および前記第2のエチレン系重合体は、メタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である上記(1)または(2)に記載の医療用複室容器。
(4) 前記第1のエチレン系重合体は、メルトマスフローレートが1.0g/10分〜1.2g/10分(JIS K6922−1)であり、密度が921〜940kg/m3であり、溶融温度が129〜131℃、曲げ弾性率(JIS K6922−2,ISO1872−2)が、150〜500MPaであるメタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(5) 前記第2のエチレン系重合体は、メルトマスフローレートが1.3g/10分〜1.5g/10分(JIS K6922−1)であり、密度が910〜920kg/m3であり、溶融温度が125〜128℃、曲げ弾性率(JIS K6922−2,ISO1872−2)が、150〜400MPaであり、かつ前記曲げ弾性率の値が、使用する前記第1のエチレン系重合体より小さいメタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(6) 前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、メルトマスフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が4/10分〜10/10分であり、密度が850〜910kg/m3であり、溶融温度が110〜180℃、曲げ弾性率(JIS K7171)が、80〜2000MPaである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(8) 前記中間層は、前記内面層および前記外面層より肉厚である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(9) 前記内面層の肉厚と前記中間層の肉厚の比は、1:14〜2:1である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(10) 前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、前記プロピレン系樹脂として、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)を50〜60wt%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)を、10〜20wt%、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を25〜35wt%含有している上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cm3の範囲にあること
(B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃、2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
図1は、本発明の医療用容器の一実施例の正面図である。なお、図中の上側を「上端」、下側を「下端」として説明する。
本発明の医療用複室容器1は、熱可塑性樹脂組成物により形成されたシート11,12をヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体2と、薬剤室の下端部と連通するように容器本体2にヒートシールされた排出ポート3とを有し、さらに、薬剤室は、内部空間が剥離可能な仕切部9により第1の薬剤室21と第2の薬剤室22に区分され、かつ、排出ポート3が、容器本体に第1の薬剤室の下端部と連通するように固定されている。
内面層は、溶融温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、溶融温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されている。外面層は、メタロセン系触媒を用いて重合された第1のエチレン系重合体により形成されている。中間層は、外面層形成材料および内面層の形成材料より曲げ弾性率が低いメタロセン系触媒を用いて重合された第2のエチレン系重合体により形成されている。
容器本体は、シートを内面層が向かい合うように積層し、周縁部をヒートシールすることにより形成され、かつ、周縁部に2つの内面層からなる内面層融着部を有しており、そして、ヒートシールされた周縁部における内面層融着部の肉厚と各シートにおける中間層の肉厚との比が、1:14〜2:1となっている。
医療用複室容器1は、図1に示すように、軟質バッグ2と、第1の薬剤と、第2の薬剤と、排出ポート3、混注ポート4とを備えている。
軟質バッグ2は、インフレーション成形法により形成した筒状シート、例えばブロー成形法などの種々の方法により製造した筒状シート、さらに、筒状シートの外周部の全周をシールした袋状シート、上下端のみをシールした袋状シート、2枚のシートを積層して、その周縁部をシールし作成した袋状シート、1枚のシートを2つ折りにして、折り曲げ部(側辺部7または8)以外の3辺をシールした袋状シートなど、いずれであってもよい。
なお、この実施例の医療用複室容器1において、側部シール部9bは、中央弱シール部9aより幅が広いものとなっているが、同程度の幅、あるいは狭幅のものとしてもよい。
また、実施例の側部シール部9bは、中央弱シール部9aおよび連通阻害部10より剥離しにくいものとなっている。
このような構成であれば、第2の薬剤室22を圧迫したとき(例えば、押圧したときあるいは絞ったとき)、ワンアクションで連通阻害用弱シール部10が容易に剥離するものとなる。
連通阻害部10は、図1に示す実施例では、脚部が開いた反転したU字(コの字)形状(言い換えれば、短辺が上側となる台形状)に形成されている。また、連通阻害部10は、排出ポート3が底辺にある三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。なお、連通阻害部10が外周縁に角部を有する場合には、角部にエッジが形成されていないことが好ましい。
また、医療用複室容器1は、第1の薬剤室21を圧迫することにより、仕切部9(中央弱シール部9a)の剥離に続いて連通阻害用弱シール部10が剥離するものであってもよい。このようなものであれば、軟質バッグ2の第1の薬剤室21を圧迫し、仕切部9の剥離時の流体の力により、連通阻害用弱シール部10を剥離させることができる。
剥離強度の具体的な測定方法としては、以下のようにして行うことができる。医療用容器を、各測定対象シール部を含む部分を容器の幅方向に10mmの長さに切断して、それぞれの切断片のシール部を引張速度300mm/分で剥離させた際の測定値の平均値である。
また、医療用複室容器1は、連通阻害用弱シール部10の上端と薬剤排出ポートの上端との間の長さ(最短距離)に対する中央弱シール部9aの横方向の長さの比は、0.2〜3であることが好ましく、更に0.5〜2であることが好ましい。特に、0.7〜1.5であることが好ましい。また、連通阻害用弱シール部10の幅(帯幅)は、2〜20mm、特に、4〜12mmであることが好ましい。
軟質バッグ2を構成するシート11,12の厚さは、特に限定されるものではないが、通常は、100〜550μm程度であるのが好ましく、200〜400μm程度であるのがより好ましい。
さらに、外面層の形成に用いられる第1のエチレン系重合体は、メルトマスフローレートが1.0g/10分〜1.2g/10分であり、密度が921〜940kg/m3であり、溶融温度が129〜131℃、曲げ弾性率(JIS K6922−2,ISO1872−2)が、150〜500MPaであるメタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましい。
外面層および中間層の形成に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、α−オレフィンが、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、メチルペンテンであることが好ましい。特に、エチレン−ヘキセン共重合体が好ましい。
上述したように、熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、溶融温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、溶融温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されている。
そして、プロピレン系樹脂は、プロピレン系ブロック重合体であることが好ましく、特に、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)を65〜75wt%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)を、25〜35wt%含有していることが好ましい。
(A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
(B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
排出ポート3は、図1に示すように、軟質バッグ2の下端側シール部6に形成された排出ポート取付部27に取り付けられている。排出ポート取付部27は、下端側シール部6の中心に設けられている。また、医療用複室容器1は、薬液を混注するための混注ポート4を備えている。このようにすることにより、医療用複室容器1に入れられた薬剤以外の成分を使用前に混注することができる。排出ポート3、混注ポート4は、高周波融着、熱融着、超音波融着等により軟質バッグ2に取り付けられている。なお、排出ポート3、混注ポート4としては、公知のものが使用できる。
第1および第2の熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系ブロック共重合体と、エチレン−α−オレフィン共重合体と、ホモポリプロピレン混合物である。具体的には、熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系ブロック共重合体として、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)を50〜60wt%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)を10〜20wt%、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を25〜35wt%含有するものが好ましい。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、上述の条件(B−i)〜(B−iii)を満たすものであることが好ましい。
そして、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)は、(C−i)〜(C−iii)を満たすものであることが好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体組成物の主成分として用いられるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であるプロピレン系ブロック共重合体成分(A)は、高い透明性、柔軟性、及び、耐衝撃性を備える樹脂である。
プロピレン系ブロック共重合体成分(A)は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定(示差走査熱量測定)における融解ピーク温度Tm(A)が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られる。
(2−1)成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)
第1工程で製造される成分(A1)は、プロピレン系ブロック共重合体成分(A)において結晶性を決定する成分であり、成分(A)が耐熱性を発現するためには、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)が比較的高いことが必要である。しかし一方で、Tm(A)が高すぎると柔軟性が不足し、また、ヒートシール特性を制御するためには、後述するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分である第2のプロピレン系ブロック共重合体成分(C)の融解ピーク温度Tm(C)との差が大きいことが必要である。そこで、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)は、125〜135℃の範囲にあることが必要である。
一方、Tm(A)が高いと、耐熱性は良くなるが、柔軟性や透明性が阻害され易くなるばかりでなく、成分(C)の融解ピーク温度Tm(C)との差が小さくなることで、ヒートシールカーブが急激に立ち上がってしまい、多段階の安定的な剥離強度制御が困難となってしまうため、Tm(A)は135℃以下であることが必要であり、好ましくは133℃以下である。
成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)は、エチレン含有量によって制御され、本発明における成分(A1)のエチレン含量E(A1)が1.5〜3.0wt%の範囲である。エチレン含有量が1.5wt%以下の場合には、Tm(A)が高くなりすぎ、また、3.0wt%以上の場合には低くなりすぎる。
プロピレン系ブロック共重合体成分(A)中に占める成分(A1)の割合W(A1)は、成分(A)に耐熱性を付与する成分であるが、W(A1)が多過ぎると柔軟性や耐衝撃性を十分に発揮することが出来ず、また、透明性が損なわれる恐れがある。そこで成分(A1)の割合は60wt%以下であることが必要である。
一方、成分(A1)の割合が少なくなり過ぎると、融解ピーク温度Tm(A)が十分であっても耐熱性が低下し、薬液充填条件下にて、高圧蒸気滅菌した際に、容器に変形が生じたり、融着を起こすといった問題を生じ易くなるため、成分(A1)の割合は50wt%以上でなければならない。
(3−1)成分(A2)中のエチレン含量E(A2)
第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、プロピレン系ブロック共重合体成分(A)の柔軟性と耐衝撃性及び透明性を向上させるのに必要な成分である。一般に、プロピレン−エチレンランダム共重合体においてエチレン含有量が増加することで結晶性は低下し、柔軟性向上効果は大きくなるため、成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)は8wt%以上であることが必要である。E(A2)が8wt%以下の場合には十分な柔軟性を発揮することが出来ず、好ましくは10wt%以上である。
成分(A2)の割合が多過ぎると耐熱性が低下するため、成分(A2)の割合W(A2)は50wt%以下に抑えることが必要である。
一方、成分(A2)の割合が少なくなり過ぎると柔軟性と耐衝撃性の改良効果が得られないため、成分(A2)の割合は40wt%以上であることが必要である。
成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)や、公知の各種分析法によって定量される。尚、本発明において用いた測定方法については、実施例においてその詳細を記載する。
プロピレン系ブロック共重合体成分(A)のMFRは、4〜10g/10minの範囲を取ることが必要である。
プロピレン系ブロック共重合体成分(A)全体のメルトフローレート MFR(A)は、各成分(A1)、(A2)各々のMFR(各々MFR(A1)、MFR(A2)とする)と比率によって決定されるが、本発明においては、全体のMFRが4〜10の範囲にあれば、各々のMFRは本発明の目的を損ねない範囲で任意である。しかし、両者のMFRが大きく異なる場合には外観不良等が生じることがあるため、各成分各々のMFR(A1)、MFR(A2)共に4〜10g/10minの範囲にあることが望ましい。
プロピレン系ブロック共重合体成分(A)においては、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表すtanδ曲線のピークが0℃以下に単一のピークを示すことが必要である。
本発明に用いられるプロピレン系ブロック共重合体成分(A)の製造方法は、特開2005−248156号公報、特許4156491号公報に記載の方法を用いることが好ましい。
また、メタロセン系触媒としては、特開2005−248156号公報に開示されているものが使用できる。代表的なメタロセン化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが例示できる。なお、メタロセン系触媒は、上記のものに限定されるものではない。
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、以下の条件(B−i)〜(B−iii)を具備するものである。
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cm3の範囲にあること
(B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃、2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
そして、本発明では、このエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)を含有させることにより、樹脂組成を用いて形成されたシートに良好な耐衝撃性とヒートシール特性を付与している。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の屈折率が成分(A)と大きく異なる場合には、組成物の透明性が悪化するため、屈折率をあわせることも重要である。これら溶融温度や屈折率は密度によって制御可能であり、ヒートシール特性と透明性を両立させるには、密度を特定の範囲にすることが必要となる。
以上の理由から、本発明に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、密度が0.870〜0.890g/cm3の範囲にあることが必要である。
密度が低くなりすぎると、屈折率差が大きくなり透明性が悪化するため、0.870未満の場合には、本発明に必要な透明性を確保することが出来ず、0.870以上であることが必要で、好ましくは0.875以上である。
一方、密度が高くなりすぎると、結晶性が高くなることで柔軟性、耐衝撃性や透明性が悪化し易くなり、また、成分(A)の溶融温度と成分(B)の溶融温度に差が無くなるとヒートシール特性の制御が困難となるため、0.890以下であることが必要で、好ましくは0.885以下である。
前述したように1〜10N/10mm程度の比較的弱いヒートシール強度領域のシール強度を制御するためには、成分(A)と成分(B)の溶融温度を離すことが重要であり、本発明においては成分(B)の融解ピーク温度T(B)は80℃以下であることが必要である。T(B)が80℃以下であれば、1〜10N/10mmの強度領域にてシール強度が±1N/10mmの範囲内に設定可能であり、T(B)が80℃を越える場合には、ヒートシール温度範囲が狭く、安定したヒートシール強度を得ることが出来ない。
本発明の樹脂組成物は、成形性を確保するために適度な流動性を持っていることが必要であり、成分(B)の粘度が高すぎると流動性が不足し、分散不良が生じたりすることで透明性や耐衝撃性が低下し易くなり、また、ヒートシール特性にばらつきが生じるといった問題を生じ易くなる。そこで本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)はメルトフローレートが2.0g/10min以上であることが必要であり、好ましくは2.5以上である。一方、メルトフローレートが高すぎると、成形時の安定性が低下し、フィルムの厚みムラが生じたり、耐衝撃性が低下するといった問題を生じ易くなり、また、ヒートシール時に成分(B)は成分(A)に比べより低い温度で融解するため、粘度が低すぎるとヒートシール圧力により表面にブリードしやすく、ヒートシールの制御性が悪化するため、メルトフローレートは5.0g/10min以下であることが必要であり、好ましくは4.5g/10min以下である。
成分(B)が樹脂組成物中に占める割合は、25〜35wt%の範囲であることが必要である。すなわち、成分(B)は成分(A)中にドメインとして存在し、かつ、成分(A)に比べ溶融温度が低いため、低い温度域で成分(B)だけが融解することでヒートシール強度が低い領域の制御を行っている。このとき、成分(B)の量が少なすぎると、フィルム表面における成分(B)の存在量が少なくなり、弱シール時の強度が低くなりすぎ十分な制御を行うことが出来ないばかりでなく、耐衝撃性が不足し、製品が輸送時に破袋するといった問題を生じる。一方で、量が多くなりすぎると、成分(B)が表面に多く存在することで、加熱滅菌時に融着が生じてしまう恐れがある。本発明における成分(B)が組成物中に占める割合は、25〜35wt%の範囲にあることが必要で、25wt%未満の場合には、弱シール特性が不十分、かつ、柔軟性、耐衝撃性が不足になり、35wt%以上の場合には耐熱性が不足するため、用いることが出来ない。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、成分(A)との屈折率差を小さくするためには密度を低くすることが必要であり、さらに、ベタツキやブリードアウトを抑制するためには結晶性及び分子量分布が狭いことが望ましい。そこで、成分(B)の製造には結晶性及び分子量分布の狭くできるメタロセン系触媒を用いることが望ましい。
メタロセン触媒としては、エチレン−α−オレフィン共重合体の重合に用いられる公知の各種触媒を用いることが出来る。具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン系触媒を例示できる。
具体的な重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での加圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製アフィニティー(登録商標)及びエンゲージ(登録商標)、日本ポリエチレン社製カーネル(登録商標)、エクソン社製EXACT(登録商標)などが挙げられる。
これらの使用において、本発明の要件である密度と融解ピーク温度、MFRのグレードを選択すればよい。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体は、前記条件(B−i)〜(B−iii)を満たす限りエチレンとエチレン以外の一種類のα−オレフィンからなる共重合体であっても、エチレンとエチレン以外の二種類以上のα−オレフィンからなる共重合体であっても良い。
このプロピレン系ブロック共重合体成分(C)は、(C−i)〜(C−iii)の条件を具備する。
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−iii)プロピレン系ブロック共重合体成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
プロピレン系樹脂組成物として、多段階の安定的な剥離強度制御性を有することが望ましい。本発明の樹脂組成物では、上述した成分(B)を含有することにより、1〜10N/10mm程度、好ましくは2〜6N/10mm程度の比較的容易に剥離可能な弱シール強度領域におけるシール温度に対し安定的な弱シール特性を発揮させることを可能としている。しかし、容易に剥離可能であるが1〜10N/10mmの弱シール領域に加えて、第2のヒートシール特性として、より高い2〜25N/10mm程度、好ましくは4〜20N、さらに好ましくは6〜15Nの剥離強度領域にてシール強度を制御することが望ましい。また、安定した剥離強度の製品を得るためには、ヒートシール温度に対するこの領域の強度の変化を出来るだけ小さくすることが必要なのは1〜10N/10mmと同様である。このとき、2〜25N/10mmの強度領域で設定強度±2N/10mmで強度管理するには、プロピレン系ブロック共重合体成分自体の改良が必要であり、プロピレン系ブロック共重合体成分(C)は、これを制御するための成分である。
プロピレン系ブロック共重合体成分(C)は、第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られる。
成分(C1)はポリプロピレン成分であり、結晶性が高い成分である。本成分は組成物中で成分(A)よりも溶融温度が高く、成分(A)が融解する温度での融着を抑えることで温度に対するヒートシール強度の変化をなだらかにするための成分である。従って、成分(C1)は成分(A)よりも結晶性が高いことが必要であり、プロピレンのみからなるポリプロピレン成分であることが好ましい。
後述するように、成分(C2)は分子量が高いことが必要であるが、成分(C)全体の分子量が高いと、流動性が悪く、組成物中で十分に分散することが出来ず効果が不十分となるばかりか、流れムラ、ゲルやフィッシュアイと呼ばれる外観不良の原因ともなるため、成分(C1)の流動性を高めることで、成分(C)全体の流動性を確保することが必要である。そこで、成分(C1)のメルトフローレートは少なくとも100g/10minである事が必要であるが、一方で、メルトフローレートが高すぎても流れムラが発生しやすくなったり、耐衝撃性や柔軟性が低下する恐れがあるため、200g/10min未満であることが必要であり、本発明における成分(C1)のメルトフローレートは100〜200g/10minの範囲にあることが必要である。
成分(C2)は成分(A)の結晶成分が融解した際の流動性を下げることで、ヒートシール強度の急激な上昇を抑えるための成分である。流動性を下げることでヒートシール強度の上昇を抑制するには、成分(A)が融解したときに、成分(C2)も融解している必要がある。そこで、成分(C2)は成分(C1)とは異なり、結晶性を低下させることが必要であり、結晶性はエチレン含有量で制御されるためエチレン含有量を4〜8wt%にすることが必要である。
成分(C2)はヒートシール時に成分(A)が融解し、ヒートシール圧力により流動するのを阻害することで、ヒートシール強度の急激な上昇を抑えることが必要である。このとき、成分(C2)の分子量が低いと、流動を阻害する効果が不足し、ヒートシール特性を十分に改良することが出来ない。そこで、成分(C2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)が80万以上であることが必要である。また、分子量が高くなりすぎると分散性が悪化するため、300万未満であることが必要である。
成分(C2)は極めて分子量が高いため、成分(C)中に占める割合W(C2)が多くなりすぎると、成分(C)が組成物中で十分に分散することが出来ず、ヒートシール特性の改良が出来ないばかりか、物性の悪化や、外観不良等の問題の原因となるため、35wt%以下であることが必要である。一方、成分(C2)が少なすぎると、十分なヒートシール特性を発揮するために組成物中に多くの成分(C)が必要となることで柔軟性が低下し、また、透明性の低下を招く恐れがあるため、25wt%以上であることが必要である。
成分(C)が組成物中に占める割合は、10〜20wt%の範囲であることが必要である。本発明において成分(C)は高強度側のヒートシール特性を改良するための成分であり、成分(A)に結晶性分布を付与し、結晶の融解挙動を制御するために、高結晶性成分である成分(C1)を、また成分(A)のヒートシール時の圧力による流動を抑制するために高分子量の成分(C2)を含むことで、温度に対するヒートシール強度の急激な上昇を抑制している。成分(C)の量が少なすぎると、高結晶性成分や高分子量成分が不足し、十分なヒートシール特性改良効果を得ることが出来ない。さらに溶融張力不足によるシート成形性の改善効果も発揮できない。一方で、成分(C)の量が多くなりすぎると、柔軟性や透明性等の物性低下が顕著になり、本発明の樹脂組成物に要求される品質を満たすことが出来ない。
本発明に用いる成分(C)は、分子量の大きく異なる成分(C1)と成分(C2)からなるため、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、9.0以上であることが必要である。分子量分布が9.0未満の場合には、ヒートシール特性改良効果が十分でなく、15.0以上の場合には分散性が悪化する。
本発明において用いる成分(C)は、分子量が高い成分(C2)を含んでいるにもかかわらず、組成物中で十分な分散が必要である。そのためには、成分(C)が適度な流動性を有することが必要であり、流動性の尺度であるメルトフローレートが2.0〜8.0g/10minの範囲にあることが必要である。メルトフローレートが2.0未満の場合には分散が悪化し、流れムラやゲル、フィッシュアイと呼ばれる外観不良を引き起こすばかりか、ヒートシール特性が安定しにくくなり、十分な効果が得ることが出来ない。一方、8.0以上の場合には、耐衝撃性や柔軟性の低下といった物性上の問題を生じたり、ヒートシール特性改良効果が得られにくくなる等の問題が生じる。
成分(C)は、分子量の低い成分(C1)と分子量の極めて高い成分(C2)からなるが、これらの各成分は流動性が極めて異なるため、両者を溶融混練により混ぜることは事実上不可能である。一方、溶媒等に溶かしてブレンドすることはコスト面、環境面から好ましくない。そこで、本発明に用いられる成分(C)は第1工程で成分(C1)を、第2工程で成分(C2)を逐次重合することで、重合分散させたものであることが必要である。
成分(C)を得るための触媒系としては、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするもの、またはπ電子共役配位子を少なくとも1個有するメタロセン系の遷移金属化合物を用いることができる。ここで、成分(C2)はより高分子量の成分が含まれるほどヒートシール特性の改良効果が大きいため、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするものより製造されることが好ましい。
触媒は、第1段階で重合前に添加されるのが一般的である。後段に於いて触媒を補充することを必ずしも排除するものではないが、樹脂のブレンドでは得られない特性を得るためには、触媒は第1段階で添加するのが好ましい。
成分(C1)を得るための工程(1)は、プロピレンを水素の存在下に重合する。水素は工程(1)で得られる重合体のMFRが100〜200の範囲となるように制御される。一般には水素濃度(スラリー重合においては気相部濃度、液体プロピレン中の重合あるいは気相法においてはモノマー中の含有量を指す)が1〜50mol%、好ましくは3〜30mol%添加される。
成分(C2)を得るための工程(2)は高分子量成分を得るための重合であり、水素濃度は0.1mol%以下の実質的に無水素状態で重合を進行させる。工程(2)で得られる重合体の重量平均分子量は80万〜300万である。
重合温度は通常40〜90℃、好ましくは50〜80℃であり、共重合コモノマーとしてエチレンを含みコモノマー含量は4〜8重量%の範囲となるようにモノマーの濃度を制御する。
酸化防止剤は、樹脂組成物の成形加工時の熱安定性や、成形体の熱劣化を抑制するための添加剤であり、内容物に影響が小さいものを用いる必要があり、本発明において最も好適なのは、フェノール系酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトであり、加水分解しやすいものはさけることが好ましい。添加量は、樹脂組成物の安定性を確保するために必要な最低限にとどめ、2000ppm以下に抑えることが好ましい。中和剤としては、ステアリン酸カルシウムを用いることが出来るが、内容物によって高圧蒸気滅菌後にも不溶性微粒子の発生原因になる場合があるので、添加量は200ppm以下であることが望ましい。
(内面層40μm、中間層220μm、外面層20μmの実施例)
(1)内面層形成用の熱可塑性プロピレン系樹脂組成物ペレットの作成
プロピレン系樹脂成分(A)として、下記のものを用いた。
メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度Tm(A)が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体を用いた。プロピレン系樹脂成分(A)は、融解ピーク温度Tm(A)が、130℃、成分(A1)中のエチレン含有量が、2.2wt%、成分(A1)の比率が、56wt%、成分(A2)中のエチレン含有量が、11wt%、成分(A2)の比率が、44wt%、ガラス転移温度が、−8.6℃、成分(A)全体のMFRが、6g/10minであった。
エチレンとヘキセン−1の共重合体を製造した。触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
得られたエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が、0.88g/cc、融解ピーク温度Tm(B)が、60℃、MFRが、3.5g/10minであった。
第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することにより、プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
上記成分(A)、成分(B)および成分(C)を、各々58、27、15wt%になるように計量し、ヘンシェルミキサーに投入後、この成分(A)と成分(B)と成分(C)の混合物100重量部に対して、下記の酸化防止剤、中和剤を添加し、充分に撹拌混合した。
中和剤:ステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製 Ca−St)0.003重量部
スクリュ口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュ回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度190℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することでプロピレン系樹脂組成物原料ペレットを得た。
なお、このプロピレン系樹脂は、メルトマスフローレート5g/10分、密度900kg/m3、溶融温度160℃、曲げ弾性率100MPa、引張弾性率130MPaであった。
メタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体のペレットとして、ニポロンZ(登録商標) FY11(東ソー株式会社製、エチレン・ヘキセン共重合体、メルトマスフローレート1.1g/10分、密度930kg/m3、溶融温度130℃、曲げ弾性率360MPa、引張弾性率390MPa)を準備した。
メタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体のペレットとして、ニポロンZ(登録商標) FY12(東ソー株式会社製、エチレン・ヘキセン共重合体、メルトマスフローレート1.4g/10分、密度915kg/m3、溶融温度128℃、曲げ弾性率170MPa、引張弾性率160MPa)を準備した。
(1) シートの作製
三層用の混練機能付サーキュラーダイ(インフレーションダイ)に、上記のように準備した各原料ペレットを供給し、190℃、混練機能付サーキュラーダイ滞留時間(混練時間)5分にて、内面層が上述した内面層形成用樹脂組成物により形成され、中間層が上述した中間層形成用樹脂組成物により形成され、外面層が上述した外面層形成用樹脂組成物により形成されたチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、厚さ0.3mm、折径190mmシートを18m/分の速度で引取ることにより、三層構造を有するインフレーションシートを作製した。
なお、シートにおける内面層の厚さは、40μm(シート厚の14.3%)、中間層の厚さは、220μm(シート厚の78.6%)、外面層の厚さは、20μm(シート厚の7.1%)であった。
上記のシートを300mm長に裁断し、排出ポート装着部、注入ポート装着部および薬剤注入部を除き上端をシート上端から幅 20〜30mmおよび下端をシート下端から幅20〜30mm、金型温度240℃、時間4秒の条件で片面加熱金型を用いてヒートシールして周縁部を有する容器本体を作製した。
また、容器本体の中央部の幅7mm部分を金型温度120℃、時間3秒の条件で両面加熱金型を用いてヒートシールし、剥離可能な仕切部用弱シール部を形成した。次いで、幅7mmの連通阻害用弱シール部を金型温度130℃、時間5秒の条件で両面加熱金型を用いてヒートシールし、剥離可能であるが前述の弱シール部よりも剥離しにくいようにした剥離可能な連通阻害用弱シール部を形成した。そして、容器本体の排出ポート装着部および注入ポート装着部のそれぞれに筒状ポート部材を挿入し、両面加熱金型を用いてヒートシールして容器本体に固着した。また、排出ポート装着部に固着したポート部材の開口にゴム製の弾性部材を装着したキャップ部材を超音波融着し、開口を封止した。
上記のように作製した薬液入り医療用容器を高圧蒸気滅菌機に入れ、窒素雰囲気中で、温度121℃、ゲージ圧0.5kg/cm2時間15分の条件において滅菌し、室温まで冷却し、図1に示す本発明の薬液入り医療用複室容器(実施例1)を作製した。なお、医療用複室容器(実施例1)の周縁ヒートシール部における内面層融着部の肉厚は、80μmであり、各シートにおける中間層の肉厚は、220μmであり、両者の比は、80:220(4:11)であった。
(内面層80μm、中間層180μm、外面層20μmの実施例)
シートの作製における各層形成の樹脂材料吐出量を調整した以外、実施例1と同様に行い、内面層が上述した内面層形成用樹脂組成物により形成され、中間層が上述した中間層形成用樹脂組成物により形成され、外面層が上述した外面層形成用樹脂組成物により形成されたチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、厚さ0.3mm、折径190mmシートを18m/分の速度で引取ることにより、三層構造を有するインフレーションシートを作製した。
なお、シートにおける内面層の厚さは、80μm(シート厚の28.6%)、中間層の厚さは、180μm(シート厚の64.3%)、外面層の厚さは、20μm(シート厚の7.1%)であった。
そして、蒸気のシートを用いた以外実施例1と同様に行い図1に示す本発明の薬液入り医療用複室容器(実施例2)を作製した。なお、医療用複室容器(実施例2)の周縁ヒートシール部における内面層融着部の肉厚は、160μmであり、各シートにおける中間層の肉厚は、180μmであり、両者の比は、16:18(8:9)であった。
(内面層20μm、中間層240μm、外面層20μmの実施例)
シートの作製における各層形成の樹脂材料吐出量を調整した以外、実施例1と同様に行い、内面層が上述した内面層形成用樹脂組成物により形成され、中間層が上述した中間層形成用樹脂組成物により形成され、外面層が上述した外面層形成用樹脂組成物により形成されたチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、厚さ0.3mm、折径190mmシートを18m/分の速度で引取ることにより、三層構造を有するインフレーションシートを作製した。
なお、シートにおける内面層の厚さは、80μm(シート厚の28.6%)、中間層の厚さは、180μm(シート厚の64.3%)、外面層の厚さは、20μm(シート厚の7.1%)であった。
そして、蒸気のシートを用いた以外実施例1と同様に行い図1に示す本発明の薬液入り医療用複室容器(実施例3)を作製した。なお、医療用複室容器(実施例3)の周縁ヒートシール部における内面層融着部の肉厚は、40μmであり、各シートにおける中間層の肉厚は、240μmであり、両者の比は、40:240(1:6)であった。
(内面層120μm、中間層140μm、外面層20μmの実施例)
シートの作製における各層形成の樹脂材料吐出量を調整した以外、実施例1と同様に行い、内面層が上述した内面層形成用樹脂組成物により形成され、中間層が上述した中間層形成用樹脂組成物により形成され、外面層が上述した外面層形成用樹脂組成物により形成されたチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、厚さ0.3mm、折径190mmシートを18m/分の速度で引取ることにより、三層構造を有するインフレーションシートを作製した。
なお、シートにおける内面層の厚さは、120μm(シート厚の42.9%)、中間層の厚さは、140μm(シート厚の50.0%)、外面層の厚さは、20μm(シート厚の7.1%)であった。
そして、蒸気のシートを用いた以外実施例1と同様に行い図1に示す本発明の薬液入り医療用複室容器(実施例4)を作製した。なお、医療用複室容器(実施例4)の周縁ヒートシール部における内面層融着部の肉厚は、240μmであり、各シートにおける中間層の肉厚は、140μmであり、両者の比は、24:14(12:7)であった。
(内面層160μm、中間層100μm、外面層20μmの実施例)
シートの作製における各層形成の樹脂材料吐出量を調整した以外、実施例1と同様に行い、内面層が上述した内面層形成用樹脂組成物により形成され、中間層が上述した中間層形成用樹脂組成物により形成され、外面層が上述した外面層形成用樹脂組成物により形成されたチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、厚さ0.3mm、折径190mmシートを18m/分の速度で引取ることにより、三層構造を有するインフレーションシートを作製した。
なお、シートにおける内面層の厚さは、160μm(シート厚の57.1%)、中間層の厚さは、100μm(シート厚の35.7%)、外面層の厚さは、20μm(シート厚の7.1%)であった。
そして、蒸気のシートを用いた以外実施例1と同様に行い図1に示す薬液入り医療用複室容器(比較例1)を作製した。なお、医療用複室容器(比較例1)の周縁ヒートシール部における内面層融着部の肉厚は、320μmであり、各シートにおける中間層の肉厚は、100μmであり、両者の比は、32:10(16:5)であった。
(4−1)透明性の評価
実施例1ないし4および比較例1の滅菌後の薬液入り医療用容器を窒素雰囲気中で48時間放置した後、容器のシートの一部を切り取って、波長450mmにおける水中透過率を島津ダブルビーム型自記分光光度計UV−300にて測定したところ、水中透過率は、表1の通りであった。
(4−2)柔軟性の評価
実施例1ないし4および比較例1の滅菌後の薬液入り医療用容器のシートをシートの長手方向(MD)の長さ100mm、MD方向に直交する方向(TD)の長さ100mm、幅10mmに裁断し、試験片とし、JISK7161に準じて引張強度を測定したところ、弾性率は、表1の通りであった。
水中透過率 引張弾性率(Mpa)
(%) 流れ方向(MD) 垂直方向(TD)
実施例1 80 187 183
実施例2 81 192 170
実施例3 79 185 182
実施例4 80 183 168
比較例1 82 196 193
実施例1ないし4および比較例1の滅菌後の薬液入り医療用容器10個について、周縁部をインフレ方向と平行方向に長さ100mm、幅10mmで切り取り、200mm/分の速度で180゜剥離強度を測定したところ、剥離強度は、表2に示す通りであり、また、剥離試験時における ヒートシール面以外での剥離の有無は、表2に示す通りであった。
周縁部 ヒートシール面以外での剥離の有無
実施例1 43N 0/10
実施例2 42N 0/10
実施例3 42N 0/10
実施例4 41N 0/10
比較例1 20N 2/10
実施例1ないし4および比較例1の滅菌後の薬液入り医療用容器10個について、4℃にて24時間以上保管後、100cmの高さから底面落下を行った。落下回数は最大で10回とした。実施例および比較例のすべての医療用容器において液漏れは確認されなかった。
2 容器本体
3 排出ポート
4 混注ポート
5 上端側シール部
6 下端側シール部
9 仕切部
9a 中央弱シール部
9b 側部シール部
10 連通阻害用弱シール部
21 第1の薬剤室
22 第2の薬剤室
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、前記薬剤室の下端部と連通するように前記容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有し、さらに、前記薬剤室は、剥離可能な仕切部により内部空間が第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分され、かつ、前記排出ポートが、前記容器本体に前記第1の薬剤室の下端部と連通するように固定されている医療用複室容器であって、
前記シートは、内面層と、外面層と、前記内面層と前記外面層間に位置する中間層とを備える熱可塑性オレフィン系樹脂製の多層構造シートであり、
前記内面層は、溶融温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、溶融温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されており、
前記外面層は、メタロセン系触媒を用いて重合された第1のエチレン系重合体により形成されており、
前記中間層は、前記外面層形成材料および前記内面層の形成材料より曲げ弾性率が低いメタロセン系触媒を用いて重合された第2のエチレン系重合体により形成されており、
前記容器本体は、前記シートを前記内面層が向かい合うように積層し、周縁部をヒートシールすることにより形成され、かつ、周縁部に2つの前記内面層からなる内面層融着部を有しており、
そして、前記ヒートシールされた周縁部における前記内面層融着部の肉厚と各前記シートにおける前記中間層の肉厚との比が、1:14〜2:1であることを特徴とする医療用複室容器。 - 前記第2のエチレン系重合体は、前記第1のエチレン系重合体より低密度かつ溶解温度が低いものである請求項1に記載の医療用複室容器。
- 前記第1のエチレン系重合体および前記第2のエチレン系重合体は、メタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である請求項1または2に記載の医療用複室容器。
- 前記第1のエチレン系重合体は、メルトマスフローレートが1.0g/10分〜1.2g/10分(JIS K6922−1)であり、密度が921〜940kg/m3であり、溶融温度が129〜131℃、曲げ弾性率(JIS K6922−2,ISO1872−2)が、150〜500MPaであるメタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用複室容器。
- 前記第2のエチレン系重合体は、メルトマスフローレートが1.3g/10分〜1.5g/10分(JIS K6922−1)であり、密度が910〜920kg/m3であり、溶融温度が125〜128℃、曲げ弾性率(JIS K6922−2,ISO1872−2)が、150〜400MPaであり、かつ前記曲げ弾性率の値が、使用する前記第1のエチレン系重合体より小さいメタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用複室容器。
- 前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、メルトマスフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が4/10分〜10/10分であり、密度が850〜910kg/m3であり、溶融温度が110〜180℃、曲げ弾性率(JIS K7171)が、80〜2000MPaである請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用複室容器。
- 前記第1の薬剤室および前記第2の薬剤室のそれぞれに薬剤が収納され、かつ、120℃以上の温度にて高圧蒸気滅菌されている請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用複室容器。
- 前記中間層は、前記内面層および前記外面層より肉厚である請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用複室容器。
- 前記内面層の肉厚と前記中間層の肉厚の比は、1:14〜2:1である請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用複室容器。
- 前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、前記プロピレン系樹脂として、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)を50〜60wt%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)を、10〜20wt%、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を25〜35wt%含有している請求項1ないし9のいずれかに記載の医療用複室容器。
- 前記プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)は、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たし、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、下記条件(B−i)〜(B−iii)を満たし、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)は、(C−i)〜(C−iii)を満たすものである請求項10に記載の医療用複室容器。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cm3の範囲にあること
(B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃、2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
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