JP2016169295A - 硬化性組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
成分(A):エチレン性不飽和化合物
成分(B):平均一次粒子径が1〜100nm、かつレーザー回折式粒径分布計により測定したd90が200〜2,000nmである粒子
成分(C):パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレンエーテル基及びポリジメチルシロキサン基から選ばれる少なくとも1つの基を有する化合物
[2] 成分(A)100質量部に対し、成分(B)を0.01〜50質量部含む、[1]に記載の硬化性組成物。
[4] 成分(B)が、レーザー回折式粒径分布計により測定したd10が10〜500nmであり、d50が30〜1,000nmである、[1]乃至[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5] 成分(A)として、多官能(メタ)アクリレートを含む、[1]乃至[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6] 成分(C)として、パーフルオロアルキル基を有する化合物及びパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物のうちの少なくとも一方と、ポリジメチルシロキサン基を有する化合物とを含む、[1]乃至[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7] 有機溶媒を含み、かつ固形分濃度が5〜95質量%である、[1]乃至[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9] 重合開始剤を含み、かつその含有量が成分(A)100質量部に対して0.01〜20質量部である、[1]乃至[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10] [1]乃至[8]のいずれかに記載の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化物。
[11] 基材とハードコート層とを有する積層体であり、該ハードコート層が[1]乃至[
9]のいずれかに記載の硬化性組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照
射して形成されたものである積層体。
[12] 前記基材がプラスチック基材である、[11]に記載の積層体。
[13] 前記プラスチック基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂から選ばれる1種以上である、[12]に記載の積層体。
合についても同様である。
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び(C)を含むものである。成分(A):エチレン性不飽和化合物
成分(B):平均一次粒子径が1〜100nm、かつレーザー回折式粒径分布計により測定したd90が200〜2,000nmである粒子
成分(C):フルオロアルキル基、パーフルオロアルキレンエーテル基及びポリジメチルシロキサン基から選ばれる少なくとも1つの基を有する化合物
本発明に用いる成分(A)はエチレン性不飽和結合を有する化合物である。本発明の硬化性組成物は成分(A)を含有することにより硬化性、耐傷付性が付与される。
シプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種をのみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、2官能以上10官能以下の(メタ)アクリレート、更には3官能以上8官能以下の(メタ)アクリレートが高硬度と低硬化収縮が両立できる点で好ましく、また、全エチレン性不飽和化合物に対する多官能(メタ)アクリレートの割合が、50質量%以上、好ましくは70質量%以上であるのが、高硬度と低硬化収縮が両立できる点で好ましい。
が好ましく、1,100以下であることがより好ましい。成分(A)の質量平均分子量(Mw)は後掲の実施例に示すようにゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。
本発明に用いる成分(B)は、平均一次粒子径が1〜100nmであり、かつレーザー回折式粒径分布計により測定したd90(レーザー解析式粒度分布計により測定した結果において累積値が90%になる粒子径の値)が200〜2,000nmである粒子である。ここで、d90が平均一次粒子径の値と異なる所定の範囲であることは、成分(B)が凝集体となっていることを示す。即ち、本発明に用いる成分(B)は平均一次粒子径が特定範囲である粒子が特定の凝集状態で存在しているものである。本発明の硬化性組成物において、本発明の硬化性組成物は成分(B)を含むことにより、硬化した際に硬化物表面に凹凸が形成され、硬化物表面と汚れ成分との接触面積を小さくすることができる。
0nm以下であるが、より好ましくは75nm以下であり、更に好ましくは50nm以下である。また、成分(B)のd90は、マジック拭き取り性の観点から、200nm以上であるが、好ましくは250nm以上であり、更に好ましくは300nm以上であり、一方、透明性の観点から、2,000nm以下であるが、1,500nm以下であることが好ましく、1,000nm以下であることがより好ましく、800nm以下であることが更に好ましく、600nm以下であることが特に好ましい。
態の形状は特に限定されず、球状、鎖状、針状、板状、鱗片状、破砕状、俵状、繭状、金平糖状等のいずれの形状であってもよい。成分(B)の形状は好ましくは球状又は鎖状であり、特に好ましくは球状である。成分(B)の形状が球状又は鎖状であると、得られた硬化物表面の凹凸の均一性がより良好となる傾向にある。
本発明に用いる成分(C)はパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレンエーテル基及びポリジメチルシロキサン基から選ばれる少なくとも1つの基を有する化合物である。本発明の硬化性組成物において、成分(C)として、特にパーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルキレンエーテル基のうちの少なくとも一方を有するものを含むと撥水性、撥油性が付与される。
特に、パーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物が撥水性・撥油性が良好、すなわち防汚性が良好であるために好ましい。また、成分(C)として、特にポリジメチルシロキサン基を有するものを含むと硬化性組成物を硬化させた際の表面に滑り性が付与され、拭き取り時の摩擦抵抗を減らすことにより拭き取り耐久性が良好なものとなる。
さらに、本発明の硬化性組成物は、パーフルオロアルキル基を有する化合物及びパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物の少なくとも一方(これらの合計質量を[CF]と表記する。)と、ポリジメチルシロキサン基を有する化合物(この質量を[CSi]と表記する。)とを含むことが優れた防汚性と拭き取り耐久性を両立することができるために特に好ましい。またその比率(質量比)は[CF]/[CSi]が1/9〜9.5/0.5であることが好ましく、[CF]/[CSi]が2/8〜9/1であることがより好ましく、[CF]/[CSi]=3/7〜9/1が更に好ましく、[CF]/[CSi]が5/5〜9/1であることが最も好ましい。
成分(C)のパーフルオロアルキル基を有する化合物としては、パーフルオロアルキル基を有する限り特に限定されないが、パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル重合体であるのが好ましい。その製造方法は特に制限されないが、例えば、パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートを原料として重合させることにより得ることができる。なお、この重合反応においてはパーフルオロアルキル基含有化合物以外の原料を用いて共重合させてもよい。
性が良好となり、得られる硬化物の透明性や外観が良好となる傾向にあるために好ましい。
パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートはポリマー組成物中にパーフルオロアルキル基を有するモノマーを20質量%以上含有していることが好ましく、30質量%以上含有していることがより好ましく、40質量%以上含有していることが更に好ましく、50質量%以上含有していることが最も好ましい。
炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル重合体は、不飽和二重結合を有するものが好ましく、特に、(メタ)アクリルロイル基を有するものであることが好ましい。パーフルオロアルキル基及び不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル重合体、特にパーフルオロアルキル基及び(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル重合体は、上述のようにしてパーフルオロアルキル基を有する(メタ)クリレート、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート、及び、必要に応じて用いられるその他のモノマーを共重合して得られた重合体に、更に、カルボキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるものである。その反応温度は好ましくは50〜110℃であり、より好ましくは55〜100℃である。また、反応時間は好ましくは3〜50時間であり、より好ましくは4〜30時間である。なお、この反応は通常、前記共重合体中のエポキシ基とカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物との付加反応である。
様である。
成分(C)がパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物としては、パーフルオロアルキレンエーテル基を有する限り特に限定されないが、パーフルオロアルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリル重合体であるのが好ましい。パーフルオロアルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリル重合体は、パーフルオロアルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリレートを原料として重合させることにより得ることができる。なお、この重合反応においてはパーフルオロアルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリレート以外の原料を用いて共重合させてもよい。
ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート等の(メタ)アクリレート;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、及びN,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、これらの中でもグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーを用いることが好ましい。
パーフルオロアルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリル重合体を合成する際には、分子量制御等の観点から連鎖移動剤を用いることが好ましく、連鎖移動剤としては、前述の<C−1:パーフルオロアルキル基を有する化合物>に記載のものと同様のものが挙げられる。
上記のカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物は、前記共重合体におけるエ
ポキシ基に対するカルボキシル基のモル%として、好ましくは10〜150モル%、より好ましくは30〜130モル%、特に好ましくは50〜110モル%の割合で用いることが、反応を過不足なく進行させる観点と原料の残渣を少なくなくする観点から好ましい。
更に、パーフルオロアルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリル重合体としては、例えば特開2010−285613号公報に記載の重合体、即ち、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にラジカル生成能を有する官能基を有する化合物の両末端に、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性基を有する重合性不飽和単量体を必須とする単量体成分を重合させて得られる重合体が有する前記反応性基の一部又は全部に対し、該反応性基と反応して結合を形成する水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基及び重合性不飽和基を有する化合物を反応することによって得られる含フッ素重合性重合体も好ましいものとして挙げられる。なお、このようなパーフルオロアルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリル重合体は市販品としても入手することが可能であり、例えば、DIC社製メガファック(登録商標)RS−76−E等が該当する。
成分(C)がポリジメチルシロキサン基を有する化合物としては、ポリジメチルシロキサン基を有する限り特に限定されないが、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)アクリル重合体又はポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンであるのが好ましい。
式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートと共重合させるエポキシ基を
有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
を有する化合物>に記載のものと同様のものが挙げられる。
上記のカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物は、前記共重合体におけるエポキシ基に対するカルボキシル基のモル%として、好ましくは10〜150モル%、より好ましくは30〜130モル%、特に好ましくは50〜110モル%の割合で用いることが、反応を過不足なく進行させる観点と原料の残渣を少なくする観点から好ましい。
尚、成分(C)がポリジメチルシロキサン基を有する化合物としては、WO2013/147151号公報に記載のポリエーテルシリコーンオイルに記載のものを用いることもできる。
一方、好ましくは50,000以下であり、より好ましくは20,000以下であり、更に好ましくは10,000以下である。この化合物の数平均分子量が上記下限値以上であると、防汚性や滑り性発現の観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると他の成分との相溶性が維持される観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物は、硬化させた際に硬化物表面に凹凸を形成する観点から成分(A)100質量部に対して成分(B)を0.01質量部以上含むことが好ましく、0.1質量部以上含むことがより好ましく、1質量部以上含むことが更に好ましく、2質量部以上が特に好ましい。一方、硬化性組成物は、硬化物表面の耐傷付性、透明性の観点から成分(A)100質量部に対して成分(B)を50質量部以下含むことが好ましく、45質量部以下含むことがより好ましく、40質量部以下含むことが更に好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、有機溶媒を含むことが好ましい。また、本発明の硬化性組成物が有機溶媒を含む場合、固形分濃度が5〜95質量%であることが好ましい。固形分濃度が5質量%以上であることが、成分(B)の分散性を良好なものとし、透明性の観点で好ましく、また、硬化性組成物の意図しない硬化反応(ゲル化等)を防ぐためにも好ましい。また、固形分濃度が95質量%以下であることが塗工性、保存安定性の観点から好ましい。これらの観点から固形分濃度は、より好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上であり、また、より好ましくは90質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以下であり、特に好ましくは80質量%以下である。なお、本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味するものであり、固体の成分のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。
本発明の硬化性組成物は、硬化性を向上させるために、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては光重合開始剤が好ましく、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル-プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で成分(A)、成分(B)、成分(C)、有機溶媒及び重合開始剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤(ただし、成分(B)に該当するものを除く。)、シランカップリング剤(ただし、成分(B)に該当するものを除く。)、反応性希釈剤(ただし、成分(A)に該当するものを除く。)、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤(ただし、成分(C)に該当するものを除く。)、分散剤、チ
クソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び必要により適宜、有機溶媒、重合開始剤、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一に混合することが好ましい。
本発明の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射する等して硬化させることにより硬化物(「本発明の硬化物」と称することがある。)を得ることができる。また、本発明の硬化性組成物を基材の上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射してハードコート層を形成することにより、積層体とすることができる。特に、本発明の硬化性組成物を基材の上等に塗布し、フィルム状に硬化させることで、ハードコートフィルムを得ることができる。なお、本発明において、「塗布」とは一般的に「塗工」と呼ばれるものも含む概念として用いることとする。
本発明の硬化性組成物は、高速塗工等の紫外線照射量が少ない場合や薄膜の場合でも、得られる硬化物、積層体が撥水性、撥油性、防汚性、耐久性、拭き取り性、透明性、耐傷付性、硬度等に優れたものとなる。このため、本発明の硬化性組成物は平面ディスプレイ(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイ、フロントプロジェクター用スクリーン、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ等)のディスプレイパネル表面の耐汚染性付与剤として好適に用いることが可能であり、これらの中でも、カーナビゲーションシステム、携帯電話、モバイル情報端末(PDA等)、パーソナルコンピューター(PC)モノマーなどでタッチパネル入力機能を有するディスプレイ、家庭用平面テレビジョン(TV)の表面の耐汚染性付与剤として好適に用いることができる。また、本発明の硬化性組成物は光記録媒体の耐汚染性ハードコート層としても好適に用いることができる。
以下の実施例及び比較例で製造した硬化膜(積層体)の評価方法は以下の通りである。
PETフィルムの上に硬化膜を形成した積層体を23℃、相対湿度60%の恒温室に12時間放置した後の透明性をJIS K−7136(2000年)に従ってヘーズ値(H%)で評価し、以下の基準で評価を行った。
○:硬化膜のヘーズ値が0.6%未満
△:硬化膜のヘーズ値が0.6%以上1.0%未満
×:硬化膜のヘーズ値が1.0%以上
JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき、測定を行い、傷の入らない最も硬い鉛筆の番手で示した。
JIS K5400に記載の碁盤目法に従い、硬化膜に、1mm間隔で100個の碁盤
目を入れ、セロハンテープ(ニチバン社製セロテープ(登録商標))を用いて試験を行った。この操作を5回繰り返し行った(セロハンテープは常に新しいものを用いた)後、以下の基準で密着性を評価した。
○:全く傷やはがれの生じないもの
△:10%以下の傷やはがれを生じるもの
×:10%超の傷やはがれを生じるもの
PETフィルムの上に硬化膜を形成した積層体を温度23℃、湿度60%RHの恒温室内で24時間静置して状態を調整した後、接触角計(協和界面科学社製「DropMaster DM500」)にて、硬化膜に0.002mLの純水またはヘキサデカンを滴下し、1分後に、接触角計(協和界面科学(株)製 DropMaster500)を用いて、水に対する接触角及びヘキサデカンに対する接触角をそれぞれ測定し、前者を撥水性、後者を撥油性とした(単位;度)。
硬化膜に、油性マジックマーカー(ゼブラ製 マッキーケア極細(黒)の細)で線を描き、30秒後の線のはじきの有無により評価を行った。
○:線をはじく
×:線をはじかない
硬化膜に、油性マジックマーカー(ゼブラ社製 マッキーケア極細(黒)の細)で線を描き、10秒後、表面をティッシュペーパー(クレシア社製)で拭き、この作業を繰り返し、拭取れなくなるまでの回数が多いほど好ましく、以下の4段階で評価した。
◎:10回超過
○:5〜10回
△:2〜4回
×:1回
硬化膜に、油性マジックマーカー(ゼブラ社製 マッキーケア極細(黒)の細)で線を描き、10秒後、表面をティッシュペーパー(クレシア社製)で拭きとる際の滑り性を以下の3段階で評価した。
〇:ほとんど力を加えずに引っ掛かりがなく拭き取ることができる
△:拭き取る際に引っかかるが、拭き取ることができる
×:強い力を加えないと拭き取ることができない
C−1〜C−4について、GPC法により以下の条件で質量平均分子量を測定した。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H1000+H2000+H3000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5mL/分
注入量:10μL
濃度 :0.2質量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
以下の実施例、比較例で用いた原料は以下の通りである。
A−1:
日本化薬社製 カヤラッドDPHA
ジペンタエリスリトールテトラアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物
質量平均分子量(Mw):700
B−1:
CIKナノテック社製 シリカ粒子(溶媒:PGM)
B−2:
CIKナノテック社製 シリカ粒子(溶媒:MIBK)
b−1(比較例用):
日産化学社製MEK−ST シリカ粒子(溶媒:MEK)
b−2(比較例用):
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM5103」(アクリロイル基を有するトリメトキシシリル化合物))を3.89g(固形分:30質量%)、日産化学製「MEK−ST」(上記b−1)95.60g、アセチルアセトンアルミニウム0.16g、水0.33g、p−メトキシフェノール0.02gを入れ、70℃で4時間シランカップリング反応を行い、アクリロイル基で表面修飾されたシリカ粒子を得た。
b−3:
日産化学社製MEK−ST−L シリカ粒子(溶媒:MEK)
C−1:パーフルオロアルキル構造及びポリジメチルシロキサン構造を有するアクリル系共重合体(下記の方法により得られたもの)パーフルオロへキシルエチルメタクリレート50g、ラウリルメタクリレート10g、α,ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサン(信越化学社X−22−167B、数平均分子量1600)10g、グリシジ
ルメタクリレート30g、ドデシルメルカプタン0.9g、1−メトキシ−1−プロパノール(PGM)200gを加え、内温を窒素気流下約55℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)を2回にわけ、計0.6g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。固形分濃度は35質量%であった。
次に空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.5g、トリフェニルホスフィン4.6gを加えた。5分後、ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸変性物(東亞合成社「アロニックスM510」127.2gをPGMAc201.9gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を105〜110℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で14時間維持した後、室温に戻した。固形分は35質量%であった。
(パーフルオロアルキレンポリエーテルとアクリロイル基とを有する化合物)
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーン FM0721」、前記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートに該当する化合物)20質量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)60質量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)10質量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10質量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)151質量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃まで昇温し、ここへ2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1.2質量部、1−ドデカンチオール(和光純薬社製)0.9質量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、更にV−65を0.6質量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK163質量部を加えた。ここへ、p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.5質量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.6質量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)31.0質量部を加え、110℃まで昇温して6時間撹拌した。冷却後、MIBK4.8質量部を添加し、数平均分子量6,500の共重合体(側鎖にポリジメチルシロキサン基を有するアクリル系共重合体)のMIBK溶液を得た。なお、共重合体のMIBK溶液の組成は共重合体30質量%、MIBK70質量%(固形分30質量%)となるようにした。
C−4:BYK社製BYK306(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
四つ口フラスコに、表−2に記載の各成分(但し、重合開始剤としては、BASF社製イルガキュア(登録商標)184を使用)を混合した後、固形分が40質量%となるようにPGM、酢酸エチル、MIBKの1:7:2(質量比)の混合溶媒で希釈することで硬化性組成物を得た。PETフィルム(188μm)にバーコーターを用いて乾燥後の塗膜厚さが2〜3μmとなるように硬化性組成物を塗布し、80℃で30秒間加熱乾燥して塗膜を形成した。硬化性組成物の塗膜が形成されたPETフィルムを、出力密度90W/cm2の高圧水銀灯を光源として、光源下15cmの位置で、アイグラフィック社製EYE
UV METER UVPF−A1、PD365を使用して積算光量90mJ/cm2となるように紫外線を照射して硬化膜を得た。
度について前記の方法で評価を行い、結果を表−2に示した。
硬化性組成物の配合組成を表−2又は表−3 に示す通り変更した以外は実施例1と同
様にして硬化性組成物を得た。得られた各硬化性組成物を実施例1と同様にして塗布工程、硬化工程を実施して硬化膜(積層体)を得た。得られた硬化膜(積層体)を用いて透明性、撥水性、撥油性、密着性、耐マジック付着性、マジック拭き取り耐久性、耐傷付性、硬度について評価を行い、結果を表−2又は表−3に示した。
特に、成分(B)として、「B−1」を使用した実施例4及び「B−2」を使用した実施例5のそれぞれと、これらの代わりに「b−1」を使用した比較例1、「b−2」を使用した比較例2及び成分(B)を使用しなかった比較例3とを比較すると、実施例4、5はいずれもマジック拭き取り耐久性に優れていることがわかる。
Claims (13)
- 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む硬化性組成物。
成分(A):エチレン性不飽和化合物
成分(B):平均一次粒子径が1〜100nm、かつレーザー回折式粒径分布計により測定したd90が200〜2,000nmである粒子
成分(C):パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレンエーテル基及びポリジメチルシロキサン基から選ばれる少なくとも1つの基を有する化合物 - 成分(A)100質量部に対し、成分(B)を0.01〜50質量部含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)100質量部に対し、成分(C)を0.01〜30質量部含む請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 成分(B)が、レーザー回折式粒径分布計により測定したd10が10〜500nmであり、d50が30〜1,000nmである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)として、多官能(メタ)アクリレートを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 成分(C)として、パーフルオロアルキル基を有する化合物及びパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物のうちの少なくとも一方と、ポリジメチルシロキサン基を有する化合物とを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 有機溶媒を含み、かつ固形分濃度が5〜95質量%である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記有機溶媒が、飽和炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒から選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の硬化性組成物。
- 重合開始剤を含み、かつその含有量が成分(A)100質量部に対して0.01〜20質量部である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化物。
- 基材とハードコート層とを有する積層体であり、該ハードコート層が請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成されたものである積層体。
- 前記基材がプラスチック基材である、請求項11に記載の積層体。
- 前記プラスチック基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂から選ばれる1種以上である、請求項12に記載の積層体。
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