JP2016167452A - ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体及びその製造方法並びにダイレクトメタノール型燃料電池及びその製造方法並びに膜電極接合体及びその製造方法並びに燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体及びその製造方法並びにダイレクトメタノール型燃料電池及びその製造方法並びに膜電極接合体及びその製造方法並びに燃料電池及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性に優れたダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体の提供。【解決手段】膜電極接合体11は、高分子電解質膜111と、第1及び第2のアノード触媒層112a、112bと、第1及び第2のカソード触媒層113a、113bと、を備え、(1)〜(6)式を満たすダイレクトメタノール型燃料電池。Ia1>Ia2(1);Sa1<Sa2(2);Ic1>Ic2(3);Sc1<Sc2(4);0.9≦Ia1/Ca1≦3(5);0.9≦Ic1/Cc1≦3(6);(Ia1、Ia2、Ic1、Ic2は第1及び第2のアノード及びカソード触媒層における第1又は第2の高分子物質の含有率;Sa1、Sa2、Sc1、Sc2は第1及び第2のアノード及びカソード触媒層におけるアノード又はカソード触媒の含有量;Ca1、Cc1は第1のアノード及びカソード触媒層の触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率)【選択図】図1

Description

本発明は、ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体及びその製造方法に関するものである。また、ダイレクトメタノール型燃料電池及びその製造方法並びに膜電極接合体及びその製造方法並びに燃料電池及びその製造方法に関するものである。
アノード触媒層及びカソード触媒層に挟持された電解質膜を含む膜電極接合体を具備した直接メタノール型燃料電池が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2009−158215号公報
上記の技術では、長期の使用によって電解質膜とアノード触媒層又はカソード触媒層とが剥離することにより膜電極接合体の十分な耐久性が得られない場合があるという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、耐久性に優れるダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体及びその製造方法を提供することである。
[1]本発明に係るダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の一方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第1の高分子物質と、アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むアノード触媒層と、前記高分子電解質膜の他方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第2の高分子物質と、カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むカソード触媒層と、を備え、前記アノード触媒層は、前記一方主面上に設けられた第1のアノード触媒層と、前記第1のアノード触媒層上に設けられた第2のアノード触媒層と、を有し、前記カソード触媒層は、前記他方主面上に設けられた第1のカソード触媒層と、前記第1のカソード触媒層上に設けられた第2のカソード触媒層と、を有し下記(1)〜(6)式を満たしている。
a1>Ia2・・・(1)
a1<Sa2・・・(2)
c1>Ic2・・・(3)
c1<Sc2・・・(4)
0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(5)
0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(6)
但し、上記(1)〜(6)式において、Ia1は前記第1のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Ia2は前記第2のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Sa1は前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Sa2は前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Ic1は前記第1のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Ic2は前記第2のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Sc1は前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Sc2は前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Ca1は前記第1のアノード触媒層において前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率であり、Cc1は前記第1のカソード触媒層において前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
[2]上記発明において、前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量は、前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量の2倍超であり、前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量は、前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量の2倍超であってもよい。
[3]本発明に係るダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体は、高分子電解質膜の一方主面に、イオン伝導性を有する高分子物質と、触媒と、前記触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第1の触媒インクを塗布する第1の工程と、前記高分子物質と、前記触媒と、前記触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第2の触媒インクを、前記第1の触媒インクの上に塗布する第2の工程と、前記高分子電解質膜、前記第1の触媒インク及び前記第2の触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備え、下記(7)〜(9)式を満たしている。
>I・・・(7)
<S・・・(8)
0.9≦I/C≦3・・・(9)
但し、上記(7)〜(9)式において、Iは前記第3の工程後において前記第1の触媒インクにおける前記高分子物質の含有率であり、Iは前記第3の工程後において前記第2の触媒インクにおける前記高分子物質の含有率であり、Sは前記第3の工程後において前記第1の触媒インクにおける前記触媒の含有量であり、Sは前記第3の工程後において前記第2の触媒インクにおける前記触媒の含有量であり、Cは前記第3の工程後の前記第1の触媒インクにおいて前記触媒を担持する導電性炭素粒子の含有量である。
[4]また、本発明に係るダイレクトメタノール型燃料電池は、上記ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とする。
[5]本発明に係るダイレクトメタノール型燃料電池の製造方法は、上記ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法を有することを特徴とする。
[6]また、本発明に係る膜電極接合体は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の一方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第1の高分子物質と、アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むアノード触媒層と、前記高分子電解質膜の他方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第2の高分子物質と、カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むカソード触媒層と、を備え、少なくとも下記の条件1または条件2のいずれかを満たすことを特徴とする。
条件1:
前記アノード触媒層は、前記一方主面上に設けられた第1のアノード触媒層と、前記第1のアノード触媒層上に設けられた第2のアノード触媒層と、を有し、下記(1)〜(3)式を満たす。
a1>Ia2・・・(1)
a1<Sa2・・・(2)
0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(3)
但し、上記(1)〜(3)式において、Ia1は前記第1のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Ia2は前記第2のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Sa1は前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Sa2は前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Ca1は前記第1のアノード触媒層において前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
条件2:
前記カソード触媒層は、前記他方主面上に設けられた第1のカソード触媒層と、前記第1のカソード触媒層上に設けられた第2のカソード触媒層と、を有し、下記(4)〜(6)式を満たす。
c1>Ic2・・・(4)
c1<Sc2・・・(5)
0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(6)
但し、上記(4)〜(6)式において、Ic1は前記第1のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Ic2は前記第2のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Sc1は前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Sc2は前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Cc1は前記第1のカソード触媒層において前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
[7]また、本発明に係る膜電極接合体は、前記条件1および前記条件2を満たしてもよい。
[8]また、本発明に係る膜電極接合体は、少なくとも前記条件1を満たし、前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量は、前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量の2倍超であってもよい。
[9]また、本発明に係る膜電極接合体は、少なくとも前記条件2を満たし、前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量は、前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量の2倍超であってもよい。
[10]また、本発明に係る燃料電池は、上記膜電極接合体を有することを特徴とする。
[11]また、本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、高分子電解質膜の一方主面にアノード触媒層を形成するアノード触媒層形成工程と、高分子電解質膜の他方主面にカソード触媒層を形成するカソード触媒層形成工程と、を備え、少なくとも下記の条件3または条件4のいずれかを満たすことを特徴とする。
条件3:
前記アノード触媒層形成工程は、高分子電解質膜の一方主面に、イオン伝導性を有する第1の高分子物質と、アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第1のアノード触媒インクを塗布する第1の工程と、前記第1の高分子物質と、前記アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第2のアノード触媒インクを、前記第1のアノード触媒インクの上に塗布する第2の工程と、前記高分子電解質膜、前記第1のアノード触媒インク及び前記第2のアノード触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備え、前記第3の工程後において、下記(10)〜(12)式を満たす。
a1>Ia2・・・(10)
a1<Sa2・・・(11)
0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(12)
但し、上記(10)〜(12)式において、Ia1は前記第1のアノード触媒インクにおける前記第1の高分子物質の含有率であり、Ia2は前記第2のアノード触媒インクにおける前記第1の高分子物質の含有率であり、Sa1は前記第1のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量であり、Sa2は前記第2のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量であり、Ca1は前記第1のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
条件4:
前記カソード触媒層形成工程は、高分子電解質膜の一方主面に、イオン伝導性を有する第2の高分子物質と、カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第1のカソード触媒インクを塗布する第1の工程と、前記第2の高分子物質と、前記カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第2のカソード触媒インクを、前記第1のカソード触媒インクの上に塗布する第2の工程と、前記高分子電解質膜、前記第1のカソード触媒インク及び前記第2のカソード触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備え、前記第3の工程後において、下記(13)〜(15)式を満たす。
c1>Ic2・・・(13)
c1<Sc2・・・(14)
0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(15)
但し、上記(13)〜(15)式において、Ic1は前記第1のカソード触媒インクにおける前記第2の高分子物質の含有率であり、Ic2は前記第2のカソード触媒インクにおける前記第2の高分子物質の含有率であり、Sc1は前記第1のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量であり、Sc2は前記第2のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量であり、Cc1は前記第1のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
[12]また、本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、前記条件3および前記条件4を満たしてもよい。
[13]また、本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、少なくとも前記条件3を満たし、前記第2のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量は、前記第1のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量の2倍超であってもよい。
[14]また、本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、少なくとも前記条件4を満たし、前記第2のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量は、前記第1のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量の2倍超であってもよい。
[15]また、本発明に係る燃料電池の製造方法は、上記膜電極接合体の製造方法を有することを特徴とする。
本発明によれば、アノード触媒層が、第1のアノード触媒層と、第1のアノード触媒層上に設けられた第2のアノード触媒層と、を有していると共に、カソード触媒層は、第1のカソード触媒層と、第1のカソード触媒層上に設けられた第2のカソード触媒層と、を有しており、上記(1)〜(6)式を満たしている。これにより、第1のアノード触媒層と高分子電解質膜との密着性を向上することができると共に、第1のカソード触媒層と高分子電解質膜との密着性を向上することができるため、ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体の耐久性を向上することができる。
図1は、本発明の実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体を備えたダイレクトメタノール型燃料電池を示す断面図である。 図2(A)〜図2(C)は、本発明の実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体を備えたダイレクトメタノール型燃料電池を示す断面図である。
本実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体(MEA:Membrane electrode assembly)11を備えたダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)1は、メタノールを燃料として発電する燃料電池であり、膜電極接合体11と、膜電極接合体11を挟む板状のアノードセパレータ14及びカソードセパレータ15と、アノードセパレータ14の外側の表面に設けられたアノード集電体12及びカソードセパレータ15の外側の表面に設けられたカソード集電体13と、アノードセパレータ14の内側に設けられたガスケット18及びカソードセパレータ15の内側に設けられたガスケット19と、を備える。なお、図1は単電池の構成を示すが、要求起電力に応じてこの単電池を複数積層した燃料電池を構成してもよい。
なお、以下の説明において、「ダイレクトメタノール型燃料電池1」を単に「燃料電池1」とも称し、「ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体11」を単に「膜電極接合体11」とも称する。
本例の膜電極接合体11は、水素イオン(陽イオン)伝導性を有する高分子電解質膜111と、アノード触媒層112と、カソード触媒層113とを備えており、アノード触媒層112の上面にはアノードガス拡散層114が設けられていると共に、カソード触媒層113の下面にはカソードガス拡散層115が設けられている。アノード触媒層112とアノードガス拡散層114がアノードを構成し、カソード触媒層113とカソードガス拡散層115がカソードを構成する。
高分子電解質膜111と、その表面及び裏面にそれぞれ積層されるアノード触媒層112及びカソード触媒層113と、さらにその表面及び裏面にそれぞれ積層されるアノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115は、矩形、円形、楕円形、多角形など燃料電池1の外形形状に応じた適宜の形状とされる。特に限定されないが、一般的にはアノード触媒層112及びカソード触媒層113の外縁は、高分子電解質膜111の外縁より小さい外縁を有し、アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115の外縁は、それぞれアノード触媒層112及びカソード触媒層113の各外縁形状とほぼ同じ外縁形状とされる。
高分子電解質膜111としては、特に限定されるものではなく、通常の高分子電解質型燃料電池に搭載される、固体高分子電解質膜などの高分子電解質膜を使用することができる。具体的には、例えば、米国DuPont社製のNafion(商品名、登録商標)、旭化成(株)社製のAciplex(商品名、登録商標)、旭硝子(株)社製のFlemion(商品名、登録商標)などのパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜を使用することができる。高分子電解質膜111の厚さは特に限定されないが、通常25〜250μmである。
本実施形態において、アノード触媒層112は2層構造となっている。すなわち、図1に示すように、高分子電解質膜111の上面(一方主面)111aに第1のアノード触媒層112aが設けられており、当該第1のアノード触媒層112a上に第2のアノード触媒層112bが設けられている。
第1及び第2のアノード触媒層112a、112bは、例えば白金系の金属触媒などのアノード触媒と、水素イオン伝導性を有する第1の高分子物質と、アノード触媒を担持する導電性炭素粒子(カーボン粉末)とで構成されている。アノード触媒層112の厚さは特に限定されないが、通常5〜50μmである。
本実施形態では、アノード触媒層112と同様に、カソード触媒層113も2層構造となっている。すなわち、高分子電解質膜111の下面(他方主面)111bに第1のカソード触媒層113aが設けられており、当該第1のカソード触媒層113a上に第2のカソード触媒層113bが設けられている。
第1及び第2のカソード触媒層113a、113bも、第1及び第2のアノード触媒層112a、112bと同様に、例えば白金系の金属触媒などのカソード触媒と、水素イオン伝導性を有する第2の高分子物質と、カソード触媒を担持する導電性炭素粒子(カーボン粉末)とで構成されている。カソード触媒層113の厚さも特に限定されないが、通常5〜50μmである。
アノード触媒層112を構成する第1及び第2のアノード触媒層112a、112bにおけるアノード触媒、及びカソード触媒層113を構成する第1及び第2のカソード触媒層113a、113bにおけるカソード触媒としては、特に限定されないが白金又は白金合金を用いるのが好ましい。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛及びスズからなる群より選択される1種以上の金属と、白金との合金であるのが好ましい。また、本実施形態におけるアノード触媒及びカソード触媒が、本発明の触媒の一例に相当する。
特にアノード触媒層112にあっては、中間生成物である一酸化炭素が白金触媒を被毒する問題があるため、耐一酸化炭素被毒性を有するルテニウムなどを含むことが望ましい。また、上記白金合金には、白金と上記金属との金属間化合物が含有されていてもよい。さらに、白金からなる触媒と白金合金からなる触媒を混合して得られる電極触媒混合物をアノード触媒として用いてもよい。
本実施形態では、第1のアノード触媒層112aにおけるアノード触媒の含有量は、第2のアノード触媒層112bにおけるアノード触媒の含有量よりも低くなっている。すなわち、本実施形態では下記(16)式を満たしている。
a1<Sa2・・・(16)
但し、上記(16)式において、Sa1は第1のアノード触媒層112aにおけるアノード触媒の含有量であり、Sa2は第2のアノード触媒層112bにおける前記アノード触媒の含有量である。なお、第2のアノード触媒層112bにおけるアノード触媒の含有量Sa2は、第1のアノード触媒層112aにおけるアノード触媒の含有量Sa1の2倍超(2×Sa1<Sa2)であることが好ましい。
このため、第2のアノード触媒層112bにおけるアノード触媒の含有量を標準的な値とした場合には、第1のアノード触媒層112aの厚さは、第2のアノード触媒層112bの厚さに比べて薄い構成となる。
同様に、第1のカソード触媒層113aにおけるカソード触媒の含有量は、第2のカソード触媒層113bにおけるカソード触媒の含有量よりも低くなっている。すなわち、本実施形態では下記(17)式を満たしている。
c1<Sc2・・・(17)
但し、上記(17)式において、Sc1は第1のカソード触媒層113aにおけるカソード触媒の含有量であり、Sc2は第2のカソード触媒層113bにおけるカソード触媒の含有量である。なお、第2のカソード触媒層113bにおけるカソード触媒の含有量Sc2は、第1のカソード触媒層113aにおけるカソード触媒の含有量Sc1の2倍超(2×Sc1<Sc2)であることが好ましい。
このため、第2のカソード触媒層113bにおけるアノード触媒の含有量を標準的な値とした場合には、第1のカソード触媒層113aの厚さは、第2のカソード触媒層113bの厚さに比べて薄い構成となる。
第1のアノード触媒層112a中に含有されるアノード触媒の量、及び、第1のカソード触媒層113a中に含有されるカソード触媒の量は、それぞれ0.1mg/cm〜0.6mg/cmであることが好ましい。また、第1のアノード触媒層112a中に含有されるアノード触媒の量、及び、第1のカソード触媒層113a中に含有されるカソード触媒の量は、それぞれ0.1mg/cm〜0.7mg/cmであることが一層好ましい。また、第2のアノード触媒層112b中に含有されるアノード触媒の量、及び、第2のカソード触媒層113b中に含有されるカソード触媒の量は、それぞれ0.5mg/cm〜3.5mg/cmであることが好ましい。
アノード触媒層112に含有されて、上記触媒粒子に付着させる上記水素イオン伝導性を有する第1の高分子物質、及びカソード触媒層113に含有されて、上記触媒粒子に付着させる上記水素イオン伝導性を有する第2の高分子物質としては、高分子電解質膜111を構成するものと同じ高分子電解質、例えばイオノマー(ionomer)を用いることができる。第1の高分子物質と第2の高分子物質は、同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。例えば、上述した米国DuPont社製のNafion(商品名、登録商標)、旭化成(株)社製のAciplex(商品名、登録商標)、旭硝子(株)社製のFlemion(商品名、登録商標)などを使用することができる。
また、上記の第1の高分子物質、第2の高分子物質のうち、少なくともいずれかの高分子材料としては、高分子電解質膜111を構成する材料と同一の高分子材料を含んでいることが好ましい。ここで、この高分子材料としては、例えばイオノマー(ionomer)やイオノマーに異なる材料が含有された材料を用いることができる。また、このイオノマーとしては、例えば、上述した米国DuPont社製のNafion(商品名、登録商標)、旭化成(株)社製のAciplex(商品名、登録商標)、旭硝子(株)社製のFlemion(商品名、登録商標)などを使用することができる。
また、第1のアノード触媒層112aに用いられる第1の高分子物質の材料もしくは第1のカソード触媒層113aに用いられる第2の高分子物質の材料は、少なくとも上記の条件を満たしていることが好ましい。
また、第1の高分子物質と第2の高分子物質は、同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。
また、本実施形態における第1の高分子物質及び第2の高分子物質が、本発明の高分子物質の一例に相当する。
本実施形態において、第1のアノード触媒層112aにおける第1の高分子物質の含有率は、第2のアノード触媒層112bにおける当該含有率よりも高くなっている。すなわち、本実施形態では下記(18)式を満たしている。
a1>Ia2・・・(18)
但し、上記(18)式において、Ia1は第1のアノード触媒層112aにおける第1の高分子物質の含有率(質量%)であり、Ia2は第2のアノード触媒層112bにおける第1の高分子物質の含有率(質量%)である。上記(18)式を満たすことにより、第1のアノード触媒層112aと高分子電解質膜111との密着性が良好となり、膜電極接合体11の耐久性が向上する。
また、同様に、第1のカソード触媒層113aにおける第2の高分子物質の含有率は、
第2のカソード触媒層113bにおける当該含有率よりも高くなっている。すなわち、本実施形態では下記(19)式を満たしている。
c1>Ic2・・・(19)
但し、上記(19)式において、Ic1は第1のカソード触媒層113aにおける第2の高分子物質の含有率(質量%)であり、Ic2は第2のカソード触媒層113bにおける第2の高分子物質の含有率(質量%)である。上記(19)式を満たすことにより、第1のカソード触媒層113aと高分子電解質膜111との密着性が良好となり、膜電極接合体11の耐久性が向上する。
アノード触媒層112を構成する第1及び第2のアノード触媒層112a、112b並びにカソード触媒層113を構成する第1及び第2のカソード触媒層113a、113bにおける担体である導電性炭素粒子としては、導電性を有する細孔の発達したカーボン材料を用いるのが好ましく、例えばカーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー及びカーボンチューブなどを使用することができる。カーボンブラックとしては、例えばチャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック及びアセチレンブラックなどが挙げられる。また、活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化処理及び賦活処理することによって得ることができる。
本実施形態においては、上記の(16)式〜(19)式に加え、下記(20)式〜(21)式が成立している。
0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(20)
0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(21)
但し、上記(20)式〜(21)式において、Ca1は第1のアノード触媒層112aにおいてアノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率(質量%)であり、Cc1は第1のカソード触媒層113aにおいてカソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率(質量%)である。
上記の比Ia1/Ca1又はIc1/Cc1が0.9以上である場合には、高分子電解質膜111と第1のアノード触媒層112a又は第1のカソード触媒層113aとの密着性が良好となる。一方、当該比Ia1/Ca1又はIc1/Cc1が3以下であることにより、膜電極接合体11を備えた燃料電池1においてより高い電池出力を実現できる。
アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115は、それぞれアノード触媒層112の上側及びカソード触媒層113の下側にそれぞれ配置される。アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115は、アノードセパレータ14及びカソードセパレータ15のアノード流路16及びカソード流路17から流入したメタノールや酸素(空気)をアノード触媒層112及びカソード触媒層113に効率よく導く機能と導電性があれば特に限定されず、当該分野において公知の種々のガス拡散層を用いることができる。
アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115を構成する基材としては、ガス透過性を持たせるために、発達したストラクチャー構造を有するカーボン微粉末、カーボンペーパー又はカーボンクロスなどを用いて作製された、導電性多孔質基材を用いることができる。また、排水性を向上させるために、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂を代表とする撥水性材料(高分子)を上記基材の内部に分散させて、上記基材は撥水処理を施してもよい。さらに、電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維又はカーボン微粉末などの電子伝導性材料で上記基材を構成してもよい。なお、カソード側及びアノード側において同じガス拡散層を用いても異なるガス拡散層を用いてもよい。アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115の厚さは特に限定されないが、通常100〜500μmである。
膜電極接合体11は、図1に示すように、高分子電解質膜111の機械的強度を高めて膨張・収縮を抑制するために、高分子電解質膜111の上面及び下面の外縁部のそれぞれに額縁状の補強層116A、116Bを設けてもよい。この補強層116A、116Bは、所望の剛性を有する材料であれば特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などからなるフィルムを用いることができる。
一対のアノードセパレータ14及びカソードセパレータ15は、膜電極接合体11の外形形状に応じた適宜の外形形状とされ、膜電極接合体11の外側に配置されて、膜電極接合体11を機械的に固定するための導電性を有する部材である。アノードセパレータ14のうちの膜電極接合体11と接触する面には、アノードに燃料であるメタノールを供給し、電極反応生成物、未反応のメタノールを含む物質を反応場から外部に運び去るためのアノード流路16が形成されている。同様に、カソードセパレータ15のうちの膜電極接合体11と接触する面には、カソードに酸素(空気)を供給し、電極反応生成物、未反応のメタノールを含む物質を反応場から外部に運び去るためのカソード流路17が形成されている。
こうしたアノード流路16及びカソード流路17は、平面視の図示は省略するが、それぞれアノードセパレータ14及びカソードセパレータ15の表面に常法により溝を設けることによって形成されている。特に制限されるものではないが、アノード流路16及びカソード流路17は、例えば複数の直線状溝部と、隣接する直線状溝部を上流から下流へと連結する複数のUターン状溝部とで構成されたサーペンタイン形状を有する。
ガスケット18、19は、アノードセパレータ14及びカソードセパレータ15の外形形状に応じた形状とされ、枠状(額縁状)又は環状であり、単電池に供給される燃料及び酸化剤ガスの外部へのリーク防止や混合を防止するため、それぞれアノード及びカソード(特にアノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115)の周囲に配置される。このようなガスケット18、19としては、ゴムなどの当該分野で公知のものを用いることができる。
アノード集電体12及びカソード集電体13としては、導電性を有する、例えば厚さ1〜3mmの金属板(銅板など)に3〜4μmの金コーティングが施されたものを用いることができる。アノード集電体12は導電性を有するアノードセパレータ14の外側の表面に設けられ、カソード集電体13は導電性を有するカソードセパレータ15の外側の表面に設けられる。なお、燃料電池1の組立完成状態において、アノード集電体12は負荷部の陰極に接続され、カソード集電体13は負荷部の陽極に接続されて燃料電池1からの電力が負荷部に供給される。
以上のように構成された燃料電池1において、図1に示すように上述したアノードセパレータ14のアノード流路16の入口にメタノールを供給し、カソードセパレータ15のカソード流路17の入口に空気を供給すると、アノードにおいては、
[数1] CHOH+HO→CO+6H+6e
という酸化反応が生じ、カソードにおいては、
[数2] 3/2O+6H+6e→3H
という還元反応が生じる。これによりアノードとカソードとの間に電流が流れることになる。
なお、上記の燃料電池1については、メタノールタンクおよびポンプ等といったアノードにメタノールを供給する手段(図示せず)を接続したり、ブロワ―およびポンプ等といったカソードに空気を供給する手段(図示せず)を接続したり、その他燃料電池1の起動に必要な手段を設けた構成とした燃料電池1により、上記の酸化反応、還元反応を得る事が可能となる。
次に、本実施形態における膜電極接合体11の製造方法について説明する。図2(A)〜図2(C)は、本実施形態における膜電極接合体11の製造方法を示す断面図である。
まず、高分子電解質膜111を準備する(図2(A)参照)。さらに、第1のアノード触媒層112aを構成するための第1のアノード触媒インク116及び第2のアノード触媒層112bを構成するための第2のアノード触媒インク118を準備する。第1及び第2のアノード触媒インク116、118には、第1の高分子物質、アノード触媒、及び当該アノード触媒を担持する導電性炭素粒子が含まれている。
また、第1のカソード触媒層113aを構成するための第1のカソード触媒インク117及び第2のカソード触媒層113bを構成するための第2のカソード触媒インク119を準備する。第1及び第2のカソード触媒インク117、119には、第2の高分子物質、カソード触媒、及び当該カソード触媒を担持する導電性炭素粒子が含まれている。
次いで、図2(B)に示すように、当該高分子電解質膜111の上面111aに第1のアノード触媒インク116を塗布する(第1の工程)。また、高分子電解質膜111の下面111bに第1のカソード触媒インク117を塗布する。第1のアノード触媒インク116及び第1のカソード触媒インク117を高分子電解質膜111に塗布する方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などを例示することができる。本実施形態における第1のアノード触媒インク116及び第1のカソード触媒インク117が、本発明の第1の触媒インクの一例に相当する。
次いで、図2(C)に示すように、高分子電解質膜111の上面111aに塗布された第1のアノード触媒インク116上に第2のアノード触媒インク118を塗布する。また、高分子電解質膜111の下面111bに塗布された第1のカソード触媒インク117上に第2のカソード触媒インク119を塗布する(第2の工程)。第2のアノード触媒インク118及び第2のカソード触媒インク119を塗布する方法としては、上述した第1のアノード触媒インク116及び第1のカソード触媒インク117の塗布方法と同様の方法を挙げることができる。本実施形態における第2のアノード触媒インク118及び第2のカソード触媒インク119が、本発明の第2の触媒インクの一例に相当する。なお、第1及び第2のアノード触媒インク116,118と第1及び第2のカソード触媒インク117、119を高分子電解質膜111に塗布する順番は、特に上記に限定されない。
続いて、高分子電解質膜111、第1及び第2のアノード触媒インク116、118、
及び第1及び第2のカソード触媒インク117、119を、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する(第3の工程)。高分子電解質膜111は、アノード触媒層112に含まれる第1の高分子物質及びカソード触媒層113に含まれる第2の高分子物質と良好な密着性を有する。このため上記の加熱工程により、ホットプレス工程などを経ることなく、当該アノード触媒層112及びカソード触媒層113と高分子電解質膜111とを接合させることができる。第1及び第2のアノード触媒インク116、118、及び第1及び第2のカソード触媒インク117、119の成分組成及び塗布量は、加熱工程(第3の工程)の後において、上記(16)式〜(21)式を満たすよう適宜調整を行う。以上の工程を経て、本実施形態における膜電極接合体11を製造することができる。
また、本実施形態における膜電極接合体11の製造方法としては、上記の加熱工程(第3の工程)の後において、第1のアノード触媒インク116および第2のアノード触媒インク118の成分組成及び塗布量が、下記(22)式〜(24)式を満たすよう適宜調整を行ってもよい。
a1>Ia2・・・(22)
a1<Sa2・・・(23)
0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(24)
但し、上記(22)〜(24)式において、Ia1は上記第1のアノード触媒インク116における第1の高分子物質の含有率(質量%)であり、Ia2は上記第2のアノード触媒インク118における第1の高分子物質の含有率(質量%)であり、Sa1は上記第1のアノード触媒インク116におけるアノード触媒の含有量であり、Sa2は上記第2のアノード触媒インク118におけるアノード触媒の含有量であり、Ca1は前記第1のアノード触媒インク116におけるアノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率(質量%)である。
また、本実施形態における膜電極接合体11の製造方法としては、上記の加熱工程(第3の工程)の後において、第1のカソード触媒インク117および第2のカソード触媒インク119の成分組成及び塗布量が、下記(25)式〜(27)式を満たすよう適宜調整を行ってもよい。
c1>Ic2 ・・・(25)
c1<Sc2・・・(26)
0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(27)
但し、上記(25)〜(27)式において、Ic1は上記第1のカソード触媒インク117における第2の高分子物質の含有率(質量%)であり、Ic2は上記第2のカソード触媒インク119における第2の高分子物質の含有率(質量%)であり、Sc1は上記第1のカソード触媒インク117におけるカソード触媒の含有量であり、Sc2は上記第2のカソード触媒インク119におけるカソード触媒の含有量であり、Cc1は前記第1のカソード触媒インク117においてカソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率(質量%)である。
次に、本実施形態における膜電極接合体11の作用について説明する。
ダイレクトメタノール型燃料電池を長期に亘って使用すると、当該燃料電池が備える膜電極接合体を構成する高分子電解質膜と触媒層とが剥離することにより、当該膜電極接合体の十分な耐久性が得られない場合がある。
これに対し、本実施形態の膜電極接合体11においては、高分子電解質膜111の上面111aに設けられたアノード触媒層112が2層構造(第1及び第2のアノード触媒層112a、112b)を有している。さらに、第1のアノード触媒層112aに含まれる第1の高分子物質の含有率は第2のアノード触媒層112bに含まれる第1の高分子物質の含有率よりも多くなっている(式(18)参照)。また、第1のアノード触媒層112aに含まれるアノード触媒の含有量は、第2のアノード触媒層112bに含まれるアノード触媒の含有量よりも少なくなっている(式(16)参照)。また、第1のアノード触媒層112aに含まれる導電性炭素粒子の含有率に対する第1の高分子物質の含有率の比が0.9以上3以下となっている(式(20)参照)。
第1の高分子物質の含有率が相対的に増えると、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が向上する。これにより、当該アノード触媒層112と高分子電解質膜111との剥離を抑制できるため、優れた耐久性を有する膜電極接合体11を得ることができる。本実施形態では、上記(20)式を満たしており、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が一層高まるため、上記の効果をより向上することができる。
また、第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bの成分組成が上記(16)式、(18)式および(20)式を満たすと、第1のアノード触媒層112aと高分子電解質膜111との界面において、第1のアノード触媒層112aにおける複数の導電性炭素粒子についてそれぞれが凝集せずに拡散されて存在しやすくなる。
このため、第1のアノード触媒層112aと高分子電解質膜111との界面において導電性炭素粒子と高分子電解質膜111とが接する事によって両者の間にできる隙間に第1の高分子物質が入り込むといった毛細血管現象が一層起こりやすくなる。
したがって、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が向上する。これにより、当該アノード触媒層112と高分子電解質膜111との剥離を抑制できるため、優れた耐久性を有する膜電極接合体11を得ることができる。
一方、第2のアノード触媒層112bに含まれる第1の高分子物質の含有率が第1のアノード触媒層112aに含まれる第1の高分子物質の含有率よりも少ないことにより、第2のアノード触媒層112bにおける隣接し合う導電性炭素粒子同士間の空隙度を、第1のアノード触媒層112aに比べて相対的に高くすることができる。これに従い、第2のアノード触媒層112bにおいて燃料物質を効率的に供給することができる。これにより、燃料電池1の高い電池出力を実現することができる。
本実施形態では、高分子電解質膜111の下面111bに設けられたカソード触媒層113も2層構造(第1及び第2のカソード触媒層113a、113b)を有している。さらに、上記(17)式及び(19)式を満たしており、このため、膜電極接合体11のカソード側においても、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との剥離を抑制し、一層優れた耐久性を有する膜電極接合体11を得ることができる。また、本実施形態では上記(21)式を満たすことにより、この効果をより向上することができる。 また、第1のカソード触媒層113aおよび第2のカソード触媒層113bの成分組成が上記(17)式、(19)式および(21)式を満たすと、上記の第1のアノード触媒層112aと高分子電解質膜111との界面におけるメカニズムと同様のメカニズムが起こる。すなわち、第1のカソード触媒層113aと高分子電解質膜111との界面において、導電性炭素粒子と高分子電解質膜111とが接する事によって両者の間にできる隙間に第2の高分子物質が入り込むといった毛細血管現象が一層起こりやすくなる。
したがって、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性が向上する。これにより、当該アノード触媒層113と高分子電解質膜111との剥離を抑制できるため、優れた耐久性を有する膜電極接合体11を得ることができる。
また、本実施形態の膜電極接合体11においては、アノード触媒層112の成分組成が上記(16)式、(18)式および(20)式を満たし、かつ、カソード触媒層113の成分組成が上記(17)式、(19)式および(21)式を満たす構造を取ることができる。
この場合、上記の毛細血管現象により、アノード触媒層112およびカソード触媒層113の両方において高分子電解質膜111との密着性が向上した膜電極接合体11を得ることができる。
これにより、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との剥離を抑制でき、かつ、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との剥離を抑制できるため、一層優れた耐久性を有する膜電極接合体11を得ることができる。
また、アノード触媒層112およびカソード触媒層113の両方において高分子電解質膜111との密着性が向上するため、膜電極接合体11における電気的接続信頼性が向上する。このため、出力電流密度が向上した膜電極接合体11を得ることができる。
また、本実施形態の膜電極接合体11においては、上記(16)式において、第2のアノード触媒層112bにおけるアノード触媒の含有量が、第1のアノード触媒層112aにおけるアノード触媒の含有量の2倍超(2Sa1<Sa2)を満たす構造を取る事ができる。
この場合、第2のアノード触媒層112bにおけるアノード触媒の含有量が第1のアノード触媒層112aにおけるアノード触媒の含有量の2倍以下となる構造に比べ、上記の毛細血管現象がさらに起こりやすくなる。したがって、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が向上する。
これにより、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との剥離を一層抑制できるため、一層優れた耐久性を有する膜電極接合体11を得ることができる。
また、上記より、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が一層向上する事から、膜電極接合体11における電気的接続信頼性が一層向上する。このため、出力電流密度が一層向上した膜電極接合体11を得ることができる。
また、上記において、第2のアノード触媒層112bにおけるアノード触媒の含有量が、第1のアノード触媒層112aにおけるアノード触媒の含有量の2.3倍以上を満たす構造を取る事ができる。
この場合、上記の毛細血管現象がより一層発生するため、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性がさらに向上する。
このため、膜電極接合体11における電気的接続信頼性がさらに向上する事から、出力電流密度がさらに向上した膜電極接合体11を得ることができる。
また、本実施形態の膜電極接合体11においては、上記(17)式において、第2のカソード触媒層113bにおけるカソード触媒の含有量が、第1のカソード触媒層113aにおけるカソード触媒の含有量の2倍超(2Sc1<Sc2)を満たす構造を取る事ができる。
この場合、第2のカソード触媒層113bにおけるカソード触媒の含有量が第1のカソード触媒層113aにおけるカソード触媒の含有量の2倍以下となる構造に比べ、上記の毛細血管現象がさらに起こりやすくなる。したがって、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性が向上する。
これにより、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との剥離を一層抑制できるため、一層優れた耐久性を有する膜電極接合体11を得ることができる。
また、上記より、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性が一層向上する事から、膜電極接合体11における電気的接続信頼性が一層向上する。このため、出力電流密度が一層向上した膜電極接合体11を得ることができる。
また、上記において、第2のカソード触媒層113bにおけるカソード触媒の含有量が、第1のカソード触媒層113aにおけるカソード触媒の含有量の2.8倍以上を満たす構造を取る事ができる。
この場合、上記の毛細血管現象がより一層発生するため、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性がさらに向上する。
このため、膜電極接合体11における電気的接続信頼性がさらに向上する事から、出力電流密度がさらに向上した膜電極接合体11を得ることができる。
また、本実施形態の燃料電池1によれば、上記の膜電極接合体11を用いている為、主として上記膜電極接合体11に起因した効果が得られる。
また、本実施形態における膜電極接合体11の製造方法においては、アノード触媒層形成工程と、カソード触媒層形成工程と、を備え、アノード触媒層形成工程が下記のプロセス条件を満たしている。
すなわち、アノード触媒層形成工程は、高分子電解質膜111の一方主面に、第1のアノード触媒インク116を塗布する第1の工程と、第2のアノード触媒インク118を、第1のアノード触媒インク116の上に塗布する第2の工程と、高分子電解質膜111、第1のアノード触媒インク116及び第2のアノード触媒インク118を、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備えている。
さらに、上記の第3の工程後においては、第1のアノード触媒インク116及び第2のアノード触媒インク118の成分組成及び塗布量が、上記(22)式、(23)式および(24)式を満たすよう適宜調整を行って、第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bを形成している。
ここで、上記のプロセス条件を満たすと、第1のアノード触媒層112aと高分子電解質膜111との界面において、第1のアノード触媒層112aにおける複数の導電性炭素粒子についてそれぞれが凝集せずにより拡散された状態で第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bが形成される。
このため、第1のアノード触媒層112aと高分子電解質膜111との界面において、導電性炭素粒子と高分子電解質膜111とが接する事によって両者の間にできる隙間に第1の高分子物質が入り込むといった毛細血管現象が一層発生した状態で第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bが形成されやすくなる。
したがって、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。これにより、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との剥離が抑制された膜電極接合体11を作製する事が可能となるため、優れた耐久性を有する膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、本実施形態における膜電極接合体11の製造方法においては、アノード触媒層形成工程と、カソード触媒層形成工程と、を備え、カソード触媒層形成工程が下記のプロセス条件を満たしている。
すなわち、カソード触媒層形成工程は、高分子電解質膜111の一方主面に、第1のカソード触媒インク117を塗布する第1の工程と、第2のカソード触媒インク119を、第1のカソード触媒インク117の上に塗布する第2の工程と、高分子電解質膜111、第1のカソード触媒インク117及び第2のカソード触媒インク119を、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備えている。
さらに、上記の第3の工程後においては、第1のカソード触媒インク117及び第2のカソード触媒インク119の成分組成及び塗布量が、上記(25)式、(26)式および(27)式を満たすよう適宜調整を行って、第1のカソード触媒層113aおよび第2のカソード触媒層113bを形成している。
ここで、上記のプロセス条件を満たすと、上記の第1のアノード触媒層112aと高分子電解質膜111との界面におけるメカニズムと同様のメカニズムが起こる。すなわち、第1のカソード触媒層113aと高分子電解質膜111との界面において、導電性炭素粒子と高分子電解質膜111とが接する事によって両者の間にできる隙間に第2の高分子物質が入り込むといった毛細血管現象が一層発生した状態で第1のカソード触媒層113aおよび第2のカソード触媒層113bが形成されやすくなる。したがって、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性が向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
これにより、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との剥離が抑制された膜電極接合体11を作製する事が可能となるため、優れた耐久性を有する膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、本実施形態における膜電極接合体11の製造方法においては、上記のアノード触媒層形成工程およびカソード触媒層形成工程が上記のプロセス条件をそれぞれ満たすことができる。
この場合、上記の毛細血管現象により、アノード触媒層112およびカソード触媒層113の両方において高分子電解質膜111との密着性が向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
これにより、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との剥離、かつ、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との剥離が抑制された膜電極接合体11を作製する事が可能となるため、一層優れた耐久性を有する膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、アノード触媒層112およびカソード触媒層113の両方において高分子電解質膜111との密着性が向上するため、電気的接続信頼性が向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。このため、出力電流密度が向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、本実施形態の膜電極接合体11の製造方法においては、上記(23)式において、第2のアノード触媒インク118におけるアノード触媒の含有量が、第1のアノード触媒インク116におけるアノード触媒の含有量の2倍超(2Sa1<Sa2)を満たすよう適宜調整を行って、第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bを形成することができる。
この場合、第2のアノード触媒インク118におけるアノード触媒の含有量を、第1のアノード触媒インク116におけるアノード触媒の含有量の2倍以下として第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bを形成する場合に比べ、上記の毛細血管現象が一層発生した状態で第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bが形成される。
したがって、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が一層向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。これにより、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との剥離が一層抑制された膜電極接合体11を作製する事が可能となるため、一層優れた耐久性を有する膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、上記より、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性が一層向上する事から、膜電極接合体11における電気的接続信頼性が一層向上する。このため、出力電流密度が一層向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、上記において、第2のアノード触媒インク118におけるアノード触媒の含有量が、第1のアノード触媒インク116におけるアノード触媒の含有量の2.3倍以上を満たすよう適宜調整を行って、第1のアノード触媒層112aおよび第2のアノード触媒層112bを形成する事ができる。
この場合、上記の毛細血管現象がより一層発生するため、アノード触媒層112と高分子電解質膜111との密着性がさらに向上する。
このため、膜電極接合体11における電気的接続信頼性がさらに向上する事から、出力電流密度がさらに向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、本実施形態の膜電極接合体11の製造方法においては、上記(26)式において、第2のカソード触媒インク119におけるカソード触媒の含有量が、第1のカソード触媒インク117におけるカソード触媒の含有量の2倍超(2Sc1<Sc2)を満たすよう適宜調整を行って、第1のカソード触媒層113aおよび第2のカソード触媒層113bを形成する事ができる。
この場合、第2のカソード触媒インク119におけるカソード触媒の含有量を、第1のカソード触媒インク117におけるカソード触媒の含有量の2倍以下として第1のカソード触媒層113aおよび第2のカソード触媒層113bを形成する場合に比べ、上記の毛細血管現象が一層発生した状態で第1のカソード触媒層113aおよび第2のカソード触媒層113bが形成される。
したがって、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性が一層向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。これにより、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との剥離が一層抑制された膜電極接合体11を作製する事が可能となるため、一層優れた耐久性を有する膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、上記より、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性が一層向上する事から、膜電極接合体11における電気的接続信頼性が一層向上する。このため、出力電流密度が一層向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、上記において、第2のカソード触媒インク119におけるカソード触媒の含有量が、第1のカソード触媒インク117におけるカソード触媒の含有量の2.8倍以上を満たすよう適宜調整を行って、第1のカソード触媒層113aおよび第2のカソード触媒層113bを形成する事ができる。
この場合、上記の毛細血管現象がより一層発生するため、カソード触媒層113と高分子電解質膜111との密着性がさらに向上する。
このため、膜電極接合体11における電気的接続信頼性がさらに向上する事から、出力電流密度がさらに向上した膜電極接合体11を作製する事が可能となる。
また、本実施形態のダイレクトメタノール型燃料電池1の製造方法によれば、上記の膜電極接合体11を形成している為、主として上記膜電極接合体11の製造方法に起因した効果が得られる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
また、上記の膜電極接合体11は、ダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体11として説明したが、本実施形態の膜電極接合体11は、上記のダイレクトメタノール型燃料電池1に適用する事ができるだけでなく、水素やヒドラジンやエタノール等を燃料としたアニオン型燃料電池や他の固体高分子型等の燃料電池にも適用する事ができる。
また、これにより、上記の燃料電池1は、ダイレクトメタノール型燃料電池1として説明したが、本実施形態の燃料電池1は、上記のダイレクトメタノール型燃料電池1として適用できるだけでなく、水素やヒドラジンやエタノール等を燃料としたアニオン型燃料電池や他の固体高分子型等の燃料電池として適用できる。
以下に、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。
以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態における膜電極接合体の耐久性を確認するためのものである。
また、以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態における膜電極接合体の出力電流密度を確認するためのものである。
<実施例1>
高分子電解質膜として、厚さ125μmのパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(米国DuPont社製のNafion(商品名、登録商標))を準備した。次いで、高分子電解質膜の一方主面に、第1のアノード触媒層及び第2のアノード触媒層をそれぞれ形成するための触媒インク(パーフルオロ化イオン交換重合体が添加されたイソプロピルアルコール(IPA)溶液に白金−ルテニウム触媒(白金・ルテニウムと導電性炭素粒子の質量比1:1)が分散したもの)を印刷により設けた。高分子電解質膜の他方主面には、第1のカソード触媒層及び第2のカソード触媒層をそれぞれ形成するための触媒インク(パーフルオロ化イオン交換重合体が添加されたイソプロピルアルコール(IPA)溶液に白金触媒(白金担持量が70質量%)が分散したもの)を印刷により設けた。次いで、触媒インクが印刷された高分子電解質膜を130℃で1時間オーブンを用いて加熱した。
この様にして、第1及び第2のアノード触媒層におけるアノード触媒の含有量(Sa1、Sa2)、第1及び第2のアノード触媒層における導電性炭素粒子の含有率に対する第1の高分子物質の含有率の比(Ia1/Ca1、Ia2/Ca2)、第1及び第2のカソード触媒層におけるカソード触媒の含有量(Sc1、Sc2)、並びに第1及び第2のカソード触媒層における導電性炭素粒子の含有率に対する第2の高分子物質の含有率の比(Ic1/Cc1、Ic2/Cc2)を表1に示すようにした試験サンプルを作製した。なお、作製した試験サンプルの第1及び第2のアノード触媒層、並びに第1及び第2のカソード触媒層の高分子物質の含有率(Ia1、Ia2、Ic1、Ic2)を表1に示す。以上の試験サンプルを用いて以下の試験を行った。
≪剥離率測定試験≫
5%沸騰硫酸水溶液に膜電極接合体を1時間浸漬した後に80℃で1時間静置して乾燥させる作業を合計10回繰り返し行い、その後、高分子電解質膜とアノード触媒層又はカソード触媒層との剥離率(高分子電解質膜とアノード触媒層又はカソード触媒層の接着部分全体に占める剥離部分の割合)を顕微観察により求めた。アノード側又はカソード側のいずれかについて、剥離率が0%〜1%である場合には「〇(良)」とし、アノード側及びカソード側のそれぞれについて、剥離率が1%より大きい場合には「×(不良)」として判定した。この結果を表1に示す。
なお、以下の説明及び表1〜4において、第1及び第2のアノード触媒層における導電性炭素粒子の含有率に対する第1の高分子物質の含有率の比(Ia1/Ca1、Ia2/Ca2)と、第1及び第2のカソード触媒層における導電性炭素粒子の含有率に対する第2の高分子物質の含有率の比(Ic1/Cc1、Ic2/Cc2)を単にI/C比とも称する。
<実施例2、3>
実施例1における試験サンプルの構成から第1及び第2のアノード触媒層と第1及び第2のカソード触媒層の構成を表1に示すようにしたこと以外は実施例1と同様にして試験サンプルをそれぞれ作製し、剥離率測定試験を行った。これらの結果を表1に示す。
<実施例4〜6>
実施例1における試験サンプルの構成からI/C比を表2に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして試験サンプルを作製した。これらの試験サンプルに対し、剥離率測定試験を行った。その結果を表2に示す。また、作製した試験サンプルの第1及び第2のアノード触媒層、並びに第1及び第2のカソード触媒層の高分子物質の含有率(Ia1、Ia2、Ic1、Ic2)を表2に示す。
<実施例7〜12>
実施例7〜12では、第1及び第2のアノード触媒層におけるアノード触媒の含有量Sa1、Sa2、第1及び第2のアノード触媒層のI/C比、第1及び第2のカソード触媒層におけるカソード触媒の含有量Sc1、Sc2、並びに第1及び第2のカソード触媒層のI/C比を表3又は表4に示すようにしたこと以外は実施例1と同様にして試験サンプルを作製した。また、作製した試験サンプルの第1及び第2のアノード触媒層、並びに第1及び第2のカソード触媒層の高分子物質の含有率(Ia1、Ia2、Ic1、Ic2)を表3又は4に示す。以上のようにして作製した試験サンプルを用いて以下の試験を行った。
≪出力電流密度測定試験≫
作製した試験サンプルを用いて燃料電池を組立て、組み立てられた燃料電池にメタノールと空気を供給し、電圧を0.4Vに固定した際の出力電流密度を測定した。測定した出力電流密度が260[mA/cm]以上、300[mA/cm]未満である場合には「〇(良)」とし、出力電流密度が300[mA/cm]以上である場合には「◎(優良)」とし、出力電流密度が260[mA/cm]未満である場合には「×(不良)」として判定した。この結果を表3又は表4に示す。なお、比較の便宜のため、実施例8の結果を表5に再掲する。
<実施例13、14>
実施例13、14では、上記の実施例8の試験サンプルについて、第1のアノード触媒層及び第2のアノード触媒層をそれぞれ形成するための白金−ルテニウム触媒、並びに第1のカソード触媒層及び第2のカソード触媒層をそれぞれ形成するための白金触媒を印刷により高分子電解質膜に設けた後に行う加熱温度を、それぞれ100℃、140℃としたこと以外は、上記の実施例8と同様にして試験サンプルを作製した。これらの試験サンプルに対し出力電流密度測定試験を行った。これらの結果を表5に示す。
<比較例1>
実施例1〜3の比較例として、第1及び第2のアノード触媒層と第1及び第2のカソード触媒層の構成を表1に示すようにしたこと以外は実施例1と同様にして試験サンプルをそれぞれ作製し、剥離率測定試験を行った。これらの結果を表1に示す。また、作製した試験サンプルの第1及び第2のアノード触媒層、並びに第1及び第2のカソード触媒層の高分子物質の含有率(Ia1、Ia2、Ic1、Ic2)を表1に示す。
<比較例2>
実施例4〜6の比較例として、第1及び第2のアノード触媒層と第1及び第2のカソード触媒層の構成を表2に示すようにしたこと以外は実施例4と同様にして試験サンプルを作製し、剥離率測定試験を行った。これらの結果を表2に示す。また、作製した試験サンプルの第1及び第2のアノード触媒層、並びに第1及び第2のカソード触媒層の高分子物質の含有率(Ia1、Ia2、Ic1、Ic2)を表2に示す。
<比較例3、4>
実施例7〜12の比較例として、第1及び第2のアノード触媒層におけるアノード触媒の含有量Sa1、Sa2、第1及び第2のアノード触媒層のI/C比、第1及び第2のカソード触媒層におけるカソード触媒の含有量Sc1、Sc2、並びに第1及び第2のカソード触媒層のI/C比を表3又は表4に示すようにしたこと以外は実施例1と同様にして試験サンプルを作製した。以上のようにして作製した試験サンプルを用いて出力電流密度測定試験を行った。これらの結果を表3又は表4に示す。また、作製した試験サンプルの第1及び第2のアノード触媒層、並びに第1及び第2のカソード触媒層の高分子物質の含有率(Ia1、Ia2、Ic1、Ic2)を表3又は4に示す。
<比較例5、6>
実施例8、13、14の比較例として、上記の実施例8の試験サンプルにおいて、第1のアノード触媒層及び第2のアノード触媒層をそれぞれ形成するための白金−ルテニウム触媒、及び第1のカソード触媒層113a及び第2のカソード触媒層をそれぞれ形成するための白金触媒を印刷により高分子電解質膜111に設けた後に行う加熱温度を、それぞれ80℃、150℃としたこと以外は、上記の実施例8と同様にして試験サンプルを作製した。これらの試験サンプルに対し出力電流密度測定試験を行った。これらの結果を表5に示す。
Figure 2016167452
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表1及び2に示すように、実施例1〜4に係る膜電極接合体は、高分子電解質膜に接触するアノード触媒層及びカソード触媒層の剥離率測定について合格基準に達していた。一方、比較例1、2に係る膜電極接合体は、高分子電解質膜に接触するアノード触媒層及びカソード触媒層の剥離率測定のうちいずれかについて合格基準に達していなかった。また、表1及び2に示すように、実施例5、6に係る膜電極接合体は、高分子電解質膜に接触するアノード触媒層及びカソード触媒層の剥離率測定について合格基準に達していた。
ここで、上記の結果が得られたのは以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、実施例1、4〜6に係る膜電極接合体については、アノード触媒層の成分組成が上記(16)式、(18)式および(20)式を満たしており、かつ、カソード触媒層の成分組成が上記(17)式、(19)式および(21)式を満たしている事に起因するためと考えられる。
また、実施例2に係る膜電極接合体についてはアノード触媒層の成分組成が上記(16)式、(18)式および(20)式を満たしている事に起因するためと考えられる。
また、実施例3に係る膜電極接合体についてはカソード触媒層の成分組成が上記(17)式、(19)式および(21)式を満たしている事に起因するためと考えられる。
また、比較例1、2に係る膜電極接合体については、アノード触媒層の成分組成が上記(18)式および(20)式を満たしておらず、かつ、カソード触媒層の成分組成が上記(19)式および(21)式を満たしていない事に起因するためと考えられる。
表3〜5に示すように、実施例7〜12に係る燃料電池は出力電流密度測定について合格基準に達していた。一方、比較例5〜6に係る燃料電池は、出力電流密度測定について合格基準に達していなかった。
また、表3〜5に示すように、実施例13、14に係る燃料電池は出力電流密度測定について合格基準に達していた。
また、一方、比較例3、4に係る燃料電池は、出力電流密度測定について合格基準に達していなかった。
ここで、上記の結果が得られたのは以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、実施例7〜12に係る燃料電池についてはアノード触媒層の成分組成が上記(16)式、(18)式および(20)式を満たしており、かつ、カソード触媒層の成分組成が上記(17)式、(19)式および(21)式を満たしている事に起因するためと考えられる。
また、実施例8、13、14に係る燃料電池については、高分子電解質膜111、第1の触媒インク及び第2の触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱するプロセスを用いた事と、第1の触媒インク及び第2の触媒インクの成分組成及び塗布量が、上記のプロセス後において、上記(22)式〜(27)式を満たすよう適宜調整を行った事によってアノード触媒層およびカソード触媒層を形成した事に起因するためと考えられる。
また、比較例3に係る燃料電池については、アノード触媒層の成分組成が上記(16)式を満たしていない事に起因するためと考えられる。
また、比較例4に係る燃料電池については、カソード触媒層の成分組成が上記(17)式を満たしていない事に起因するためと考えられる。
また、比較例5、6に係る燃料電池については、高分子電解質膜111、第1の触媒インク及び第2の触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱するプロセスを用いずにアノード触媒層およびカソード触媒層を形成した事に起因するためと考えられる。
また、表3に示す実施例7、8に係る燃料電池、表4に示す実施例10、11に係る燃料電池および表5に示す実施例8、13、14に係る燃料電池においては、測定した出力電流密度が300[mA/cm]以上の値を示しており、燃料電池の出力電流密度が特に優れていることが確認された。
ここで、上記の結果が得られたのは以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、実施例7、8に係る燃料電池については、上記(16)式において、第2のアノード触媒層におけるアノード触媒の含有量が、第1のアノード触媒層におけるアノード触媒の含有量の2倍超(2Sa1<Sa2)を満たしている事に起因するためと考えられる。
また、実施例10、11に係る燃料電池については、上記(17)式において、第2のカソード触媒層におけるカソード触媒の含有量が、第1のカソード触媒層におけるカソード触媒の含有量の2倍超(2Sc1<Sc2)を満たしている事に起因するためと考えられる。
また、実施例8、13、14に係る燃料電池については、上記(23)式において、第2のアノード触媒インクにおけるアノード触媒の含有量が、第1のアノード触媒インクにおけるアノード触媒の含有量の2倍超(2Sa1<Sa2)を満たすよう、かつ、上記(26)式において、第2のカソード触媒インクにおけるカソード触媒の含有量が、第1のカソード触媒インクにおけるカソード触媒の含有量の2倍超(2Sc1<Sc2)を満たすよう、適宜調整を行って、アノード触媒層およびカソード触媒層を形成した事に起因するためと考えられる。
以上のように、実施例1〜4に係る膜電極接合体においては、高分子電解質膜と触媒層との剥離抑制効果が確認された。また、実施例7〜12に係る燃料電池においては、燃料電池の出力電流密度が優れることが確認された。また、実施例5、6に係る膜電極接合体においては、高分子電解質膜と触媒層との剥離抑制効果が確認された。また、実施例13、14に係る燃料電池においては、燃料電池の出力電流密度が優れることが確認された。
1・・・ダイレクトメタノール型燃料電池
11・・・ダイレクトメタノール型燃料電池用電極接合体
111・・・高分子電解質膜
111a・・・上面(一方主面)
111b・・・下面(他方主面)
112・・・アノード触媒層
112a・・・第1のアノード触媒層
112b・・・第2のアノード触媒層
113・・・カソード触媒層
113a・・・第1のカソード触媒層
113b・・・第2のカソード触媒層
114・・・アノードガス拡散層
115・・・カソードガス拡散層
116・・・第1のアノード触媒インク
117・・・第1のカソード触媒インク
118・・・第2のアノード触媒インク
119・・・第2のカソード触媒インク
12・・・アノード集電体
13・・・カソード集電体
14・・・アノードセパレータ
15・・・カソードセパレータ
16・・・アノード流路
17・・・カソード流路
18、19・・・ガスケット

Claims (15)

  1. 高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の一方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第1の高分子物質と、アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むアノード触媒層と、前記高分子電解質膜の他方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第2の高分子物質と、カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むカソード触媒層と、を備え、
    前記アノード触媒層は、
    前記一方主面上に設けられた第1のアノード触媒層と、
    前記第1のアノード触媒層上に設けられた第2のアノード触媒層と、を有し、
    前記カソード触媒層は、
    前記他方主面上に設けられた第1のカソード触媒層と、
    前記第1のカソード触媒層上に設けられた第2のカソード触媒層と、を有し下記(1)〜(6)式を満たすダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体。
    a1>Ia2・・・(1)
    a1<Sa2・・・(2)
    c1>Ic2・・・(3)
    c1<Sc2・・・(4)
    0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(5)
    0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(6)
    但し、上記(1)〜(6)式において、Ia1は前記第1のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Ia2は前記第2のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Sa1は前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Sa2は前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Ic1は前記第1のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Ic2は前記第2のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Sc1は前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Sc2は前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Ca1は前記第1のアノード触媒層において前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率であり、Cc1は前記第1のカソード触媒層において前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
  2. 請求項1に記載のダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量は、前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量の2倍超であり、
    前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量は、前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量の2倍超であるダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体。
  3. 高分子電解質膜の一方主面に、イオン伝導性を有する高分子物質と、触媒と、前記触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第1の触媒インクを塗布する第1の工程と、
    前記高分子物質と、前記触媒と、前記触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第2の触媒インクを、前記第1の触媒インクの上に塗布する第2の工程と、
    前記高分子電解質膜、前記第1の触媒インク及び前記第2の触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備え、
    下記(7)〜(9)式を満たすダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
    >I・・・(7)
    <S・・・(8)
    0.9≦I/C≦3・・・(9)
    但し、上記(7)〜(9)式において、Iは前記第3の工程後において前記第1の触媒インクにおける前記高分子物質の含有率であり、Iは前記第3の工程後において前記第2の触媒インクにおける前記高分子物質の含有率であり、Sは前記第3の工程後において前記第1の触媒インクにおける前記触媒の含有量であり、Sは前記第3の工程後において前記第2の触媒インクにおける前記触媒の含有量であり、Cは前記第3の工程後の前記第1の触媒インクにおいて前記触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
  4. 請求項1または請求項2に記載のダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とするダイレクトメタノール型燃料電池。
  5. 請求項3に記載のダイレクトメタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法を有することを特徴とするダイレクトメタノール型燃料電池の製造方法。
  6. 高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の一方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第1の高分子物質と、アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むアノード触媒層と、前記高分子電解質膜の他方主面に設けられ、イオン伝導性を有する第2の高分子物質と、カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含むカソード触媒層と、を備え、
    少なくとも下記の条件1または条件2のいずれかを満たすことを特徴とする膜電極接合体。
    条件1:
    前記アノード触媒層は、
    前記一方主面上に設けられた第1のアノード触媒層と、
    前記第1のアノード触媒層上に設けられた第2のアノード触媒層と、を有し、下記(1)〜(3)式を満たす。
    a1>Ia2・・・(1)
    a1<Sa2・・・(2)
    0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(3)
    但し、上記(1)〜(3)式において、Ia1は前記第1のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Ia2は前記第2のアノード触媒層における前記第1の高分子物質の含有率であり、Sa1は前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Sa2は前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量であり、Ca1は前記第1のアノード触媒層において前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
    条件2:
    前記カソード触媒層は、
    前記他方主面上に設けられた第1のカソード触媒層と、
    前記第1のカソード触媒層上に設けられた第2のカソード触媒層と、を有し、下記(4)〜(6)式を満たす。
    c1>Ic2・・・(4)
    c1<Sc2・・・(5)
    0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(6)
    但し、上記(4)〜(6)式において、Ic1は前記第1のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Ic2は前記第2のカソード触媒層における前記第2の高分子物質の含有率であり、Sc1は前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Sc2は前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量であり、Cc1は前記第1のカソード触媒層において前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
  7. 請求項6に記載の膜電極接合体であって、
    前記条件1および前記条件2を満たすことを特徴とする膜電極接合体。
  8. 請求項6または請求項7に記載の膜電極接合体であって、
    少なくとも前記条件1を満たし、
    前記第2のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量は、前記第1のアノード触媒層における前記アノード触媒の含有量の2倍超である膜電極接合体。
  9. 請求項6〜8の何れか1項に記載の膜電極接合体であって、
    少なくとも前記条件2を満たし、
    前記第2のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量は、前記第1のカソード触媒層における前記カソード触媒の含有量の2倍超である膜電極接合体。
  10. 請求項6〜9の何れか1項に記載の膜電極接合体を有することを特徴とする燃料電池。
  11. 高分子電解質膜の一方主面にアノード触媒層を形成するアノード触媒層形成工程と、
    高分子電解質膜の他方主面にカソード触媒層を形成するカソード触媒層形成工程と、を備え、
    少なくとも下記の条件3または条件4のいずれかを満たすことを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
    条件3:
    前記アノード触媒層形成工程は、
    高分子電解質膜の一方主面に、イオン伝導性を有する第1の高分子物質と、アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第1のアノード触媒インクを塗布する第1の工程と、
    前記第1の高分子物質と、前記アノード触媒と、前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第2のアノード触媒インクを、前記第1のアノード触媒インクの上に塗布する第2の工程と、
    前記高分子電解質膜、前記第1のアノード触媒インク及び前記第2のアノード触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備え、前記第3の工程後において、下記(10)〜(12)式を満たす。
    a1>Ia2・・・(10)
    a1<Sa2・・・(11)
    0.9≦Ia1/Ca1≦3・・・(12)
    但し、上記(10)〜(12)式において、Ia1は前記第1のアノード触媒インクにおける前記第1の高分子物質の含有率であり、Ia2は前記第2のアノード触媒インクにおける前記第1の高分子物質の含有率であり、Sa1は前記第1のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量であり、Sa2は前記第2のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量であり、Ca1は前記第1のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
    条件4:
    前記カソード触媒層形成工程は、
    高分子電解質膜の一方主面に、イオン伝導性を有する第2の高分子物質と、カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第1のカソード触媒インクを塗布する第1の工程と、
    前記第2の高分子物質と、前記カソード触媒と、前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子と、を含む第2のカソード触媒インクを、前記第1のカソード触媒インクの上に塗布する第2の工程と、
    前記高分子電解質膜、前記第1のカソード触媒インク及び前記第2のカソード触媒インクを、100℃〜140℃の範囲の何れかの温度で加熱する第3の工程と、を備え、前記第3の工程後において、下記(13)〜(15)式を満たす。
    c1>Ic2・・・(13)
    c1<Sc2・・・(14)
    0.9≦Ic1/Cc1≦3・・・(15)
    但し、上記(13)〜(15)式において、Ic1は前記第1のカソード触媒インクにおける前記第2の高分子物質の含有率であり、Ic2は前記第2のカソード触媒インクにおける前記第2の高分子物質の含有率であり、Sc1は前記第1のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量であり、Sc2は前記第2のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量であり、Cc1は前記第1のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒を担持する導電性炭素粒子の含有率である。
  12. 請求項11に記載の膜電極接合体の製造方法であって、
    前記条件3および前記条件4を満たすことを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  13. 請求項11または請求項12に記載の膜電極接合体の製造方法であって、
    少なくとも前記条件3を満たし、
    前記第2のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量は、前記第1のアノード触媒インクにおける前記アノード触媒の含有量の2倍超である膜電極接合体の製造方法。
  14. 請求項11〜13の何れか1項に記載の膜電極接合体の製造方法であって、
    少なくとも前記条件4を満たし、
    前記第2のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量は、前記第1のカソード触媒インクにおける前記カソード触媒の含有量の2倍超である膜電極接合体の製造方法。
  15. 請求項11〜14の何れか1項に記載の膜電極接合体の製造方法を用いることを特徴とする燃料電池の製造方法。
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