JP2016161366A - 角速度センサおよびセンサ素子動作診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度変化の主要因であるセンサ素子の温度情報を直接用いることによって温度補正による誤差を最小化でき、高精度化可能な角速度センサを提供する。
【解決手段】角速度センサ10は、角速度を検知するセンサ素子1と、センサ素子1から出力される信号を処理する回路を具備するLSI3とを有し、センサ素子1は温度に対し固有振動数が一定の変化を示す特性を有する素材からなり、LSI3はセンサ素子1をその固有振動数により発振させる発振回路2と、発振回路2の出力の周波数がモニタされて得られた温度情報に基づいて温度補正を行う温度補正手段4とを備えることとする。
【選択図】図1
【解決手段】角速度センサ10は、角速度を検知するセンサ素子1と、センサ素子1から出力される信号を処理する回路を具備するLSI3とを有し、センサ素子1は温度に対し固有振動数が一定の変化を示す特性を有する素材からなり、LSI3はセンサ素子1をその固有振動数により発振させる発振回路2と、発振回路2の出力の周波数がモニタされて得られた温度情報に基づいて温度補正を行う温度補正手段4とを備えることとする。
【選択図】図1
Description
本発明は角速度センサおよびセンサ素子動作診断方法に係り、特に、温度補正による誤差を最小化でき、高精度化することのできる、角速度センサ等に関するものである。
角速度センサは回転速度を測定するセンサであり、カーナビゲーションや自動車、ロボットの姿勢制御、カメラ等の手ぶれ補正等に使用されており、用途が拡大してきている。特に自動車用途においては、ADASや自動運転用に使用する動きもあり、この場合、従来の用途よりも高精度を要求されるケースがある。特に温度変化に対する要求が高く、温度補正の精度を上げる必要がある。
角速度センサにおいて温度変化するものとしては、センサ素子と回路部品が挙げられ、通常、センサ素子の温度特性の方が大きく、影響度は大きい。角速度センサの温度変化を補正する際には、温度センサを利用する。温度センサは、多くは信号処理を行うLSI内に設けたダイオードの温度特性を利用するものが多い。この他には、回路基板等にNTCサーミスタ等の感温素子を用いるケースもある。
角速度センサと温度補正に関しては従来、特許出願等もなされている。たとえば後掲特許文献1には、温度センサを用いなくても温度補正した角速度検出可能な装置として、温度別に角速度センサの入出力特性をメモリに記憶しておき、停止検出部で車両の停止が検出されると、決定部が、メモリに記憶された入出力特性の中で車両の停止が検出された時点の角速度センサ出力と0点出力が一致する入出力特性を決定し、補正部は、先に決定部が決定した入出力特性に基づき角速度センサの出力を補正して角速度を求める、という構成が開示されている。
さて、回路基板にNTCサーミスタ等の感温素子を用いて温度センサとする場合、センサ素子と温度センサとが離れているケースが多く、そのため、周辺の環境等によってセンサ素子と温度センサとで温度差が生じやすい。一方、LSIとセンサ素子は、比較的狭い同一空間中に配置されることが多いため、温度差はより生じにくいが、それでも急激な温度変化が発生した場合には、センサ素子とLSIとで温度差が生じる可能性がある。
温度センサを基準に温度補正を行っている場合、センサ素子と温度センサで温度差が発生すると、その温度差によって温度補正がずれた状態になり、誤差となる。したがって、温度変化の主要因であるセンサ素子の温度を直接読み込むことができれば、補正による誤差を最小にすることができるはずである。
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点をなくし、温度変化の主要因であるセンサ素子の温度情報を直接用いることによって温度補正による誤差を最小化でき、高精度化可能な角速度センサ等を提供することである。
本願発明者は上記課題について検討した結果、角速度を検知するセンサ素子と、センサ素子の固有振動数で発振させる発振回路とセンサ素子から出力される信号を処理する回路を具備するLSIとを有し、センサ素子の固有振動数が温度に対して一定の変化率で変化し、LSIは発振回路の出力の周波数をモニタすることで温度情報を入手でき、温度情報を元に温度補正を行える角速度センサとすることによって課題解決できることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
〔1〕 角速度を検知するセンサ素子と、該センサ素子から出力される信号を処理する回路を具備するLSIとを有し、該センサ素子は温度に対し固有振動数が一定の変化を示す特性を有する素材からなり、該LSIは該センサ素子をその固有振動数により発振させる発振回路と、該発振回路の出力の周波数がモニタされて得られた温度情報に基づいて温度補正を行う温度補正手段とを備えることを特徴とする、角速度センサ。
〔2〕 前記センサ素子は温度に対し固有振動数が一定の傾斜で変化する特性を有する素材からなり、該センサ素子を自励発振させてその発振の固有振動数を信号処理することで温度センサとして使用可能であることを特徴とする、〔1〕に記載の角速度センサ。
〔3〕 前記LSIには前記温度情報を得るための周波数カウント手段が設けられていることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の角速度センサ。
〔4〕 前記周波数カウント手段は基準発振器であることを特徴とする、〔3〕に記載の角速度センサ。
〔2〕 前記センサ素子は温度に対し固有振動数が一定の傾斜で変化する特性を有する素材からなり、該センサ素子を自励発振させてその発振の固有振動数を信号処理することで温度センサとして使用可能であることを特徴とする、〔1〕に記載の角速度センサ。
〔3〕 前記LSIには前記温度情報を得るための周波数カウント手段が設けられていることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の角速度センサ。
〔4〕 前記周波数カウント手段は基準発振器であることを特徴とする、〔3〕に記載の角速度センサ。
〔5〕 前記LSIには前記温度情報を得るためのF/V変換(周波数―電圧変換)手段が設けられていることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の角速度センサ。
〔6〕 温度補正用の情報のバラつきを調整する調整手段を備えていることを特徴とする、〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載の角速度センサ。
〔7〕 前記温度情報を監視することにより、前記センサ素子の動作状況を診断可能であることを特徴とする、〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の角速度センサ。
〔8〕 〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の角速度センサにおいて前記温度情報を監視し、前記センサ素子の動作状況を判断することを特徴とする、センサ素子動作診断方法。
〔6〕 温度補正用の情報のバラつきを調整する調整手段を備えていることを特徴とする、〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載の角速度センサ。
〔7〕 前記温度情報を監視することにより、前記センサ素子の動作状況を診断可能であることを特徴とする、〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の角速度センサ。
〔8〕 〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の角速度センサにおいて前記温度情報を監視し、前記センサ素子の動作状況を判断することを特徴とする、センサ素子動作診断方法。
本発明の角速度センサおよびセンサ素子動作診断方法は上述のように構成されるため、これによれば、温度変化の主要因であるセンサ素子の温度を直接認識することが可能であり、センサ素子から得られる温度情報を元に温度補正を行うことによって温度補正による誤差を最小化することができ、角速度センサを高精度化することができる。
また本発明によれば、得られる温度情報をモニタすることでセンサ素子の動作を確認できることから、センサの故障診断を行うこともできる。
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の角速度センサの基本構成を示す概念図である。図示するように本角速度センサ10は、角速度を検知するセンサ素子1と、センサ素子1から出力される信号を処理する回路を具備するLSI3とを有し、センサ素子1は温度に対し固有振動数が一定の変化を示す特性を有する素材からなり、LSI3はセンサ素子1をその固有振動数により発振させる発振回路2と、発振回路2の出力の周波数がモニタされて得られた温度情報に基づいて温度補正を行う温度補正手段4とを備えることを、主たる構成とする。
図1は、本発明の角速度センサの基本構成を示す概念図である。図示するように本角速度センサ10は、角速度を検知するセンサ素子1と、センサ素子1から出力される信号を処理する回路を具備するLSI3とを有し、センサ素子1は温度に対し固有振動数が一定の変化を示す特性を有する素材からなり、LSI3はセンサ素子1をその固有振動数により発振させる発振回路2と、発振回路2の出力の周波数がモニタされて得られた温度情報に基づいて温度補正を行う温度補正手段4とを備えることを、主たる構成とする。
かかる構成により本発明角速度センサ10においては、角速度を検知するセンサ素子1は発振回路2によって固有振動数で発振し、センサ素子1から出力される信号はLSI3中の処理回路によって信号処理されるとともに、LSI3では発振回路2の出力の周波数がモニタされて温度情報が得られ、温度補正手段4により温度情報に基づく温度補正が行われる。センサ素子1は温度に対し固有振動数が一定の変化を示す特性を有する素材からなるため、発振回路2の出力が温度情報となり得る。
センサ素子1が特性として備える上記一定の変化としては、たとえば、固有振動数が温度に対してある一定の傾斜で変化するという特性を有効に用いることができる。このような、センサ素子1の固有振動数により発振する発振回路2の出力周波数を信号処理することによって、本角速度センサ10は温度センサとして機能し得、また、使用し得る。なお上記文献開示技術を含め、センサ素子の周波数特性を利用して温度センサとする構成の慣性センサは従来存在しない。
図示するように本角速度センサ10は、LSI3に、温度情報を得るための周波数カウント手段5が設けられた構成とすることができ、具体的には基準発信器を用いるものとすることができる。かかる構成により、発振回路2出力の周波数は、周波数カウント手段5(基準発振器)により温度情報として処理される。
図2は、本発明の角速度センサの別の基本構成を示す概念図である。図示するように本発明角速度センサ210は、LSI23に、温度情報を得るためのF/V変換(周波数―電圧変換)手段26が設けられていることを特徴的な構成とする。本構成の角速度センサ210では、発振回路22出力の周波数は、F/V変換手段26により温度情報として処理される。
このように、発振回路出力は、周波数カウント手段によっても(図1)、またF/V変換手段によっても(図2)なし得る。前者としては周波数カウンタ、後者としてはF/V変換回路を好適に用いることができる。また、いずれの温度情報取得(生成)手段でも、温度補正用の情報のバラつきを調整するための調整手段(図示せず)を備えるものとすることができる。
本発明の角速度センサ10等はまた、温度情報が監視されることによって、センサ素子1等の動作状況を診断することも可能である。つまり、温度情報を監視することで、センサ素子1等が正常に動作しているかどうかを診断し得る。そのようなセンサ素子動作診断方法もまた、本発明の範囲内である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
図3は、実施例角速度センサの構造を示す説明図である。図示するように本角速度センサ310は、角速度を検知するセンサ素子31と、センサ素子31の固有振動数で発振させる発振回路およびセンサ素子31から出力される信号を処理する回路を具備するLSI33とを有して構成されている。
図3は、実施例角速度センサの構造を示す説明図である。図示するように本角速度センサ310は、角速度を検知するセンサ素子31と、センサ素子31の固有振動数で発振させる発振回路およびセンサ素子31から出力される信号を処理する回路を具備するLSI33とを有して構成されている。
図4は、センサ素子(ニオブ酸リチウム)の固有振動数温度変化例を示すグラフである。センサ素子は、図示するニオブ酸リチウムのように、固有振動数が温度に対して一定の変化をするものを用いて作製するのがよい。かかる構成とすることにより、LSI33に設けたセンサ素子31の固有振動数で発振させる発振回路の出力信号の周波数をモニタすることでセンサ素子31自体の温度情報を入手でき、かかる温度情報を元に温度補正することによって、誤差の少ない角速度センサを実現することができる。
図5は、周波数カウンタを備えた角速度センサの回路構成例を示すブロック図である。本例の角速度センサでは、温度情報は、センサ素子41の固有振動数で発振させた発振回路42出力信号の周波数を、別途LSI内に設けた基準発振器45の出力の立ち上がり毎に周波数カウンタ46で計測すること等により、得ることができる。この場合は、温度情報はデジタル値として得られる。
図6は、F/V変換回路を備えた角速度センサの回路構成例を示すブロック図である。本例の角速度センサでは、温度情報は、センサ素子51の固有振動数で発振させた発振回路52出力信号の周波数を、F/V変換(周波素―電圧変換)回路56を用いて周波数からアナログ電圧に変換することによって、得ることができる。この場合は、温度情報はアナログ電圧として得られる。
センサ素子の固有振動数には個体差があるため、得られる温度情報にはバラつきが発生する。また、固有振動数の変化率は、個体差はほとんどないが、変化量としてみると固有振動数に影響されるため、温度係数にもバラつきが発生する。このようなバラつきについては、これらを調整するための演算処理部やゲイン調整等を設けることによって、温度情報の個体差を軽減でき、温度補正等を実施する際に精度を確保することができる。なお、得られる温度情報をモニタすることでセンサ素子の動作を確認できることから、センサの故障診断を行えることは、上述のとおりである。
本発明の角速度センサおよびセンサ素子動作診断方法によれば、温度変化の主要因であるセンサ素子の温度を直接認識することが可能であり、センサ素子から得られる温度情報を元に温度補正を行うことによって温度補正による誤差を最小化することができ、角速度センサを高精度化することができる。したがって、当該分野および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
1、21、31、41、51…センサ素子
2、22、42、52…発振回路
3、23、33…LSI
4、24…温度補正手段
5…周波数カウント手段
10、210、310…角速度センサ
26…F/V変換(周波数―電圧変換)手段
30…セラミックパッケージ
37…LID
38…支持台
39…保持樹脂
43、53…検出回路
44…メモリ
45…基準発振器
46…周波数カウンタ
47、57…演算部
48…データ判定部
54…補正回路
56…F/V変換回路
58…電圧判定部
D10、D11…温度データ
D20、D21…温度補正データ
2、22、42、52…発振回路
3、23、33…LSI
4、24…温度補正手段
5…周波数カウント手段
10、210、310…角速度センサ
26…F/V変換(周波数―電圧変換)手段
30…セラミックパッケージ
37…LID
38…支持台
39…保持樹脂
43、53…検出回路
44…メモリ
45…基準発振器
46…周波数カウンタ
47、57…演算部
48…データ判定部
54…補正回路
56…F/V変換回路
58…電圧判定部
D10、D11…温度データ
D20、D21…温度補正データ
Claims (8)
- 角速度を検知するセンサ素子と、該センサ素子から出力される信号を処理する回路を具備するLSIとを有し、該センサ素子は温度に対し固有振動数が一定の変化を示す特性を有する素材からなり、該LSIは該センサ素子をその固有振動数により発振させる発振回路と、該発振回路の出力の周波数がモニタされて得られた温度情報に基づいて温度補正を行う温度補正手段とを備えることを特徴とする、角速度センサ。
- 前記センサ素子は温度に対し固有振動数が一定の傾斜で変化する特性を有する素材からなり、該センサ素子を自励発振させてその発振の固有振動数を信号処理することで温度センサとして使用可能であることを特徴とする、請求項1に記載の角速度センサ。
- 前記LSIには前記温度情報を得るための周波数カウント手段が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の角速度センサ。
- 前記周波数カウント手段は基準発振器であることを特徴とする、請求項3に記載の角速度センサ。
- 前記LSIには前記温度情報を得るためのF/V変換(周波数―電圧変換)手段が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の角速度センサ。
- 温度補正用の情報のバラつきを調整する調整手段を備えていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の角速度センサ。
- 前記温度情報を監視することにより、前記センサ素子の動作状況を診断可能であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の角速度センサ。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の角速度センサにおいて前記温度情報を監視し、前記センサ素子の動作状況を判断することを特徴とする、センサ素子動作診断方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015039723A JP2016161366A (ja) | 2015-03-01 | 2015-03-01 | 角速度センサおよびセンサ素子動作診断方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015039723A Pending JP2016161366A (ja) | 2015-03-01 | 2015-03-01 | 角速度センサおよびセンサ素子動作診断方法 |
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2015
- 2015-03-01 JP JP2015039723A patent/JP2016161366A/ja active Pending
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