JP2016146291A - 導電膜の製造方法、それにより得られた導電体及び導電膜を用いて製造された装置 - Google Patents

導電膜の製造方法、それにより得られた導電体及び導電膜を用いて製造された装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 工程が簡略化され且つより低温での導体化が可能な導電膜の製造方法、それにより得られた導電体及び導電膜を用いて製造された装置を提供する。【解決手段】 有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子及び分散媒からなる導電材料を、電磁波による加熱により、250℃以下の温度で加熱処理する工程を含む導電膜の製造方法。200℃以下の温度で加熱処理することが好ましく、150℃以下の温度で加熱処理することがより好ましい。前記有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子における有機物の含有率が、0.1〜10.0質量%であると好ましい。導電膜の製造方法により得られた導電体。導電膜の製造方法で製造された導電膜を、電気配線、伝熱配線、コーティング材として使用した装置。【選択図】 なし

Description

本発明は、導電膜の製造方法、それにより得られた導電体及び導電膜を用いて製造された装置に関する。
金属パターンの形成方法として、銅等の金属粒子を含むインク、ペースト等の導電材料(導電性組成物)をインクジェット印刷、スクリーン印刷等により基板上に付与する工程と、導電材料を加熱して金属粒子を焼結させ、導電性を発現させる導体化工程とを含む方法が知られている。
導電材料に印刷性を付与する観点から、導電材料にはバインダー樹脂等が一般的に添加される。また、ペースト等の導電材料中での金属粒子の分散性を高める観点から、導電材料に有機分散剤が添加されることがある。更には、金属粒子が銅粒子の場合、銅は酸化しやすい物質であるため保護剤が使用されることがある。バインダー樹脂、有機分散剤、保護剤等の有機物成分は、導体化工程において金属粒子同士の焼結を阻害する要因となる。それゆえ、体積抵抗率の低い導体を得るためには有機物成分を除去する必要があり、導体化工程を酸素雰囲気下において高温で行い、これら有機物成分を燃焼させて除去している。
他方、生産効率の向上、使用する基板の種類の多様化等の観点から、より低温(例えば、150℃以下)での導電材料の導体化を可能にする技術の開発が求められている。また、銅は酸素雰囲気下での加熱により容易に酸化銅となってしまうため、有機物成分を除去した後で還元雰囲気において焼結するという工程の煩雑さがある。
そこで、銅の酸化を抑制して保存性を高めるために、銅粒子の表面に被覆材としての有機物を付着させたものが知られている。例えば、特許文献1には、低温で焼結でき、良好な導電性を発現する被覆銅粒子及びその製造方法が記載されている。特許文献1に記載の銅粒子は、シュウ酸銅等の銅前駆体とヒドラジン等の還元性化合物とを混合して複合化合物を得る工程と、前記複合化合物をアルキルアミンの存在下で加熱する工程とを有する方法によって製造されるものである。特許文献1の実施例では、作製した銅粒子を含むインクをアルゴン雰囲気中、60℃/分で300℃まで加熱して30分保持することで導体化を達成している。
特許文献2には、導電性金属粉末、有機ビヒクル等を含む導電性ペースト組成物が記載されている。有機バインダー除去を目的に、通常、250〜330℃、空気雰囲気、窒素雰囲気等で熱処理を施して有機ビヒクルを燃焼させた後、金属粉末が酸化されないように中性又は還元雰囲気で850〜1300℃で焼結することが記載されている。
特開2012−72418号公報 特開2012−226865号公報
近年、生産効率の向上、使用する基板の種類の多様化等の観点から、より低温(例えば、150℃以下)での金属粒子の導体化を可能にする技術の開発が求められている。また、導体化工程の簡便さが求められている。従って、特許文献1及び2に記載されている温度よりもさらに低い温度で、しかも簡便に実施できる導体化方法の開発が求められている。
本発明は上記課題に鑑み、工程が簡略化され且つより低温での導体化が可能な導電膜の製造方法、それにより得られた導電体及び導電膜を用いて製造された装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1> 有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子及び分散媒からなる導電材料を、電磁波による加熱により、250℃以下の温度で加熱処理する工程を含む導電膜の製造方法。
<2> 前記導電材料を、電磁波による加熱により、200℃以下の温度で加熱処理する工程を含む<1>に記載の導電膜の製造方法。
<3> 前記導電材料を、電磁波による加熱により、150℃以下の温度で加熱処理する工程を含む<1>に記載の導電膜の製造方法。
<4> 前記有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子における有機物の含有率が、0.1〜10.0質量%である、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法。
<5> 前記有機物が、アルキルアミンである<1>〜<4>のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法。
<6> 前記有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子が、脂肪酸と銅の塩化合物(脂肪酸銅)と、還元性化合物及びアルキルアミンの混合物を加熱する工程を有して得られる銅含有粒子である<1>〜<5>のいずれかに一項に記載の導電膜の製造方法。
<7> 前記脂肪酸の炭素数が9以下である<6>に記載の導電膜の製造方法。
<8> 前記還元性化合物が、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアミン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<6>又は<7>に記載の導電膜の製造方法。
<9> 前記アルキルアミンの炭素数が7以下である<6>〜<8>のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法。
<10> <1>〜<9>のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法により得られた導電体。
<11> <1>〜<9>のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法で製造された導電膜を、電気配線、伝熱配線、コーティング材として使用した装置。
本発明によれば、工程が簡略化され且つより低温での導体化が可能な導電膜の製造方法、それにより得られた導電体及び導電膜の製造方法で製造された導電膜を電気配線、伝熱配線、コーティング材として使用した装置を提供することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「膜」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
本明細書において「導体化」との語は、金属含有粒子を焼結させて導電性を有する物体に変化させることをいう。「導電体(導体)」とは、導電性を有する物体をいう。導電性とは、体積抵抗率が300μΩ・cm以下であることを意味する。
<導電膜の製造方法>
本発明の導電膜の製造方法は、有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子及び分散媒からなる導電材料を、電磁波により、250℃以下の温度、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下の温度で加熱処理する工程を含む。本発明の導電膜の製造方法は、必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明の導電膜の製造方法は、上記構成を採ることにより、工程が簡略化され、且つより低温での導体化が可能となる。これにより、耐熱性が比較的低い基板上にも導電膜を形成することができる。その理由は以下のように推察される。
銅は容易に酸化される。しかし、本発明に係る銅含有粒子は、表面の少なくとも一部が有機物で被覆されているため、大気中で保存しても酸化が抑制されるという利点を有する。
また、加熱処理工程の加熱を電磁波で実施することで、より低い熱処理温度で導体化が実現できる。この理由は定かではないが、電磁波による分子振動により、銅含有粒子表面に存在する有機物の脱離及び分解を促進するためであると推測される。
以上により、本発明の製造方法によれば、より低温での導体化が実現され、且つ有機物の熱分解の工程後に還元工程を行わずに済み、工程が簡略化される。
(電磁波)
電磁波は波長によって様々な特徴を持ち、大きく電波、光、X線・γ線に分けることができる。
最も波長の長い電波は、進行方向に多少の障害物があっても進行することができる。このため、通信や放送などの長距離の情報送信に使用されることが多い。電波よりも波長の短い光は、物質に吸収されて化学反応や発熱などの相互作用を生じることがある。さらに波長が短いX線になると、光子の持つエネルギーが大きいため、分子に吸収されて熱振動に変わることはなく、物質を構成する電子などに直接作用する(分子の熱振動に比べて原子を構成する電子の励起エネルギーは大きい)。
この中でも、光やX線が物質の加熱には好適であり、食品などの加熱でも用いられる、赤外線や遠赤外線が更に好ましい。原子・電子の振動を生じさせ加熱するマイクロ波なども利用できる。
電磁波の波長はランプの種類によって種々変更することができる。赤外線を発生できる赤外線ランプヒータにも種類があり、ニクロム線を発熱体としたLTランプヒータは遠赤外線、ハロゲンランプヒータは近〜中赤外線の発生に優れる。
(基板)
本発明では、導電材料を基板に設けて、加熱処理する。基板の材質は特に制限されず、導電性を有していても有していなくてもよい。例えば、Cu、Au、Pt、Pd,Ag、Zn、Ni、Co、Fe、Al、Sn等の金属、これら金属の合金、ITO、ZnO、SnO、Si等の半導体、ガラス、黒鉛、グラファイト等のカーボン材料、樹脂、紙などを挙げることができる。
本発明の導電膜の製造方法は、特に、耐熱性が比較的低い材質からなる基板を用いる場合に好適に適用することができる。このような材質としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
基板の形状は特に制限されず、板状、棒状、ロール状、フィルム状等であってよい。
(導電材料)
本発明の導電膜の製造方法において使用される導電材料は、銅を含有するコア粒子と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置される有機物とを有する銅含有粒子、及び分散媒を含み、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
−銅含有粒子−
本発明における銅含有粒子は、銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部に有機物が配置される。コア粒子の表面の少なくとも一部が有機物により被覆されると、銅含有粒子の酸化が抑制され、大気中でも長期保存が可能な銅含有粒子を得ることができる。
銅含有粒子の酸化をより効果的に抑制する観点からは、有機物の含有率は銅含有粒子中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましい。より低温での導体化を図る観点からは、有機物の含有率は銅含有粒子中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。
有機物の含有率は、有機物が熱分解する温度以上の温度で銅含有粒子を加熱し、加熱前後の質量を比較することで得られる。
本発明の好ましい一実施態様では、有機物は炭素数が7以下のアルキル基を有するアミンであり、アルキルアミンに由来する物質を含む。アルキルアミンはRNH(Rは炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよい)で表される1級アミン、RNH(R及びRは同じであっても異なっていてもよい炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよい)で表される2級アミン、炭化水素鎖に2つのアミノ基が置換したアルキレンジアミン等を意味する。アルキルアミンは、1つ以上の二重結合を有していてもよく、酸素、ケイ素、窒素、硫黄、リン等の原子を有していてもよい。アルキルアミンは、1種のみであっても2種以上であってもよい。
本発明の方法に使用される1級アミンとして具体的には、エチルアミン、2−エトキシエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン等を挙げることができる。
本発明の方法に使用される2級アミンとして具体的には、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等を挙げることができる。
本発明の方法に使用されるアルキレンジアミンとして具体的には、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N´−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N´−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノへキサン、N,N´−ジメチル−1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,12−ジアミノドデカン等を挙げることができる。
アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は、7以下であることが好ましい。炭素数が7以下のアルキルアミン(特定アルキルアミン)は、分子量が比較的小さいために、比較的低い温度でも熱分解する傾向がある。より良好な導体化を達成する観点からは、アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は6以下であることがより好ましい。また、アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は4以上であることが好ましい。
炭素数が7以下である1級アミンとして具体的には、エチルアミン、2−エトキシエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン等を挙げることができる。
炭素数が7以下である2級アミンとして具体的には、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン等を挙げることができる。
炭素数が7以下であるアルキルジアミンとして具体的には、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N´−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N´−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノへキサン、N,N´−ジメチル−1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン等を挙げることができる。
本発明に係わる銅含有粒子の形状は特に制限されない。例えば、球状、長粒状、扁平状等を挙げることができ、銅含有粒子の用途にあわせて選択できる。印刷用ペーストを調製する観点からは、球状又は長粒状であることが好ましい。
本発明に係わる銅含有粒子の大きさは特に制限されず、用途に応じて選択することができる。無作為に選択される200個の銅含有粒子の長軸の長さの中央値が10〜500nmの範囲内であることが好ましく、10〜200nmの範囲内であることがより好ましい。無作為に選択される200個の銅含有粒子の長軸の長さの中央値が10nm以上であると、前記の値が10nm未満である粒子に比べて反応性が低いために本発明における特定の酸素濃度範囲において酸化がより良好に抑制される傾向にある。
本発明において長軸の長さとは、粒子に外接し、互いに平行である二平面の間の距離が最大となるように選ばれる二平面間の距離を意味する。本発明において長軸の長さの中央値とは、200個の銅含有粒子の長軸の長さの値の平均値を意味し、長軸の長さの値を小さい順に並べたときに中央に位置する2つの値(100番目及び101番目)の算術平均値を意味する。銅含有粒子の長軸の長さは、電子顕微鏡による観察等の通常の方法によって測定できる。
本発明に係わる銅含有粒子は、少なくとも金属銅(銅を含有するコア粒子)及びその表面に有機物を含み、必要に応じてその他の物質を含んでもよい。有機物は、アルキルアミンが好ましい。その他の物質としては、金、銀、白金、錫、ニッケル等の金属又はこれらの金属元素を含む化合物、後述する脂肪酸銅、還元性化合物、銅酸化物、塩化銅等を挙げることができる。導電性に優れる銅パターンを形成する観点からは、銅含有粒子中の金属銅の含有率は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
本発明における銅含有粒子は、コア粒子の表面の少なくとも一部にアルキルアミンのようにアミノ基を有する有機物が存在しているために酸化が抑制されており、銅酸化物の含有率が小さい。例えば、ある実施態様では、コア粒子中の銅酸化物の含有率が5質量%以下である。コア粒子中の銅酸化物の含有率は、例えば、X線回折スペクトル(XRD、X-ray diffraction)によって測定することができる。コア粒子中の銅酸化物の含有率は、導体化の前に測定したときの値である。
−有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子(銅含有粒子)の製造方法−
本発明に係る銅含有粒子(有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子)の製造方法は特に制限されない。本発明の好ましい一実施態様では、炭素数が9以下である脂肪酸と銅との金属塩(塩化合物、脂肪酸銅)と、還元性化合物と、炭素数が7以下であるアルキルアミンを含むアルキルアミンと、を含む組成物を加熱する工程を有する方法によって本発明に係る銅含有粒子を製造することができる。
前記方法は、銅前駆体として、炭素数が9以下である脂肪酸と銅との金属塩を使用すると好ましいものである。これにより、銅前駆体としてシュウ酸銅等を用いる特許文献1に記載の方法と比較して、より沸点の低い(すなわち、分子量の小さい)アルキルアミンを反応媒として使用することが可能になると考えられる。その結果、得られる銅含有粒子の表面に存在する有機物がより熱分解しやすいものとなり、導体化を低温で実施することが可能になっていると考えられる。
−脂肪酸−
前記方法に使用される脂肪酸は、RCOOHで表される1価のカルボン酸(Rは鎖状の炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい)である。本発明で使用される脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。コア粒子の良好な被覆を得る観点からは、直鎖状の飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸は1種のみでも、2種以上であってもよい。
低温で良好な焼結を得る観点からは、前記脂肪酸の炭素数が9以下であることが好ましい。炭素数が9以下である飽和脂肪酸としては、酢酸(炭素数2)、プロピオン酸(炭素数3)、酪酸及びイソ酪酸(炭素数4)、吉草酸及びイソ吉草酸(炭素数5)、カプロン酸(炭素数6)、エナント酸及びイソエナント酸(炭素数7)、カプリル酸、イソカプリル酸及びイソカプロン酸(炭素数8)、ノナン酸及びイソノナン酸(炭素数9)等を挙げることができる。炭素数が9以下である不飽和脂肪酸としては、上記の飽和脂肪酸の炭化水素基中に1つ以上の二重結合を有するものを挙げることができる。
本発明における銅含有粒子の製造に使用される脂肪酸の種類は、得られる銅含有粒子の分散媒(溶媒)への分散性、焼結性等の性質に影響しうる。このため、銅含有粒子の用途に応じて脂肪酸の種類を選択することが好ましい。分散媒への分散性と低温での導体化性を両立する観点からは、炭素数が5以上、9以下である脂肪酸と、炭素数が4以下である脂肪酸とを併用することが好ましい。例えば、炭素数が9であるノナン酸と、炭素数が2である酢酸とを併用することが好ましい。
炭素数が5以上、9以下である脂肪酸と炭素数が4以下である脂肪酸とを併用する場合の比率は、特に制限されない。尚、炭素数が9以下である脂肪酸中の炭素数が4以下である脂肪酸の割合を40モル%未満とすると、一方の方向に長く延びる長粒の形状の銅含有粒子を安定して製造することができる。一方、炭素数が4以下である脂肪酸の割合を40モル%以上とすると、球形の形状に制御される傾向にある。
炭素数が9以下である脂肪酸と銅との塩化合物(脂肪酸銅)を得る方法は特に制限されない。例えば、水酸化銅と脂肪酸とを溶媒中で混合することで得てもよく、市販されている脂肪酸銅を用いてもよい。あるいは、水酸化銅、脂肪酸及び還元性化合物を溶媒中で混合することで、脂肪酸銅の生成と、脂肪酸銅と還元性化合物との間で形成される錯体の生成とを一括して行ってもよい。
−還元性化合物−
前記方法に使用される還元性化合物は、脂肪酸銅と混合した際に両化合物間で錯体等の複合化合物を形成すると考えられる。これにより、還元性化合物が脂肪酸銅中の銅イオンに対する電子のドナーとなり銅イオンの還元が生じやすくなり、錯体を形成していない状態の脂肪酸銅よりも自発的な熱分解による銅原子の遊離が生じやすくなると考えられる。還元性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
還元性化合物として具体的には、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン等のヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン誘導体等のヒドロキシルアミン化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム化合物などを挙げることができる。
脂肪酸銅中の銅原子に対して配位結合を形成しやすい、脂肪酸銅の構造を維持した状態で錯体を形成しやすい等の観点からは、アミノ基を有する還元性化合物が好ましい。アミノ基を有する還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。
前記方法において脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程(以下では加熱工程ともいう)における加熱温度を低くする(例えば、150℃以下)観点からは、アルキルアミンの蒸発又は分解を生じない温度範囲において銅原子の還元及び遊離を生じる錯体を形成可能な還元性化合物を選択することが好ましい。このような還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。これらの還元性化合物は、骨格を成す窒素原子が銅原子との配位結合を形成して錯体を形成可能である。また、これらの還元性化合物は一般にアルキルアミンと比較して還元力が強いため、生成した錯体が比較的穏和な条件で自発的な分解を生じ、銅原子の還元及び遊離が生じる傾向にある。
ヒドラジン又はヒドロキシルアミンの代わりにこれらの誘導体から好適なものを選択することで、脂肪酸銅との反応性を調節することができ、所望の条件で自発分解を生じる錯体を生成することができる。ヒドラジン誘導体としては、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、イソブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、イソペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、イソヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン、2−ヒドラジノエタノール、アセトヒドラジン等を挙げることができる。ヒドロキシルアミンの誘導体としては、N,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミン、モノメチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキシルアミン等を挙げることができる。
脂肪酸銅に含まれる銅と還元性化合物の比率は、所望の錯体が形成される条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:還元性化合物)はモル基準で1:1〜1:4の範囲とすることができ、1:1〜1:3の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:2の範囲とすることがより好ましい。
−アルキルアミン−
前記方法に使用されるアルキルアミンは、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体の分解反応の反応媒として機能すると考えられる。さらに、還元性化合物の還元作用によって生じるプロトンを捕捉し、反応溶液が酸性に傾いて銅原子が酸化されることを抑制すると考えられる。
アルキルアミンは、本発明の銅含有粒子の表面に存在する有機物に関連して述べたものと同様である。アルキルアミンが特定アルキルアミン(炭素数が7以下であるアルキルアミン)以外のアルキルアミンを含む場合、アルキルアミン全体に占める特定アルキルアミンの割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
脂肪酸銅に含まれる銅とアルキルアミンの比率は、所望の銅含有粒子が得られる条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:アルキルアミン)はモル基準で1:1〜1:8の範囲とすることができ、1:1〜1:6の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:4の範囲とすることがより好ましい。
−加熱工程−
前記方法において、脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程を実施するための方法は特に制限されない。例えば、脂肪酸銅と還元性化合物とを混合した後にアルキルアミンを添加して得た組成物を加熱する方法、脂肪酸銅とアルキルアミンとを混合した後に還元性化合物を添加して得た組成物を加熱する方法、脂肪酸銅の出発物質である水酸化銅、脂肪酸、還元性化合物及びアルキルアミンを混合して得た組成物を加熱する方法等を挙げることができる。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物の加熱は、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体が分解する温度で行われる。例えば、前記加熱は150℃以下で行うことが好ましく、130℃以下で行うことがより好ましく、100℃以下で行うことが更に好ましい。前記方法では、銅前駆体として特定の脂肪酸銅を用いることにより、加熱工程を比較的低温で行うことができる。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物は、さらに溶媒を含んでもよい。脂肪酸銅と還元性化合物による錯体の形成を促進する観点からは、極性溶媒を含むことが好ましい。ここで極性溶媒とは、25℃で水に対する溶解度を有するものであることが好ましく、アルコール溶媒であることがより好ましい。溶媒としてアルコールを用いることで錯体の形成が促進される理由は明らかではないが、固体である脂肪酸銅を溶解させながら水溶性である還元性化合物との接触が促進されるためと考えられる。溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
25℃で水に対する溶解度を示すアルコールとしては、炭素数が1〜8であり、分子中に水酸基を1つ有するアルコールを挙げることができる。このようなアルコールとしては、直鎖状のアルキルアルコール、フェノール、分子内にエーテル結合を有する炭化水素の水素原子を水酸基で置換したもの等を挙げることができる。より強い極性を発現する観点からは、分子中に水酸基を2個以上含むアルコールも好ましく用いられる。また、製造される銅含有粒子の用途に応じて硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等を含むアルコールを用いてもよい。
溶媒として用いるアルコールとして具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ピナコール、プロピレングリコール、メントール、カテコール、ヒドロキノン、サリチルアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、スクロース、グルコース、キシリトール、メトキシエタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等を挙げることができる。
前記アルコールのうち、水に対する溶解度が極めて大きいメタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールが好ましく、1−プロパノール及び2−プロパノールがより好ましく、1−プロパノールが更に好ましい。
(分散媒)
本発明における導電材料に使用される分散媒は特に制限されず、導電性インク、導電性ペースト等の作製に一般に用いられる有機溶剤から用途に応じて選択できる。例えば、粘度コントロールの観点からは、テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート等が好ましい。
(その他の成分)
本発明における導電材料は、上述した成分に加え、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられるその他の成分を更に含むことができる。その他の成分としては、例えば、チクソ剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤、無機結合剤、金属酸化物、セラミック及び有機金属化合物を挙げることができる。
(導電材料の製造方法)
本発明における導電材料の製造方法は、特に限定されず、当該技術分野で通常用いられる方法を用いることができる。
例えば、本発明における銅含有粒子及び必要に応じて含まれるその他の成分を分散媒中に分散処理することで調製することができる。分散処理は、石川式攪拌器、自転公転式撹拌機、超薄膜高速回転式分散機、ロールミル、超音波分散機、ビーズミル等のメディア分散機、ホモミキサー、シルバーソン攪拌機等のキャビテーション攪拌装置、アルテマイザー等の対向衝突法を用いることができる。また、これらの手法を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る導電材料の状態は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、導電材料をスクリーン印刷法に適用する場合は、使用する温度で粘度が0.1〜30Pa・sの導電性ペーストであることが好ましく、1〜30Pa・sであることがより好ましい。導電材料をインクジェット印刷法に適用する場合は、使用する温度で粘度が0.1〜30mPa・sの導電性インクであることが好ましく、5〜20mPa・sであることがより好ましい。
(導電材料の付与方法)
導電材料を基板上に付与して導電材料含有層を形成する方法は、導電材料を基板上の任意の場所に任意の形状で形成可能な手法であれば特に制限はない。このような手法として、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、転写印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンサ法、ジェットディスペンサ法、ニードルディスペンサ法、カンマコート法、スリットコート法、ダイコート法、グラビアコート法、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、ソフトリソグラフ法、ディップペンリソグラフ法、粒子堆積法、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、電着塗装法等を挙げることができる。中でも、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンサ法、ニードルディスペンサ法、カンマコート法、スリットコート法、ダイコート法及びグラビアコート法からなる群より選択される少なくとも1種の方法であることが好ましい。例えば、ペースト状の導電材料をスクリーン印刷法により基板上に付与してもよく、インク状の導電材料をインクジェット印刷法により基板上に付与してもよい。
(導電膜の特性)
基板上に形成される導電膜の形状は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
また、導電膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば0.2〜50μmとすることができ、導電性及び接続信頼性の観点から0.5〜20μmであることが好ましい。
<加熱処理工程>
加熱処理工程では、電磁波による放射(輻射)加熱により、導電膜が加熱される方法であればどのような装置を用いても良い。また、効率向上のため、その他の加熱方法、例えば熱板による伝熱加熱や気相/液相による伝熱加熱を併用しても良い。
温度範囲としては、用いる基材にダメージが発生しない温度を選択すべきである。250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下であれば、基材の選択肢が拡がり望ましい。
更に、加熱時の雰囲気として、不活性ガス雰囲気や還元性ガス雰囲気を使用することができる。加熱処理工程における不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。還元性ガスとして導入可能な物質としては、ギ酸や水素等が挙げられるが、特に制限はない。
本発明に係る導電材料は上述のように、比較的低い温度で導体化することが可能である。具体的には例えば、150℃以下で導体化することができる。従って、例えば、樹脂等の耐熱性の低い基板上に銅配線を形成する場合等にも好適に用いることができる。加熱処理工程は一定の昇温速度で行っても、不規則に変化させてもよい。加熱処理時間は特に限定されず、加熱処理温度、加熱処理雰囲気、銅含有粒子の量等を考慮して選択できる。加熱処理時間は、工程管理の観点から、10〜120分であることが好ましい。
加熱処理工程中の酸素濃度は低いほうが、導体化後(有機物除去後)の銅の酸化が抑制され好ましい。酸素濃度は10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましい。
加熱処理工程中の圧力に特に規定はないが、有機物の揮発を促進するため、大気圧よりも減圧した雰囲気であることが好ましい。
<その他の工程>
本発明の導電膜の製造方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。その他の工程としては、加熱処理工程後に酸化銅を還元する工程、加熱処理工程後に光焼成等により残存成分を除去する工程、加熱処理工程後に荷重をかける工程などを挙げることができる。
本発明の導電膜の製造方法により得られる銅層(導電体)付き基板は、従来よりも低温の加熱処理により製造することができるため、基板の損傷が少ない。従って、例えば、樹脂等の耐熱性の低い基板上に銅配線を形成する場合等にも好適に用いることができる。
また、本発明における導電体(銅層)は、基板上に付与された導電材料の焼結物であるため、めっき法等により形成される導体と比較して、添加物として使用されるパラジウム等の不純物の量が少なく、体積抵抗率を低くすることができる傾向にある。
本発明の導電膜の製造方法を用いて製造された装置としては、配線板、太陽電池基板、半導体パッケージ、半導体等の電気配線(配線基板)、電極基板、熱導電路基板等の伝熱配線が挙げられる。さらに、電気めっきのためのシード層や電磁波シールドのためのコーティング材などの装置にも利用できる。
以下、本発明について実施例を示して説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
<実施例1>
[1.1]ノナン酸銅の合成
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、純度90質量%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
[1.2]銅を含有するコア粒子の合成
上記で得られたノナン酸銅(II)21.01g(0.056mol)と酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)4.33g(0.024mol)をセパラブルフラスコに入れ、1−プロパノール10mLとヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、純度99質量%)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中で、80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を1−プロパノール12mLに溶解させた溶液を脂肪酸銅の溶液に加え、氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で、90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、10分以内で反応が終了した。セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を4000min−1(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物を更にヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅粒子を含む銅ケークを得た。
[1.3]導電材料の調製
有機物(ヘキシルアミン)で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子として上記で得られた銅ケーク(60質量部)、分散媒としてテルピネオール(20質量部)、及びイソボルニルシクロヘキサノール(商品名:テルソルブMTPH、日本テルペン化学株式会社)(20質量部)を混合して導電材料を得た。この導電材料を用いて、縦10mm、横10mmのパターンにて導電材料からなる導電材料層を6ヶ形成した。
[1.4]導体化
上記の導電材料(導電性組成物)をポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上に塗布し、1000Paに減圧した窒素雰囲気中、電磁波源としてハロゲンランプヒータを使用して150℃まで昇温し、60分間保持して導電膜を形成した。
[低温導体化の評価]
得られた導電膜の表面抵抗値と膜厚から体積抵抗率を算出した。表面抵抗値の測定には、株式会社三菱化学アナリテック製ロレスタ−GPを使用し、四探針四端子法で測定した。測定時電圧を10Vとし、MCPプローブを使用した。また、非接触表面・層断面形状計測システム(VertScan、株式会社菱化システム)で導電膜の厚みを測定し、先に得た表面抵抗率を利用して体積抵抗率を算出した。
上記の結果で6点の導電膜中一点でも体積抵抗率が300μΩ・cmを超えた場合、低温導体化が「不良」であると評価した。
結果はいずれの導電膜パターンの体積抵抗率も30μΩ・cm以下であり、体積抵抗率が充分に低い導体が形成された。
<実施例2>
実施例1の導体化工程で、ハロゲンランプヒータに加え、150℃に加熱した熱盤を併用した以外は、同様に評価した結果、いずれの導電膜パターンでも体積抵抗率25μΩ・cm以下の結果を得た。
<実施例3>
実施例1の導体化工程で、ハロゲンランプヒータに替え、LTランプヒータを使用した以外は同様に評価した結果、いずれの銅膜パターンでも体積抵抗率50μΩ・cm以下の結果を得た。
<実施例4>
実施例1の導体化工程で、ハロゲンランプヒータに替え、カーボンランプヒータを使用した以外は同様に評価した結果、いずれの導電膜パターンでも体積抵抗率30μΩ・cm以下の結果を得た。
<実施例5>
実施例1の導体化工程で、ハロゲンランプヒータに替え、タングステンランプヒータを使用した以外は同様に評価した結果、いずれの導電膜パターンでも体積抵抗率50μΩ・cm以下の結果を得た。
<比較例1>
ハロゲンランプヒータを使用しない以外は実施例2と同様に導体化工程を実施した。その結果、一部の導電膜で装置測定上限を超え、300μΩ・cm以下を達成しなかった。

Claims (11)

  1. 有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子及び分散媒からなる導電材料を、電磁波による加熱により、250℃以下の温度で加熱処理する工程を含む導電体の製造方法。
  2. 前記導電材料を、電磁波による加熱により、200℃以下の温度で加熱処理する工程を含む請求項1に記載の導電膜の製造方法。
  3. 前記導電材料を、電磁波による加熱により、150℃以下の温度で加熱処理する工程を含む請求項1に記載の導電膜の製造方法。
  4. 前記有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子における有機物の含有率が、0.1〜10.0質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法。
  5. 前記有機物が、アルキルアミンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法。
  6. 前記有機物で表面の少なくとも一部を被覆された銅を含有するコア粒子が、脂肪酸と銅の塩化合物(脂肪酸銅)と、還元性化合物及びアルキルアミンの混合物を加熱する工程を有して得られる銅含有粒子である請求項1〜5のいずれかに一項に記載の導電膜の製造方法。
  7. 前記脂肪酸の炭素数が9以下である請求項6に記載の導電膜の製造方法。
  8. 前記還元性化合物が、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアミン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項6又は請求項7に記載の導電膜の製造方法。
  9. 前記アルキルアミンの炭素数が7以下である請求項6〜8のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法により得られた導電体。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の導電膜の製造方法で製造された導電膜を、電気配線、伝熱配線、コーティング材として使用した装置。
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