JP2016039008A - 銅層付き基板の製造方法、及び銅層付き基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】工程が簡略化され且つより低温での導体化が可能な銅層付き基板の製造方法を提供する。【解決手段】基板上に、銅を含有するコア粒子と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物とを有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程と、飽和ガスとして導入可能な酸を含み且つ酸素濃度が1ppm〜10000ppmの雰囲気下で、前記導電材料含有層を、150℃以下の温度域で熱処理して銅層を形成する工程と、を含む銅層付き基板の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、銅層付き基板の製造方法、及び銅層付き基板に関する。
金属パターンの形成方法として、銅等の金属粒子を含むインク、ペースト等の導電材料をインクジェット印刷、スクリーン印刷等により基板上に付与する工程と、導電材料を加熱して金属粒子を焼結させ、導電性を発現させる導体化工程とを含む方法が知られている。
導電材料に印刷性を付与する観点から、導電材料にはバインダー樹脂等が一般的に添加される。また、ペースト等の導電材料中での金属粒子の分散性を高める観点から、導電材料に有機分散剤が添加されることがある。更には、金属粒子が銅粒子の場合、銅は酸化しやすい物質であるため保護剤が使用されることがある。バインダー樹脂、有機分散剤、保護剤等の有機物成分は、導体化工程において金属粒子同士の焼結を阻害する要因となる。それゆえ、体積抵抗率の低い導体を得るためには有機物成分を除去する必要があり、導体化工程を酸素雰囲気下において高温で行い、これら有機物成分を燃焼させて除去している。
他方、生産効率の向上、使用する基板の種類の多様化等の観点から、より低温(例えば、150℃以下)での導電材料の導体化を可能にする技術の開発が求められている。また、銅は酸素雰囲気下での加熱により容易に酸化銅となってしまうため、有機物成分を除去した後で還元雰囲気において焼結するという工程の煩雑さがある。
そこで、銅の酸化を抑制して保存性を高めるために、銅粒子の表面に被覆材としての有機物を付着させたものが知られている。例えば、特許文献1には、低温で焼結でき、良好な導電性を発現する被覆銅粒子及びその製造方法が記載されている。特許文献1に記載の銅粒子は、シュウ酸銅等の銅前駆体とヒドラジン等の還元性化合物とを混合して複合化合物を得る工程と、前記複合化合物をアルキルアミンの存在下で加熱する工程とを有する方法によって製造されるものである。特許文献1の実施例では、作製した銅粒子を含むインクをアルゴン雰囲気中、60℃/分で300℃まで加熱して30分保持することで導体化を達成している。
特許文献2には、導電性金属粉末、有機ビヒクル等を含む導電性ペースト組成物が記載されている。有機バインダー除去を目的に、通常、250℃〜330℃、空気雰囲気、窒素雰囲気等で熱処理を施して有機ビヒクルを燃焼させた後、金属粉末が酸化されないように中性又は還元雰囲気で850℃〜1300℃で焼結することが記載されている。
特開2012−72418号公報 特開2012−226865号公報
近年、生産効率の向上、使用する基板の種類の多様化等の観点から、より低温(例えば、150℃以下)での金属粒子の導体化を可能にする技術の開発が求められている。また、導体化工程の簡便さが求められている。従って、特許文献1及び2に記載されている温度よりもさらに低い温度で、しかも簡便に実施できる導体化方法の開発が求められている。
本発明は上記課題に鑑み、工程が簡略化され且つより低温での導体化が可能な銅層付き基板の製造方法、及びこれにより得られる銅層付き基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1> 基板上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程と、
飽和ガスとして導入可能な酸を含み且つ酸素濃度が1ppm〜10000ppmの雰囲気下で、前記導電材料含有層を、150℃以下の温度域で熱処理して銅層を形成する工程と、
を含む、銅層付き基板の製造方法。
<2> 前記銅含有粒子中のアミノ基を有する有機物の含有率が、0.1質量%〜20質量%である、前記<1>に記載の銅層付き基板の製造方法。
<3> 前記アミノ基を有する有機物が、炭素数が7以下のアルキル基を有する、前記<1>又は<2>に記載の銅層付き基板の製造方法。
<4> 前記コア粒子中の銅酸化物の含有率が、5質量%以下である、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の銅層付き基板の製造方法。
<5> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の製造方法により得られる銅層付き基板。
<6> 基板と、
前記基板上に配置される、銅を含有するコア粒子と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物とを有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料の焼結物である銅層と、
を有する銅層付き基板。
本発明によれば、工程が簡略化され且つより低温での導体化が可能な銅層付き基板の製造方法、及びこれにより得られる銅層付き基板を提供することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
本明細書において「導体化」との語は、金属含有粒子を焼結させて導電性を有する物体に変化させることをいう。「導体」とは、導電性を有する物体をいう。導電性とは、体積抵抗率が300μΩcm以下であることを意味する。
<銅層付き基板の製造方法>
本発明の銅層付き基板の製造方法は、基板上に、銅を含有するコア粒子(以下、「コア粒子」とも称する)と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物とを有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程(以下、「導電材料付与工程」とも称する)と、飽和ガスとして導入可能な酸を含み且つ酸素濃度が1ppm〜10000ppmの雰囲気下で、前記導電材料含有層を150℃以下の温度域で熱処理して銅層を形成する工程(以下、「熱処理工程」とも称する)と、を含む。本発明の導電性積層体の製造方法は、必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明の導電性積層体の製造方法は、上記構成を採ることにより、工程が簡略化され、且つより低温での導体化が可能となる。これにより、耐熱性が比較的低い基板上にも銅層を形成することができる。その理由は以下のように推察される。
銅は容易に酸化される。しかし、本発明に係る銅含有粒子は、表面の少なくとも一部が有機物で被覆されているため、大気中で保存しても酸化が抑制されるという利点を有する。
また、熱処理工程が、酸素濃度1ppm以上の雰囲気下で実行されるため、焼結させる際には導体化の妨げとなる有機物が熱分解により除去される。そして、酸素の存在により、有機物の熱分解が促進され、熱処理温度を低くすることができる。また、酸素濃度10000ppm以下の雰囲気下で実行されることで、銅の不要な酸化が抑えられる。更に、酸素濃度10000ppm以下の雰囲気下において、飽和ガスとして導入可能な酸を更に含むことで、より低い熱処理温度で導体化が実現できる。この理由は定かではないが、酸が銅含有粒子の表面に配置される有機物の脱離及び分解を促進するためであると推測される。
尚、特許文献1に記載の実施例では加熱の際の雰囲気中の酸素濃度について具体的な記載がなく、有機物の熱分解を充分なものとするために加熱を最高温度300℃で実施している。
また、本発明における銅含有粒子では酸化が抑制されるため、従来の銅含有粒子に比べて銅酸化物の含有率は少なくなり、仮に銅酸化物を少量含有しているとしても、酸を含む雰囲気下で熱処理されることで、銅酸化物が還元されて金属銅が生成する。したがって、より低抵抗な銅層(導体)が得られる。しかも、有機物の熱分解と金属銅への還元とが一括して行われるため、工程の簡略化が図られる。
以上により、本発明の製造方法によれば、より低温での導体化が実現され、且つ有機物の熱分解の工程後に還元工程を行わずに済み、工程が簡略化される。
〔導電材料付与工程〕
本発明に係る導電材料付与工程では、基板上に、銅を含有するコア粒子と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物とを有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する。
(基板)
基板の材質は特に制限されず、導電性を有していても有していなくてもよい。例えば、Cu、Au、Pt、Pd,Ag、Zn、Ni、Co、Fe、Al、Sn等の金属、これら金属の合金、ITO、ZnO、SnO、Si等の半導体、ガラス、黒鉛、グラファイト等のカーボン材料、樹脂、紙などを挙げることができる。
本発明の導電性積層体の製造方法は、特に、耐熱性が比較的低い材質からなる基板を用いる場合に好適に適用することができる。このような材質としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
基板の形状は特に制限されず、板状、棒状、ロール状、フィルム状等であってよい。
(導電材料)
本発明の導電性積層体の製造方法において使用される導電材料は、銅を含有するコア粒子と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物とを有する銅含有粒子、及び分散媒を含み、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
−銅含有粒子−
本発明における銅含有粒子は、銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部にアミノ基を有する有機物(以下、「有機物」と略称される場合がある)が配置される。コア粒子の表面の少なくとも一部が有機物により被覆されると、銅含有粒子の酸化が抑制され、大気中でも長期保存が可能な銅含有粒子を得ることができる。
銅含有粒子の酸化をより効果的に抑制する観点からは、有機物の含有率は銅含有粒子中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。より低温での導体化を図る観点からは、有機物の含有率は銅含有粒子中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
有機物の含有率は、有機物が熱分解する温度以上の温度で銅含有粒子を加熱し、加熱前後の質量を比較することで得られる。
本発明の好ましい一実施態様では、アミノ基を有する有機物は炭素数が7以下のアルキル基を有し、アルキルアミンに由来する物質を含む。アルキルアミンはRNH(Rは炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよい)で表される1級アミン、RNH(R及びRは同じであっても異なっていてもよい炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよい)で表される2級アミン、炭化水素鎖に2つのアミノ基が置換したアルキレンジアミン等を意味する。アルキルアミンは、1つ以上の二重結合を有していてもよく、酸素、ケイ素、窒素、硫黄、リン等の原子を有していてもよい。アルキルアミンは、1種のみであっても2種以上であってもよい。
本発明の方法に使用される1級アミンとして具体的には、エチルアミン、2−エトキシエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン等を挙げることができる。
本発明の方法に使用される2級アミンとして具体的には、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等を挙げることができる。
本発明の方法に使用されるアルキレンジアミンとして具体的には、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノへキサン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,12−ジアミノドデカン等を挙げることができる。
アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は、7以下であることが好ましい。炭素数が7以下のアルキルアミン(特定アルキルアミン)は、分子量が比較的小さいために、比較的低い温度でも熱分解する傾向がある。より良好な導体化を達成する観点からは、アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は6以下であることがより好ましい。また、アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は4以上であることが好ましい。
炭素数が7以下である1級アミンとして具体的には、エチルアミン、2−エトキシエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン等を挙げることができる。
炭素数が7以下である2級アミンとして具体的には、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン等を挙げることができる。
炭素数が7以下であるアルキルジアミンとして具体的には、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノへキサン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン等を挙げることができる。
本発明における銅含有粒子の形状は特に制限されない。例えば、球状、長粒状、扁平状等を挙げることができ、銅含有粒子の用途にあわせて選択できる。印刷用ペーストを調製する観点からは、球状又は長粒状であることが好ましい。
本発明における銅含有粒子の大きさは特に制限されず、用途に応じて選択することができる。無作為に選択される200個の銅含有粒子の長軸の長さの中央値が10nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜200nmの範囲内であることがより好ましく、10nm〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。無作為に選択される200個の銅含有粒子の長軸の長さの中央値が10nm以上であると、前記の値が10nm未満である粒子に比べて反応性が低いために本発明における特定の酸素濃度範囲において酸化がより良好に抑制される傾向にある。
本発明において長軸の長さとは、粒子に外接し、互いに平行である二平面の間の距離が最大となるように選ばれる二平面間の距離を意味する。本発明において長軸の長さの中央値とは、200個の銅含有粒子の長軸の長さの値を小さい順に並べたときに中央に位置する2つの値(100番目及び101番目)の算術平均値を意味する。銅含有粒子の長軸の長さは、電子顕微鏡による観察等の通常の方法によって測定できる。
本発明における銅含有粒子は、少なくとも金属銅及びアミノ基を有する有機物を含み、必要に応じてその他の物質を含んでもよい。その他の物質としては、金、銀、白金、錫、ニッケル等の金属又はこれらの金属元素を含む化合物、後述する脂肪酸銅、還元性化合物、銅酸化物、塩化銅等を挙げることができる。導電性に優れる銅パターンを形成する観点からは、銅含有粒子中の金属銅の含有率は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における銅含有粒子は、コア粒子の表面の少なくとも一部にアミノ基を有する有機物が存在しているために酸化が抑制されており、銅酸化物の含有率が小さい。例えば、ある実施態様では、コア粒子中の銅酸化物の含有率が5質量%以下である。コア粒子中の銅酸化物の含有率は、例えば、X線回折スペクトル(XRD、X-ray diffraction)によって測定することができる。コア粒子中の銅酸化物の含有率は、導体化の前に測定したときの値である。
−銅含有粒子の製造方法−
本発明に係る銅含有粒子の製造方法は特に制限されない。本発明の好ましい一実施態様では、炭素数が9以下である脂肪酸と銅との金属塩と、還元性化合物と、炭素数が7以下であるアルキルアミンを含むアルキルアミンと、を含む組成物を加熱する工程を有する方法によって本発明に係る銅含有粒子を製造することができる。
前記方法は、銅前駆体として、炭素数が9以下である脂肪酸と銅との金属塩を使用するものである。これにより、銅前駆体としてシュウ酸銀等を用いる特許文献1に記載の方法と比較して、より沸点の低い(すなわち、分子量の小さい)アルキルアミンを反応媒として使用することが可能になると考えられる。その結果、得られる銅含有粒子の表面に存在する有機物がより熱分解しやすいものとなり、導体化を低温で実施することが可能になっていると考えられる。
−脂肪酸−
前記方法に使用される脂肪酸は、RCOOHで表される1価のカルボン酸(Rは鎖状の炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい)である。本発明で使用される脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。コア粒子の良好な被覆を得る観点からは、直鎖状の飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸は1種のみでも、2種以上であってもよい。
低温で良好な焼結を得る観点からは、前記脂肪酸の炭素数が9以下であることが好ましい。炭素数が9以下である飽和脂肪酸としては、酢酸(炭素数2)、プロピオン酸(炭素数3)、酪酸及びイソ酪酸(炭素数4)、吉草酸及びイソ吉草酸(炭素数5)、カプロン酸(炭素数6)、エナント酸及びイソエナント酸(炭素数7)、カプリル酸及びイソカプリル酸及びイソカプロン酸(炭素数8)、ノナン酸及びイソノナン酸(炭素数9)などを挙げることができる。炭素数が9以下である不飽和脂肪酸としては、上記の飽和脂肪酸の炭化水素基中に1つ以上の二重結合を有するものを挙げることができる。
本発明における銅含有粒子の製造に使用される脂肪酸の種類は、得られる銅含有粒子の分散媒への分散性、焼結性等の性質に影響しうる。このため、銅含有粒子の用途に応じて脂肪酸の種類を選択することが好ましい。分散媒への分散性と低温での導体化性を両立する観点からは、炭素数が5以上9以下である脂肪酸と、炭素数が4以下である脂肪酸とを併用することが好ましい。例えば、炭素数が9であるノナン酸と、炭素数が2である酢酸とを併用することが好ましい。
炭素数が5以上9以下である脂肪酸と炭素数が4以下である脂肪酸とを併用する場合の比率は、特に制限されない。尚、炭素数が9以下である脂肪酸中の炭素数が4以下である脂肪酸の割合を40モル%未満とすると、一方の方向に長く延びる長粒の形状の銅含有粒子を安定して製造することができる。一方、炭素数が4以下である脂肪酸の割合を40モル%以上とすると、球形の形状に制御される傾向にある。
炭素数が9以下である脂肪酸と銅との塩化合物(脂肪酸銅)を得る方法は特に制限されない。例えば、水酸化銅と脂肪酸とを溶媒中で混合することで得てもよく、市販されている脂肪酸銅を用いてもよい。あるいは、水酸化銅、脂肪酸及び還元性化合物を溶媒中で混合することで、脂肪酸銅の生成と、脂肪酸銅と還元性化合物との間で形成される錯体の生成とを一括して行ってもよい。
−還元性化合物−
前記方法に使用される還元性化合物は、脂肪酸銅と混合した際に両化合物間で錯体等の複合化合物を形成すると考えられる。これにより、還元性化合物が脂肪酸銅中の銅イオンに対する電子のドナーとなり銅イオンの還元が生じやすくなり、錯体を形成していない状態の脂肪酸銅よりも自発的な熱分解による銅原子の遊離が生じやすくなると考えられる。還元性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
還元性化合物として具体的には、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン等のヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン誘導体等のヒドロキシルアミン化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム化合物などを挙げることができる。
脂肪酸銅中の銅原子に対して配位結合を形成しやすい、脂肪酸銅の構造を維持した状態で錯体を形成しやすい等の観点からは、アミノ基を有する還元性化合物が好ましい。アミノ基を有する還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。
前記方法において脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程(以下では加熱工程ともいう)における加熱温度を低くする(例えば、150℃以下)観点からは、アルキルアミンの蒸発又は分解を生じない温度範囲において銅原子の還元及び遊離を生じる錯体を形成可能な還元性化合物を選択することが好ましい。このような還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。これらの還元性化合物は、骨格を成す窒素原子が銅原子との配位結合を形成して錯体を形成可能である。また、これらの還元性化合物は一般にアルキルアミンと比較して還元力が強いため、生成した錯体が比較的穏和な条件で自発的な分解を生じ、銅原子の還元及び遊離が生じる傾向にある。
ヒドラジン又はヒドロキシルアミンの代わりにこれらの誘導体から好適なものを選択することで、脂肪酸銅との反応性を調節することができ、所望の条件で自発分解を生じる錯体を生成することができる。ヒドラジン誘導体としては、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、イソブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、イソペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、イソヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン、2−ヒドラジノエタノール、アセトヒドラジン等を挙げることができる。ヒドロキシルアミンの誘導体としては、N,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミン、モノメチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキシルアミン等を挙げることができる。
脂肪酸銅に含まれる銅と還元性化合物の比率は、所望の錯体が形成される条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:還元性化合物)はモル基準で1:1〜1:4の範囲とすることができ、1:1〜1:3の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:2の範囲とすることがより好ましい。
−アルキルアミン−
前記方法に使用されるアルキルアミンは、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体の分解反応の反応媒として機能すると考えられる。さらに、還元性化合物の還元作用によって生じるプロトンを捕捉し、反応溶液が酸性に傾いて銅原子が酸化されることを抑制すると考えられる。
アルキルアミンは、本発明の銅含有粒子の表面に存在する有機物に関連して述べたものと同様である。アルキルアミンが特定アルキルアミン(炭素数が7以下であるアルキルアミン)以外のアルキルアミンを含む場合、アルキルアミン全体に占める特定アルキルアミンの割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
脂肪酸銅に含まれる銅とアルキルアミンの比率は、所望の銅含有粒子が得られる条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:アルキルアミン)はモル基準で1:1〜1:8の範囲とすることができ、1:1〜1:6の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:4の範囲とすることがより好ましい。
−加熱工程−
前記方法において、脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程を実施するための方法は特に制限されない。例えば、脂肪酸銅と還元性化合物とを混合した後にアルキルアミンを添加して得た組成物を加熱する方法、脂肪酸銅とアルキルアミンとを混合した後に還元性化合物を添加して得た組成物を加熱する方法、脂肪酸銅の出発物質である水酸化銅、脂肪酸、還元性化合物及びアルキルアミンを混合して得た組成物を加熱する方法等を挙げることができる。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物の加熱は、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体が分解する温度で行われる。例えば、前記加熱は150℃以下で行うことが好ましく、130℃以下で行うことがより好ましく、100℃以下で行うことがさらに好ましい。前記方法では、銅前駆体として特定の脂肪酸銅を用いることにより、加熱工程を比較的低温で行うことができる。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物は、さらに溶媒を含んでもよい。脂肪酸銅と還元性化合物による錯体の形成を促進する観点からは、極性溶媒を含むことが好ましい。ここで極性溶媒とは、25℃で水に対する溶解度を有するものであることが好ましく、アルコール溶媒であることがより好ましい。溶媒としてアルコールを用いることで錯体の形成が促進される理由は明らかではないが、固体である脂肪酸銅を溶解させながら水溶性である還元性化合物との接触が促進されるためと考えられる。溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
25℃で水に対する溶解度を示すアルコールとしては、炭素数が1〜8であり、分子中に水酸基を1つ有するアルコールを挙げることができる。このようなアルコールとしては、直鎖状のアルキルアルコール、フェノール、分子内にエーテル結合を有する炭化水素の水素原子を水酸基で置換したもの等を挙げることができる。より強い極性を発現する観点からは、分子中に水酸基を2個以上含むアルコールも好ましく用いられる。また、製造される銅含有粒子の用途に応じて硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等を含むアルコールを用いてもよい。
溶媒として用いるアルコールとして具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ピナコール、プロピレングリコール、メントール、カテコール、ヒドロキノン、サリチルアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、スクロース、グルコース、キシリトール、メトキシエタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等を挙げることができる。
前記アルコールのうち、水に対する溶解度が極めて大きいメタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールが好ましく、1−プロパノール及び2−プロパノールがより好ましく、1−プロパノールがさらに好ましい。
(分散媒)
本発明における導電材料に使用される分散媒は特に制限されず、導電インク、導電ペースト等の作製に一般に用いられる有機溶剤から用途に応じて選択できる。例えば、粘度コントロールの観点からは、テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート等が好ましい。
(その他の成分)
本発明における導電材料は、上述した成分に加え、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられるその他の成分を更に含むことができる。その他の成分としては、例えば、チクソ剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤、無機結合剤、金属酸化物、セラミック、チクソ剤及び有機金属化合物を挙げることができる。
(導電材料の製造方法)
本発明における導電材料の製造方法は特に限定されず、当該技術分野で通常用いられる方法を用いることができる。
例えば、本発明における銅含有粒子及び必要に応じて含まれるその他の成分を分散媒中に分散処理することで調製することができる。分散処理は、石川式攪拌器、自転公転式撹拌機、超薄膜高速回転式分散機、ロールミル、超音波分散機、ビーズミル等のメディア分散機、ホモミキサー、シルバーソン攪拌機等のキャビテーション攪拌装置、アルテマイザー等の対向衝突法を用いることができる。また、これらの手法を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明の導電材料の状態は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、導電材料をスクリーン印刷法に適用する場合は、粘度が0.1Pa・s〜30Pa・sであることが好ましく、1Pa・s〜30Pa・sであることがより好ましい。導電材料をインクジェット印刷法に適用する場合は、粘度が0.1mPa・s〜30mPa・sであることが好ましく、5mPa・s〜20mPa・sであることがより好ましい。
(導電材料の付与方法)
導電材料を基板上に付与して導電材料含有層を形成する方法は、導電材料含有層を基板上の任意の場所に任意の形状で形成可能な手法であれば特に制限はない。このような手法として、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、転写印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンサ法、ジェットディスペンサ法、ニードルディスペンサ法、カンマコート法、スリットコート法、ダイコート法、グラビアコート法、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、ソフトリソグラフ法、ディップペンリソグラフ法、粒子堆積法、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、電着塗装法等を挙げることができる。中でも、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンサ法、ニードルディスペンサ法、カンマコート法、スリットコート法、ダイコート法及びグラビアコート法からなる群より選択される少なくとも1種の方法であることが好ましい。
例えば、ペースト状の導電材料をスクリーン印刷法により基板上に付与してもよく、インク状の導電材料をインクジェット印刷法により基板上に付与してもよい。
(導電材料含有層の特性)
基板上に形成される導電材料含有層の形状は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
また、導電材料含有層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば0.2μm〜50μmとすることができ、導電性及び接続信頼性の観点から0.5μm〜20μmであることが好ましい。
<熱処理工程>
熱処理工程では、飽和ガスとして導入可能な酸を含み且つ酸素濃度が1ppm〜10000ppmの雰囲気下で、導電材料付与工程において形成される導電材料含有層を、150℃以下の温度域で熱処理して銅層を形成する。
本発明では、従来の導電材料を導体化させる場合よりも酸素濃度を少し高くすることで、より低温での導体化が達成される傾向にある。その理由は明らかではないが、本発明の銅含有粒子は従来の銅含有粒子よりも酸化しにくい性質を有しているため、銅含有粒子の過度な酸化を抑制しつつ酸素濃度を高めて有機物の熱分解を促進することができるためと考えられる。但し、酸素濃度を高くしすぎると、銅含有粒子の酸化が促進されてしまうために、導体化するための温度が高くなってしまう。そのため、酸素濃度の上限値は10000ppmとする。また、上記範囲の酸素濃度において導体化することで、銅の不要な酸化が抑えられ、有機物の熱分解の工程後に還元工程を行わずに済み、煩雑な操作が省略できる。
更に、酸素濃度を上記特定の範囲内とした上で、ギ酸等の飽和ガスとして導入可能な酸を含ませることで、導体化するための温度を低くすることができる。その理由は明らかではないが、銅含有粒子の表面に配置される有機物の脱離及び分解が促進されるためであると考えられる。
熱処理工程の酸素濃度は、10ppm〜5000ppmであることが好ましく、10ppm〜1000ppmであることがさらに好ましい。
熱処理工程における雰囲気は、酸素のほかに、飽和ガスとして導入可能な酸を更に含む。銅含有粒子が銅酸化物を含有する場合には、飽和ガスとして導入可能な酸を含む雰囲気下で加熱することで、銅酸化物が還元されて、金属銅が生成する。飽和ガスとして導入可能な酸としては、ギ酸、酢酸等が挙げられる。
熱処理工程の雰囲気中の酸の濃度は、1ppm〜10000ppmであることが好ましく、10ppm〜5000ppmであることがより好ましい。
熱処理工程における雰囲気において、不活性ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
本発明に係る導電材料は上述のように、比較的低い温度で導体化することが可能である。具体的には例えば、150℃以下で導体化することができる。従って、例えば、樹脂等の耐熱性の低い基板上に銅配線を形成する場合等にも好適に用いることができる。
熱処理工程は一定の昇温速度で行っても、不規則に変化させてもよい。
熱処理時間は特に限定されず、熱処理温度、熱処理雰囲気、銅含有粒子の量等を考慮して選択できる。熱処理時間は、工程管理の観点から、10分〜120分であることが好ましい。
<その他の工程>
本発明の銅層付き基板の製造方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。その他の工程としては、熱処理工程後に酸化銅を還元する工程、加熱工程後に光焼成等により残存成分を除去する工程、加熱工程後に荷重をかける工程などを挙げることができる。
[銅層付き基板]
本発明の銅層付き基板は、基板と、前記基板上に配置される、銅を含有するコア粒子と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物とを有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料の焼結物である銅層と、を有する。
本発明の銅層付き基板は、本発明の銅層付き基板の製造方法により得られる。すなわち、本発明の銅層付き基板は、基板と、前記基板上の銅層とを有し、前記銅層が上述の導電材料の焼結物である。
本発明の製造方法により得られる銅層付き基板は、従来よりも低温の熱処理により製造することができるため、基板の損傷が少ない。従って、例えば、樹脂等の耐熱性の低い基板上に銅配線を形成する場合等にも好適に用いることができる。
また、本発明における導体(銅層)は、基板上に付与された導電材料の焼結物であるため、めっき法等により形成される導体と比較して、添加物として使用されるパラジウム等の不純物の量が少なく、体積抵抗率を低くすることができる傾向にある。
本発明の銅層付き基板としては、配線基板、電極基板、熱導電路基板等が挙げられる。
以下、本発明について実施例を示して説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
<実施例1>
[1.1]ノナン酸銅の合成
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90質量%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
[1.2]銅粒子の合成
上記で得られたノナン酸銅(II)21.01g(0.056mol)と酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)4.33g(0.024mol)をセパラブルフラスコに入れ、1−プロパノール10mLとヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、純度99質量%)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中で80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を1−プロパノール12mLに溶解させた溶液を脂肪酸銅の溶液に加え、氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、10分以内で反応が終了した。セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を4000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物を更にヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅粒子を含む銅ケークを得た。
[1.3]導電材料の調製
得られた銅ケーク(60質量部)、テルピネオール(20質量部)、及びイソボルニルシクロヘキサノール(商品名:テルソルブMTPH、日本テルペン化学株式会社)(20質量部)を混合して導電材料を作製した。
[1.4]導体化
上記の導電材料をポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上に塗布し、アルゴン中の酸素濃度を100ppm、ギ酸の濃度を5体積%とした雰囲気中、昇温速度15℃/分で120℃まで加熱し、60分間保持して銅膜を形成した。
[低温導体化の評価]
得られた銅膜の表面抵抗値と膜厚から体積抵抗率を算出した。銅膜の膜厚は、非接触表面・層断面形状計測システム(VertScan、株式会社菱化システム)で測定した。
上記の結果で体積抵抗率が300μΩcm以下であると低温導体化が「良好」であり、300μΩcmを超えると低温導体化が「不良」であると評価する。
結果は30μΩcmであり、体積抵抗率が充分に低い導体が形成されていた。以上より、本発明の銅含有粒子は低温で導体化できることが分かった。
[銅含有粒子中のアミノ基を有する有機物の含有率の測定]
銅ケークを乾燥し、銅ケーク中のヘキサンを除去した後、有機物が熱分解する温度以上の温度で加熱し、加熱前後の質量を比較することで、銅含有粒子中のアミノ基を有する有機物の含有率を測定したところ、3.5質量%であった。
<実施例2>
酸素濃度を1000ppmとした以外は実施例1と同様にして銅含有粒子を合成し、導体化を行った。結果は210μΩcmであり、体積抵抗率が充分に低い導体が形成されていた。
<実施例3>
酸素濃度を500ppmとした以外は実施例1と同様にして銅含有粒子を合成し、導体化を行った。結果は220μΩcmであり、体積抵抗率が充分に低い導体が形成されていた。
<比較例1>
酸素濃度を100000ppmとした以外は実施例1と同様にして銅含有粒子を合成し、導体化を行った。結果は導通が得られなかった。

Claims (6)

  1. 基板上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程と、
    飽和ガスとして導入可能な酸を含み且つ酸素濃度が1ppm〜10000ppmの雰囲気下で、前記導電材料含有層を、150℃以下の温度域で熱処理して銅層を形成する工程と、
    を含む、銅層付き基板の製造方法。
  2. 前記銅含有粒子中のアミノ基を有する有機物の含有率が、0.1質量%〜20質量%である、請求項1に記載の銅層付き基板の製造方法。
  3. 前記アミノ基を有する有機物が、炭素数が7以下のアルキル基を有する、請求項1又は請求項2に記載の銅層付き基板の製造方法。
  4. 前記コア粒子中の銅酸化物の含有率が、5質量%以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の銅層付き基板の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の製造方法により得られる銅層付き基板。
  6. 基板と、
    前記基板上に配置される、銅を含有するコア粒子と前記コア粒子の表面の少なくとも一部に配置されるアミノ基を有する有機物とを有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料の焼結物である銅層と、
    を有する銅層付き基板。
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