JP2016144637A - 滴下容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】滴下が開始されるために必要な内部圧力が設定されている滴下容器において、滴下に必要な押圧力を効果的に低減できる構成を提供すること。【解決手段】点眼容器1は、開口部15を有し、液体が収容される容器10と、開口部15に配置され、容器10の内部圧力が所定の滴下圧力に達すると滴下を開始する滴下部20と、を備える。滴下部20は、滴下を開始する滴下圧力が1.07atm以上であり、容器10は、復元性を有する材料によって扁平状に形成される。また、滴下圧力が1.08atm以上1.24atm以下の範囲に設定されており、容器10は、扁平な部分を押圧して滴下が開始される滴下圧力が20N以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、容器に収容された液体を滴下部から滴下する滴下容器に関する。
従来から、滴下容器としての点眼容器において、円筒状に形成される容器の内部圧力が所定圧力に達すると滴下部の弁が開き、薬液が滴下される構成のものが知られている。この種の滴下容器を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、容器を押圧することで、容器本体に収容されている薬液に液圧がかかり、圧力弁と栓部材との間を通って薬液が外部に吐出される点眼容器の構成が開示されている。特許文献1の点眼容器は、圧力弁を薬液の吐出方向とは逆の方向に付勢する付勢部材によって圧力弁の開口からの薬液の漏出を防ぐとしている。また、特許文献2には、蛇腹部を備えるボトル本体を備えるスクイーズボトル(点眼容器)が開示されている。特許文献2のスクイーズボトルは、蛇腹部が吐出方向に複数のひだ部を備えており、小さな力で液的の吐出を自在に調節することができるとしている。
ところで、点眼容器において、保存剤を薬液に添加しない場合は、容器に流入する外気を原因とする汚染を防止する目的で、ノズル先端に逆流防止弁が設置されることがある。この種の点眼容器では、滴下を開始するために、逆流防止弁が開口するまで容器の内部圧力を高める必要がある。滴下を開始するための内部圧力が高い場合、それだけ容器を強い力で押圧しなければならない。この点、特許文献1に開示される構成は、付勢部材の弾性によって内部圧力の調整を行っているものの、内部圧力を高めに設定すると薬液を滴下するために必要な押圧力も高くなってしまう。一方、特許文献2に開示される構成は、吐出方向に複数のひだ部を備える蛇腹部によって、容器を押圧するスクイーズ力を低減できるものの、容器の形状が蛇腹状になることで、その肉厚にばらつきが生じ、容器の水分透過率が上がる場合がある。また、使用性の観点でも改善の余地がある。
本発明は、滴下が開始されるために必要な内部圧力が設定されている滴下容器において、滴下に必要な押圧力を効果的に低減できる構成を提供することを目的とする。
本発明は、開口部を有し、液体が収容される容器と、前記開口部に配置され、前記容器の内部圧力が所定の滴下圧力に達すると滴下を開始する滴下部と、を備える滴下容器であって、前記滴下部は、滴下を開始する前記滴下圧力が1.07atm以上であり、前記容器は、復元性を有する材料によって扁平状に形成される滴下容器に関する。
前記滴下部は、前記滴下圧力が1.08atm以上1.24atm以下の範囲に設定されており、前記容器は、扁平な部分を押圧して滴下が開始される滴下押圧力が20N以下であることが好ましい。
前記滴下部は、円筒状に形成されており、前記容器は、その幅が前記滴下部の直径よりも狭くなるように形成されることが好ましい。
前記容器は、その扁平率が1.4以上2.2以下の範囲であることが好ましい。
本発明によれば、滴下が開始されるために必要な内部圧力が設定されている滴下容器において、滴下に必要な押圧力を効果的に低減できる。
以下、本発明の滴下容器の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明において、「扁平率」とは、容器の底面視における、短径の長さに対する長径の長さの比率(長径の長さ/短径の長さ)のことをいい、容器が扁平になるに従って、扁平率は1よりも大きな値を示す。また、ここでいう「長径」とは、容器本体の長手方向の長さであり、「短径」とは容器本体の短手方向の長さである。
以下、滴下容器として点眼容器1を例にして説明する。図1は、第1実施形態の滴下容器としての点眼容器1の外観を示す斜視図である。
本実施形態の点眼容器1は、外部からの外気の流入を原因とする薬液の汚染を防止する機能を有するものであり、保存剤が添加されない薬液等に用いられるものである。図1に示すように、点眼容器1は、薬液を収容する容器10と、収容した薬液を滴下する滴下部20を備える。
まず、容器10について説明する。図2は、第1実施形態の容器10の正面図である。図3は、第1実施形態の容器10の側面図である。図4は、第1実施形態の容器10の底面図である。
容器10は、可撓性を有するとともに、復元性を有する材料で構成される。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が容器10の材料として用いられる。図1から図3までに示すように、本実施形態の容器10は、薬液を収容する空間を形成する容器本体11と、滴下部20が取り付けられる取付部12と、から構成される。
容器本体11は、扁平部11aを有する扁平形状に構成される。点眼を行う場合は、この扁平部11aが使用者によって押圧される操作部になる。
取付部12は、円筒状に構成され、容器本体11の上部に接続される。この取付部12の上面に、円形の開口部15が形成されている。また、取付部12には、滴下部20を嵌合する嵌合部13と、フランジ部14が形成される。
図4に示すように、第1実施形態の容器本体11は、その断面形状が略楕円に形成される。容器本体11の短径a(幅)は、円筒状に形成される取付部12の直径Lより狭くなっている。
また、底面視において、短径aに直交する方向における容器本体11の厚みを長径d1とする。ここで、底面視における真円の容器(従来の容器)の扁平率を(長径の長さ/短径の長さ)で計算すると、扁平率が1.0となる。第1実施形態の容器本体11は、扁平率が1.0を上回るように設定される。第1実施形態では、扁平率(d1/a)が1.4になるように容器の形状が形成されている。なお、ここでいう長径とは滴下部20側又は容器本体11の底面側から見たときの容器本体11の長手方向の長さであり、短径とは滴下部20側又は容器本体11の底面側から見たときの容器本体11の短手方向の長さである。
また、底面視において、短径aに直交する方向における容器本体11の厚みを長径d1とする。ここで、底面視における真円の容器(従来の容器)の扁平率を(長径の長さ/短径の長さ)で計算すると、扁平率が1.0となる。第1実施形態の容器本体11は、扁平率が1.0を上回るように設定される。第1実施形態では、扁平率(d1/a)が1.4になるように容器の形状が形成されている。なお、ここでいう長径とは滴下部20側又は容器本体11の底面側から見たときの容器本体11の長手方向の長さであり、短径とは滴下部20側又は容器本体11の底面側から見たときの容器本体11の短手方向の長さである。
滴下部20について説明する。滴下部20は、容器本体11の取付部12に圧入によって固定され、容器10の内部と外部を遮断する無菌装置として機能する。本実施形態では、Aptar社製のOSD(Ophthalmic Squeeze Dispenser)を滴下部20として用いている。
図1に示すように、滴下部20は、円筒状に形成される本体部21と、本体部21の上面の中央に配置されるノズル部22と、を備える。本体部21は、その内部に、負荷弁及び付勢部材(例えば、コイルスプリング)等からなる負荷機構を有し、容器10の内部圧力が予め設定される滴下圧力を超えると液通路を開くように構成される。なお、本実施形態における滴下圧力とは、滴下部20から薬液の滴下が開始される容器10の内部圧力である。本実施形態では、滴下圧力が1.07atm以上のものが用いられる。
また、本体部21には、清浄な空気を容器10に導入するためのフィルタが配置された空気導入路が液通路とは別の通路として形成される。容器10の内部圧力が滴下圧力に達すると、このノズル部22の先端から薬液が滴下される。滴下時以外は容器10の外部から滴下口を通じて空気が流入しないので、容器10の内部が無菌状態に保たれる。このように、滴下部20は、無菌装置としての機能を有する。
第1実施形態の点眼容器1は以上のように構成される。点眼容器1を使用する場合は、容器本体11の扁平部11aを押圧し、容器10の内容積を圧縮して内部圧力を滴下圧力まで高めることによって滴下部20より薬液が滴下されることになる。
次に、第2実施形態の点眼容器201について説明する。第2実施形態の点眼容器201は、第1実施形態の点眼容器1の容器10と異なる形状の容器210を備える。図5は、第2実施形態の容器210の正面図である。図6は、第2実施形態の容器210の側面図である。図7は、第2実施形態の容器210の底面図である。なお、第1実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付してその詳細な説明を省略することがある。
図5及び図6に示すように、容器210は、薬液を収容する空間を形成する容器本体211と、滴下部20が取り付けられる取付部12と、から構成される。
容器本体211は、扁平部211aを有する扁平形状に構成される。図7に示すように、容器本体211は、その断面形状が略長円状に形成されており、扁平部211aが平坦な面を有する。容器本体211の短径b(幅)は、円筒状に形成される取付部12の直径Lより狭くなっている。なお、第2実施形態の容器本体211は、第1実施形態の容器本体11の取付部12の直径に対する容器本体11の短径の比率に対し、その短径の比率が小さくなっている(幅広に形成される)。
図7に示すように、底面視において、短径bに直交する方向における容器本体211の厚みを長径d2とすると、長径d2は、取付部12の直径Lよりも長くなっている。そして、扁平率は(d2/b)で算出できる。第2実施形態では、扁平率が1.7になるように容器の形状が形成されている。
図7に示すように、底面視において、短径bに直交する方向における容器本体211の厚みを長径d2とすると、長径d2は、取付部12の直径Lよりも長くなっている。そして、扁平率は(d2/b)で算出できる。第2実施形態では、扁平率が1.7になるように容器の形状が形成されている。
この容器本体211の取付部12に滴下部20が取り付けられる。薬液の滴下は、第1実施形態の点眼容器1と同様に、容器本体211の扁平部211aを圧して行う。第2実施形態の点眼容器201は、以上のように構成される。
次に、第3実施形態の点眼容器301について説明する。第3実施形態の点眼容器301は、第1実施形態の点眼容器1の容器10及び第2実施形態の容器210とは異なる形状の容器310を備える。図8は、第3実施形態の容器310の正面図である。図9は、第3実施形態の容器310の側面図である。図10は、第3実施形態の容器310の底面図である。なお、第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付してその詳細な説明を省略することがある。
図8及び図9に示すように、容器310は、薬液を収容する空間を形成する容器本体311と、滴下部20が取り付けられる取付部12と、から構成される。
容器本体311は、扁平部311aを有する扁平形状に構成される。図10に示すように、容器本体311は、その断面形状が略楕円状に形成されており、扁平部311aがなだらかな曲面を有する。容器本体211の短径c(幅)は、円筒状に形成される取付部12の直径Lより狭くなっている。また、底面視において、短径cに直交する方向における容器本体311の厚みを長径d3とすると、長径d3は、取付部12の直径Lよりも長くなっている。そして、扁平率は(d3/c)で算出できる。第3実施形態では、扁平率が2.2になるように容器の形状が形成されている。即ち、第3実施形態の容器310は、第1実施形態の容器10及び第2実施形態の容器210に比べ、扁平率が大きなものとなっている。
この容器本体311の取付部12に滴下部20が取り付けられる。薬液の滴下は、第1実施形態の点眼容器1と同様に、容器本体311の扁平部311aを圧して行う。第3実施形態の点眼容器301は、以上のように構成される。
本実施形態の点眼容器1(点眼容器201,点眼容器301)のように、無菌状態を保つために負荷弁を有する滴下部20を採用する場合、薬液の汚染を防止するため、一定の滴下圧力が必要である(例えば、1.07atm以上)。そのため、従来の無菌機能を有する点眼容器は、薬液を滴下するために大きな力が必要となっていた。そこで、本実施形態では、容器10(容器210,容器310)の形状を扁平にすることにより、滴下を開始するために必要な押圧力を低減し、効率的に滴下部20の負荷弁に押圧力を伝達できる構成を実現したのである。
即ち、本実施形態の点眼容器1、点眼容器201及び点眼容器301によれば、以下のような効果を奏する。点眼容器1(点眼容器201,点眼容器301)は、開口部15を有し、液体が収容される容器10(容器210,容器310)と、開口部15に配置され、容器10(容器210,容器310)の内部圧力が所定の滴下圧力に達すると滴下を開始する滴下部20と、を備える。滴下部20は、滴下を開始する滴下圧力が1.07atm以上であり、容器10(容器210,容器310)は、復元性を有する材料によって扁平状に形成される。
これにより、滴下部20の滴下圧力を高く維持して外部からの空気の流入による薬液の汚染を防止しつつ、液体の滴下を行うために必要な押圧力を効果的に低減でき、汚染防止と操作性の向上を両立できる。また、力を加える箇所が扁平となるので、押圧力を効率的に伝えることができ、スムーズな滴下が実現される。
また、本実施形態の滴下部20は、円筒状に形成されており、容器10(容器210,容器310)は、その幅(短径a,b,c)が滴下部20の直径Lよりも短くなるように形成される。
これにより、より低い押圧力で内部圧力を上昇させることができ、操作性能が向上する。
なお、上記実施形態の点眼容器1、点眼容器201及び点眼容器301は、押圧力を低減する観点から、容器における短径に対する長径の比率である扁平率が1.4以上2.2以下であることが好ましい。また、点眼容器1及び点眼容器201の容器容量は、5mL以上20mL以下であることが好ましい。更に、液体収容空間を形成する容器の肉厚は、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
次に、滴下部20に設定される滴下圧力の測定方法について説明する。以下、第2実施形態の点眼容器201を例に、滴下圧力の測定方法について説明する。図11は、押圧力測定器40にセットされた点眼容器201の様子を示す図である。図12は、押圧力測定器40によって押圧された点眼容器201の様子を示す図である。図13は、押圧力測定器40による押圧が解除された点眼容器201の様子を示す図である。
まず、容器210に液体(基剤)を充填し、取付部12に滴下部20を固定する。本実施形態では、10mLの容器210に対して1.5mLの点眼液の基剤を充填する。そして、液体を一滴滴下した後、ノズル部22をふき取って重量Aを測定する。
本実施形態では、滴下圧力の測定に押圧力測定器40を用いる。図11に示すように、押圧力測定器40は、対向配置される固定棒41と押圧棒42と、を備える。固定棒41は、一側の扁平部211aに先端部が接触するように固定される。押圧棒42は、その軸方向に沿って移動可能に構成され、押圧棒42が一側に移動することによって他側の扁平部211aに接触可能になっている。点眼容器201は、固定棒41と押圧棒42に両側から挟まれる状態で押圧力測定器40にセットされる。本実施形態では、直径10mmの鉄製の固定棒41及び押圧棒42が用いられる。
図12に示すように、押圧棒42が一側に移動することにより、点眼容器201は、両側の扁平部211aが押し込まれる。押圧棒42による押圧は、滴下部20から液体が1滴滴下するまで継続される。液体が滴下された時点で押圧を停止する。次に、注射針50を容器210の底部に突き刺し、滴下を止める。この状態で注射針50を抜き取って別の場所に差し込み、容器210の内部に水を注入する。容器210を水で満杯に充填した後、注射針50を抜き取る。
図13に示すように、押圧棒42を縮退させて容器210の押圧を停止し、容器210を元の状態に戻す。この状態で、滴下部20及び容器10の周りについた水をふき取り、重量Bを測定する。
次に、容器210が元の形状に復元したことによって生じた空隙に注射針50を指して水を注入して容器210を液体で満杯にする。注射針50を抜き取った後、滴下部20及び容器10の周りについた水をふき取り、重量Cを測定する。
測定した重量A、重量B及び重量Cに基づいて容器210内の体積圧縮率を算出する。ボイルの法則から、体積圧縮率=内部圧力(atm)が成立し、大気圧を1atmとすることで、滴下圧力を算出することができる。なお、容器210内の体積圧縮率は、下記の式1によって算出できる。
(重量C−重量A)/((重量C−重量A)−(重量C−重量B))・・・式1
重量C−重量A:圧縮前の容器内体積(mL)
重量C−重量B:滴下時の容器圧縮体積(mL)
(重量C−重量A)/((重量C−重量A)−(重量C−重量B))・・・式1
重量C−重量A:圧縮前の容器内体積(mL)
重量C−重量B:滴下時の容器圧縮体積(mL)
次に、従来の円筒状の容器を用いた点眼容器(比較例)と、本実施形態の扁平に形成された容器を用いた点眼容器(実施例)と、の違いについて説明する。以下の説明において、比較例及び実施例の何れにおいても、容量が10mLのポリエチレンで構成された容器を用いた。また、滴下部20には、上記実施形態と同様に、Aptar社製のOSDを用いている。また、いずれのデータも成り行き室温で計測したものである。
まず、上述の測定方法によって滴下圧力を比較例と実施例のそれぞれについて求めた結果を表1に示す。表1の測定では、点眼液の基剤として、タプロス(登録商標)ミニ点眼液の基剤を用いて行った。表1において、重量Aは、圧縮前の重量である。重量Bは、1滴が滴下された後であって復元後の重量である。重量Cは、復元後であって容器内が水で充満された状態の重量である。なお、表1における実施例の形状は、第2実施形態及び第3実施形態の形状と同様のものを用いた。
表1に示されるように、比較例と実施例の間で滴下圧力の差異はなく、滴下部20(Aptar社製のOSD)の滴下圧力が1.17atm〜1.24atmの範囲にあることがわかった。
次に、押圧力の測定を比較例と実施例について行い、本発明の効果の検証を行った結果を表2及び表3に示す。
まず、Aptar社製のOSDを滴下部20に用いた表2及び表3の比較例、実施例のそれぞれの形状について説明する。表2では、比較例1及び実施例1〜4の扁平率、長径の長さ、短径の長さ、肉厚(mm)が示されている。なお、肉厚は、容器本体における容器内部と外部とは隔離する壁部の厚みのことである。表2における比較例は、表1で用いたものと同様に、容器が円筒状のものを用いた点眼容器である。実施例1は、第1実施形態の点眼容器1の形状に相当する容器を用いた点眼容器である。実施例2は、第2実施形態の点眼容器201の形状(点眼容器1に対して幅が大きく形成されたもの)に相当する容器を用いた点眼容器である。実施例3は、実施例1と同様に、第1実施形態の点眼容器1の形状に相当する容器を用いた点眼容器であり、その肉厚が0.8mmとなっており、実施例1の肉厚0.6mmよりも厚く形成されたものである。実施例4は、第3実施形態の点眼容器301の形状(扁平率が大きくなるように形成されたもの)に相当する容器を用いた点眼容器である。
表3に示される比較例1、実施例1〜4は、表2に示す比較例1、実施例1〜4に対応するものである。なお、表3においても、表1と同様に、各容器は、いずれも容量が10mLであり、ポリエチレンで構成された容器を使用した。また、上述のように滴下部20についても、表1と同様に、Aptar社製のOSDを用いた。
表1〜表3の結果から、比較例と実施例の間では、容器の滴下圧力に大きな差がないにもかかわらず、1滴を滴下するために必要な押圧力(N)が大幅に低減していることがわかる。例えば、従来の円筒容器を用いた比較例1では充填量が3.5mLの場合は21.6N、充填量が1.5mLの場合は27.1Nの押圧力が滴下を行うために必要であったのに対し、実施例1では充填量に関係なく15.0Nの押圧力で滴下を行うことができることがわかる。実施例2においても、充填量が3.5mLの場合は16.0Nの押圧力で滴下を行うことができ、1.5mLの場合でも16.5Nの押圧力で滴下を行うことができることがわかる。また、実施例3についても、充填量が3.5mLの場合は18.5Nの押圧力で滴下を行うことができ、1.5mLの場合でも19.9Nの押圧力で滴下を行うことができることがわかる。同様に、実施例4についても、充填量が3.5mLの場合は18.4Nの押圧力で滴下を行うことができ、1.5mLの場合でも19.5Nの押圧力で滴下を行うことができることがわかる。このように、本発明を適用した実施例1〜実施例4は、何れも、20N以下の押圧力で滴下を行うことができることが検証されたのである。
また、実施例1及び実施例2は、比較例に比べ、何れも充填量の差による押圧力の上昇率が小さくなっており、点眼容器を使用し続けても、ほぼ同じ押圧力で滴下を行うことができる。加えて、滴下に要する時間も短く、実施例1及び実施例2は、何れも半分以下の時間となっている。実施例3及び実施例4においても、比較例に比べ、何れも充填量の差による押圧力の上昇率が小さくなっている。
以上の測定結果より、Aptar社製のOSDを用いた実施例の点眼容器は、滴下部20の滴下圧力が1.17atm以上1.24atm以下の範囲に設定されており、実施例1〜4の容器10(容器210,容器310)は、扁平な部分を押圧して滴下が開始される滴下圧力が20N以下になることがわかった。このように容器が構成されることにより、円筒状に構成される容器を用いた従来の構成に比べ、滴下が開始されるのに必要な押圧力を大幅に減少させることができ、滴下作業をスムーズに行うことができるのである。
次に、Aptar社製のOSDとは異なる滴下部20を用いて実施例について説明する。本実施例では、Nemera社製のNovelia(登録商標)を滴下部20に用いている。Novelia(登録商標)は、その内部に、負荷弁等からなる負荷機構を有し、容器の内部圧力が予め設定される滴下圧力を超えると液通路を開くように構成されるものであり、Aptar社製のOSDと同様の機能を果たすものである。
まず、Novelia(登録商標)に設定される滴下圧力の範囲を測定した結果を表4に示す。表4では、表1と同様の方法で測定されたNovelia(登録商標)の滴下部20としての滴下圧力が示されている。なお、滴下部20にNovelia(登録商標)を用いている以外の条件は表1に示す実験結果の条件と同様である。
表4に示されるように、比較例と実施例の間で滴下圧力の差異はなく、滴下部20(Nemera社製のNovelia(登録商標))の滴下圧力が1.08atm〜1.12atmの範囲にあることがわかった。即ち、本実施例の滴下部20にNovelia(登録商標)を用いた場合における滴下を開始する滴下圧力も1.08以上であることが証明された。
次に、Nemera社製のNovelia(登録商標)を滴下部20に用いた表5及び表6の比較例、実施例について説明する。表5における比較例2は、表4で用いたものと同様に、容器が円筒状のものを用いた点眼容器である。実施例5は、第1実施形態の点眼容器1の形状に相当する容器を用いた点眼容器である。実施例6は、第2実施形態の点眼容器201の形状(点眼容器1に対して幅が大きく形成されたもの)に相当する容器を用いた点眼容器である。
表6に示される比較例2、実施例5,6は、表5に示す比較例2、実施例5,6に対応するものである。表6では、必要な押圧力の違いを比較例と実施例で比較するため、表3と同様の方法で1滴滴下時の押圧力(N)を測定した。
表4〜表6の結果が示すように、Nemera社製のNovelia(登録商標)を滴下部20に用いた場合においても、滴下部20によって設定される滴下圧力が、比較例2と実施例5及び実施例6の間では大きな差はない。一方、1滴を滴下するために必要な押圧力(N)は、比較例2と、実施例5及び実施例6と、の間で大きな差が生じていることがわかる。例えば、比較例2では充填量が3.5mLの場合は17.8N、充填量が1.5mLの場合は22.2Nの押圧力が必要である。これに対して実施例5では、3.5mLの場合は7.7N、充填量が1.5mLの場合でも8.9Nであり、実施例6においても、3.5mLの場合は8.7N、充填量が1.5mLの場合でも8.7Nとなっている。即ち、実施例5及び実施例6は、何れも、比較例2に比べて半分以下の力で1滴を滴下することができ、Nemera社製のNovelia(登録商標)を用いた場合においても20N以下の押圧力で滴下を行うことができることが検証されたのである。また、実施例5及び実施例6は、比較例に比べ、何れも充填量の差による押圧力の上昇率が小さくなっており、点眼容器を使用し続けても、ほぼ同じ押圧力で滴下を行うことができることが表6からわかる。
表3に示す例では、Aptar社製のOSDを滴下部20に用いた点眼容器を実施例として比較実験を行っており、表6に示す例では、Nemera社製のNovelia(登録商標)を用いた点眼容器を実施例として比較実験を行っている。即ち、表3及び表6の実験では、表1及び表4の実験結果より、滴下圧力が表4の下限値である1.0814atmを含む1.07atm以上であることが示された滴下部20を用いて、本発明の容器本体を適用した場合の効果を実証している。
そして、実験結果から容器の滴下圧力が下がれば滴下押圧力も下がるので、少なくとも滴下圧力が表4の下限値である1.0814atmと、表1の上限値1.24atmと、を含む1.08atm以上1.24atmの範囲では、滴下押圧力を20N以下にできることが証明された。即ち、Aptar社製のOSDを用いた場合(表1〜3)と、Nemera社製のNovelia(登録商標)を用いた場合(表4〜6)と、の何れにおいても、比較例の点眼容器に比べ、1滴滴下するために必要な圧力を大きく低下させることができるという顕著な効果を有するのである。
また、扁平率を1.4〜2.2の範囲に設定することにより、滴下するために必要な滴下押圧力を効果的に低減できるという顕著な効果についても証明された。圧力をより低下させるという観点では、その中でも1.4〜1.7の範囲がより好ましい。更に、必要な圧力を低下するという観点では、実施例1と実施例3の比較から肉厚が薄い方がより好ましい。
以上、本発明の滴下容器の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、内部に負荷弁及び付勢部材(例えば、コイルスプリング)等からなる負荷機構を有し、容器の内部圧力が予め設定される滴下圧力を超えると液通路を開くように構成されるAptar社製のOSDやNemera社製のNovelia(登録商標)を滴下部20の例として用いたが、滴下するために一定の内部圧力が必要な構成であれば、滴下部の構成は適宜変更することができる。例えば、フィルタによって負荷部分を構成し、内部圧力が滴下圧力になるとフィルタを通過して滴下が開始される構成とすることもできる。
上記実施形態の容器10,210,310の形状に限定されるわけではなく、容器の形状は、窪み部分や二重構造にする等、その形状は適宜変更することができる。
上記実施例の扁平率や肉厚に限定されるわけではなく、その数値も事情に応じて適宜変更することができる。
1 点眼容器(滴下容器)
10 容器
15 開口部
201 点眼容器(滴下容器)
210 容器
301 点眼容器(滴下容器)
310 容器
10 容器
15 開口部
201 点眼容器(滴下容器)
210 容器
301 点眼容器(滴下容器)
310 容器
Claims (4)
- 開口部を有し、液体が収容される容器と、
前記開口部に配置され、前記容器の内部圧力が所定の滴下圧力に達すると滴下を開始する滴下部と、
を備える滴下容器であって、
前記滴下部は、滴下を開始する前記滴下圧力が1.07atm以上であり、
前記容器は、復元性を有する材料によって扁平状に形成される滴下容器。 - 前記滴下部は、前記滴下圧力が1.08atm以上1.24atm以下の範囲に設定されており、
前記容器は、扁平な部分を押圧して滴下が開始される滴下押圧力が20N以下である請求項1に記載の滴下容器。 - 前記滴下部は、円筒状に形成されており、
前記容器は、その幅が前記滴下部の直径よりも狭くなるように形成される請求項1又は2に記載の滴下容器。 - 前記容器は、その扁平率が1.4以上2.2以下の範囲である請求項1から3までの何れかに記載の滴下容器。
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