JP2016138664A - 駐車機能を有する車両トランスミッションにおける改良 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、駐車固定機能を有する車両トランスミッションを提供する。【解決手段】本発明によれば、ドライバが駐車状態を選択したことに呼応して、車両の車輪ブレーキをかけた状態で、車両トランスミッションは、駐車状態にする前の一瞬の間、ニュートラル状態を選択し、維持する。このように構成することにより、トルクがドライブラインに取り込まれることを回避し、次に駐車状態が解除される際に「歯止め衝撃音」を未然防止できる。【選択図】図１

Description

本発明は、駐車固定機能を有する車両トランスミッションに関し、限定するものではないが、とりわけ遊星歯車オートマチックトランスミッションに関する。本発明に係る態様は、方法、システム、トランスミッション、および車両に関する。

従来式の車両のオートマチックトランスミッションは、複数のクラッチおよび／またはブレーキを有し、所定範囲の速度比が得られるように、１つまたはそれ以上の遊星歯車列と協働して動作可能なものである。通常、トランスミッションの出力シャフトがギアボックス（トランスミッション）ケーシングに係合して、トランスミッションの出力シャフトを相対的な回転に対して固定することにより、「パーキング（駐車）」機能が得られる。トランスミッションの下流側にあるドライブラインが連続的（一体的）なものであるため、パーキング機能が作動することにより、車両の車輪が動かず固定される。

こうしたトランスミッションの従来式のドライバ操作による手動セレクタは、通常、順に、ＰＲＮＤＬ位置を有し、パーキング（Ｐ）位置は、操作移動距離の一方の端部にある。トランスミッションがパーキング（Ｐ）位置か、ニュートラル（Ｎ）位置になければ、車両のイグニッションスイッチは通常機能せず、ギアに入ったまま車両エンジンを始動可能とする危険はない。

駐車ロック機能を提供する一般的な手段は、出力シャフトの歯車と、ギアボックスケーシングに取り付けられ、歯車の隣接する歯の間に係合するように弾性付勢されたピボット回転可能な歯止め（爪）とを有する。歯止めは、手動セレクタをパーキング（Ｐ）位置から移動させることにより、係合を解除することができる。

すべての使用状況下において、歯止めは、確実に、歯車と係合し、係合を解除するようにしなければならない。特に、出力シャフトが車両の駆動輪からのトルクを受けた場合であっても、信頼性よく歯止めを係合離脱させる必要がある。

車両が坂道に停車し、ハンドブレーキを掛けることなく、車両が動かないように車両を静止させるために、駐車歯止めを係合させた場合に、こうした状況は生じ得る。駐車歯止めは、車両の転がりを抑制し、ドライブラインに加わるトルクに対抗する。

別の状況において、車両が完全に停止する前に（車両がまだ動いているときに）手動セレクタの位置をパーキング（Ｐ）位置に移動させた場合、車両のハンドブレーキをかけたときに、駐車歯止めが隣接する歯間に係合することがある。こうした場合、駐車歯止めがドライブライン内にトルクを取り込む（トラップする）ことがある。

駐車歯止めにより、トルクが取り込まれ、対抗する場合であっても、比較的に小さい解除力（離脱力）で駐車歯止めの係合を解除することを妨害してはならない。離脱力が加わった際、トルクの取り込み（トラップ）に起因して、歯止めが急激に係合離脱（突出）することは、広く知られた現象である。このような急激な係合離脱は、通常、「ゴツン」という衝撃音を伴う。

歯止め衝撃音の問題を解決するために、トランスミッションに内部装置を設けてもよいが、この現象は、予測不可能であり、再現性がない。たとえばトランスミッション潤滑油の多様な品質、製造公差のばらつき、または摩耗および裂傷により影響を受け得る。

トランスミッションケーシングの内側に設ける必要のない、歯止め衝撃音を解消するための解決手段を見出すことが望ましい。

本発明に係る第１の態様によれば、車両トランスミッションの駐車歯止めを係合させる方法が提供され、この方法は、
駐車歯止めの係合を命令するステップと、
車両の車輪が動かないようにブレーキをかけるステップと、
トランスミッションを自動的にニュートラル状態に配置するステップと、
所定の遅延時間後、駐車歯止めを係合するステップとを有する。

本発明に係る第２の態様によれば、車両トランスミッションの駐車歯止めを係合させる方法が提供され、この方法は、
駐車歯止めの係合を命令するステップと、
車両の車輪が動かないようにブレーキをかけるステップと、
駐車歯止めを係合させる前に、トランスミッションを一瞬の間ニュートラル状態に配置するステップとを有する。

これらの方法は、継続的なステップを有していてもよい。

これらの方法は、駐車歯止めによる係合を命令することと、駐車歯止めを係合させることの間に時間差を設けるものである。遅延時間中、車両の車輪にブレーキをかけて、車両の動きを止め、ドライブライン内の残余トルクが解消されるように、ドライブラインをニュートラル状態に配置する。通常、たとえばトランスミッションのドライブライン下流側にある車輪ブレーキまたはトランスミッションブレーキを介して、ハンドブレーキを備えた車輪にブレーキをかける。トルク解消時間が十分に経過した後、駐車歯止めを係合させる。所定の遅延時間は、通常１秒未満であり、１つの実施形態では約３３０ｍミリ秒である。

上記方法は、たとえば車両の電動駐車ブレーキ（ＥＰＢ）を採用して、トランスミッションセレクタの適当な検出器から命令することにより、車両車輪に自動的にブレーキをかけるステップを有していてもよい。

駐車歯止めが係合した後、車両の車輪ブレーキは自動的に解除してもよい。このように構成することにより、駐車歯止めが時期尚早に係合したことによりトルクを取り込むことを防止するが、坂道に起因して駐車歯止めにトルクが加わることを防止するものでない。したがって、１つの実施形態では、駐車歯止めが係合されたことにより、車輪ブレーキや駐車ブレーキが自動的に解除されない。

本発明に係る方法は、セレクタが「パーキング（Ｐ）」位置の手前（通常「リバース（Ｒ）」の位置）から離れたとき、または「パーキング（Ｐ）」位置に達したときに開始される。理解されるように、パーキング（Ｐ）位置への移動に関連する、セレクタの任意の位置に適当な検知器を配置することができる。

本発明に係る第３の態様によれば、出力シャフトに係合可能な駐車歯止めを有する車両オートマチックトランスミッションの制御システムが提供され、この制御システムは、トランスミッションの状態を命令するセレクタと、セレクタに呼応して命令された状態にトランスミッションを配置するトランスミッションアクチュエータとを備える。さらに制御システムは、駐車状態が選択されたことを検知するセレクタ検知器と、車両の車輪ブレーキに命令を与えるブレーキコントローラと、駐車歯止めを係合する前の一瞬の間、トランスミッションのニュートラル状態に配置し、維持するように、トランスミッションアクチュエータに命令を与えるアクチュエータコントローラとを備える。

本発明に係る第４の態様によれば、出力シャフトに係合可能な駐車歯止めを有する車両オートマチックトランスミッションの制御システムが提供され、この制御システムは、
トランスミッションの状態を命令するセレクタと、
セレクタに呼応して命令された状態にトランスミッションを配置するトランスミッションアクチュエータと、
駐車状態が選択されたことを検知するセレクタ検知器と、
車両の車輪ブレーキに命令を与えるブレーキコントローラと、
トランスミッションアクチュエータに命令を与えるアクチュエータコントローラとを備え、
駐車状態が選択されると、制御システムは、
車両の車輪が動かないように車輪に駐車ブレーキをかけ、
トランスミッションをニュートラル状態に配置し、
所定の遅延時間後、駐車歯止めを係合するように構成されたことを特徴とする制御システム。

典型的には、駐車歯止めの係合は、単一の連続的な動作によるもので、ニュートラル位置から移動するとき、その動作があまりにも迅速であるため、一瞬の間もリバース位置に配置することができない。こうした動作は、トランスミッションセレクタの直接的な動作を有する従来式の構成に対応するものである。

従来式のオートマチックトランスミッションは、複数の動作状態（ＰＲＮＤＬ等）のうちの１つにトランスミッションを適応させるために、トランスミッションケーシングを貫通するセレクタシャフトの態様を有する機械的な状態セレクタを有する。入力シャフトは、ロータリまたはリニアであってもよく、機械的な連結装置を介してドライバ手動式セレクタに直接的に連結される。本発明のように、駐車歯止めを遅延して係合させるための衝撃吸収装置または同等の装置により、遅延時間を提供してもよい。

本発明に係る１つの実施形態では、駐車状態を遠隔で選択する。たとえば従来式の手動セレクタ／連結装置は、命令信号に呼応するアクチュエータと置換してもよい。１つの実施形態では、電気信号は、たとえば機械的なセレクタシャフトに連結されたステップモータ等の電動アクチュエータに命令を出す。

遠隔で選択することにより、たとえばダッシュボードまたは操舵ハンドル上の電気スイッチ等からトランスミッションを制御することができる。このように構成することにより、通常の機械的な連結を省略し、通路またはリンクを設ける上での制約を排除することができる。設計自由度がより大きくなることは、好ましい結果である。

遠隔操作の特に有利な点は、たとえば駐車を行う命令信号を受信した後、トランスミッションのアクチュエータを電気的に遅延操作するマイクロプロセッサを用いて、トランスミッション信号経路に遅延時間を容易に設けることができる点にある。

遠隔操作は、通常、トランスミッションケーシングに取り付けられた従属アクチュエータにより行われ、セレクタ入力シャフトを直接的に移動させるように動作可能である。

本発明に係る１つの実施形態では、遅延時間は、車両の仕様または使用状態により調整または選択可能であってもよい。すなわち必要ならば、ベース車両の装置仕様または、たとえば車両の負荷等の使用状態に応じて設定してもよい。使用状態に応じて設定する場合、負荷が小さい車両は、最大負荷の車両とは異なるように取り扱ってもよい。

トランスミッションを遠隔操作するためのドライバ制御には、車両エンジンを停止させたときに動作不可能状態に後退するロータリセレクタが含まれる。本発明の態様によれば、こうしたセレクタは、「パーキング（Ｐ）」を選択した時ではなくて、駐車歯止めが係合した時に後退する。たとえばトランスミッションケーシングに対する駐車歯止めの位置を電気的に検出する検出器等、こうした係合を示唆する任意の適当な手段が可能である。

本願の範囲において、上記段落、クレーム、および／または以下の詳細な説明、および図面に記載された、さまざまな態様、実施形態、実施例、特徴、および変形例は、独立して、または任意に組み合わせて採用できることが想定される。たとえば実施形態に関連して説明した特徴は、特に矛盾するものでなければすべての実施形態に対して適用可能である。

添付図面を参照しながら、本発明に係る１つまたはそれ以上の実施形態を単なる具体例として以下説明する。
本発明を具現化した車両の概略図である。

図１を参照すると、車両１１は、エンジン１２および前輪駆動オートマチックトランスミッション１３を備える。トランスミッション１３のセレクタ入力シャフトは、トランスミッションケーシングに取り付けられた電動アクチュエータ１４に接続され、車両中央コンソール１７に取り付けられたロータリセレクタ１６まで延びる電気ケーブル１５を介して制御されている。

図示のように、車両は坂道上にあるため、車両の車輪ブレーキが掛けられず、または利かない効果がない場合、トランスミッション駐車歯止め（爪）にトルクが加わることが理解される。車両ブレーキが掛けられている場合であっても、トルクが加わった状態にある駐車歯止めを係合解除すると、解除状態にある土台に対する歯止め衝撃音を伴う急激突出が生じることがある。
また上述したように、トランスミッションの駐車歯止めとギア歯の時期尚早な係合に起因してトルクが取り込まれることがあり、これは同一の解除現象をもたらす。

本発明において、ロータリセレクタ１６を用いて「パーキング（Ｐ）」位置を選択しても、駐車歯止めが直ちに係合することはない。アクチュエータは、電動駐車ブレーキを掛け、駐車歯止めが係合する前の通常５００ミリ秒未満の短い時間「ニュートラル」位置に維持または保持するように命令される。この遅延時間は、車両駐車ブレーキが作用しており、トランスミッションから残余トルクを解放することができる。車両駐車ブレーキは、駆動軸または非駆動軸に付随するものであってもよい。

ロータリセレクタ１６が「ドライブ（Ｄ）」位置にあるとき、電動アクチュエータ１４は、手動によりセレクタを「ドライブ（Ｄ）」位置から「パーキング（Ｐ）」位置へ移動させる間、「ニュートラル（Ｎ）」に移動させ、維持するように命令される。「リバース（Ｒ）」位置にあるとき、電動アクチュエータ１４は、手動によりセレクタを「リバース（Ｒ）」位置から「パーキング（Ｐ）」位置へ移動させる間、「ニュートラル（Ｎ）」に移動させて維持するように命令される。電動アクチュエータ１４が「ニュートラル（Ｎ）」位置から最終的に「パーキング（Ｐ）」位置へ移動するとき、「リバース（Ｒ）」位置を経由するものであるが、こうした移動は、「リバース」速度比ギアの係合を回避するのに十分に迅速なものであり、こうした迅速な移動は従来通りのものである。

理解されるように、「パーキング（Ｐ）」位置から「リバース（Ｒ）」位置に選択するとき、ＰＲＮＤＬセレクタのアクチュエータは、「パーキング（Ｐ）」位置から「ニュートラル（Ｎ）」位置に向かって移動させるように命令される。この移動は、一瞬の間のもので、車両ドライバは感知することはできない。

すなわち本発明は、トランスミッションのドライブラインに残余トルクを取り込むことを防止し、車両の駐車ブレーキが機能している限り、駐車が係合解除した際の歯止め衝撃音を排除することができる。

本発明については、従来式のＰＲＮＤＬセレクタを有するオートマチックトランスミッションを参照して説明してきた。しかし理解されるように、本発明の原理は、駐車固定（駐車ロック）機能およびニュートラル位置を有する任意のトランスミッションに適用可能である。本発明は、後輪ドライブ車両および全輪ドライブ（四輪駆動）車両に適用可能であり、駐車機能を有するオートマチックトランスミッションを備えた車両に適用可能である。

通常、本発明の機能は、トランスミッション位置の選択に呼応する車両の電子制御ユニットに提供され、適当なアクチュエータの操作を命令するものである。こうした制御ユニットは、従来式のものであり、駐車機能を選択したときにアクチュエータが適当に命令するための論理部品を有するものであってもよい。

１１…車両、１２…エンジン、１３…前輪駆動オートマチックトランスミッション、１４…電動アクチュエータ、１５…電気ケーブル、１６…ロータリセレクタ、１７…車両中央コンソール。

Claims (12)

1. 車両のトランスミッションの駐車歯止めを係合させる方法であって、
   駐車歯止めの係合を命令するステップと、
   車両の車輪が動かないように自動的に車輪にブレーキをかけるステップと、
   前記ブレーキをかけるステップの後に、トランスミッションをニュートラル状態に配置して、トランスミッションから車輪に負荷されたトルクを解放するステップと、
   所定の遅延時間後、駐車歯止めを係合するステップとを有すること特徴とする方法。
2. 所定の遅延時間は、調整可能であること特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 出力シャフトに係合可能な駐車歯止めを有する車両オートマチックトランスミッションの制御システムであって、
   トランスミッションの状態を命令するセレクタと、
   セレクタに呼応して命令された状態にトランスミッションを配置するトランスミッションアクチュエータと、
   駐車状態が選択されたことを検知するセレクタ検知器と、
   車両の車輪ブレーキに命令を与えるブレーキコントローラと、
   トランスミッションアクチュエータに命令を与えるアクチュエータコントローラとを備え、
   駐車状態が選択されると、制御システムは、
   車両の車輪が動かないように自動的に車輪にブレーキをかけ、
   車輪にブレーキをかけた後に、トランスミッションをニュートラル状態に配置して、トランスミッションから車輪に負荷されたトルクを解放し、
   所定の遅延時間後、駐車歯止めを係合するように構成されたことを特徴とする制御システム。
4. ブレーキコントローラは、セレクタが駐車状態に移動したことを検出された直後に、車両の駐車ブレーキをかけることを命令するように構成されたことを特徴とする請求項３に記載の制御システム。
5. 駐車ブレーキは、電動駐車ブレーキであることを特徴とする請求項４に記載の制御システム。
6. トランスミッションアクチュエータは、１秒以内の期間、ニュートラル状態に配置して維持することを特徴とする請求項３〜５のいずれか１に記載の制御システム。
7. 期間は、０．５秒未満であることを特徴とする請求項６に記載の制御システム。
8. 期間は、０．３５秒未満であることを特徴とする請求項７に記載の制御システム。
9. 期間は、調整可能であることを特徴とする請求項６〜８のいずれか１に記載の制御システム。
10. 制御システムは、電子プロセッサを有し、
    セレクタは、電子プロセッサに入力信号を供給する電子スイッチ装置を有し、
    トランスミッションアクチュエータは、電子プロセッサの出力信号に呼応する電動モータを有することを特徴とする請求項３〜９のいずれか１に記載の制御システム。
11. 請求項３〜１０のいずれか１に記載の制御システムを備えたオートマチックトランスミッションであって、
    トランスミッションアクチュエータは、トランスミッションケーシングに直接的に取り付けられ、トランスミッションの状態セレクタに機械的に連結されたことを特徴とするオートマチックトランスミッション。
12. 請求項３〜１０のいずれか１に記載の制御システム、または請求項１１に記載されたオートマチックトランスミッションを備えたことを特徴とする車両。

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