JP2016135726A - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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直樹 岡畑
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崇 澁谷
章 宇惠野
Akira Ueno
章 宇惠野
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Abstract

【課題】地球温暖化に与える影響を抑制しつつ、剥離帯電量を低減させるための凹凸を表面に形成した、液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を製造する方法の提供。【解決手段】液体のHFを気化させHFガスを生成する工程と、生成したHFガスをキャリアガスと混合する工程と、ガラス基板G1の表面にHF混合ガスを接触させてガラス基板G1の平均表面粗さRaが0.2〜1.3nmの凹凸を形成する工程と、によりガラス基板G1を製造する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス基板の製造方法に関する。特に、ガラス基板の表面に凹凸を形成するガラス基板の製造方法に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルディスプレイの基板として、ガラス基板が用いられている。特に、LCDにはアルカリ金属酸化物を実質的に含有しない無アルカリガラス基板が用いられる。
ガラスは帯電しやすく、アルカリ金属酸化物を実質的に含有しない無アルカリガラスは特に帯電しやすい。製膜工程等での無アルカリガラスと金属や絶縁体のプレートとの接触剥離で起こるいわゆる剥離帯電が問題となっている。剥離帯電が起こると、無アルカリガラスの表面に形成する半導体素子や電子回路が静電破壊される問題や、帯電したガラス基板が環境中に存在するダストを引き寄せ、ガラス基板の表面が汚染される問題が生じる。
例えば、特許文献1には、電極線や各種デバイスが形成される第一の表面と、電極線や各種デバイスが形成されない第二の表面とを有し、第一の表面および第二の表面の平均表面粗さが所定範囲に規制されたガラス基板が記載されている。特許文献1によれば、大気圧プラズマプロセスによりHF系ガスを含有したプラズマを生成し、このプラズマにより第二の表面をエッチングすることで、第二の表面の平均表面粗さを適正範囲に規制し、剥離帯電量を低減できる旨が記載されている。
国際公開第2010/128673号
大気圧プラズマプロセスにおいては、CFやSF等のフッ素を含有するガスと水を混合し、プラズマと反応させることにより、フッ化水素(本明細書において、HFと記載する場合がある。)ガスを含有したプラズマが発生する。大気圧プラズマプロセスで用いられるCFガスやSFガスは温室効果ガスであるため、地球温暖化に影響を与えやすい。
本発明の目的は、地球温暖化に与える影響を抑制しつつ、表面に凹凸を有するガラス基板を製造する方法を提供することにある。
本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法は、液体のHFを気化させHFガスを生成する工程と、ガラス基板の表面に前記HFガスを接触させて凹凸を形成する工程とを有する。
上記した本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法において、前記ガラス基板の表面に凹凸を形成する工程は、表面温度が50℃以上650℃以下である前記ガラス基板の表面に前記HFガスを接触させてもよい。
上記した本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法において、前記ガラス基板の表面に凹凸を形成する工程は、窒素を含むキャリアガスを使用して前記HFガスを前記ガラス基板の表面に接触させてもよい。
上記した本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法において、前記キャリアガスは、さらに水蒸気を含んでいてもよい。
上記した本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法において、前記ガラス基板は、ガラス組成として酸化物基準の質量百分率表示で、SiO 50%以上70%以下、Al 0%以上25%以下、B 0%以上20%以下、MgO 0%以上10%以下、CaO 0%以上20%以下、SrO 0%以上20%以下、およびBaO 0%以上10%以下含有し、実質的にアルカリ金属酸化物を含まなくてもよい。
上記した本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法においては、前記ガラス基板の平均表面粗さRaが0.2nm以上1.3nm以下となるように前記ガラス基板の表面に凹凸を形成してもよい。
本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法によれば、地球温暖化に与える影響を抑制しつつ、表面に凹凸を有するガラス基板を製造できる。
本発明の一実施形態に係る、ガラス基板の表面に凹凸を形成するための凹凸形成装置を表す概念図。 前記一実施形態のガス吹き付け部を表す概念図。 剥離帯電量の測定装置を表す概念図。
以下、本発明の一実施形態について図を用いて詳細に説明する。
本発明の一態様に係るガラス基板の製造方法は、液体のHFを気化させHFガスを生成する工程と、前記ガラス基板の表面に前記HFガスを接触させて凹凸を形成する工程とを有することに特徴がある。以下に示す一実施形態では、キャリアガスを用いた例を示すが、キャリアガスを用いずにHFガスのみを用いてもよい。
図1は、本実施形態に係る凹凸形成装置1を表す概念図である。凹凸形成装置1は、液体のHFを気化させHFガスを生成し、ガラス基板G1の表面に凹凸を形成するための装置である。図1に示すように、凹凸形成装置1は、ガス生成部100とガス吹き付け部200とを備える。
ガス生成部100は、HFガス源110、キャリアガス源120、混合機130、および配管141、142、143、144を備える。配管141は、HFガス源110と混合機130とに連結される。配管142は、キャリアガス源120と混合機130とに連結される。配管143は、混合機130とガス吹き付け部200の後述するインジェクタ210とに連結される。配管144は、配管142から分岐されており、キャリアガス源120とインジェクタ210とに連結される。
HFガス源110は、液体のHFを溜めるHFタンク111と、HFタンク111内の液体のHFを温めて気化させるヒータ112と、を備える。HFタンク111に溜められた液体のHFがヒータ112によって温められ気化し、HFガスが生成される。液体のHFは、フッ化カルシウム(CaF)に硫酸(HSO)を反応させることで生成される。市販されている液体のHFを使用してもよい。
キャリアガス源120は、キャリアガスを蓄えるタンク121を備える。キャリアガスは、HFを含むガスをガラス基板へ送るため、かつ、HFガスを含むガスの濃度調整のために使用される。
キャリアガスは、窒素を含んでいることが好ましい。キャリアガス中の窒素の含有率は、100%であってもよい。また、キャリアガスは、空気であってもよく、窒素を含む混合ガスでもよい。キャリアガスとして空気を使用する場合、凹凸形成装置1は、タンク121を備えていなくてもよい。この場合、例えば、キャリアガス源120としてコンプレッサーなどを用いて空気を供給してもよい。
従来の大気圧プラズマプロセスは、実生産上、CF等のガスをAr(アルゴン)ガスと混合させて、プラズマと反応させることにより、HFガスを含有したプラズマを発生させる。窒素または空気等の窒素を含むガスを使用すると、窒素とCFとが反応し、フッ化アンモニウム(NHF)が生成される。NHFがガラス中のケイ素(Si)と反応すると、ケイフッ化アンモニウム((NHSiF)が生成される。(NHSiFは、ガラス基板の表面に沈着し、静電気の放出を阻害する。そのため、従来、CF等を使用する大気圧プラズマプロセスでは、ケイフッ化アンモニウムの生成を防止するため、高価なArガスを使う必要があった。一方、本実施形態ではCFを使用していないため、キャリアガスとして窒素を含むガスを使用しても(NHSiFが生成されない。そのため、高価なArガスを使わずに、安価にガラス基板G1の表面に凹凸を形成することができる。
混合機130は、HFガス源110から配管141を介して供給されるHFガスと、キャリアガス源120から配管142を介して供給されるキャリアガスとを混合し、HFガスとキャリアガスとを含む混合ガス(以下、単にHF混合ガスという場合がある。)を生成する。HF混合ガスは、配管143を介してガス吹き付け部200へ供給される。
混合機130、および配管141〜144において、HFガスや混合ガスが凝縮されて液体のHFが生成されることにより、混合機130、および配管141〜144が損傷することを避けるために、混合機130、および配管141〜144は図示されていないヒータを備える。混合機130、および配管141〜144は、ヒータにより加熱されることで50℃以上に温められる。混合機130、および配管141〜144は、100℃以上に温められることがより好ましく、150℃以上に温められることがさらに好ましい。
ガス吹き付け部200は、ガラス基板G1を加熱する電気炉220と、電気炉220に収容され、ガラス基板G1にHFガス等を吹き付けるためのインジェクタ210と、ガラス基板G1を搬送するガラス搬送機230と、を備える。ガス生成部100で生成されたHFガス、キャリアガスあるいはHF混合ガスは、インジェクタ210によって、ガラス搬送機230で進行方向F1に運ばれるガラス基板G1に吹き付けられる。
ガラス基板G1は、溶融スズ浴上で成形されるフロート法で製造してもよいし、フュージョン法で製造してもよい。フロート法によれば、大面積のガラス基板を製造することができる。
フロート法で製造されたガラス基板は、通常、表面を研磨してから使用される。研磨する面は、溶融スズ浴に接していた面であってもよいし、溶融スズ浴に接していなかった面であってもよいし、両方の面であってもよい。また、凹凸を形成する面は、研磨された面であってもよいし、研磨されていない面であってもよい。
ガラス基板G1のガラス組成は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO 50%以上70%以下、Al 0%以上25%以下、B 0%以上20%以下、MgO 0%以上10%以下、CaO 0%以上20%以下、SrO 0%以上20%以下、およびBaO 0%以上10%以下含有し、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないことが好ましい。
実質的にアルカリ金属酸化物を含有しなければ、ガラス基板G1の歪点を高くすることができ、高温度でもガラス基板G1が変形せずに、ガラス基板G1表面に凹凸を形成することができる。高温度ではHFガスが凝縮しにくく、腐食性が強い液体のHFになりにくいため、装置(例えば、インジェクタ210、電気炉220、ガラス搬送機230等)が損傷しにくい。ここで、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないとは、アルカリ金属酸化物を全く含まないこと、またはアルカリ金属酸化物を製造上不可避的に混入した不純物として含んでいてもよいことを意味する。
図2は、ガス吹き付け部200を表す概念図である。
インジェクタ210は、HFガス、混合ガス、およびキャリアガスの流通路となる複数のスリット211、212、および213を有する。スリット211、212、および213は、平面視において、ガラス基板G1の進行方向F1に直交する方向に沿って少なくとも一部分に、ガラス基板G1にガスを吹き付けることができるように貫通孔として設けられている。図2においては、スリット211、212、および213が幅方向全域に設けられている。
本実施形態のインジェクタ210は、第1のスリット211を1つ、第2のスリット212を2つ(212a、212b)および第3のスリット213を2つ(213a、213b)を有する。ガラス基板G1の進行方向F1の上流側から下流側に向かって、第3のスリット213a、第2のスリット212a、第1のスリット211、第2のスリット212b、第3のスリット213bの順番に設けられている。
第1のスリット211、第2のスリット212、および第3のスリット213は、ガラス基板G1を進行方向に対して直交する断面方向で見て、ガラス基板G1の表面に対して直交する方向(図2のZ方向)に沿って貫通孔として設けられている。第1のスリット211、第2のスリット212、および第3のスリット213は、互いに平行に設けられている。
第1のスリット211の一端は、配管143に接続され、配管143を介して混合機130に接続されている。第1のスリット211の他端は、ガラス基板G1に向けられている。
第2のスリット212の一端は、配管144に接続され、配管144および配管142を介してキャリアガス源120に接続されている。第2のスリット212の他端は、ガラス基板G1に向けられている。
第3のスリット213の一端は、排気系(図示されていない)に接続されている。第3のスリット213の他端は、ガラス基板G1の方に向けられている。
ガラス基板G1表面へHFガス等を吹き付けて、凹凸を形成する場合、混合機130から、配管143および第1のスリット211を介して、矢印F5の方向に、HFガスあるいは混合ガスが供給される。また、キャリアガス源120から、配管142、配管144および第2のスリット212を介して、矢印F10の方向に、キャリアガスが供給される。第1のスリット211からガラス基板G1に向けて供給されたHFガスあるいは混合ガスは、矢印F15の方向に沿って移動しガラス基板G1表面と接触した後、排気系により第3のスリット213から吸引される。第3のスリット213に吸引されたガスは、矢印F20の方向に移動し、インジェクタ210の外部に排気される。第2のスリット212からガラス基板G1に向けて供給されたキャリアガスも、前述のHFガスあるいは混合ガスの排気と同様に、矢印F15の方向に沿って移動して、第3のスリット213に吸引され、インジェクタ210の外部に排気される。
ガラス搬送機230は、ガラス基板G1を進行方向F1の方向に搬送する。
ガラス基板G1は、インジェクタ210の側を通過する際に、第1のスリット211および第2のスリット212から供給されたHFガスあるいはHF混合ガス、およびキャリアガスに接触する。これにより、ガラス基板G1の表面に凹凸が形成される。
なお、ガラス基板G1の表面に供給されたHFガスあるいはHF混合ガス、およびキャリアガスは、矢印F15のように移動してガラス基板G1の表面に凹凸を形成するために使用された後、矢印F20のように移動して、排気系に接続された第3のスリット213を介して、インジェクタ210の外部に排出される。
インジェクタ210を使用することにより、ガラス基板G1を搬送しながら、ガラス基板G1の表面に凹凸を形成することができる。また、インジェクタ210を使用した場合、大型のガラス基板に対しても凹凸を形成することができる。
第1のスリット211からガラス基板G1へ供給されるHFガスあるいは混合ガスに含まれる、HFガスについての第一の供給速度は特に限られない。第一の供給速度は、例えば、0.2SLM以上10SLM以下の範囲であってもよい。SLMは、標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル)を表す単位である。第一の供給速度が、0.2SLM以上であればガラス基板に凹凸を効率的に形成することができる。第一の供給速度が、10SLM以下であれば、ガラス基板の過剰なエッチングを防止できる。第1のスリット211から供給されるHFガスの供給速度は、0.3SLM以上5SLM以下であることが好ましく、0.5SLM以下1SLM以下であることがより好ましい。
第1のスリット211からガラス基板G1へ供給される混合ガスに含まれる、キャリアガスについての第二の供給速度は特に限られない。第二の供給速度は、例えば、2SLM〜800SLMの範囲であってもよい。第二の供給速度が2SLM以上であればガラス基板の過剰なエッチングを防止できる。第二の供給速度が800SLM以下であれば、ガラス基板に凹凸を効率的に形成することができる。第1のスリット211から供給されるHFガスの供給速度は、10SLM以上100SLM以下であることがより好ましく、20SLM以上50SLM以下であることがさらに好ましい。
第2のスリット212からガラス基板G1へ供給されるキャリアガスの第三の供給速度は特に限られない。第三の供給速度は、例えば、2SLM以上800SLM以下の範囲であってもよい。第三の供給速度が2SLM以上であればガラス基板の過剰なエッチングを防止できる。第三の供給速度が800SLM以下であれば、ガラス基板に凹凸を効率的に形成することができる。第1のスリット211から供給されるHFガスの供給速度は、3SLM以上30SLM以下であることがより好ましく、5SLM以上20SLM以下であることがさらに好ましい。
第1のスリット211と第2のスリット212からガラス基板G1へ供給されるガス全体(HFガスあるいは混合ガス、およびキャリアガス)の第四の供給速度は、特に限られない。第四の供給速度は、例えば、5SLM以上1000SLM以下の範囲であってもよい。第四の供給速度が、5SLM以上であればガラス基板に凹凸を効率的に形成することができる。第四の供給速度が、100SLM以下であれば、ガラス基板の過剰なエッチングを防止できる。第1のスリット211から供給されるガス全体の供給速度は、10SLM以上100SLM以下であることがより好ましく、20SLM以上50SLM以下であることがさらに好ましい。
ガラス基板G1へ吹き付けられるHFガスの濃度(単位:vol%)は特に限られないが、例えば、0.5vol%以上10vol%以下の範囲であってもよい。ここで、HFガス濃度は、第1のスリット211と第2のスリット212から供給され、ガラス基板G1へ吹き付けられるガス全体の量に対する第1のスリット211から供給されるHFガス量の割合を意味する。HFガス濃度が0.5vol%以上であればガラス基板G1に凹凸を効率的に形成することができる。10vol%以下であれば、ガラス基板G1をエッチングし過ぎない。HFガスの濃度は0.8vol%以上3vol%以下であることがより好ましく、1vol%以上2vol%以下であることがさらに好ましい。
また、ガラス基板G1の搬送速度は、特に限定されない。本実施形態では、ガラス基板G1の搬送速度は、例えば、1m/分以上20m/分以下である。
また、ガラス基板G1のインジェクタ210の通過時間は、1秒以上120秒以下であることが好ましく、5秒以上60秒以下であることがより好ましく、5秒以上30秒以下であることがさらに好ましい。ガラス基板G1のインジェクタ210の通過時間が、120秒以下であれば、ガラス基板G1の表面に凹凸を迅速に形成することができる。
ここで、「インジェクタ210の通過時間」とは、ガラス基板G1のある決められた領域が図2の距離Sを通過する時間を意味するものとする。なお、距離Sは、ガラス基板G1の搬送方向に対して、インジェクタ210の最上流側のスリット(図2の例ではスリット213a)の上流端から最下流側のスリット(図2の例ではスリット213b)の下流端の間の距離で定められる。
このように、インジェクタ210を使用することにより、搬送されているガラス基板G1に対して、表面に凹凸を形成することができる。
ガラス基板G1の表面への凹凸の形成は、50℃以上650℃以下の雰囲気で行うことが好ましい。電気炉220によって雰囲気の温度を調整することができる。電気炉220内の雰囲気の温度が50℃以上であれば、HFガスが凝縮しにくく、腐食性が強い液体のHFになりにくいため、装置(例えば、インジェクタ210、電気炉220、ガラス搬送機230等)が破損しにくい。電気炉220内の雰囲気の温度が650℃以下であれば、ガラス基板G1が変形しにくい。ガラス基板表面への凹凸の形成は、70℃以上300℃以下の雰囲気で行うことがより好ましく、100℃以上200℃以下の雰囲気で行うことがさらに好ましい。
ガラス基板G1の表面へ凹凸を形成する際に、ガラス基板G1の表面温度は50℃以上650℃以下であることが好ましい。電気炉220によってガラス基板の温度を調整することができる。ガラス基板G1の表面温度が50℃以上であれば、雰囲気中のHFガスが凝縮しにくく、腐食性が強い液体のHFになりにくいため、装置(例えば、インジェクタ210、電気炉220、ガラス搬送機230等)が破損しにくい。650℃以下であれば、ガラス基板G1が変形しにくい。ガラス基板G1の表面温度は、70℃以上300℃以下で行うことがより好ましく、100℃以上200℃以下で行うことがさらに好ましい。
ガラス基板G1の平均表面粗さRaが0.2nm以上1.3nm以下となるようにガラス基板G1の表面に凹凸を形成することが好ましい。Raが0.2nm以上であれば、ガラス基板が製膜工程等で金属や絶縁体のプレートと接触剥離しても剥離帯電せず、ガラス基板の絶縁破壊や表面汚染が起こりにくい。Raが1.3nm以下であれば、ガラス基板の表面に大きな欠陥が発生せず、ガラス基板の強度が低下しない。Raは0.4nm以上0.8nm以下であることがより好ましい。
以上の工程により、ガラス基板G1の表面に凹凸を形成することができる。
上述したように、上記実施形態では、液体のHFを気化させてHFガスを生成することにより、温室効果ガスであるCFガスまたはSFガス等を使用しないため、地球温暖化に与える影響を抑制しつつ、ガラス基板G1の表面に凹凸を形成することができる。
〔実施形態の変形例〕
本発明は前記実施形態に限定されない。本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は本発明に含まれる。
例えば、図2に示した装置は、単なる一例にすぎず、その他の装置を使用して、液体のHFを気化させて得たHFガス等を用いてガラス基板の表面に凹凸を形成してもよい。
例えば、図2の装置では、静止しているインジェクタ210に対して、ガラス基板G1が相対的に移動する。しかしながら、これとは逆に、静止しているガラス基板G1に対して、インジェクタ210を水平方向に移動させてもよい。あるいは、ガラス基板G1とインジェクタ210の両者を、相互に反対方向に移動させてもよい。
また、図2の装置では、インジェクタ210は、合計5つのスリット211、212a、212b、213a、213bを有する。しかしながら、スリットの数は特に限られない。例えば、スリットの数は、2つであっても良い。この場合、1つのスリットがHFガスあるいはHF混合ガスおよびキャリアガスの供給用に利用され、別のスリットが排気用に利用されてもよい。
さらに、図2の装置のインジェクタ210は、ガラス基板G1の進行方向F1の上流側から下流側に向かって、第3のスリット213a、第2のスリット212a、第1のスリット211、第2のスリット212b、第3のスリット213bの順番に設けられている。しかしながら、このようなスリットの設置態様を変更してもよく、例えば、第2のスリットと第3のスリットを1つずつにし、ガラス基板G1の進行方向F1の上流側から下流側に向かって、第1のスリット211、第2のスリット212、第3のスリット213の順番に設けてもよい。この場合、HFガスあるいはHF混合ガスおよびキャリアガスは、ガラス基板の表面を、一方向に沿って移動し、その後、第3のスリットを介して排気される。
前述の実施形態において、混合機130においてHF混合ガスを生成し、ガラス基板G1に吹き付ける態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。
例えば、HFガスは、混合機130においてキャリアガスと混合されずに配管143を介してガス吹き付け部200へ供給されてもよい。この場合、混合機130へのキャリアガスの供給を止めればよい。
また、例えば、キャリアガスは、混合機130を介さずに、キャリアガス源120から配管144を介して直接ガス吹き付け部200へ供給されてもよい。この場合、例えば、キャリアガスを配管144に選択的に送り込むようにすればよい。
また、例えば、キャリアガスを使用せずにHFガスをガラス基板G1に吹き付ける態様であってもよい。
また、凹凸形成装置1は、配管141〜144にバルブ等のガス制御手段を設けてもよい。ガス制御手段を用いれば、ガスの供給を調整できる。
凹凸形成装置1は、混合機130に水蒸気を供給する水蒸気供給手段(図示せず)を備えていてもよい。本実施形態では、HFを含むガスには水蒸気を混合してもよい。HFを含むガスに水蒸気を混合し、水蒸気混合ガス中の前記水蒸気の濃度を調整することで、HFガス中のHF濃度を調整しやすくなり、ガラス基板表面の凹凸の形状を制御することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
フロート法により製造した無アルカリガラス(旭硝子製:AN100)の溶融金属浴に接していた面を研磨し、ガラス基板G1を得た。ガラス基板G1を、ガラス搬送機230により2m/分の速度で、雰囲気温度が150℃に調整された電気炉220へ搬送し、ガラス基板G1表面を150℃に加熱した。インジェクタ210の第1のスリット211を介してHFガスとN100%のガスとのHF混合ガスを流し、第2のスリット212を介してキャリアガスとしてN100%のガスを流すことにより、ガラス基板G1の研磨した面と対向する面にHF混合ガスを接触させて凹凸を形成した。ガラス基板G1は、電気炉220内を3分で通過させ、インジェクタ210の通過時間は10秒であった。ガラス基板G1の凹凸を形成した面の平均表面粗さRaと剥離帯電量を測定した。
(平均表面粗さRaの測定)
AFM(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、型番SPI3800N)を用いて、10μm角の範囲を測定し、JIS B 0601(1994)で規定された面内の平均表面粗さRaを算出した。具体的には、ガラス基板面内の中央部と周辺部(基板端部から50mm内側)の9ヶ所について、表面粗さRaを測定し、その平均値を算出した。
(剥離帯電評価)
剥離帯電評価には、図3に示す剥離帯電量評価装置300を用いた。剥離帯電量評価装置300は以下の構成を有している。
ガラス基板G1を載せるステージ310には、ガラス基板G1を支持するステージピン320が設けられており、ステージピン320を上下させることによって、ガラス基板G1とステージ310とを接触、および剥離させ、ガラス基板G1を帯電させることができる。また、ステージ310には孔(図示されていない)が形成されており、この孔が真空ポンプ(図示されていない)に接続されている。真空ポンプを駆動させると、ステージ310の孔から空気が吸引され、これによってガラス基板G1をステージ310に吸着させることができる。また、ガラス基板G1の上方には表面電位計(図示されていない)が設置され、これによってガラス基板G1に発生する帯電量を測定することができる。
剥離帯電量評価装置300を用い、以下の方法により剥離帯電量を測定した。
(1)ステージピン320を上昇させる。
(2)イオナイザによりステージ310およびステージピン320を除電する。
(3)ガラス基板G1の凹凸形成面を下側に向けてステージピン320の上に載せる(図3(A))。
(4)ステージピン320を下降させてガラス基板G1をステージ310に接触させる(図3(B))。
(5)ガラス基板G1をステージ310に真空吸着させて、ステージ310とガラス基板G1を密着させる(図3(B))。
(6)ステージピン320を上昇させることでガラス基板G1をステージ310から剥離する(図3(C))。
(7)ガラス基板G1に発生する帯電量を表面電位計で連続的に測定する(図3(C))。
(8)イオナイザでガラス基板G1を除電する。
(9)(4)〜(8)を繰り返し、計5回の剥離帯電評価を連続して行う。
(10)各測定における最大帯電量を求め、これらを積算して剥離帯電量とする。
表1に、以下の項目(a)〜(g)の値を示す。
(a)第1のスリット211を介して供給したHFガスの供給速度
(b)第1のスリット211を介して供給したNガスの供給速度
(c)第2のスリット212を介して供給したNガスの供給速度
(d)第1のスリット211と第2のスリット212から供給されるガス全体の供給速度
(e)第1のスリット211と第2のスリット212から供給されるガス全体のHFガスの濃度
(f)平均表面粗さRa(単位は、nm)
(g)剥離帯電量(単位は、V)
実施例1〜4では、ガラス基板それぞれに、表1に示す条件にてHFガスを接触させる。比較例1では、ガラス基板にHFガスを接触させない。
Figure 2016135726
表1に示すように、実施例1〜4のガラス基板は、表面に凹凸が形成され、平均表面粗さRaが0.4nm以上1.3nm以下の範囲内であるため、剥離帯電量が2000V以下と低い。一方、ガラス基板の表面にHFガスを接触させていない比較例1は、平均表面粗さRaが0.2nmであるため、剥離帯電量が2500Vと高い。実施例1〜4では、温室効果ガスであるCFガスまたはSFガス等を使用せずに生成したHFガスを使用して表面処理を行って、凹凸を有するガラス基板を製造することができる。
1 凹凸形成装置
100 ガス生成部
110 HFガス源
120 キャリアガス源
200 ガス吹き付け部
210 インジェクタ
220 電気炉
230 ガラス搬送機
G1 ガラス基板

Claims (6)

  1. 液体のHFを気化させHFガスを生成する工程と、
    ガラス基板の表面に前記HFガスを接触させて凹凸を形成する工程と、を有するガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラス基板の表面に凹凸を形成する工程は、表面温度が50℃以上650℃以下である前記ガラス基板の表面に前記HFガスを接触させる、
    請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板の表面に凹凸を形成する工程は、窒素を含むキャリアガスを使用して前記HFガスを前記ガラス基板の表面に接触させる、
    請求項1または請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記キャリアガスは、さらに水蒸気を含む、
    請求項3に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記ガラス基板は、ガラス組成として酸化物基準の質量百分率表示で、
    SiO 50%以上70%以下、
    Al 0%以上25%以下、
    0%以上20%以下、
    MgO 0%以上10%以下、
    CaO 0%以上20%以下、
    SrO 0%以上20%以下、および
    BaO 0%以上10%以下含有し、
    実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記ガラス基板の平均表面粗さRaが0.2nm以上1.3nm以下となるように前記ガラス基板の表面に凹凸を形成する、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
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